2008年05月07日

「R.O.D」倉田 英之 集英社

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アニメを先行して見ていたものの、原作のライトノベルはお初になります。

いきなり初巻から、重々しい『業(ごう)』を背負った境遇が明かされます。そっか、そっかそれで野暮ったい眼鏡なんですね。まるで私みたい・・ん!?

主人公は、ひたすら本好きの書痴である若い眼鏡っ娘。衣食住には必要最低限度しかお金をかけないのに、衝動的に街の書店の本を丸ごと店買いするなど、相当常軌を逸した行動をとったりする。

普段は朝から晩まで本を読み漁り、神田神保町に住み、徘徊しているが、実は大英図書館の特殊能力を有するエージェントという設定です。

何よりも主人公である女性の、並外れたビブリオマニアぶりが魅力です。お友達になれそうな気もするのですが、読んでる本の趣味は正直イマイチ。本は読むものとしながら、同じ本を5冊も買うなど、ちょっとねぇ〜。せいぜい2冊にしとけって。

しかも、あまりにも普通の本過ぎて、そんなんいくら買ってもしゃーないやん!ってか思ってしまう私って、ひねくれもの? 世界にはもっと&もっと凄い書痴が溢れてますからねぇ〜。

冷静になったりすると、それほどのものでもないんだけど、ライトノベルでこういうのは珍しいと思います。スキマのジャンルながら、そつなく読ませる文章で本好きなら、十分に楽しめると思います。アニメも面白かったけど、小説もそこそこ面白かったです。

ただ、お薦め〜というほどではない。図書館にあるとか、ブックオフで100円だったら、読んで悪くないというところ。

もっとも私はまとめて3巻まで購入済みなので、ぼちぼち読んでいく予定。

ちなみにタイトルは 「read or die」。「to be or not to be」というシェークスピアのあれを念頭においているのかな?

R.O.D―READ OR DIE YOMIKO READMAN“THE PAPER”(amazonリンク)

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2008年05月01日

「めがねノこころ 2」ゆうき りん メディアワークス

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私的には、完全に眼鏡っ娘モノとは別物扱いですね。やはりロリ、ツンデレ系の王道を歩んでいます。

実は出版社の内容説明では、学園ラブコメディと書かれていたのですが、前回はそれはちょっと・・・と思ってました。でも、この巻からはまさにそれっぽくなってきました。

当初は、ほとんど表情がなかった主役の眼鏡っ娘もカラオケでノリノリになってしまっては・・・ねぇ〜。主人公の男子高校生を挟んで、女性(いたいけな少女)二人で取り合いとは、ラブコメ以外の何物でもないッス。ホント羨ましい限り。

ストーリーは、いろんな意味で明るいハッピーエンドを予想させる方向に向かっていきます。まあ、現代のラノベらしく適当に人も死んでますけど。

何よりも周囲の人よりも常に自分が第一というselfishの極め付けを、前面から肯定する辺りが、今の10代ぐらいに共感され、支持されるのかもしれません。自己前面肯定の割に、自己を主張する為の努力はなにもせず、あまつさえ年下の少女に大の男が護衛されてラブラブ、な〜んて安易な世界観、さすがはゆとり世代向けってカンジです。

すみません、ちょっとだけ毒吐きたくなりますが、ユルい感じで適度に暗くていいのかもしれません。嫌いじゃないです、っていうか、大いに面白かったりするんですが・・・。

予定調和の安心感が、実に居心地いいです。いろんな意味でみんなから守られて大切にされて、女性の裸も見放題!ってね。こういうこと書くと誤解されるかな?

まあ、でも今回は文字通り、裸の女性も出てきますのでご期待下さい(でも、全くエロくないんだな、これが残念なことに)。

でもでも、物語として次がきっと読みたくなります。私も続きを買う予定。だって、読みたいもん。ラノベ好きなら、悪くないと思うのですが、いい年をした大人が電車内で読むのはちょっと辛いです。挿絵がロリロリし過ぎているし、何枚か入っているのでそれを他の人に見られるのは・・・ちょっとネ。

百歩譲って、車内なんてしょせん他人だし、気にしないで実は読んでいたのですが、会社の空き時間に読むのは止めた方がいいです。挿絵にさしかかるたびにさすがに隠さないではいられません。でも、読みたいし。落ち着きません(笑)。

まあ、TPOを考えて読みましょう。特に内容はないですが、読んでると最後まで読み終えたくなります。

めがねノこころ (2) (電撃文庫)(amazonリンク)

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2008年04月30日

「撲殺天使ドクロちゃん」1〜2 おかゆ まさき メディアワークス 

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私はアニメから入ったので、原作の段階で完全にアニメそのものであったことに大変驚きました。いやあ〜、小説でこれだけ笑わせてくれるのは、西尾さんの「化物語」以来です。あちらには、さすがにかないませんが・・・。

もっとも、笑いとは違う観点で発想が非凡です。

可愛くてちょっとHっぽい天使が、現代の若者っぽく何も考えずに適当に感性(感情?)で行動し、すぐに周囲の者に虐殺の限りを尽くす。

しかし、魔法を唱えるとみんな元に戻るって、凄くないですか・・・!
RPGのリセットやら、復元の呪文じゃないって。

魔法で何でもできるというのは、アニメの世界のお約束ですが、そのお約束で毎回虐殺しても元通りって、おい、いいのか、それで。

いくらアニメでも、それを『アリ』にしたら、いけないという暗黙のルールがあるものですが、あっさりとそれを無視したうえに成り立っているこの物語って新しい『世界』を感じますね。無秩序と混沌そのものかもしれませんが・・・、でも、面白いからヨシとしちゃいます。

アニメでネタを知っているので、今回ラノベで2冊読んでも普通に面白いなって感じでしたが、アニメ見ないでこれ読んだら、驚愕したことでしょう。絶対にパワーがありますって!

何気ない端々の小ネタというか、種々の設定がそれありかい?ってのが頻発します。書けそうで書けないですよ、私だったら。実は自分が常識人だったことに気付いてしまいます。まだまだだなあ〜私。

このラノベ面白いです。アニメ見てからだと、面白さ半減以下になりますので出来ればこれ読んでから見た方がいいかも?

アニメ見ちゃうと、わざわざ原作読まなくても・・・っていうのも正直ありますけどね。読んでても面白いのは、間違いないです。

主人公は成績優秀な中学生(中2)と彼のところに引き出しの中からいきなり現れて同居し始める未来の天使。何かにつけて、勉強をさせまいとし、私生活を混沌に陥れるのですが、それには並々ならぬ理由があったりするのでした。

もっともこのストーリーの中で私が一番好きなのは、主人公の幼馴染で同級生という安易極まりない設定の少女・静希(しずき)ちゃんだったりする。図書委員で性格良くて優しくてとほぼ満点でしょう。唯一の欠点が図書委員の優等生キャラのくせに眼鏡をかけていないことぐらいですが、そこは脳内補完してOKです(オイオイ)。

日本終わったな・・・って、ニコ動じゃないんですけど・・・。

まあ、この手のノリが分からない人は置いといて、最近ラノベが面白いです。作り物の虚構世界を楽しんでいる感じが素敵♪ 現実逃避したいのでGW中はもっと読みたいかもしんない。

ほんと主人公の少年に、是非ともあの薬を発明してもらいたいものです!! 私的には、ドラえもんよっか、はるかにドクロちゃんの方がいいな。ザクロちゃんの方がよりいいですけど・・・(節操無し)。

撲殺天使ドクロちゃん (電撃文庫)(amazonリンク)
撲殺天使ドクロちゃん〈2〉 (電撃文庫)(amazonリンク)

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「めがねノこころ」ゆうき りん メディアワークス

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眼鏡っ娘萌えのラノベだろうということで、つい買って読んでしまったのですが・・・う〜ん、思ったよりもしっかりしたストーリーで、ずいぶんとマトモです。

電撃文庫のイメージからすると、違和感を少し覚えるほど、ちゃんと話がしっかりしてます(すみません、私の偏見があり過ぎかもしれません)。ちょっとつ〜か、かなり深刻な舞台設定だし。

眼鏡がストーリー上の重要なアイテムになっているものの、個人的にはなんか違う・・・。ちっとも眼鏡っ娘にワクワクしないんですが・・・どうしてでしょう?

むしろ単純なツンデレ・ロリ小説だと思うんですけど・・・ネ。眼鏡っ娘好きの私にしては、全くその点では興味を惹きませんでした。ツンデレとしては、そこそこ好きですけどね。眼鏡ダメジャン!

その意味では残念なお話でした。もっとも単純なラノベとしては、十分に面白いです。たまにはこういうのもGOOD! 続きも買ってあるし、勿論、楽しんで読む予定。

でもでも・・・やっぱり、りっちゃん(エヴァの赤木博士)好きなんだけどなあ〜。最近、切れ者の眼鏡さんに出会う機会が無くて寂しい。読子さん(R.O.D)系とも話が合いそうなんだけどなあ〜。

今の会社は、マトモな人が多くて怪しい人が少ないので残念です。せめと小説の世界にぐらい、ギリギリな登場人物に出会いたいものです。面白い本、ないかなあ。

粗筋も触れておきます。
突如、高校生の少年の前に12、13歳の眼鏡少女が現れます。少女は、特殊な生物兵器であり、見かけと異なり、ありとあらゆる特殊任務に対応できる能力があり、少年の身辺警護を開始します。

少年の父親は自衛隊の特殊な任務についていて、その関係で彼の命がとある組織に狙われているらしいのです。そして、少年を襲うゴスロリ少女との闘いの中で・・・。う〜ん、ラノベですなあ〜。改めて考えると少女ばっかりじゃん(笑)。

お年頃の男の子がメイン読者層だろうしね。ふむふむ。まあ、そんな学園小説なのですが・・・はてさて。

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2008年04月27日

「狐物語」(翻訳)鈴木覚、福本直之、原野昇  岩波書店

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12世紀後半に書かれたと思われる中世フランス文学の作品。と言っても堅苦しいものではなく、庶民にまで広く親しまれた作品で、イソップ童話のように動物が主人公で人間のように話します。

国王や諸侯、聖職者に職人や農民など中世のたくさんの階級の人物が登場し、骨の髄から意地悪な狐ルナールによるいたずらとそれによってひき起こされるトラブルなどが話の中心となります。

オイレンシュピーゲルなどとも共通するような、中世特有の世界観や常識などが何気ない文章の中に散りばめられ、それらが分かると更に興味深いこと、この上なしですが本書では注や解説などでも適宜説明されていて、それらを読むだけでかなり勉強になります。また、それを読むことで何倍も話の面白さが倍増します!

本書を読む方は是非、注や巻末の解説などもお読みになることをお薦めします!!

しかしねぇ〜、狼の奥さんと不義密通しちゃう狐のルナールもルナールですが、自分から喜んで誘っちゃう奥さんていうのも、まさに人間世界を戯画したような場面です。

またまた、ルナールに大切な下半身の玉をかじられてなくなってしまい、妻から、女としての喜びを失ってしまったとなじられる場面なども、何のエロ本かと思ったぐらいです(笑)。

そうかと思うと、妻を陵辱された決着を国王の裁判に求める場面では、諸侯が訴えでた原告の証言だけでは発言の信憑性が無いとして、二人以上の証人が必要だとしたり、被告の出頭を待って、弁明を聞いたうえで判決を出そうとするなど、どうしてどうして、実に明確な訴訟手続きが慣習法としてあったことをうかがわせ、中世の裁判制度などの勉強にもなります。

それに、どんな極悪人であっても(国王が死刑にしようとしていたぐらい)、告解をして死んでしまえば、実に有能で立派な家臣を失ったと嘆く国王の変化も面白いです。

単純に童話としての面白さを持ちながら、いかにも民衆が好んだ猥褻性や時の権力者をあざ笑う風刺性などもたっぷり効いていて愉快です。おまけにローマ・ギリシアの古典を踏まえているし、「聖ブランダン航海譚」などもさらっと出てきたり、なかなかやってくれます(ニコニコ)。

本当は読む前は、子供向けのちゃらい本かと思い、読むのを先伸ばしにしていたのですが大きな間違いでした。これはお薦めです!!

以下、ルナールが死んだことになり、葬儀の前で語られる話の抜粋:
「・・・・
国王はじめ、大小の諸侯、皆々様お聞き下さい。我ら承知の如く、ルナール殿は亡くなって我らの前に横たわっています。

狼イザングランの妻君エルサン夫人もご愁傷様です。ルナールは二人きりで、何度も彼女と後ろからやったからです。何度も何度も背中から彼女の割れ目に突っ込んだのです。いつ突っ込んでも仕損じる事のない穴こそ呪われてあれ。

ルナールは王妃様の穴にも何回も突っ込んでいます。彼女から苦情が出たのは、回数が少ないということだけです。聞いてみれば分かりますが、いくら突っ込まれても穴がもうたくさんといったことはありません。

国王を寝取られた男にしたために、王妃の尻の穴は裂けてしまったに違いありません。でっかい尻をしたエルサンもきっと臀部に火傷をしたことでしょう。

疑うなかれ、ルナールはそれらをすべて悔い改めたのです。彼の魂は後ずさりしながら、騾馬を連れて天国に昇ります。そこにはきっと驢馬も死んでから行くことになるでしょう。
・・・・」
これが岩波文庫に入っているのですから・・・みんなお勉強しましょうネ♪

ちょっとだけメモ
中世において本は信仰の対象そのものであり、聖遺物箱に保管されていた。疾病などがはやると、写本を水に浸してそれを服用すると薬効があるとされたそうです。

『ダロウの書』の頁に穴があいているのは、このせいだって。

本に書かれていることは絶対であり、真実であって、その為、著者(auteur)と権威(autorite)が同じ語源を有する所以だそうです。

フランス語でルナールは狐を表すそうだが、元々は別の単語があったのにこの話が有名になってしまい、「ルナール=狐」となったそうです。

この話は大変人気があったらしく、複数の写本が現存し、時代を下るに従って、中核となる話に付随する形で枝篇として、いくつものアナザー・ストーリーが生まれたらしい。
【目次】
ルナールの誕生と子供時代
ルナールが荷車の魚を失敬した話
ルナールがイザングランを出家させた話
ルナールがイザングランに鰻釣りをさせた話
ルナールが雄鶏シャントクレールを捕まえた話
ルナールがティベールの尻尾をちょん切った話
ルナールがイザングランの弟プリモーを坊主にした話
イザングランがルナールを国王の宮廷に告訴した話
ルナールが染物屋になった話
ルナールが旅芸人になった話
ルナールが烏のティエスランからチーズをだまし取った話
四十雀とルナールの舌戦
ルナールがイザングランを井戸にはめた話
ルナールとイザングランの決闘
ルナールの死
狐物語(amazonリンク)

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「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」藤代 幸一 法政大学出版局
「聖ブランダン航海譚」藤代幸一 法政大学出版局
かのこん
「狐物語」でamazon調べると、「かのこん」が出てきて笑えた。かのこんもエロいが、岩波文庫にエロさで負けてるのが更に笑える。
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「ノートルダムの鐘」ヴィクトル ユーゴー 竹書房

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大変有名な作品で名前を聞いたことがあり、何故か粗筋もおぼろげながらに知っていたりするが、一度も読んだり、見たりしたことのなかった作品でした。

個人的にディズニーって嫌いだしね。日本人って全く気付かない人も多いですが、何故、ああまでディズニーが世界の人々に受け入れられつつも強烈に毛嫌いされているか、少し考えればすぐ分かるんですけどね。知らない方は、少し無邪気過ぎるかも? 有名なお話ですのでここではこれ以上触れません。

まあ、いささか偏見を持っていた私ですので、なかなかこの本に手を出せなかったりする。で、読んでみると・・・。

第一の感想は、全く読む前からの想像通りの内容だったが、それはそれで面白かったってことです。と、同時に・・・この本の訳ってディズニー的な歪みが既に入っているのか? それとも元々の原作がこれなのか? 訳者による恣意的な要素があるのか?ってことが大変気になりました。

他の本で訳を読んでいないので、なんとも言えませんが、この本はこの本で相当疑問(!)が残る内容でした。

率直に言って、キリスト教的価値観の押し付けが著しい。現在でもカトリック国であるフランスの、ユーゴー時代に書かれた作品だからからだろうか? そこが分からないのでなんとも言えないのだが、ジプシーに対するキリスト教的偏見と都市秩序維持の観点から見た現代にも通じる実際的な視点がリアルであり、カトリック以外は全て異教徒と看做す世界観がかなり不快である。

異教徒をそもそも断罪したうえで、人類に共通の美徳を並べ立ててもそりゃ『偽善』としか見られないだろう。まさにそれこそがディズニー作品のキーワードであり、世界中の人が嫌う真の理由なのだけれど・・・。

日本人のお母さんが子供にディズニー作品を見せているのを知るたびに、自分でその作品の意図していることをご存知なのかと不安になる。
そういう人達が安易な大人になり、国連主義を主張したりするのではないだろうか? 

素晴らしい理念を語りながら、実体として無秩序と各国の利権漁りで堕落した国連の運営状況をご存知なのだろうか? 国内の社保庁の状況さえ分からなかったで済ませる人々だし、仕方ないのかもしれないが・・・。そういやあ〜会社説明会で破綻が見えていた年金制度を前提に経済を解説していたどうしょうもない会社があったが、山一證券だったかな? あの後、つぶれたもんなあ〜。そりゃ、当然だと思ったものでした。

話がだいぶそれてしまいましたので、本の話に戻ります。


【注意! 以下、一部ネタばれ要素あり】










本書は、とにかくキリスト教的(+中世的)価値観で満ち満ちています。教会内を「サンクチャアリ(聖域)」として、世俗の権力とは一線を画し、そこに世間で受け入れられないモノ(者?)としてせむし男のすむ場所としていることや、ジプシー娘をかくまう場所にしているのも興味深いです。

また、中世の祝祭としてしばしば挙げられる世俗の価値観の『逆転』なども、フレイザーの「金枝篇」を待つまでもなく、メインの舞台にすえられています。

パリの共同墓地の地下空間などもまさにパリのキリスト教的世界であり、現在もカタコンベで有名です。そういえば、「オペラ座の怪人」の地底湖も実在しますしね。楽しい世界です♪

あとあと世俗の裁判や処罰に対して、我関せずとする教会の姿勢も実に正当な描き方がされている。また、都市に暮らす民衆と都市管理当局との確執も中世的な世界観が分かっていると、それの延長線上にあり、実に興味深いです。

現在でもヨーロッパ各国でジプシーの人々に対しての根強い偏見がありますが、黒髪や赤毛はまさに彼らにとっては秩序破壊者の外的な印であり、悪魔なんでしょうね。それは地下鉄内などでも、いくらでも見かける事実ですし。

そうそう、そういったのとは別に思ったのですが、ファントムにしろ、せむし男にしろ、醜男は結局、幸せになれないのですね。美女と結ばれるのは、常にカッコイイ男か金や地位のある男だったりします。

いくら『愛』以外の貴重なものを見出した、とか得たとか言ってもそれって意味無いような気もしますが・・・???

妥協や諦めをもって、ごまかしているだけでなければいいのですが・・・。心の底から、人類愛や博愛を信じられるのでなければ、嘘はいけません。プロパガンダ的な胡散臭さがつきまとい、素直に受け取れませんでした。

う〜ん、私が偏見に満ち過ぎている側面もありますが、この作品は視点をどこに置くかで、全く異なった意味を持つものになりそうです。いろんな角度から見ると、興味深いです。

その意味でも本当は原文で読みたい本ですね。翻訳者の能力によって、どこまで原作に忠実なのか、まずはそれが重要問題の気がしてなりません。出版社があの竹書房さんだしなあ〜。(これも偏見ですが、他に出している本が本だけに・・・ネ)


ノートルダムの鐘 (ディズニー・クラシックス)(amazonリンク)
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「中世の迷信」ジャン=クロード シュミット 白水社

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元々の本の一部分だけ翻訳し、独立して新たに本としたもの。原本は相当な分量があるようです。

もっとも本書だけでもそれなりの量があり、明確なテーマが最初から設定されているので本として問題はないでしょう。歴史学でいうところのアナール派の本です。

本書はとにかく豊富な図版が入っているのが特徴。非常に数が多く、それだけでも読む、というより眺める価値はありそう。

ただ、中世における「迷信」の概念の説明については、あちこちで既に相当何度も聞いてきた説明とさほどの相違は感じられなかった。格別、目新しい概念が提示されているわけではなさそう。

民衆の中に深く根を下ろした俗信や異教の残滓、カニバル的な祝祭の概念など、キリスト教が警戒しつつも巧みに操作し、自らの管理下へ置こうとした経緯も解説されています。

ただ、個々の具体的な迷信の説明には、面白いのも幾つかありました。個人的には泉に関するものとか。私は、シャルトル大聖堂の地下にあった”聖なる泉”に大変関心があるのですが、ケルト的な宗教観以外にもそれがいかにして民衆の心を捉えていたのか。また、いかにして教会側が危険視し、それを抑圧しようとしたのかが面白かったです。

ただねぇ〜、一度読めば十分なような気がします。わざわざ高い金を出して手元に置くほどの価値を私には見出せないなあ〜。
【目次】
第1章 ローマとラテン教父における「迷信」概念の基礎
第2章 異教から「迷信」へ
第3章 中世初期の魔術師と占い師
第4章 村の「迷信」
第5章 中世末期の魔女のサバトとシャリヴァリ
中世の迷信(amazonリンク)

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「黒マリアの謎」田中 仁彦 岩波書店
「シャルトル大聖堂」馬杉 宗夫 八坂書房
「ヨーロッパの庶民生活と伝承」A.ヴァラニャック 白水社
「フランス中世史夜話」渡邊 昌美 白水社
タグ:中世 書評 歴史
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2008年04月21日

「香具師の旅」田中小実昌 河出書房新社

実は、以前から気になっていた作家さんなのですが、なかなか本を手にとって読む気になれないでいた存在だったりする。期待通りであっても、期待が裏切られても、どちらも嫌なカンジがして読めなかったんです。

読んでみた感想も、予想通りでした。

うん、なんというか場末の忘れ去られた地方の町で、流れ流れて行くところの無くなった人が一時、留まる・・・そんな場面が目に浮かびます。

男も女も生きるのに倦み、疲れ果て、死ぬのも面倒で覚悟もないのでその日、その日をなんとなく生きている。そんな切ないけど、その程度で生きている人間のありもままの姿が、そこはかとなく実在感があって物悲しくて、心に引っかかります。

同情や憐れみとは違うし、憤りでもない。ただ、生き物としての性(さが)のようなものが、なんとも形容し難い感情を呼び起こします。

本当に、ただなんとなく生きている。目標があったり、努力したり、幸せを求めたり、そういった価値観とはおよそ無縁な存在なのですが、頭では分かるのではなく、感覚でどっか共感できてしまうそれが、どうしても気にかかります。

男女の交わりなどもその好例で、ちょっとした成り行きの挨拶のようなものでしかないのですが、せいぜい軽いコミュニケーション(それ以前)の一端とかでしかなく、愛とか恋とかとは別次元であることを痛感します。私には、ちょっと分かるような、分からない感覚ですね。

でも、嫌いでない自分がいて、自分の中の相反する感覚に戸惑うこともしばしばです。こういうのも人間なんだなあ〜って心から思います。

効率良く生きよう、とか目的志向的に生きていくとかいうビジネス書とかの対極にあるのですが、どちらも肯定できてします自分がいます。
私的には、宿も決めずにふらっと放浪するしちゃう感覚に近いものがあるかも・・・。

私はこういう話もそれなりに好きです♪

以下、独り言。
昔、パリに行き、深夜2時過ぎにおきてTVを見てたら、女性が裸というかエロティックな肢体で、横になっている映像が流れてきた。画面の上や下には、電話番号がずっと表示されていて、ダイヤルQ2の宣伝か、コールガールの斡旋かな?と思ったのですが、急に怪しげな日本語がBGMとして流れてきた。

おじさんの鼻にかかったフランス語っぽい歌なのですが、歌詞がよく分からない。何故か分からないが、それを聞いていて田中小実昌氏のことをイメージした。その理由が釈然としないのだが、漠然と思い浮かべ、深夜のホテルでそれをぼお〜っと眺め、曲を聞き流していたことが何故か記憶に残っている。

あれはなんだったんだろう? 未だに何がなんだか分からないのだけれど、ふと気になったりする???

香具師の旅(amazonリンク)
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2008年04月13日

「ハリアー・バトルフリート」米田 淳一 早川書房

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プリンセス・プラスティック シリーズの最終巻。当然、これに先立つ3巻を既読であることが前提になります。

人の姿形を有する人工知性体、ありとあらゆる行政情報がネットワークシステムにより制御・管理される近未来社会。社会に受け入れられた天才と受け入れられなかった天才による、未来を巡る捉え方の差異がもたらす争い。

舞台装置は、これ以上ないっていうくらいオーソドックスではあるものの、そこで描かれている緻密に構築された世界観(高度情報化社会・体制の設定)が実に想定内の範囲(=リアルっぽくて)で素晴らしい!!

主人公に思い入れる、というよりはそこに描かれた近未来社会の設定その他の緻密さを楽しむべき作品だと思いました。キャラ自体は悪くないけど、それほどの思い入れはないしね。

『近未来』というものは、どこまでを思い切って、どの視点から描くかで全然変わってきますし、概念的な切り口はそれはそれで思考実験的で面白いし、好きなんですけど、現在の技術的な方向性・志向性からその延長線上として描き切ろうとする著者の視点が私にはとっても面白かったです。

私自身はデータベース関係ならある程度分かるものの、ネットワーク関係には不案内だし、本書で描かれているものの前提を十分に分かったうえでの感想とは言い難いのですが、それでも類書にはないほど、小説の舞台としての社会設定をきちんと考えたうえで描かれたものには間違いないです。

読んでいる最中も、著者よく考えたうえで書いているなあ〜と思っていましたが、後書き部分を読んでも著者がその点を明確に意識してご苦労されていたのが分かりました。

本書の魅力は、いわゆるSF的な、斬新な『発想』ではなく、緻密に現在から敷衍していく『論理性』ではないかと思います。恐らく、前提となる知識があればあるほど、この世界観が楽しめると思います。

逆に、『空想』的なただ、ただ漠然としたイメージだけの未来観や物語としての面白さばかりを求めると、凡庸な小説としか思えないかもしれません。

ただ、前3巻に比べて今回の巻は戦闘シーンが多く、それが逆に面白さを減じた感じもしますが、その反面、設定の細かさや緻密さが滲み出ていてトータルでは微妙かな? 

日本人の描くSFとしては、これまで無かったタイプとして評価して良いような気がします。本作品以外で、著者の本を読んでみたいと私は思いました。

ハリアー・バトルフリート―プリンセス・プラスティック (amazonリンク)
タグ:書評 小説 SF
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2008年03月16日

「言壺」神林長平 中央公論新社

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ずいぶんと懐かしい作品です。未読本と間違えて再読してしまったのですが、すぐに既読と気付いてもやはり面白くて、結局最後まで読破してしまいました。

神林氏作品の本質の一つだと思うですが、言葉とそれにより構築される世界(現実世界と言語により認識・再構築される世界)の面白さが本作品でも非常に強く現れています。

「グーグル化」やらニコ動のコメントによる情報の共有化、古くはノレッジ・マネジメントなど、最近になって目新しい単語でさも新しい流れのように誤解されていますが、本質的なものは時代を問わず、変化がなく、基本は言語空間による自己認識世界と外部世界との関わりがポイントのような気がします。

その点で、本作品も実に本質的なものを突いていると感じています。

もっともらしくて内容の無い、ビジネス書やIT系の情報雑誌なんぞ読むよりも本書のような思考実験的な作品を読むほうが、『時代』のトレンドを読み(古い言葉ですみません)、むしろ新しいアイデアが生まれそうな気がしてなりません!

10年をはるかに超える昔の作品ですが、全く古くなっていません。情報というものや、コミュニケーションというものを考える時、本書の視点は実に示唆に富むものだと思います。

SF小説として、単純に面白いのですが、それ以上に社会論、文化論的な視点で見たり、情報処理(あるいは認識)論としても大変興味深いと思います。

是非是非、志のある方、一読して欲しい本です。

ちなみに神林作品系列で言うと、「言葉使い師」とかの直系かな? 広義でいうと「プリズム」を初め、神林作品の中核を占めるテーマでもあると思います。

知的な好奇心のある方にも勿論、お薦めですネ。

おっとっと、そもそも何を描いているのか説明していなかったですね。
文章作成支援ツールとして情報機器が一般化している近未来世界。この設定枠の中での短編(連作?)集です。

必ずしも完全に同じ設定内ではなく、ニアリーイコール的な揺らぎを持った設定です。但し、基本は人間が文章を書こうとする時に支援する『ツール』の存在を通して、人間の言語による世界認識の本質を鋭く突いたものとなっています。

何気なく使っている言葉が、全く違った働きを持っていることに今更ながら、気付かされますので実に面白いのですよ・・・(笑顔)。読後には、違った視点が貴方の中に生まれているのに気付くはずです。

まさに王道SFの一つでしょう♪

言壺(amazonリンク)

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「機械たちの時間」神林 長平 早川書房
「プリズム」神林長平 早川書房
「ラーゼフォン」神林 長平 徳間書店
「ルナティカン」神林長平 早川書房
「グッドラック―戦闘妖精・雪風」神林 長平 早川書房
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2008年02月28日

「夢サーカス美少女地獄篇」奥田 誠治 徳間コミュニケーションズ

まさかあるとは夢にも思わなかった、あの「ドリームハンター麗夢」のノベライゼーションです。あったんですねぇ〜、そんなのっていうか、こんなの!

18禁アニメから特殊な人気で一般ビデオに移行した例として、昨今ではしばしば見られるパターンの草分けと言っても良い作品だと思います。確か最初に出していた製作会社は倒産して、版権だけ売り飛ばされたんじゃなかったかなあ〜? 

でもってシリーズ化されたんだと思います。相当古い話なんで記憶もあやふやですが・・・。今は無きLD版でいくつか確か持ってました(どうしたんだろ、アレ?)。

基本はいのまたむつみを待つまでもなく、あの当時ありがちな美少女が夢の世界で戦う、というシンプルなストーリーなのですが、自分自身に夢のあったあの頃には、いろいろと感じることもあったんでしょうね。多感なお年頃でしたし・・・(苦笑)。

そういうノスタルジーだけで読んだ小説です。実際、小説としてのレベルは相当低いです。つ〜か、限りなくお金をとって読ませちゃいけないレベルというのが正当な評価だと思います。あえてそれ以上は申しませんけどね。

やっぱり、映像で観るべき作品です。くれぐれも小説として読んで失望なさらないように。久しぶりに観たくなったなあ〜。ニコ動にも、少しだけあがっていたけど、まだ残ってるでしょうか?

同系統のお気に入り作品に「子猫ちゃんのいる店」という作品があったけど、あれはどうなったのだろう・・・?

何もかもが懐かしい・・・(by ヤマトの艦長)

夢サーカス美少女地獄篇(amazonリンク)
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2008年02月25日

「楽園の知恵」牧野 修 早川書房

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基本的には、かなり好きな牧野氏の作品なのですが、今回はあまり面白いとは思いませんでした。

いつもながらに才気溢れる片鱗は垣間見られるものの、あまりにも短い短編が多い為、その特異な世界観に埋没できないままに終わってしまった感があります。残念!

しかし、オカルトのパロディやら、元ネタが分かると別な意味で凄いなあ〜と思わないではいられない作品などもあり、一言で評し難いのが本当のところです。

素直に面白かったとは言えない作品が私の場合、今回はたくさんあったのですが、面白くないのだけれど、凄いなあ〜という感想があり、私の中でもうまく言えません。少し前の筒井康隆氏の実験小説的なノリがあります。

結構、評価が分かれるかもしれませんね。ただ、SFの可能性を窺わせる作品なのかもしれません。短編ではなくて、長編で是非とも読んでみたかったです。

楽園の知恵―あるいはヒステリーの歴史(amazonリンク)

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タグ:小説 SF 書評
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2008年02月12日

「世界の涯の物語」ロード・ダンセイニ 河出書房新社

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う〜ん、ダンセイニの別な本を読んだ時は結構面白かったのでだいぶ期待して読んだのですが、全然面白くありませんでした。

あまりにも短過ぎる短編集で、私的にはファンタジーの世界に入る以前の段階で、唐突に終わっている物語ばかりでした。なんだかなあ〜?

小説というよりも、一編の詩なのかもしれません。『詩』という形式のものを未だに受け入れられず、楽しめない私には、本書は全く受け付けられない作品集でした。大変残念です。

だいたい100頁ぐらい読んで時間の無駄ということで続きを読むことを放棄しました。短編であっても、作中世界に没入できないのは困るなあ〜。
1 驚異の書
ケンタウロスの花嫁
宝石屋サンゴブリンド、並びに彼を見舞った凶運にまつわる悲惨な物語
スフィンクスの館
三人の文士に降りかかった有り得べき冒険
偶像崇拝者ポンボの身の程知らずな願い
ボンバシャーナの戦利品
ミス・カビッジと伝説の国のドラゴン
女王の涙をもとめて
ギベリン族の宝蔵
ナス氏とノール族の知恵比べ
彼はいかにして予言の告げたごとく“絶無の都”へいたったのか
トーマス・シャップ氏の戴冠式
チュー・ブとシーミッシュ
脅威の窓

2 驚異の物語
ロンドンの話
食卓の十三人
マリントン・ムーアの都
なぜ牛乳屋は夜明けに気づいたときに戦慄き震えたのか
黒衣の邪な老婆
強情な目をした鳥
老門番の話
ロマの略奪
海の秘密
アリが煤色の地を訪れた顛末
不幸交換商会
陸と海の物語
赤道の話
九死に一生
望楼
こうしてプラッシュ・グーは“誰も行こうとしない国”にやってきた
チェスの達人になった三人の水夫の話
流浪者クラブ
三つの悪魔のジョーク
世界の涯の物語 (河出文庫)(amazonリンク)

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「魔法使いの弟子」ロード ダンセイニ 早川書房
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2008年02月10日

「アリスは語る」七瀬 由秋 リーフ出版

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SFマガジンでファンになった、イラストを描かれている横山えいじ氏の絵が好きで目に留まった点とaliceがストーリーを語るという点の2点で気になり読み始めた本です。

どうやら元々はネット上の創作小説と発表されていたものを何かの賞に応募して、出版されたというモノらしいです。

さて、内容について。やや皮肉が利いた大人向きの小話といった感じでしょうか? いささか諧謔的というか、自虐的な側面もうかがわれます。

基本、日常に訪れたちょっとした非日常。ショートストーリーの短編集です。最初の幾つかは、正直ゴミかと思うぐらい、読むに値しない作品だと思いました。電車の中だったので、そのまま継続して読了しましたが、普通だったら最初の作品でサヨナラですね。

でも、全部の作品を読んでみると、最後の「桜」は大変良い! 私はこういうのが大好きです。全作品がこの水準をクリアしているなら、今後も読みたいのですが・・・。本全体の評価としては、良くて平均をかする程度です。amazon的な評価をするなら、星3つに近い星2つですね。

でも、最後の短編「桜」だけは、桜好きの方なら、読んで悪くないと思います。私も・・・・したい。

しかし、この作家さんの小説は、おそらくもう読まないと思います。

アリスは語る (ジグザグノベルズ)(amazonリンク)
タグ:書評 小説
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2008年02月05日

「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX 虚夢回路」藤咲 淳一 徳間書店

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未だにノヴェライズされた小説というものに、時代遅れの偏見を持ってしまう私ですが、さすがは攻殻機動隊、期待を裏切らない出来でした。

本書はTVシリーズを手掛けた人物によるノヴェライズですが、映画とコミックだけでTVシリーズは未見の私でも、イメージしていた作品の世界観にズレはなく、十分に楽しめました。

攻殻機動隊ファンは間違いなく楽しめるでしょうが、それにこだわらなくても十分に高い水準で一つのSF作品として満足できるものとなっています。株価がどんなに下がっても、日経新聞の記事内で日本が世界からいかに相手にされてなくても、こういった作品を生み出せる日本なら、まだまだ『日本終わっていない』って感じました!

以前なら、この手のSFはアメリカと相場が決まっていましたが、彼らの描くサイバー世界より、こちらの『情報』をキーにして世界を読み解く『電脳』社会の方がはるかにリアリティーを覚えます、私。

2030年まであと22年、十分にこの電脳世界は実現できそうです。いやあ〜長生きしたいもんです。いくら技術が変わっても人そのものは変わらない反面、技術によって社会や制度は明らかに激変していく。その辺をうま〜く扱っていて、もうぞくぞくするほど、こういうのスキ!

粗筋は、ご存知公安9課が要人の警護をしている。同時に頻発する若者によるテロ事件。それらを取り結ぶ関係とは・・・。何故、普通の若者が突如、自らの命さえ省みないテロを行うのか・・・。それらを裏で操るものの正体とは。

まあ、表面的なストーリーは完全な定番ですが、読み物として十分に読む価値があると思います。お好きな方には一読をお薦めします(笑顔)。う〜ユビキタス時代は、まだか? 新規事業は「夢屋」を開こうかな? 共同経営者募集ってネ(ニヤリ)。

そうそう、表紙の絵はどうしたものかな? いかにもアニメアニメしていて、SFとは思えないのは顧客予備軍を狭めてしまうような気もするのだけれど・・・?

攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX 虚夢回路(amazonリンク)

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イノセンス(2004年)押井守監督
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2008年01月23日

「歌行灯」泉鏡花 岩波書店

あの泉鏡花の小説である。なんというか、文体、スタイルとにかく読んでいて読者を必ずや惹きつける魔性の力を有する文章と言っていいでしょう。

こういう文章を読むと、愕然とする自分に気付かされますね。どんなに頑張っても自分には、こういう日本語を書けないと痛いほど、感じさせられます。とてもではないが、自分が普段使う日本語ととても同一の言語と思われません。

読んでいて、文意を捉えるはずがどこか文体に酔っている、そんな感じがしてなりません。あるいは、鏡花の紡ぎ出す世界(魔界)に酔っているのかもしれませんが・・・。

実は短い小説なんで、2,3度読み返してみたんですが、恥ずかしながらどうにも未だに内容が分からないのですよ。単語が分からないわけではないし、物語世界の状況が分からない訳でもないのですが、どうにも本作品を理解したという(例え、誤解であってもいいのですが・・・)なんらかの主観的な満足感さえもないのです。

なんか分かっていない感じがして、釈然としないのです。う〜ん。まだまだ私なんぞが読むには10年早い作品なのかもしれません。でも、気になるんですよ・・・。

うまく言えませんが、関心がある方読まれるといいと思います。旅の道中、おじさん二人が宿で経験する出来事というか・・・話なのですが・・・。駄目ですね、粗筋書いても意味ないし、現物の本をお手にとって確認してみて下さい。

未だによく分からないのですが、日本語の可能性を感じる文章であることだけは間違いないと思います。実に不思議で気になる文章でした。

歌行灯 (岩波文庫)(amazonリンク)

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「怪奇・伝奇時代小説選集〈7〉幽明鏡草紙」志村 有弘 春陽堂書店
タグ:小説 書評
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2008年01月10日

「鏡像の敵」神林長平 早川書房

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基本短編集なのですが、何篇かどっかで読んだなあ〜という感じがするのに、本書が出たのは最近ということで不思議に思っていましたが、amazonのレビュー見て納得しました。

どうやら、既に他の本で収録されているのが、重複して入っているようです。どんな意味があるのやら? ハヤカワ訳わかんないことするなあ〜? 短編集にするにあたって原稿不足なのを既存のもので穴埋めしたのだろうか?

まあ、それは抜きにしてもまさに神林氏らしい作品集です。逆に言うと、全ての作品に対して既視感を覚えます。どの作品も発表年代が1980年代の後半なので、リアルタイムでSFマガジンの掲載で読んでいたかもしれません。

言葉だけで紡がれていく『異世界』。奇妙に実感を覚えると共に、作中世界にはまればはまるほど、現実世界の認識が揺らいでいくその喪失感。うん、私の好きな神林氏の世界です。

一面では、論理だけで感情など切り捨てられそうながら、どっかで人としての温かみというか『おかしさ』という感情が底辺に息づいている。その絶妙なバランス感が大好きです。

神林氏一押しとは言えませんが、外れることのない一冊かと思います。神林氏ファンやSFファンなら、読んでいて悪くないと思いますよ〜。

鏡像の敵(amazonリンク)

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「親切がいっぱい」神林長平 早川書房
「プリズム」神林長平 早川書房
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タグ:SF 小説 書評
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2008年01月08日

「親切がいっぱい」神林長平 早川書房

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まず第一に、これ本当に神林氏の作品かと思った。著者名を知らないで読んだら、絶対に分からないと思う。それぐらい神林氏の作品中では異色だろう。

だって、言葉遣い師とか、戦闘妖精雪風の作者だよ〜。そりゃアプロも書くけど、まさかこういう物が書ける人だとは思いませんでした。なかなか芸のある人だったんですねぇ〜ふむふむ。ちなみに私はこの作品それなりに好きです。ちょっとビックリしますが、それなりに魅力的です。

私の感覚でいうと、「プリズム」でマザーから切り離されるあの『パーツ』のような感じに思ったんですけど、マロちゃん。お前何者だ〜って!最初から最後まで不明なままで通し切ってますけど・・・改めて考えるとかなり凄いストーリーですよ。見かけのほのぼのに惑わされてますが、作品としては結構ヤバイ?

SFと言えば、SFですがそう呼ぶのには別な意味で抵抗感を感じます。いわゆるハードSF好きは避けた方がいいでしょう。ただ、年明け早々ちょっと疲れてる私には癒しになりました。

いいんだよ、可愛ければなんだって。日常の中の非日常も日常なんだもん。まあ、SFにこだわらなければ、いいのかもしれません。

親切がいっぱい(amazonリンク)

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タグ:SF 書評 小説
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2007年12月29日

「真夜中の檻」平井呈一 東京創元社

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あの怪人荒俣氏のお師匠さんで、永井荷風の弟子。ラフカディオハーンの「怪談」や「ドラキュラ」の翻訳者にして、日本の幻想文学で知らなきゃ、もぐりと呼ばれるあの平井呈一氏に関する本です。

冒頭の2作品は氏の手による創作。他のものは、翻訳した訳書や全集などに付けられたあとがき等様々なものから集めたもの。文庫なのに、実に充実した内容です。少なくとも幻想文学ファンを自認する方なら、是非一読をお薦めします!!

序から、荒俣さんが熱っぽく平井氏の在りし日の姿を語ってくれます。そして、いきなりの小説がこれまたイイ! 私の大好きなタイプの小説です。「迷い家」や「高野聖」を連想させるいかにもありそうな小説なのですが、でもやっぱり上手いと思う。私はこういうのが読みたいんですよ〜ウンウン。

二番目の小説は、あの時代にしばしばあった系の小説で新味はないが、悪くないというところかな?

その後にずっと続いていく、あとがき集みたいなものが実に面白いし、勉強になります。私も大好きなブラックウッドとかマッケン、レファニュ、ビアスなど定番作家の当時の状況が分かって実に興味深い。改めて、今後自分がどういった作家のものを読み進めていこうか大変参考になります。

手元で眠っている本を探して再読、あるいは初読してみたいと思いました。今、積読本もだいぶ溜まってますし・・・(胸が痛みます)。

個々の内容は、それぞれの翻訳本を読んだ時に見た覚えがあるものがちらほら散見しますが、本書はまとめて読むだけの価値があります。師走ですが、これは最後の当たり本だと思いました(笑顔)。
【目次】
序 平亭先生の思いで 荒俣宏

真夜中の檻
エイプリル・フール
海外怪談散歩
 「魔人ドラキュラ」あとがき
 怪奇小説と私
 お化けの三人男
 ブラックウッドのことなど
 J・S・レ・ファニュ
 ウォルター・デ・ラ・メア
 ビアスとラヴクラフト
 アーサー・マッケン
 デニス・ホイートリ
 M・R・ジェイムズ、その他の怪談作家
 海外怪談ダンプ
 はじめに―「こわい話・気味のわるい話」第一輯
西欧の幽霊
 西欧の幽霊
 西洋ひゅーどろ三夜噺
私の履歴書

解説 紀田順一郎
Lovely Waters―平井呈一とその時代 東雅夫
平井呈一著訳書一覧
解題
真夜中の檻(amazonリンク)

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【追記】
実はこの書評を書いた時、解説部分はまだ未読でした。今日(1月5日)読んでみると、東雅夫氏による解説には、実に驚くべきことが書かれていました!

平井呈一氏が永井荷風の弟子筋に当たるのは知っていましたが、偽書事件で関係がこじれ、それをネタにした荷風の作品によって平井氏が業界から冷や飯を食う形で不遇の時代を過ごされていたとは全く知りませんでした。

ものを知らない私には、まさに衝撃の事実でした。知っている方には大変有名な話なんだそうです。また平井氏のプライベートもそれなりのものがあったようです。あまり詮索するのは下種の勘繰りという奴で品がないのでこれ以上触れませんが、本書の素晴らしさは解説にもありました。是非&是非、解説もお忘れなくお読み下さい。いやあ〜改めて読むに値する本だと思いました。

合わせて解説からの購読メモ:
・紀田順一郎「永井荷風 その反抗と復讐」リブロポート
・永井荷風「来訪者」
・平井呈一「怪奇幻想の文学」全4巻 新人物往来社

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「怪奇クラブ」アーサー・マッケン 東京創元社
「妖怪博士ジョン・サイレンス」アルジャノン ブラックウッド 角川書店
タグ:小説 書評
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2007年12月18日

「蒼いくちづけ」神林長平 早川書房

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神林氏らしい作品だと思う。淡々と描かれる、現実とは異なる異世界。しかし、そこはそこでやっぱり人間という存在が微妙なニュアンスで描かれており、ある意味、より『人間』らしさが濃く出てくるのかもしれない。

神林氏の作品には、舞台は異なれでも常に人の『想い』に焦点が当たっているように感じる。この『想い』によって、世界が構成され、その存在さえも危うくされる・・・そんな印象をいつものように感じた作品です。

ややオブラートに包んだ感があるものの、読んで心に感じるものがある作品です。神林ファンなら、読んでおくべきでしょう。

粗筋は、月世界を舞台にしたテレパスが主人公の舞台。犯人・被害者・捜査官それぞれがテレパスであり、同時に非テレパスもいい感じで絡んできます。

人間の脳が死ねば、霧消してしまうはずの不定形で実体の無い『想い』がある意味、本作品の主人公です。後は読んでからのお楽しみというところで・・・。エピローグが余韻を希望につなげていきます。

蒼いくちづけ(amazonリンク)

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2007年12月11日

「王の眠る丘」牧野修 早川書房

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【書評の前に】
ちょっと手というよりも指が腱鞘炎ぽくなってしまったので、しばらくブログの更新を休むかもしれません。おそらくニコニコ動画のせい? 仕事に影響しても困るので自粛モードに入るかもしれません。更新ペースは落ちると思いますのでいつもご覧頂いている方、気長に見守って下さいませ。

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ちょっと毛色の違うファンタジーです。しっかりしたストーリーに、独自の世界観、キャラクターの立て方などなど、欠点の挙げようもないほど、よく出来ている小説だと思います。

実際、読んでいると明らかに現実界とは異なる異界の出来事でありながら、どっぷりと作中世界に読者を引き込む(溺れさせる)力は、著者の他作品にも見られる特徴であり、魅力でもあります。

読んでいて、面白かったです。でも・・・知らない作家さんなら、誉めて終わるところなのでしょうが、何冊か読ませてもらっている作者の力量からすると、どうなんでしょう?

もっと&もっと、有り得ない世界像を提示して欲しかった!という欲深い願望を感じてしまいます。いつものような極端に淡白な側面とそこに怜悧に突き刺さっていく『ナイフ』の組み合わせではなかったような気がします。最初こそ、毒気を感じたものの、中盤以降はストーリーがあまりにも良い人になってしまい、えっ、えっ・・・となってしまいました。

決してラストが悪いということではないのですが、あまりにも綺麗にまとまり過ぎで、意外な感じがしたのです。まるで良質のファンタジーみたいなんだもん!

悪意の『ネバーランド』ではないようです。

面白いんだけど、私の考える牧野氏らしさとは、ちょっと離れている作品でした。

具体的な粗筋は・・・。
ごみためのような地区に住む人々。そんな彼らの住む所を軍に焼き討ちされ、追われた人々がいた。そのうちの一人の少年が、復讐を目差して競技会に出場する。その競争の完走者には、復讐を目差す相手のいる、警護の厳重な都市へ入る資格を得られるだった。

王の眠る丘(amazonリンク)

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2007年11月11日

「敵は海賊・正義の眼」神林長平 早川書房

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もうずいぶんと久しぶりの海賊シリーズでしたが、やっぱり神林氏の海賊シリーズは文句無く面白い。外れが無いんですよねぇ〜。

表面的には、いつも通りのたわいないお馬鹿な会話を交わすアプロ、ラテル、ラジェンドラの愉快なノリが楽しませてくれる一方で、ツザキの『何者にも束縛されず、ただ自分の生きたいように生きる。そして、その障害となるものは徹底的に排除する』というシンプル且つ明確な世界観の描き方には、強い共感と憧れを抱きます。

今回の海賊課の面々は控え目の出番であり、むしろ舞台の設定の一部として溶け込んでいる感(←結構、そういう場合多いですね。このシリーズでは)もありますが、『海賊課 VS 海賊』の対立構図はあたかも世界を構成する陰陽二元論として本作品の中でも強く息づいています。

神林氏の作品に共通のテーマだと思いますが、この『世界』というものの認識や個々人のそれへの関与の仕方、それはやはり本作品でも貫かれています。

小難しいことを考えなくても、読み物として十分に面白いのですが、娯楽として楽しみながらも、ふといろいろなことを考えさせられる作品です。まさにSFの本質を兼ね備えていることは疑い無いところでしょう。

本書の前日に中世思想の本を読んでいたせいか、「天上位階論」とその思想的背景を思い浮かべてしまい、なんか感慨深かったです。

まあ、堅い話はその辺にして。ストーリーは・・・。
今回は、自然保護運動家だった人物が出てきます。主義主張は無いものの、人々を先導する天性の才能を有した人物。彼がツザキに操られ、ある行動に出る事で海賊課は、その根本的な存在意義さえ脅かされる・・・ことに?

「下手の考え休むに似たり」ではないけれど、行動することこそが海賊課を支える不滅の存在意義かもしれません。な〜んてことを考えながら、楽しい読書をしました。

【余談】
先日初めて『敵は海賊〜』のアニメを見たけど、う〜ん・・・原作を一切考慮しなければ、普通のちゃらいアニメなんだけどね。原作を知ってるとちょっとショックかも? 少なくとも原作の設定を活用した別作品として捉えるべきモノでした。

まあ、割り切ってみれば、それはそれなりのアニメなんだけど・・・いやあ〜原作の旨みが完全にばっさり割愛されているので、神林ファンの人は要注意! こういうのは難しいものですね、ホント。

敵は海賊・正義の眼(amazonリンク)

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本書はここで購入した著者のサイン入り本
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2007年11月05日

「黒い仏」殊能将之 講談社

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黒い聖母の話はいろんな本で読んだが黒い仏は聞いたことがなかったので、まずタイトルに惹かれた。そして冒頭を読むと天台宗のあの円仁と十分に渡り合う以上の学識を備えた僧侶が遣唐使から帰国しようとした際に、持ち込んだという『秘法』。その『秘法』探しが本書のテーマ。かなりそそられません?

当初は正統派的に色々な意味で道具立てに凝っていて、読み易い文章と共にその謎解きの世界に引き込まれていきます。小説としては結構面白いと思います。

但し、本書では肝心の謎解きが全く解決していません。『秘法』の在り処(確認はされていない)やその内容とかは、全部続きへ持ち越してます。(最近、こういうのが多いね。たくさん本を買わせたいのか、一話完結でないのが流行りなのでしょうか?)

本書で一応、探偵らしき活躍(?)もあるのですが、率直に言ってこれは絶対にミステリーではありません。これをミステリーと言ったらミステリーファンに刺されるでしょう!

正直唖然としますが、ミステリーがいつのまにかSFになってしまいます。夢枕獏さん系統ですが、パワーはだいぶ落ちます。サイコダイバーではない、新しいジャンルの開拓を新人さんには期待したいですが、もしかしたら、最悪の結果で終るかもしれませんが、面白い部分は確かにあるのでとりあえず、しばらく読み続けたいと思います。

ミステリーとしては、絶対に駄作でしょうが、エンターテイメントとして期待できる(かも?)作品・・・だといいなあ。途中までは、本当に面白かったんだけどねぇ〜。何故、あの引きなのかがどうにも解せん?

さて、きちんと作品として収束するのか発散して駄作になるのか、微妙ですが、期待したいところです。現段階では買ってまで読むべき本とは思えないなあ〜。

黒い仏(amazonリンク)
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2007年10月24日

「白澤 人工憑霊蠱猫 02」化野燐 講談社

続きで読んでいたのですが、どうにもつまらなくて困惑している。著者の薀蓄部分がウリのようなのだが、それがちっとも面白くないのだ。広辞苑やブリタニカを読んでいた方が率直に言って楽しい♪ 私、暇な時はよく見てるもん!

書かれている内容が上滑りしていて、痛々しくて仕方が無い。前巻同様、ストーリーの展開がボロボロでこんな単純な筋なのに分かり難いし、無駄な部分が多過ぎる。そして二巻目に入っても未だにこの話がよく分からない? 何が言いたいのだろうか?

コンピューターと妖怪という、昔よくあったようなベタなネタは止めといた方が良かったのでは?と思わずにいられない。何か脚色に味付けでもしてあればいいけど、全く面白さを感じられない。

同じノリでもエンターテイメントに徹した菊池秀行氏の作品のはるかに読んでて楽しいんだけどなあ〜。読むのがだるいし、面倒になってきて苦痛。

1巻にも増してカオスに堕ちてます(合掌)。最近見た中では、断トツに文章下手ではないかと思います。さすがに3巻は読むのを止めようと思いました。

但し、前回の書評で著者はデータベースのこと分かってないということを私は書きましたが、それは私の誤りでした。2巻でしっかり要求定義とかにも触れられていました。その点は、私の間違った書評ですので、ここで報告しておきます。(誰も気にしてないかもしれませんが、明白な間違いが気付いた点は修正します。お気づきの方は、コメントなどに書いてもらえると幸いです(お辞儀))