
うちのブログの常連さんならお馴染みになってるかもしれませんが、羊皮紙は丈夫で軽くて長持ちし、非常に高価な為、古代からずっと通常は使い回しをされてきました。羊皮紙に描かれた写本は不要になると、表面を削られて新しい文字や絵が描かれます。
しかし、科学技術の進歩した現代では、な、なんと消されたはずの文字を復元することができたりするんだそうです!!
昨今では、長い歴史の中で失われた(とされた)貴重な文献が、その技術によって再発見され、目覚しい成果を挙げ、注目を浴びる技術だったりします。
現在でもバチカンでその為のプジェクトが推進されており、日本では 凸版印刷がバチカンに協力してそれを進めているのは非常に有名ですね。そういやあ~バチカン図書館は一時的に調査の為に、閉鎖が決まっていて世界中の研究者が慌てて閲覧申請出してる、な~んてのも海外のニュースでは出てますね(日本のマス・メディアでは流れませんけど)。
まあ、そういったことは楽しくて、話が飛びまくるので置いといて。
(うちのブログでも時々採り上げてるアレです!)
本書はまさに、その失われたはずのアルキメデスの知られざる『知識(発見)』が中世の祈祷書であったものから見つかったというノンフィクションのお話です。ニュートンでさえ、あのアルキメデスの創造した思考法路線の継承者であり、アルキメデスの延長線上に出るべくして出たというのは、本書を読んで初めて知りました。
また、それこそ本書の内容は、世紀の発見として世界中を騒然とさせたニュースであり、つい最近世界中で騒がれていた話題だったそうです。調べてみたら、すぐにBBCとか大手のメディアで見つかりました。日本で新聞読んでるだけで何にも知らないままでした私(恥ずかしい、というよりも悲しいな、うん)。
う~ん、もう少しそういうの頑張って欲しいですよね、日本のマス・メディア。海外のニュースがパリス・ヒルトンがどうとか、ネバーランドがどうしたとか個人的にはゴミのようなニュースばかりではなくてネ。
さて、本書の内容です。
ササビーズのオークションに出品された中世の祈祷書の写本。既に先達者がいて、祈祷書以前に書かれて写本の内容は発表されており、もうほとんど新しいものは見つからないと思われていたそうです。
しかもその写本には、権利関係を巡る紛争がおまけ付き。誰もがためらうような状況でのオークションでした。それを最後まで名前が明かされないパトロンが、かなりの高額で落札後、とある研究者に写本の調査を依頼してきたところから物語りは始まります。
多くの研究者が自らの時間を割いて、自主的に調査に参加すると共に、必要な調査の為の資金については、覆面のパトロンが適宜、惜しみなく援助する事で今回の世紀の大発見はなされたそうです。
今までは全く知られていなかったアルキメデスの真の『天才』の名にふさわしい科学史に燦然たる業績を、新たに確定した共に、本書はアルキメデスだけに限らず、他にも長い歴史で失われた貴重な古代の文献資料が多々見つかったそうです。そして、それは現在も進展中とのこと! いやあ~読んでいてワクワクしてしまいますね。
そして本書の中では、それらの調査の経緯や意義の他、アルキメデスの考え出した業績についてもたくさんの図形を使用して説明をしています。これはこれで面白そうなのですが、白状しちゃいますと、私は読みながら考える時間は無くて、ざっと流し読みしてましたこの部分。人によってはここがもっとも面白いかも? あるいは、幾何学系苦手の人なら、無理して読まない方がいい箇所かも? でも、論理的な思考できる方なら問題なさそうです。
アルキメデスが行っていたのは、何もないあの当時ですから、純粋な思考実験であり、古代であっても人間の思考能力は変わらないと思う以上に、よくぞそこまで思考を極めていったものだと驚愕することしきりです。確かに、非凡というのはこういうことを指すのでしょうね。昨今、論理的思考などと言われているものと比較すると、現代の水準の低さにアルキメデスは失望するかもしれません。それとも自分の思考を理解できる人がいることに素直に喜ばれるかな?
本書は、読む人の関心や能力によって、いくらでも読み方・楽しみ方が変わっていくタイプの本だと思います。実に興味深いです。私の関心があるゴシック建築には、当然、数学的知識「比」の概念なども必須なわけですが、まさに建築家達が持っていた知識は、アルキメデス譲りであったわけなんですね! うっ、うっ、人間ってやつあ~実に凄いし、素晴らしいです。同じ人間なのに、これほど違いがあるってのも、また別な意味で不思議ですが・・・・。
とにかく、エセインテリさんは是非読んどきましょう。知らないとそいつは無知ですぞ! 新しい発想には、こうしたスケールの大きいお話が大切です。一見、面白くて為になりそうな安直なビジネス書ばかりではなくて、こういう本こそ、ブレイクスルーを生み出すものでな・・・な~んて思っちゃいます!!
あとさ、本書内でもビル・ゲイツが買ったんではなくて良かったと書かれていたが、古文書漁りで名を馳せてますが、教養の無い人は駄目なんですかねぇ~。今回のプロジェクトが成功したのもいちいち審査を通さないと予算が下りないような公的資金などの学術予算ではなく、真に理解あるパトロンがいたおかげだと述べてますが、一方でこの本当に貴重な写本を台無しにしてのも、つい最近の個人であることも書かれていて、現代の抱える問題を考えさせられます。
【目次】
アメリカのアルキメデス;
シラクサのアルキメデス;
大レースに挑む第1部 破壊から生き残れるか;
視覚の科学;
大レースに挑む第2部 写本がたどった数奇な運命;
一九九九年に解読された『方法』―科学の素材;
プロジェクト最大の危機;
二〇〇一年に解き明かされた『方法』―ベールを脱いだ無限;
デジタル化されたパリンプセスト;
遊ぶアルキメデス―二〇〇三年の『ストマキオン』;
古きものに新しき光を
解読! アルキメデス写本(amazonリンク)
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中世絡みの本を読もうと思って手にした本です。日本において米が全ての基本であり、江戸時代のように米の生産高(石高)で全てが評価されたように中性のヨーロッパではいかにパンが重要であったかを改めて知りました。
先日、お亡くなりになった阿部氏の本。NHK市民大学の講座なんてやっていたんですね、知らなかった~。是非見たかったなあ。本書は、その時の講座で用いられたテキストに200以上もの膨大な図版を入れて、内容を充実させた保存版です。




私が買ったのは筑摩書房のハードカバーだったけど、学術文庫で出ているんですね。そちらの方が入手しやすそう。
ご存知のように図版やイラストが豊富でビィジュアルが充実しており、非常に読み易いシリーズの一冊。とりあえずテンプル騎士団の本がさらに読みたくなって購入したものです。
う~んと、いつもながらの安部氏の本で面白いんだけど、この本にはちょっと問題あるかなあ~。
ハーメルンの笛吹き男―――この伝説を知らない人はいないのではないでしょうか?鼠を退治した笛吹き男に、約束した報酬を支払わなかった為に子供達が連れさられてしまう神隠しのようなお話ですが、私は漠然とグリム童話かその類いと思っていました。青髭伝説みたいにその由来にはきちんとした歴史的事実があるとは思っていなかったので、よくあるようなおとぎ話にまさかこれほどまでの学問的な関心が寄せられ、多数の論文が書かれ、しかも種々の仮説があってこれがまた面白い!!



元々歴史物も好きで、結構いろいろと思い付くままに読んではいるのだが、たまたま目に止まって購入したもの。秀吉の参謀として、前半は竹中半兵衛で後半はこの黒田官兵衛が陰にひなたに支えたことは有名ですが、参謀役って目立つものではないし、直接の話としてはほとんど知らなかったので新鮮でした。
これは私がいままで読んだ本の中で一番バランス良く、且つ網羅的に書かれたケルトの本でした。もっとも私の場合は、ケルト自体をメインにした本ってあまり読んだことがなく、他の本を読んでいてその解説の過程でケルト神話にも触れられているという場合がほとんどだったという理由もあるんですけどね。とにかくこの本を読んで表面的であるにせよ、ケルトの事(ケルトの魅力)が少し分かったような気がします。漠然と妖精とか聖杯、アーサー王、ドルイド教などに関心がある方、まずはこの本を読む事をお薦めします。ケルト十字やケルズの書、ブランの航海とかの名称にピンと来た方にも読んでおいて無駄にならない本です。


善悪を判断する理性を有しない動物に対して、その行動をいかにして裁くのか? 現代の私達からすると奇異なことことうえないですね。もっとも魔女狩りで有名な無知蒙昧の輩による暗黒の中世だから、何でもありなのか?そういうふうにも安易に考えてしまいそうですが、実は中世もそれなりに合理的な精神が働いていた時代であったことが明らかになっている今、非常に興味あるテーマだと思いました。
弓削氏がご専門の立場から書かれた古代ローマについて著作は、だいたいが読む価値があり、興味深いものが多いし、実際に読んでも楽しいのだが、この本に限っていうならば、しょうもない本というのが私の感想である。
東への航海中、貴妃は病を得、日本に漂着後、まもなく死亡した。
本書はドイツでのラジオ放送との共同企画で書かれた1冊の本を分訳したものの一つであり、「中世人の権力」「中世の聖と俗」の残り2冊を合わせた3冊で一つのものとなる。
自宅から3駅離れた図書館に、寄った時に見つけた一冊。ちゃんとした怪談ないかなあ~って思って探してたら、あった&あった! こいつはなかなか本格派でいけますよ、こりゃあ。珍しく荒俣氏が硬派のお仕事されてる(最近、トリビアとか軽めが多かったので)。荒俣氏の面目躍如たる、資料も充実。奥が深いものをじっくり味わえて楽しめる怪談です。
しかし、シバの女王とソロモン王(左のステンドグラスの絵)のロマンスや、国王以外の王族は謀反やクーデターを恐れて山に幽閉する話、女が戦死となって戦うアマゾネスの国の話、王国内では塩が貨幣代わりで物々交換主流であり、定番の金がうなるほど豊富にある話とかは、興味をそそりますねぇ~。あと、エチオピア王への贈り物として、同時に使いの者達の旅費として胡椒が珍重され、用いられていたことなんかも興味深いです。胡椒一粒と金が同じ重さの価値があったというのが、まさに事実なんだなあ~っと実感できます。無味乾燥な歴史の教科書では感動も何もないんだけど、やっぱり体験談は違いますね!