2018年04月03日

「本日記」坪内 祐三 本の雑誌社

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以前にこの著者の書かれた本に関する本がそこそこ面白かったので、著者に釣られて読んだ本。

本の雑誌に掲載されていたコラム(?)をまとめたものらしい。

うん、内容は勿論無い。基本的に著者の日常生活を本をキーワードにしてメモ書き風に書いた日記形式のもの。

本に関していうものの、必ずしも『本』と関係あるのか?という疑念を頂かせつつもすぅ~っと読ませてしまうのは一つの魅力なのかもしれない。でもね、申し訳ないけど、私には興味のない事柄が9割以上かもしれない。

但し、それでいて単純につまらないと言わせない点が逆に凄かったりする。
電車か何かに乗っていて、とりとめもなく時間潰しに車窓を眺めながら、読んだりするのにはいいのかもしれません。最近、電車旅してないなあ~。

二日前に新しい車が納車され、その最近の車の性能の凄さに驚かされながら、しばらくは車漬けの日々が始まりそうな予感を覚えたりする。本書とは関係ないんだけれど・・・。

さて、本書は本の周辺で生活している方のまさに周辺の出来事を綴ったものかと。
続きをあえて読みたいとは思いませんが、まあ、パラパラと眺めてもしいかもしれません。読み終わったら、すぐに手放して良い類の本ではありますが、嫌いではありません。

本日記 単行本(amazonリンク)

ブログ内関連記事
「古本的」坪内 祐三 毎日新聞社
「新書百冊」坪内 祐三 新潮社
ラベル:書評
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2018年03月11日

「本の文化史」庄司 浅水 雪華社

その筋では有名な庄司 浅水氏の本。

でもねぇ~、時代のせいですかね?
今から読むと内容は薄っぺらな感じが否めません。書物の敵は抄訳だしね。普通に全訳を読んだ後、読むには及ばないしね。

文化史自体もその類の本を何冊も読んでるうえで読むと、広く浅く、特に内容の浅さが半端ないような・・・。

一番頂けないのは、誤字の多さ。
昔のエロ本並の誤字の多さで本の文化史のタイトルからすると、情けないの一言に尽きる。
文字校とかやってる?つ~か、これで著者校やってたら冗談で終わってしまいそうなくらいの酷いレベルです。

普通の本でもこれだけ酷いのは、過去に見たことないぐらい。
出版社、印刷所どこだよ~(苦笑)。

手元に残しておく価値はないですね。すぐに売り払う予定。
【目次】
Ⅰ本の文化史
Ⅱ書物の敵
Ⅲ愛書異聞


本の文化史ーブックアラカルト(amazonリンク)
ラベル:書評
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2017年08月27日

「本屋の雑誌」本の雑誌編集部 本の雑誌社

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本屋さんの仕事に関するアレコレがもう、ぎっちりと書き込まれている感じの内容ですが、一読者としてはどうでもいい内容で、薄っぺらな感じです。

ぶっちゃけ、興味無いです。
書店や書店員さんの業務とかって。

書店の人に本の事を聞いても、期待できるような価値ある意見が聞けると思ったことないですし、聞けたこともないし、そもそ書名も知らない場合が大半なので、購入する際に決済してもらうぐらいしか、役割を感じられないというのがあったりする。

まれに努力して工夫されている書店で、思いもよらなかった本をPOPやレイアウトで知る、なんてこともかつてはあったけれど、ここしばらく新刊書店で新鮮な驚きに満ちたような経験をしたことないなあ~。

本書も飛ばし読みしたのですが、それでも読むところがほとんどありませんでした。
つまらない本でした。
【目次】
カラーグラビア 読む書店 1
「当たり前」に客がつく本屋〜三月書房、往来堂書店〜 9
おじさん三人組+マドンナ 京都のあこがれ書店へ行く 14
語られて来なかった本屋について語るとき〜福井武生市の本屋と地域の共生〜 紀伊國屋書店福井店◉大矢靖之 20
図解 書店の裏側 幸福書房【渋谷区上原】 文・絵◎鈴木先輩 26
2014年カバー折り板の旅 杉江由次 28
【私の本屋履歴書】辻村深月 「岡島」の本屋さん 34
【私の本屋履歴書】大森 望 高知〜京都〜西葛西の書店道 36
【私の本屋履歴書】大矢博子 棚をおぼえている 38
【私の本屋履歴書】鏡明 本屋へ行くという日常について 40
二代目本屋の記録❝15年目になりました❞ 伊野尾書店 伊野尾宏之 42
本屋のランチはカレーだろ! 三省堂書店有楽町店 新井見枝香 44
ウキウキ本屋さん 紀伊國屋書店浦和パルコ店 長島千尋 46
女子書店員の理想の制服とは!? ☆T頭S子 48
本屋さんのカバー・カタログ~書皮にまつわるエトセトラ どむか 50

インタビュー構成 いま書店界を震撼させる「青木まりこ現象」の謎と真実を追う!! 60
書店はとてもエライのだ椎名 誠 75

特集 書店を愉しむ
「本の新聞」は面白かったと思う。どんな人たちがいかなる思いで作っていたのだろうか。 那波かおり 82
〜ぶらりドキュメント〜小田急線玉川学園前徒歩10秒大塚書店を訪れる 藤代三郎 87
書店開店どたどた顚末記 木戸幹夫 90
発作的座談会 本屋入場料30円説 椎名誠・沢野ひとし・木村晋介・目黒考二 101
中野区59書店どかどか駆け歩きルポ 本屋さんは入ってみなければわからない! 104
座談会「書店員王」選考基準をつくる 110
前代未聞! 深夜10時のサイン会に客は来るか 116
丸善には今もレモンが置かれているか 118
取次の店売で「サルまん」を取り放題の午後 120
海外文学棚今昔 田口久美子 122
書店員匿名座談会 こんな本はキライだ! 125
ミステリー専門店6カ月奮闘記 茶木則雄 127
書店員の読んだフリ術 梅田 勝 132
乙女派書店員レポート 『星のあらびき』ってなんの本!? 高頭佐和子 134
棚卸しは書店の"お祭り"である 柴田良一(小倉・金榮堂) 136
書店員匿名座談会 21世紀の書店は古本屋との複合化だ! 138
前代未聞 『本屋プロレス』の全貌 伊野尾書店 伊野尾宏之 142
特集 本屋さんが捨てるもの 149

店長の星 ケン46 156

特集 書店員・浅沼茂の研究 210
本屋さん春秋 書店員が思わずカーッとなるとき...... 田口久美子(リブロ渋谷店) 215
「吉本隆明」黄金配列之図 井狩春男 216
日本初!? 天文台のある書店が東京東久留米にあったぞ! 218
有隣堂アトレ恵比寿店では恥ずかしい本が買えない!? 220
早朝の取次トラック便を追跡して都内を駆け巡る 222
書店カバーをかけない客はえーい、13%である! 224
炎の営業レポート 2010年カバー掛けの旅! 杉江由次 226
各地の書店を見る 中村文孝(西武ブックセンター池袋店) 232

特集 立ち読みの研究 234
かしまし書店員匿名座談会 立ち読み十二か条をつくる! 234
座り読みの人は何を読んでいるのか!? 240
村上春樹『東京奇譚集』立ち読み完全読破に挑戦 243
ハチクロ応援団「自腹ʼS」登場! 245
池袋ジュンク堂書店単独完全登攀記 そこに書店があるから登るのだ! 杉江由次と本の雑誌特別取材班 247
書店員匿名座談会 新・買い切り制のすすめ 250
乙女派書店員レポート/本屋特集8誌読み比べ! 「ミスター本屋特集」は幅允孝氏だ! 高頭佐和子 253

特集 本屋さんに行こう! 258
僕が本屋をやめたわけ インタビュー 渡辺富士雄 258
全日本最優秀書店賞の選考基準を考える 261
鹿児島の熱い夏 向原祥隆 267
田中店長の行方不明と怖い客 杉江由次 270
ネット21の挑戦 田中淳一郎(恭文堂書店) 272
まんが専門店「わんだ〜らんど」は7年目を迎えました 南端利晴 273
来週返す本の棚を新潟で発見 275
全日本書店員が選ぶ賞を作ろう! 276
書店発、驚異のベストセラー 278
改造案スペシャル 書店員の給料を3倍にせよ! 279
書店観察学 斎藤一郎 282
書店員匿名座談会 こんな出版社はキライだ! 288
出版営業匿名座談会 こんな書店はキライだ! 291
立ち読み客はどのくらい本を買っていくか 294
書店員緊急座談会 「本屋さん大賞」を作ろう! 297

特集 町から本屋が消えてゆく!? 304
最終日密着ルポ 海文堂書店の長い一日。 青山ゆみこ 304
かつてそこに本屋があった 本屋地図の変遷 銀座・飯田橋・町田 杉江由次 312
町の本屋はむしられっぱなし 永江 朗 315
北書店の三年半 佐藤雄一 317
くすみ書房の絶えざる挑戦! 黒田信一 319
本屋さんが好きだ! 座談会 井上理津子、島田潤一郎、朴 順梨 321
実録ルポ 浜本茂、一日書店員になる! 327
理工書の売り場から 矢寺範子 330

特集 発症から二十八年「青木まりこ現象」を再検証する! 332
識者の意見 便意という「拘束」からの「解放」。 茂木健一郎 (脳科学者) 337
「大便禁止モード」を考察する 春日武彦 (精神科医) 338
六年生が古い書店で催すようになったわけ 藤田紘一郎 (寄生虫学博士) 340
尿意も忘れるな! T頭S子(書店員) 339
二十八年目の真実 おじさん刑事三人組、謎を解明! 341
そのとき本屋はどうなるか 児玉憲宗 347
実録社史 幸福書房の三十四年 岩楯幸雄 349
オンライン書店奮戦記 平林享子 351
ネット書店員匿名座談会 もっとプロモーションに使ってくれえ! 354

本屋の歴史 永江 朗 360
書店員人生すごろく 富容久 364
書店員匿名座談会 理想の本屋を作ろう! 366
読み切り 4コマ漫画 ホンヤのホ!! 高倉美恵 374
大澤先生のこと 忍書房 大井達夫 376
書店員の日々 正文館書店本店 清水和子 378
【私の本屋履歴書】新元良一 ニューヨークの思い出 380
【私の本屋履歴書】浜本茂 森文化堂と佐藤泰史 382
【私の本屋履歴書】浅生ハルミン 別所書店のこと 384
【私の本屋履歴書】坪内祐三 あの頃、高田馬場の新刊書店 386
本屋の一年 児玉憲宗(啓文社) 388
書店員はPOPを破り捨てる勇気を持て 坂本両馬 392
社食バンザイ! ランチ一週間in八重洲ブックセンター 宮里 潤 397
本屋好きが読む〈本屋本16冊〉本屋が好き、空虚が好き 北條一浩 400
あんまり役に立たない 本屋用語集 内田 剛(三省堂書店神保町本店) 404
本屋の雑誌 (別冊本の雑誌17)(amazonリンク)
ラベル:書評 雑誌
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「オックスフォード古書修行」中島 俊郎 エヌティティ出版

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まあ、読んでて悪くないし、興味を惹く話もパラパラあるのですが、高宮氏の同系の本と比べると、正直さして興味が湧くような魅力的な本との出会いがある訳でもない感じです。

私自身の興味の対象外の本、というのが一番の理由なので、好きな人ならもっと楽しいのかもしれません。

個人的には特に読まなくても良かったかも?
【目次】
はじめに──古書の花咲くオックスフォード
第1章 いざ出陣──挿絵本は不滅なり
第2章 信じられない成果──婦人雑誌は花ざかり
第3章 善戦また善戦──ナンセンス詩人はいずこへ
第4章 武器補充──レシピ本は笑う
第5章 しばし休戦──寿司をつまむゲーテ
第6章 接戦の末──ワーズワス、おおいに歩く
第7章 矢も尽き刃こぼれ──本は自転車に乗って
第8章 あやうい勝利──秘密は「蜜」の味
第9章 戦い終えて──翻訳三大噺
結びにかえて──遥かなるオックスフォード
オックスフォード古書修行―書物が語るイギリス文化史(amazonリンク)
ラベル:古書 書評
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「蔵書一代」紀田 順一郎 松籟社

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あの読書人の著者がまさか生前に蔵書を手放されるとは思いもよりませんでした。
ご自身が経験された蔵書維持、管理、引継ぎ、売却に至るまでの苦悩の経過を描かれています。

そして、その経験を踏まえて蔵書に関する様々な話を書かれています。

但し、個人が集めた蔵書であっても残す価値があるものは、文化として公的な支援を要する・・・というのはやはり申し訳ないが理想論に過ぎるかと。バブル時代の夢を引きずり過ぎでしょう。

ただでさえ、大学でも文科系の予算が切り詰められ、人員や経費が削減されているおりもおり、所詮は何もかも自己責任でやるしかないと思います。

実際、著者も最終的にはそうされているのに、他力本願的理想論(希望論)は、かなり違和感を覚えました。

いつの時代もどんな王侯貴族でさえも集めた財(貴重品、蔵書、資産等)は散逸するのが時の習いですから。

逆に、本が売れた幸せな時代を生きられて羨ましいなあ~と思いました。
好きな企画を立てて、それが通って、それでお金が稼げるなんて、幸せな時代ですよね。
まあ、人を羨んでも仕方ありませんが(苦笑)。

そういった思いは別として、蔵書を持つ人には他人事ではない、切実な悩みが本書を読むと共感します。
勿論、そんなに冊数の多い蔵書を持っているわけではありませんけどね。

今も本棚の文庫本の整理してるだけで腰痛くなってきたし、買うのはやっぱり控えねば。

自宅購入して引っ越してきた際にも本は厳選して不要な分は20~30箱以上、売り飛ばしてだいぶスリムになったのですが、また増殖してきた・・・・ふう~、困ったもんだ。

図書館を利用して極力抑えてもいい本だったら、結局買ってしまうからなあ~。
まあ、本書を他山の石として、本は自分で管理できる範囲にしようと強く思った次第です。

著者の意見に同意はしかねるものの、実に興味深い本でした。
蔵書家だったら、一読しておいてよいかもです。
【目次】
序章 “永訣の朝”
第1章 文化的変容と個人蔵書の受難
第2章 日本人の蔵書志向
第3章 蔵書を守った人々
第4章 蔵書維持の困難性
蔵書一代―なぜ蔵書は増え、そして散逸するのか(amazonリンク)
ラベル:蔵書 書評
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2017年07月17日

「立花隆の書棚」立花 隆 中央公論新社

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う~む、つまんない書庫(書棚)の本を読んでいて、飽き飽きしていたのでもっと面白い本棚の本、無いのかなあ~と思っていた時に見つけた本です。

著者の立花氏が書かれた本は何冊か読んでいて、若干の予備知識はあったものの、この人、ここまで知的好奇心というか知的欲求水準の高い人であり、しかも行動力(実践力)のある人だとは知りませんでした。

中世哲学にも関心を持っているのは知っており、中世哲学関係の他の人が書かれた本に、中世哲学をやるうえで原典にあたる為に必要な最低限度の語学力としてラテン語・古代ギリシア語が必要であり、イスラム圏経由での文化流入経路からアラビア語も大切とかというのは知っていましたが、著者、ラテン語やギリシア語をやっている他、アラビア語、更にはペルシャ語までやってるって・・・! えっ!

いや、古代ペルシア帝国の重要性の認識も素直に初めて知りましたが、ペルシア語までやらんでしょ、普通。

勿論、一次資料の最重要性は十分わかってはいるつもりなのですが・・・。
フランス語での資料本さえ、読めるようになろうと思っていてフランス語さえ習得どころか勉強さえしていない自分の努力不足を恥じ入るばかりです。興味を持って、勉強したいと思うなら、それぐらいやらなきゃですよねぇ~。言い訳ばかりの自分が恥ずかしいなあ~ホント(赤面)。

それにヘブライ語の聖書を持っていて読んでいるとか・・・。
イスラエル企業に勤めてたうちの奥さんだって、ヘブライ語なんて出来ないのに・・・。

さて、本書ではかなり良く出来ている書棚の写真がたくさん&たくさん入っている。
全体像が分かるように、且つ細部の書名や置いている状況が伝わるようになっている。
棚別に個々に撮影したものを更に結合して、加工し、一つものとして見せるべく相当な労力を払っているそうです。

ただ・・・個人的には写真は勿論、良いと思うのですが、本書の内容には気付かされる事、新たに読んでみたい本の発見など、実に個人的に参考になることが多かったです。
本書は図書館で借りて読んでいたんですが、これは購入予定。
手元に置いておくべき本ですね。

そうそう、脳とか宇宙とか科学関係の方面に明るい印象のある立花氏ですが(田中角栄研究とか、なんでも興味を持って調べる人であるのと並行して)、神秘主義にも関心があるというのは意外でした。

新プラトン主義のプロティノスまで出てくる~。
その関連で書かれた以下の記事もそそります。
プロティノスと神秘主義で思い出すのは井筒俊彦先生のことです。
・・・・
肩書に慶應義塾大学助教授とあったので知り合いの慶應の人に聞いたら「あと人は語学の天才で、ギリシア語、ラテン語はもちろん、ヘブライ語からアラビア語、ペルシア語まであらゆる言葉ができる人なんだけど、イスラム哲学の研究で有数の学者になってカナダのマクギル大学に行ってしまった。今はイランの王立哲学研究所にいるらしいよ」という話でした。
・・・・
イランではペルシア哲学を論じてこれだけの学者は世界中どこにもいないということでパーレビ国王から研究所を一つ作ってもらうほどの、大変な厚遇を受けて、当分日本に帰るつもりはないようだとも聞きました。
・・・・
この頃、ぼくはアラビア語の勉強を始めようかと考えており、古本屋で「アラビア語入門」(慶應出版社)という本を買ったら、これまた著者が井筒俊彦とあるのでびっくりしました。
・・・・
この本は創設されたばかりの慶応義塾語学研究所が発行する語学入門叢書の一冊目にする予定であり、引き続いてヘブライ語、シリア語、ペルシア語、トルコ語などの入門書を出していく、それを全部井筒さんが書いていく予定であるということでした。そんなことが一人でできるのだろうかとびっくりしました。

91-93年「井筒俊彦著作集」(中央公論社、全11巻+別巻1巻)。ちょいメモ。

あとね、キリスト教を理解する為には正典だけではなくて外典や偽典が必要とか、ラテンアメリカを理解する為に、ラテンアメリカにおけるキリスト教布教歴史を知ることが必要になり、そこで土着信仰を取り込んだカトリックの理解にはヨーロッパの聖人伝説「黄金伝説」の重要性が説かれています。

いやあ~うちのブログでも「黄金伝説」は何度か採り上げてるけど、あれ、最高ですし!!
英語のやつと人文書院のもの、平凡社で出たやつも持っているし、当然、読了済でしょう(笑顔)。

しかし、あの立花氏は黄金伝説まで守備範囲とは・・・。
本書ははマリア伝説や黒い聖母まで出てきます。そして、そこで書棚に写っている本はうちの本棚にあるのがゴロゴロ出てきてます(笑)。う~既視感が・・・。

グアダルーペの聖母とかアルテミス信仰とか・・・って、もう~。
シャルトル大聖堂の地下に入って、カエサルのガリア戦記に出てくる聖なる泉の跡まで訪れた私にはご褒美的な何かかと(笑顔)。

著者のバランス感覚の良さについつい惹き込まれます。

あとね、偽書を楽しむって・・・古史古伝まで著者の関心の範囲なんですね。
竹内文書や東日流外三郡誌まで出てくるとは思いませんでした。
私も実は嫌いじゃなかったりする。
偽書「東日流外三郡誌」事件(新人物往来社 2006)
・・・・
綿密な取材に基づいていてこの偽書がどのようにして生まれたのかをわかりやすく解説してきます。偽書が作られた現場をちゃんと押さえてどういう人間がこれをやったのかと解明してしまうのですからこれは見事な説得力をもっている本です。

 
田中角栄や日本共産党の研究の話も面白いですねぇ~。
実は田中角栄さん関連の基本書中の基本書である立花氏の田中角栄本、まだ読んでなかったりする。
これは一度読んでおくべきでしょうね。やっぱり。改めて痛感しました。

そうそう、本書には意外なことが次々で出てくるのですが、ブルゴーニュに家持っていて一時、毎年行っていたって・・・。

「中世の秋」のホイジンガが描く以前のブルゴーニュって、よくまあそんなことが書かれた本まで知っているんですねぇ~。「ブルゴーニュ公国の大公たち」(J・カルメット 国書刊行会 2000)。

ベルギーとか行くまで、あまりに物を知らなかった私ですが、このブルゴーニュ公国の歴史とかを知らないとヨーロッパを理解できないっていうのは、なるほどねぇ~と思いますね。ホント。

そうそう、そのブルゴーニュ繋がりでえっと!と思ったのが、立花氏って絵画にも関心があったってこと。
正直、本書を読むまではそういう芸術方面には全く関心のない人だと勝手に思い込んでおりました。

ヤン・ファン・エイクの「ゲントの祭壇画」を観にゲントへ実際に行ってきたそうです。
本書の中でも紹介されたましたが、「フランドルの祭壇画」に書かれているのを読んで行かれたそうです。
私もその本を読みましたが、いい本をよくご存じですよねぇ~。改めて感心することしきりです。

さらに、私も現地に行って絵を見て初めて知った画家ファン・デル・ウェイデンも好きとか・・・もう、それだけでも脱帽ですね。

私がベルギーの王立美術館だったかな、行った時はちょうど新国王即位に合わせて世界中の高名な美術館に散らばっていたファン・デル・ウェイデンの作品を集めて特別展を開いていて、そこでそうそうたる作品群を観たのですが。本当に素晴らしかったです。

日本ではそれほど知られていないと思いますが、本当によくご存じです!!

あと立花氏はラファエル前派もお好きだとか。
バーン・ジョーンズよりロセッティが好きな私ですが、結構、趣味が近いかもしれませんね。
ロンドンでいろいろ観た時のことを思い出します。

あと、本書に出ている中世思想原典集成。
これ、私も全巻揃いで購入しておこうと思っているやつ。しっかり、揃えておくと便利なものとして紹介されてますね。値段よりも場所を取りそうでなかなか購入に踏み切れないでいましたが、長い休みをもらってようやく書庫の整理も出来てきたのでそろそろ購入したいですねぇ~。

全巻読む時間を取れるかが問題ですが・・・・(笑)。

他にも次から次へと興味深い内容が盛り沢山で書かれています。
私が大好きだったNHKスペシャル「人体の小宇宙Ⅱ」の監修をしていたのも立花氏だったんですね。相当、好きだったのですがその事実を全く知りませんでした。

写真家のアラーキーと高校時代の同級生って、なに?

原子力関連の安全性の話も実に興味深かったです。
友人にその方面の関係者がいるので、今度聞いてみたいですね。その辺について。

とにかく著者の関心の広さと共に、そのジャンルの実に良い本を選んで読まれているので自分の関心と重なるところがあれば、必ず自分の読書の役に立つヒントを得られること間違いなしかと。

私はあまり知らないし、そこまで手を伸ばす気もないので何とも言えませんが、『脳』や『宇宙』とかそういった関係についても熱く語られてます。そちらも面白そう。

本を読む人にとっては、どんな人にでも何か得られるものがある本だと思います。
個人的には、かなりお薦めです。
ただ、読まなきゃいけない本がまた増えてしまうのだけが困りものかも~(嬉しい悲鳴!)。
【目次】
まえがき
第一章 ネコビル一階
「死」とは何か
自分の体験から興味が広がる
日本近代医学の始まり
分子生物学は、こんなに面白い
春本の最高傑作
伝説の編集部
不思議な人脈
中国房中術の深み
フロイトはフィクションとして読む
サルへのインタビューを試みた
河合隼雄さんとの酒
アシモはラジコンに過ぎなかった
人間の脳とコンピュータをつないでしまう
医療、介護から軍事まで
原発事故現場に入ったロボットがアメリカ製だった理由
最初はアップルのMacを使っていた
ネットの辞典は使わない
汚れたラテン語の教科書
役に立つシソーラス
虫眼鏡より拡大コピー
ポパーの主著が見つからない
お坊さんで科学者の偉人
古本屋の商売
とにかく脳のことはわかっていない
壊れた脳がヒントになる
医学系の心理学と文科系の心理学がある
レポートそのものが売り物になる宇宙モノ
嘘が面白い
ブッシュの一日
アメリカにおける原発開発ブーム
最新の原発技術
東電ではなくGEに損害賠償を要求すべき
原発の安全性を証明する事件になるはずだった
太陽光発電の可能性
研究の自由は、現代社会で最も重要なもの
キュリー夫人の国
原発研究に積極的なロシア
中国が原発大国になる

第二章 ネコビル二階
土着宗教としてのキリスト教
真言宗の護摩焚きにそっくりだと思いました
聖母像の秘密
マリア信仰
寝取られ男ヨセフ
黒いマリア
日本とイエズス会宣教師の深い関係
現地人と親しくなるコツ
殉教者の歴史
インカの血統
偽書を楽しむ
途切れた天皇の系譜
自著はあまり読み返さないけれど

第三章 ネコビル三階
西洋文明を理解するには聖書は必読
個々の文章を読み込んでいくこと
神の存在を素朴に信じるアメリカ人
アーサー王伝説
本は総合メディア
イスラム世界を「読む」
神秘主義
井筒俊彦先生との出会い
ルーミーの墓所
コーランの最も有名なフレーズ
『古事記』『日本書紀』以外の系譜
パワースポットの源流
神、キリスト、そして聖霊
巨石文明とヴィーナス信仰
メーヌ・ド・ビランと日本の出版文化
ソクラテス以前の哲学
フリーマン・ダイソン
地球外生命体は存在する!?
困ります、岩波さん
ファインマン最大の仕事
くりこみ理論
科学を「表現する」天才
科学は不確かなものである
サイエンスについて語ることの難しさ
現実では起きないけれども……
アインシュタイン最大の功績
レーザーの世界
日米、「光」の競争
タンパク質の構造解析

第四章 ネコビル地下一階と地下二階
自動排水装置
取材は「資料集め」から
明治維新について書くなら必須の資料
貴重な『Newsweek』
大学は「自分で学ぶ」ところ
保存できなかった農協関係資料
本を書いた後に、資料が増えていく不思議
石油から、イスラエルと中東問題へ
モサドのスパイ、エリ・コーエン
本には書いていないエルサレム
パレスチナ報告
科学史が重要なわけ
日本の航空機製造の元祖
郷土史研究の名資料
野坂参三の秘密
重信房子に接触を試みた
ゾルゲと日本共産党
警察資料まで売っている古本屋
雑誌はなかなかいい資料
連続企業爆破事件はまだ終わっていない
機関誌へ寄稿していたビッグネーム
アメリカの新聞も危ない
西欧諸国における下水道の意味
スターリンとは何だったのか?
プーチンは帝国を作ろうとしている
旧岩崎邸の地下で起きた事件の真相
ぼくが煙草を吸わない理由
半藤一利さんと田中健五さんにはお世話になった

第五章 ネコビル階段
ブルゴーニュからヨーロッパを知る
近代国家の枠組みを相対化する
書棚は歴史の断面である
ゲーデルの功績に有用性はあるか
アジアは単純ではない
教科書的な本をまず手にとる
宗教学者としてのマックス・ウェーバー
政治家の質を見分ける本
親父の形見
政治家の自叙伝

第六章 ネコビル屋上
コリン・ウィルソンの多面的世界
男はみんなスケベだ
埴谷雄高の思い出
転向者の手記
共産党から連日のように批判記事を書かれた
火炎瓶の作り方
ワイン作りの思い出
その「赤い本」の日本語版

第七章 三丁目書庫+立教大学研究室
お気に入りはバーン=ジョーンズ
ロンドン風俗のすべてが描かれている
日本にも大きな影響を与えたラファエル前派
死ぬ前に見ておきたい絵
今、アメリカで最も有名な中国人画家
人間が人間を表現するということ
一休と森女の謎
日本の三大バセドウ病患者
「汝の欲するところをなせ」というタイトルのビデオ
携帯の電波が届かない執筆スペース
大学の教養課程で教えるべきは、「脳」について
どうしようもない人のどうしようもない本
特別な写真家土門拳
春画でも最高峰の葛飾北斎
錦絵なしに歴史は語れない
原書房の独特なラインナップ
角栄について新しいことが書かれた本はもう出ない
もう一度音を鳴らしてみたい
学生時代は映画館に入り浸っていた
河出書房の意外な姿
ヨーゼフ・ボイスの不思議な仕事
日記からわかる明治維新
新聞凋落!?
彼らにはたしかに「勢い」があった
古書店の在庫目録
昭和史の資料と戦闘詳報
伏字だらけの日本改造法案
盗聴と二・二六事件
ブーガンヴィルと啓蒙思想
キリスト教の歴史を知るための基礎資料
歴史は「今」から逆戻りで学ぶべき
時代が変われば、本を置く場所も変わる
立花隆の書棚(amazonリンク)

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あの黄金伝説が平凡社より復刻された!!
「黄金伝説1」ヤコブス・デ・ウォラギネ著 前田敬作訳 人文書院
The Golden Legend: Readings on the Saints 「黄金伝説」 獲得までの経緯
「フランドルの祭壇画」岡部 紘三 勁草書房
「危険な歴史書「古史古伝」」新人物往来社
「Flemish Miniatures from the 8th to the Mid-16th Century (Single Titles in Art History)」Maurits Smeyers Brepols Pub
「世界の名著 67 ホイジンガ」中央公論新~中世の秋
ラベル:書評 本棚
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2017年07月10日

「松岡正剛の書棚」松岡 正剛 中央公論新社

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書棚を編集・・・う~ん、写真見てもごちゃごちゃしているだけで個人的にはイチイチ一冊ずつの書名まで見る気になりません。一瞬、全体像を見て、見難い本棚。
カテゴリーが感覚的に把握できない本棚っていう感じしか受けませんでした。

写真とは別に書名の列挙と簡単な内容説明の列挙があるのですが、これも私個人には意図が不明です。

カテゴリー別に全部の書名を列挙するなら、分かりますし、むしろその方がはるかに感じるところがあるかもしれませんが、一部の書名列挙と簡単過ぎる説明なら、説明なんて省き、書名の全列挙により、分かる人分かる、そんな思い切りがあった方が意義を見出せそうです。

逆にいうと、このムックの編集自体がナンセンス且つ無用の長物かと。

普通の個人の本棚を紹介する方がよっぽど興味深くて面白いですが・・・。
ありきたりではあるが、それが定番且つ王道故の新鮮味の無さかもしれませんが、無理して特徴を出そうとしてかえって、失敗している例かと。

対談も何の意図があるのか分かりませんし、カテゴライズの趣旨も分かりません。
まあ、私の頭が古いのかもしれませんが、単純に面白い本をその人なりの考えで分類した個人の本棚の方がよほどそそられます。

そういうのを期待して手に取った私の選択ミスですが、内容の無さもどちらにしてもミスですねぇ~。
本書に出てくる本のジャンルは多様で私自身が読んで面白かった本などもパラパラとはあるのですが、説明も残念かなあ~。もし読んだことなくて、この説明を読んでも読もうとは思いません。

そういう意味でも私的には何も役立たない本でした。
実際、飛ばし読みしつつ、少しでも関心を惹くことないかなあ~と思ったのですが、正直、意味わかんないという感想しかありませんでした。
【目次】
本殿第1章 遠くからとどく声
本殿第2章 猫と量子が見ている
本殿第3章 脳と心の編集学校
本殿第4章 神の戦争・仏法の鬼
本殿第5章 日本イデオロギーの森
本殿第6章 茶碗とピアノと山水屏風
本殿第7章 男と女の資本主義
本集01 season 01 日本が変わる
本集02 season 02 男本・女本・間本
松岡正剛の書棚―松丸本舗の挑戦(amazonリンク)

ブログ内関連記事
「センセイの書斎」内澤 旬子 河出書房新社
「私の本棚」新潮社
「カルトな本棚」唐沢 俊一 同文書院
「本棚が見たい!」川本 武 (著) ダイヤモンド社
「本棚の歴史」ヘンリー ペトロスキー 白水社
「清く正しい本棚の作り方」(TT)戸田プロダクション スタジオタッククリエイティブ
ラベル:書評 本棚
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2017年05月18日

「古本道入門」岡崎 武志 中央公論新社

確か著者の本を以前読んであまり面白くなくて、もう読まない、とか書評に書いたことがあったような気がするけれど、古書関係の本を読みたくて他のが適当に見当たらなくて選びました。

う~ん、読んでみると・・・やっぱりほとんど知っていることばかりですし、掘り下げ方も正直それほど深くなくて、もっとあるでしょう・・・とか読みながら一人ツッコミを入れたくなってしまう。

紹介される本もなんだかね。
個人的に興味無いし、やっぱり薄っぺらに感じてしまうのですが・・・。

但し、ブックオフの直営店とフランチャイズ店との値付けの違うなどは知らなかったのでそこは勉強になりました。あと・・・自分の行っているお店が何店か紹介されていたので意外でした。

勿論、神保町のお店は別としてですが・・・。

最近は、高田馬場や神保町で古書店巡りしてもそれほど目新しいもの見つからないんですよね。
たまにあってもあそこは高いので、ネットで検索してどうしても安いところで買ってしまったりする。

特に洋書だったら、海外のAmazonの古書を買った方がshipping込みでもそちらの方が安いからねぇ~。
最近は円高じゃなくなってきたので微妙になってきてはいるものの・・・。

ブックオフせどりも本書が書かれた当時は流行っていたみたいですが、参入の容易さから素人参加が増え過ぎて価格競争が激化した結果、労力に比して利益が出せなくなり、にわかせどり師がだいぶ淘汰されたんじゃないでしょうか、今は。

一時はヤフオクやAmazonのマーケットプレイスで投げ売りしてましたもんね。
まあ、私も要らない本の処分として一時やってたことありましたが、今は面倒でする気もないですし・・・。


【目次】
第1章 いま、古本屋がおもしろい
第2章 本じゃなくても古本だ―重文級からハルキまで
第3章 オカザキ流、古書の森のさまよい方
第4章 世界一の古書街「神保町」ガイド
第5章 全国8大おすすめ古本町
第6章 ブックオフの使い道
第7章 即売展のたのしみ
第8章 古本を売る、店主になる

古本道入門 - 買うたのしみ、売るよろこび (中公新書ラクレ) (amazonリンク)
ラベル:書評 古書
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2017年04月27日

「ほんほん本の旅あるき」南陀楼 綾繁 産業編集センター

一箱古本市で有名な著者が全国のあちらこちらに『本』をキーワードにして旅というか、訪れたエピソードを語ったもの。

もう少し本自体に触れた話もあるかと思ったのですが・・・所謂、古書にまつわる話とかそういうものはありません。町おこしに関連して「一箱古本市」みたいなのやりませんか? っていうことでお仕事絡みの単なる出張に際しての覚書といった感じの内容です。

「本」を縁とした人の繋がりで地域が活性化されるのは結構だと思うのですが、古書関連の興味で本書を読もうとするなら、やめた方が良いでしょう。

古書に関する話は本当に皆無に近い状況です。

また・・・本としてはあまりにも紙質が悪くないですかねぇ~。
再生紙か何かでしょうか?
すぐにボロボロになりそうな紙に小さいカラー写真が時々入っているのですが、正直、小さいし、あまり意味が無いのでせっかく写真を入れるなら、もう少し大きいものではないと思いました。

正直、プロの方がされているのとは思えません。
あえて意図されているのかもしれませんが、この内容、この『物』としての本に対してこの価格設定は納得できません。自腹では購入する気になれないと思います。

ただ・・・1点だけ本書を読んで私には意味のある情報がありました。
高田馬場にある崩壊仕掛けたまま何十年もあった喫茶店「らんぶる」の話だけ、私には長年の疑問というか気がかりだったので、ちょっと感動しました。
【以下、抜粋】
その先に進み、「あそこにある店がね・・・」と同行者に云おうとして、その先が続かない。
店があるはずの場所が更地になっていたからだ。ココには崩れかけのボロボロの建物があり、<らんぶる>という喫茶店をやっていた。名曲喫茶なのになぜかラジオの相撲中継がかかっていた。タキシードを着たマスターがやってきて「コーヒーでいいね」と有無を云わせず、泥水のようなコーヒーを持ってくる。サークル仲間と授業のハナシをしていたら、マスターが「ぼくも早大の哲学科だったんだよ」などと割り込んでくる、ヘンな店だった。ずっと前から店はやってなかったが、それでも建物は残っていた。ついにそれがなくなかったのだ。
ここだけは私にとっては値千金、ってほどではないけれど、なんかずっと気になっていたので少しでも知ることが出来て良かったです。あとは・・・まあ、本書を読む必要は無かったです。個人的には。

【目次】
 盛岡(岩手県)
 秋田(秋田県)
 石巻・仙台(宮城県)
 新潟(新潟県)
 富山・高岡(富山県)
 津(三重県)
 鳥取・松崎(鳥取県)
 松江・隠岐(島根県)
 呉・江田島(広島県)
 高知・阿波池田(高知県・徳島県)
 北九州(福岡県)
 別府(大分県)
 鹿児島(鹿児島県)
 都電荒川線(東京都)
ほんほん本の旅あるき 単行本(amazonリンク)
ラベル:一箱古本市 書評
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2017年04月08日

「センセイの書斎」内澤 旬子 河出書房新社

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いろいろな分野の方の書斎を独特の味のある手書きイラストでイメージを伝えながら、その書斎の主にその人なりの書斎(蔵書)管理方法や考え方などをインタビューで伺い、紹介したもの。

趣味というよりは仕事で大量の本を使う方達が選ばれているので、結果として、本を資料として使用する、そういった点に重きを置いた蔵書管理法の話になっています。

人によっては資料として使う部分だけ切り取るとかコピー取るとか、あくまでも資料利用前提で蔵書ですらなく、資料管理法となっていたりする。

そういった点では、いわゆる読書好きとか古書好きの観点からすると、関心の対象のズレを多分に感じる内容となっています。逆に書痴対象ではなく、ビジネス書として読む方が良さそうな気がしました。

もっとも私的にはビジネス書や資料整理、資料管理法だったら、本書以外を読みたいと思いますけれど。

また、本来、この本のある意味一番のウリであるはずのイラストなのですが・・・私は文庫本で読んだので正直、イラストが小さ過ぎ、細かに書き込まれた文字もはなはだ読み辛く、せっかくのイラストが全然生きていませんでした。小さくてごちゃごちゃしていて、全然イメージが湧かず、むしろ文庫版の場合、削った方がいいかも?という感じさえしました。

だって・・・絶対にこれ文庫にしちゃいけないはずなのに・・・部数が出たから欲張って文庫にしたんじゃないですかねぇ~。全然、イラストの良さが伝わりません。とっても残念。

文庫版以外で読みたかったです。
でも、書斎関連の話を読むなら、本書よりは喜国氏の本棚探偵に出てくる話の方が何倍も面白いです!
書斎の本は他にもたくさんあるしね。そちらをお薦めします。

センセイの書斎---イラストルポ「本」のある仕事場 (河出文庫)(amazonリンク)

ブログ内関連記事
「書斎の王様」「図書」編集部 岩波書店
「私の本棚」新潮社
「本棚探偵の回想」喜国 雅彦 双葉社
「本棚の歴史」ヘンリー ペトロスキー 白水社
「清く正しい本棚の作り方」(TT)戸田プロダクション スタジオタッククリエイティブ
「本棚が見たい!」川本 武 (著) ダイヤモンド社
ラベル:書評 書斎
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2017年03月25日

「書林探訪」紀田 順一郎 松籟社

いつもの紀田氏の作品はもう少し面白いのだけれど・・・本書は面白くないです。
本や古書にまつわる興味深いが実生活には役立たなさそうな知的好奇心を満たしてくれる内容を今回も期待していたのですが、本書に関する限りはそれはなく、本好きでもどうでもいいような内容の話が多くて興ざめでした。

読むのは時間の無駄かと。
お薦めしません。
書林探訪―古書から読む現代 (amazonリンク)
ラベル:書評 古書
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2017年03月02日

「ヘンな本大全」洋泉社

う~ん、所謂トンデモ本とかそちら系の珍書の紹介本。

どんな本があるのかなあ~と思ったけれど、私の感性にはまるようなものはほとんど無かった。
書店で見かけてもまず、私なら手に取らないし、読もうとしないし、買ったり、借りたりしないであろう本ばかりでした。

1冊だけかな?
ちょっと見かけたら読んでみようと思ったのは・・・・。

「気違い部落周遊紀行」きだみのる 冨山房

これだけかな?
閉鎖的な村社会の実態を扱った本だそうです。
かつて、引っ越し先がそういった『村』だったことがあるので、他人事ではないような感じがして関心がわきました。これ、機会があれば読んでみようと思ってます。

あとはどれもちょっと・・・って感じですね。
あまり、面白い本の紹介はありませんでした。
【目次】
◆巻頭特集
・珍書大賞ハマザキカクが選ぶ珍書大賞2014
・ヘンな装丁20選
第1 章 ツッコまずにはいられない実用書
・石原壮一郎が選ぶヘンな人生相談本
・林 雄司が選ぶヘンなビジネス書
・北村ヂンが選ぶヘンな性愛本
【コラム】タイトルだけで即買い決定!! ヘンな書名本 とみさわ昭仁
・とみさわ昭仁が選ぶヘンなスポーツ本
・ヨシダプロが選ぶ ヘンな健康本
第2 章 奥深き専門書の世界
・石原たきびが選ぶヘンな酒本
・早川いくをが選ぶヘンな生き物本
・山﨑 龍が選ぶヘンなミリタリー本
・河本英夫が選ぶヘンな哲学本
・梅田勝司が選ぶ ヘンな宇宙本
【コラム】そっくりなようで実は個性派も ベストセラーあやかり本
第3章 この芸能本がヤバイ
・吉田 豪が選ぶヘンなタレント本
・吉田 豪が選ぶヘンなアイドル本
・辛酸なめ子が選ぶヘンなセレブ本
【コラム】書店で人目についてナンボ 書名パロディ本
第4章 可笑しなノンフィクション
・高野秀行が選ぶヘンな旅本
・北尾トロが選ぶヘンな犯罪者本
・とみさわ昭仁が選ぶヘンな成り上がり本
・かとうちあきが選ぶヘンなアウトドア本
【コラム】え? こんな装丁アリ? 不可能を可能にする装丁家・祖父江慎
第5章 ディープインパクトな趣味本
・呉 智英が選ぶヘンなマンガ
・下関マグロが選ぶヘンなフェチ写真集&イラスト集
・北尾トロが選ぶヘンな蒐集本
・天野 慶が選ぶヘンな歌集
【コラム】
・ヴィレヴァン現役店員がイチオシ POPでアピール ヘンな本
・邪馬台国から住職、下水道の世界まで 知られざる専門誌の世界  石原たきび
・オンリーワンが勢揃い ヘンなミニコミ  南陀楼綾繁
・珍書を世に送り続ける2 人が語る! “幻の珍書”企画会議  ハマザキカク×暗黒通信団
・マンガでわかる!「マンガでわかる」本がヘンだ  ヨシダプロ
ヘンな本大全 (洋泉社MOOK) ムック(amazonリンク)
ラベル:書評
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2017年02月26日

「怪書探訪」古書山 たかし 東洋経済新報社

本書は装丁があまりにもつまらなさそうで、全く期待せずに読みだしたのですが、どうしてどうしてなかなかに多彩な内容が詰まっていて、大変楽しく興味深く読みました。

署名本というのも、やっぱり惹かれちゃいますよね。
その署名の為だけにプレミアを付けた価格で売っているものを買うほど、欲しいのではないのですが署名があればやっぱり嬉しかったりします。

澁澤氏の署名や阿部欣也氏の署名とか、荒俣さんの本等、何冊か署名本持っていますが、その署名についての調査のくだりは好奇心をそそられます。

あと、著者は結構、書誌的な事にも関心があるようで本書の「楊牙児奇獄」の話とかは、その本自体には関心がないんですが、書誌的な話が非常に面白かったです。

他にもあっと驚くような奇抜な内容の所謂トンデモ本みたいなものから、正統派的な古書まで実にその関心の幅が広くて感心しちゃいます。

私も本なら何でも読む方ですが、ここまで関心の幅は広くないなあ~。
少しでも本に興味のある方なら、本書のどっかに面白いと思える箇所がありますので、読んで悪くないと思います。

ただね、平均して1日に3冊の本を購入って・・・。
いつ本を読むんでしょう???

勿論、古書好きにありがちなように全ての本を読んでいる訳ではなく、買うこと自体が耐え難い欲求になっていることも分かっているのですが、それでも・・・本、読み切れないじゃん!と思ってしまいます。

まあ、私も積読状態の本に囲まれながら、わざわざ図書館で本借りてきて、さらにネットやブックオフ、古書店で古書を買っているので偉そうに言えませんが、本の置き場所どうしているのか本当に疑問です。

私の場合、引っ越し後の荷解きに伴い、30~40箱分のもう読まないであろう本達を売り飛ばしましたが、売る一方で購入した本がその合間を埋めていくので早くも置き場所に困っている状況なんですけれどね。

ああ~古書店で本、買いたい。

そうそう、喜国氏の本棚探偵でもありましたが、本が手に入らないと自分で作っちゃうんだね。
やっぱり、本好きな人は!(と思っちゃいました)

私も気に入った本を2冊買って、1冊自分で装丁してみようかと思ったこともありましたが、着手していません。スマホケースは自作したのに・・・最近、なんかやる気がおきない・・・・orz。

まあ、家庭の事情もあるわけですが、今日は本読んで過ごしたいなあ~。
家事、炊事、洗濯等、慣れないことで疲れている私だったりします(食事作ってないけれど、ワンちゃんのお散歩もあるし・・・)。

本書は手元に置いておいても良い本かと。
【目次】
第1章 古書の海に溺れて
1 トーマス・マンの署名本をめぐる冒険
2 戦後最キョウ仰天本『醗酵人間』 降臨!
3 『醗酵人間』 復活への遥かなる道のり
4 二六五万円の辞典の思い出
column 痕跡本あれこれ(1)

第2章 探偵小説と歩み始めた我が古本人生
1 日本探偵小説史を決定付けた二つの作品
2 我が古書道人生のスタート
3 『怪人ジキル』との出会いが無間地獄の入り口だった
4 満州で刊行された幻の探偵小説
5 古本人生最大の危機
column ある古本屋の思い出

第3章 日本仰天本
1 日本文化にも影響を与えた日本探偵小説の祖
2 文豪、UFO問題に挑戦!?
3 大衆文学キングが描くモンスター小説!
4 キング・コングについてもう少々
5 ツチノコブームの火付け役
6 「不倫」と「創造」と「雪男」?
column 痕跡本あれこれ(2)

第4章 海外 仰天本
1 スターリンに喧嘩をふっかけた男
2 哲学者vs.エスパー『視霊者の夢』
3 ハックルベリー・フィンがコレラ菌に!?
4 「ディクスン・カー本」蒐集の面白さ
column 音楽に歴史が刻まれるとき
column 著者は名詮自性?

第5章 ひたすら 仰天本
1 桃太郎暗殺計画
2 高度経済成長期日本をオナラで席捲した屁道マスター
3 アジアが世界を転覆させる!?
4 哀れポーの名詩がヘンテコホラーに変貌!
5 オペラと落語が兄弟!?
column 夜の神保町
怪書探訪(amazonリンク)
ラベル:書評 古書
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「ブンブン堂のグレちゃん」グレゴリ青山 イースト・プレス

著者が若き日の頃、古書店でバイトをしていた日々の思い出を綴った漫画エッセイ。

古書店 or 古書あるあるなエピソードが書かれています。
基本、たいした内容はないのですが、何点か気になったものもありました。

・生田耕作氏が古書店に来てるのを書かれてました。

何冊か翻訳された本持っているし、本書にも書かれてたサバト館で出された本もうちの本棚にはあるのだけれど、正直私にはいい訳には思えなかったりする。
原作自体がつまらないのかもしれませんが、この人の翻訳は好きではなかった為、以後、関連する書籍を買わなかった記憶がありました。

・竹中英太郎の「百怪、我ガ腸(ハラワタ)ニ入ル」と記念館

昔かった覚えがあるのでこれも我が家の本棚のどっかにあるはず。懐かしい~!
でも、記念館があるのは知らなかった。
それだけでも本書を読む価値あったかも?
 
竹中栄太郎記念館 山梨県甲府市湯村3-9-1

でも、著者はビブリオマニアや愛書狂とは違うので、ちょっと変わったクセのある女性による作品といった位置付けですね。お薦めはしませんが、悪くもないかと思います。
【目次】
<ブンブン堂のグレちゃん>
ハタキを持つバイト
古本屋のお客さん
古書街の人々 初対面篇
古書街の法則 髪型篇
古書街の人々 独身篇
愛書家で有名なお客さん
古本屋の息子
グレちゃんの休日 熱い視線の古本屋篇
ジレンマ店長
あれしてこれしてなにする
ひゃっはらほほ
古本屋の法則 カップル篇
グレちゃんの休日 おトク篇
古書目録と女
グレちゃんの休日 三人の古本女篇
竹中英太郎記念館にて 招く道化師
古書街の人々 閑人篇
グレちゃんの休日 もわもわ篇 
古書街の人々 火災訓練篇 
"てれこてれこ"と"市"
古書目録製作
グレちゃんの休日 博物館篇
古本屋の法則 未整理本篇 
バイトのあとで 寄り道篇 
バイトのあとで 地下道篇
捨てないしあわせ
さまよえる月形さん
フランス語みたいな記憶
形を変える記憶
本が見つける
過ぎゆく時
グレちゃんの休日 見立て篇
発見の日
グレちゃんの休日 居酒屋篇
古書街の人々 即売会篇 
モートルの貞 
北へ... 
 「古本と少女」 
はさまっているもの

猫がいれば
行くところ 
行ってきます 
「グ」の自分コレクション
ブンブン堂古書目録
旅先の古本屋さん
おまけ漫画 メーリーハムサファル
古本まつりの国
潜入!知られざる古書入札市会
ブンブン堂古書目録

<コラム・古本好み>
生田耕作/三月書房/竹中英太郎/古書目録/横溝正史の角川文庫本/古書情
報誌/田宮二郎/柳原良平/中井英夫

<コラム・大阪の古本屋さん>
矢野書房/汎書店/もっきりや/永井古書店/杉本梁江堂/天牛書店/書苑よし
むら/厚生書店+古書オフィス矢野/太田書店/阪急東書房/藤沢書店/ハナ書
ブンブン堂のグレちゃん―大阪古本屋バイト日記(amazonリンク)
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2017年02月05日

「偏愛蔵書室 」諏訪 哲史 国書刊行会

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本書を読んでいて感じたのは偏愛というより、随分と偏った一昔前の選書だなあ~ということ。
また、本書の文体が無意味に硬くて、それでいて大して意味が無いこと。

よくもまあ、こんな偏った内容の本ばかり集めて、しかも説明がさらに歪んでいて、書き下ろしかと思ったら、なんと新聞に連載されてたそうです。結構、期間も続いているし、地方の新聞、恐るべしですね。

依頼する方もする方だけど、新聞の購読者がこの内容を拒否らないんだ、すっげぇ~というのが率直な感想。

しかもしかも、私が興味ないんで知らないんですけれど著者は芥川賞を受賞された方だそうで、あの「種村季弘」氏のお弟子さんにあたるとか。よくよく見ると出版社も国書だし、その繋がりでかなあ~と思う。

でもね、種村さんから何を学ばれたのかな~とも思う。
全然違うじゃん!勿論、違ってもいいのだけれど、というか違うのが普通なのだけれど、種村さん関係ないような気がしてなりません。まして、澁澤さんも関係ないでしょう。

その割に結構、時代的なものが自分自身と被るなあ~と思ったら、まさに同年代だったりする。

でも、だからこそ、著者の文体(スタイル)には拒絶反応が出てしまう。

幾つか読んでいて、拒否反応と説明に対する越え難い違和感で、結局飛ばし読みした。
もしかしたら、面白い本が少しくらいあるかと思って・・・。

でも、本書を読んで読みたいと感じた本は無かった。
私的には本書は不要な本でした。
【目次】
1 不治の言語病患者 「チャンドス卿の手紙」 ホフマンスタール 2 倦厭の闇、一瞬の光源 『檸檬』 梶井基次郎 3 世界を造形するまなざし 『リルケ詩集』 リルケ 4 「リアル」ということ 『遠野物語』 柳田国男 5 漫画のなかの「詩性」 『赤色エレジー』 林静一 6 「無限」に触れる筆力 『伝奇集』 ボルヘス 7 「起承転転」の小説 「子之吉の舌」ほか 島尾敏雄 8 「幼年」という名の庭 『トムは真夜中の庭で』 ピアス 9 選ばれた「文体」と「生」 「青炎抄」ほか 内田百間 10 小説──「過剰性」の言語 『泥棒日記』 ジュネ

11 いかに詩を「観る」か 『静物』 吉岡実 12 「少女」の発明 『少女コレクション序説』 澁澤龍彦 13 「無実の日常」を生きる 『愛について語るときに我々の語ること』 カーヴァー 14 いざ、「枝路」の方へ 「蔵の中」 宇野浩二 15 詩の言葉で小説を 『肉桂色の店』 シュルツ 16 漢詩──視と聴の悦楽 『李賀詩選』 李賀 17 「独身者」の愛の機械 『モレルの発明』 ビオイ=カサーレス 18 「人外」──反地上の夢 『幻想博物館』 中井英夫 19 「幼稚さ」への意志 『バカカイ』 ゴンブローヴィチ 20 存在の「外」を覗く 『闇のなかの黒い馬』 埴谷雄高

21 小説とは、「反」小説である 『幻想都市のトポロジー』 ロブ=グリエ 22 変節する複数の「僕」 『数』 ソレルス 23 「低級感覚」の復権 『ナージャとミエーレ』 山口椿 24 異界としての「家」 『赤い蛇』 日野日出志 25 架空の時・架空の自己 『失われた時を求めて』 プルースト 26 「食材」「調理」「吟味」 「春は馬車に乗って」ほか 横光利一 27 他者──意想の「外」の住人 『優雅な獲物』 ボウルズ 28 言葉の前に立ち尽くす 『ambarvalia』 西脇順三郎 29 芸術──個の魂のための倫理 『短かい金曜日』 シンガー 30 変態と震災 「瘋癲老人日記」 谷崎潤一郎

31 「私」という独居房 『私生児』 ルデュック 32 己を殺めることの悦楽 「憂国」ほか 三島由紀夫 33 むっちゃくちゃ文学事件 『メルラーナ街の怖るべき混乱』 ガッダ 34 内なる「外国語」との邂逅 『運命』 幸田露伴 35 小説──「かたり」の芸術 「納屋は燃える」ほか フォークナー 36 「贋」の思想 『怪物の解剖学』 種村季弘 37 読者を「再訪」させる力 『ブライヅヘッドふたたび』 ウォー 38 呪詛する機械 『怪談 人間時計』 徳南晴一郎 39 文体の実験工房 「ファイター」ほか ヘミングウェイ 40 明るい不気味な日常 『みちのくの人形たち』 深沢七郎

41 未開の物語・未開の思考 『エレンディラ』 ガルシア=マルケス 42 「物語化」にあらがう 『ポロポロ』 田中小実昌 43 大地の突端・文体の突端 『岬』 中上健次 44 「終わり」を終わらせる 『マーフィー』 ベケット 45 究極の家畜──「日本人」 『家畜人ヤプー』 沼正三 46 孤独の小説機械 『ロクス・ソルス』 ルーセル 47 恐山少年地獄博覧会 『地獄篇』 寺山修司 48 美しく、無遠慮な眼球 『薔薇色ノ怪物』 丸尾末広 49 母と子の静かな崩壊 「かくれんぼ」ほか ソログープ 50 遠い浮世のキネオラマ 『風船紛失記』 正岡蓉

51 怠惰の果ての猫 『猫城記』 老舎 52 うつくしい「不可解」 『ユーゲント』 ケッペン 53 天使たちの「遠い言語」 『路傍の神』 鷲巣繁男 54 無垢──善悪なき獣 『薔薇日記』 デュヴェール 55 混血の言語・流浪の文体 「眼中星」ほか 大泉黒石 56 この路地、通るべからず 『幽霊の書』 レイ 57 神経症と大正デカダンス 『怪異草紙』 畑耕一 58 「完全なる敗戦」を夢みて 『パルチザン伝説』 桐山襲 59 ソ連で「個人」を生きる 『星の切符』 アクショーノフ 60 物質と記憶、そして「詩」 「鰓裂」 石上玄一郎

61 「生きていない生」を選ぶ 『眠る男』 ペレック 62 「人でなし」と人間 「鶏の脚」ほか 池田得太郎 63 読者を愚弄する 『プロタゴニスタ奇想譚』 マレルバ 64 溺死者の息継ぎ 『触手』 小田仁二郎 65 「外」を閉じ込める 『内部』 シクスス 66 様式美としての「少年」 『美童』 山崎俊夫 67 「外国語」の密造 『夜ひらく・夜とざす』 モオラン 68 各人による各人の統治 『アナキスト詩集』 萩原恭次郎 ほか 69 戦争──無秩序の繁栄 『五十万人の兵士の墓』 ギュイヨタ 70 植物姦──不可能なる愛 『妖花譚』 荒木良一

71 ふたたび「物」のそばへ 『物の味方』 ポンジュ 72 オナニズムと文学 『葬儀のあとの寝室』 秋山正美 73 いつか、舶来の街へ 『ふたりだけのSeason』 わたせせいぞう 74 触覚の天国・視覚の地獄 「人間椅子」 江戸川乱歩 75 読者処刑機械 「流刑地にて」ほか カフカ 76 宗教絵本の「遠さ」 『石童丸』 (仏説「苅萱」) 77 狂気と破滅の讃歌 『モナ・リーザ泥棒』 ハイム 78 夏が来たら、死のう 『晩年』 太宰治 79 「奴隷」を生きる 『O嬢の物語』 レアージュ 80 色と音との発狂 「龍潭譚」ほか 泉鏡花

81 人肉たちの夢 『ミッドナイト・ミートトレイン』 バーカー 82 銀河を旅するための言葉 『春と修羅』 宮沢賢治 83 悪の勝利、文学の勝利 『ジュリエット物語あるいは悪徳の栄え』 サド 84 小説──筆先の「分裂」 『普賢』 石川淳 85 不在の神への薔薇 「フーエディブルー」ほか ツェラン 86 古典美=死体美 『眠れる美女』 川端康成 87 通約不可能な生 「一九〇〇年頃のベルリンの幼年時代」ほか ベンヤミン 88 冬籠り文字の獄舎に季語の檻 『現代の俳句』 高浜虚子・永田耕衣ほか 89 律を出ても一人 『尾崎放哉全句集』 尾崎放哉 90 悪魔に捧げる花々 『悪の華』 ボードレール

91 小説、その美しい「狂い」 『草枕』 夏目漱石 92 「生」に意味はない 『嘔吐』 サルトル 93 気のふれた天使の言語 「川」ほか 岡本かの子 94 読者ども、俺の尻を舐めろ 『ユリシーズ』 ジョイス 95 読者を作者に仕立て上げる 『ドグラ・マグラ』 夢野久作 96 黒く塗れ 『夜の果ての旅』 セリーヌ 97 少年の無言の世界 『生家へ』 色川武大 98 その名はCTHULHU 「クトゥルフの呼び声」 ラヴクラフト 99 スタイル、そして逸脱 『昆虫図』 久生十蘭 100 芸術──純真なる倒錯 『ロリータ』 ナボコフ あとがき──わが「言語芸術論」のために
偏愛蔵書室(amazonリンク)
ラベル:書評
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2017年02月04日

「ぼくはオンライン古本屋のおやじさん」北尾 トロ 筑摩書房

オンライン本屋で起業っていう、一時流行ったブームを実際に起こした当事者たる先人として有名な方のお話。

なんか非常に気楽に、素人の手探り感満載でそそられる内容だったりする。
でも、昔からあるビジネスだけに特に仕入れは大変そう・・・。
せどりメインって、きつ過ぎでしょう。買取とかは憧れますが、いいものを売るんでしょ。

気に入ったものを売ることができて初めて、商売になるなんて因果な商売のような・・・。
月に10万円以上の利益を上げるってのは凄いと思うのだけれど、本の重さで腰悪くしそう。
本を置く場所を考えても私にはそれをビジネスとして進めることは出来ないだろうな~。

要らない本やダブリ本をAmazonのマーケットプレイスで売ったりはしてたけれど、まあ、誰でもがやっているやつで安定的に儲けを出すなんて無理でしょうね。私には。

本の売り買いは自分の趣味の範囲にしておくのが幸せそう。
こういうのは他人事として読んで楽しむのが一番だと思います。

金を稼ぐなら、それようのビジネスをやって儲けた金で趣味の本、購入にあてたいと心から思います。
さて、どうやって稼ぎましょうかね・・・???(笑)
【目次】
第1章 オンライン古本屋ほど素敵な商売はない!?
第2章 オンライン古本屋の作り方
第3章 「杉並北尾堂」ただいま営業中
第4章 ぼくが出会った愉快な仲間たち
第5章 オンライン古本屋の眠れない日々(1999年10月~1999年12月
2000年1月~2000年7月)


ぼくはオンライン古本屋のおやじさん (ちくま文庫) (amazonリンク)
ラベル:書評 古書 古本屋
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「古本暮らし」荻原 魚雷 晶文社

まあ、エッセイであることは良しとしよう。
表紙も今から思えばそれっぽいしね。
でも・・・あまりにタイトルにある「古本」と内容がかけ離れてないかな?

最初はなんとか、かろうじて古本に関する文章ではあるんだけれど・・・段々、古本とは全く関係のない、家庭内の家事の分担とか、裁縫の話とか、もうどうでもいいゴミみたいな話ばかりになっていきます。

まあ、文句言いながら、しっかりと投げ出さずに読んでしまうのだから、良く分かりませんがさすがはそれで食べているプロなのかもしれません。

読後感も決して悪くはなかったです。嫌いでもない。役には立たない本だけれど、役に立つことが価値あることとも思えないってのも私の中に感情があったりして・・・なんだかなあ~。

同年代なのに、思いっきり時代から外れて、その時代でも有り得ない「左」に行ってしまった人の人生なのかもしれません。予備校の講師とかだとよくいたりしますが、ちょっと驚きました。

でも、それで生活で来ているんだから、いいっすよね。
私は会社作っても成功しなかったし、食っていけなくなりそうだったんで仕方なく会社員やってますが、これももう限界近いかなあ~。そろそろ、転職でもしないと潰れそう・・・。

心から、もう働きたくないなあ~と思う今日、この頃でした。
文章書いて生活出来るのは率直に憧れですね。それはそれで、たぶん、辛いし、大変なのかもしれません。
生活の為に物書きたくないってのもあるんだけど、それで生活の為にもっとやりたくない事務仕事してるんだと思うと、それもおかしいと思ったりする。

まあ、年内に転職すべく準備すべきなんでしょうなあ~。

古本暮らし (amazonリンク)
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2017年01月21日

「『百科全書』と世界図絵」鷲見 洋一 岩波書店

本文内でも語られているが、これは「百科全書」について語られた本ではなく、それをネタに著者の趣味のおもむくままに好きなことを語っているエッセイ本みたいになっています。

必要以上に、著者の独り言的なコラムが大きく多数入っていて、タイトルから期待されるであろう内容は、私の場合、ほとんど見つけられなかったです。
【目次】
1 世界図絵の変容と近代
巨大量、収集、分類―世界図絵のなかのフランス『百科全書』
過剰・集積論―記憶術、ベーコン、『百科全書』、そしてアーカイヴ
世界図絵のなかの水車
2 『百科全書』の図版と一八世紀
整合と惑乱
図版のなかのフランス一八世紀
3 理性の夢
繁殖する自然―博物図鑑の世界
一八世紀の夢―気球の旅
ラベル:書評 百科全書
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2017年01月20日

「古本屋開業入門」喜多村 拓 燃焼社

タイトル通りの古本屋開業の為のノウハウ本になります。
やっぱり生活費を稼ぐ仕事としてやるのは難しいんだなあ~と思いました。

現在、通販に特化している本屋さんみたいで通販での販売ノウハウは、これまで読んだ古本屋開業の本の中では一番実践的で有用かも?

入手した順番に番号を振っていく在庫管理方法とかは「アリ」かなあ~とか個人的には思いました。もっとも古本屋をする気のない私には関係ないんですけれどね。

そうそう、それでも仕入れの工夫には頭が下がる思いですね。バザーやフリマなどで入手したりとか、立て場は知っていましたが、もうその辺は昨今のセドラーさえ顔出しているのですね。

ブックオフで抜いてアマゾンで売る、そんなにわかせどりは競合相手の増大で儲けがなくなり、ちょっと前は投げ売りが盛大に行われていましたが・・・まあ、本書はその前の話ですもんね。

あと・・・古書の買い取りですが、やっぱり知らない相手には買い叩くんですね。
相手を見て価格を変えるのは商人同士なら納得ですが、知らない一般人にもそれを当てはめるのは・・・違和感を覚えます。不要な本は買い取ってくれないみたいですし、蔵書を売るのは考えものですね。

だから、ブックオフ等で宅配便で買い取ってもらうんでしょう。
送料を持ってくれるだけでもヨシとすべきなんでしょうね。明日も3箱ほど売りますが・・・もう何十箱売ったか分かりませんね。感覚的には粗大ごみとして引き取ってもらっている感じ。だから、売った代金はほとんど期待してませんし。

まあ、脱サラとして古本屋はやはりナシかと。
やっぱり、株式投資と不動産投資ぐらいしかなさそうですね。

もう、今の職場で頑張っていくのは無理そうだしなあ~。
体病んで胃に穴があくのも時間の問題だもんね。というか、もう胃というか腸とかもたなそうだもん!!
【目次】
店舗開店編
通信販売編
セドラーに捧ぐ―あとがきにかえて
古本屋開業入門―古本商売ウラオモテ(amazonリンク)
ラベル:書評 古書
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2017年01月16日

「編集者の仕事」柴田 光滋 新潮社

本はそれなりに読むものの、モノとしての本についての執着心はそれほど強くないので結構、無頓着だったりするかもしれない。

ただ、装飾写本とかはそれなりに好きで海外旅行に行ったりすると、それを目当てに美術館や教会を訪れたり、綺麗な画集や図録なども集めているが、本そのものについては驚くほど知らなかったりする。

本書を読んで、そういったことを改めて痛感しました。

編集の仕事というと漠然としたイメージだけでしたが、何でもそうですが見えないところで頑張って職人仕事していたりするんですねぇ~。感心すると共に頭が下がります。

ただ、その一方でそういった仕事を本当にしているのかなあ~と疑問に思うくらい、粗雑な作りで本の内容もさることながら、誤字脱字のオンパレードに内容も不正確で読みにくく、なんだこの本は???となってしまう本も散見されるのも事実。

編集、校正とか何も仕事してないか無能の輩かと思うほど酷かったりするし・・・、何でもいいから手軽に作ってそこそこ売れればイイという出版社側の思いが透けて見えてくるようですが、そういう本ばかりではないんだなあ~と感慨深いです。

まあ、あくまでも本書は日本の現代の本に関してのお話に限られるのですが、それでも愛書家(単なる読書家も含む)は知っておいて然るべき知識が書かれています。個人的には大変勉強になりました!

もっともモノとしての本なら、やはり昔の洋書とかでしょうね。
革装の本とかやっぱり違いますもん♪

もっとも英語しか読めないんじゃ楽しめないよねぇ~。
エミール・マールの本ぐらい原書で読めるようになりたいもんです。仕事なんてしてる場合じゃないないのかもしれません・・・反省。

あと2年で目標の本出版出来るのだろうか?
少しでも準備しなきゃいけないんだけれども・・・・。はあ~明日仕事なんて行きたくないなあ~。
【目次】
まえがき
I 本とはモノである
作りの良し悪しを見分けよう
一次元の原稿を三次元に
II 編集の魂は細部に宿る
すべては判型から出発する
頁はどこから始まるの?
目次と索引は技量が問われる
校正、畏るべし
III 活字は今も生きている
グーテンベルクに感謝
明朝体は美しい
欧文書体はファミリーに分かれる
約物と罫線を使いこなせ
IV 見える装幀・見えない装幀
紙には寸法も色も重さもある
函入りかジャケットか
表紙は最後まで残るもの
V 思い出の本から
昭和は文学全集の時代であった
十二冊プラス幻の一冊
あとがき
編集者の仕事―本の魂は細部に宿る (新潮新書)(amazonリンク)
ラベル:書評 編集
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2016年12月30日

「古本屋ツアー・イン・ジャパン それから」小山 力也 原書房

古書店探訪の本ということでいつものノリで読んでいると、本屋に関する情報はさておき、そのお店での取り扱いジャンル、というか具体的な書名があまり載っていないのが最初、気になった。

ジャンルはちゃんと書いてあるものの、何というか古書を買う人向けの話というよりは古書店に行くこと自体、古書店の存在確認自体が目的で、古書を買うのはその余禄的な位置付けになっているような気がします。

著者はちゃんと本を買い、自分の求める本を格安で購入できた際には書名とその感動を率直に書かれているのですが、それ自体は本書の主眼ではないのですね。本書はシリーズ的になっていて先行する本があるようですが、私は本書からいきなり読み始めたので後書きを読んで、その辺の著者の古本屋ツアーの起点をようやく理解しました。

逆に、そこが分かると本書の読み方も自ずと変わってくるかと思われます。
読んでる最中にも思いましたが、とにかく行動力が半端無いです。

私も旅行や出掛けた際に、古書店や本屋を見かけると海外とかでも必ず覗いたりするタチで、読めもしないチェコ語の本とか買ったりしてましたし、国内の地方でも地元の図書館に入って蔵書チェックしたりなんかもよくしていましたが、本書の著者は次元が違います。

古書店の有する蔵書の量や質にはこだわらず、古書を商っている、その1点だけで交通費と時間という膨大な労力をかけて、ひたすら古書店を探し、訪れる。いやあ~シンプルだけどなかなかここまでは出来ません!

いわゆる古書店を扱った本というジャンルもここまで来たか、という感のある本です。
かなり一気に読了しました。

当初、つまんないというか物足りない気持ちで読み始めましたが、これはこれでアリだと思います。
知っている本屋も何軒か出てきて、懐かしい気持ちを持ったりね。
人それぞれ、古書店にもいろんな楽しみ方があるのだなあ~とある種の感慨を頂きます。

人に勧めはしないけれど、私はこういうのも嫌いではないです。
【目次】
特別編 古本屋ツアー・イン・お宅
第1部 北海道・東北、関東、中部、近畿、中国・四国、九州・沖縄
特別編 古本屋ツアー・イン・旧江戸川乱歩邸&土蔵
第2部 東京
どひゃっほう録 あの日この日出会えた本
古本屋ツアー・イン・ジャパン(二〇一〇‐二〇一四)
巻末付録 古本屋全国ツアー・リスト2008‐2015

古本屋ツアー・イン・ジャパン それから(amazonリンク)

そうそう、著者のブログはこちらです。
古本屋ツアー・イン・ジャパン
こちらのブログは凄いです!!

ブログ内関連記事
「古書ワンダーランド1」横田順弥 平凡社
「古本屋さんの謎」岡崎 武志 同朋舎
「古書法楽」出久根 達郎 中公文庫
「古書街を歩く」紀田 順一郎  新潮社
「ヨーロッパ古書紀行」文車の会 文化出版局
「ニューヨークの古本屋」常盤新平 白水社
「ぶらぶらヂンヂン古書の旅」北尾トロ 風塵社
古本屋は海を超えた~日経新聞 2008年1月21日より
「世界の古書店Ⅱ」川成 洋 丸善
「古本屋の来客簿」高橋輝次 燃焼社
「神保町の虫」池谷 伊佐夫 東京書籍
「古本的」坪内 祐三 毎日新聞社
「関西赤貧古本道」山本 善行 新潮社
「古書店めぐりは夫婦で」ローレンス ゴールドストーン, ナンシー ゴールドストーン 早川書房
「世界古本探しの旅」朝日新聞社
「本の国の王様」リチャード ブース 創元社
「古本道場」角田 光代、岡崎 武志 ポプラ社
「神田神保町とヘイ・オン・ワイ」大内田鶴子、 小山騰、藤田弘夫、熊田俊郎 編集 東信堂
「本棚探偵の冒険」喜国雅彦 双葉社
「ブックハンターの冒険」牧真司 学陽書房
「愛書狂」鹿島茂 角川春樹事務所
「それでも古書を買いました」鹿島 茂 白水社
「ある愛書狂の告白」ジョン・バクスター 晶文社
ラベル:古書 書評 古書店
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2016年12月08日

「古本的」坪内 祐三 毎日新聞社

古書にまつわるエッセイ。
正直あまりエッセイとか個人的なものは好きではないのですが・・・その割に古書関係はほとんど著者の独り言なのだが・・・結構よく読んでいたりする私(苦笑)。

こないだは喜国氏の全然興味のないミステリ小説の古書の話でしたが、本書はさらに興味が持ちようがない、作家のゴシップとか明治期の作品の話だったりします。

本書で出てくる作家の名前さえも知らないし、更に作品も全然知らないのばかりで私にとっては情報的には全く無価値な本だなあ~と思いつつ、それでもなんか少し楽しき読みました。

古書会館や神保町の古書店を同じように廻っていても、全然、ジャンルがかみ合わないとこうまで違うんだなあ~と今更ながらに感慨深く読みました。

特に私は作家自体にはほとんど興味なく、本というのは作品自体がすべてであり、それ以外の作家自体とかどうでもいいと思ってしまうタイプなんで、作家一個人の行動やら情報やらは興味もないし、むしろ知りたくもないので著者のような関心をもつ方向性に非常に違和感を覚えながらも、すいすいと読み進めておりました。

映画や舞台見ても、役者とか個人は興味湧かないんですよねぇ~。
あくまでもその作品の中の登場人物として見てしまうので、個々人はあくまで全体の中のパーツと思ってしまったりする。

まあ、どうでもいいんですけどね。

著者は特に博学でもないし、古書収集に異様な情熱をかける趣味の輩でもないが、淡々として自分の好きな本を読むのは同意します。美本でなくても手頃な値段で読めればってのも同感ですしね。

そうそう、私の読書ジャンルからは全く読んで価値がないと思われた本書ですが、意外や意外なことに価値のあることも書かれていました。位置づけ的には「松山俊太郎」というインド学者の凄さを紹介するくだりで澁澤龍彦についての話があるのですがこれがなかなか興味深かかったです。その部分だけでも本書は読んだ甲斐がありました。
河出書房の「澁澤龍彦全集」第五巻の40頁以上もの「解題」。この巻は「サド侯爵の障害」を中心とした作品が収められていて、同作品には桃源社の「マルキ・ド・サド選集」別巻版(1964年)と桃源選書版(1965年)、桃源社の「澁澤龍彦集成第二巻」版(1970年)、そして中公文庫版(1983年)の四つのバージョンがあるのだが、松山俊太郎はその四つのテキストの緻密な校異を行ない、片仮名表記の音引きと非音引きに注目する。1964年の版と65年の版は同じ紙型を使っているから表記の異同はない(つまり非音引きが中心である)。
ところが、新組である1970年版でも表記変更は行なわれていない。だが、これは変だ。なぜなら、その半年後、つまり1970年9月に澁澤龍彦は筑摩書房からジルベール・レリーの「サド侯爵その生涯と作品の研究」を訳出していて、その翻訳文では「一貫した音引き式を採用している」のだから。
この事に関して松山俊太郎はこう推理する。

このような事実は、澁澤龍彦が、遅くとも1970年初頭には、音引き式への転向を必要と認めたものの、旧作の表記改定を志すまでの熱意は、もっと後まで持つにいたらなかったことを物語る。

「もっと後まで持つにいたらなかった」という一節に注目してもらいたい。この一節に松山俊太郎の重心がかかっている。
実は1983年の中公文庫版に至って、にわかに、片仮名表記の大幅な改定が行なわれたのだが、それがはたして、澁澤龍彦自身のてによるものなのかと、松山俊太郎は疑問を持つ。「表記の整理は、他人に任せた疑いが濃いのである」、と。
最初の版では音引きと非音引きが混在していた。しかも同じ綴りを持つ、例えば「カトリイヌ」が、ある箇所では「カトリーヌ」となっていたりする。
松山俊太郎はその使い分けの意味する所を見逃さない。つまり、それはただの表記ミスではなく、澁澤龍彦の意思が込められていた。

すなわり、「サド侯爵の生涯」を執筆するころの澁澤龍彦は、理屈の上では音引き式表記に移行する必要を認めてはいたが、非音引き式表記にも愛着が残り、新しく扱う人名の表記には艇、抵抗なく音引き式を採用したが、馴染みの深い人名では旧態を保持しようとしたため、変則的な二様表記をあえてしたのだと推定される。
こうして熟知するメディチの悪女は、カトリイヌと昔のままであるのに、たまたま言及した職工の娘は、未練なくカトリーヌと音引きで表記され、そのカトリーヌの別称としてはジュスティーヌという新表記を適用したにもかかわらず、自らの訳著の女主人公は、頑固にジュスチイヌで通したのであろう。

すなわち、「澁澤龍彦による固有名詞の表記のかなり多くが、一般的規則に優越する、個別的理由により決定されているに相違ない」というわけである。
だからこそ最初のバージョンは

片仮名表飯野雑駁さによって、澁澤龍彦の無邪気な”我の強さ”を満喫させてくれる、懐かしいテキストであることが判明し、かれの初期教養形成のあとをたどる手掛かりを留める、有数の資料なのだと認められる。

それに対して文庫版は、

訂正が皮相的かつ不徹底で、滑りが好くなっただけの、澁澤龍彦の人格の投影である書き癖を大幅に削りとった、淋しいテキストに変貌している。

「懐かしいテキスト」と「淋しいテキスト」という、「懐かし」さと「寂し」さの対比が、とてもリアルで素晴らしい。普通の、ただの学者たちのテキストクリテッィクからは、こういう美しい文学的なフレーズは生まれない。
私は改めてこのフレーズに心動かされた。
もうこの部分だけで、私には本書は多大な価値があったと言っていいでしょう。河出の全集も持ってるし、桃源社のも持ってる、白水社だったかなビブリオテカも持っている。勿論、文庫も持っている。あと赤・黒・緑の初版も持っている私としては読んでいて何も気付かなかったことを気付かせて頂きました。

本書読まなかったら、一生知らないままだったかと。
知ったから、何か有意義で価値があるとかそんなことはないのですが、まさに目から鱗で相当な衝撃を受けました。う~ん、学者にならなくて正解でした。私的にも感動物ですね。翻訳もの、あまり揃えてなかったので改めて澁澤龍彦のその辺も集めようかと改めて思ったぐらいです。

その前に中世思想原典集成を全巻購入してからですが・・・・。

あと、そうそう夢野久作の父は右翼の大物で有名ですが、本人に息子がいてその息子に名前が杉山龍丸というのも初めて知りました。

まあ、そういった古本以外の部分で、拾い物がたくさんある本でした。万人向きではないような気がしますが私にとっては価値大いにありでした。
【目次】
1 古本的
2 ミステリは嫌いだが古本は好きだからミステリも読んでみた

古本的(amazonリンク)
ラベル:書評 古書
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2016年11月25日

「読書・満漢全席」植沢 淳一郎 ブレーン

古書関連のエッセイ or 情報本かと思って読んだのですが・・・曲がりなりにも古書関連としての本としては最低レベルの本でした。

なんで古書を扱うのに冒頭の1章から政治批判をするかなあ~。しかも的外れのいかにも日教組的な無知蒙昧な輩の主張してるし、読み始め早々から呆れ果てて、速攻ブックオフ行きを考えるほどヒドイ。

更に読んでも読んでも古書ってテーマ関係なくない?
あまりにも無意味なエッセイで声も出なくなるほど。
昭和のノスタルジーに浸っている老人の戯言以外の何物でもない。

更に後半にかけては古書におよそ関係があるとは思えないくだらない同人レベルの私小説もどきを古書をテーマにしている本に載せる意図が分からない。しかも内容が低レベル過ぎる。

編集者や出版社の良識(常識)を疑うほどだが、さらに今時の本で誤字・脱字レベルのものが多くて、ほとほとあきれてしまう。文字校、著者校してこの水準。

まあ、著者はもともとファンジン等やられてたそうですが、自主製作でやめておけば良かったですねぇ~というのが正しい評価かと。論外過ぎて言葉が出ない。

勿論、古書マニアとしても2級以下かと・・・。
無知な子供相手に知ったかぶりの教師をされていた姿が目に浮かぶ。
だから・・・教育レベルが下がったんだろうなあ~と心底思いました。

時々、本の紹介もあるのですが、紹介の内容もひどく、紹介される本もつまらな過ぎて話になりません。
ここしばらくの間で一番、最低の本でした。
お薦めしません!
【目次】
第1章 戦後七十年及び、乱歩没後五十年の風景
第2章 ホンの立ち話
第3章 古本ミステリー―夢のなかの古本屋「獲り逃がした獲物」
第4章 SF私小説―神田わが町「懐かしの喫茶店」
読書・満漢全席―本に関するコラムと古本ミステリー&SF(amazonリンク)
ラベル:書評 古書
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2016年11月14日

「私の本棚」新潮社

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玉石混交ってのが正直な感想。

そういえば、以前買った本で本の重みで床が抜けた・・・と書かれていた井上ひさし氏の話もあったけれど、特に大したことない内容でした。

ちょっと意外な人物として小泉武夫氏が書いていた。
本を置く場所が三か所もあり、本が整理されることなく集積し、必要な本を探すのに何日も書庫を彷徨うことを書かれていた2万冊を超えているとか。

小泉氏の発酵関連の食の本は興味深いものが多かったけれど、どちらかと言うとフィールドワークで常に外で行動していて本に囲まれた生活とは縁が無そうな勝手な印象を持っていただけにその意外性も面白かった。

ジャンル分けとか整理による効率性は憧れるがその為に、貴重な時間を費やされるのは避けたいもんねぇ~。

確かに目的の本を探し当てたり、自分の部屋で思いもよらぬ面白そうな本を見つけたりすると宝物でも探し当てたような気がするのはまさに同感だったりしますね、ハイ!

あと・・・金子國義氏のところは、アート系の人は本当に別世界だなあ~と思ったりしました。
どんな環境で育ったんでしょうね。
とてもではないですが・・・部屋にそんな大きな本は置けません。

鹿島茂氏のところは、さもありなん!って感じ。

本は場所を取りますもんね。庶民の私は8畳の部屋を本で埋める気はありませんので、要らない本を段ボールでネット古書店に売る日々です。数十箱くらいですけれど・・・。

氏は革装の重厚な洋書に囲まれているそうで、その書斎を撮影用に貸し出して、少しでも本代・場所代にあてているとか。それが出来るくらいの蔵書数ってのもあるんでしょうが・・・撮影スペースとして貸し出せる勇気も素晴らしいですね。それほど人を信じられませんね、私は(笑)。

軽く読み飛ばすにはいいかもしれません。
そんなに感銘するほどの内容も勿論、ありません。
【目次】
すべての本を一列に並べよ(小野不由美)
消える本箱(椎名誠)
エバーグリーンの思い出(赤川次郎)
本棚の行政改革は難しい(赤瀬川原平)
To be or not to be(児玉清)
怪しい趣味(南伸坊)
本の力(井上ひさし)
本棚は難しい(荒井良二)
価値のない価値(唐沢俊一)
書棚はひとつだけ(内澤旬子)
蔵書の掟(西川美和)
本棚が、いらなくなる日(都築響一)
昔は祭壇だったのに(中野翠)
目茶くちゃな本棚(小泉武夫)
少年期的読書(内田樹)
“永遠の美しさ”に囲まれて(金子國義)
父の後姿(池上彰)
読書のベースキャンプ(田部井淳子)
ピノッキオの本棚(祖父江慎)
愛人に少し稼いでもらおう(鹿島茂)
和本が落ちてきて(磯田道史)
混ざりあう心地よさ(酒井駒子)
アマチュアの本棚(福岡伸一)
私の本棚(amazonリンク)

ブログ内関連記事
「本棚の歴史」ヘンリー ペトロスキー 白水社
「本棚探偵の生還」喜国 雅彦 双葉社
「本棚探偵の回想」喜国 雅彦 双葉社
「本棚探偵の冒険」喜国雅彦 双葉社
「本棚探偵最後の挨拶」喜国 雅彦 双葉社
「カルトな本棚」唐沢 俊一 同文書院
「本棚が見たい!」川本 武 (著) ダイヤモンド社
「本で床は抜けるのか」西牟田 靖 本の雑誌社
ラベル:書評 本棚
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2016年11月06日

「本棚探偵最後の挨拶」喜国 雅彦 双葉社

aisatu.jpg

購入したものに何か以前の所有者のものが挟まっている話。

時々、こういうのあったりする。昨日たまたま見つけたもので某女子大の○○研究室蔵書の未記入ラベルが挟んであった。蔵書になり損ねて売られたのか? 

ちょっと気になったりする。

あと・・・自分で私家版の本を製本するってのは以前から関心があってやってみたいことだったりする。
その前に部屋の段ボールの整理をなんとか完結したくてしかたないんだけれど・・・ね。

今日も2時間かけて新居に引っ越してきた際の段ボール箱二箱あけて中の整理とゴミの仕分けをしていたら、あと残り5箱くらいになってきた。

本を全部一度出したら、今度は本棚を買うか作るかして、並べたいなあ~。
そうしたら、また本が買えるしねぇ~。

職場のロッカーに購入した本が溜まってきたし、あそこもどうにかしたいもんです。

本書内で過去の本の評判について、読者の人の声が書かれていたのだけれど・・・。
自分も心から共感した一番印象深い部分は「売っていたからです」!!
同じ本を何冊も購入してしまう編集者の書痴の方が何で同じ本を何冊も買うのかと聞かれて答える言葉ですが、これは言えないなあ~。

経済的に買えないってのもあるけれど・・・内容を読みたい、読んで気に入った本は手元に置いておきたい、逆に読まない本とかつまらない本は、速攻で手放したい私には無理だなあ~。

ほとんど、神の言葉かと思いましたもん!

生還の内容をツレに話した時に、真っ先に話したのはこの言葉だったし・・・。
誰もが強く印象つけられたのは納得です。
自分だけでは無かったんだと、なんか共感しちゃいました。

私家版、今度作ってみよっと。
なんかワクワクしますね♪

本棚探偵最後の挨拶(amazonリンク)

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「本棚探偵の回想」喜国 雅彦 双葉社
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ラベル:書評 古書
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「本棚探偵の生還」喜国 雅彦 双葉社

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幻影城の話は興味深かったです。普段はあまりミステリーを読まない方なのですが、台湾に渡られて、あちらで活動されていたとか、なかなか本書とかでも読まないと知らないままで終わってしまうような貴重な情報だったと思います。

温泉宿の本棚も面白かったですねぇ~。
自分の関心のあるジャンルだったら、のんびり温泉に浸かってなんていられなくなりそうですが・・・。

あと・・・お風呂で読む本。
今まで、そういうのがあるのは聞いていましたが、実物見たことないし、どうかなあ~って思ってました。
部屋に天然温泉の浴室がついている宿で気に入っているところがあるのですが、そこに行くときに持っていこうかと思いました。まずは自宅の風呂で試したいなあ~。フロンティア文庫。探してみよっと。

マラソンは走るの嫌いなので却下。
本との組み合わせや、前回あったゲーム感覚で古本購入っていう企画系は全部受けつけないなあ~。勿論、人それぞれの趣味で否定はしませんが嫌いかな?

で、一番お薦めなのは別冊のヘイ・オン・ワンの古本購入記。
おまけ的な位置付けかもしれませんが、こちらの方がすっごく面白くて勉強になりました。
ツレにも思わず、お薦めしちゃったぐらい。
こちらは本好きにはいいと思います。

本棚探偵の生還(amazonリンク)

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「本棚探偵の回想」喜国 雅彦 双葉社
ラベル:書評 古書
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2016年10月23日

「本棚探偵の回想」喜国 雅彦 双葉社

hondanatantei.jpg

内容はそんな大層なものではない。他の人に面白いから読んでみればと薦めることもないでしょう。
ただ、本が好きな人なら、興味深く読めるエッセイだと思う。

でも・・・読まないと分かっている本を収集する為だけに買う・・・。
これはないなあ~。

読まないかもしれない?と思いつつ、資料として読むかも? いつか突然フランスが読めるようになって内容が分かるかも?とか自分で勝手に言い訳しながら、積読になりそうな本を買うことはありますが・・・。

その辺のメンタルはちょっと違うなあ~。
それと・・・ブックオフに回るのを避ける為に、わざわざ本を傷付けて商品価値を無くす、といったことも個人的には有り得ない。人ぞれぞれの価値観だし、購入した本は所有者が何をしようが自由ではあるけれど、ちょっとねぇ~。

そこだけは共感できなかったし、かなり違和感を感じた。
自炊の為に本をばらしてしまうのは別に抵抗ないし、受験生の時は問題集や参考書を2冊買って、持ち歩き用に本をばらしたりしてたけれど、本質的に違う次元の話だしね。

まあ、ものによっては新刊でも買いますが、古書店で書店で目にして初めて存在自体を知るものも多々あり、値段は限りなく安いに越したことはないっていうのが消費者の行動原理だったりする。

本も好きだけど、本から得られる知識、それ自体が貴重なモノですしね。
知識欲の延長としての本だなあ~、私の場合は。

確かに同じ作品の単行本、文庫本を持っていたりもするけれど、それぐらいは許容範囲かと・・・。

さて?
本書の内容ですが、古書収集マニアのとある日常といった感じのエッセイ集ですね。
命をかけてるわけでもないですし、とてつもなく凄いマニアという訳ではありませんが、一般の人よりは勿論、マニアの方かと。

その程良いぬるま湯的な収集姿勢が今時風で受けているのかなあ~。
読み易いし、馬鹿なことをやっているなあ~(トレカの自作とか)と思いつつも、面白そうだなとか思ってしまうのも事実。

ただ、プライオリティー低そうで一生、自分ならやらないだろうなあ~とも思う。
本を買うのに自分ルールで縛りをかけてゲーム感覚でやるってのも、たぶん、有り得ない。
買ってしまって無駄だった本は数限りなくあるが、購入方法とかそれ以外で自分で合理的と思えないやり方はそもそもやりたくないしね。

う~む、遊び心のない私。
仕事で行き詰ってるからかなあ~???

ただ、本書を読んでしばらく古書店巡りをしていないことを思い出した。
そして無性に古本を買いたくなった。

その結果、翌日、初めて行く街で古書巡りをやってみた。
たいした収穫はないものの、とりあえず、何冊か本を買ってみたのは本書のせいと言えるだろう。
本を読むのは楽しい♪ 本屋巡りも楽しい。

あとは時間だね。
会社なんて、すぐにでも辞めたいもんです。あとどれくらいこの言葉を繰り返すのやら???(涙)
【目次】
その場しのぎの第一回
すべては俺の店
『本棚探偵の冒険』の回想
編まなきゃ死ねない
本業?副業?
日本を救え
どっきりドキドキ
本棚探偵の敗北
誰かトレカを
夏がくれば思い出す
漂流学校
秋は読書
自分に関する覚書
その後のトレカ
赤面エレジー
真・赤面エレジー
教養を高めたい
「某殺人事件」事件
文庫全集を作る本棚探偵、最後の事件
巨人対怪人
本棚探偵の童心
本棚探偵の知恵
本棚探偵の不信
あとがき


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ラベル:古書 書評
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2016年09月25日

「本で床は抜けるのか」西牟田 靖 本の雑誌社

本好きの人ならば、絶対に頭に浮かべないではいられない、このタイトルのみで読み始めました。
ぶっちゃけ内容はハズレ。

タイトル詐欺の本、とまでは言いませんが自炊本の話に床抜けは直結しませんよね?
少女漫画の図書館とかに至っては全く、どうでもいい無関係の話かと・・・小一時間うんぬん・・・。

別に病気で心変わりして本を捨てるようになろうとなかろうと、そんなことは愛書家の本で家の床が抜けそう・・・という差し迫った危機への対処には何の役にも立ちません。

まして著者のどうでもいい身辺問題も関係ありません。

このタイトルに惹かれて本書を紐解く読者が求めるものって決まっているでしょうに・・・。
適当なその場しのぎのたまたま自分が知っているそれっぽい建築家とか蔵書家の飲み屋の席で聞いたような言葉ではなく、取材するならば、きちんとした専門家にズバリ聞けばいいでしょうに。

木造やコンクリート、間取り、素材で床が抜けるまでの耐荷重は変わるでしょうし、当然、建築物だからそれが立つ地盤にも大きく左右されるのは容易に想像つきますが、まずは客観的なデータでしょう。
そして、どうすれば床が抜けなくて済むのかその回避策なり、対処策なりを提示。
実際に床を抜けたという人からの実体験に基づく話とかね。

適当に街に出回っている本や知人から聞いた範囲内で、しかも申し訳程度に取材(?)らしきものをされて本題から外れた点を延々と書いて頁稼ぎ、みたいな文書を書き連ねられてもねぇ~。
率直な感想でいうと使えねぇ~本だ。

昔読んだ屠畜の本で有名な内澤さんの部分も本書に必要なのかよくよく考えて欲しい。

国会図書館で本が崩れてもそれがどう床抜けに関係するのか?著者の思い付きとたまたま目に入ったニュースとかを結び付けただけの安易さを感じずにはいられない。

地震以後、一時、たくさんの人が命の危険を感じたのか? 古書が大量に出回っていたように感じましたが同様に、この床抜けなんか古くて新しい話でキャッチーだし、それを本のタイトルにした狙いはいいのに、中身がなくて残念過ぎる。
床が抜けるような話なら紀田順一郎氏のエッセイとかに出てくるような読書家なら普通にありそうだが、あちらのエッセイにはある内容の豊かさが無かったりする。

読書家で立花隆の仕事場というくだりもただ本や雑誌で仕入れたレベルの知識だし、書庫を立てる~の話も個人的にはあまり趣味でない書庫なうえに(本も流し読みしてつまらなかった)、床抜けとは話の次元が違ったりする。

本書を読んだ読書の大部分はがっかりするのではと思いました。
【目次】
はじめに
1 本で床が埋まる
2 床が抜けてしまった人たちを探しにいく
3 本で埋め尽くされた書斎をどうするか
4 地震が起こると本は凶器になってしまうのか
5 持ち主を亡くした本はどこへ行くのか
6 自炊をめぐる逡巡
7 マンガの「館」を訪ねる[前編]
8 マンガの「館」を訪ねる[後編]
9 本を書くたびに増殖する資料の本をどうするか
10 電子化された本棚を訪ねて
11 なぜ人は書庫を作ってまで本を持ちたがるのか
12 床が抜けそうにない「自分だけの部屋」
おわりに
参考文献

本で床は抜けるのか(amazonリンク)

ブログ内関連記事
「ぼくはこんな本を読んできた」立花 隆 文藝春秋
「世界屠畜紀行」内澤旬子 解放出版社
ラベル: 書評
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2016年07月25日

「書物史への扉」宮下 志朗  岩波書店

【目次】
秀麗なる写本たち
手稿と手職のたのしみ
民衆文化の世界
現実ではない場所に
印刷文化花盛り
本は生き残る、文芸の共和国に
カラー版 書物史への扉(amazonリンク)
ラベル:書評 扉絵
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2016年01月17日

「本を愛しすぎた男: 本泥棒と古書店探偵と愛書狂」アリソン・フーヴァー・バートレット 原書房

読み始めはビブリオマニア高じて、本泥棒ってのはよくある話でその中でも一癖も二癖もある悪い奴だけで何故か興味をそそられる・・・そういうのを期待していたのですが・・・。

読み始めて4分の1も過ぎないうちに、あれれ?これって単なるカード詐欺の話ではないかと思ってしまいます。カード詐欺の対象が稀覯本(といっても値段が高いだけで価値があるのか無いのか分からないような初版本とかも多数、装飾写本とかもあるにはあるけれど・・・)ってだけで、古書店組合の対応も当たり前過ぎて、古書を関連を期待して読むと失望します。

ずいぶんともったいぶったタイトルに副題ですが、本を盗む動機からして本を読むからでもないし、まあ、眺めるだけってのもいいんですが、本を持つことでステータス的に自分が上流階級の一員になったかのような感じが得られるという俗っぽい&安っぽい理由で興ざめも甚だしい限り。

過去に読んだことのある、この手のようなビブリオマニアのような狂おしいまでの所有欲とかこの本と狙いを決めたものに対するあくなく、ある種清々しいまでの純粋な執着心とかそういった類のものではなく、ベスト100に入った本を集めるとか、他力本願的な適当な収集態度が苛立たしいというか腹立たしい。

また、本泥棒に取材している著者も食い詰めたフリーのライラーみたいなノリで、本にも対して興味がないののに、一般受けするかな?程度の立場で取材して、本書が書かれているのが分かり易いくらい丸分かりで読者ンもテンション下がりまくり。こりゃ、駄目でしょ。

盗まれる対象の本も、HGウェルズの「透明人間」とかジョージ・オーウェルの「1984年」の初版とか、正直どーでも良かったりする。

著者はまずは「フィロビブロン」とか読んだ方が良いのでは?と思うぐらい、不案内感が甚だしく、泥棒さんに何度もインタビューして聞き出した内容が、社会への不満を自らの不正行為の正当化にすり替える程度の主著とは・・・・ね。

盗人猛々しいとは、まさにこの言かと。
それを適当に言い訳しながら、そのまま書いてる著者に対する不満の方が読んでいて爆発しそうになりますね。かなり不愉快でした。

一応、読了はしましたが、本書は全くお薦めしません。
モーガン・ライブラリーやアイン・ランドの「水源」も名前だけでスルーしてるし、なんだかねぇ~。

何でも集めたがるのは単なる俗物のミーハーでしかなく、この泥棒のどこが本を愛しているのか小一時間問い詰めたくなりますが、時間の無駄でしょうね、きっと。

ビブリオマニアに関する本や、本泥棒の話なら、もっと面白くて興味深い本がたくさんありますので本書以外の本を読みましょう♪
【目次】
序章 『薬草図鑑』
第1章 大古本市
第2章 本泥棒ジョン・ギルキー
第3章 仮釈放
第4章 金鉱
第5章 古書店主ケン・サンダース
第6章 透明人間
第7章 この男は嘘をついている
第8章 宝島
第9章 ブリック・ロウ・ブックショップ
第10章 狂人たち
第11章 怒り
第12章 快適な暮らし
第13章 自慢の息子
第14章 悪魔の散歩

本を愛しすぎた男: 本泥棒と古書店探偵と愛書狂(amazonリンク)

ブログ内関連記事
「書物への愛」リチャード・ド・ベリー 北洋社
「愛書狂」鹿島茂 角川春樹事務所
「ある愛書狂の告白」ジョン・バクスター 晶文社
「世界古本探しの旅」朝日新聞社
「書物の狩人」ジョン・ヒル バートン 図書出版社
「書物の敵」ウィリアム ブレイズ 八坂書房
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2015年12月19日

「中世イスラムの図書館と西洋」原田安啓 近代文藝社

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西欧中世に関心を持つと12世紀ルネサンスを待つまでもなく、イスラムの影響が多大であることはしばしば触れられている本を目にするが、本書はそれをイスラムの図書館史的な側面から記述したもの。

視点は類書であまり見ないものであり、内容自体も興味深いものがあるものの・・・。
なんていうか西洋を文化破壊者、文化的後進地域として貶めることでイスラム世界の偉大な文化的業績が不当評価されてきた歴史を批判することで、もって自分がその啓蒙者的な視点で本書書かれているんですが・・・。

正直、かなり鼻につくようないやらしさがある。

本書はあちこちに書き溜めたものをまとめたものらしいのですが・・・それはまあ、よくあることで別に問題ないのですが、普通本として一冊にまとめるのなら、当然、本としての体裁を保つために全体の整合性を取りつつ、加筆・修正・削除をするのが当たり前だと思うのです。

しかし、本書はその辺の労を厭って、手抜きしている感じがしないでもない。
というのは、本書を読んでいると同じフレーズというか同じ内容の文章がそっくりそのまま、何度か出てくるのですよ。なんなんだろうなあ~と思っていたら、おそらくあちこちに書いた際に、流用していた箇所を本書にまとめる際に綺麗に編集していないのですよ。

読んで、同じ個所が何度も出てきて、大変違和感を覚えました。

またね、イスラムを古典文化の後継者として文化の保存とその発展者として持ち上げるのは良いのですが、これまで西欧のアカデミックな世界からないがしろにされてきた「的な(?)」視点というのは、今のご時世としては周知の事実であり、私も冒頭で触れましたが、西洋中世の理解には歴史学者として古代ギリシア語、ラテン語に並び、アラビア語も必要とされるようですが、著者はその辺、ほとんど触れることなく、一方的な被害妄想に駆られて、あるいはそれに気付いた自らがまるで何か価値があるかのような論調で文章が書かれていて、これも大変違和感を覚えてしまいました。

そういう視点で本書を見ると、文献としていろいろあげているのですが、ぶっちゃけ、文献の引用もおかしく思えます。書名と頁数だけって、有り得ないでしょう。ちゃんと入っているものもありますけどね。

これで大学で講義って・・・・レベル低くない?
だって、どの出版社のいつに出版されたものかの情報がなければ、改訂版もあれば、他の出版社から出てる場合もあるし、特定できないでしょ、本が。特定できない本の頁数だけで何行からかも分からなければ、全くの無意味かと。

本を書く前に基本的なことをもう一度確認した方が宜しいかと?

更に言ってしまうと、イスラムについて書こうとしていてアラビア語とかイスラム側からの文献名を全く見つけられなかったのですが・・・???

おそらく一次資料の文献にはまったくあたることなく、二次資料以降の英語文献だけ(日本語もあったけれど・・・)あげられても、ごめん、信用できません。私には。
真摯な学究的な態度からは程遠いような?

まあ、グラナダやアルハンブラには実際行ったことあるし、イスラム圏のチュニジアも行ったことあるのでイスラム教世界の素晴らしさは私自身も実感として納得するし、理解もしますが、本書にはどうにも昔の学問もどきのノリがしてならない。

日本ではあまり知られていない情報(知識・知見)をいち早く、翻訳や解説等することで学問をしている。
もう、そういう明治や大正の時代とは違うのですけれど・・・。

イスラムの図書館制度の素晴らしさを伝えるのはいいのですが、二次資料以下の寄せ集めと聞きかじりでは本書の価値はあまり無いように思えてなりません。

テーマは素晴らしいのですが、「西洋」と対比させること自体がいやらしく、むしろ本来の中世イスラム(の図書館)の素晴らしさを徒に貶めている感じがしてなりません。

ところどころ、トピックとして面白そうな箇所だけ、こんな記事があると抜き書きされても全体としての深みがありません。WEBでよくあるまとめサイトみたい。

まあ、12世紀ルネサンスとか知らない人ならば、目からうろこで興味深いかもしれませんが、もう一歩深いところを期待していると、かなり期待外れかもしれません。お勧めしません。
【目次】
ギリシア・ローマ時代の図書館
古代との決別そしてイスラム教の成立と拡大
中世イスラムの図書館Ⅰ
中世イスラムの図書館Ⅱ
中世イスラム世界と西洋
イスラムの図書館に蓄えられた知、哲学・自然科学等の学問の業績
西洋への窓となった図書館 アラビア語からラテン語への翻訳と知の移転
中世イスラムの哲学・科学の受容と二人の碩学 トマスとベーコン

中世イスラムの図書館と西洋―古代の知を回帰させ,文字と書物の帝国を築き西洋を覚醒させた人々(amazonリンク)

ブログ内関連記事
「十二世紀ルネサンス」伊東 俊太郎 講談社
「十二世紀ルネサンス」チャールズ・H. ハスキンズ(著)、別宮貞徳(訳)、 朝倉文市 (訳)みすず書房
「アラビアの医術」前嶋 信次 中央公論社
「中世の大学」ジャック・ヴェルジェ みすず書房
「中世シチリア王国」高山博 講談社
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2015年12月14日

「古本の時間」内堀弘 晶文社

確かに古書店、古書に関する読み物。エッセイではあるのですが、自分の関心のあるジャンルとは全く違う「詩歌」とかがご専門の古書店さんらしく、正直、出てくる本自体については全く関心が湧かないし、知らなし、面白くもないです。

唯一ではないけれど、かろうじて知っていたのは、あの「彷書月刊」の立ち上げからずっとやられていた方なんだあ~ということぐらいでしょうか。

本来、全く面白くないはずの本なのですが、何故か思わず一気読みしてしまいました。

そうそう、いくつか気になった点をメモ。
今は亡き西武池袋のリブロ(今日行ったら、三省堂になっていた品揃えはリブロの時より駄目。まあ、aamazonとは違うリアル店舗の差別化を図ろうとしているのは分かるのですが、本好きがあんなの求めているのだろうか?ジュンク堂も広いのだけれど、品揃えのセンスが正直違う。商売は難しい時代なんでしょうね)のことが載っていた。

『感性』とか実体のない感覚をウリにしていたかつてのパルコのような、西武系のノリが溢れていたリブロですが昔は面白い店だったんですけどね。急速につまらなくなって行かないようになっていたけれど・・・・。

まあ、それはおいといて、池袋リブロの元店長さんのこととか書かれてました。
あとあそこに、そうそう、絶対に客もいないし、売れてもいなさそうな詩とかを扱った一角があったのですが・・・・。私も1回だけ何か買っただけで、あとは冷やかしで見るだけでしたが・・・その割には何度もうろうろしてましたが、あそこに関係していた方だったんですね。

どうやって、このスペースでこの商材でビジネスが成り立つのだろう???
とずっと、不思議に思いながら、横目でみていましたが・・・なんか懐かしい。

他にはない本を確かに取り扱っていたと思います。
私が欲しいものは、何もありませんでしたが・・・。

次に署名本の話。
亡くなった作家の署名本は値段が上がるか否か?
「・・・作家の寿命は同時代の熱心な読者の寿命と重なっている。あす時代を象徴するような作家に出会い、夢中になって読み、限定版が出ればそれを買いそろえる。持ってない初期作品はボーナスが出れば古書店で買う。そうした作家の寿命を全うした後には、熱心な読者の蔵書があちらから、こちらからと古書の入札に出始めるものだ。しかし、それを熱く求める需要はもうない。だから安くなる。」

まさに、その通りなんでしょうね。
私が1冊1万円以上も出して渋澤や三島の雑誌「血と薔薇」とか集めてましたが、安くなったものね。
渋澤さんの初版本なんか暴落して二束三文で売られているのを何度もみました。

あれを高く仕入れていた古書店さんはたくさんいたのでしょう。
古書市や古書店のあちこちで見かけます。
持っているけれど、あまりになんか残念でついつい買ってしまうのですが・・・置き場所がね。
まあ、独り言です。

そうそうBIGBOXの古書市がなくなったのも本書で知りました。
時々行ってたんですけれどね。学生時代から・・・あまり良い本は無かったけれど・・・。

あと興味を惹いたのは建国大学の第1期卒業生アルバム。
「『虹色のトロツキー』(安彦良和)・・・。
「虹トロ」と呼ばれたこのコミックは満州の首都に作られた建国大学から物語が始まる。面白かった。この大学は石原莞爾が唱えた「五族協和」「アジア大学構想」を実現したもので、学風は自由闊達。第1期制覇わずは141名で日本人は半分。あとは満州、台湾、朝鮮、蒙古の学生だった。教員の側もそうだ。客員教授にモスクワを追放されたトルツキーを招聘しようとしたが、それがタイトルの伏線にもなっている」

これって満州建国大学のことだよね。
確か今でも司法試験とかの受験資格のところに書かれていたはず。
満州国関連は未だに実に興味深い。

読後感は悪くなかったです。
【目次】
I 降ってくる“虹の破片"を買って(二〇〇二~二〇〇五)
日録・殿山泰司と沢渡恒
神保町と山口昌男さん
テラヤマを買う
読書日和――本作りの現場の本
追悼 岩森亀一(古書店・三茶書房店主)
古本屋の雑記帳
コルシカさんのこと
古書肆の眼・日録(I)

II まるで小さな紙の器のように(二〇〇六~二〇〇九)
吹きさらしの日々――『古本屋残酷物語』を読んで
日記の中の――『ある古本屋の生涯』を読んで
ちくまの古本
古本屋大塚書店
優れた火災の完了――詩人塩寺はるよ
あのとき、あの場所の一冊――中勘助『飛鳥』
まるで小さな紙の器のように――詩集の古本屋
消えた出版社を追って
岩佐東一郎のこと――『書痴半代記』解説
深夜食堂
古書肆の眼・日録(II)

III 驚くような額を入札し、それでも買えない(二〇一〇~二〇一三)
古本の時間
四十一年前の投稿欄――詩人 帷子耀
ドン・ザッキーの背中――『ある「詩人古本屋」伝』
『彷書月刊』のこと
追悼・田村治芳(『彷書月刊』編集長・なないろ文庫ふしぎ堂店主)
書物の鬼
冬の音
年末年始古本市場日記(二〇一二~二〇一三)
古書肆の眼・日録(III) あとが
古本の時間(amazonリンク)

ブログ内関連記事
「古本屋さんの謎」岡崎 武志 同朋舎
「古書法楽」出久根 達郎 中公文庫
「古書ワンダーランド1」横田順弥 平凡社
「ぶらぶらヂンヂン古書の旅」北尾トロ 風塵社
「ニューヨークの古本屋」常盤新平 白水社
「古本屋の来客簿」高橋輝次 燃焼社
「神保町の虫」池谷 伊佐夫 東京書籍
「古書街を歩く」紀田 順一郎  新潮社
ラベル:書評 古書
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2015年09月28日

「本の世界はへんな世界」高宮利行 雄松堂出版

もう何冊も著者の本を読んでいるが、本書もいつもと同じ系列の本です。
決して役に立つ、とかビジネス書とか、文芸書とか小説とかとも全然違う系統の本です。

逆に言うと、普通の人ならば全く役に立たないし、面白くもない無用の長物のような本です。

但し・・・ごく一部の人にはとっても面白くて為になる本だったりするかも?

私はごく普通の本好きですし、中世の写本も大好きだけれど、読んで役に立つとかそういうレベルではなかったりする。でもね、面白いです。とっても興味深いです。

出版してるところも雄松堂だしなあ~。
以前、エジプト詩のエレファント版触らせて頂いて、ちょっと(いや)かなり・・・嬉しかったりする。

家も買ったばかりですが、少しは本を置くスペースも出来たから、株でもう少し儲かったら、本買い込みたいなあ~。さて、本書の内容について。

いつもながらの著者のエッセイです。
ご専門のイギリスの中世文学、写本等の業界っぽいお話がたくさん伺えます。
また、あちこちに同好の士ではありませんが、お知り合いがいて、いろんなものを実物で見られていて羨ましい限り♪

研究者と異なり、一般人はその辺りの閲覧ができないのが悲しいですね。
まあ、その辺はキリがないので研究者と対応が変わるのは致し方ないのかもしれませんけど・・・・。

もっとも今はネットでかなりの数の写本を見れるし、WEB上でOCW(open course ware)とかで大学の講義を聞けたりするんだから、大変良い時代ですね。

本人のやる気さえあれば、いろんなことがいながらにして学べるなんて、本当に素晴らしい時代です。
もっともネトゲやLINEぐらいしか利用しない輩には、猫に小判かもしれませんが、それは人ぞれぞれの価値観ですからね。深くは突っ込みません。

とにかく、お好きな方には大変面白い本です。細切れの切れ端ではありますが、豊富な情報があちこちに転がってますので、本書のキーワードを元に、調べれば調べるだけ、いろんなことが得られそうです。

どこもまでやるかが読み手の力量を問われるのでしょうが・・・・。

本書は著者の個人的関心事、人脈、日常等をトピック毎にメモ的に記したものです。
でも、私には大変面白かったです。

『中世』『写本』『古書』『書誌学』etc.
この辺のキーワードに関心がある方はまず一読をお勧めします。

役に立つとは言えませんが、上記の単語に反応する人ならば、決してつまらなくはないかと思います。
需要がないからか、値段の高い本ですが、特定の人には買って手元に置いておいていい本だと思いました。
【目次】
第1章 やめられない古書店通い
第2章 書物史
第3章 愛書家倶楽部
第4章 写本研究
第5章 追憶の人々
第6章 HUMIプロジェクト
第7章 蔵書コレクション、オークション
第8章 盗品、書物破壊
第9章 珍本、稀本
第10章 カリグラフィー
第11章 古書往来
本の世界はへんな世界(amazonリンク)

ブログ内関連記事
「西洋書物学事始め」高宮 利行 青土社
「グーテンベルクの謎」高宮利行 岩波書店
「新・大英図書館への招待 The British Library Souvenir Guide」Heather Crossly、Ann Young ミュージアム図書
「キャクストン印刷の謎」ロッテ ヘリンガ 雄松堂出版
ラベル:古書 書誌学 書評
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2015年07月15日

「西洋書物学事始め」高宮 利行 青土社

本書は月刊誌「ユリイカ」に連載されていたエッセイをまとめて、そこに関連するものを増補した一冊だそうです。その為、基本的に1章毎に独立した読み物になっていて、気に入ったものをパラパラ斜め読みもOKな本となってます。

もっとも・・・読書好きというか古書マニアタイプの方なら、どれも興味深い内容で全てあっという間に読了してしまうと思いますけれど・・・。

内容は本に関する書誌的な話や書物の歴史、古書にまつわるエピソードといった感じの雑多な情報が盛り込まれています。しかも・・・・普通に生活する分には全く使用しないたぐいの、純粋に趣味の人向きの情報、知識ですけれど・・・ね(笑)。

それでも私は気に入りました。
図書館で借りた本でしたが、改めて購入して手元に置いておくつもりです。

写本や初期印刷の話は、本書よりも詳しく書かれた本を何冊も読んでいるので特に目新しさはありませんでしたが、でも恥ずかしながらハーフタイトルとか全然知りませんでした!

あと本に囲まれたイギリスでの大学生活の話は、別の数学者さんの本でも書かれていた状況から推測はされたものの、やはり羨ましい恵まれた環境ですねぇ~♪

まあ、ないものねだりしてもしょうがないしね。
今の生活のままで自由に本を読む時間のある生活ができれば、その程度で私は満足なんですけどね。
働かなくても生活に困らないだけのお金を得る方法を見つけないと!
それが見つからない限りは、致し方ない、日々の奴隷的労働に勤しむっきゃないですね。
去年買ったおうちのローンも早く払い終えねば!!

その前に早く部屋の荷物を片付けて、本棚を二竿ぐらい増やさないと、本があふれそう・・・・。
先週末に購入したソファも今週、納品されるし・・・・やることいっぱい・・・・orz。
お庭の草むしりに、ペーパードライバーから脱却する為の練習も待ってる・・・・。

どう考えても仕事をする暇なんてないのに、転職の準備もしないとねぇ~。
溜まってる積読本の消化もしないとネ。
【目次】
1 ペンと剣は両立する?―写字生のイコノグラフィー
2 「大破門」から蔵書票へ―中世人はいかにして本を守ったか
3 鵞ペンから鉛活字へ―中世ヨーロッパの写本生産と初期印刷術について
4 活版印刷所のイコノグラフィー―グーテンベルク革命の終焉をみつめながら
5 樽詰め輪送の書物―イギリスでも装飾されたグーテンベルク聖書
6 本を寄贈するのもむずかしい―ピープス図書館に入れてもらえなかったキャクストン写本
7 これがないと古書の価値も半分に―ハーフ・タイトルの歴史的考察
8 文人、パトロンと出版者―だれが一番強いか
9 歴史をもてあそんだ男―18世紀イギリスの偽作者チャールズ・バートラム
10 閉ざされた図書館?―カーライルとロンドン図書館150年
11 109年後にやっと日の目を見た木版画―ケルムスコット・プレス以前の出版人モリス
12 若きモリスと『アーサー王の死』―書物史的観点から
13 書誌学者ジェフリー・ケインズの誕生―学術書の出版を考える
14 物惜しみしない偉大なコレクター―アーサー・ホートン・ジュニアの一周忌に
15 稀覯書よりワインに淫して―あるビブリオフィールの1日
本・本・本―ケンブリッジの書物人
西洋書物学事始め(amazonリンク)

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「書物との出会い」紀田 順一郎 玉川大学出版部
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「愛書狂」鹿島茂 角川春樹事務所
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「グーテンベルクの時代」ジョン マン 原書房
「中世ヨーロッパの書物」箕輪 成男 出版ニュース社
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ラベル:書評 書誌学 古書
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2015年03月22日

「書物と愛書家」アンドリュー ラング 図書出版社

【目次】
ウルズリー子爵夫人へ
エルゼヴィル本
理想と現実のバラード(2回繰り返し)
教区記録の骨董品
ロウファント本―ロンド形式のバラード
F.L.へ
日本の幽霊譚
書斎の幽霊
文学作品の贋作
フランスの愛書狂
古いフランス本の題扉
愛書家の煉獄
手の届かないものへ捧げるバラード
女性書物愛好家
書物と愛書家 (ビブリオフィル叢書)(amazonリンク)
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2015年02月15日

「書物との出会い」紀田 順一郎 玉川大学出版部

昭和51年に著者が若い人向けに書いた本。
出版社も大学だし、著者も若かった頃のものなので正直、内容もまだまだ薄っぺらで青い感じがしてならない。

何の役にも立たない、ただひたすら自己満足で自己完結的、自己充足的な読書生活を目指し、それを望む私には余計なおせっかいのようなアドバイスの本にしか見えないが、まあ、こういうのもありかもしれない。

そうそう、本書で初めて知った単語「淫書」。
猥褻とか淫らなとか、そういう系の本ではない。勿論。
「書に淫する」
会社に勤めていては、本が読めないからという理由で会社を辞めた立花氏にその点だけは、大いに共感を覚えた点をふと思い出した。

体系的な読書、全集の読破、年間の読書計画等々。
申し訳ないがそんな読書は私は嫌だし、嫌いだな。
というか手当たり次第にひたすら濫読。
興味を持ったら、その著者、テーマ、企画、参考文献、関連資料等をひたすら追い求めて、結果的にある点で体系的・網羅的になるのは良いが、それを最初から企図するのは、個人の趣味的読書としてはあんか違うような気がしてならない。

もっとも・・・著者が若者に勧めているのは、そもそも趣味的読書ではなくて、読書を通した人生への有意義な指針的なものなんだろうねぇ~。

まあ、どうでもいい感じの本でした。
紀田氏の著作としては、個人的には外れですね。

書物との出会い―読書テクノロジー (1976年)(amazonリンク)
ラベル:書評 読書
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2014年10月15日

「新書百冊」坪内 祐三 新潮社

どんな読書好きの人が書いた本かなあ~と思って読み始めたのですが・・・。
著者さんは早稲田の英文学の学者さんらしいです。

学者が本読むのは、当たり前過ぎるくらい当たり前の話ですが、どんだけマニアックな読書家と
思ったら・・・う~ん、残念。

生粋の読書家ってことはないですね。
別にだからどうってわけでもないのですが、どこにでもいる単なる本が少し好きな人レベルではないかと・・・。

紹介されている本のリストが一覧で分かり易くついていて、読書ガイド的な側面も持ち合わせているのでしょうが、驚くほどに私の趣味と合わない。しかも、本文で出てくる本、著者が紹介する本、その内容、これまた全く私の興味をひくものがないうえに、ほとんど知らない本ばかり。

別な意味で驚きましたよ~。

少しぐらい興味がかすってもいいと思うのだけれど、著者の読書経験から何から何まで本当に興味がなくて、それでも本書を読み通した私って馬鹿?ってて感じですね。

あまりにもつまらなくて、まさかこれで終わりじゃないよねって、別な意味で期待して読み進んだ結果がこれとは・・・。

少なくとも私の興味あるテーマに好奇心のある方には、本書はお薦めしません。
絶対にがっかりします。

もっと、私的には面白い新書ってたくさんあるはずなのにねぇ~。
恐ろしいほど、本書で出たタイトルは私が必ずスルーするタイプの本ばかり。
もうちょっと、本を読まれると良いかと・・・老婆心ながら著者を心配しちゃうけど、余計なお世話なんでしょうね。つまらない本でした。
【目次】
第1章 自らの意志で新書本を読みはじめた頃
第2章 新書がどんどん好きになっていった予備校時代
第3章 新書で読んだ読書ガイドと読書法と書斎の話
第4章 講談社現代新書のアメリカ文化物は充実していた
第5章 やがて来るニューアカ・ブームを前に
第6章 作家の書いた新書本とお勧めの伝記物
第7章 新書で近代日本の文化研究をする
新書百冊(新潮新書)(amazonリンク)
ラベル:書評 新書
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2013年06月09日

「書物の世界の三十三年間の冒険」デヴィッド カスバートソン 図書出版社

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いかにも古書好きのマニア向けのビブリオフィル叢書の中の一冊。
図書館の職員を長年続けたイギリス人の図書館にまつわるエッセイ。

図書館で供される書物のうち、大衆の知識や教養の向上に資するものではないものとして低俗な小説などがあげられているが、中身のないエッセイも同様に役に立たないような気がしてなりませんでした。

本書も当然のそのエッセイの一つに含まれるかと。

図書館に限らず、どこでもあるような話をダラダラとまさに中身の無いエッセイとして書き綴っています。

一見すると同じようなエッセイに分類させるかと思われる『書物への愛』『書物の敵』などと比べると、雲泥の差かと。あちらは、読んでいて大いなる共感と驚愕、大いなる示唆に富んだものでしたが、本書レベルではねぇ~。

何も得られるものなどないかと。
日々の日常の自分の仕事からの方がはるかに、人間社会や人間個々人への洞察力は磨かれるように思います。

それなりに情熱を傾けてやっていらっしゃったのでしょうが、そんなの当たり前としか申し上げられません。その情熱に+αした何かが無ければ、読む価値はないかと。

読書好き、本好き、どなたにもお薦めするだけの価値を見出せません。
古書としても誰からも需要が無いのもむべなるかなと・・・・。
【目次】
1章 最初の図書館長とそれ以後
2章 図書館とその利用者
3章 図書館利用者の奇行、その他
4章 図書館員とその諸問題
5章 昇進にまつわる逸話
6章 副館長の気晴らし
7章 作品あれこれ
8章 読書室の学生、その他
9章 図書館員の宗教、その他
10章 記念すべき学生の勝利
11章 R.L.スティーヴンソンとオリヴァー・ゴールドスミス
12章 奇妙な書名と蔵書目録
13章 埃、寄増図書、そして幸運
14章 趣味としての製本、その他
解説・英国図書館断想
書物の世界の三十三年間の冒険 (ビブリオフィル叢書)(amazonリンク)

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「書物への愛」リチャード・ド・ベリー 北洋社
「書物の狩人」ジョン・ヒル バートン 図書出版社
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2013年02月18日

「書物の狩人」ジョン・ヒル バートン 図書出版社

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高田馬場の古書店で見つけた本。ちょっと前に読んだ「書物への愛」の類書かなあ~と思い、購入して読んでみました。

結構、分厚い本です。定価も半端なく高い。
でもねぇ~、内容は正直それでも面白いと思えません。

前半の1部・2部まではまあ、なんとか書痴についての一般論なので、ある程度共感を持ち、独特の癖のある文章でも読んでいけるのですが・・・・。

後半は、もうイギリス限定のかなり特殊なカテゴリーの話なのでね。
単なる本好きや古書マニアでは、ちょっと内容についていけないかも? つ~か、特殊な関心のある人以外は全然面白くない。

単なる私の無知と好奇心の範囲の狭量さかもしれませんが、読んでいてもなんだかねぇ~。前半もダラダラしてましたが、後半はその苦痛な退屈さが増していきます。読んでていて、眠くてたまりません。

そうそう、本書、本文自体は半分で残り半分近くの分量を注釈が占めています。
丁寧っていやあ~丁寧ですが、正直、そちらまで読む気力も興味も持てませんでした。

本文のみ読んで、その辺はスルーしました。

前半は稀稿本やビブリオマニアに関する一般的な知識がいろいろ紹介されていますのでそこぐらいかな?
読んで価値あるのは。

フィロビブロンや黄金伝説とか、個人的に関心のあるのが記述されていたのでそこはまあ確認の意味も含めて読みました。でも、本書、手元に置いて置くべき本ではないなあ~。

だからこそ、古書価がかなり安いんでしょうね。私も本書は手放す予定です。
【目次】
第1部 猟書家のさが
第2部 その役割
第3部 ブック・クラブ
第4部 ブック・クラブの手がけた書物
書物の狩人 (ビブリオフィル叢書)(amazonリンク)

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「ある愛書狂の告白」ジョン・バクスター 晶文社
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2012年12月09日

「書物への愛」リチャード・ド・ベリー 北洋社

幾つかの出版社から出ているみたいですね、本書。

私が購入して読んだのは北洋社のもの。一番入手し易いのは講談社学術文庫かな~。
1972年のものが本としては一番立派でカッコ良さそうですが、本書の「解説」はすごく内容豊富で一読の価値あるものだから、この「解説」も必ず読みましょう。これが実に生きてくるので。

さて本書ですが高田馬場の古書店をぶらついていて、ツレが見つけた本です。
本の目利きについては、残念ながら、私の方が確実に負けていますね。まあ、競うような話でもありませんが・・・(負け惜しみ)。

装丁はシンプルですが悪くなく、内容を見ると中世に書かれた書痴(もどき?)の本収集癖の話でしょ。
当然、薔薇の名前などを頭の片隅に浮かべながら、興味津々だったりします。
しかも世界初の愛書家について書かれた本として、有名な古典らしく、なんか私のようなタイプには必読書かと・・・。手に取るまで知らなかった自分の無知は置いといて・・・。

実際、読む前の購入段階では、荒俣さん的な有り金を稀覯本購入につぎ込んでしまうおたくタイプの人が、他人からの批判を避けて自己弁護する為、自己正当化の言い訳を書き連ねているかと思い込んでました。

勿論、建前は公益に資するような大義名分もあり、そして自己正当化もどう取繕っても大いにあるのですが、それ以上に本書が書かれている動機は奥深いです。

逆に、本書の文章だけではその辺分からず、「解説」で本書の著者の時代的・思想的背景を知って、初めて本書で書かれている書物収集(=書物への愛)が個人を越えて、当時、中世のおかれた時代的状況下で別な意義を有するのが分かるのも新たな発見でした!

「解説」を読んで、文中に確かにアリストテレスへの言及が、イエス・キリストよりもはるかに多く、著者がアリストテレス的きりスト教解釈の教育を受け、それに基づいて本書を書かれているのも納得しました。

読んでる時にも確かにアリストテレス哲学への言及やら、新プラトニズムのディオニシウスの「神名論」や位階等、12世紀ルネサンスを確かに感じます。

もっとも、当時著者はペトラルカとの親交もあったようで、それって先週読んだ「ルネサンスの神秘思想」とまさに繋がる中世からの一連の流れだったりする。本書の著者もユマニスト(人文主義者)の先駆けって訳になりますね。

ずばり結論から言ってしまうと、(16世紀の)ルネサンスを準備するギリシア・ローマの古典籍の収集・発見・翻訳は、全て本書でいう「書物への愛」の結果であり、それらを支えるものこそ、まさに書籍収集に他ならない、のであったりする!!

話が前後するが、本書は神の世界(=キリスト教的世界)を守り、広めていく為のキリスト的闘士の武器として、真理を、知識を求め、その手段として書物を集めることを説いている。

本人も最終的には英国ダラム教会(あのリンデスファーン修道院の系列)の司教にもなってるし、英国の外交官として、アビニヨンの頃の法王庁へも行ってたらしい。

そもそもが英国王エドワード三世の教育係をやっており、その教育を受けたエドワード3世が異端とされたあのウィクリフを擁護したりと、なるほどねぇ~と思わずにはいられません。アレキサンダー大王の家庭教師はアリストテレスだったしね。教育の影響はかくも多大なものがありますから。

そうそう、神の世界を語る知識を得る為には、それ以上の価値のあるものなどこの世には無いので、どんなに高価であろうとも価値ある書物を購入することを躊躇ってはならない、的なことなども書かれてあり、高い金出して本を買い漁る著者への批判を誤解だと退けている。

俗物の私には、奥さんに「また高い本を買って~」と叱られた旦那さんの言い訳にも聞こえるが、それは俗人の浅慮に過ぎないであろう。

著者はどこに行っても教会やら学校やらがあると立ち寄り、忘れ去られた書物を救い出そうと頑張ってたそうです。金に糸目をつけず、外国の書籍商も骨を折って、本を探し出し、わざわざ、海外から相応の費用を払って、本を送ってくれるそうで、著者はそれらの苦労に見合うだけの費用込みで代金を払っていたそうです。

更に更に、托鉢修道士のドミニカン(ラッツィンガーさんとこですね)にも多額の援助をして、陰に日向に面倒を見たそうで、その見返りではないが、世界の津々浦々まで彼らが説教に向かった先で、猟犬宜しく書物を狩り出し、本を集めてきてくれたそうです。

組織力の勝利!

おまけに英国の有力な政治家で兼、外交官であり、内外から便宜を図ってもらおうとプレゼント攻勢を受けるそうですが、自分は清廉潔白だから、金品には心動かされないといいながら、代わりに貴重な書物を贈ってもらっていると臆面もなく、言い放ったりする。

しかも、もらった分以上に、相手に良くしてやっているとか言っちゃうし・・・オイオイ。

写本しかない時代に、個人で1500冊以上の本を収集したそうで、まさに非凡なコレクター以外の何者でもないです。そんな人物の書いた本の本ですからねぇ~。まあ、そりゃ必読の本ですね、書痴としては(笑)。
(まあ、私ごときでは書痴見習いにもなれませんけどね)

そうそう、集めた本を学ぶ意欲のある学徒に貸し出す図書館の運営の規則まで提言していたりする。
保証金を預かって盗まれたり、痛めたりされないようにし、複数人の管理者を置く等、いかに真剣に考えていたかも伺えます。

同時に今の学生もそうだけど、本を開いたはいいが、本を枕代わりにして寝る奴とかよだれで本を汚す奴。
食べ物を食べながら、脂まみれの汚れた手で頁をめくって、本を汚す奴、などなど、著者ではなくても真っ先に排除したい輩も具体的に例示されています。

どこぞの大学の図書館にいる馬鹿な大学生達と様子が重なります。
無知なのに、知ったかぶりをして有害以外の何者でもない愚か者など、著者の語る言葉は現代にも通じ、共感の念を覚えずにはいられません。

馬鹿は本など読まなくてもいいし、勉強する意欲も能力もないものに私学助成金などばらまいて、学士に値しない学生を量産する私立大学もいらんよなあ~。国立も各県に一つ、必要とは思えませんしね。
高校さえも過半数は、その存在意義にはなはだ首をかしげるレベルですし・・・。

とまあ、民主党批判は置いといて。

普通の本好きには、本書は決して面白くはないです。
古書好き向きに、良く出ているような無駄話を集めた類いの本ではないので。

でも、一部の人には、大変興味深くて別な意味で好奇心をそそられる本です。
最低限の中世についての知識は必須ですね。
本書を読んで、面白く感じるには。

ちなみに、本書自体もラテン語から直接日本語に翻訳されており、注釈もついていますが、これがなかなか有用で、きちんとした教育を受けた人が真面目に翻訳に取り組んだことが良く分かります。

ラテン語の原著を読んでみたいなあ~と思ってしまいますね。
とさっきまで読めもしないフランス語の写本の本を眺めてた私が生意気に言ってみる。

英語なら、無料でテキストあるかな?
ネットで探してみよっと。

決して万人向きではありませんが、本書はなかなかに味わい深くて面白い本でした。
原著の著者の死後、蔵書は母校のオックフフォードへ寄贈されたようですが、だいぶ借金もあったようで(金に糸目つけず、集めちゃったから)、蔵書は散逸してしまったそうです。

そういった意味でも教訓深いです♪

せっかくだから、ここまで読んでくれた人に教えますね。
amazonのkindleアプリ入れているならば、英語版ですが無料で読めますよ。
http://www.amazon.com/Love-Books-Philobiblon-Richard-ebook/dp/B0082Z5COO/ref=sr_1_3?s=books&ie=UTF8&qid=1355066132&sr=1-3&keywords=Richard+de+Bury

アメリカのamazonで0円購入できます。
確かgooglebooksでも無料で公開されてたので、そちらでも良いかも?

良い時代になったもんです♪
【目次】
第一章 知恵の宝はおもに書物のうちに収められている
第二章 書物をどこまで愛すべきか
第三章 書物の購買価格
第四章 すでに地位を得た聖職者に対する書物の不平
第五章 裕福な修道者に対する書物の不平
第六章 托鉢修道者に対する書物の不平
第七章 戦争に対する書物の不平
第八章 書物の収集の機会は多かった
第九章 古代の作品を愛するが、現代の研究をないがしろにしない
第十章 書物の斬新的完成
第十一章 なぜ法律書よりも人文系の書物を好むか
第十二章 なぜ文法書をかくも熱心に改訂させたか
第十三章 なぜ詩人の作品を削除しなかったか
第十四章 熱烈な愛書家とはだれか
第十五章 書物への愛がもたらす便宜
第十六章 新たに書物を著し、また改訂することは、いかに価値があるか
第十七章 書物の保存に払うべき適正な配慮
第十八章 この書籍収集は学徒の公益を目的とし、自己満足のためではない
第十九章 学徒への書物の貸出方法
第二十章 諸学徒が敬虔な祈りにより、この好意に報いるように勧める

解説・新版へのあとがき 古田 暁
書物への愛―フィロビブロン (1978年) (北洋選書)(amazonリンク)
フィロビブロン―書物への愛 (講談社学術文庫)(amazonリンク)

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2012年09月17日

「東京古本とコーヒー巡り」交通新聞社

tokyofuruhoncoffee.jpg

うん、内容は無いです。
レイアウトや中身の構成、写真などは結構凝っていて、まさにどっかでお茶しながら、眺めるタイプの本。

実際、ファミレスで疲れた足を休めつつ、時間つぶしに眺めてたし・・・。

何度も行って、良く知っている本屋さんがたくさん出ているけど・・・・まあ、なんだ、古書店の雰囲気は好きだけど、結局、珍しくて自分の関心を惹く本が安く入手できるか否かなんだよねぇ~。

最近は、ネットのおかげか古物なのに、一物一価(ニアリーイコール 最低価格で並ぶ)が現実になってしまい、安きに流れてしまっているからなあ~。

洋書だって、直接海外のamazon他、大手の古書店から直接購入しちゃうのが当たり前になりましたからねぇ~。1週間で届くから、下手したら国内で店舗の在庫切れの本、頼むより早かったりする。

特徴のある古書店には、是非、たくさん存在して欲しいんだけど、実際、欲しい本が古書店で見つかることって稀なんだよねぇ~。本当に最近は、それが顕著で古書店巡りを控えていたりする。古書市行っても掘り出し物、無いからなあ~。

まあ、非売品やら存在自体を知らない本など、情報としてWEB上に存在しないものとかもたくさんあるからねぇ~。回数減っても、実際にそういう場所に行かなくなることはないんだけど。

とまあ、ぐだぐだになってしまいますが、本書では古書店巡りの方法を、まさに「散歩の達人」のシリーズらしく、初心者でも敷居が低くなるように紹介しています。

今までその手の世界を知らなかった人には、良い入門書かもしれません。ただ、あくまでも初心者向きですね。

ちょっと知っている人には、甘ちゃん過ぎて、欲しい本を獲得出来るとは思えません!ってな具合のレベルですが、みんながみんな書痴になっても困りますからね。この程度のレベルで宜しいかもしれません。

本を売るターゲットは広く浅くパイの大きい初心者向きが一番でしょうし。(元々のパイが小さそうだしね)

でも、写真とか含めてこの本をモノとした時に見た目綺麗にまとめっていて、良い印象の本ですね。読み飛ばし系。中身ではなく、ファッションで読書しちゃうような人には、これも読んでるうちに含めるんでしょうし、あってもいいんじゃないでしょうか。

内容は物足りないんだけどね。本当に軽くてさ。
【目次】
古本散歩の「甘い時間」
神保町の扉
古書店案内
本の街 神保町の歩き方
(書肆アクセス 畠中理恵子)
本の街の喫茶案内
東京読者装置
山手下町の扉
古書店案内
首都圏古本クタクタ日記(今柊二)
即席 東京文学散歩
「珈琲店の書棚」(大坊珈琲店 大坊勝次)
読書喫茶9選
山手下町の扉
古書店案内
首都圏古本クタクタ日記(今柊二)
即席 東京文学散歩
「珈琲店の書棚」(大坊珈琲店 大坊勝次)
読書喫茶9選
中央線沿線喫茶店紀行
夜と古本のある時間/
寄り道読書の常夜灯
オンライン古書店という選択
光る網の彼方に浮かぶ~机上散歩者のための電脳古書店案内
この一冊から始まる 古本散歩の愉しみ
神保町古本採集
東京古本とコーヒー巡り (散歩の達人ブックス 大人の自由時間)(amazonリンク)

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「ぶらぶらヂンヂン古書の旅」北尾トロ 風塵社
「古書店めぐりは夫婦で」ローレンス ゴールドストーン, ナンシー ゴールドストーン 早川書房
「古本屋さんの謎」岡崎 武志 同朋舎
「古書法楽」出久根 達郎 中公文庫
「ブックハンターの冒険」牧真司 学陽書房
「世界古本探しの旅」朝日新聞社
「ヨーロッパ古書紀行」文車の会 文化出版局
「それでも古書を買いました」鹿島 茂 白水社
「世界の古書店」川成洋(編) 丸善
「関西赤貧古本道」山本 善行 新潮社
ラベル:古書店 散策 古書
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2012年05月13日

「図説図書館の歴史」スチュアート・A.P. マレー 原書房

history_library.jpg

この本は値段も高く、分厚くて重いが、実にたくさんの図版やイラストが入っていて見ていてもとっても楽しい。更にこの手の本の場合、内容も普通なら、どうしても総花的なものとなり、ダラダラとした薄っぺらな文章が続くのですが、本書の場合、決してそんなことはありません。

勿論、私ももっと詳細に論述した本をたくさん読んでいた中世の写本関係については、少し疑問を差し挟みたいような記述がありましたが、それでも総合的に見て、本書の内容は、十分に満足のいく内容だと思いました。

例えば、古代より本は、宝石や貴重品同様の宝物であり、自ら資金を投じて生み出す方法もありますが、それ以上にポピュラーな獲得の方法として、戦争等に付随して略奪によって一気に質の充実と拡充を図るっていう方法が説明されていました。

その話は知っていましたが、本書の記述を読んで改めて、目から鱗でしたね、私にとっては。

チェコで作成された『悪魔の聖書』(devil's bible)がスウェーデンに略奪された実際の話は、うちのブログでも採り上げていましたが、それが実に普遍的な稀覯本獲得の方法とは!ねっ!
(う~ん、納得です。買って集めるなんて、所詮、たいしたコレクションにならないし、ルーブルしかり、大英博物館しかり、やっぱり力で奪わないとなのねぇ~。ウンウン!)

あと、普通ではあまり触れられないイスラム圏の図書館の話なども面白かったです。

図書館が果たす役割、求められた存在意義が時代によって、さまざまに変化していく部分もかなり興味深いです。著者がアメリカ人で、アメリカの図書館の普及について必要以上に紙数をとっているのは、個人的には少しもったいない気がしましたが、カーネギーの有名な慈善事業の一環として、アメリカ全土への図書館建設にも膨大な資金を出していたことは、初めて知りました。

しかもどっかの国の箱物行政とは異なり、地元でしっかりと運営する覚悟があり、相応の負担を含めて意欲のあるところへ建設資金提供という点は、今に続くアメリカの良識と見習うべき点を強く感じました。

そうそう、付録の世界の図書館。これがまたイイ! 
説明を読み、写真を見るだけでも十分に楽しいです。
基本的に私もいろんな国の図書館に行ってみたいと思っているだけに、こういうの大好き!

7月にイタリア行ったら、図書館とかも寄ってみたいな?

最後に、本書の著者はちょっと意外でしたが、学者さんではありません。歴史ノンフィクション作家さんだって。でも、よ~く調べて書かれていますし、勉強にもなります。何より、本好きには面白いと思う。

1ヶ月ぐらい前に借りて読んだ本ですが、これは購入しておいて損はないかと。
未だに、1回読んだ時の記憶だけでこれだけまだ書けるということは、それだけ印象に残った本でした。

部屋に本を置くスペース空いたら、買って手元に置いておこう。本が重いのが、いささか難点ですが・・・。
床が抜ける・・・・(涙)。
【目次】
第1章 古代の図書館
第2章 中世ヨーロッパの図書館
第3章 アジアとイスラーム
第4章 ヨーロッパの中世盛期
第5章 ルネサンスと宗教改革
第6章 啓典の民
第7章 戦争と黄金時代
第8章 北アメリカの植民地の図書館
第9章 黎明期アメリカ合衆国の図書館
第10章 図書館運動
第11章 知識の整理
第12章 図書館、図書館員、メディアセンター

付録 世界の図書館
図説図書館の歴史(amazonリンク)

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バチカン秘蔵資料がインターネット上に公開
"LUX IN ARCANA"-THE VATICAN SECRET ARCHIVES REVEALS ITSELF
「図書館読本」本の雑誌社
魔女と錬金術師の街、プラハ
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大英図書館、シェークスピア作品の原本画像をネットで公開
「物語 大英博物館」出口 保夫 中央公論新社
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2012年02月19日

「近代「出版者」の誕生」箕輪成男 出版ニュース社

この著者の本、何冊か読んでるけど・・・写本関係の時は面白かったけど・・・もう、駄目かもしれない。

今までも他の本読んでいて、時々感じていたけど、この著者、大学の出版関係の人なのですが、全然一次資料当たらないんだよね。

いっつも二次資料とか孫引きの3次以降の資料とか、あまりにも手抜き過ぎるよねぇ~。

研究者として、正直どうよ?って思う。

資料も確かなものがないうえに、二次資料から勝手な推測で定量的な研究でもしたかのように書くのは、やめたらいいのに・・・。恐らく学問的な価値は、皆無かと。あくまでも自己満足じゃないのかね?

自ら調べた数値を元に、足りない部分を明示的に根拠を示しつつ、仮定として話を進めるのなら、まだしも。どっかから集めた数値を、適当に自分の勝手な思い込みで仮定し、出来上がった全く無意味な数字を元に、さも定量的な説明をしようとするから、正直とんでも本に限りなく近づいているような気がしてなりません。

プランタン関係の部分を読みたくて、この本を手に取ったのに、私も印刷博物館で展示見たし、図録も持っているその図録の数値を流用して、適当なこと書くのはやめていただきたいなあ~。

研究者としては、根本的なところ間違っているかと思われます。

単なる物書きのエッセイなら、まあ、いいでしょうが、著者にエッセイとして本書を書く依頼する出版社があるとも思えませんけどね。

なんか、化けの皮はがれたような感じがしてなりません。
予感はあったものの、今まで素直に騙されていた私が読者として無知だったんだろうなあ~。

結論、本書は読むに値しません。
印刷博物館の図録購入して読みましょう。本書の何百倍も価値あります。

この著者の書く本の特徴は、定量的な説明が多いものの、一切の数字が根拠がなく、きちんと一次文献にあたって自ら確認する最低限の基本を怠っているので、信憑性がまったくありません。

本書だけではないけど、類書で結構適当に自分しか信じていない仮説(=思いつき)を普通に、さも正当な根拠のある説のように語るので、ご用心!

著者の説明をうのみにすると、誤った認識を持ってしまいます。本書でようやく目が覚めた私でした。全著作を否定するつもりはありませんが、特に本書はどうかと思いますよ~???
【目次】
第1章 近代「出版者」の誕生
万里横行の四人
ウエストミンスターのキャクストン
ロンドンのウオルデ
ニュールンベルクのコーベルガー
アントウェルペンのプランタン
四人のトポロジィ

第2部 出版史断章
トマス・クリード:エリザベス時代の印刷家
ビブリオポーラの系譜
近代出版産業の成立と解体
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2012年01月23日

「ぶらぶらヂンヂン古書の旅」北尾トロ 風塵社

古書にまつわる話。ぶっちゃけ、業者さんになられて日の浅いプロの方のせどりの旅なのですが・・・。

まあ、緩いこと&緩いこと・・・・だからこそ、脱力系として読者がついているのかもしれません。

著者の専門が雑文とか雑誌とのことですが、出てくる本、出てくる本、物の見事に全く私が関心を惹かない様な書名ばかりで、古書店巡りとは言いつつも、どうにも関心がのらなかったりする。

当然、何にも参考にならないし、含蓄もたまらない。教養もつかないのですが、たまにはこういう本もいいのかもしれません。

漫画とかの方が、根つめたりしてかえって疲れるからなあ~。こっちの方が気楽に読み飛ばせるし、そもそも力入れて読むような内容も無いのでなんぼか楽かもしれません。

ただ、時間の浪費と言えば、浪費なので考え方次第ではありますが・・・。

勿論、本書をお薦めする気は毛頭ありませんが、否定する気もありません。こういうのがあってもいいかもしれないですしね。本への愛情、というか興味は感じます。

もうちょい、出てくる本に興味が湧けばねぇ~。また、違った楽しみ方もできるかもしれませんが、ちょい残念。

でも、まあ、疲れずに読める?眺められ?ます。

久しぶりに最近は行かなくなった古書店巡りでもしてみようかと思いました。
【目次】
福岡&岡山、怒涛の墓参り古本旅
男女4人、「たもかぶ本の街」訪問記
夜行バスと自転車でちょいと金沢へ
武蔵野線汗かき紀行
仙台&盛岡1泊2日1200キロの旅
買ったばかりの本を読みまくる松本爆読ナイト
鎌倉・茅ヶ崎、腹巻オヤジ再び
神戸でイモヅル式“黒豹作戦”
四国すたこら4県めぐり
ぶらぶらの原点、北海道へ
ぶらぶらヂンヂン古書の旅(amazonリンク)
ラベル:書評 古書
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2012年01月03日

「西洋挿絵見聞録」気谷誠 アーツアンドクラフツ

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私が一番好きな中世の装飾写本とは異なる、比較的新しい時代に至る豪華印刷本系の本を扱った内容です。
製本や装丁、蔵書票までも含めた『モノ』としての本を愛する愛書家向けの本になります。

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思想や知識を伝達する、という書かれた内容自体の希少性・重要性ではなく、アクセサリーというか技術工芸品的な美術品としての側面に着目し、読むものではなく、所有する、挿絵を愛でる、そういう用途での解説になります。

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モノとしての本には、それほどこだわりの無い私には知らない事が多く、大変勉強になりました。

おそらく使わない知識だとは思いますが・・・本書には、ふんだんに美しい挿絵が多く、それらを眺めて文書を読むだけでも十分に楽しい本です。

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その他に、中世以来の大型本から小型本、現在の文庫につながるアルドゥス文庫の話などは、大変興味深かったです。

小さく携帯性を考慮しただけでなく、読み易く、何よりもテキスト・クリティークを徹底することで内容の正確性を確保したという点などは、何よりもきっと強いセ-ルス・ポイントになったことでしょう!

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それ以来の流れを組むのが岩波文庫とかというのは、なるほどねぇ~。成功する王道的ビジネス・モデルって訳です。納得。

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本書は、書誌学的な知識と同時に、個別具体的な個別の本のエピソードが多く、著者自身が愛書家として実体験に基づいて、自分の本について語る部分が大変多い。

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よく知らないけど、ご自身でブログ等もやられていたようで、そこに書いた文書をそのまま載せていたりするようです。あるいはあちこちのメディアでコラムとかとして書き連ねたものものを、エッセイみたいにしてまとめた本でもあります。

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一応、関連したものをまとめて章立てらしくしていますが、基本は、独立したコラム、エッセイを集めたものなので、一話完結って感じですね。どっから読んでもOK。 

気楽に関心のあるところを拾い読みしても問題無いです。

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一度くらい軽く読んでおいてもいいかな~。
あえて、お薦めはしないし、万人向きではないかも?
特定のオタク向けってぐらい。

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個人的には、確かにその情熱は凄いと思うんだけど、所詮印刷本だし・・・と思ってしまうのは、モノを知らないから言えることかもしれません。

でも、装丁に合わせて内容を豪華にする・・・・分かるんだけど、なんだかねぇ~。
いささか野暮って感じがしないでもない。

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私的には、やっぱり本の内容、そこに書かれた知識、叡智こそが全てのような・・・・。

勿論、内容が特別であれば、装丁もそれなりに特別であって欲しい!全てが特別であって欲しい、という願いも当然あることはあるのですけれど・・・・。

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まあ、庶民の私としては、装丁に凝った高い本を買うお金で一冊でも多くの知りたい知識を与えてくれる本を買いたいです。図書館で読めるなら、買うことさえ必須条件でもないですしね。

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今は、とにかく本を置く場所を獲得しなければ、置き場所が無くて本が買えない(涙)。それが悲しくて仕方ありませんもん!

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まずは積んでる本を読まねば・・・。

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最後に、本社はモノクロですが、挿絵をたくさん紹介しています。悪くないです。

でも、うちに送られてくる稀覯本専門の古書店さんからのカラーカタログの本の方が綺麗です。値段も本書で紹介されているほど安くないですし・・・当たり前かもしれませんけど。

あと、以前にどっかで入手したフランス語のオークションカタログの装丁も本書以上に凝っていました。

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申し訳ないけど、購入してまで読むに値する本では無いかと。図書館で借りて読めれば、十分な気がします。カラーでの図版にして欲しかった・・・それなりに面白くはあるのですが、何か物足りない・・・・・。
【目次】
西洋挿絵見聞録
ルネサンス編
ロココ編
ロマン派編
擬古典編
ベル・エポック編
西洋と日本編
番外編
蔵書票の誘惑
西洋挿絵見聞録―製本・挿絵・蔵書票(amazonリンク)

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「蔵書票の魅力」樋田直人 丸善
「蔵書票の美」樋田 直人 小学館
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2011年12月16日

「蔵書票の魅力」樋田直人 丸善

本に貼ってある、あのラテン語の EX-LIBRIS という奴の話です。英語だとBOOK PLATEなんだね。

日本だと蔵書印とかの方がメジャーですが、そちらは馴染みがあるしね。高校生の時に作った篆刻はどこに行ったのやら??? ヨーロッパでは蔵書票の方が有名。

もっとも私はロス・キングのEX-LIBRISというタイトルの本を読むまで言葉さえ知らなかったりする。まあ、無知なもんで(苦笑)。

さて、本書では日本における蔵相票の歴史、伝播の様子などを詳しく紹介しています。そして世界における蔵書票の業界の現状の紹介など、お好きな人には相当勉強になると思います。

また、小さな紙片に凝縮された『美』と『技巧』の楽しみ方など、NHKのアート鑑賞マニュアル的な趣も。

後半は、その制作技術について、かなり詳しく種類や技法を紹介しています。

私も蔵書に蔵書票を作って貼りたいなあ~と思うものの、自分の理想とするデザインが決められずに、また面倒なのもあって、結局何もしないでいるなあ~。

本来は、希望のデザインを言って彫ってもらってから印刷するのでしょうが、単純に自分利用なら、気に入ったデザインに文言入れて、名前入れてプリンターで印刷されば出来上がり!ってな感じでそれほどの手間ではないんだけどね。

昔、ロゴを自作したこともあるし、やろうと思えば出来るのにやらないのは怠け者故か悲しい。

それは置いといて、本書を読むと蔵書票の奥深い世界を垣間見ることが出来ます。
ただ、まあ、マニア向けというか限られた人向けなのは確かですね。まだ切手収集の方が一般的だと思います。

私的には気に入った本を集めたら、それを自分の書庫に納め、蔵書票でも貼り付けて完璧に自分色に染め抜きたいですが・・・まず、書庫を作る家を買わないと・・・。今でも部屋に本が溢れていて、今回のような大きな地震が続くと本当に2階がつぶれないか心配になりますから!

そうそう、本書で『蔵書票』に関する基本的な約束事が書かれていたのでメモ。
・EX-LIBRIS の文字
・票主の名前
・格言・モットー
上記3種が入っていること。

蔵書票ではないが、切手蒐集家三井高陽の話がなかなか興味深かったです。
切手に関わる、歴史・文化・印刷技術そのものの制約などを十二分に理解したうえで鑑賞する為、背景的な文献資料なども同時に行っていたなど、う~ん、ひとかどならぬ情熱と研究心に頭が下がります。

ただ、全体として、他人にはあまりお薦めしないなあ~。
特定の人にだけ、面白いもので一般的な面白さとはちょっと違う感じがします。
【目次】
Ⅰ蔵書票の思潮
書物と蔵書印
蔵書票というもの
西洋の蔵書票について
日本の近代版画とその前夜
近代文芸運動「パンの会」
「創作版画」のあけぼの
現代蔵書票の羽ばたき
日本の蔵書票の特徴
世界の書票界と国際化

Ⅱ蔵書票の楽しみ
「蔵書票の心」とは
創作篆刻の蔵書票
友情の鶏卵紙蔵書票
ハインリヒ・フォゲラーの蔵書票
蛇の絵柄の蔵書票
切手蒐集家三井高陽の蔵書票
印刷蔵書票と切手鑑賞法
世紀末の在日英国人の蔵書票
日本の現代蔵書票第1号
旧帝国大学の蔵書票
内田魯庵と蔵書票
蔵書票の制作技法について
書籍と蔵書票の貼付
児童・子供用の蔵書票について
蔵書票の交換について
蔵書票の蒐集のために
蔵書票の魅力―本を愛する人のために (丸善ライブラリー)(amazonリンク)

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ラベル:書評 ex-libris
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2011年12月03日

「近世ヨーロッパの書籍業」箕輪成男 出版ニュース社

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そちら方面の研究者とか特別な関心を持つ人以外には、全く役に立たない、面白くもない、そのうえ高くて誰が読むの? 需要あるの?と本気で心配してしまうような本で他人には薦めようもありませんが、個人的には好きです♪

大学の講義のテキストにしても学生でさえも買わず、図書館にあっても借りても読まないであろう・・・しかし、それなのに実に内容がしっかりしていて丁寧に作られていることを感じさせる本でもある。

何の役に立つのかは知らないし、期待もできないが、初めて知る事も実に多く勉強になった!
なんか他の本を読んでいる時、ふとしたことで内容の理解が深まりそう・・・表面には出ないが、諸々の背景的事情などを理解して、本質的に理解につながる・・・そんな感じかなあ~。

まあ、効率的読書とか、速読術とかの本読んでいるような人には、真逆の性格の本です。
絶対的に売れないだろうし、でもいい本だと思う。

この著者の書いた本は、一貫して出版史関係で需要なさそうなのに、よく本が出るよねぇ~。ちょい不思議。一読者的には嬉しい限りだけど、私が経営者だったら、赤字になりそうで企画段階で中止させるようなジャンルと内容ですけど。図書館以外の購入客無いだろうし。

さて、ダラダラの前置きの後、内容について。
今まで読んできたこの種の本では常識とされていたことを逆転させるような話も多い。データや元ネタを提示しつつ、数字的にも裏付けしつつ、説明していくのでかなり興味深い。

例えば、『印刷革命』の内容。
手作業の写本制作に比較して、大量に同質の物を作れるようになり、劇的なコスト低下を起こして、たくさんの出版物が流通するようになった。

長年そう言われてきたし、私もそういう理解をしていましたが、実情は全然違うそうです。手作業による筆写での誤りは確かに激減し、その意味では革命的であったものの、新たに固定費用が必要なこと、材料費の割合が高く、そこはほとんど変わっていないこと、逆に活字の有効利用の為にまとめて大量に印刷することで在庫コストがかさんでしまい、初期印刷業者は大量に生まれた分だけ、バタバタ倒産したことを説明しています。

ちょい目から鱗ですね!
本の値段が下がり、たくさんの印刷物が出回るのはその後の流通革命の成果だそうですし、実に勉強になります。

また、グーテンベルクに対する評価も、相当手厳しい印刷オタクの位置付けで事業者としての失敗を淡々と冷静に評価されてます。説明されている事実は、私も他の本で知ってはいましたが、それらを踏まえてグーテンベルク全体としての評価は、180度とは言わないまでも相当異なっています。

うむむ~、楽しい(笑顔)。
(あとね、グーテンベルク、ユダヤ人説もあって・・・・これは確かに西洋人には書けないでしょう。あの当時の時代背景知ってれば、それも自然な発想だとは思いますし、説明も面白いです。実際にどうかは微妙な気もしますが・・・まあね・・・ニヤリ)

あと活版印刷の影響として、活字が設備投資の費用となることから、使いまわす関係で刷る時にまとめて刷らざるを得ず、在庫がかさむ一方で、大量に刷らねばコストが下がらないという相反する要求があり、結果として、売れ筋の手堅い本である古典とか定番物ばかりが印刷対象とされ、受注生産であれば、極端な話、一部だけの需要でも成り立ったようなビジネスモデルは破綻することになったんだって。
(しばらくは平行して成り立っていたそうですが)

印刷の普及がむしろ本の多様性を損なうという指摘は、正直初めて知りましたし、驚きました!!

あと大学が本を必要とする以上、大学による本屋の管理は想定してましたが、本書で紹介されるような厳格な管理・統制が行われていたとは、これも初めて知りました。

大学そのものの成り立ちや、中世大学の状況を説明したうえで教材としての本、その本自体の管理としての指定業者制度など、実に勉強になります。

筆写という作業自体に、絶対的に生じる誤記、欠落などを厳密に検査し、本の内容の正確さを本屋に保証させる仕組みなどは想像だにしませんでした!

今の時代でも間違いだらけの本があれだけ出ているのに・・・・学術書でもね。
高校時代の世界史の教科書にも間違いがあり、それを指摘して出版社から丁寧な手書き5枚の礼状をもらった私がいうんだから確かです(笑)。図書券ぐらいくれよ!

と、それはおいといて。

トマス・アクィナス。
確かに昔の人の本って、何故か意外に多いのは疑問に思っていましたが、今時以上に進んでいたんですね。現代だったら、注目を浴びる人物が語るのをICレコーダーに録って、それを別な人が文書に打ち直し、編集やゴーストライターみたいな人が手を入れて出版して本にする訳ですが、それとほとんど同じ事してたなんてね。

トマス・アクィナスが延々と語るのを複数人の弟子やら、それ系の人達が控えて、語る言葉を片っ端から口述筆記していたそうです。じゃなきゃ、毎月1、2冊の本を継続して出版なんて出来るわきゃないわけです。

また、それだけの出版点数を出せたのも写本故、需要が少しでもあれば、成立したというんですから、納得しちゃいます。

もっとも需要が少なければ、作成される写本の数も少なく、数が少なければそれだけ後世にも残り難くなるってのも合理的な説明ですね。

逆に古典とされる定番物ほど、多数の写本が延々と作られ続けられるので、かえって時代を経ても残るというのもいやあ~真実です。


その他、オックスフォード大学が今でこそ、国際的ですが当時はローカルな自国民向けの小さな大学でしかなく、大学は学位授与機関でしかなく、宿舎そのものが全人格的な教育をする場となっていった経緯などいやあ~今の姿につながる背景が分かり、これまでとは違った目で見ることができそうです。

それと外国の大学と日本の大学の比較で、外国は教養を学ぶ場であるのに対して、日本は専門的な技術を学ぶ場であり、職人がするような工学・技術系の知識を大学で教えるというのは、そもそも有り得なかったという指摘なども、なるほどもっともで首肯させられました。

だからこそ、日本の戦後の成功につながったという評価も著者はされていますが、外国のエリートを養成する大学と日本の大学とは違っていて、職人・技術的な専門家を要請することの問題点(?)、今後のあり方についても語っています。

いやあ~、視点が広がりますね。
他にもたくさんあるのですが・・・・、腹くくって役に立たない本を読む気がある人なら、お薦めですね。私的には気に入ってます。
【目次】
1 ロンドンの本屋街
・ロンドンの本屋街
・遺言が語るヨークの世界
・北の本屋通り
2 チョーサーのイギリス
・渡来か侵略か
・チューサーと文芸出版
・本はコンビニでどうぞ
・コスモポリタニズムからナショナリズムへ
・弾圧
3 着だおれのパリ
・都市書籍業の発展
・フランスの出版政策
4 ルネサンスのイタリア
・国家と書籍業
・ルネサンスのイタリア
5 グーテンベルクがやってきた
・火あぶりのヤン・フス
・人類史における15世紀
・グーテンベルクがやって来た
・印刷術の伝播
・書籍市場
・近世書籍業のシステム
・42行聖書出版のバランスシート
6 大学町の本屋たち
・中世大学
・大学と本屋
・法学のボローニアア大学
・ボローニア大学の本屋
・神学のパリ大学
・パリ大学の本屋
・トマス・アクィナス
・教養学部のオックスフォード
・オックス・フォード大学の本屋
・短かった大学写本出版の時代

おわりに
あとがき
主な参考文献
表一覧
近世ヨーロッパの書籍業―印刷以前・以刷以後(amazonリンク)

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「中世の大学」ジャック・ヴェルジェ みすず書房
プランタン=モレトゥス博物館展カタログ
「グーテンベルクの時代」ジョン マン 原書房
「グーテンベルクの謎」高宮利行 岩波書店
「ヨーロッパの出版文化史」戸叶勝也 朗文堂
「ルネサンスの活字本」E.P.ゴールドシュミット 国文社
「本の歴史」ブリュノ ブラセル 創元社
「西洋の書物工房」貴田庄 芳賀書店
「美しい書物の話」アラン・G. トマス 晶文社
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2011年11月02日

「本を読むデモクラシー」宮下志朗 刀水書房

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歴史的には長らく文盲の人の方が多数を占めてきた中で、近代以降、識字率が向上し、一般大衆が文字を読める時代が訪れました。大衆が本を読み、本を求めた時代(19世紀)の状況を本書は紹介しています。(「読書の社会史」というらしい)

本書で「読書室」なるものの存在を初めて知りました。さしずめ、現代なら、ネットカフェってところでしょうか? 

個室にこもって他者との交流が無い現代に比して、昔は社交場でもあった訳で最新の情報を得るにしても、そのスタイルには隔世の感があったりします。

でも、文字が中心なのは時代を超えた共通点でしょうか?

そういえば、自習室なんてのも都会では流行りですが、あれは読むのが自分の資料ですからねぇ~。場所だけではなく、読むものも提供するこの読書室とは、ちょっと毛色が異なります。

出版文化の歴史的推移などもそれなりに面白いし、日本の当時の出版事情なども個人的には、そこそこ楽しめたものの、一般の人は、つまんないだろうなあ~。

チャップブックや青本、仮装綴じとか、他の本で知っていることなども多々出てきたけど、それもそのはず、この著者の本、私何冊か読んでたりする。みんな、この系の話だし、そりゃ既視感も湧くかと(苦笑)。

個人的には木版画の挿絵とか好きなんでねぇ~。この手の話には、興味をそそられてしまったりする。日本でも多色刷りの浮世絵的手法の絵の入った新聞錦絵とか好きだしね。

内容も悪くはないんだけど、この分量と内容でこの定価は無理過ぎですね。そもそも売れないであろう本を学校のテキストとしてしか、まずさばけない価格で出すのは、台所事情は察しつつも、この企画持たないだろう・・・予感を漂わせてます。

しかし、この本の前に読んだ「イタリア都市の諸相」なんかは、すっごく勉強になり、目から鱗で定価で買っても決して損ではないかと。個人的にはこの企画が続く事を願いますが、(良さそうな本のラインナップだしね)前途多難だろうなあ~。

本書も200円で先日の古本まつりでなければ、絶対に買わなかったもんね。文庫よりも量もないし、手軽に読めるのはいいのだけれど・・・微妙だね。まあ、そういう本でした。
【目次】
はじめに
第一章 飛躍的に高まる識字率
       男女の逆転現象
第二章 「読書室」というインフラ
       貸本屋、読書室
       パリにおける読書室の分布
       学生行きつけの「ブロスの文芸室」
       光熱費を浮かせること
       読書室の品揃え
    ☆ケーススタディ ―「ガリニャーニ書店」の場合
       ガリニャーニ、英語新聞を創刊する
       海賊版・パリガイド、そしてリヴォリ通りへの引っ越し
第三章 日本の貸本屋
        「継ぎ本」と「ご用聞き」
       写本も刊本も、貸本屋も版元も
       「かりて損のゆかさるもの」―馬琴と貸本について
       「お仲人」としての貸本屋から文明開化の時代へ
第四章  新旧交代―「新聞連載小説」「青本」「カナール」
       連載小説不適格者―バルザックの場合
       連載小説の王者デュマ、あるいはリサイクルについて
       消えていく「青本」 
       消えていく「瓦版(カナール)」
第五章 文学市場という「デモクラシー」
       市場の芸術家
       印税システムという、文学の「デモクラシー」
第六章 読書する女性という表象をめぐって
       読書室、管理人室
       読書における性差について
       読書という悪徳、「時間のない女性像」
おわりに代えて―「徴候」、そして「聞き書き」という可能性
       「神々は細部に宿るのか」
       「聞き書き」の可能性
あとがき
本を読むデモクラシー―“読者大衆”の出現 (世界史の鏡 情報)(amazonリンク)

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「チャップ・ブックの世界」小林 章夫 講談社
「ガルガンチュア―ガルガンチュアとパンタグリュエル」フランソワ ラブレー 筑摩書房
著者の翻訳
ラベル:書評 歴史
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2011年10月11日

「ヨーロッパ古書紀行」文車の会 文化出版局

未読本のところで書いたのをそのまま使うと・・・。

昭和48年に出た本で当時の稀覯本マニア連中(?)とおぼしき人達が集まって、ヨーロッパ中の稀覯本を扱う専門古書店を訪問したレポや各種研究機関等にある稀覯本を訪れた感想等を文章にまとめて、紹介した稀覯本マニア向けの本。

実際には古書店の店主とか、好事家の集まりみたい?

あちこちの公的機関でそれなりに丁重に扱われていることから見ても、元々書籍に関連してなんらかの繋がりがあった人々なんでしょう。日本の古書籍について造詣があり、海外に流出している日本の古典籍についてもかなり語っているところから、その筋の人なんでしょうね。

ただ・・・私は日本の古い書籍についてはほとんど関心が無いのでその辺の説明は正直不要でした。

逆に、海外の稀覯本についての説明は通り一辺倒で、そんなに詳しい感じはしません。まあ、今は稀覯本に関する本もいろいろあるし、ネットで情報も得られますからね!日本にいながらにして、稀覯本を見る機会も増えたし、海外旅行で以前よりはいろんなものが気軽に見られるようになりましたから(笑顔)。

当時の時代的状況を考えると、本書はその先駆けとして価値があったと思われます。

本書の冒頭にも書かれていますが、ヨーロッパの稀覯本として、古写本(manuscripts)、彩色古写本(illuminated manuscripts)、揺籃期刊本(incunabula)などが上げられ、それを堂々と本の取り扱い対象としているだけでも珍しかったんではないかと思います。

冒頭の挿絵として数枚のカラー口絵があり、私の大好きな時祷書などの彩色写本が選ばれている。基本だね、基本♪

最初は大英図書館から始まり、公的機関の有する稀覯本&施設の説明があり、次に西欧各地の著名な稀覯本専門店(総合書店も含む)を紹介しています。

実際に訪れて、その在庫の豊富さや取り扱い商品の質、店の雰囲気なども語っているのですが、たった数十年前の話なのに、今では全く違っていることが容易に想像され、いささかノスタルジックな想いと共に楽しく読みました。

著者たちとしては、本書を参考に実際に書店を訪れる人の役に立つように実用性も重視しているようですが、それがかえっていい感じになっています。実際に行けなかった書店や行っても閉まっていた書店でも、有名なお店は、簡単に紹介されています。

パリのセーヌ河畔のブッキスト通りとか、私も冷やかしましたが、楽しく描かれています。もっとも、その仕入先も含めて説明し、安いが掘り出し物がほとんどない。そんな記述は、いかにも本を買う人らしい発想というか、視点でふむふむと思っちゃいます。

あとオークションは、私がよく知らないだけに記述が興味深いです。オークションハウス毎に、絵画が強いところ、写本等書籍が強いところなど、実用的。

著者の一人は、実際にサザビーズのオークションで落札し、本をしっかり買ってたようですし。業者だね、これは。

あと、稀覯本の専門書店は、日本人の大学教授等のお客さんがしっかりついていることなどにも触れられています。科研費で購入するんでしょうね。そういやあ~うちにも年に1、2回ロンドンの稀覯本専門店からカタログ送られてきたりする。

欲しいものはあるものの、ざらに数百万円単位で小市民の私には買えなかったりする。カタログを眺めているだけでもうっとりしてしまう本が多いが、株で儲けたら、数十万円ぐらいの本だったら、是非、そこのお店で購入したいと常日頃思っていたりする。

だって・・・実に立派なカタログをわざわざ海外が送ってもらっていて、一度も購入していないってのは、さすがに心苦しい。実際、欲しいものはあるしね。カード支払いなら、いつでも買えてしまうのだけれど・・・。写本の一葉でも買っちゃいたいなあ~。

本書はもう時代が古く、買って今、役に立つ本ではありませんが、古書好きの方なら、読んでいて十分に楽しめる本だと思います。あ~、海外行って、また古書買ってきたい。英語しか読めないって、どんな文盲なんだ私は。フランス語やラテン語ぐらい読めるように勉強したいなあ~。

とにかく稀覯本好きなら、買ってもいいかと。
古書好きのマニアが関わっているだけあって、本の装丁も含めてしっかりとしたいい造りですしね。個人的にはお薦めします。ただ、内容は西洋稀覯本という点では、まだまだ不満足ですが、そういった未熟な部分も含めて、いいような気がします(今回は、評価あまあまです)。

こういう本がもっとたくさん出てくるといいな~。
【目次】
ヨーロッパの稀覯本
ヨーロッパの稀覯本を尋ねて
ヨーロッパ古書店案内
世界一のオークショナー、サゼビー
日本の古書の在外秘宝

別丁地図―ロンドン古書店地図、パリ古書店地図
ヨーロッパ古書紀行 (1973年)(amazonリンク)

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2011年09月18日

「本棚探偵の冒険」喜国雅彦 双葉社

たまに漫画は拝見してたのですが、まさか古書を集める人だったとは予想外でした。

でも、所謂病的なビブリオマニアとかそういうのでは無そうです。私的にはごく普通の本好きな方だと思うんですけどね。

古書市で競って本を買い漁る人でもなさそうだし、旅行じゃなくてもどっか出たら、古書店探すってのは、本好きなら、当たり前の行動だし、目録で頁毎買うとか、そういうのも知ってはいますが、個人的にそこまでして欲しい本ってないもんなあ~。

本書も、漫画家さんで本好きの人の話というだけで付加価値はないので、あえて本にする価値があるのかなあ~と思うと疑問が残るものの、それなりには売れたんでしょうから、価値があったんですね。少なくとも需要はあったんだと思います。

本棚ってのは、その人の趣味嗜好、人生哲学まで含めてその人の普段表面に出さない内側の人格を現すが故に、大変興味深く、それを見るってのは密やかな隠し事を暴くようで楽しいのは同感ですね。

当然、ひとくせもふたくせもある人物の本棚だと、是非機会があるならば観たい!と思います。
でも、実際はあまり見たことないですけどね。

本棚の話なら、私も以前読んだ「本棚が見たい」の方がはるかに面白いです。

乱歩の土蔵の公開記事は、立教でのイベントでなんかやってましたよね。そういえば。本書の冒頭の話は、それ関係かと思うのですが・・・。個人的にそれほど江戸川乱歩には興味がないので、結局、あの時も行かなかったしなあ~。

著者はミステリー系の本、その他、幾つかのジャンルで本を集められているようですが、う~ん、本好きとして、大いに共感する点はあるんですが、集めてる本が正直そそられないんですよねぇ~。

同じ本を何冊も集めるってのは、基本的にしない人なんで私。
まあ、状態が以前のよりも良いとか、文庫とハードカバーとか、初版とかだとさすがに同じ本を買うことあるものの、カバー違いとか帯とかは、正直あまり気になりません。

保存はするものの、基本、読む本というスタンスで本を飾る趣味はないので。
(知り合いに対しての弁明:決して読まない訳ではないのです。ただ、目の前に常時、数冊から数10冊の未読本がある為に、まだ読んでいないだけで、順番が来れば読むのです。勝手から、20年後に初めて読んだ本もこないだあったぐらいだしね。言い訳終了)

読まないのに、何でまた本買うの~というクレームに対する私的(公式)見解の表明。

本のサイズに合わせて、本棚を作ったり、箱の無い本に対して箱を自作するってのは、なかなか楽しいし、興味深いのですが・・・自作iPhoneケースを作る人だから私、それはモノとしての本が好きな人で読書家では無いよね。

勿論、本の楽しみ方にはいろいろあるので自由だと思うのですが、本の中身に興味があったりします、私は。

だから、電子書籍も抵抗ないもんね。
ただ、モノとして美しい本は、それはそれで大好きだし、手元に置いておきたいとは思うものの。眺めるよりは中の活字を読みたい人だから。

箱作る時間があるなら、いろんな本をもっと&もっと読んでいたかったりする。

家買って、本を山ほど置いておくのは確かにいいかもしれない。
もう部屋の床が抜けるので、これ以上、本買えないんだよね。図書館で借りて誤魔化しているものの、それでもいつのまにか本が増えてくし・・・。

車買う金あるなら、本買うか旅行してた方がいいね。

そうそう、本書の中でいつ営業しているか分からない本屋の話があるけど、これは普通によくある話でわざわざ書くほどのことではないと思ってしまう。

そして、意外なところに物凄い古書店があったりもするんだけど、そういう話は、マニア的心理で隠しておきたいからか、ほとんど出てこない。私的には、当たり前過ぎる、むしろつまらない部類の古書店なんだけどねぇ~。

古書のことをほとんど知らない人には良いかもしれませんが、ある程度、知っている人には、どうかねあまりお薦めしませんが、自分のマニア度の方が上だとニヤリとしたい暗い方には良いかもしれません。
(それ、私か?私なのか???)

実に健全な古書にまつわるお話でした。
【目次】
本棚探偵の冒険
夢の蔵
青空の下の埃
デパートの一番長い日
僕の先生
他人家の本棚(前篇)
他人家の本棚(後篇)
T蔵書の謎
黒背表紙を求めて(前篇)
黒背表紙を求めて(後篇)
自分家の本棚
ちょっといい話(小ネタ集)
マニアの部屋
恐怖コレクション
もう一つの貼雑年譜
本棚探偵、北へ
悪魔の目録
函を作る(前篇)
函を作る(後篇)
幻影古書店
ポケミスマラソン
ポケミスマラソン(特別拡大版)
オンリー本棚
底無沼
底無沼?
小説『兄嫁の寝室』
俺のパノラマ島
本棚の肥やし
豆本が欲しい(前篇)
豆本が欲しい(後篇)
愛の往復書簡
本棚探偵の冒険(amazonリンク)

ブログ内関連記事
「古書ワンダーランド1」横田順弥 平凡社
「古書街を歩く」紀田 順一郎  新潮社
「それでも古書を買いました」鹿島 茂 白水社
「世界古本探しの旅」朝日新聞社
「古書店めぐりは夫婦で」ローレンス ゴールドストーン, ナンシー ゴールドストーン 早川書房
「古本屋さんの謎」岡崎 武志 同朋舎
「本棚が見たい!」川本 武 (著) ダイヤモンド社
「古書法楽」出久根 達郎 中公文庫
「古本道場」角田 光代、岡崎 武志 ポプラ社
「愛書狂」鹿島茂 角川春樹事務所
「ある愛書狂の告白」ジョン・バクスター 晶文社
「関西赤貧古本道」山本 善行 新潮社
「本の国の王様」リチャード ブース 創元社
「神保町の虫」池谷 伊佐夫 東京書籍
「古本屋の来客簿」高橋輝次 燃焼社
「世界の古書店Ⅲ」川成 洋 丸善
「ブックハンターの冒険」牧真司 学陽書房
「世界の図書館」徳永 康元 丸善
「ヨーロッパの歴史的図書館」ヴィンフリート レーシュブルク 国文社
「悪魔に魅入られた本の城」オリヴィエーロ ディリベルト 晶文社
ラベル:書評 古書
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2010年02月15日

「図解 仕事力が身につく必読の「古典」50冊」成毛 眞 青春出版社

今流行の勉強系というか、仕事術的な延長線上の読者がターゲット。

上っ面な仕事術はいらないと言いつつ、「知恵」が5分でつかめるとかいうキャッチが、正直、その時点で終わっている事はあえて触れない。

サイズがA4サイズで、見開き2頁で本一冊紹介するのだから、まさに今風以外の何物でもない。但し、大きな文字に、イラスト入りで分かり易いけどね。
(当然、その反比例として貴重な情報量が落ちているのは否めない事実)

いささか否定的な第一印象ではあるものの、それほど悪くはない。

当然、何冊かは読んでいるし、これから読もうと思っていた本などもあったので、改めて、読んでみたいという気持ちが強まったのも事実。

監修が成毛氏にしては、正直ちゃらい。思いっきり期待外れですが、出版社の企画に対して名前貸しているだけのような感じ。

少なくとも、本書を読んで、まともな古典へ向かうきっかけになるならいいが、そんな人なら、本書を読む前に既に古典を手にしているような気もする。

逆に言えば、本書を契機に古典を読もうと思う人が、実際に古典を読破できるかといえば、それもはなはだ疑問だろう。

古典は、最初は退屈極まりないものだから・・・・。

読み手自身が、それなりに経験や深い洞察力を持っていないと、古典の内容との間で響くものが無く、空回りしてしまうような気がする・・・。

人は常に、自分の中に既に持っているもの(気づいているもの)を再発見する契機として、読書なり思索なりをするように思うのは、私だけかな?

まあ、いい。

「ガリア戦記」は私も超・お薦め!
「論語と算盤」は探して見つかってない奴。
「君主論」これ、基本っしょ。

「わが闘争」面白かった反面、だれて途中で挫折したまま。
「武士道」訳が悪いのか、非常につまらなくてこれも断念。

「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」これは、本書の解説なんかのレベルじゃないです。勿論。はるかに高い水準です。読者ついていけるのかな???

「雇用・利子および貨幣の一般理論」読破したけど、イマイチ。マル経はちょっとなあ~。

「戦争論」厳格な定義に始まり、実に緻密な論理構成でガチガチにして論を進めていき、面白いのだけれど、読破していないのでお恥ずかしい限り。
石原莞爾に興味があって、これを無視しては進めないはずなんですけどね

まあ、他にもいくつもあるな。読んだものや挫折したものの数々。

また、古典も読んでみたいかもね?
【目次】
第1章 これだけは知っておきたい「超」有名古典10冊
1不確実性の時代 ガルブレイス
2国富論 アダム・スミス
3誌本論 マルクス
4論語 孔子
5断絶の時代 ピーター・ドラッカー
6君主論 マキャヴェリ
7ガリア戦記 カエサル
8三国志 陳寿
9人を動かす デール・カーネギー
10「原因」と「結果」の法則 ジェームズ・アレン

第2章 経済の仕組みが根本からわかる10冊
11雇用・利子および貨幣の一般理論 ケインズ
12プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神 マックス・ウェーバー
13論語と算盤 渋沢栄一
14経済学原理 マーシャル
15経済発展の理論 シュンペーター
16失敗の本質 野中郁次郎
17戦争論 クラウゼヴィッツ
18資本主義と自由 フリードマン
19孤独な群集 リースマン
20文明論之概略 福沢諭吉

第3章 「世の中」の成り立ちを理解する10冊
21社会契約論 ルソー
22法の精神 モンテスキュー
23知の考古学 フーコー
24十二夜 シェイクスピア
25歴史 ヘロドトス
26イリアス ホメロス
27水滸伝 羅貫中、施耐庵
28大衆の反逆 オルテガ
29世論 リップマン
30永遠平和のために カント

第4章 経営者・リーダーが頼りにする9冊
31菜根譚 洪自誠―
32箴言集 ラ・ロシュフコー
33ツァラトゥストラはかく語りき ニーチェ
34武士道 新渡戸稲造
35英雄伝 プルターク
36リヴァイアサン ホッブス
37ご冗談でしょう、ファインマンさん ファインマン
38氷川清話 勝海舟
39わが闘争 ヒトラー

第5章 人生の指針を見出す11冊
40エセー モンテーニュ
41自殺論 デュルケーム
42仮名手本忠臣蔵 竹田出雲、並木千柳
43南総里見八犬伝 滝沢馬琴
44幸福論 ヒルティ
45パンセ パスカル
46死に至る病 キルケゴール
47方法序説 デカルト
48 精神分析入門 フロイト
49人生論 トルストイ
50 自由からの逃走 フロム
図解 仕事力が身につく必読の「古典」50冊(amazonリンク)
ラベル:書評 古典
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2009年12月17日

「博士と狂人」サイモン ウィンチェスター 早川書房

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実は、本書を読むまで「オックスフォード英語大辞典(Oxford English Dictionary)」がそれほどまでに凄い辞典だとは全く夢にも思いませんでした。

確かに名前は聞いたことがあるけど・・・ブリタニカ百科辞典とかとは違うしなあ~。本書を読んで何よりもまず最初に思ったのがこの辞典(辞書)を引いてみたい!ということでした。

だって完成までに70年ですよ、70年!!

そりゃ平気で百年以上もかかったりするゴシック大聖堂を作るのに比べれば、短い期間かもしれませんが、そのほとんどの部分を一人の人物が中心になって完成させたというのは、驚異を通り越して、奇跡の域に限りなく近いと思ってしまいます。

本書は、そのオックスフォード英語大辞典の生みの親とも言える、編纂をした中心人物と延々と何十年にも渡って用例となる資料提供の協力をした精神患者の二人を採り上げています。

私、根気無いので定評ある人なんで、心の底から凄い!と思います。

まずは編纂主幹ですが、この偉大なる人物は、なんと実家が貧しくて14歳で学校を卒業した後は、進学することが出来なかったりする。それでも独学でひたすら勉学を進め、15歳でフランス語、イタリア語、ドイツ語、ギリシア語の実用的な知識を身に付けていただけではなく、ラテン語まで習得している。

ありとあらゆることを学びとろうとする旺盛且つ熱烈な知識欲を持っていたようで、地元の地質と植物について、独学で勉強し、地球儀をみつけてそこから地理学を学んだりしていたそうです。

その手の話は、枚挙にいとまが無いようで、イングランドとの境界に近い地域に散在する多くの考古学的遺跡をがむしゃらに発掘したり、近所で飼っている牛にラテン語を教えて、呼びかけに応えさせようとしたり、小さな灯油ランプの明かりの下でフランスの偉大な詩人テオドール・アグリーパ・ドービニュの作品を朗読し、それを英語に訳して、自分の周りの家族を楽しませたりしたそうです。

17歳になると学校の教師になり、20歳になると地元の学校の校長をつとめるようになっていたというし、どう考えてもタダ人とは思えません。

日本の白川静氏の話も有名ですが、当然、こちらもそれに勝るとも劣らないのは、むべなるかな。それぐらいじゃないと、偉大なモノを残せないんでしょうね。

勉強不足の我が身を振り返ると、もうちょっと勉強せねばなあ~と思わずにはいられません。

とにかくそういう素晴らしい人物が生涯の後半40年以上も心血を注いで勤しむ事業だったわけです。しかも、思ったよりも給料は安かったらしい。伊能忠敬もそうですが、なかなか業績や能力、努力に見合った報酬が支払われないのは、古今東西を問わず、不変らしいです。

他方、大いなる栄誉を得た精神病院で隔離監禁された患者は、イエール大学を出た元軍医のアメリカ人で、戦場で過酷な経験から(or 元来の家系的遺伝から)殺人事件を犯し、保護監督処分の身の上でした。

ただ、元々がしっかりした教育を受けた有能な人物であり、資産も豊富で病院内でも二部屋を占有し、稀覯本に囲まれた書庫を一室にあてて、ある意味、贅沢に過ごしていたそうです。

自由以外は欠けているものがない生活ですが、実は、生き甲斐というか自らの能力を無為に過ごしていることへのはけ口として、まさに絶好の仕事として彼が打ち込んだのが、辞書で採用する用例探しと、その引用だったというのです。

貴重な古書を隅から隅まで目を通し、必要とされる単語の意味の変遷が分かる最古の用例を探し出すというのは、なんとも労多くして果実少なき作業でしょう。

私などは、普通に本を読んで気になったことを抜き書きメモするだけでも膨大な時間と手間がかかるので、面倒だと思っちゃいますが、とてもではないですが、そんなものの比ではないです。

もう絶望的な労力と時間を要すると思います。

資力も必要でしょうし、それにも増して必要なものを選別するだけの能力・教養が要求されるだろうから、大変さは想像を絶しますね。

引用自体は誰にでも出来ても、辞書に採用されるだけの質を兼ね備えていた点も、この精神病院の患者である人物は、非凡だったようです。

閉ざされた環境に、それだけの資力と時間、何よりも遣り甲斐という強い意欲を持った人物がいたというまさに歴史的偶然が、この辞書の完成に大きく影響しているというのは、なんともいえない不思議さです。

英国的ないかにも皮肉に満ちたエピソードとも言えるかもしれません。

本書では、この偉大なるOEDという辞典が生まれた、なかば美談と化したエピソードについて、丹念に関係者や当時の環境に残された資料を踏まえて、本当に事実へ迫っていきます。

『事実は小説よりも奇なり』

非常に興味深い話であり、同時にこの辞典への興味がいやがおうにも増していきます。そして、人間の情熱って本当に凄いなあ~という素朴な感慨を覚えてなりません。

どうしょうもないクズもいっぱいいるとは思いますが、本書みたいなのを読むと、やっぱり頑張ろう!怠けてちゃ駄目だな、って心の底から思います。

自分もまずは努力しなきゃって思わずにいられません。単純に感動しちゃうので是非、ご興味のある方は読みましょう。つ~か、読んでおくべき本です。これはね!!

・・・しかし、コンピュータのデータベース等無しにこれを行うって想像できないな、本当に。逆にいうと、OCRソフトやgoogle booksearch、google scholar とかの社会的意義ってのは、もっと十分に評価されてしかるべきかもしれないです。

そんなことをふと考えた本でした。人の情熱はなによりも尊いです。"There is a will,there is a way."ってのは、真実だと思いました。
【目次】
1 深夜のランベス・マーシュ
2 牛にラテン語を教えた男
3 戦争という狂気
4 大地の娘たちを集める
5 大辞典の計画
6 第二独房棟の学者
7 単語リストに着手する
8 さまざまな言葉をめぐって
9 知性の出会い
10 このうえなく残酷な切り傷
11 そして不朽の名作だけが残った
博士と狂人―世界最高の辞書OEDの誕生秘話 (ハヤカワ文庫NF)(amazonリンク)
ラベル:OED 書評 辞書
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2009年08月23日

「ライトノベル完全読本」日経キャラクターズ 日経BP社

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実はこの書評を書くまで、出版社が日経BPとは思わなかった。アスキー系とか電撃系とか、ゲーム系雑誌の仕事だと思ってました。ちょっと驚き~。

ノンジャンル、雑食系読書人の私的には、ライトノベルというジャンル自体が何の為にあるのか? 他ジャンルとの差別化って何?(SFやラブコメ、ホラー等既存のジャンルとの違いが不明)っていう気持ちと、面白そうな作品探しの気持ちから読んでみました。

もっとも読んでも結局、明確な定義は分からず、適当なものでお茶を濁してるだけでしたが・・・。ある意味、予想通りか。

ただ、改めてイラストが重要な役割を果たすことを知りました! これは正直意外!!

だって、大変申し訳ないのですが、私はラノベのイラストって基本嫌いで不要だと思っています。せっかく小説を読んでいるのに、イラストの情報やお仕着せがうざいんです。

アニメ化された作品を先に見た後で読む時はいいのですが、そうじゃない場合は、作品を読んでいて自分の中でイメージするものとあまりにも違い過ぎ、イラストのついている表紙はブックカバーで多い、挿絵はできるだけ早めに頁をめくって飛ばすことが多々あったりするんで。

どうやら、本書を読むと最近の若い人(年寄り臭い表現だ!)は、文字情報から、素早くキャラクターやストーリーの情報を知る事が難しく、それを脳内でイメージできない為に、その補完としてイラストがあるそうです。う~ん、マジに知らなかった!!

つ~か、この程度の本の情報を理解するのに、そんな時間かかるかなあ~。ネットで鍛えられている割に、使えない人が多いらしい。真面目な話、ケース・バイ・ケースだけど、仕事で廻ってくる書類や学生時代に読んだ論文とか、膨大な量をテキパキ処理できなきゃ、すぐつぶれますぜ!!

特に英文なんて、量を読めないから、必要な部分だけ飛ばし読みできなきゃ、日が暮れますって。

そういえば・・・、今時、ネットである程度の情報は調べられても、検索でヒットする膨大な量の中から的確なものを探すのは下手な人が多過ぎ。最近、人に物を教えるのにググり方から教えねばならない事に唖然とするしなあ~。

きちんとした調べ物をした経験がない人が多いせいか、一定の規則性や論理に従った検索ができないようで、場当たり的にキーワード入れるだけなんで、欲しい情報まで辿り着けないらしい。あ~あ、もう、ゆとりはいかんよ!

で、内容ですが、良かった点。
ランキングがあり、普段だとよく分からないライトノベルの有名ところの作品名が分かりました。

あと出版社毎(レーベル)の特徴とか、その趣旨とかを知れたのは、読みたい作品選びの時に、少し参考になるかもしれません。

他にもたくさんの作品を取り上げて、紹介しているのは良いのですが、要らぬ部分に紙面を取り過ぎて、個々の作品の紹介情報が少な過ぎるのは大変残念です。

また、既読のお気に入り作品の紹介を読んでも、自分の思っているのとは全然違う紹介で、この紹介だったらそもそも手に取らないだろうというものが多く、紹介情報の質も良くない。要は本選びには使えない本ということです。


それでも少しは役に立つのでしょうが、決定的に悪い点は以下の通り。

日経の雑誌がベースのせいか対談記事が個人的には全く不要且つ無用で、邪魔だった。

ガンダムを一期しか見ていない世代としては、今更ガンダムの対談はねぇ~。2004年のものとしても、ちょっとパス。

3人のおばさまの対談も、絶対にずれている感じがしてならない。業界全体を眺めるビジネス視点かもしれないが、少なくともこのムックを買うのは、違う客層だろう。日経BPさん、マーケティングのターゲット層間違ってますぜ!

もうちょいライトノベル読者にとって、本選びに使える本だと良かったのですが、そういう意味ではあまり有用ではないです。

あとライトノベルってジャンルを巡る話が多いのですが、読者として一個人としては、本当にどうでもいいです。文芸作品よりも価値が低いとか、どうとか言われても・・・文芸作品というくくり自体がカビ生えた年寄りの考える発想でしかなく、以前の漫画は不良が読むとかと同レベルのくだらなさですね。

素晴らしい作品は、どこのジャンルでもあるでしょうし、ジャンルで本を読むかどうかを決める愚かな人もいないでしょう。

ただ、銀英伝や創竜伝、グインサーガもライトノベルなんだあ~と言われるとへえ~という印象でした。

あとゲームとの関連性も正直、実感はないし、私的には関係ないなあ~。戦略シミュレーションゲームは大好きでしたけど、シューティングとかRPGとかはしない人なんで。

そうそう、「撲殺天使ドクロちゃん」とかの説明がなんだかなあ~と思いました。感性が古い人が、書いてるなあ~というのを感じましたね。同時に、この手のものがあちこちで感じられたので、読者視点ではなく、従来型のビジネス視点か、単なる古い人の視点なので本書は駄目だなあ~と切に思いました。

VOL.3以降出ていないのも、まさに3号雑誌ですね。駄目な編集だったからでしょう(納得)。
【目次】
発表! ライトノベルランキング
ライトノベル書評宣言
ランクイン作品のここが読みどころ!

ライトノベルで描かれてきたガンダム
ガンダム小説・巨匠対談 富野由悠季 × 福井晴敏
ガンダム小説大全
ベストガンダム小説発表
ガンダム小説既刊リスト

鼎談「わしらが少年・少女作家だったころ」
岩井志麻子 × 森奈津子 × 中村うさぎ

平井和正インタビュー
「若き作家よ 使い潰されない作家となれ」

デザイナーの仕事~言葉と絵をつなげる魔術師の技
イラストと小説の幸せな関係のために必要なこと
電撃文庫とともに歩んできた年月 メディアワークス代表取締役 佐藤辰男
絵描きなオレたち 緒方剛志 × 放電映像
“新レーベル”創設記 角川春樹事務所 角川春樹
ライトノベルの新しい作り方 冲方丁 × 古橋秀之
アニメ関係者から見たライトノベル オニロ社長 井上正博

ライトノベルマップ
国内主要レーベル編集者インタビュー
ライトノベル30年史
ライトノベルイラストレーター変遷史
ジャンル別ライトノベル良書解説
作家アンケート「私はこうしてデビューしました」
各出版社作品募集要項

コミック
「王立特別行政財団法人ライトノベルラボ」 るりあ046
「イラストレーター3年目でした」 D.K
「五臓六腑の一般ラノベ學講義」 五臓六腑
ライトノベル完全読本 (日経BPムック)(amazonリンク)
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2009年07月05日

「文豪の装丁」 NHK「美の壺」制作班 日本放送出版協会

たぶん映像でこれを観れば、きっと面白かったと思う。NHKの「美の壺」は、結構面白いのが多かったし。これはTVで放映したものを本にまとめたもの。

日本における明治以後、洋書の装丁の知識が伝わり、和綴じで寝かされた従来の日本の書物が、立つ形式を取り始めるそんな頃のものを扱っています。

江戸の浮世絵以来の木版画刷りの伝統を生かした装丁など、大変読んでいて面白いのだけれど、この本で使われている写真は、どうだろう?

正直、見せ方を工夫しようとしたのだろうけれど、失敗しているとしか言えない。シンプルに正面から、淡々と写した方が良かったね。写真が悪いです。

映像で見せたら、すっごい面白そうなだけに大変残念!

また、映像でのナレーションベースに文章に起こしているだろうけど、本としては説明不足。ただでさえ、文字量が少ないので情報量の圧倒的不足を感じずにはいられない。

結論、再放送あれば観たいけど、この本はいらないね。

実は・・・今年から、装丁を教えるところに通おうかと思っていたのですが、仕事がはっきりしなくて踏み切れませんでした。いかんな~、自分。行動しないと人生なんてあっという間に終わってしまうからね。来年は、絶対に速攻で申し込もう。アテネ・フランセはペンデディングっと。

そうそう、今も仕事関連ドタバタしてるのですが、これがはっきりしたら、8月頃には以前通っていた池袋のスポーツ倶楽部復活させようっと。
【目次】
1のツボ 木版画の彩りを味わう
2のツボ 挿絵に物語の神髄あり
3のツボ 特装本は素材を楽しめ
文豪の装丁 (NHK美の壺)(amazonリンク)

ブログ内関連記事
「シャリマール」甲斐大策 トレヴィル
「The Hours of Catherine of Cleves」John Plummer George Braziller
「西洋の書物工房」貴田庄 芳賀書店
「美しい書物の話」アラン・G. トマス 晶文社
「ルネサンスの活字本」E.P.ゴールドシュミット 国文社
「中世彩飾写本の世界」内藤裕史 美術出版社
ラベル:書評 装丁
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2009年04月09日

「カラサワ堂変書目録」唐沢 俊一 光文社

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ト学界のあの方の本です。当然、何の役にも立ちませんし、そういうのを求める人は読みません。

しかも、個人的に以前、別な本を読んでつまらないことを知っているのに時々どうしょうもなく、脱力系で本を選ぶと間違って混ざってしまうことがある、そんな本です。

本書もかなりつまらなかったです。それを分かっていて、読んでる私がバカなので文句も言えません。いろいろとちょっと疲れてしまって・・・。

うちのブログ見ても、まあ、役に立たない情報が満載なのですが、どうにも著者のセンスとの食い違いを感じずにはいられません。別に体系だった知識やアカデミズムがどうのこうのという世間的を気にしたものではなく、完全に趣味嗜好の問題として、本書で採り上げられている本がどうにも分からないというのが率直な感想です。
(前も同じこと書いた気がするなあ~成長しない私)

だって・・・おそらく私だったら、ほとんど手にも取らないし、速攻無視してゴミとしか思わない本なんだもん! 勿論、自分に関心が無い本だって、他人から見れば、素晴らしく価値があるという価値相対主義を否定する気はさらさらないんだけど・・・近親憎悪とは言わないまでも、なんでこれを評価するかなあ~と少々イライラするのも事実。

まあ、本が部屋にあふれているのは、当然一緒なんですけどね。いくら処分してもキリ無いのは本好きの避けられない宿命だし、積んだ本が崩れて死ぬ危険を甘受するというのは、分かるような気もしますが・・・。

そういうのは置いといて。
徹底的に役に立たないし、下衆(ゲス)の好奇心さえ、くすぐらない本です。でも&でも、日夏耿之助が出てきたのは、唯一興味深かった!

先日読んだ「アラビアンナイト」にもまさに日夏耿之助が出ていて、大正十四年の「世界童話体系」の亜剌比亜編で千夜一夜物語を翻訳していると紹介されたいた。その訳文が独特だというので珍しく記憶に残っていた。 

本書でも、やたらめったら小難しい漢字を並べ立てて独自の世界観を作り上げた点、「海外古典中の会話文を日本のキリシタン本や近世の小説本、歌舞伎の台詞回しなどから借りてくる手法」が書かれている。

そういやあ~、うちにも何冊か本があり、読んだ事があるのだけれど、正直たいした内容じゃなかった気がする。記憶にほとんど無い。漢字の難しさは、そう言われればそんな感じだったかも?

でも、本書を読んで彼の翻訳による千夜一夜物語を是非、読みたくなりました! 忘れなかったから、どっかで探し出して読もうっと。

それとは別だが、人外魔境小説。
私、未だに結構好きなんだけどなあ~。ブラジルのアマゾン行った時には、こっそりそれを念頭において、あらぬことを期待していたのに・・・。風土病の天狗熱が流行っていたりした時で、ドキドキもんだったのに・・・。ちぇっ!

まあ、ちょっとでも引っかかる点があったから、あながち完全に無駄とは言わないものの・・・本書はお薦めしないなあ~。これを面白がって読まれる方とは、ちょっと感性が合わないかもしれない・・・。

カラサワ堂変書目録 (知恵の森文庫)(amazonリンク)


ブログ内関連記事
「唐沢俊一のカルト王」唐沢 俊一 大和書房
「カルトな本棚」唐沢 俊一 同文書院
「アラビアンナイト」西尾哲夫 岩波書店
ラベル:雑学 書評
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2009年04月01日

「エロマンガ・スタディーズ」永山薫 イーストプレス

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読む前から想像していた通りの本でした。ありがちの解説にもならぬ、個人の思い付きを並べ立てた文章です。
本書は、不可視の王国を眺め、越境し、探索するための手引書である!!

な~んて、ご大層なことを冒頭の表紙裏に書かれていますが、笑止の一言に尽きます。

ネットで知り合ったオタもどき(=オタクはその分野で相応の知識がある人だと思っていますのでそこに至らぬ人)の人が、飲み屋でグダグダ熱く語っているとこの手の文章になります。

まあ、パンピーの常識人の邪魔にならない範囲なら、酔ったうえでのことで笑ってすませられるレベルですが、ご大層な用語を並べ立て、根拠らしい根拠もなく、完全に個人の思い込みを元に、トレンド分析や背景分析もどきなどをされても、心ある方が見たら、なんだかなあ~と思ってしまうことでしょう。

う~ん、文章を含めて発想が古過ぎる。端的に言うと、高度経済成長期で止まってしまったレベル。もっとも著者のお生まれになった時代を見て、納得してしまいましたが・・・(合掌)。

そもそも肩書きの漫画評論家というのが、既に私的には小首をかしげてしまうのですが・・・・。元来、規格外に置かれていることにレーゾン・デーテルがあるはずの漫画が一番嫌うであろう評論を自称するとは、はてさて???

おそらく本書をもって漫画入門にするような、特殊な方はいくら世間が広くても一人もいないとは思いますが、文章自体には全く価値が無いし、案内にも何もなりません。

但し、本書には唯一有用なものがあります。とにかく時系列的に捉えられる膨大な作品名・作者名の列挙。これだけは、私評価します。

勿論、網羅的などとは言えませんが、とにかくこのジャンルをまともに扱ったものがないうえに、取次店ルートにものらない自販機本やせいぜいが3号雑誌の為、国会図書館でさえ(全ては)現物がない。そんな世界のモノなのです。

私も小学生ぐらいから、それこそ無数に(千冊は軽く越えるでしょう)読んでおり、今でも一年に50冊以上は確実に読んでるだろうし・・・(先週だけで10冊読んだ馬鹿な私)。
昔も今も、サブカル系の人だからなあ~私(自爆)。アングラっぽいの大好きだし・・・。

ベタなところでは、森山塔の「とらわれペンギン」には、カルチャーショックを受けたもんなあ~。確か、今でも全作品初版で持ってるんじゃないかな? 山本直樹になっても少し買ってたけど、段々つまんなくなって離れちゃったけどね。

「漫画ぶりっこ」も何冊か手元にあるなあ~。白倉由美や藤原カムイ好きだったしね。時代が飛ぶけど、時代錯誤感アリアリの山本夜羽も未だにスキ!

本書でも指摘しているが、往時のエロ漫画は何でもありで、一般に受け入れられないモノ(物・者)が寄せ集まった、一種の治外法権みたいなところがあり、それが完全に社会から疎外されてアングラ感漂う雰囲気が、現実逃避として最大の魅力であったのですが、今はそういうのないですよねぇ~。

思考停止で規律が崩壊した現在の社会制度の下では、自分以外の世界を誰も見ない反射的利益(?)で、結果的に他者に足して寛容(=単なる無関心)になったからねぇ~。

アングラ自体が存在しえなくなった感じでしょうか。抑圧してくる「共同幻想」としての社会さえ存在しない今は、エロ漫画は単なるマイノリティーによる性的趣味の発露でしかないので、刺激がないんでしょうね。

まあ、かくいう私もまさに同時代人として、それを地でいってるっていうのが情けない話なんですけど・・・。

うだうだしたしょうもない話は、どうでもいいですね。とにかく知っている作品がたくさん&たくさん出てきて懐かしいです。完全に忘れ切っていた名前をあまりにもたくさん見つけたので、それに伴ってかつての想いを思い出してしまいました。

少~しだけ20代で夭折すると決めていた頃を想い、感傷にふけってしまいました。赤面もんです。

それよりも最近の作品でもかなり知っているのがある、そちらの方が赤面ものだったりして・・・。冗談で何度か思いついたことがあるが、このブログでは採り上げてこなかったエロ漫画専門の書評ブログでも立ち上げようかな? 別な名前で・・・。

そちらの方が評価されてしまいそうで怖い(苦笑)。
【目次】
第1部 エロマンガ全史
前説 ミームが伝播する
第1章 漫画と劇画の遺伝子プール
第2章 三流劇画の盛衰、または美少女系エロ漫画前夜祭
第3章 美少女系エロ漫画の登場

第2部 愛と性のさまざまなカタチ
前説 細分化する欲望
第1章 ロリコン漫画
第2章 巨乳漫画
第3章 妹系と近親相姦
第4章 陵辱と調教
第5章 愛をめぐる物語
第6章 SMと性的マイノリティ
第7章 ジェンダーの混乱
第8章 浸透と拡散とその後
エロマンガ・スタディーズ―「快楽装置」としての漫画入門(amazonリンク)

ブログ内関連記事
「マルクスガール」1、2巻 山本夜羽 秋田書店
「ナイトフラッパー」山本 夜羽音
「共犯妄想」山本夜羽 ワニマガジン
「侠子エクスプロージョン」山本夜羽 集英社
「丸尾画報EX2 パン・エキゾチカ」丸尾 末広 河出書房新社
「職業・殺し屋。1 」西川秀明 白泉社
「ゆびさきミルクティー」1~7巻 宮野ともちか 白泉社
「セーラー服で一晩中」1~4巻 白倉由美 角川書店
「失踪日記」吾妻ひでお  イースト・プレス
「このマンガがえらい!」宝島社
「低俗霊狩り」上・下 奥瀬サキ 小学館
ラベル:書評 エロマンガ
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2008年10月28日

「悪魔に魅入られた本の城」オリヴィエーロ ディリベルト 晶文社

著名な学者の蔵書。数奇な運命を辿った本達を通して、本への止み難い愛着と不如意な世界をかいまみることになります。

とは言うものの・・・正直この本、イマイチ面白くない。本に関する話としては、それほどディープなものではないし、奥深い古書の世界を考えれば、なんでもないのでは?と思ってしまうのだけれど・・・。

世界にはもっと凄い話が転がってますからね。

そもそも出てくる本の価値が私には分からないし、本に人生を狂わされた人なんて、それこそはいて捨てるほどいるから。申し訳ないがよくある話でしかないと思う。

それよりも、蔵書に関するエッセイの方がはるかに面白い!
妙に納得し、共感を覚えるのだが、それにしてもわざわざ本書を読むほどの意味はない。貴重な読書時間は他の本に当てた方が良いだろう。ちょうど神田では古書祭りやっていることだし。明日、会社さぼって行きたいなあ~。
【目次】
燃えた蔵書
失われた蔵書
見つかった本
消えた書店
怠慢な図書館員
恩知らずの相続人
エピローグ

蔵書という自己疎外 池田浩士
悪魔に魅入られた本の城 (シリーズ愛書・探書・蔵書)(amazonリンク)
ラベル:書評
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2008年08月09日

「書物の歴史」エリク・ド グロリエ 白水社

読了後、忙しさにかまけて書評を書くのを忘れていたもの。非公開モードでブログにタイトルだけ残っていたのを発見。一応、読んだことだけ記す。

たった一ヶ月で内容をほとんど忘れるぐらいでたいした内容は無かった。中世以前の部分にボリュームがあれば良かったけど、無理して通史にした為、ただ書かれただけで終わってしまっている。

よほどの暇人でない限り、お薦めしません。
【目次】第1章 書物の起源、古代の書物
第2章 中世の書物
第3章 15世紀から1789年までの刊本
第4章 近代の書物(1789年以後)
第5章 書物の将来
ラベル:書評
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2008年07月06日

「週刊東洋経済 2008 6/21」最強の「読書術」

結論:
今回の特集記事が読みたくて買ったのですが、目新しい点は全く無く、最近あちこちで流行っている『読書術』に便乗しただけ。オリジナリティは当然ありません。せいぜい、読書術モドキの寄せ集めで情報の鮮度がウリの雑誌としては、遅きに失したレベル。

読書術の達人として、選ばれているメンバーもどこぞで見たことのある方ばかり。他の本や雑誌の焼き直しで終わってしまっている。東洋経済もここまでひよったか、というのが率直な感想。追い込まれてるなあ~。

まず、図解してもっともらしく説明している「本を読む本」 。既に私は読破しているが、綺麗事ばかりで使えない本。それを冒頭に持ってくる辺りで、見た目に走って空虚な特集を暗示しているかのようです。勿論、実際の読書には役立ちません!(当ブログ内の関連記事参照)

せっかくだから、私の知識の整理も兼ねて、記事をメモ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
レバレッジ読書術の手順・・・「メモ作成&実践&メモの品質向上」のエンドレス
自分の課題・目的を明確にする
 ↓
重要なところに線を引き、印をつける
 ↓
レバレッジメモに重要部分を抽出し、繰り返し読む
 ↓
実践で試す
 ↓
レバレッジメモをブラッシュアップし、身に付ける
以前書いたが、私は絶対に線引きしないけどね! 付箋を使う。理由は、注意力が線引きのみに限定されてしまうから。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
勝間式「アウトプット志向」読書術
目的:
読書は他人の経験・体験を疑似体験すること。その中から重要な情報を再現性のある形で分解し、再構築する

読書のインプット:
読書はスピード優先。大量の情報を頭に入れ、質への転換を加速(線引き、ノート写しはしない)。情報を丸ごと消化せず、再現可能なフレームワーク(思考の枠組み)で体得する

読書のアウトプット:
とにかく実際に自分の仕事や生活の中で使ってみる(目での記憶よりも定着率は高い)。本当に有効かの判断をつける。そこから日常的に疑問を調べて、自分で新しいフレームワークを発見する習慣を身に付ける。
線引きはしないが、ノート写しはするなあ~私。書く事で視覚化され、手の動きを通して、脳に刻まれるから。実際の行動に勝るものではないが、次善の手法としては効率的だと思う。但し、本へ直接書くメモは視認性も良くないし、使えないと思う。

そうそう、この記事中で暗黙知を採り上げていたのは、非常に共感できた! 
「紙背を読む」ではないが、書かれていないことを書かれた文字から感じられるのは、ひとえにその人の経験による。経験、あるいは体験が無い者、目の前にあるものが見えていない者、気付かない者には、それはどうやっても分からないものだと思う。『縁無き衆生は度し難し』ではないだろうか?
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
選書眼を養う! 本選びの6か条
1わかりにくい文章の本は買うな
2ジャーンナリストが書いた本は読むな・・・視点が短期的で内幕暴露的、議論に深みがない
3有名すぎる学者や評論家の本は要注意・・・同じ内容を使い回し
4対談本や口述筆記本は読むな・・・書き物と比較すると、厳密性や緻密度が違う
5新聞・雑誌の書評は信用するな
6本はその場で思い切って買え
6は別にして、基本的にはこれ全て正しいと思う。確かに基本で常識だと思う。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【目次、一部抜粋】
最強の「読書術」~どう探し 読んで 活かすか
1カ月200冊をこなす速読・多読から、人間力を鍛える熟読・精読まで、達人たちの秘技を一挙公開!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
図解 | 『本を読む本』が伝授! 「読書には4つのレベルがある」

[達人の技 01]
読書を最高の投資に変える
「レバレッジ」読書術
本田直之/レバレッジコンサルティング代表・『レバレッジ・リーディング』著者

[達人の技 02]
読んだことは自分で試す!
メモ不要の「超実践」読書
勝間和代/経済評論家(公認会計士)

[達人の技 03]
知の体系を身に付ける
「3度読み」のテクニック
佐藤 優/起訴休職外務事務官

[達人の技 04]
財界首脳のブレーンが直伝!
「最強」アナログ読書術
三輪裕範/伊藤忠商事 調査情報部長

[達人の技 05]
情報処理では身に付かない!
「人間力」を鍛える読書術
齋藤 孝/明治大学 文学部教授
「心打つ言葉と出会えたら、その日の読書は成功」

[達人の技 06]
日本語だけでは周回遅れ
英語原著の「簡単」読書術
池田信夫/上武大学大学院 経営管理研究科教授
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
読書術 4つのケーススタディ

私の読書術(1) 北尾吉孝/SBIホールディングスCEO

自己啓発本でブレーク
速読術の最新トレンド

私の読書術(2) 土井英司/出版コンサルタント、ビジネス書書評家

ビジネス書に絶大な影響!
新聞を超えた書評ブログ


ブログ内関連記事
活字の海で~読書術は普遍的テーマ 相次ぐ指南本が好調~
「本を読む本」M.J.アドラー、C.V.ドーレン 講談社
「仕事に活かす!本200%活用ブック」日本能率協会マネジメントセンター
「レバレッジ・リーディング」本田直之 東洋経済新報
「キラー・リーディング」中島孝志 実業之日本社
「無理なく続けられる 年収10倍アップ勉強法」勝間和代 ディスカヴァー・トゥエンティワン
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2008年04月13日

「それでも古書を買いました」鹿島 茂 白水社

soredemokosho.jpg

本当に単なるエッセイ集。本を趣味とし、古書を購入したりする人達なら誰しも共感したり、いろいろと我が身を振り返らされるものの、それ以上のものはない。今回は内容が実に薄っぺらい。

著者はフランス19世紀本、特に挿絵本のコレクターだと思っていたのですが、本書の執筆時にはその枠を超えて、人としての道を踏み外されてしまったようです(笑)。美しい本を集める、いやあ~コレクターですね、ホント。

本の収納スペースから住居を決めたり、読まないけど、手元に置いておきたい、収集したいという観点から古書を購入する姿は、ああ、こういう方がビブリオマニアになられていく素養をお持ちの方なのかな?と、読んでいてふと思ったりしました。

もっともどこの世界も極めたマニアやオタクは、紙一重でまさに『神』の存在ですけどね。私には、そういうの無理だなあ~。

正直今回は、美しい挿絵もほとんど無く、ビジュアル的にもつまらないし、古書集めのディープな話題でもなく、物足りません。逆に言えば、一般受けしそうな、まさに軽いエッセイ集以外の何物でもありません。

古書マニアは、読む必要は無いでしょう。

ただ、読んでいてふむふむと思った点は、洋古書は読める人以外は買わないので顧客層が非常に限定されるという話。著者御自身もフランス語以外の本はまず買う気が起きないと書かれている。英語の本は読めるが、そちらも買わないそうだ。

私の場合だと英語がかろうじてぐらいなので、英語の本以外は興味を持っても買う気にはならない。挿絵や装丁だけで買うほどのマニアではない。だからこそ、うちのブログを読んでいると頻出する「ラテン語勉強しようかな?」とか「フランス語勉強しようかな?」という言葉に集約されるのであろう。

もっともそんなこと言いつつ、今月もアテネフランスの申し込みを迷っている自分がいたりする訳だが・・・。怠け者だ。

たとえ実際は読まなくても、そもそも読めない言語で書かれた本を買う気には、さすがになりにくい。今も手元にあるものの、買ってからほとんど開いたことのない、フランス語の本やチェコ語の本などは、私の愚かさの証以外の何物でもない。はあ~、重かったんだけどなあ~。

まあ、そんなことを思ったりしたわけですが、暇つぶしには悪くないか。今回、秩父の清雲寺の枝垂れ桜を見に行く途中、電車内で読む分には良かったです。でも、それ以上の価値はないです。
【目次】
1古書店さまざま
2買うか買わぬか
3あれもこれも
4こんな本も買いました
5愛書家鼎団 ブック・バインディングの世界
それでも古書を買いました(amazonリンク)

ブログ内関連記事
「愛書狂」鹿島茂 角川春樹事務所
「ある愛書狂の告白」ジョン・バクスター 晶文社
「書物の敵」ウィリアム ブレイズ 八坂書房
「呪のデュマ倶楽部」アルトゥーロ ペレス・レベルテ 集英社
「世界古本探しの旅」朝日新聞社
「謎の蔵書票」ロス キング 早川書房
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2008年03月25日

「チャップ・ブックの世界」小林 章夫 講談社

chyapbook.jpg

名前だけは知っていたが、正直あまり興味がなかったジャンル。先日の国際稀覯本フェアにもチャップ・ブックあったみたいですね。別な本ばかり見てましたが、私。
オックスフォード英語辞典によると・・・
チャップ・ブックとは、書物収集家などによって、ある大衆文学に付けられた名前。かつて行商人やチャップマンにより流布したもので、内容は主として大衆向けの物語やバラッド、論説などを含む小冊子。
基本的に本書の内容は、事前に想像した通りのものでチャップ・ブックの歴史や内容、歴史的推移、その影響など実にバランス良く書かれています。

少なくとも高度な教育を受けたとはいえない民衆が、粗雑な(稚拙?)木版画により内容理解を助けられつつ、種々の情報を得る為に読んだ印刷物としては、なかなか奥深いものがあるようです。

印刷文化の歴史的観点からも、実に面白いと思います。と、同時に今現在でもビジネス書やハウツー物など実用書と呼ばれるたぐいの本への需要は大きいですが、チャップ・ブックで取り扱われていた題材も実は、その手のものが非常に多いのを知って、なんか愉快でした♪

私自身も、時々その手の実用書読んでいますが、ホント人間って進歩しないなあ~。当時の本でも、今日できることは今日のうちに済ませ、とか、働けるうちに働いて節約して老後の蓄えにしろ、とか教訓めいたものが受けていたそうです。

なんかさ、効率の良い仕事の仕方とか大真面目に書いてる現代の本と、質的には一緒なんですよ、実は。これって、超・受けるんですけど・・・(爆笑)。

この本自体は、教養というよりは完全なる趣味性の高い本ですが、本好きや印刷文化好きには、楽しめるものだと思います。私的には、そこそこ好きです。

このチャップ・ブックという形態(または、文化)を経て近代的な小説へと繋がっていく歴史的推移も分かりますよ~。
【目次】
プロローグ チャップ・ブック
第1章 様々のチャップ・ブック―宗教書・実用書・旅行記
第2章 庶民たちの愛したもの―笑話集・占い・魔女
第3章 名作ダイジェスト―『ロビンソン・クルーソー』を中心に
第4章 チャップ・ブックの精神―伝説のヒーローたち
第5章 歌物語の系譜―バラッドからナースリー・ライムまで
第6章 犯罪実録の盛衰―ニューゲイト小説への道
第7章 無名の作者たち―「グラッブ・ストリート」からハンナ・モアへ
第8章 チャップ・ブックの出版と流通―ダイシー、キャトナック、そしてチャップマン
エピローグ 消えゆくチャップ・ブック
チャップ・ブックの世界 近代イギリス庶民と廉価(amazonリンク)

ブログ内関連記事
「キャクストン印刷の謎」ロッテ ヘリンガ 雄松堂出版
「ルネサンスの活字本」E.P.ゴールドシュミット 国文社
「本の歴史」ブリュノ ブラセル 創元社
「美しい書物の話」アラン・G. トマス 晶文社
プランタン=モレトゥス博物館展カタログ
ラベル:書評 古書
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2008年02月20日

「世界の古書店Ⅲ」川成 洋 丸善

好評だったせいか、シリーズ化してるうちに読者が何を求めているかを見失ってしまった好例となるパターンです。実際、3冊中、一番つまらない本でした。そのせいかな、3回でこのシリーズも終わってしまったようです。

そりゃいくら柳の下のドジョウと言っても、何匹もいるわけではないでしょうし。当たり前です。

世界を舞台にして知られざる古書の世界(古書店を中心にした古書事情)を紹介するという当初の企画は良かったと思います。しかし、本書では紹介すべき特徴ある古書店のネタが尽きたようで、政治的なことばかり書かれていて、本好きが求めるエピソードはほとんどありません。

編集サイド、それに気づかないのかな? これは古書店に関する本とは言えません。当然、古書店について興味のある人は、買って(読んで)失敗したと思うでしょう。

正直言って、つまんない古書事情の話などどうでもいい!(文化論も二の次) あくまでも知りたいのは、読む価値のある本、または、見る価値のある本がどうやって流通しているのか、どうしたら安く入手できるか、でしょう。

勿論、実際に購入するしないは別として、大概は矮小な所有欲を満たしたい俗物なんですから、古書コレクターなんてもんは。(一部は、そうではない高潔な紳士の方もいらっしゃいますが・・・)そういった類いの下世話な視点での古書店の話がもっと知りたかったです。

確かに人との交流も素敵ですが、いいじゃん、本の話なんですから、そんなに綺麗事ばかり書かれても・・・っていう感じですね。

16世紀のラテン語の聖書が格安で買えたとかという話がありましたが、そういうシンプルな方が実ははるかに好奇心をそそられます。(しかし、俗物な私)

また、本書の執筆者の中には猥褻な本がないのが良いと書かれている素晴らしい方もいらっしゃいましたが、私には理解できませんねぇ~。俗物根性の塊である私には、そういった雑本も十分に興味の対象なんですけど・・・。

さすがにここのブログではノリが違うので紹介しませんが、外国を旅行した時にその国の言葉で書かれたエロ本も当然コレクションの対象として買ってきてますけどねぇ~。猥褻とかどうか以前に、国民性が如実に現れていて大変興味深いですけどね。ブラジルでは、サッカーボールで怪しげなところを隠している構図でしたし、さすがはサッカー大国だと感心したのを覚えています。

余談が過ぎましたが、本書は読まない方がいいでしょう。こりゃ、駄目です。
【目次】
値切って買った『金鞭記』―中国、天津
北京書肆探訪―中国、北京
中国書店報刊資料部―中国、北京
青空古本市の「掘り出し物」―中国、北京
雑誌漁りに歩いた光華商場―台湾、台北
書厄・ご利厄・発禁本―韓国、ソウル
伝統と革新が共存する国―韓国、ソウル
懐を気にしながら買った古書―韓国、ソウル
マニラのちょっと危ない古本屋街―フィリピン、マニラ
フィリピンで唯一の本格的古書店―フィリピン、マニラ
英語文化の継承―ミャンマー・フィリピン
エネルギシュな街の頼もしき店主―ベトナム、ハノイ
新刊書のない国―ミャンマー、ヤンゴン
海の詩人の店「ル・ゾディアック」―フランス、パリ
日本人びいきの古書店主―ギリシア、アテナ
女たちの店―ドイツ、ベルリン
石畳を踏んで歴史と語る町―ドイツ、マールブルク
「ドン・キホーテ」とすいか―スペイン、マドリード
家族の絆のもとに―イタリア、ヴェローナ
オスカー・ワイルドと子供たち―イギリス、オクスフォード
古書店に生き続けるイングリシュネス―イギリス、ケンブリッジ
ロレンス・カントリーの「地霊」―イギリス、ノッティンガム
ああ、教会が古書店に―イギリス、インバネス
マヤ民族と本の精霊たち―グアテマラ、グアテマラ・シティ
ドンセレス通りと泥棒市―メキシコ、メキシコシティ
オクタビオさんとの出会い―チリ、サンティアゴ
ユニバーシティ・コミュニティに生きる古書店―アメリカ、ヴァージニア
地図片手に店内を巡る―アメリカ、ポートランド
地方の大学町で見つけた古書店―アメリカ、アイオワシティ
革命家の書物にうずもれた若い店主―ハワイ、ホノルル
人生の五分の一―日本、カンダ神保町
世界の古書店〈3〉はるかなる本の文化を求めて(amazonリンク)

ブログ内関連記事
「世界の古書店」川成 洋 丸善
「世界の古書店Ⅱ」川成 洋 丸善
「世界古本探しの旅」朝日新聞社
ラベル:古書店 書評 古書
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2008年01月16日

「世界の古書店Ⅱ」川成 洋 丸善

前回からの続編となりますが、内容的にはこちらの方が面白いかもしれません。やっぱり古書店は個性的で楽しいし、国毎の違いや店主毎の違いがあって素敵ですね。

でも、言語に堪能だったら、大変だったかもしれない。いろんな本が欲しくって仕方なくなってしまいそう。日本語の(少しだけ英語)本だけでもいっぱい&いっぱいなのに、フランス語とかスペイン語できたらえらいことになりますね、ホント!

旅は軽量・コンパクトを基本とする私ですが、旅行バックやスーツケースに本なんか入れたら大変なことになりますよ~。何しろ本は重いから、エコノミーではマジ規定重量オーバーになりかねません。追加料金払ったら、せっかく安く買っても意味無くなりますし。困ったもんです。

旅先では読めないまでもホテルや機内でもらった新聞やちょっとH系の雑誌なんかを持ち帰るのでそれだけでもう十分です。さすがに文字が読まないし、内容が内容なんで書評できませんが、それなりに溜まってきていて、そのうちコレクションになってしまったりして・・・(苦笑)。

冗談はさておき、古書や文化であり、人の生き様であることが分かります。好きだからこそ、古書店をやりたいと思ってことはありませんが、それで食べていけるなら素晴らしい仕事かもしれませんね。でも、お気に入りの本を売るなんて、金以上に辛いな、私ならば。

本書で書かれている場所に旅行するなら、是非、目を通しておくといいことあるかもしれません。のんびり旅するなら古書店巡りもいいなあ~。少なくともそれまでには、フランス語できるようになっていたい!!
【目次】
古書店の村おこし―ベルギー、レデュ
猟書家の出入りする店―インド、ボンベイ
南インドの書店事情―インド、コットヤム他
琉璃廠の街角で―中国、北京
王府井の新華書店―中国、北京
アフリカの古書店事情―南アフリカ、ヨハネスブルク他
路上のチェ・ゲバラ―キューバ、ハバナ
名著との出会いから―アルゼンチン、ブエノスアイレス
老舗の書店と泥棒市―メキシコ、メキシコ・シティ
市場経済の風景―ポーランド、ワルシャワ
古本と怨念―ポーランド、ワルシャワ
甦るカフカ―チェコ、プラハ
エラスムス終焉の部屋の下で本を探す―スイス、バーゼル
店主はフラメンコロゴ―スペイン、マドリード
古書と古音盤を求めて―スペイン、マドリード
『絵筆とペン』復刻版――スペイン、バルセロナ
スペイン文学随一の店―スペイン、セビージャ
二つの小さなコレクション―デンマーク、コペンハーゲン
世界文化遺産の相続人 セーヌのブキニスト―フランス、パリ
幻想の橋を渡って 作家が経営する古本屋―フランス、パリ
求めた本は”大航海中”―フランス、パリ
パリのアメリカ人の古本屋―フランス、パリ
のみの市の残り香―フランス、トゥールーズ
世界最北の首都の古本屋―アイスランド、レイキャヴィーク
「本の虫」ブックワームズ書店―アイルランド、デリー
まだ見ぬ古書店主―イギリス、ロンドン
古書はドラマなり―イギリス、ロンドン
アジア、日本の資料の宝庫―イギリス、ロンドン
「旅」の軌跡としての書物―イギリス、ロンドン他
ヴァーグナー横町の古本屋―ドイツ、イェーナ
エルベ河畔の”古書店文化”―ドイツ、ハンブルク
古書店での対話―ドイツ、ハイデベルク
バンクーバー古書店案内―カナダ、バンクーバー
ユダヤ系の名物書店たち―アメリカ、ニューヨーク
エドの古書店―アメリカ、ファアヘヴン
古書店のあるじたちの[本の人生]―韓国、ソウル
私の愛する古本屋―アメリカ、ニューヨーク
エピローグ 福島県只見の「たもかぶ古書店」
世界の古書店 2(amazonリンク)

ブログ内関連記事
「世界の古書店」川成洋(編) 丸善
 「世界古本探しの旅」朝日新聞社
「古書店めぐりは夫婦で」ローレンス ゴールドストーン, ナンシー ゴールドストーン 早川書房 
「古書街を歩く」紀田 順一郎  新潮社 
「古本道場」角田 光代、岡崎 武志 ポプラ社 
「古本屋さんの謎」岡崎 武志 同朋舎 
「古書法楽」出久根 達郎 中公文庫 
「愛書狂」鹿島茂 角川春樹事務所 
ナインズ・ゲート デラックス版(1999年)ジョニー・デップ主演 
「謎の蔵書票」ロス キング 早川書房 
「ある愛書狂の告白」ジョン・バクスター 晶文社 
「書物の敵」ウィリアム ブレイズ 八坂書房 
「本の国の王様」リチャード ブース 創元社 
ラベル:書評 古書店
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2008年01月06日

「ヨーロッパの出版文化史」戸叶勝也 朗文堂

syupanbunka1.jpg

本書は装丁がなかなか素敵で、大きな図版もそこそこ入っているので手に取った本です。
内容は目次で分かりますが、15世紀から18世紀までの印刷を扱っており、個別具体的な印刷技術や地域に関する部分は、極力抑えて大きな歴史的な動きを概観するようなものとなっています。

木版「聖母像」1418年
(木版「聖母像」1418年)

その点で言うと、大変よくまとまっており、本書を読むことで一通りの流れが掴めると思います。その反面、ある種、教科書的なバランスと鳥瞰図的な視点の為、エピソードのような具体的事例が少なく、読んでいるとそれほど面白くなかったりする。単純にいうと退屈なんだよねぇ~。う~ん、ある意味仕方ないのかもしれませんが、残念です。

15世紀後半の木版本
(15世紀後半の木版本)

ただ、小さな地域毎に分断されていたあのドイツで、いかにして本を販売し、代金を回収し、決済していたのかその書籍流通の仕組みは、本書を読んで初めて知りました。大変興味深かかったです。

シェーデル編「世界年代記」ノアの箱舟
(シェーデル編「世界年代記」ノアの箱舟)

また、カトリック側とプロテスタント側双方の動きがいかに深く且つ密接に書籍流通と関わっていたのか、本書では分かり易く書かれています。現代の国立図書館などにある献本制度のそもそもの成り立ち(=異端書籍ではないかの検閲の為)やそれが書籍流通に及ぼした影響なども面白いです。

ルター著「ドイツ国民のキリスト教貴族に告ぐ」
(ルター著「ドイツ国民のキリスト教貴族に告ぐ」1520年)

でも、値段は高いなあ~。私的には一度読めば、いい感じでした。コストパフォーマンスから言うとあまりお薦めしません。悪くは無いんだけどネ。そうそう、プランタンやキャクストンなども代表的な印刷業者として出てきます、念の為。

近代的海図帖1585年
(近代的海図帖1585年)

オランダ語聖書
(ヤン・モレトゥスによるオランダ語聖書)

ライプツィヒの市庁舎附属図書館
(ライプツィヒの市庁舎附属図書館)

【目次】
第一章 グーテンベクル以前の書物の世界
1ヨーロッパ中世・写本の時代
2書体の重要性
3木版印刷の出現

第二章 活字版印刷術の発明―十五世紀半ば
1グーテンベルクの生涯
2活字版印刷術の発明と初期印刷物
3活字版印刷術の完成と聖書の印刷
4フスト&シェッファー印刷工房の発展
5グーテンベルクのその後の活動

第三章 活字版印刷術の伝播―十五世紀後半
1ドイツの他の都市への伝播
2ヨーロッパ諸地域への伝播
3この時代の代表的な印刷・出版業者

第四章 十五世紀末から十六世紀前半の出版業
1ルネサンス人文主義と出版業者
2宗教改革と印刷物の普及―ドイツを中心に

第五章 十六-十七世紀の出版業
1印刷術とヨーロッパ各国語の形成
2この時代の書籍取引
3書籍取引の場としての書籍市
4フランクフルト書籍見本市の繁栄
5カトリック・ルネサンス(反宗教改革)時代の出版業
6オランダ出版業の発展とその他の国の出版業の低迷

第六章 十八世紀の出版業
1ライプツィヒ書籍見本市
2啓蒙主義の影響と文学市場の成立―ドイツの場合
3近代的書籍出版販売への転換―ドイツの場合

本書執筆にあたっての参考・引用文献・資料/図版の出典
あとがき
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2007年12月23日

「世界の古書店」川成洋(編) 丸善

世界中の古書店に関するエッセイ的なものをまとめたもの。それぞれの章毎に別々な人が書いていて、本書はそれらを寄せ集めたもの。

海外の古書店は私も時々覗くのだが、情けない事に私は英語ぐらいしか分からないのでフランス語やチェコ語、イタリア語の本など知らない言葉の本は面白そうでも読まないので原則は買わない。(例外的に図版が多くて綺麗だと買ってしまうこともあるが・・・)

また、単なる旅行者として通りがかりに一冊買うぐらいで海外の古書店に通い詰めた経験もないので、その意味では本書の執筆者方のように足繁く通って、古書店の雰囲気や古書店主の人柄などを描き出した文章はとても興味深かった。

また、日本に限らず世界中のどこの国でも硬派の古書店は、衰退しつつある潮流を感じて、いささかの悲しさを覚えた。でも増減はあってもいつの時代にも本を愛し、求める人はなくならないはずだし、事実これまでの歴史でも古書店が絶える事がなかったのだから、今後も紆余曲折ありつつも古書店の存続(繁栄)を期待したいと思った。

様々な国の古書(読書)事情やこだわりのある古書店主の人物像など、古書好きなら、読んでいて間違いなく面白いだろう。その反面、執筆者は学者に大きく偏っており、自らの専門書集めという視点なので、純粋たる趣味としての『古書収集』ではないのが残念だ。

どんなものでもそうだが、自腹で購入するのと与えられた予算で購入するのでは熱意や情熱が全く変わるのは自明であり、マニアとしての心意気や僥倖などの面白いエピソードのたぐいはほとんど無い。そもそも具体的な書名やそれにまつわる話などは、ごく一部に過ぎない。

これは、各執筆者に割り当てられた紙数の制限の故だろうと思うし、執筆者の偏り等も本書の出版社である『丸善』故だろう。これは仕方ない話だ。また、どうしてもイギリスに偏ってしまうのもそれらの複合要因とまあ、ロンドン故か?

『ビブリオマニア』という視点では、本書は全く評価されないだろうが、良き海外ブックハントの超・初心者入門書としては、結構いいかもしれません。恥ずかしながら、NYの古書店なんて知らなかったもんなあ~。今度、モーガン・ライブラリーに行く際には、絶対に寄ろうと思った「ストランド書店」!
【目次】
古書の町ヘイ・オン・ワイ―イギリス
ジョンソン博士の古本屋―イギリス、リッチフィールド
古書店との出会い―イギリス、オックスフォード
中世の町の古書店―イギリス、ヨーク
趣味が高じて・・・ハマースミス書店―イギリス、ロンドン
学者の商法・パタースン書店―イギリス、ケンブリッジ
ウォルター・スコットの館の近くで―イギリス、スコットランド
「北のアテネ」にて―イギリス、エディンバラ
フレッド・アンド・ハナ書店―アイルランド、ダブリン
老婆も訪れる気ニーズ書店―アイルランド、ゴールウェイ
マドリード古書旋回―スペイン
闘牛と酒と旅の日々―スペイン、マドリード
龍の眼の本屋―スペイン、ビルバオ
バスク文化の拠点マンテローラ―スペイン、サン・セバスティアン
店主は頑固な生き字引―ポルトガル、リスボン
カルティエ・ラタンの真っ白な空間―フランス、パリ
あるシャンソニエの影を求めて―フランス、パリ
マラルメ自筆原稿との出会い―フランス、パリ
挟み忘れの写真―ドイツ、ベルリン
失われた栄光―ドイツ、ミュンヘン
真摯な商法・ヴィントフェルダー古書店―ドイツ、マインツ
ハイドリッヒ昨今―オーストリア、ウィーン
美術史の古本屋の悲劇―イタリア、フィレンツェ
消えゆく音楽専門の古本屋―イタリア、ミラノ、ボローニャ
北欧書籍市場のキー・ステーション―スウェーデン、ストックホルム
命綱としての古書店―デンマーク、コペンハーゲン
モスクワとワルシャワの名もない古書店―ロシア、ポーランド
古本のスーパーマーケット、ストランド書店―アメリカ、ニューヨーク
演劇専門古書店めぐり―アメリカ、ニューヨーク
「エイト・マイルズ・オブ・ブックス」を誇る書店―アメリカ、ニューヨーク
学生街の古書店―アメリカ西海岸、シアトル、バークレー
南太平洋・オセアニア研究のクロスロード―アメリカ、ハワイ
ボルヘス的な世界・青空古本市―アルゼンチン、ブエノスアイレス
酒と実学の国の古本屋―オーストラリア、シドニー

本書で扱った「世界の古書店」一覧
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「古書法楽」出久根 達郎 中公文庫
「愛書狂」鹿島茂 角川春樹事務所
「世界古本探しの旅」朝日新聞社
ナインズ・ゲート デラックス版(1999年)ジョニー・デップ主演
「謎の蔵書票」ロス キング 早川書房
「ある愛書狂の告白」ジョン・バクスター 晶文社
「書物の敵」ウィリアム ブレイズ 八坂書房
「本の国の王様」リチャード ブース 創元社
ラベル:書評 古書店 古書
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2007年12月17日

「愛書狂」鹿島茂 角川春樹事務所

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十九世紀ロマンチック挿絵本のコレクターである著者による、蔵書紹介&書誌学的解説の本です。

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口絵として紹介されている挿絵がなんとも美しいのには、目を惹かれずにいられないでしょう! 本書自体が装丁にかなり凝った造りになっており、マーブル紙を初めとして豊富な白黒図版と共に、目で見て楽しめる本になっています。

ジャンル的には私の対象外だし、美しいなあ~と思う反面、私的嗜好からするとわざわざコレクションしたいと思うものではないものの、著者の古書に対する熱い情熱には、大変共感を覚えてなりません。

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実際、書誌学的な内容を初めとして、実体験に基づく収集家ならではの視点からの説明や体験談は読んでいてもとっても楽しい♪

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『書物愛』という嗜好を有する同好の士には、おそらく共感できる点は多々あるとあると思う。何を置いても、まず本であり、相場よりも安く可能な限り質のいい本を獲得するというのは、ある種の習性と言っても良いだろう。たとえ、同じ本を既に持っていてもそれは関係の無いことであり、何冊あっても良いのだ!

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かくいう私も黄金伝説は、初版で完全版一組、部分で重複3冊とか持っていて、おまけに版元変わった新装版一組にe-books、英語版ハードカバー一組を持っているが、そんなのどうでも良いことなのだ。
(今度はラテン語版とか欲しいなあ~とか考えていることなど、関係ないのである)

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とにかくそういうのは、抜きにしても学ぶところの多い本である。個人的には綺麗な本がお好きな方にお薦めしたいが、タイトルだけはやや誇張があるようだ。著者が書物愛好家であることは納得するが、これぐらいで○○狂とは言えないだろう。この世界はもっと&もっと奥が深い世界だと思うし、少なくとも生活崩壊か人格崩壊するぐらいまで突っ走ってから言って欲しい!な~んて、凡夫の私は思ってしまったりする。

それぐらい、個人的には愛書狂というかビブリオマニアは尊敬しているんですけど・・・。

以下、個人メモ。
「ノートル=ダム・ド・パリ」ユゴーの小説は中世の建築や習慣についての脱線が多い。
この絵の原画を描いたルイ=シャルル=オーギュスト・ステネーユはストラスブール生まれの画家で後に建築家ヴィオレ=ル=デュックの協力者として中世教会、とりわけサント=シャペルの修復に尽力した。
← よし、今まで興味なかったけど、今度探して読もうっと!

古書コレクターのほとんどは多かれ少なかれ運命論者である。ほしかった古書が手に入るも入らないも、すべては偶然が支配すると考えている。だが、そのいっぽうでコレクターは「意思」の人である。強い意志をもって古書を求めれば、かならずや、それは手に入るとも信じている。その一方で意思を実現するには、普通の人にとっては貴重な何かを犠牲にしなければならないという覚悟ももっている。金、財産、家族、恋愛、娯楽、美食等々、一般人にとってなによりも優先されるこれらのことをコレクターは諦め、そこで犠牲にされた時間、金銭、エネルギーをコレクションの形成に投入する。・・・・
気をつけましょう。決して他人事で笑い事ではありません! 幸い、そこまでの情熱がない軟弱者だから、良かったけどね、私は。

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【目次】
パリの悪魔―ロマン主義時代の代表的挿絵本
フランス人の自画像―十九世紀最高の風俗観察文集
ジャック・サン=ヴィクトール タブロー・ド・パリ―特殊な腐食銅版で描かれたパリ
パリとその近郊のピクチュアレスクな景観―風景画感覚のロンドン製パリ都市景観図
エミール・ド・ラ・ベドリエール 新しいパリ―オスマン改造後のパリ二十区
ルイ・モラン パリの日曜日―ルベールのエッチングに価値あり
ラ・フォンテーヌの寓話―古今東西比類のない、グランヴィルの動物画
動物達の私生活・公生活情景―グランヴィルの最高傑作
もうひとつの世界―シュールレアリスムの先駆
ジェローム・パチェロ、社会的地位を求めて―嫌悪を通り越し、悟りに達した挿絵
フルール・アニメ―亡き妻を冥府より甦らせようとした遺作
エトワール―グランヴィル、最晩年の作品
野菜の王国ー珍本中の珍本
パピヨン―黄金時代の飾る本
いずこなりと、お望みの国への旅―ジョアーノを忘れることなかれ
鉄道風刺手帳―微細なものの巨匠の珍品
百と一のロベール・マケール―数少ないドーミエの挿絵本
ミュゼ・ダンタン―影絵の肖像ギャラリー
ミュゼ・フィリポン、あるいはフィリポン・コミック百貨店―フィリポン本の集大成
現代の顔―写真家ナダールの似顔絵画家時代
ノートル=ダム・ド・パリ―挿絵「芸術」の結晶
れ・ミゼラブル―挿絵による大河小説
家なき子―子供達へのエッツェルの贈り物
さまよえるユダヤ人―天性挿絵画家ガヴァルニの傑作
あら皮―コレクター人生の象徴の書

愛書狂(amazonリンク)

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2007年12月04日

「キャクストン印刷の謎」ロッテ ヘリンガ 雄松堂出版

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原著者の本書執筆の目的は、「印刷本がわれわれに何を語るか、つまり、物質としての書物に現れるさまざまな証拠がどのように解釈できるかを、関心のある一般読者に示すこと・・・」だそうです。

実際、本書では具体的な例を挙げつつ、キャクストンに関する書誌学的な問題(英国で最初の印刷を行った年・場所等)がどのように変遷してきたのか、現在、どこまで分かっているのかが根拠を示しつつ、紹介されています。

しかし、いやあ~実に細かい話です。最新の科学技術などが調査に利用されて初めて分かってきたことなど、興味深いのですが、私には相当退屈だったことも事実。読んでいて実に眠たいこと&眠たいこと。

翻訳者が高宮氏だし、出版社があの雄松堂、しっかりした内容であることは間違いないのでしょうが、一般読者としては結構、読破するの辛いかも?

分量はさほどでもないですが、あまりにも細かい学術的議論で関心がついていきません。個人的にはキャクストンに関するもっと一般的な知識や既に確定している彼の英文学への影響等、基本的な事実を知りたかったんですが・・・。その辺についての説明は、物足りませんでした。

というか、本書の読者としては、その辺を知っていて当然として話が進められているような気もします。私の基礎知識不足なのかもしれません。本書を読まれる方はその点は事前に考慮しておいた方がいいと思います。先日読んだグーテンベルク聖書の本とは、全く違いました。

日本では、かなり読者層のパイは小さい感じかもしれません。

最後に、書誌学者だけは目指さなくて正解だったと心の底から思いました。裏写りした汚れ、と見まごうばかりの部分にキャクストン固有の活字の裏移りを見つけるなど、あっ、細か過ぎ・・・! 私には無理です、やっぱり。この手の細かいこと苦手なもんで。
【目次】
用語解説
参考家系図

1 ウィリアム・キャクストン
2 初期印刷本の調査
3 オクスフォード伝説
4 18世紀のキャクストン学
5 ウィリアム・ブレイズ
6 1976年のキャクストン祝祭行事
7 1877年から1976年にかけての研究調査
8 英国図書館インキュナビュラ目録の現在の研究
9 キャクストンのタイプ3の導入
10 『哲人の箴言金言集』の年代決定
11 キャクストン本の調査の続き―彼の庇護者
12 印刷本を扱う商人としてのキャクストン

典拠作品と文献
訳者注・訳者解説・おわりに・索引
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2007年11月28日

「埼玉の神社 比企、大里、北葛飾」埼玉県神社庁神社調査団 埼玉県神社庁

本書は埼玉県神社庁によって、県内にある全ての神社を網羅した資料であり、今回の「比企、大里、北葛飾篇」以外に「北足立、児玉、南埼玉編」「入間、北埼玉、秩父編」の全部で3冊からなる大変大部だが、大変充実した内容を持つ文献資料である。

神社の名称、所在地、祭神に留まらず、氏子についてや寺社の所持している奉納物や伝承等々を歴史的な文献資料のみならず、取材時に、現地で直接採取した生の情報を盛り込んでいて、非常に充実しており、多種多様な使い方ができる貴重な文献だと思われる。

図書館に先日籠もっていて発見したのですが、これが実に面白い!!

うちのブログ内の記事でも「埼玉散策シリーズ」と称して、幾つかの寺社仏閣等を巡り歩いているが、本書を読んでみると、知らなかった事があまりにも多く、自分の無知さに驚き呆れるばかりだった。

例えば、大昔から知っている月輪神社などは、創建が西暦700年代に遡り、約1300年の歴史を持っていたりした。京都でさえ1200年祭とかを祝っていたのがこないだの話だから、当然京都への遷都以前の奈良時代の話になる。

また、岩殿観音なども今でこそ往時の見る影も無いが、中世においては関東有数の伽藍が林立する一大宗教地であり、当時の文献には60を超える伽藍が集まっていたという・・・。そんなこと誰も歴史の授業で教えてくれなかったぞ!(何気に教師不信になるなあ~)

もっとも秀吉の全国統一の過程で松山城が焼かれた際に、岩殿観音近辺も全て劫火に焼き尽くされてしまい、その後、衰退したらしい。こういうこと知っていたら、歴史の授業ももっと面白かっただろうに・・・!

まあ、そんな感じで次々と知らなかったことが出てくるので、読んでいて全然飽きません。今後しばらくは暇を観て、拾い読みしていこうかと思います。間違っても読破できる量ではないですから。

せっかくなので興味深いところをメモ。
赤城神社 
所在地:東松山市野田455

賢悦金駄(けんえつきんだ)神(「野田の伝説と昔物語」昭和42年より)

 宇前原には、賢悦金駄神という変わった名前の石塔がある。この石塔は、風邪を治してくれる神として信仰されており、次の話が伝わっている。

 慶安の頃(1648-52年)、名主であった長谷部茂兵衛のもとに一人の六部が宿を求めてきた。茂兵衛は気の毒に思ってこの六部を家においてやり、六部も子供らに学問を教えたりして村人に慕われた。ところが3年ほど経つと六部に悪い病気の兆しが見え始めたため、村人は茂兵衛に申し入れ、六部に金を与えて村から出て行ってもらった。
 
しかし、何度追い出しても六部はいつのまにか村に戻ってきた。それを繰り返しているうち、ついに六部は思い出の多い長谷部家と共に昇天してしまおうと茂兵衛の家に火を放ったが、自分は火の中に飛び込むことができず、放火の下手人として捕らえられて火あぶりの刑に処せられた。

 この時、「自分は村の皆さんへ恩返しをしたい。ついては、自分は学問を身に付け賢かったことが無上の悦びであり、金は有り難いものだが、駄物であり、人の心は金で買えない。自分もまた賢悦金駄であり。よって賢悦金駄神と称して自分を祀ってくれたなら、村の人々が最も苦しんでいる病気を治すことを約束しよう」と言った。

 そこでその通りに石塔を立ててやった。ある時、風邪で苦しんでいる人が試しにお茶を上げて祈願したところ、不思議と全快した。以来、風邪や百日咳に霊験があるとして信仰されるようになった。また、かつてはこの石塔を削って飲めば、薬になるといわれ、随分石塔が削られてしまった。
あの、これって具体的に特定できそうだから、あまり書けませんが、文化人類学でしばしば出てくる『六部殺し』のアレっぽくないですか? 小松先生のご本に出てきた話を思い出しました。

 それに「六部が一緒に昇天しようと・・・」という文脈は明らかに違和感がありません? 素直に考えたら、六部が逆恨みで復讐しようとして火をつけた、という文脈の方がすっきりする感じがしてならないんですが・・・勿論、事実は不明です。

 また、殺される六部が村人に恩返しをしたいというのも私には解せないのですが・・・。むしろ、祟りを恐れて神に祀ったというよくあるパターンを踏襲している気がしてなりません。

 非常に民俗学 or 文化人類学的に面白い話のような気がします。面白いのは、遠野物語だけじゃないんですね。至る所に、この手の話は転がっているんですね。ふむふむ。
利仁神社(としひとじんじゃ、しょうぐんさま) 
所在地:東松山市野本612

 当社は将軍塚古墳の墳丘上に鎮座している。

 延喜十五(915)年に鎮守府将軍となった利仁将軍こと藤原利仁は下野に赴いて数千の群盗を平定したことや「今昔物語」の「芋粥」の話で広く知られている。比企郡内には、この利仁将軍にちなんだ伝説が多く、比企能員に代表される大谷(現東松山大谷)の比企氏や当地の野本氏はこの利仁将軍の子孫であるという。

 当社はこの藤原利仁の霊を祀る神社であり、内陣には藤原将軍像が安置されているほか、社宝と利仁愛用の弁当箱がある。その創建は、延喜元年(923)四月二十四日と伝えられ、元来は将軍塚古墳の北側に隣接する無量寿寺の鎮守で利仁将軍社と呼ばれていたが、神仏分離によって同寺から独立し、利仁神社と号するようになった。

 関東地方の豪族・武士の中には、平将門の乱を平定し、「俵藤太」の異名で知られる藤原秀郷の流れをくむ人々があるが、その祖先の藤原魚名から分かれた藤原利仁の流れをくむ人々もいることが見落とされがちである。それが鎌倉時代に名を馳せた大谷の比企氏や当地の野本氏などである。当地に藤原利仁に関する伝説が語り継がれその霊が祀られているのはこうした系譜とかかわりが深いと思われる。
芥川龍之介の小説で有名なあの「芋粥」に関連する人物が、まさかこの地にゆかりの有る人だったとは。全くの架空の話だと思っていたんですが・・・今の今まで。

 藤原利仁の名前ぐらいはさすがに聞いたことありますが、全然「芋粥」に結び付かなかったし、それが比企氏と繋がるなんて、まさに「えっー」って感じですよ。

 しかし、何も知らなかった自分を棚に上げて学校の先生のことを言うのもアレですけど、国語や歴史の教師、小中高を通じて誰もそんなことを教えてくれた人いなかったなあ~。自分の身近な歴史も知らないで、英語しゃべって国際人とか言う人々の顔を拝んでみたくなります。私ももういい年ですが、つくづく教育らしい教育を受けてきていなかったんだなあ~と思いました。

 当たり前ですが、やっぱり、自分で努力しないといけませんね。つくづく反省です。

 東洋・西洋を問わず、こういう話って私大好きみたい! 西欧の「黄金伝説」も面白かったけど、今後はこちらの方の資料を調べてみようかな? うっ、なんか楽しみ♪
  
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2007年11月22日

「さまよえるグーテンベルク聖書」富田修二 慶應義塾大学出版会

samayoerugu.jpg

慶応大学に『グーテンベルク聖書』を売った洋書販売で有名な丸善で、実際にオークションに参加し、落札し、その後も調査をしていた社員だった方による本です。

当初、あまり本の内容については期待していなかったのですが、私の予想は大いに裏切られました。大変密度の濃い、充実した内容で書誌学的要素も豊富で勉強になるし、しかも大変面白い本です。

本書を読む前に私が漠然と抱いていた『グーテンベルク聖書』のイメージは、全然誤解していたことが分かり、まさに啓蒙された書でした。

グーテンベルク聖書1

世界中に現在49部が確認されていることや、グーテンベルクが販売したものは、その後に装飾師によってイニシャルや挿絵を入れることが前提になっていて現存しているものも全てが異なっていて、一つとして同じものがないことなど全然知りませんでした。と同時に何も知らないまま、「グーテンベルク聖書」を見ていたんだなあ~と改めて間抜けな自分を恥じ入るばかりです。

確か来年に慶応大学が開校○○年記念とかで「グーテンベルク聖書」を全国で公開する噂を聞きましたので、是非その時にはしっかり見直してみたいと思います!! (いつ、やるんだろう?)

しかし、アメリカって金があるから、グーテンベルク聖書もたくさん持ってるんだねぇ~正直意外というか驚きです。ほとんど信じていなくてポーズだけプロテスタントの国なのに・・・。

モーガン・ライブラリーなんて、なんと3部も持ってるとか、おいおい~やられましたです、ハイ! 絶対に見に行かねば!! ちなみに丸善がグーテンベルク聖書の購入意思を尋ねられた最初の相手は、このモーガン・ライブラリーだったようです。へえ~、さもありなん。

先日、友人から写本とかをたくさん持っているところとしてURLを紹介されたハンティントンだが、ここも本書にしっかり出てきて紹介されてます。やっぱ、こういうところが買うんでしょうね。

グーテンベルク聖書2

あと、グーテンベルク聖書って私の感覚からすると、すごい稀覯本で当初から大切にされてきたと勝手に思っていたのですが、全然そんなことなくって、販売した当時は写本より安いからってぐらいの扱いだったようです。

その為、この稀覯本には聖歌隊の歌手が落書きをしているものもあるんだって! うわあ~そんな扱いですか・・・。また、グーテンベルクが手本にしていた写本自体も問題があるあまり良くないテキストだったようで、聖書の聖句なのにたくさんの間違いがあるんだそうです。

それ故、購入した持ち主が余白部分に訂正する語句を記入したり、時には印刷された文字を消してその上に手書きで修正された跡があるものもあったりと、いやあ~実に愉快♪

私のイメージでは、完璧に完璧をきっする職人で一切の間違いのないテキストを誤字脱字などもなく、素晴らしく美しいレイアウトで作成したもの。それが『グーテンベルク聖書』だと思っていたんですが、それはあまりに現実離れした夢の世界の話だったようです。

ねっ、面白くってしかたないでしょう♪ そうそう、ちなみに丸善が落札した当時はブラック・マンデーのすぐ後でたいがいの資産家や大口の団体なども手を控えざるを得ない状況がかなり有利に働いて、想像以上に安く獲得できたんだって。最もそれでもその時には、世界で一番高い本ということでギネスに載ったそうです。


グーテンベルク聖書の装丁(表・裏)

落札後の話なども大変興味深くって、丸善が落札したグーテンベルク聖書の最初の一文字のイニュシャルが本来『F』なのに装飾師が明らかにミスったらしく『Q』になってるとか。こんなミスは初めて見たというぐらいの決定的な間違いで、非常にレアな事例らしいです。

いやあ~、なんかワクワクしますね。本書を読んでから、実物を見たら、全然違って見えること請け合いです。ご興味のある方は、是非&是非読みましょう。本当に楽しめる本でした(笑顔)。

ちなみに、ここで紹介している写真は、本の中に入っていたグーテンベルク聖書のものです。
【目次】
はじめに 高宮利行

第一部 グーテンベルクの生涯と作品
 第一章 グーテンベルク生誕600年にちなんで
 第二章 グーテンベルクの暦

第二部 さまよえるグーテンベルク聖書
 第三章 ナチの手から逃れたグーテンベルク聖書
 第四章 タイタニック号遭難とグーテンベルク聖書
 第五章 グーテンベルク聖書の誤植
 第六章 落書きされたグーテンベルク聖書
 第七章 モスクワにあったグーテンベルク聖書
 第八章 鎖付きのグーテンベルク聖書
 第九章 写本としての売られたグーテンベルク聖書
 第十章 グーテンベルク聖書のオークション
 第十一 章装飾師による最大級の誤り

第三部 グーテンベルク聖書をめぐって
 第十二章 グーテンベルク聖書の復刻版
 第十三章 情報技術革命期のグーテンベルク聖書
 第十四章 活版印刷術の発明をめぐる新しい見解
 第十五章 過去1000年で最大の出来事
 第十六章 『學鐙』にみるグーテンベルク聖書

参考文献
グーテンベルク関連文献
さまよえるグーテンベルク聖書(amazonリンク)

関連サイト
慶應義塾図書館稀覯書画像 慶應本グーテンベルク聖書と初期印刷本
【上記サイトより、慶応本の来歴】
15世紀から18世紀
マインツの修道院に長く保存されていたと考えられる。

19世紀半ば
ゴスフォード伯爵(Archibald Acheson, 3rd Earl of Gosford)が所蔵していた。

1878年
ロンドンの書籍業者ジェームズ・トゥーヴィー(James Toovey)がこの聖書を含む伯爵の全蔵書を購入した。

1884年4月21日
書籍業者パティック・アンド・シンプソン(Puttick & Simpson)が競売でこの聖書を購入。ロット番号は339番。落札価格は500ポンドだった。

?年?月?日
アマスト・オブ・ハックニー卿(Lord Amherst of Hackney )が購入。購入価格は600ポンド。

1908年12月3日
サザビー(Sotheby's)で行われた競売で、収集家ダイソン・ペリンズ(Dyson Perrins)の代理として書籍商バーナード・クォリッチ(Quaritch)が購入。ロット番号は78番。落札価格は2,050ポンド。

1947年3月11日
サザビーの競売で、フィリップ・フレール(Philip Frere)の代理としてマグス書店(Maggs Brothers)が落札。ロット番号564番。落札価格は2万2,000ポンド。

1950年10月
エステラ・ドヒニー伯爵夫人(Countess Doheny)がマグス書店を介してフレールから7万93.75ドルで譲り受けた。

1987年10月22日
クリスティー(Christie's)の競売で、日本の丸善が落札。落札価格は490万ドル。手数料を含めると539万ドル(7億8,000万円に相当)で、印刷本の落札価格としては当時の世界最高記録を更新した。

1996年春 
慶應義塾大学が丸善より購入。
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2007年11月18日

「ぼくの血となり肉となった五〇〇冊 そして血にも肉にもならなかった一〇〇冊」立花隆 文藝春秋

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相変わらず、この人の考え方は私にとって生理的拒否反応が出てしまう部分(本を情報の為の道具として割り切って接している姿勢等々)があり、好きか嫌いかというと間違いなく嫌いなのですが、『本を読む』という一点において、この人は傑出した人物だと思うし、本書も有用な情報を持っていると確信します。

最初に言ってしまえば、ジャンルを問わず、情報を得る為に本を読む人ならば、絶対に目を通すべき本だと思います。但し、誤解してはいけないのですが、最初から最後まできちんと読む本ではありません。まして、立花氏の本を他にも読んだことがあるならば、ご存知の通り、かなりの重複がありますので斜めに目を通すべき部分が非常に多いです。

と、同時に同じような文章の中で微妙に違ったことを言っていて使える部分もあるのでそれを手早く見分けながら、読まないと時間がもったいないのも事実です。

本書で有用な部分ですが、特に参考になるジャンルは明白にノン・フィクションであり、ざっと列挙された「書名」と一行から数行の内容説明でしかありませんが、その書物の選択が実にイイ! 

膨大な本を読んでいるうえに、それぞれのジャンル毎で使える本と使えない本をきちんと分かっている(であろう)と感じられるセレクションこそが、本書のポイントでしょう。基本且つ有用である本か、ある特定の点で有用である本を見事に『選択』していると思います。

何故、そんなことが言えるかというと、自分が知っていて使える本だと思う「良書」がまさにこの本の中でも多数挙げられていて、著者の選択眼に同感できる点が多々あるのですよ~。嫌なことに・・・。

是非、皆さんも自分の関心のある分野や詳しい分野の本で、立花氏のセセレクションを確認してみて下さい。それで納得がいくなら、おそらく自分は知らない分野について挙げられている本も使える本なんだろうと信頼ができますから。

本書を読む意義としては、上記のように自分の不案内なジャンルの基本となる本や使える本を知る目安に使えることが一点であり、更に、自分が知っているジャンルでもしかしたら取りこぼしている(見落としている)本を見つける契機になるかもしれないのも大切な点です。

この二点の為にも、是非目を通してみることをお薦めします。但し、人が選ぶ以上、絶対にその人のバイアスがかかっていることはお忘れなく! それを理解したうえで、いかに本書の中で使える部分だけを素早く選択するか、それが肝要です。

本書を読んだだけでは、別に意味があるとは思えません。本書を使って効率良く自分に有用な本を見つけ出し、生かしてこそ、本書の価値が生まれます。きっと!

本書だけ読んでも無意味でしょう。あくまでも使う為の本だと思います。個人的には、あまり好きではない考え方ですが、ノン・フィクション関係には非常に大切且つ有用な方法論ですので、本書を読むなら、必ず次の本へつなげること。

そもないと、そこそこ分厚い本書を読む時間だけ、人生の浪費です。逆に本をドンドン読んでいく予定があるならば、本書の価値は幾何級数的に増大するでしょう。

ここで話が変わる。本文中で思わず頷いた部分について。
早読みと早書きの間を結ぶ能力として、もうひとつ大切なのは、「早呑みこみ」です。資料をゆっくりと読んで、事情をすっかりつかんでから取材するのでは遅すぎます。だいたいわかったところで、いかにも事情を通じている風をよそおって、取材に行かなければならない。取材で聞く話の中に、よくわからないところは、あとで大慌てで調べる。次の人を取材する時には、大慌てで調べた生煮えの知識を、さも前から知っていたかのごとく装って相手にぶつけ、さらに取材を深めていく。こういう、「半可通能力」を身につけなければならないわけです。
・・・・
・・・・
半可通になることは、ジャーナリズムの世界でどうしても身に付けなければならない能力です。しかし、それで満足してはいけない。しかし、半可通でいれば仕事ができてしまうのがジャーナリズムの世界です。そういう状況に身も心もスポイルされて、半可通で大口を叩くことだけをもってよしとする鼻持ちならない人間がジャーナリズムの世界には多すぎます。
・・・・
これは、まさに私がいつもマス・メディアに感じていたことであり、やっぱりそうなのかと納得させられた。と、同時にどこの世界も同じなのだなあ~と感じさせられた。

というのは、私もバイヤーをやっていた頃、まさにこの『半可通』をやっていたからだ。これができない人間はバイヤーとしては下の下だが、まさに半可通で終わっている人間が実に多い。そういう人は、勤続年数だけ多いが、バイヤーとしての知識や経験が上っ面だけで、出来る人や本物の人にはすぐばれてしまう。

逆に、真のバイヤーに育つ人は、『半可通』で得た知識をその後、徹底的に調査して更に理解を深め、複数の業者と関わりつつ、ビジネスを継続していく事で学んでいき、専門の職人と対等に素材や加工技術の話をできる水準にまで伸びていく。

他社のバイヤーからも情報や教えを請われると共に、職人や製造メーカーからも一目置かれる存在になるのだけれど、そんな人は私が知っている中では二人しかいなかった。後は、10年経っても何もできない、誰とも代替のつくレベルで終わってしまう。私の乏しい経験からも大いに共感できる話でした。

以下、本書の中で見て、私が今後読もうと思った本の一覧。本文より引用。
・大航海時代叢書シリーズ『インディアス史』ラス・カサス
スペインという国が、南米の原住民に対してどれほどめちゃくちゃな支配をしてきたかを書き綴ったもの。
・『インディアスの破壊についての簡潔な報告』岩波文庫
ラス・カサスっていうドミニコ会の坊さんがあまりにもひどいというので本国へ報告を出したもの。
・『イエズス会士日本通信』
日本にやってきたイエズス会士が本国の総長に送っていた報告書


・『世界神秘学事典』荒俣宏 平河出版社
全体的な見取り図を与えてくれるもの
・『ヘルメス叢書』白水社 
基本文献となるもの
・『ヘルメス文書』荒井献、柴田有 朝日出版社

・『口語旧約聖書略解』『新約聖書略解』日本基督教団出版部
比較的感知名注釈書

・『ハーディス』牧野信也 中公文庫、第三巻「聖戦」の項
ジハードで死ぬこととは、イスラムでは最大の宗教的功徳とみなされる。ジハードで死んだ者は殉教者となり、アラーの神により天国にあげられると決まっているのである。
・・・・
天国に行ったものは誰も現世に帰りたいとは思わないが、殉教者だけは別で、神から殉教者に与えられる恩寵のあまりの篤さに驚き、「現世に戻り、さらに十回死ぬくらいなんでもないのだ」

・『行動ファインアス』ダイヤモンド社
行動ファイナンスとは、数年前にアメリカで生まれた経済学と心理学の境界領域(融合領域)の学問で、資本市場で投資家がどう行動するかを研究する学問。
・・・・
効率的市場仮説にそぐわない投資化の非合理的行動がどこからうまれるのかが行動心理学によって分析されていく。

・『エリック・ホッファー自伝 構想された真実』作品社
自分自身がそのような不適応者の一人であり、その不適応者にまじって生き続ける中で、「人間社会における不適応者の特異な役割」という、彼の生涯を通じての思索テーマを発見する。「人間の独自性とは何か」ということを考えつめていくうちに、「人間という種においては、他の生物とは対照的に、弱者が生き残るだけでなく、時として強者に勝利する」ということだと思い当たる。つまり、「弱者が演じる特異な役割こそが、人類に独自性を与えている」のである。そして、アメリカを作った開拓者たちというのも、実は社会的不適応者であったが故に、家を捨て荒野に向かわざるを得なかった放浪者たち(弱者)だったのであり、それがアメリカ社会の独自の特質をもたらしているという考察にも導かれていく。

・『魔術的芸術』アンドレ・ブルトン 河出書房新社
原始時代に始まり、古代、中世、近世、現代、あらゆる時代を通じて魔術(呪術)をモチーフにして作られた絵画、彫刻、宗教的儀式用品、装飾品等、あらゆる美術作品を集大成した上に、ブルトンの魔術(呪術)論を展開した、きわめて興味深い本。

・『天才と分裂病の進化論』ディヴィッド・ホロビン 新潮社
精神分裂病の遺伝子こそ人類進化史上の最も大きな飛躍(サルからヒトへ)をもたらした遺伝子であり、その後の人類史においても、芸術、科学、哲学、宗教、政治などさまざまな局面において数々の飛躍を生んだ有名、無名の天才たちを生んだ遺伝子だ、という仮説。

・『敗戦真相記』永野譲 バジリコ株式会社
この本は日本の敗戦の最も優れた敗因分析である。
・・・
何といっても大きいのは、マネージメント(経営能力)の差だという。マネージメントにおける科学性のなさ=非能率、非効率が兵器における科学性の欠如よりはるかに大きな敗因になっているという。

・『脳が殺す』ジョナサン・H・ピンカス 光文社
殺人者は何故人を殺すのかを真面目に追求した本である。著者は神経内科医で、長年にわたって、特異な殺人者の精神鑑定をしてきた。二十五年にわたり、百五十人の殺人者を鑑定したというから、この分野では比類ない研究実績を持つといってよい。その結果たどりついたのは、一般的な単純殺人者とちがって、大量殺人、連続殺人、殺し方が冷酷無惨など、人の目をそばだたせるような特異的な殺人は、ほとんどが「幼児の被虐待体験」「精神疾患」「脳の神経学的損傷」の三つの要因を重複して持つ殺人者によって犯されているという結論である。

・『中国性愛文化』青土社
中国の性文化のあらゆる局面にわたり、紹介される資料の豊富さには圧倒的なものがある。中国の性の三大奇形現象といわれる、娼妓、宦官、纏足についてもこれまでになく詳しい。
たとえば、男が纏足の女性を愛撫して楽しむのに四十八種の法があったといい、そのすべてが解説されている。
・・・・
宦官になる為の局所背所術についても詳しい。

・『ヨーロッパ古層の異人たち』芳賀日出男 東京書籍
芳賀が何年もかけて取材してきたヨーロッパ各地の伝統的な祝祭にあらわれてくる、ヨーロッパ文化の最古層に横たわる、キリスト教以前のゲルマン、ケルトの伝統に遡る習俗の写真中心の報告である。
実は、まだあと100頁くらい残っているがとりあえず、忘れないうちにメモ。ここの部分は追加予定。

ぼくの血となり肉となった五〇〇冊 そして血にも肉にもならなかった一〇〇冊(amazonリンク)

【追記】
・『裏切りの同盟』ロバート・ベア NHK出版
アメリカとサウジアラビアとイスラム過激派について書かれた本。
著者はCIAの調査・工作官として、ニ十年以上にわたって主として中近東で働いてきた。おとり捜査のため、石油の密輸、武器の密輸までしたこともある人なので裏情報がふんだんに盛り込まれている。
・・・・
世界一の産油国、サウジアラビアには、ほとんど天文学的な石油マネーが日々流れ込んでくるが、それを自由にできるのは、ほんの一握りの王族を中心とする特権階級の人々で、国民全体の生活向上にはほとんど使われない。王族は外国旅行に行くと、毎日億単位の金を使って、女を買う、カジノに入り浸る、酒と美食におぼれる、贅沢品を買いまくるなど、あらゆる種類の腐敗行為に熱中する。ところが、国民の生活水準は下がる一方。一般国民レベルでは不満が暴発寸前になっている。一方でイスラム原理主義的な教育を行うマドラサ(イスラム宗教学校)が全国にでき、そこを卒業してイスラム過激派に身を投じる若者がふえた。彼らは王族の腐敗生活に強く怒っており、サウジで革命がいつ起きても不思議ではない情勢になっている。この情勢変化に気付いた特権階級は、過激派を買収しようとして、あるいは過激派から脅されてやむをえず、過激派にどんどん資金を流している。これが、イスラム過激派にサウジから膨大な資金が流れる理由だ。

・『アレクサンドロス大王物語』伝カリステネス 国文社
ヨーロッパで中世以来聖書に次いで広く読まれたという物語で虚実ない交ぜの面白いアレクサンダー伝説がたくさん載っている。

・『諜報員たちの戦後』斉藤充功 角川書店
陸軍中野学校の卒業生たちが戦後六十年目にしてようやく語りだした戦後の生き方である。陸軍中野学校はその前身の組織を含め7年間だけ存在し、二千百三十一名が卒業した。大半が戦争の時代を生き延びたわけだが、多くの者はいまだに「黙して語らず」の中野学校の遺訓を守り、問われても口を開こうとしない。
・・・・
終戦時、陸軍中野学校は群馬県富岡町にあり、本土決戦後、国内遊撃戦に転じる計画を立てていた。全国いたるところで地下に潜り、機会があればいつでも地下から湧き出てゲリラ戦を展開する計画だった。敗戦後は、占領軍の監視を続け、将来の国家再建にそなえるべく、一人一人、校長から秘密司令を受け、秘密通信法が伝授され、秘密の工作資金も渡されていたという。

・『生命科学』羊土社 東京大学教養学部理工系生命科学教科書編集委員会編
分子生物学、細胞生物学、発生生物学の全領域にわたって、最新の知見を実に要領よくまとめている。
他にもまだまだあるが、とりあえずこの辺を読んでいこうと思う。

関連ブログ
「ぼくはこんな本を読んできた」立花 隆 文藝春秋
「脳を鍛える―東大講義「人間の現在」」立花 隆 新潮社
「ぼくが読んだ面白い本・ダメな本 そしてぼくの大量読書術・驚異の速読術」立花 隆 文藝春秋

しかし、嫌いだという割には何冊も立花氏の本、読んでるな私も(苦笑)。
ラベル: 書評 読書術
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2007年11月14日

「ブックハンターの冒険」牧真司 学陽書房

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SFマガジン等で著者の名前は見たことがあったように思う。実際、著者の活躍するメインフィールドはSF関係の書評などで、本書で語られるジャンルも圧倒的にSF色が強い。

私自身も高校生の頃に、SFマガジン(早川書房)と澁澤龍彦を中心に生活してたので著者が語る内容はおぼろげながらに分かるが、やっぱり真性のSFファンって『濃いなあ~』って思わずにいられないノリがそこかしこに漂う文章です。

たぶん、こういうのがダメな人は一発で嫌いかもしれない? 元祖オタでしょう(決して悪い意味ではないので注意!)。その代わり、古書に関する愛情が滲み出ているのも事実で相反するようなコメントですが、古書好きには共感できる部分が非常に多いと思う。私、結構スキ。

そうそう、ちゃんと書いておかないと誤解を招くかな? あくまでも中核はSFだと思いますが、著者の関心の範囲は、幅広くミステリーや怪奇・幻想系なども守備範囲らしいです。ミステリやSFは、書名を聞いても知らないものがほとんどですが、幻想怪奇系になると途端に私の知っているものが増えていきます。

最初は、私の趣味と全然合わないし、収集方法も方針も私とは根本的に違うし、つまんないかなあ~と思いながら読んでいったのですが、読み進むにつれ、段々と面白くなっていきます。

古書マニアとしての特性が出てくるにつれ、やっぱりこういう人っているんだなあ~と思うと共に、自分ってなんてノーマルなんだろうって安心している自分に気付きます(良かった!)。

同じ本を買うことがあっても、ごく一部の本以外は初版や月報、帯等にはこだわらないし、ほとんどが自分が持っているのを忘れたせいで、必要以上にコレクターと化していない自分の良識さに感動しちゃうぐらい。精神安定剤として、読んでおいてもいいかも? 

体調絶不調なのに、デパートの古書市初日に行く病気さをほとんど持ち合わせていない自分を誉めてやりたくなります。マジに。時々、そういうことをしたくてたまらなくなりますけどね。用も無いのに、展示会や商談と称して外出して、古書市巡りなんて滅多にしませんよ、大人ですもの私(オイオイ)。

でも、本当に古書市の初日って、サラリーマンも来てるんだよね。営業や外回りでは絶対に無さそうな人が。半休で来てるのか知らないが、怪しい???

それは置いといて。
伊達にプロの書評家ではありませんね。やっぱり、上手い紹介がされている本がちらほらあります。幾つかは私もこれから読もうと心に決めました。『ガルガンチュワとパンタグリュエル』

また書誌的な情報もそこかしこに溢れています。もっとも私の興味の対象外なんで、直接的には役立たないけど、でも、読んでて面白いです。本好きなら、楽しめると思います。

但し、著者の古書の収集法(として紹介されているもの)は、なんていうか一般的過ぎて面白くない。恐らくみんなそれ以上の独自のノウハウがあるはずだし、著者も絶対に持っていると思う。出し惜しみしてるんじゃないかなあ~。どんな情報もみんなが知った時点で、陳腐化するし、価値を失うからね。何よりも欲しい本が有限である以上、自分の手に入らない事態だけは避けたいでしょうしね。

こんなこと言う私自身も、自分なりの方法がありますが、どんなことしてもそんなことブログに書く気にはなりませんしね。釣りをしている人が釣れるポイントを他人に教えないと全く同じ心理でしょう。知人等ならいざ知らず、苦労して獲得したノウハウを無償で提供されることは有り得ません。

そこが実際は難しいところかもしれませんね。と同時にそういったノウハウと情熱とひたすら運頼みというのが、古書収集の醍醐味かもしれませんね。

本書を読んだせいか、ついつい私も古書店廻りをしてしまい、ちょっとツウ好みの本を何冊か購入してしまいました。ダメですね、すぐ影響を受けてしまうタイプのようです私って(笑)。
【目次】
 序章古本日記Ⅰ―晴探雨読日々是楽園―

第1部 ボクの修行時代
 第1章古本屋がボクの教室だった
 第2章猟書は長い坂をのぼるようです
 第3章それでもあなた、コレクターになりますか?

第2部 揃える愉快
 第4章≪異色作家短編集≫は旧版にかぎる
 第5章≪不思議小説≫三段跳び
 第6章≪シュルレアリスム≫に夢中

第3部 ホコリ高き楽園
 第7章北京で出版された怪談集
 第8章戦前の科学エッセイ
 第9章この世の外の料理本
 第10章ヴェルヌとともに世界一周
 第11章ルイスのイマジネーションに脱帽

第4部 ブックハンティングの旅
 第12章サンフランシコ古書巡礼

第5部 紙魚の偏愛
 第13章急にイーリイが読みたくなって
 第14章≪新編・異色作家短編集≫を夢見ながら
 第15章忘れられた作家、モーリス・ルヴェル
 第16章ラブレーでファイト一発!
 第17章言葉を使わないストーリーテラー
 第18章グロテスクな想像力、ミハイル・ブルガーコフ

終章古本日記Ⅱ―世紀末百貨店古書即売会七転八倒之図
ブックハンターの冒険―古本めぐり(amazonリンク)

関連ブログ
「世界古本探しの旅」朝日新聞社
「本棚が見たい!」川本 武 (著) ダイヤモンド社
「古本道場」角田 光代、岡崎 武志 ポプラ社
「古書街を歩く」紀田 順一郎  新潮社
「古本屋さんの謎」岡崎 武志 同朋舎
「古書店めぐりは夫婦で」ローレンス ゴールドストーン, ナンシー ゴールドストーン 早川書房
「古書法楽」出久根 達郎 中公文庫
「世界の図書館」徳永 康元 丸善
「ヨーロッパの歴史的図書館」ヴィンフリート レーシュブルク 国文社
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2007年06月16日

「復刊ドットコム奮戦記」左田野渉 築地書館

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「復刊ドットコム」とは、絶版や品切れなどで現在では入手できない本の希望者をネット上で募り、一定数を超えた時点で復刊交渉を行って可能な限り、復刊を実現させていくサイトです(当然、利益は復刊書籍の販売により獲得される)。

まさにネットが実現を可能にしたビジネスモデルであり、本好きの人なら、実際に活用するしないにかかわらず、おそらく一度以上は訪れたことのあるサイトであり、非常に期待を持って見守っているサイトではないかと思う。

本書は、その復刊ドットコムを立ち上げた創業者が、全く新しい事業を暗中模索の中で試行錯誤し、黒字を維持しつつ、現在まで継続し続けてきている軌跡を描いた本です。

実際に復刊が可能になるまでの交渉の大変さと共に、交渉した結果として復刊が実現しない困難な理由を具体的に挙げているのがとても興味深い。

往時の本で現代では差別用語にあたってしまい、そのまま出版できないが修正することもできないので復刊できない場合や、著作権が複雑な所有になっていて該当者全員による許可が獲得できない場合。復刊自体は可能であっても、安価な漫画本などで少数限定出版では単価が高くなってしまい、実際の購入が期待できずに断念する場合など、ビジネスである以上、利益を確保することがいかに難しいのかが如実に伺われる。

同時に本書を読むまで、正直このサイトが他社の復刊計画の参考とされるほど業界での評価が高いとは知りませんでした。あくまでもニッチであり、他の出版者は冷ややかな視線なのではと勝手に誤解していました。

また、熱烈な復刊希望者の存在故に実際に復刊した本の売上でも、他社を圧倒するだけの売上がそのサイト上で達成されているのも凄いなあ~と思いました。いわゆるロイヤリティーの高い顧客・顧客予備軍を抱えていることが強みなのがよく分かります。

その辺はなかなか読み応えがあるし、本の流通・出版業界、あるいはネットビジネスとしても勉強になります。

その一方で2章以降かな。私的にはほとんど面白くないし、読むだけの価値を覚えなかった。実際に復刊された本などに関する話などに内容が移っていくのだけれど、私が復刊して欲しい本とは内容・ジャンルが甚だしくかけ離れているので、どうしても興味を持てなかった。

そういえば、復刊ドットコムを何度か見たことがあるのだが、たいていの場合は私の欲しい本で絶版のものが対象になっていたことがなかった。漫画や写真集、特殊なマニア向けのものが多かったので自分には利用価値が見出せず、私には関係のないサイトとしていつも認識していたことを思い出した。実際に、本書を読むことでその思いがしっかり裏付けられたのは、読んだ価値があったかもしれない。

ただ、小山田いくの作品とか、「少女アリス」とかはなるほどなあ~と思っていたが、99%は興味の対象外ですね。勿論、私の関心は別にして、非常に価値のある素晴らしいビジネスだと思います。今後も更に発展していって欲しいと思いますが、これは一般論で個人的にはイマイチです。

個人の尺度で言えば、安く欲しい本が入手できればOKなわけであり、オークションでも古書マーケットからでもたいていの場合は、入手できるような気がします。情熱とその対象たる本との『縁(えにし)』があれば、出会えるものでしょう。駄目なら、それは縁がないか努力が足りないかのいずれかでしょう♪

特に文字ベースの情報としての本であるならば、国会図書館で複写してもいいし、いざとなれば、手書きで全文写せばいいだけのことですし(極論ですけど)。まあ、中世の写本ではありませんが(苦笑)、今はすごくいい時代だと個人的には思います。そのうちgoogleの全文検索とか利用して対価を払えば、いくらでも入手できるかもしれませんね。個人的にはいろいろと期待してますが・・・。

話がとりとめのない方向へ向かっていて恐縮ですが、個人的にはもっと使える復刊ビジネスがあると嬉しいなあ~。別に復刊でなくても、とにかく必要な情報が本・雑誌・ネットの形態を問わず、入手できれば最高ですね!

amazonやgoogleにはそういう意味で期待していますが、まだまだ発展途上であることを強く感じます。それらの更に上をいく新しいサービスが生まれることを期待しちゃいますね。う~ん、待ちの姿勢だな、私も。自分で作り出すくらいだったら、頼もしいのだけれど・・・。

余談が過ぎましたね。総括。時間があれば、前半を斜め読みすると面白い程度。購入してまで読む必要は覚えません。私は本屋で全部読み終わってしまいました。面白かったら、資料用に買おうかと思いましたが、そのお金でネットワーク関係の別な本を買いました(笑)。
【目次】
欲しい本を手に入る10の方法
プロローグ「埋もれてしまった名作」から「懐かしの思い出の作品」まで
1章 復刊ドットコムストーリー
1手に入らない本が多すぎる
  なぜ復刊ドットコムがはじまったのか?
2儲からない試行錯誤から読者が望む復刊へ
  月商十六万からのスタート
  読者投票がつくるサイトの誕生
  コミケ、そのエキサイティングな広場
  ダルタニャン物語と藤子不二雄Aランドという大きな壁
  出版社が復刊できない本
  新しいコミュニケーションの場
3ニッチなサイトが成功したわけ
  双方向サイトが成功の秘訣
  eコマース成功のコツ

2章 熱い復刊リクエストから見えてくる人気本の秘密
1人気の商品とは?
  おもしろ投票ジャンル
2復刊ブックガイド
  懐かしのコミックス・アニメ…子どもの頃に買えなかった本
  ゲーム系…TRPGからマザーまで
  音楽の本…エンタメの王道
  児童書〜アニメ読み物 …トラウマ系絵本とは何か?
  実用書や専門書…意外な人気で、色あせないネタ
  ビジュアルな書籍…一夜にして500人が投票した本とは?
  人気投票ランキング…復刊会員22万人が選んできた「これが、読みたい本だ!」
  まだまだあるぞ!「単行本未収録作品」ランキング
3子ども時代の夢を果たす「復刻ブーム」
  「掘り出し物・レア物コーナー」…高客単価と大人買い
    
3章 復刊にまつわるエピソード
1岡田あーみんはなぜ復刊できないのか?
  絶版本が抱える紛争の数々
  復刊を断念するケース……「残念」リスト一挙公開
2憧れの著者に会いに行く!
  マンガ家たちの素顔
  個性あふれる絵本作家たち
  良書には推薦者が集う
3時代の波に揺られて復刊された本

4章 本好きのためのパラダイスとは?
1熱意がビジネスを超える
  ファンだけが知っている情報…ファンサイトとの連携
  「信頼」を基盤とするビジネスモデル
2新しいコミュニケーションを創造する
  電子書籍→携帯電話へ
  復刊の最前線からみた出版権と著作権
3一〇〇万人の自給自足の読者生活をめざして
  読者による生活共同体へ
復刊ドットコム奮戦記-マニアの熱意がつくる新しいネットビジネス(amazonリンク)
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2007年05月02日

「古書ワンダーランド1」横田順弥 平凡社

冊子「本の窓」に連載されていたものをまとめたもの。明治時代の古典SFの収集を中心に、古書漁り(失礼!)古書収集を何よりも生き甲斐にしていらっしゃる著者による、古書にまつわるエピソード集。

古書マニアとしての生態が窺われるエピソードなど、それなりに面白いとは思うのですが、著者が紹介される本の一冊として私の興味を引くものがないのが、悲しい。それでも、それなりに面白くは読めるんですが、やっぱり遠い世界の話。

研究熱心だなあ~とは思うのですが、荒俣氏とかと比べるとかなり常識の範囲内の古書収集家というところでしょうか。『キテル』とか『あ~あ、イッチャッテル』という水準ではないので、それほどの感慨はありませんでした。

部屋の本が崩れるなんて、そりゃ誰でも一緒だもんネ。

続編も出てるようですが、古書マニアであっても買ってまで読む本ではないでしょう。他にも読まなければならない本は、山積みですから。

ただ、著者が部屋の中を掃除して整理したら、全く同じレアな本が4冊出てきたのは、実に身に詰まされる話です。私の場合は、安い本でしたが、同じ本が3冊になってしまったことがあります。勿論、2冊なんて事は当たり前ですが。

そういえば、「黄金伝説」もかなり重複してしまった。人文書院のものと復刻した平凡社のものでしょう。英語でもハードカバー買っちゃったし・・・。よりによって人文書院の第2巻については、ブックオフで安く売られていたので悔しくてつい買ってしまったもんなあ~鬱だあ~。

ふう~私事だけど、漫画とかつまらなかった本は少し売って整理しないと部屋がつぶれかねない・・・。とりあえず、3,4箱売っておこうっと。

古書ワンダーランド 1(amazonリンク)
ラベル:古書 書評
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「印刷に恋して」松田哲夫 晶文社

漠然と以前、印刷業者さんの工場へ視察に出掛けた思い出とグーテンベルク関係の印刷革命の本を読んだ記憶から手にとった本。

活版印刷から始まって、現在の電算写植や電子出版までを扱いながら、今、まさに失われつつある印刷技術について、筑摩書房の編集人たる著者が実際に体験を通して紹介している。イラストは、ちょっと前に本を読んだ内沢旬子氏。ご自身でも本の装丁などをされているそうだ。

そうですねぇ、私が工場を見に行ったのは、宛名書きをハガキに印字するにあたっての顧客情報の管理状況やセキュリティのチェックだったので、それほど印刷そのものの機械は注意してみてなかったんですが、改めて本書を読むと、大変興味深いです。

技術は進んでも、やっぱり職人さんの技がモノをいう世界だったんだなあって思います。ただ、昨今の場合は、DTPが加速度的に進む中、依然とは確実に異なってきていることがひしひしと感じられます。

職人を育てる時間もなかれば、なかなかその技術を直接的に生かせるような現場でもないようです。良くも悪くもコンピュータ化が進みましたからねぇ~。

いろんな印刷手法があり、それぞれの長所と短所が分かるのって今後も何かの役に立ちそう。そういえば、文字校(校正)、色校(校正)と段階を踏んでようやく色見(見本)で始めて、どんな感じに仕上がるのか分かるんですが、そこで責任者に駄目出しされて印刷屋さんが洒落にならなくなっていたのを思い出しました。

この本を読むと、その辺りの事が改めて分かりました。でも・・・、今はいきなり色見相当のものが出てきてたもんね。丁度、私もまさに現在の印刷技術の発展を経験したいたんですね。ふむふむ。

面白いのは確かに面白い本です。でも、やっぱり実物を見てないのでイラストと解説だけでは、実際の作業が分かりにくいというのが率直な感想。私以上に、知らない人だったら、もっと作業を想像するの難しいかもしれません。

本書を楽しめる読者層ってかなり狭いかもしれませんね。私もかろうじて、楽しめるかなあ~?ってレベルでした。
【目次】
活版はまだまだ元気だった。
あこがれの活版職人になる。
手動写植機でツメ打ちに挑戦する。
最古の写真製版術が生きていた。
オフセットを徹底的に勉強する。(製版編、印刷編)
装幀に使われる特殊印刷に肉薄する。
グラビア印刷の規模の大きさに驚く。
オフセット印刷は進化している。
組版文化はどのように継承されたのか。
印刷に恋して(amazonリンク)

関連ブログ
印刷革命がはじまった:印刷博物館企画展
プランタン=モレトゥス博物館展カタログ
「グーテンベルクの時代」ジョン マン 原書房
「本の歴史」ブリュノ ブラセル 創元社
ラベル:印刷 書評
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2007年04月19日

「ある愛書狂の告白」ジョン・バクスター 晶文社

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普通の愛書家 or 書痴のお話かなあ~と思って読んだんですが、ノリがちょっと違う。著者は元々SF好きでSF雑誌の収集からスタートした古書マニアだったりする。

確かに本が好きなのは分かるのですが、知らない書名ばかりが出てきて私には関心がイマイチ持てない。自らがメディア関係の仕事をする中で著者と合う機会を最大限利用してサイン本を増やしてコレクションする話などがエピソードして語られるが、署名本しかも作者が生きている本にそれほど興味がない私としては、なんだかなあ~?って思ってしまう。

著者が集めるのは、レア本でマニア向け市場で値がつく話なのだろうが、稀稿本等では決してなく、個人的にはどうでもイイというのが率直な感想。そりゃ私も国会図書館にも無くて絶版のマニア向けのもので高い値段がつく本持ってるけど、それってなんかこの手の本の想定読者層と違う感じがする。極端の話、日本なら手塚治の鉄腕アトムの初版本とかのらくろが高いとかそのいう系の話で、全然面白くない。

ゴミ捨て場で漁る話や、蔵書家が死んだ後で古書価に無知な遺族から二束三文で買い叩く話なんて、ありきたり過ぎて陳腐。もうちょっと面白い話が聞きたかった。映画の「ナインズゲート」とか意味もなく触れても本書の収集レベルがそこまでではないようで、全く無意味。

e-bayでの購入など、今風の話もあるけどだから何?って言いたい!! 今のご時勢、ネットでの書籍探しと購入なんて当たり前でしょう。この私でさえ、こないだも海外の古書店から本買ったばかり。決済なんてカード使えるから、とっても楽だよ。(ただ、セキュリティとかいささか心配なのも事実だけど。)

それにせっかくコレクションをした本を売るというのも、ちょっと論外のような気がする。重複した本や状態の良くない不要な本を一部売るなら、分かるけど、コレクターってどんなことしても当人が生きている間って本を売らないもんだよ。売った時点で少なくともその人は『愛書狂』には値しない、既に失格だと思うのだが・・・。

読みもしない本を貯めるだけ、貯めて眺めて過ごすなんて、当人以外からすると無駄・浪費・キチガイ沙汰(自戒の意味も込めて)、それが本好きだと思うのですけど、違うかな~?

実際、著者の本収集もたいしたことないです。あえて読む必要はないかと思いました。ついつい読破してしまってけどね。
【目次】
グレアム・グリーン蒐集
ロンドン古書界の変人たち
図書館も本屋もない町で
SFコレクションは質よりも量
君はセンスオブワンダーを持っているか
本の壁は世間の壁
映画館にいりびたり
ブックハンターの儲け話には裏がある
コレクションは身近なものから
富と力のある人間とつきあうには…
情事の終わり―愛書を売る
本屋の性夢
マッドマックスの国は祖国と呼べない
ハリウッド・セレブリティが求める本は?
パリはロマンティック
シェイクスピア書店、そして仲間
ある愛書狂の告白(amazonリンク)

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「古書店めぐりは夫婦で」ローレンス ゴールドストーン, ナンシー ゴールドストーン 早川書房
「古書街を歩く」紀田 順一郎  新潮社
「古書法楽」出久根 達郎 中公文庫
「関西赤貧古本道」山本 善行 新潮社
「本の国の王様」リチャード ブース 創元社
「世界古本探しの旅」朝日新聞社
「古本道場」角田 光代、岡崎 武志 ポプラ社
ラベル:SF 書評 古書
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2007年04月13日

「古本屋の来客簿」高橋輝次 燃焼社

本書は古書店主の方が書かれた文章を本にしたシリーズの一つになります。最近、しばしば目にするようになりましたが、古書という世界を通じて普段知ることのない業界の姿が窺えたり、『物』であるけれでも単なる『物』以上の思い入れが生じる書物を巡る人の生態などが面白く描かれています。

私個人としても、新刊よりも古書店での購入が多い身としては、ひとかたならぬ関心があり、掘り出し物を店主の目を掠めて安く買ってやろうなどと思っている以上、敵の手のうちを知りたいと思うのもやぶさかではない。

ただ、自分が欲しい本は古書店でもやっぱり相当な値段がついているんですけどね。こないだも気に入った洋書の値段を見たら18000円でいささかショックを受けたりもする。たった一冊の本なのに・・・。黄金伝説で痛い目にあってもいるし・・・色々な思いが頭をよぎったりする。

イギリスの古書を調べたら、同じくらいプレミアがついた価格だったから、あながちふっかけた値段ではないけど、それにしても・・・たった40年前の本なのにさあ~。カナダも結構高い。更にpaperbackとhardcoverがあり、1966年、1975年、2002年の版がある。装丁には革装のバージョンまであり、実に複雑怪奇な値段が乱舞していて、結局アメリカから直接古書で購入したけど、う~ん洋書の購入って判断が難しい。―――これは余談。

まあ、そんな経験があり、古書店主の手の内を想像しながら、読むのもまた面白いかも? 学者先生がよく利用する専門書店で、先生から貴重な情報を教えてもらうという話もよく聞く話で、本書にも載っているがなかなか素敵な話だと思います。

もっとも、本書は全般的にユルユル系のお話。古き良き時代のノスタルジックな余韻に浸って書かれています。修羅場の話が一個もないのは、ご時勢ゆえの癒し系エッセイ故か? いささか甘ちゃんのお話ですが、雑誌気分で軽く読むのに向いてそう。ただ、わざわざ買ってまで読みたいと思わないな、私は。

本書を定価で買う金で、大時代航海叢書とか買えるんだもん、古書ならば。迷わず私はそちらを買う。じゃなければ、ホイジンガの「中世の秋」、今日すっごい綺麗で500円で売ってた。同様の本が3冊買っておつりくるもん。

でも、決して悪くはない本です。私が利用しているお店もたくさん出てるし・・・ネ。
【目次】
1 古本屋気質とその仕事
2 お客の色々
3 文人・学者との交流
4 古本屋の暮しと思い
古本屋の来客簿―店主たちの人間観察(amazonリンク)

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「古書街を歩く」紀田順一郎  新潮社
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ラベル:書評 古書
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2007年04月10日

「書物の敵」ウィリアム ブレイズ 八坂書房

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本文中にも触れられていますが、読書好きというよりは、本そのものを愛するビブリオマニア向きの本ですね。非常に軽く、さらっと書かれていて大変読み易いのですが、これがベストセラーになった英国ヴィクトリア朝時代って、素敵な時代だったんですねぇ~。現代では、一部の好事家というか書痴系の人以外は読みそうにない本だと思われます。私は結構好きでした。値段以外は満足ですね。

内容はタイトル通り、目次の通り、本の『敵』に関するエッセイです。火や水などの被害甚大だけど、歴史的にみてどうやっても防げない不可抗力的なものはまだしも、人災とかはねぇ~。

物の価値、なかでもとりわけ『書物』の価値を知らない人達によって無残に惨殺されていく可哀想な本達の実例などが紹介されています。あのキャクストンによる『黄金伝説』初版が無知蒙昧なお手伝いさんによって暖炉の炊き付け用に燃やされていたんだとか。すみません、普段冷静な私でもとっさに殴って突き飛ばして、泣きながら本を奪うかもしれません。つ~か、マジでやってしまいそうですね。

他にも貴重極まりない手彩色装飾写本が屋根や壁が壊れて進入したつたを伝ってきた雨水によって表紙を濡らしているのを見たら、息が止まることでしょう。

稀稿本収集家が亡くなった後、その家族はご丁寧にもその稀稿本をばらして一頁一頁で、トイレの紙として使用していた等々。ほとんど悲劇ではなく、喜劇です(合掌)。

更に、更に自称愛書家が稀稿本の気に入った扉絵だけを切り取り、それを集めたスクラップブックで本を作ったりする奴がいるんだそうです。その上、悪辣非道な事に扉絵を切り抜いた残りはゴミとして捨てるんですよ。インキャナブラ(初期印刷本)とか彩色写本といった稀稿本をゴミとしてね。

まあ、日本だって廃仏毀釈の時に貴重な仏像を思いっきり壊したり二束三文で売り飛ばしてたんだから、えらそうなこと言えないでしょうが、歴史って怖いですねぇ~。

実に明るく読み易い陽気な本なのに、愛書家にとっては、時々異様に深刻で心臓に悪いところがある本です。子供や奥さんに関するところは、是非とも他山の石とすべきことでしょう。本に関する限り、普段なら何よりも大切な彼らでさえも、まぎれないない『敵』です、悪魔の使者です(笑顔)。どんな甘言や天使の表情でも騙されてはいけません。油断したばかりに、悔やんでも悔やみ切れないお話などが紹介されています。

そもそも愛妻家と愛書家は、同一人内で共存しえないのではないかと個人的には真面目に思ってしまいますが、家族から浪費や収蔵スペース占領で白眼視され、更には蔵書への明示的圧力などいやはや怪談以上の恐怖でしょう。他人事とは思えません、ハイ。

そういった点なども含めて「敵を知り、己を知れば、百戦危うからず」つ~ことで本書でお勉強するのもいいでしょう。同好の氏なら思わずニヤっとさせられることでしょう。

う~ん、しかし、今日もアメリカのamazonからエアーメールで時祷書が届いたが、最高の状態で大満足だけど置く場所がな~い(号泣)。積んでる本が崩れそうで怖い。むき出しのままだと日に焼けそうで怖いし、段ボール箱も重ね過ぎ。部屋が狭くなるばかり。なんとかして欲しいなあ~。

さてさて『書物の敵』とどう闘おうか! ちなみに私が一番恐れる『書物の敵』のうなり声ってご存知? 「その本いつ読むの~?」これを言われると心臓が瞬間止まりますってば。これってかなり効果的な呪文攻撃だったりする(笑)。

応用編に「前の本読んでないのに、また買ったの?」というのがあるが、ここまでくると生死に関わるので知り合いの書痴に間違っても言わないように気をつけましょう。最低でも殺人未遂くらいの殺意はあると思うし、構成要件満たしてない?・・・(笑)。
【目次】
第1章 火の暴威
第2章 水の脅威
第3章 ガスと熱気の悪行
第4章 埃と粗略の結果
第5章 無知と偏狭の罪
第6章 紙魚の襲撃
第7章 害獣と害虫の饗宴
第8章 製本屋の暴虐
第9章 蒐集家の身勝手
第10章 召使と子供の狼藉
書物の敵(amazonリンク)

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「美しい書物の話」アラン・G. トマス 晶文社
「本の歴史」ブリュノ ブラセル 創元社
ラベル:古書 書評
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2007年03月13日

「本の歴史」ブリュノ ブラセル 創元社

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本書自体が小さいので図版もそれほど大きくはないのですが、実に綺麗なカラー図版が非常にたくさん入っています。これが何よりも本書のウリ!彩飾写本など、かなりの量だと思います。これはとっても嬉しい♪

文章は本に関する歴史全体を扱っている為、個々の説明については個人的に物足りなさを覚えるものの、全体としては過不足なく、バランスのいい記述とも思えます。

グーテンベルクのところも、先日大変詳しい本を読んだから、どうしても一言言いたくなるところですが、紙面の制約からも本書でこれ以上、深く語ったら、バランスが取れなくなるから、しかたないでしょう。

でも、プランタン=モレトゥスにも触れているし、ケルムスコット・プレスについても書かれているし、やっぱりバランスがいいのは確か。宝飾品・貴金属と同等いやそれ以上に貴重な『モノ』としての書物が存在すること、そして人間にとって特別な地位を占める『書物』の存在を知るには、良い本だと思います。

とにかく綺麗な図版だけでも買う価値あると思いますよ~!! 見てるだけでもそこそこ楽しめます(笑顔)。

監修が荒俣さんというのも、やっぱりね、と納得する本でした。
【目次】
第1章 手書きの本
第2章 グーテンベルク―謎の発明家
第3章 印刷術の飛躍
第4章 出版業への規制
第5章 本の勝利
本の歴史(amazonリンク)

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プランタン=モレトゥス博物館展カタログ
「グーテンベルクの時代」ジョン マン 原書房
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「中世ヨーロッパの書物」箕輪 成男 出版ニュース社
印刷革命がはじまった:印刷博物館企画展
「美しき時祷書の世界」木島 俊介 中央公論社
ラベル:書評 歴史 写本
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2007年02月15日

「図書館読本」本の雑誌社

tosyokan.jpg

まさに図書館にあった本で、図書館の本購入予算や実際に図書購入方法など、興味深い事柄が数多く載っています。本書に書かれていた項目をざっと箇条書きにしてみると・・・。

・図書館の職員の採用、人事
・図書購入予算と貸し出し数との関係
・実際の購入方法(←図書館用の独自ルートがあることは初めて知りました)
・図書館の職員の日常的な仕事
・他の図書館と連携した本の貸し借りの仕組み
・本の盗難、雑誌の切り抜き被害
・図書館の会館時間や休日
・人気のある新作本の複本(=複数購入した本)の必要性とその後の処理
・不要本の処理方法・・・廃棄やリサイクルとして住民に解放
・寄贈本の受け入れ

などなど、分かっていると更に利用しやすくなることも多く、図書館をよく利用する向きには役立つかも? と同時にその素晴らしい長所と、お役所故の限界とが見え隠れするのでいささか複雑な気持ちにもなります。

私個人の場合、できる限り図書館を利用したいのですが、普通に働いているとなかなか難しいですね。図書館の一番の利点は、倹約以上に読み終わった本は返却するから、本が部屋の空間を占拠しないことが最大ポイントだと思うのですが、わざわざ休日の一日を図書館に当てるのはもったいないんですよねぇ~。

基本的に職場近くの図書館で昼休みに食事時間を削って利用するか、定時で帰れるときに図書館に寄ってから駅に向かうかしか、ないんですよねぇ~。土日は外出してるか、家で寝ていたいし。

あと最近は本屋で探しても読みたい本が置いてない場合が非常に多い。すぐ絶版になるし、結局ネットで検索して買わないと入手できず、読めない場合が多いのが実に辛い。

その結果、amazonや古書店のサイトを昼休み中、検索し、注文しておいて自宅で本を受け取って電車内で読む。このパターンが一般的だったりする。で、読み終わって使えると思えば、蔵書にするが、不要だと思えば、友人に譲るか、宛てがなければ、古書店に売ったりすることになる。幸い、マニアックな本が多いのでそこそこ売れれば、それはすぐに次の本購入代に消えるというサイクルを繰り返している。

なんだかなあ~?

ただ、今は時間がかなりあるので図書館から借りて読んでる本も多い。うちのブログの3割ぐらいはそうかな? 購入して読むのも結構あるが、その大部分は古書店経由が多い。新刊の半額だから、単純に二倍買えるのと、普通の本屋で扱っていない本が多いので結局古書店しか置いてなかったりする。困ったものだが、古書店巡り自体はそれ自体楽しいのでいいだが、図書館にもう少し本があると嬉しいな♪

良く言われるが、図書館に並ぶ本を見ているとその町の文化レベル
が分かるというのは真実だと思う。個人の本棚にある書名を見るとその人の人格も伺えるのと同様、図書館というのは実に興味深い。

大きな都市にある図書館で蔵書数があっても、収集内容から私的にはあまり使えないと感じるところがある一方で、蔵書数の割りに(借りる人がいないのではと、おせっかいながら心配してしまうような)マニアっぽいのを多く集めているところがあり、図書館をうろつくだけでも楽しかったりする。

これは街中の本屋でも言える。八重洲ブックセンターは、ある意味良識的なバランスの良い品揃えだと思うが、これという本を探してもほとんどない。神田の三省堂もどちらかというと、この類であろう。

逆に西武のリブロ(池袋)は、以前はかなり趣味志向の強い品揃えで、普通では置かないキワモノっぽいものや実に売れなさそうな、高価だけどいいものを置いていたが、会社が傾き、アート事業からの撤退等のあとは、実につまらない品揃えになった。単純に売れる本を並べるという効率至上主義にここも陥ったようだ。

ジュンク堂は、確かに大きくて数はあるが、どうにもセンスがない。取り扱い数があるので丹念に探すと欲しい資料を見つけることもあるのだが、ただ数があるのでたまたまそういった資料もあったというレベルで内容が分かって意図的に揃えているのではないのが、嫌い。

とまあ、好き勝手なことを書き連ねたが、職場の近くに夜遅くまでやっていてセンスのいい本がたくさんある図書館があれば一番幸せなのだけれど・・・。そううまくは行きませんね。

図書館の内側での苦労をこの本で知ると、そう思いました。あっ!関係ないけど、今日から西武で古書市始まった。行きたいなあ~。

図書館読本(amazonリンク)
ラベル:図書館 書評
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2007年02月12日

「神保町の虫」池谷 伊佐夫 東京書籍

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それこそ星の数ほどある(?)ようにも思える古書に関する本であり、舞台を神保町に限定しているのもお約束である。

古書の世界にまつわるとりとめもない話がエッセイ風につづられていくが、短冊(=値段やタイトルが書かれて本につけられたもの)やパフラフィン紙のことなど古書店に足繁く通う者にとっては知っておいて損はない話もある。

よくあるタイプの本ではあるが、全体としてバランスがいい感じでちょこっと目を通す時にはいいかもしれない。古書店主による本を買う客と買わない客というのも、少しだけ納得したりね。先週末もちょうど、神田をうろついて東京古書会館の書窓展を覗いていたりする私には、普段の自分の行動と照らし合わせて、う~ん私はどう見えているのかな?とちょっと思ったりしました。

よくも悪くも自分は自分と思っている私としては、まあ、あまり気にしないんですけどね。だって、古書店で本を見ると必ず手がほこりで汚れるからねぇ~。絶対に汚れやすいものだけは身に付けていかないようにしています。古書店巡りの後は、トイレで手を洗うし、買ってきた本もアルコール消毒(カビには効果ないそうですが)ぐらいはしておくもんね。

そういえば、本書で他の本と違うところとしては、東京古書会館での即売展のことが紹介されていました。あまり書かれているのを読んだことがないので珍しいかも? 

それと各古書店内の透視図のようなものがあって、それぞれの書店のどの辺りにどういった本が置かれているのか、なんてことがイラストで立体的に説明されていて非常に分かり易いと思いました。

もっとも私も頻繁に行くからだいたい知っているので、ああ、そういえばあの店はこんなだったかな?なんて確認しながら眺めていましたが、初めて神保町に行く人には、すごく役に立つかもしれません。なんせ、それぞれに得意な専門分野を持った古書店が集まり、本屋の中のそれぞれの棚もいろいろなジャンルで分かれているのだから、いきなり神保町でお目当てのジャンルの本を探すのはちょっと大変かもしれないですし。

それ以上に、掘り出し物の本は逆にそのお店の専門でないジャンルである場合が多いわけで、となると、あえていろいろな古書店の均一台とかを覗く必要もあり、大変だったりします。

余談ですが、私もたまたま覗いた店で連れが見つけた時祷書を見たら、あまりに好みで気に入ってしまい、思わず購入すべきか否かで3日も悩んでいました。値段が2万円弱でちょっと辛いよねぇ~。旅行行かなきゃすぐ買えるけど、年末から今月までで2回も草津行ったり、熱海に行ったりしてたから・・・金欠だし。それ以上にいろいろと諸事情があったりする・・・(涙&涙&涙)。

まあ、まずは相場を調べようと土曜以来連休中は、amazonのUKやアメリアのサイトでの価格調べや、googleでその古書の書誌情報などをずっと調べていました。(我ながら、暇な人だ(苦笑))

でも、そのかいあってようやくネット上で見つけて購入しました。海外発送だから、届くのは来月頭になってしまうのですが、古書店で見た価格の10分の1で買えたかも? でも、手にとるまでは本当に自分が見たものと同一物か分からないんですよ~。

何故かというと今から何十年も前の本で、しかも出版された版がいくつもあり、装丁も異なるようで特定できなかったりする。ずっと慣れない英語のサイトばかり調べていてだいぶ勉強になったけど、実際に届くまではなんともいえないんですよねぇ~???

書名は同一でも安易にISBNコードで特定するわけにはいかない事情があって、大変苦労しています。以前の黄金伝説以来かな?こういうのは。

と、長々とした余談は置いといて。本書の内容であと特筆すべきは実際に古書店を開いて独立開業をする際に参考になるような、開業案内が書かれています。私は、趣味で古書を楽しみたいのでビジネスとしては興味がありませんが、純粋な好奇心から読んで面白かったです。ただ、あまりに参入障壁が低くなったビジネスですし、大変そうですけどね。

これから神田神保町に行く方、暇つぶしに読むといいかも?

話は変わりますが、今週来週は池袋のサンシャインと西武で古書市があったりする。うちには両方の目録が届いたけど、さて初日に駆けつけるか否か? 暇な人が(私か?)昼間からどこからか湧いてきて群がり、清算が混むから嫌なんだけど、初日の方がいい本ありそうだしなあ・・・? 悩むなあ~。

すみません。更に神保町巡りをしていたときの件で余談。
忘れないようにここにメモしておこうっと。以前、数百円で購入した澁澤氏の署名入りの本。全く同じものが某書店で数万円で売られていました。今、澁澤氏の人気が落ちていてそれを考えるとかなりの強気の価格設定だと思いますが、思わず自分が持っているのと同じものが高くて嬉しかったりする♪ こういうものがあるので古書店巡りは止められなかったりする。阿部先生の謹呈サインのはさんであった本もあったしね。

そういえば、書窓展では100年ぐらい前の聖書で実にお洒落な書票が貼ってある本が200円とか300円で売られていた。あまりに安いし、書票が綺麗で買おうかどうか迷ったが、その時は買わなかったんだけど、買うべきだったかな??? 書票好きなら、それだけで欲しくなるかもしれない。

神保町の虫―新東京古書店グラフィティ(amazonリンク)

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神田古本まつり 10月29日
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2007年02月07日

「関西赤貧古本道」山本 善行 新潮社

いつも通り、暇つぶしの息抜き用に読んでいた古書関係の本です。

均一棚で掘り出し物を見つけるのは、単純に古書を買う以上に自分が目利きであるかのような錯覚(=自己満足)を与えてくれるので確かに醍醐味なんですが、手法的なことは大したこと書かれていません。つ~か、こんなの当たり前で特に何も学ぶことはありません。

ましてネットでの本の売り方、買い方は並以下ではないかと思います。本当に欲しい本を得る為なら、もっと努力してもいいのでは?などと余計なおせっかいを考えてしまいました。

個々の本についての思い入れたっぷりの話も、私が興味を持つジャンルでないうえにその本自体に魅力(本自体が持つ故事来歴等)を十分に説明できていない為、著者の気持ちに対してイマイチ共感できません。

ただ、古書が好きという気持ちは大いに理解できますし、値段は安くてもついつい自分なりに古書の美点を見出し、拾い上げてあげる、そんな気持ちを持つのには大いに共感できました。

ただ、著者とは違い、古書市の目録を毎日目を通したりはしませんけどね。さすがの私も。今年になって私のとこにももう3冊ぐらい古書市の目録が送られてきてますが、最近古書市に行ってもめぼしいものがなかったりするんで足が遠のいてるなあ~。

来週、再来週も古書市覗いてくる予定ですが、面白いものあるといいなあ~。

そういえば、先週末にライフから出てた大判の「人間世界史」シリーズの「信仰の時代」と「宗教改革」の本を買ったが、一冊100円だもん。まあ、40年ぐらい前のものだが、中は綺麗なのにね。置き場所に困るが、こういうのを買うのも古書の楽しみの一つ。

そして、本書の中で著者も触れていますが、問題なのは購入した本の置き場所の確保。著者は月に100冊以上も買うそうですが、そりゃ置き場所ないでしょう。私もいつもそれに頭を痛めていたりする。

まあ、私の場合は一度読んで保存する本とそうでない本をばっさりと分けてしまって、不要な本は随時処分していますが、著者は読まずに積読状態の本が異様に多いそうで、保存するか否かの分別さえできないままに溜まっているそうです。

そりゃ確かに大変とひとごとながらに思います。その処分方法も書かれていますが、古本屋に持っていくだけとは、正直言ってこれでは駄目だなあ~と思いました。

本書全般に言えることは、考え方が非常に古くて数十年前のやり方をただ踏襲しているだけのようです。別に古書漁りに効率性が大切などという野暮は言いたくありませんが、少なくとも長年にわたって古本病にかかってきたというぐらいなら、もうちょっと工夫をされた話を期待したいものです。かなり期待外れかも?

内容はほとんどないので、暇なときにパラパラと漫画や雑誌のように読み飛ばすタイプの本です。ただ、読み易いので時間つぶしには使えるかも。私も難しい本を読んで疲れた時に、漫画代わりに本書を読みました。その程度のものです。

関西赤貧古本道(amazonリンク)
【目次】
第1部 基礎篇
(それなりに作法はある、入口の均一台で大発見 ほか)
第2部 応用篇
(古い雑誌の山に向かう、上林暁まとめて十八冊 ほか)
第3部 実践篇
(古書目録の楽しみ、古本祭り攻略法 ほか)
第4部 番外篇(私のこれくしょん―ベスト5
京都大阪古書店案内)
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「世界古本探しの旅」朝日新聞社
ラベル:書評 古書
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2007年02月01日

「本の国の王様」リチャード ブース 創元社

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古書により田舎町を一躍有名にした人物の自叙伝。地元を愛する強い気持ちと反骨精神にはある種の魅力を確かに感じるものの、その反面、結構、反社会的で社会的なルールを破るその性格は、典型的なトラブルメーカーであることも如実に表している。

本好きが高じてと自分では言っているが、この人本当に本を読むのかなあ~というのも率直な疑問として感じる。まあ、本好きにもいろいろなタイプがいていいのだと思うが、私は絶対に付き合いたくないタイプですね。

本の話としては、どうなんでしょう?面白いところもあるけど、どちらかというと古書による「村おこし」「町おこし」関係がメインの主題になっている。メディアを利用して話題作りは上手だし、素晴らしい才能だとは思うが、人間としてはほとんど関心がないかも? 有名人でもなくても誇りを持って生きている人が好きだなあ~私は。

期待外れの一冊となりました。本に関する本で、面白いのってあんまりないんだよねぇ~(悲しい・・・)。私的には、本の国の王様というよりも裸の王様のように感じてしまった。
【目次】
「古書の町」誕生
仕入れ開始
わが一族
混乱の少年時代
ひきさかれた忠誠心
本探しの旅
さらに本を求めて
バカしかやらない仕事
激動の七〇年代
独立宣言
窮鼠、猫をかむ
田舎の再生
ライバル出現
三番目の妻ホープ
「開発」との闘い
フランスに「古書の村」
「古書の町」運動、世界に広がる
国王、病に倒れる
皇帝誕生
本の国の王様(amazonリンク)
ラベル:書評 古書
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2007年01月30日

「世界古本探しの旅」朝日新聞社

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世界中にある古書店の紹介の本であって、決して古書を探す話ではない。また、初めに本の企画があり、それぞれ適当な(?)人に依頼して作成したのがありありと出ているのがなんとも興醒めな本である。なんせ、著者達自身が古書店を使っていないのに記事を依頼されたと書いているぐらいで、本当に本好きな人の役には立たない。せいぜい、こういった稀稿本を扱う業界が世界中にあるんだなあ~と思う程度。

個々の本屋は確かに個性があり、格式もあり、実に面白そうな本を取り扱っていそうではあるのだが、著者達自身が自分で使っていない本屋を紹介しているので馬鹿馬鹿しくてお話にならない。実際にその古書店を利用している人の声が聞きたかった。

従って、記事の内容も書店のおおざっぱな紹介と書店側から言われるままに販売中の書籍タイトルをただ文字にした、それ以上の水準ではない。朝日新聞らしいと言えば、まさにそうとしか言いようがなく、本に対する情熱を感じられない。

ただ、写真は大きいし、いい写真を使っている。でも、記事の内容はかなりつまらない。おまけに無駄な空白が多く、情報量自体が少な過ぎる。少なくても頁を増やさずに情報量は3倍にできるのではないだろうか? 本好きだったら、失望するような感じがするが、私だけだろうか? 値段だけ、内容に比して驚異的に高いと思う。

でも、一つだけ読んで良かった情報があった。ウォラギネの黄金伝説の1499年版だったかな?230万円ぐらいで買えるらしい。ラテン語なのが問題だが車を買うなら、絶対にそっちを買うな、私。

とてもではないが、今は買えないが、ラテン語の勉強して死ぬまでに絶対に買おうっと!! あ~あ、5年前に買っておけば良かった。あの頃なら、買えたかもしれない。まあ、いい目標ができました。読めない本は買わない主義ですから、とにかくラテン語をやらねば&ねばと!
【目次】
パリ古本探しの旅(荻野アンナ)
ロンドン古本探しの旅(瀬戸川猛資)
フィレンツェ・ボローニャ古本探しの旅(和田忠彦)
アメリカ南部古本探しの旅(越川芳明)
ミュンヘン・ウィーン古本探しの旅(池内紀)
マドリード古本探しの旅(野谷文昭)
南仏古本探しの旅(浅野素女)
ミラノ古本探しの旅(和田忠彦)
ローマ古本探しの旅(和田忠彦)
世界古本探しの旅(amazonリンク)

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2007年01月18日

「ヴォイニッチ写本の謎」ゲリー ケネディ、ロブ チャーチル 青土社

voynich.jpg

名前だけはずいぶん前から聞いたことがあり、あの有名なヴォイニッチ写本についての日本語サイトも何度か拝見していたのですが、本書を読むまで具体的にその内容をイメージできていませんでした。

本書は、ヴォイニッチ写本そのものへの考察というよりはそれに書かれた内容(暗号で書かれていると仮定して)を解読しようと人々が取り組んできた歴史やその手法の解説であり、直接写本自体を捉えるのとは視点を変えているが、本自体が解読できていないのだから、ある意味その周辺部から捉えようとする試みはなかなか興味深いです。

各種各様の解析手法を総括的に紹介しながら、それぞれの内容について周囲からどのように評価されているのかなどもできるだけ客観的な立場から説明しようとしていてその点も好感が持てます。

何よりも何故この本がそんなにも稀書としてもてはやされ、学識も地位も名誉もある人がなんとか解読しようと夢中になるのか、それが本書を読むことでなるほど!と思えてきます。確かに、はまってしまうと抜けられない魅力がありそうです。

写本がロジャー・ベイコンの手になるもの?とか、あのオカルトで有名なジョン・ディーが関わっているとか、まさに魔術的な魅力があり、それでいて何かしらの意味がありそうな奇怪な文字に、妙に関心を引く各種の図や挿絵などなど道具立てが揃い過ぎ(笑顔)。

写本自体が世に出るまでの不可思議で怪しい経緯やそれにまつわる人々の胡散臭さも加えて『偽書』疑惑が浮かんでは消えていく、その怪しさもまた謎が深まるばかりでいいんでしょうねぇ~。う~ん、まさに浪漫の世界です。

そうそう本書で二章にまたがって書かれている暗号論の話(「暗号の迷宮」の章)は、コンピュータ関連でしばしばお目にかかる暗号論の基本で他の本でも読んだけど、なかなか分かり易く書かれていました。こういう説明があるのはちょっと嬉しいかも?

勿論、本書を読んでもヴォイニッチ写本の暗号は解けませんし、それをテーマにしたものでもありませんが、少なくともヴォイニッチ写本がどういうものでどんな歴史があり、関心のある人々にとってどのように位置付けられてきたのかが分かるようになっています。

BBCでヴォイニッチ写本の番組制作に関わった人達による本ですから、その辺りの取り上げ方がうまいのは納得しますね。是非、BBCの番組見たいです!! これまでも興味のあった方、本書を入門書として読むといいと思いますよ~。chartresruids.jpg
【目次】
1醜いアヒルの子
2ロジャー・ベーコンの暗号
3秘術師、透視家、エジプト学者
4暗号の迷宮 その1
5暗号の迷宮 その2
6天界の快楽の園
7聖別された意識
8偽作説今昔
9正体見たりシュレーディンガー
ヴォイニッチ写本の謎(amazonリンク)

関連サイト
The Most Mysterious Manuscript in the World 
日本で最も有名なヴォイニッチ写本のサイトです。 
ラベル:写本 書評 暗号
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2006年12月18日

「ぼくが読んだ面白い本・ダメな本 そしてぼくの大量読書術・驚異の速読術」立花 隆 文藝春秋

bokuha.jpg

前回読んだものよりは、有用性で落ちると思う。前回の本との重複を踏まえつつも「序」の部分が一番私には役に立った。

前回と異なり、本書は書評部分が大部分を占める。ジャンルは広いがほとんどは十分に私の読書範囲である。宇宙関係や分子生物学関係等も基礎的な知識の必要がなくても読めるものを意図して選ばれているようで、おそらく読めるでしょう。

私も時間さえ許せば、情報論や宇宙関係、遺伝関係等の本をもっと&もっと読みたいのだが、現在の私の読書予定プライオリティではかなり低いので結果的にその分野を読めていないので、本書はそういう意味で好奇心をくすぐる書名も結構あった。

但し、本書で紹介されている書評自体は私の感想からすると納得のいかないものも多い。特に、最近私が関心を持っている分野の聖遺物に関する本やリン・ピクネット氏による本の書評は、立花氏が不案内のジャンル故に誤解しているのではないかと強く感じた。

それ以外にも多々あるが、当然読む人によって感想が変わるのは当然なことであり、他の人の書評を読むなら、この本の方がいいと思う。いささかひねたような私であっても、最低限数冊は本書の書評から読みたい、あるいは目を通しておくべきだなって思わされる本があったので決して無駄にはならないはず。
但し、くどいけど書評自体は大いに批判的な目で見るべきでしょう。著者自身もそうすべきことを述べられていますし、その為には自分ももっと勉強しなければいけないことをつくづく感じました。

そうそう、「捨てる技術」うんぬんの記事。情報の選別は必要であり、取捨選択は大切であるが、あくまでもそれを見分けるだけの能力があることが前提!だと私は思う。無意味に資料を溜め込んでおくのも能力があるとは思いませんが、価値の乏しいものを抱え込んで必要な情報を瞬時に探せないのも???と思う。

不要なものであってもあえて残しておくことで無限の可能性を担保するのも生物学的には有効な方法だと別な本で読んだ覚えがあるが、その点では立花氏の批判は妥当でしょう。おそらく。それ以前に内容がない本(「捨てる技術」)だったからなあ~。立ち読みしただけですが、速攻で私もゴミだと思ったもの。

捨てることもとっておくことも人間には可能だが、将来必要になりそう、あるいは基本的な資料として何かの際にきっと有用で後で再入手が困難だと思われる資料、それらを選んであえてストックしておくのが私のやり方だけど、これも難しいものがある。未だに法律書や経済学・統計学の理論書(名著中心)などは捨てていないが、邪魔なんだよねぇ~。英語でも文法書だけはしまってあるし・・・。データベース論やマーケティング論も残っている。でも、キリがないしなあ~。

ただ、これって昨今の企業が行ってきた効率的経営の話とダイレクトに結びつくんだよね。実力主義の美名の下に、実は企業の本当の付加価値たる各種ノウハウがインフォーマルなものほど、切り捨てられてしまい、薄っぺらい欧米的マネジメントが更に企業体質を弱体化していく最悪の循環が続いているのを知人からよく聞きます。

苦労して身に付けたもの以外のノウハウは、着実な財産として成長してなどいかないんですけどね・・・。効率化一辺倒では駄目なことは、修正資本主義でわかっているだろうに。基本は効率と非効率の絶妙なバランス感覚なんだけど、そこが理解されるのはやはり夢なのでしょうか? などということをふと思ったりする。
【目次】
序 宇宙・人類・書物

私の読書日記 1995.11~2001.2
宇宙樹、奇術、日本殲滅
オウム、ニュートン、世紀末芸術
官僚腐敗、聖骸布、アラキ
選民思想、穴倉酒場の狂気、道教文化
ハッカー、夢二、熊野信仰
尊厳死、渋沢龍彦、江戸学百科全書
複雑系、海の日本史、AV女優
ユナボマー、深海生物、男根信仰 他、

『「捨てる!」技術』を一刀両断する
ぼくが読んだ面白い本・ダメな本 そしてぼくの大量読書術・驚異の速読術(amazonリンク)

関連ブログ
「ぼくはこんな本を読んできた」立花 隆 文藝春秋
ラベル:書評
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2006年12月15日

「カルトな本棚」唐沢 俊一 同文書院

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う~ん、確かにカルトと言えば、カルトですが基本的に想定の範囲内かと思いました。自分が関心のあるテーマと共通項のある人の本だと、きっと全然違った感想になったかもしれません。

本書は著者がかねてから知っている知人の本棚に限って紹介しているせいだとも考えられる。ある人の人格と所有する本は、密接に関連する為、自分の知っている人であれば(特に変わり者タイプであるならば)、その面白さは倍加するのである。

但し、それは内輪ウケ的な面白さであり、本書ではそれを求めたせいであろうか? 正直なところ、さほど面白くない。私の友人の本棚の方がはるかに面白いと実感をもって言える。もっとも私の友人は少ないのだけれど・・・(苦笑)。

法律と音楽関係の本と、クラシックCDの山ばかりで部屋の8割以上を占めている2DKはかなりの異常さというよりも強烈な圧迫を感じる。

あるいは、ここでは書けない(書かない)たぐいの趣味本を壁一杯の本棚に綺麗に整理整頓して収納しているものなど、友人の本棚の方がおそらく本書に出てくるものより勝っている。確実に!

本書を読みながら、私の友人に協力してもらえば、もっと面白い本できるのに・・・と切に思った。もっとも、本棚を見る企画でもこういった目先の変わった企画は面白いとは思うだけど、本書は中途半端で企画倒れといえよう。この本にお金を出してみたいとは思わない。
【目次】
山本弘の本棚
睦月影郎の本棚
串間努の本棚
立川談之助の本棚
佐川一政の本棚
奥平広康の本棚
唐沢なをきの本棚
竹熊健太郎の本棚
唐沢俊一の本棚
カルトな本棚(amazonリンク)

関連ブログ
「本棚が見たい!」川本 武 (著) ダイヤモンド社
ラベル:書評
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2006年12月09日

「ぼくはこんな本を読んできた」立花 隆 文藝春秋

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本書は田中角栄氏の金脈問題で名を馳せた立花氏が仕事に関連して読む本について書かれたものである。まず、私自身の偏見として立花氏のことを好意的に見ていないのを述べておくべきでしょう。あちこちで名前を見るものの、特に専門もなく良くも悪くもジャーナリスティックな表面的な事象を追いつつ、適当にお茶を濁しているマスメディアの人と思っていました。実際にこの方が出ている記事は、読まずに頁をめくってきた覚えが多々あります。

この点も含めて本書を読んで私が勝手な思い込みをして間違っていることに気付かされました。確かに対象とする範囲は広くとも、それなりの事前準備をしたうえで、ジャーナリズムの持つ良い意味での門外漢としての視点を保ちつつ、しっかりと取材をされたうえで書かれているのだろうと思います。

本書を読破した時点でも、個人的な好悪の感情としては嫌いなのですが、やっぱり凄い人ではないかと思います。著者が書かれている主張(やノウハウ)には、納得のいくものと納得ができないものがありますが、仕事における調査や資料としての本の扱い方には非常に学ぶべきものがあります。くだらない経済紙に書かれているような情報整理のハウツーなんかでは絶対に太刀打ちできない素晴らしいノウハウが書かれていると言ってもいいのではないでしょうか。

およそ仕事でも趣味でも、本を読む必要がある人なら読んで損することはなく、必ずや得るところのある本だと思います。効率良く本を読む事や大量の本を読むこと自体には必ずしも首肯できませんが、知っていてあえてそういう読み方をしないという選択肢ができるので、やっぱり本書を読んでおくと今後の読書生活などに大いプラスでしょう。でも、僕は嫌いですけど・・・ネ。

感情としては複雑なのですが、『読書』それ自体を扱った本としてはこれ以上有益な本は今まで読んだことがありません。一読書人としてよりも、一社会人(一ビジネスマン)として押さえておくべき情報収集のポイントが凝縮されています。

具体的には、書店でパラパラと5分立ち読みすれば、本書の価値が分かると思いますが(分からない方は、本書を読まない方がいいです。合わない本だと思いますので)、いくつか私がまさにその通りと感銘を受けた点なども挙げておきますね。
だいたいどんなジャンルでも、専門家というのはインタビュアーがする質問によって、その問題に関してその人がどれだけの基礎事項を持っているかということをすぐに見抜きます。それでその質問があまりにも浅い、表層的なものだと、専門家というのはものすごくいい加減な答えしかしてくれません。これはもう、呆れるほどいい加減な答えしかしないものです。どの専門かも忙しいですから、愚劣な質問につきあっている暇はないわけです。この人はこの程度の答えで満足するだろうという見極めをつけたら、それ以上のことは時間の節約のために全部省略してしまうわけです。専門的なことを素人にいくら説明しても分かってもらえるはずがないから、余計な説明は時間の無駄と思うわけです。
 ところが質問の仕方をちょっと変えて、こちらがある程度ちゃんとした予備知識をもってインタビューしているんだということが相手にわかるようにすると、答えのレベルがさっと変わります。
これって、まさしくその通り!! 別にインタビューではなくて仕事のときにもこれは当てはまることをどなたも実感としてわかるのではないでしょうか? 私が商談していて、このことを嫌ってほど実感したことがあります。営業マンと話しをしていて、いくつか話題をふってそれに対して的確に答えられない人物には、その後まともな話をしなくなり、決して仕事を発注しないばかりか商談さえ理由をつけて出来る限り回避しようとしましたもん。時間の無駄だから。

また、値段の交渉などの場合だとお互いに更にそれが露骨になります。ある物を購入する場合、その物の材料費・加工費・流通経費・販促費等々まで加味して原価を丸裸にし、相手の利益率まで把握したうえで交渉しますのでいい加減な価格を持ってきたら見積もりに至る前に却下です。まじに。

相手の事情を理解したうえであいみつをとり、最後の最後の支払い段階で判を押す前に更に支払いサイトとキャッシュで落とす。ビジネスの情報戦というのはごく当たり前のこういうことだと思います。

著者の場合、職業柄形が違うわけですが、人と人との交渉や対談とはすべからくそんなことでしょう。形は違えどまさに本質として、押さえているところからして、私は著者を評価しちゃいます。少なくても仕事ができる人であることは間違いないでしょう(まあ、わたしなどが言わなくても分かっていると言われちゃうでしょうけどね)。

実際、著者はインタビュー前に対談相手の著書や関連するジャンルの本を数十冊は読んで基本を理解したうえで仕事をされているようですし、当たり前のことですが素晴らしいと思います。そこまでいかなくても、やれと言われてもしない奴たくさん見てきたしね。仕事できない人だったけど、やはりその人たちは。

そうそう、他にも外国語の習得のところも実に興味深い。4週間あれば、基本のところはマスターできるというのは、まさに真実!! 私は外大に少しだけいたことがあるのですが、あそこは入学して3ヶ月で文法を含む基本はすべて終わりで後は乱暴にいうと、ひたすら本を読むだけ。専門家になるにはその後が大切ですし、長い&長い時間がかかるのですが、基本は本当にそんなものらしいです。

大学で勉強したと言っても、よっぽど真剣に寝食を忘れて学問したのでもなければ薄っぺらな知識など、すぐに身につけるどころか追い越してしまうというのは、まさに実体験に基づいた著者の言葉でしょう。率直であり、また体験から出た言葉は何よりも説得力があります。

他にも学ぶべきところが多いので、是非、本を読むなら一度手にとって欲しい本です。もっとも著者も参考文献や索引は評価するものの、書評には懐疑的なのも私には素直にうなづけます。結局は自分が読んでいいか悪いかしか、評価はないのだから。

ただ、自分の関心のある分野と重なる人で、自分と(大きな視点で)感性的な一致を見出せる人なら、私は書評も役に立つと思うんですけどね。これは著者と異なります。

まあ、他にもいろいろあるんですが、これは読むべき本です。知り合いに嫌いだけど、読んでみろと薦めてみよっと。
【目次】
1 知的好奇心のすすめ
2 私の読書論
3 私の書斎・仕事場論
4 ぼくはこんな本を読んできた
5 私の読書日記
ぼくはこんな本を読んできた―立花式読書論、読書術、書斎論(amazonリンク)
ラベル:書評 ハウツー
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2006年12月07日

「古本道場」角田 光代、岡崎 武志 ポプラ社

岡崎氏が古書の世界を知る為と称して課題を出し、それに則って角田氏が古書店を巡る形式を通して、古本の世界を知るという内容の本です。

この手の世界を全く知らなかった手合いの方には、新鮮で興味深いかもしれませんが、個人的には甚だ不満が残る本というのが私の感想です。勿論、古書市場で価格の高い本が良いのではなく、自分が気に入ったもの、価値を見出したものこそ価値のある本という考え方には共感を覚えますが、それでさえ当たり前過ぎることでそれを分からない人には、逆に何を言ってもそもそも無駄かと・・・。

また、本書内で紹介される本のジャンルもサブカルチャーが好きとかいう角田氏もあくまでも不特定多数の読者を念頭にしている為、正直期待外れもはなはだしく、キューバで本を買ったぐらいで何を言っているんだろうかと個人的には呆れてしまいます。うちには読めもしないのにヴェネツィアの古書店で買った本やプラハで買った辞典らしきものがあるぞ!ってネ。

仕事の出張中であろうが、旅行中であろうが古書店を見かけたらまずはのぞいて品揃えをチェックするのは基本でしょうに! まして、狭い地域から外に出ないなどという人物の古書マニアはエセじゃないかなあ~って。

ネットや古書店マップに出ていないレアな古書店を探すために、どこであろうと徒歩で街中をうろつくのは基本でしょうに。私はそれで全国古本屋地図に出てない店を何件も見つけたぞ!

また、ネットで探すことはあまり触れられていませんが、あれもただググれば出てくるものでもないのでそれなりに検索のノウハウを知らないと駄目なのにそれを紹介していないのは残念な気がします。

私も古書店は好きですし、古書市もあちこち出掛けますがそれらの面白さはやっぱり紀田順一郎先生の本が一番でしょう。本のお話だけなら、荒俣氏の方がはるかに知的好奇心をそそります。

なんか読み易いんだけど、いらいらしてしまいまして・・・。欲求不満気味。ついこないまで毎日馬場の古書店街をうろついていた私としては、もうちょい面白い話を期待していただけにあ~あ、残念。

地域色があったり、時代の先端の古書店紹介もいいが、本質的なものの説明が足りないんじゃないかなあ~。もっと、古書店巡りの楽しさ自体を紹介する本が読みたいと思う今日この頃でした。

古本道場(amazonリンク)
【目次】
入門心得
神保町
なつかしい、あの本と再会
代官山・渋谷
代官山で知る古本屋の未来形
東京駅・銀座
夜のパラダイスよ、花の東京
早稲田
早稲田古本街で青春プレイバック
青山・田園調布
ついに階級特進!
西荻窪
西荻村を満喫
鎌倉
土地柄と値段を学ぶ
ふたたび神保町

関連ブログ
「古書店めぐりは夫婦で」ローレンス ゴールドストーン, ナンシー ゴールドストーン 早川書房
「古書街を歩く」紀田 順一郎  新潮社
「古本屋さんの謎」岡崎 武志 同朋舎
「古書法楽」出久根 達郎 中公文庫
「本棚が見たい!」川本 武 (著) ダイヤモンド社
ラベル:古書 書評
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2006年05月24日

「世界の図書館」徳永 康元 丸善

世界各国の図書館を紹介する本。タイトルのまんまなんですが、期待をあまりしていなかった割に結構面白かった。各国の図書館の中で特徴的なものを選び、実際にそこを利用したことのある人が使い勝手や蔵書の内容、図書館としての歴史などを語ってくれる。

今は、日本の公立図書館でも読みたい本がないと近隣の図書館で融通しあう仕組みができ、更に県立図書館などもそのシステムに加わって、私の住む田舎の図書館でも時間はかかるが、絶版などになった本でも読めるになった。誠に嬉しい限りだが、普通に仕事をしていると平日は借りに行けないのが悲しいところ。

世界中の図書館には夜10時とかまで使えたり、許可がでれば個室で研究ができたりする設備があり、羨ましいなあ~と思うことしきり。私の大学は蔵書が少なくて悲しかったもんなあ~。学生は遊んでばかりですいているのはいいのだけれど、イマイチ不満だったし・・・。

そんなことを思いつつ、世界の図書館に思いを馳せて読んだ。中でもマニュスクリプト(手稿本)やインキュナブラ(初期印刷本)なんかが蔵書されていてそれが読めるっていいよね!

でも、ほとんどの図書館では、特別な閲覧許可が必要みたい。まあ、誰にでも見せていたら、資料も痛むし、盗難や破損の心配があるからなんだろうが、こういう時に学者や研究者の肩書きって羨ましいなあ~。たいした研究もしてない方も結構いるんだけど・・・(少々ひがみ根性入ってます)。

ただ、その閲覧許可も申請してすぐに出るところや、下手したら半年から1年もかかるなどさまざま。私は何気に気が短いから待てませんね、たぶん。

国立国会図書館で本が出てくるまで30分ぐらい待つのでさえ、いらいらしてたもんなあ~。それでも本書を読んでみると、だいぶ早いみたい。本を頼んでから出てくるまで、数時間から、翌日なんてところもあるそうだし・・・(無理だあ)。

まあ、旅先で現地の図書館に入っても、開架式の雑誌や本を眺めて雰囲気だけ楽しんで我慢したほうがいいかも? 本もいいけど、時間に制限があるなら史跡や旧跡巡りの方が楽しいもんなあ~。でも、足が疲れた時に、お店に入ってくつろぐよりも現地の図書館に入るのって楽しいですよ♪

バハマとブラジルの図書館には入ったことあるんだ。ブラジルは、読める本が一冊も無かったけど・・・。バハマのピンクの屋根の図書館とか意外に楽しかったりする。

そうそう、本書を買った一番の理由は、うちのブログの左上にある写真。プラハのストラホフ修道院図書館が出ていたから。私が知っている図書館では一番好き。まさに人類の叡智の宝庫だし、なによりもこれでもかってぐらい美しいんだよね。

この本を読んでたら、またプラハに行きたくなったし、他にも行きたい図書館が目白押しです。バチカン図書館もあったよ。ラングドンが「天使と悪魔」で閉じ込められて窒息死しかけたところ(笑)。勝手に蔵書を盗み出してるし・・・。

とまあ、余談はおいていて。図書館好きなコアな方には面白いかも?ある種のオタク向け。普通の人には借りれもしないし、行く事さえなさそうな話でどうでもいいことかもしれませんが、私的にはとっても楽しかったりする。英語もまともにできないが、フランス語とか読めたら、もっとたくさんの本が読めて楽しいだろうなあ~。

ふと、そんなことを思いました。そうそう、ケルズの書がある図書館の話もあったよ!

世界の図書館(amazonリンク)

関連ブログ
魔女と錬金術師の街、プラハ
「THE GOLD 2004年3月号」JCB会員誌~プラハ迷宮都市伝説~
国立国会図書館「描かれた動物・植物」展
バチカン秘蔵資料がインターネット上に公開
印刷革命がはじまった:印刷博物館企画展
図書館のいろいろ(5月8日、日経朝刊の記事)
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2005年10月26日

「古本屋さんの謎」岡崎 武志 同朋舎

furuhon.jpg最近、本に関する本や雑誌で著者の名前を目にすることが多く、ミーハーなくせにいささか天邪鬼的な私としては関係ないなあ~と手にすることもなく、遠い関係の本でした。たまたま図書館で別な本を探していて目に入ったので、たまには古書業界の情報も知っておいた方が良いだろうと借り出してみました。

ここまでは表向きの理由。実は、パラパラと中身を見た時に、鈴木清順監督の「ツィゴイネルワイゼン」芸術助手をしたこともある古書店店主の話があり、その部分が読みたくて借りたようなもの。まあ、読んでもたいしたことなくてちょっとがっかりでしたが・・・。

で、読み終わった感想。
う~ん、人気のある理由が分からないなあ。庶民的な古書好きで憎めないライターさんという感じで好感は持ちますが、私の勝手な偏見からすると、古書好きは良くも悪くも一癖も二癖もある変わり者で、ある意味凄いんだけど、ちょっと変?ってな感じが、面白くて好きなんですが・・・。カッコ良く言うと、「自分の世界を持っている」とかね。悪く言うと、偏狭な独善主義みたいな。そういうのが一切感じられないイイ人っぽいキャラがちょっと想像と違いました。

まあ、それは別にどうでもいいんですが、選ぶ本の趣味が全く違うのもあるのかなあ~。実際に古書店で購入された書名等も紹介されているのですが、私の購入対象外の本ばかりで一冊も欲しいモノがなかったせいもあるかも? あと、この本に出てくる古書店で神保町以外にも何店か知っている古書店が紹介されていたんですが・・・、正直私が実際に行った時の印象とだいぶ違うだもん。

別に嘘を書かれている訳でもなく、無理してお店を誉めているとかいうことでもないんですが、私が体験したお店の印象とはまるっきり違うんです。ということは・・・私には古書店の紹介も無意味だしねぇ~。個人的には、もっと&もっと凄い古書店の記憶があちこちでありますもん。

著者さんが全国古書店地図を使っているのもちょっと抵抗が・・・。私も昔は買っていたことあるし、使っていたことあるんですが、あれってあまり役立たないような気がするんですが・・・。勿論、ライターさんの立場上、スポンサー関係の点でも使用するのは分からないでもないですが、あれってあまり面白くない(個人的実体験に基づく)。

私は国内もあちこち旅行しますが、時間が余るとその土地の古書店探しをしたりしますし、いろんなところを散策しながらも古書店を見つけたら、とりあえず覗くというのは誰でもそうでしょう。基本は足で探すです。そういう中で見つけた特徴のある古書店さんの紹介とかを期待していたので残念でした。

実際に、本当になんだこりゃ?!っていう古書店があちこちにありますからねぇ~。先日も数ある中でも、あの本棚の光景は異様(威容?)としか思えなかった川越の「コミックランド高橋書房 」に行ったのだが、な・なんと閉店していたのでした。もっと早く行っておけば良かった!! 残念&無念。よりによって、あれだけあった本が業者とおぼしき人に束になって売り飛ばされていく姿を見る羽目に。あ~あ、知ってたら値切って山ほど買っておいたのに・・・。

それが今月の話でちょうどブログにも書きたいと思っていたのだが、この本屋さんはとにかく文庫(単行本も)の量が半端じゃなく多い。巷の古書店さんのように、市場価格にスライドさせて値付けするのではなく、郊外型らしくほとんどブックオフ的な値付けだったように感じた。ということは、珍しいものが格安に手に入るということで私的にはすごく良かったんだけどね。この店は天まで届くかと思うほど、高い本棚に上からびっしりと本が積み込まれ、しかも奥行きがあって本を取ると、またその奥に本があるという形で、まさにブックハンター向きの場所だったようにも思います。

しかも店主の方の方針なのか、ジャンルを問わず、昔の本も売れる売れないに関わらず、置いておかれているようでこんな本がまだあるのっていうまであって、発見した時の嬉しさもひとしおだった。もっともこれだけあると管理が大変なようで本は例外なくホコリをかぶっており、軟弱な私はここで買った本を玄関ではたいてホコリを落とし、濡れたフキンで綺麗に拭いてからではないと部屋に持ち込めなかった。それでなくとも杉とホコリのアレルギーなのに。

さらに、思い出すのはこの古書店には2階があり、普段は照明もついておらず物置のようになっているのですが、お店の方に一声かけると、明りをつけて入らせてもらえる空間があった。特にここなんて、どこぞの倉庫のようであり、一人でそこに入り、本を探しているのはまさに時間や空間を超越したワンダーワールドにでも迷い込んだ気がしたものだった。まあ、そういう訳でだてにアリスと自称しているわけでもない(ほんとか?)。

店主がお亡くなりになったのかな? 事情は分からないのでなんとも言えないが、ここの閉店は非常に寂しい思いがしたものである。必ずしも良書があるという本屋さんでもないが、少なくとも神田神保町の古書店にも負けないくらいの強烈な個性があったのは間違いない。こういう古書店が無くなるのは本当に悲しい。(できれば、こういう古書店の紹介を期待していたのだけれど・・・。本書にはそういうものが無かった。)

うわあ~、余談が長過ぎですね、すみません。本の感想に戻ります。
まあ、軽~く読むエッセイとしてはいいのかもしれません。読んでいて抵抗感無く、ススッ~と読めるものばかりです。私の興味をひく話はほとんどありませんでしたが。均一棚の話も正直それほど面白くも無かった。こんなことを言うと、古書好きの方に叱られるかもしれませんが、ブックオフの100円均一棚の方が、ど素人による機会的な選別だけに面白いものが多く紛れ込んでるのも事実だしね。勿論、地方のひっそり埋もれるように隠された古書店で、宝の山が誰にも知られずに眠っているような事も、実際ありますが、日々のお買い得品探しにはどうでしょうか? まあ、両方併用が当然ながらベストです。あわせてネットの古書店も有用ですしね。

そうそう、一般人が入れる古書展の紹介はちょっと良かった。知識として知ってはいたけど、わざわざ行くのが面倒なのと興味が湧かなかったので行ったことがなかったが、とりあえず一度は行ってみようかと思った。それがこの本を読んで役立ちそうな収穫かな?

あと天牛書店さんが載っていたのは、ちょっと嬉しかった。関西にあるので直接は行ったことがなかったが、ネットで本を購入したことがあり、気になっていた古書店さんだったのでリアル店舗のことも知りたかったので。

その他には・・・特に無いなあ~。古書の書き込みについても触れられていたけど、個人的にはもっと面白いの見たこといっぱいあるもの。とある地方都市の相当年代物の古書店さんのガラス入り陳列棚に皇族の方がアルブの王族に謹呈した署名入りのアラビア語の本があったが、あれって何? こんな田舎の本屋さん(失礼!)で値段が20数万円とか書いてあったが、誰が買うんだろう??? まあ、いいんですが・・・。

古書店をテーマにしているので触れられていないが、公立の図書館なんかも実は、なかなか捨て難いものがあり、場所によっては珍しいものを所蔵していて楽しいんだけどね。特に地方の郷土史資料なんて、そこにしかないレア物ばかりだし。そういう話がないのも当たり前だけど、残念。

先日、国会図書館に行った時には連れがいたので調べなかったけど、自分が持っている本で国会図書館に無い本を探して、密かな優越感に浸るという小市民的(つ~か「小人」)な喜びのことも書かれてないなあ。あれはあれで楽しいんだけどね。国会図書館に美本を一冊納めなかればいけないという法律は、昭和20年ぐらいじゃなかったかな?戦後の話だと思ったから、それ以前の本だとないのがたくさんあるんだよね。当然だけど。あと、それ以外だと発禁本とかね。その辺りのエピソードとかも面白いのだけど、本書には無いなあ~。

いろんな意味で表面的で浅く感じてしまうのですけども。もっとディープなのが興味あるなあ~個人的には。

本書とは全く違いますが、やはり古書関係だと何はなくとも紀田順一郎氏の本だなあ~。また読みたくなってきました。というわけで、私的には本書はイマイチ。マニア向けではないかと。一般向けで、これまでそういう本を全然知らない方には、いいかもしれません。ちょっとえらそうですが、私も本は大好きですのでこういうコメントになりました。

そうそう、今週末は神田の古書祭りだ。頑張って行かねば&ねば。

古本屋さんの謎(amazonリンク)
関連ブログ
「古書法楽」出久根 達郎 中公文庫
「古書街を歩く」紀田 順一郎  新潮社
「本棚が見たい!」川本 武 (著) ダイヤモンド社
大英図書館、アマゾンの書籍リストに希少本を掲載
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2005年05月19日

「古書街を歩く」紀田 順一郎  新潮社

何度か名前だけはうちのブログでも出していた紀田氏の本です。いかにも紀田氏らしい古書に対する愛情あふれた一冊といえる作品(実は、この本の一部は読んだことあるんだけど)です。通常、本といった時に考えられる新刊本の世界とはまた一味違った、日常のすぐ側にある異世界とでも呼ぶべき奥深い古書の世界を垣間見せてくれる素晴らしくガイドブックになっています。

元祖オタクといったところでしょうか。まあ、最近の先生は知りませんが、昔は立派な学者先生と言えば、即ち、ある種のオタクで社会学系ならひとかどの読書家であったように思いますが…? それはさておき、文筆業を生業にする著者がブックオフしか知らない人達には想像もつかない魔界をご紹介…。

全集本を集めると誰もが必ず経験する1冊欠。それがない為に、全てが揃わない。業界で「キキメ」と呼ぶことを知ったのも本書からでした。安いからと中途半端にバラで揃えるのって本当に難しい。下手したら、キキメの一冊が高くてかえって揃いを購入した方が安い場合もあるので泣いても泣き切れないです。実際、今もそうなりそうなものがあり、頭を痛めているのでひとごとではない(涙)。

あと初版に希少価値を見出し、2版以降のものと全然変わらないのにその何倍ものお金を払う人々とか。男性らしい初物志向とバッサリ斬っているのは痛快でもあります。

そうそう復刻の話も興味深かったです。元学者さんが学者の研究が資料探しの為に大幅な時間を消費させられている状況を鑑み、資料検索の効率化の為に、百科全書的な資料を個人で作ろうとする話があり、これにはさすがに胸を打たれた。だって元東大の先生らしいが、その百科全書作成の資料文献の為に、田畑を売り飛ばし、病床の布団さえ、債鬼(借金取り)に差し押さえられたというのがすごい。生半可な決意ではやれないですね。まして退官後、個人でやるんですから。その状況が新聞に報道されてパトロンが現れ、ようやく完成したそうですが、本はなかなか売れず、更に苦労を重ねます。

どこぞの頭のネジが飛んだ保険会社がゴッホだか誰だか知らない外国の人の絵をたった一点購入する為に、50億円以上も出していた話がありましたが、彼らには死んでも文化(貢献)なんて分からないでしょうね。購入した後に、ルーブルにでも寄贈するなら、まだ立派ですが…。

おっと、話がそれましたがその作品は絶版になっていたのを、とある出版社が学問的価値を正当に認め、また著者の心意気に感じて復刻を果たしたそうです。その時に、著者の了解を得る為に電話すると…、生活補助を受けながら、ヘルパーに介護を受けながら生活されていたそうです。

まっ、日本なんてそんなもんなんでしょう。志のある人間がそういった状況に置かれるとは…。さすがは経済大国ですなぁ~。ただ、かろうじて救われる話として、売れ行きが不安視されたその全集は予想外に売れ、出版社も倒産覚悟の決意は無用に済んだとともに、著者の再評価がなされ、あちこちのマス・メディアでも採り上げられ正当な評価を得られたそうです。良かった&良かった。

こんな感じでいろいろと本にまつわる話が出てきます。この中で紹介される本については、読みたいとか書いたいという興味はちっても湧きませんが、人間のドラマとしては非常に面白いです。特に古書店を回るのが好きな人には、お薦めです。つまんないミステリーや推理小説よりもは、はるかにリアルで面白いです!!

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posted by alice-room at 03:38| 埼玉 ☁| Comment(3) | TrackBack(0) | 【書評 本】 | 更新情報をチェックする

2005年05月14日

「古書法楽」出久根 達郎 中公文庫

kosho.jpg基本的にはこの手の本(マニア的な古書好きの世界)、好きなんですけどこれはちょっと…素直に好きとは言えないかも。

特に前半の100円均一台の話も、正直つまんない。珍本や奇本があったと言われても、そのウンチクに深みが無いのでくだらない。物を知っているのはウンチクにあらず、それを関連付けて適宜語ることに付加価値である意義が生まれると思うのだが・・・残念。

オマケにしばしば食べ物の話が入るが、貧乏臭さが出てていやらしい感じさえする。風流や粋に関連付けてもくだらない個人の思い出話をそのままエッセイにするだけの文章力も風情も無い。端的に言うと、日本の私小説的な貧乏でみじめったらしい話を内輪でするレベル。むしろ清貧や狂気の一歩手前のビブリオマニア(狂書家)なら、それはそれで私の好みなのだが、凡人は嫌い。そんなのいくらでも周りにおりますので結構。どうせなら、普段知り合えないような変わった人(偉人・変人・天才等々)が出てこないと・・・。

ただ、真ん中辺りに出てきた吉原とかの色モノ系は、結構良かった。こういうのは割合スキ!なかなか風情があるのがいいです。もっとも、その裏には悲惨な世界が表裏一体なのですが…。でも、廓用語はあまり無かったかも。「初会」「裏を返す」「お茶引き」とかって言われてピンときます?この本ではそういう基本的な事にも触れてませんでした(実は、これ今でもある種の業界では一般に使われてるそうです。別な本で読んで初めて知りました。日本の中でも未知の世界は転がってますね)。最低限それぐらいは著者もご存知でしょうが、そういうのに触れても良かったかもしれませんね。私としては遊里に関する資料も集めてみたいだが、これはマニアが多くて値が張るので今は傍観してます(涙)。だから10冊も持ってないだろうなあ~、江戸風俗系は。

そうそう、幇間(ほうかん)についての話がありました。これはまあまあかな。ちなみに幇間って太鼓持ちのこと。「よっ、旦那いいお天気でござんすね」なんて調子良く座を盛り上げながら、お大尽達が気持ち良く遊ぶのをお手伝いする御茶屋のコンシェルジュみたいなもんです。日本にも昔はそういう粋なお仕事があったんですね。私の憧れだったりしますが…(ニヤリ)。

そういえば、以前仕事関係で分不相応にも、京都の祇園祭の時にお茶屋で連チャンで遊ばせてもらったことがありましたが、上げ膳据え膳で踊り見ながら、酌してもらい、遊ぶのはなんとも愉快でした。でも、さすがに京都の老舗でも幇間はいなかったなあ~。私以外はみなお年を召したお偉いさん方ばかりでしたが・・・。そうそう、舞子さんにもいろんな性格の人がいますね。なかなか面白かったです。キャバクラ行くなら、やっぱお茶屋遊びがいいなあ~。自腹じゃ、いけませんが・・・。ちなみに、おみやは八坂さん(八坂神社)の厄除けチマキと和装用の煙草入れ。

だいぶ、話が飛んでますが、失礼ながらこの著者にはこの手の本は無理なのではと思いました。力量不足、前もちょこっと触れましたが、紀田順一郎氏ぐらいでないと・・・。

と、書痴(しょち=本好きの痴れ者)にもなる資格も無いほど、低レベルの古書好きの私は今日も止せばいいのに、古書道楽。とは言いつつ、所用が終わり次第、古書店をハシゴしたんですが・・・。

いやあ~なかなかに凄い、というか壮絶な古書店を発見! 実は大昔も来たことあったんですが、ずっと忘れていました。今回、久しぶりに行くと、そこいらの軟弱な図書館には及びも突かない本、本、本の山。棚? っていうか、マジ遭難しかかったような・・・。散々、そこで格闘しながら、まさに宝の山で宝探しをやっていたのですが。一通り格闘して、店員さんの前に本の塊を渡すと、脇に二階への階段が・・・。

ハードカバーが少ないなあ~とは思ったんですが、隠し部屋発見! いや、隠してはないんですが、照明切ってあって店員さんに声かけないと入れないらしいことが張り紙に。勿論、速攻で声かけて禁書書庫(違うって!)に侵入。まあ、そんなにお宝ではないまでも本がたっぷり眠ってました。埃もすごくて体には悪そうでしたが・・・。珍しそうな本も何冊がGET!
 
この本屋だけでもだいぶ買ったんですが、別のとこにも行くとさすが郊外。神田や早稲田とかと違い、値段は安いね~。さっきのとこと合わせて20冊以上買ったかな?気持ちは天国にも昇るようですが、足取りはまさにPassion。そう、イエス様の十字架へ道のりのごとく、まさに「受難」ってな感じで苦しみながら、駅まで歩いたのでした。ふう~。家に帰ると、またおととい買った本が届いてるし・・・。あ~本の置き場が無い! 本当に机の上まで本で埋まり始めた。でも、でも今って高田馬場と池袋で古書市やってるんだよね。どうしようかな?行ったらきっと何か買ってしまいそう・・・。行かないほうがいいけど、掘り出し物があったら・・・。それとは別に骨董市も行きたいんだけど・・・??? 救われない魂だこと。

関連ブログ
ナインズ・ゲート デラックス版(1999年)ジョニー・デップ主演 紀田順一郎氏に触れています

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posted by alice-room at 01:43| 埼玉 ☁| Comment(4) | TrackBack(0) | 【書評 本】 | 更新情報をチェックする

2005年05月03日

「本棚が見たい!」川本 武 (著) ダイヤモンド社

HONDANA.jpg最近は、よく雑誌で見ますがこれってその草分けでしょうか? 他人の本棚を覗いてみたい、という企画はいいんですが、ちょっと不満があるなあ~。だって、本棚の写真はいいけど、あまりに小さくてそこに並んでいる本の書名が分からない。これじゃ、雰囲気だけで意味無いジャン!

そもそも他人の本棚ってその人の趣味・嗜好や性格が一番強烈に出ると思うんです。私自身、本は好きだけど、読むのって面倒。でも、お金を払ってまで読むのはその人がその本に書かれた情報・知識・哲学諸々を必要としているからでしょ。しばしば言われますが、本棚を見るとその人を好きになれるかどうかすぐ分かりますね! だから、私の場合は読書傾向が近い異性がいると、すぐ本を貸し借りするんですが・・・って(オイオイ)。

話はそれますが、本棚の雰囲気以上にそのタイトルが重要なのになあ~。何のために本棚の写真を撮っているのやら??? まあ、かろうじて分かるものもありますが、もったいないと思ったりします。

そうですね、あとこの本で重点を置かれているのは、いろんな人の読書方針(?)みたいなものを聞いてますね。へえ~、そうなんだ。とか、おお~なるほど、資料探しにはそれは有効かも?っていうのもありますが、基本的にはどうでもいいかも。だって、人それぞれ読書の目的が違うし、関心の方向性も違うでしょ。自分と合うかどうかわからない人のなんて、聞きたくないですし、あまり参考にならないと思ったりする。

でも、その反面、自分と趣味の重なる人だと分かると、その人の蔵書内容(タイトルだけでも)って、すっごく有益。自分が関心があるのに、知らなかった凄い本とかを気付かせてくれることもあるもんね。実際、そういうこと何度かあったし、あちこちのブログ見ててもこんな本あるんだと速攻で注文した本もあったりする(笑顔)。ただ、その際にはまず自分の関心が特定分野にあること。関心がなければ、ピピンっと感性のアンテナにかかりません。

あっ、でもこの本にも書かれてましたが、海外旅行に行って時間に余裕があると、無くても古書店を見つけるとついつい入ってしまいますねぇ~。大概は一人旅だから、ホテルに戻るとワイン飲みながら、読書か旅行記つけてるしね。夜は観劇とかしてなければ、読書タイムだもの。ロンドンは確かに大英帝国の古書店って雰囲気あったけど、ヴェネツィアやプラハの古書店もなんかも一種独特で良かったかも?読めもしないのに、図版がたくさんあって安いという理由だけでチェコ語の百科事典みたいなのがあるけど・・・何に使うのやら?(ちょっと抜けてる私)

バハマの図書館はすっごく小さくて本もあまり無いんだけど、他のホテルとかと同様にショキング・ピンクの可愛い外観で思わず、入って英字新聞を眺めてました。こういうのも味わいがあっていいもんです。古書店もいいけど、図書館も好き。もっといいのは、普段人があまり入らない書庫。誰も読まないような本をこっそり探して、一日中こもっているのもいいなあ。やはり司書の資格でも取って、そっちに行けば良かったかな? まあ、人生いろいろです。

ずいぶんとこの本自体からは離れてますが、わざわざ読まなくてもいい本かな。悪くはないけど、まあ、たいしたことないです(えらそうだなあ~)。息抜きにちょっとって感じですね。
目次
筒井康隆の本棚
内藤陳の本棚
山田風太郎の本棚
荒俣宏の本棚
高村薫の本棚
村松友視の本棚
吉村昭の本棚
高橋克彦の本棚
畑正憲の本棚
和田勉の本棚〔ほか〕
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posted by alice-room at 00:08| 埼玉 ☁| Comment(9) | TrackBack(2) | 【書評 本】 | 更新情報をチェックする