2008年04月13日

「それでも古書を買いました」鹿島 茂 白水社

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本当に単なるエッセイ集。本を趣味とし、古書を購入したりする人達なら誰しも共感したり、いろいろと我が身を振り返らされるものの、それ以上のものはない。今回は内容が実に薄っぺらい。

著者はフランス19世紀本、特に挿絵本のコレクターだと思っていたのですが、本書の執筆時にはその枠を超えて、人としての道を踏み外されてしまったようです(笑)。美しい本を集める、いやあ〜コレクターですね、ホント。

本の収納スペースから住居を決めたり、読まないけど、手元に置いておきたい、収集したいという観点から古書を購入する姿は、ああ、こういう方がビブリオマニアになられていく素養をお持ちの方なのかな?と、読んでいてふと思ったりしました。

もっともどこの世界も極めたマニアやオタクは、紙一重でまさに『神』の存在ですけどね。私には、そういうの無理だなあ〜。

正直今回は、美しい挿絵もほとんど無く、ビジュアル的にもつまらないし、古書集めのディープな話題でもなく、物足りません。逆に言えば、一般受けしそうな、まさに軽いエッセイ集以外の何物でもありません。

古書マニアは、読む必要は無いでしょう。

ただ、読んでいてふむふむと思った点は、洋古書は読める人以外は買わないので顧客層が非常に限定されるという話。著者御自身もフランス語以外の本はまず買う気が起きないと書かれている。英語の本は読めるが、そちらも買わないそうだ。

私の場合だと英語がかろうじてぐらいなので、英語の本以外は興味を持っても買う気にはならない。挿絵や装丁だけで買うほどのマニアではない。だからこそ、うちのブログを読んでいると頻出する「ラテン語勉強しようかな?」とか「フランス語勉強しようかな?」という言葉に集約されるのであろう。

もっともそんなこと言いつつ、今月もアテネフランスの申し込みを迷っている自分がいたりする訳だが・・・。怠け者だ。

たとえ実際は読まなくても、そもそも読めない言語で書かれた本を買う気には、さすがになりにくい。今も手元にあるものの、買ってからほとんど開いたことのない、フランス語の本やチェコ語の本などは、私の愚かさの証以外の何物でもない。はあ〜、重かったんだけどなあ〜。

まあ、そんなことを思ったりしたわけですが、暇つぶしには悪くないか。今回、秩父の清雲寺の枝垂れ桜を見に行く途中、電車内で読む分には良かったです。でも、それ以上の価値はないです。
【目次】
1古書店さまざま
2買うか買わぬか
3あれもこれも
4こんな本も買いました
5愛書家鼎団 ブック・バインディングの世界
それでも古書を買いました(amazonリンク)

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2008年03月25日

「チャップ・ブックの世界」小林 章夫 講談社

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名前だけは知っていたが、正直あまり興味がなかったジャンル。先日の国際稀覯本フェアにもチャップ・ブックあったみたいですね。別な本ばかり見てましたが、私。
オックスフォード英語辞典によると・・・
チャップ・ブックとは、書物収集家などによって、ある大衆文学に付けられた名前。かつて行商人やチャップマンにより流布したもので、内容は主として大衆向けの物語やバラッド、論説などを含む小冊子。
基本的に本書の内容は、事前に想像した通りのものでチャップ・ブックの歴史や内容、歴史的推移、その影響など実にバランス良く書かれています。

少なくとも高度な教育を受けたとはいえない民衆が、粗雑な(稚拙?)木版画により内容理解を助けられつつ、種々の情報を得る為に読んだ印刷物としては、なかなか奥深いものがあるようです。

印刷文化の歴史的観点からも、実に面白いと思います。と、同時に今現在でもビジネス書やハウツー物など実用書と呼ばれるたぐいの本への需要は大きいですが、チャップ・ブックで取り扱われていた題材も実は、その手のものが非常に多いのを知って、なんか愉快でした♪

私自身も、時々その手の実用書読んでいますが、ホント人間って進歩しないなあ〜。当時の本でも、今日できることは今日のうちに済ませ、とか、働けるうちに働いて節約して老後の蓄えにしろ、とか教訓めいたものが受けていたそうです。

なんかさ、効率の良い仕事の仕方とか大真面目に書いてる現代の本と、質的には一緒なんですよ、実は。これって、超・受けるんですけど・・・(爆笑)。

この本自体は、教養というよりは完全なる趣味性の高い本ですが、本好きや印刷文化好きには、楽しめるものだと思います。私的には、そこそこ好きです。

このチャップ・ブックという形態(または、文化)を経て近代的な小説へと繋がっていく歴史的推移も分かりますよ〜。
【目次】
プロローグ チャップ・ブック
第1章 様々のチャップ・ブック―宗教書・実用書・旅行記
第2章 庶民たちの愛したもの―笑話集・占い・魔女
第3章 名作ダイジェスト―『ロビンソン・クルーソー』を中心に
第4章 チャップ・ブックの精神―伝説のヒーローたち
第5章 歌物語の系譜―バラッドからナースリー・ライムまで
第6章 犯罪実録の盛衰―ニューゲイト小説への道
第7章 無名の作者たち―「グラッブ・ストリート」からハンナ・モアへ
第8章 チャップ・ブックの出版と流通―ダイシー、キャトナック、そしてチャップマン
エピローグ 消えゆくチャップ・ブック
チャップ・ブックの世界 近代イギリス庶民と廉価(amazonリンク)

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タグ:書評 古書
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2008年02月20日

「世界の古書店V」川成 洋 丸善

好評だったせいか、シリーズ化してるうちに読者が何を求めているかを見失ってしまった好例となるパターンです。実際、3冊中、一番つまらない本でした。そのせいかな、3回でこのシリーズも終わってしまったようです。

そりゃいくら柳の下のドジョウと言っても、何匹もいるわけではないでしょうし。当たり前です。

世界を舞台にして知られざる古書の世界(古書店を中心にした古書事情)を紹介するという当初の企画は良かったと思います。しかし、本書では紹介すべき特徴ある古書店のネタが尽きたようで、政治的なことばかり書かれていて、本好きが求めるエピソードはほとんどありません。

編集サイド、それに気づかないのかな? これは古書店に関する本とは言えません。当然、古書店について興味のある人は、買って(読んで)失敗したと思うでしょう。

正直言って、つまんない古書事情の話などどうでもいい!(文化論も二の次) あくまでも知りたいのは、読む価値のある本、または、見る価値のある本がどうやって流通しているのか、どうしたら安く入手できるか、でしょう。

勿論、実際に購入するしないは別として、大概は矮小な所有欲を満たしたい俗物なんですから、古書コレクターなんてもんは。(一部は、そうではない高潔な紳士の方もいらっしゃいますが・・・)そういった類いの下世話な視点での古書店の話がもっと知りたかったです。

確かに人との交流も素敵ですが、いいじゃん、本の話なんですから、そんなに綺麗事ばかり書かれても・・・っていう感じですね。

16世紀のラテン語の聖書が格安で買えたとかという話がありましたが、そういうシンプルな方が実ははるかに好奇心をそそられます。(しかし、俗物な私)

また、本書の執筆者の中には猥褻な本がないのが良いと書かれている素晴らしい方もいらっしゃいましたが、私には理解できませんねぇ〜。俗物根性の塊である私には、そういった雑本も十分に興味の対象なんですけど・・・。

さすがにここのブログではノリが違うので紹介しませんが、外国を旅行した時にその国の言葉で書かれたエロ本も当然コレクションの対象として買ってきてますけどねぇ〜。猥褻とかどうか以前に、国民性が如実に現れていて大変興味深いですけどね。ブラジルでは、サッカーボールで怪しげなところを隠している構図でしたし、さすがはサッカー大国だと感心したのを覚えています。

余談が過ぎましたが、本書は読まない方がいいでしょう。こりゃ、駄目です。
【目次】
値切って買った『金鞭記』―中国、天津
北京書肆探訪―中国、北京
中国書店報刊資料部―中国、北京
青空古本市の「掘り出し物」―中国、北京
雑誌漁りに歩いた光華商場―台湾、台北
書厄・ご利厄・発禁本―韓国、ソウル
伝統と革新が共存する国―韓国、ソウル
懐を気にしながら買った古書―韓国、ソウル
マニラのちょっと危ない古本屋街―フィリピン、マニラ
フィリピンで唯一の本格的古書店―フィリピン、マニラ
英語文化の継承―ミャンマー・フィリピン
エネルギシュな街の頼もしき店主―ベトナム、ハノイ
新刊書のない国―ミャンマー、ヤンゴン
海の詩人の店「ル・ゾディアック」―フランス、パリ
日本人びいきの古書店主―ギリシア、アテナ
女たちの店―ドイツ、ベルリン
石畳を踏んで歴史と語る町―ドイツ、マールブルク
「ドン・キホーテ」とすいか―スペイン、マドリード
家族の絆のもとに―イタリア、ヴェローナ
オスカー・ワイルドと子供たち―イギリス、オクスフォード
古書店に生き続けるイングリシュネス―イギリス、ケンブリッジ
ロレンス・カントリーの「地霊」―イギリス、ノッティンガム
ああ、教会が古書店に―イギリス、インバネス
マヤ民族と本の精霊たち―グアテマラ、グアテマラ・シティ
ドンセレス通りと泥棒市―メキシコ、メキシコシティ
オクタビオさんとの出会い―チリ、サンティアゴ
ユニバーシティ・コミュニティに生きる古書店―アメリカ、ヴァージニア
地図片手に店内を巡る―アメリカ、ポートランド
地方の大学町で見つけた古書店―アメリカ、アイオワシティ
革命家の書物にうずもれた若い店主―ハワイ、ホノルル
人生の五分の一―日本、カンダ神保町
世界の古書店〈3〉はるかなる本の文化を求めて(amazonリンク)

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「世界の古書店」川成 洋 丸善
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2008年01月16日

「世界の古書店U」川成 洋 丸善

前回からの続編となりますが、内容的にはこちらの方が面白いかもしれません。やっぱり古書店は個性的で楽しいし、国毎の違いや店主毎の違いがあって素敵ですね。

でも、言語に堪能だったら、大変だったかもしれない。いろんな本が欲しくって仕方なくなってしまいそう。日本語の(少しだけ英語)本だけでもいっぱい&いっぱいなのに、フランス語とかスペイン語できたらえらいことになりますね、ホント!

旅は軽量・コンパクトを基本とする私ですが、旅行バックやスーツケースに本なんか入れたら大変なことになりますよ〜。何しろ本は重いから、エコノミーではマジ規定重量オーバーになりかねません。追加料金払ったら、せっかく安く買っても意味無くなりますし。困ったもんです。

旅先では読めないまでもホテルや機内でもらった新聞やちょっとH系の雑誌なんかを持ち帰るのでそれだけでもう十分です。さすがに文字が読まないし、内容が内容なんで書評できませんが、それなりに溜まってきていて、そのうちコレクションになってしまったりして・・・(苦笑)。

冗談はさておき、古書や文化であり、人の生き様であることが分かります。好きだからこそ、古書店をやりたいと思ってことはありませんが、それで食べていけるなら素晴らしい仕事かもしれませんね。でも、お気に入りの本を売るなんて、金以上に辛いな、私ならば。

本書で書かれている場所に旅行するなら、是非、目を通しておくといいことあるかもしれません。のんびり旅するなら古書店巡りもいいなあ〜。少なくともそれまでには、フランス語できるようになっていたい!!
【目次】
古書店の村おこし―ベルギー、レデュ
猟書家の出入りする店―インド、ボンベイ
南インドの書店事情―インド、コットヤム他
琉璃廠の街角で―中国、北京
王府井の新華書店―中国、北京
アフリカの古書店事情―南アフリカ、ヨハネスブルク他
路上のチェ・ゲバラ―キューバ、ハバナ
名著との出会いから―アルゼンチン、ブエノスアイレス
老舗の書店と泥棒市―メキシコ、メキシコ・シティ
市場経済の風景―ポーランド、ワルシャワ
古本と怨念―ポーランド、ワルシャワ
甦るカフカ―チェコ、プラハ
エラスムス終焉の部屋の下で本を探す―スイス、バーゼル
店主はフラメンコロゴ―スペイン、マドリード
古書と古音盤を求めて―スペイン、マドリード
『絵筆とペン』復刻版――スペイン、バルセロナ
スペイン文学随一の店―スペイン、セビージャ
二つの小さなコレクション―デンマーク、コペンハーゲン
世界文化遺産の相続人 セーヌのブキニスト―フランス、パリ
幻想の橋を渡って 作家が経営する古本屋―フランス、パリ
求めた本は”大航海中”―フランス、パリ
パリのアメリカ人の古本屋―フランス、パリ
のみの市の残り香―フランス、トゥールーズ
世界最北の首都の古本屋―アイスランド、レイキャヴィーク
「本の虫」ブックワームズ書店―アイルランド、デリー
まだ見ぬ古書店主―イギリス、ロンドン
古書はドラマなり―イギリス、ロンドン
アジア、日本の資料の宝庫―イギリス、ロンドン
「旅」の軌跡としての書物―イギリス、ロンドン他
ヴァーグナー横町の古本屋―ドイツ、イェーナ
エルベ河畔の”古書店文化”―ドイツ、ハンブルク
古書店での対話―ドイツ、ハイデベルク
バンクーバー古書店案内―カナダ、バンクーバー
ユダヤ系の名物書店たち―アメリカ、ニューヨーク
エドの古書店―アメリカ、ファアヘヴン
古書店のあるじたちの[本の人生]―韓国、ソウル
私の愛する古本屋―アメリカ、ニューヨーク
エピローグ 福島県只見の「たもかぶ古書店」
世界の古書店 2(amazonリンク)

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「古本道場」角田 光代、岡崎 武志 ポプラ社 
「古本屋さんの謎」岡崎 武志 同朋舎 
「古書法楽」出久根 達郎 中公文庫 
「愛書狂」鹿島茂 角川春樹事務所 
ナインズ・ゲート デラックス版(1999年)ジョニー・デップ主演 
「謎の蔵書票」ロス キング 早川書房 
「ある愛書狂の告白」ジョン・バクスター 晶文社 
「書物の敵」ウィリアム ブレイズ 八坂書房 
「本の国の王様」リチャード ブース 創元社 
タグ:書評 古書店
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2008年01月06日

「ヨーロッパの出版文化史」戸叶勝也 朗文堂

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本書は装丁がなかなか素敵で、大きな図版もそこそこ入っているので手に取った本です。
内容は目次で分かりますが、15世紀から18世紀までの印刷を扱っており、個別具体的な印刷技術や地域に関する部分は、極力抑えて大きな歴史的な動きを概観するようなものとなっています。

木版「聖母像」1418年
(木版「聖母像」1418年)

その点で言うと、大変よくまとまっており、本書を読むことで一通りの流れが掴めると思います。その反面、ある種、教科書的なバランスと鳥瞰図的な視点の為、エピソードのような具体的事例が少なく、読んでいるとそれほど面白くなかったりする。単純にいうと退屈なんだよねぇ〜。う〜ん、ある意味仕方ないのかもしれませんが、残念です。

15世紀後半の木版本
(15世紀後半の木版本)

ただ、小さな地域毎に分断されていたあのドイツで、いかにして本を販売し、代金を回収し、決済していたのかその書籍流通の仕組みは、本書を読んで初めて知りました。大変興味深かかったです。

シェーデル編「世界年代記」ノアの箱舟
(シェーデル編「世界年代記」ノアの箱舟)

また、カトリック側とプロテスタント側双方の動きがいかに深く且つ密接に書籍流通と関わっていたのか、本書では分かり易く書かれています。現代の国立図書館などにある献本制度のそもそもの成り立ち(=異端書籍ではないかの検閲の為)やそれが書籍流通に及ぼした影響なども面白いです。

ルター著「ドイツ国民のキリスト教貴族に告ぐ」
(ルター著「ドイツ国民のキリスト教貴族に告ぐ」1520年)

でも、値段は高いなあ〜。私的には一度読めば、いい感じでした。コストパフォーマンスから言うとあまりお薦めしません。悪くは無いんだけどネ。そうそう、プランタンやキャクストンなども代表的な印刷業者として出てきます、念の為。

近代的海図帖1585年
(近代的海図帖1585年)

オランダ語聖書
(ヤン・モレトゥスによるオランダ語聖書)

ライプツィヒの市庁舎附属図書館
(ライプツィヒの市庁舎附属図書館)

【目次】
第一章 グーテンベクル以前の書物の世界
1ヨーロッパ中世・写本の時代
2書体の重要性
3木版印刷の出現

第二章 活字版印刷術の発明―十五世紀半ば
1グーテンベルクの生涯
2活字版印刷術の発明と初期印刷物
3活字版印刷術の完成と聖書の印刷
4フスト&シェッファー印刷工房の発展
5グーテンベルクのその後の活動

第三章 活字版印刷術の伝播―十五世紀後半
1ドイツの他の都市への伝播
2ヨーロッパ諸地域への伝播
3この時代の代表的な印刷・出版業者

第四章 十五世紀末から十六世紀前半の出版業
1ルネサンス人文主義と出版業者
2宗教改革と印刷物の普及―ドイツを中心に

第五章 十六−十七世紀の出版業
1印刷術とヨーロッパ各国語の形成
2この時代の書籍取引
3書籍取引の場としての書籍市
4フランクフルト書籍見本市の繁栄
5カトリック・ルネサンス(反宗教改革)時代の出版業
6オランダ出版業の発展とその他の国の出版業の低迷

第六章 十八世紀の出版業
1ライプツィヒ書籍見本市
2啓蒙主義の影響と文学市場の成立―ドイツの場合
3近代的書籍出版販売への転換―ドイツの場合

本書執筆にあたっての参考・引用文献・資料/図版の出典
あとがき
ヨーロッパの出版文化史(amazonリンク)

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「グーテンベルクの謎」高宮利行 岩波書店
「グーテンベルクの時代」ジョン マン 原書房
プランタン=モレトゥス博物館展カタログ
プランタン=モレトゥス博物館展カタログ〜メモ
印刷革命がはじまった:印刷博物館企画展
「美しい書物の話」アラン・G. トマス 晶文社
「ルターの首引き猫」森田安一 山川出版社
「世界の名著23 ルター」松田智雄編 中央公論社
「宗教改革の真実」永田 諒一 講談社
「ライフ人間世界史(7)宗教改革」タイムライフインターナショナル出版事業部
タグ:書評 出版
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2007年12月23日

「世界の古書店」川成洋(編) 丸善

世界中の古書店に関するエッセイ的なものをまとめたもの。それぞれの章毎に別々な人が書いていて、本書はそれらを寄せ集めたもの。

海外の古書店は私も時々覗くのだが、情けない事に私は英語ぐらいしか分からないのでフランス語やチェコ語、イタリア語の本など知らない言葉の本は面白そうでも読まないので原則は買わない。(例外的に図版が多くて綺麗だと買ってしまうこともあるが・・・)

また、単なる旅行者として通りがかりに一冊買うぐらいで海外の古書店に通い詰めた経験もないので、その意味では本書の執筆者方のように足繁く通って、古書店の雰囲気や古書店主の人柄などを描き出した文章はとても興味深かった。

また、日本に限らず世界中のどこの国でも硬派の古書店は、衰退しつつある潮流を感じて、いささかの悲しさを覚えた。でも増減はあってもいつの時代にも本を愛し、求める人はなくならないはずだし、事実これまでの歴史でも古書店が絶える事がなかったのだから、今後も紆余曲折ありつつも古書店の存続(繁栄)を期待したいと思った。

様々な国の古書(読書)事情やこだわりのある古書店主の人物像など、古書好きなら、読んでいて間違いなく面白いだろう。その反面、執筆者は学者に大きく偏っており、自らの専門書集めという視点なので、純粋たる趣味としての『古書収集』ではないのが残念だ。

どんなものでもそうだが、自腹で購入するのと与えられた予算で購入するのでは熱意や情熱が全く変わるのは自明であり、マニアとしての心意気や僥倖などの面白いエピソードのたぐいはほとんど無い。そもそも具体的な書名やそれにまつわる話などは、ごく一部に過ぎない。

これは、各執筆者に割り当てられた紙数の制限の故だろうと思うし、執筆者の偏り等も本書の出版社である『丸善』故だろう。これは仕方ない話だ。また、どうしてもイギリスに偏ってしまうのもそれらの複合要因とまあ、ロンドン故か?

『ビブリオマニア』という視点では、本書は全く評価されないだろうが、良き海外ブックハントの超・初心者入門書としては、結構いいかもしれません。恥ずかしながら、NYの古書店なんて知らなかったもんなあ〜。今度、モーガン・ライブラリーに行く際には、絶対に寄ろうと思った「ストランド書店」!
【目次】
古書の町ヘイ・オン・ワイ―イギリス
ジョンソン博士の古本屋―イギリス、リッチフィールド
古書店との出会い―イギリス、オックスフォード
中世の町の古書店―イギリス、ヨーク
趣味が高じて・・・ハマースミス書店―イギリス、ロンドン
学者の商法・パタースン書店―イギリス、ケンブリッジ
ウォルター・スコットの館の近くで―イギリス、スコットランド
「北のアテネ」にて―イギリス、エディンバラ
フレッド・アンド・ハナ書店―アイルランド、ダブリン
老婆も訪れる気ニーズ書店―アイルランド、ゴールウェイ
マドリード古書旋回―スペイン
闘牛と酒と旅の日々―スペイン、マドリード
龍の眼の本屋―スペイン、ビルバオ
バスク文化の拠点マンテローラ―スペイン、サン・セバスティアン
店主は頑固な生き字引―ポルトガル、リスボン
カルティエ・ラタンの真っ白な空間―フランス、パリ
あるシャンソニエの影を求めて―フランス、パリ
マラルメ自筆原稿との出会い―フランス、パリ
挟み忘れの写真―ドイツ、ベルリン
失われた栄光―ドイツ、ミュンヘン
真摯な商法・ヴィントフェルダー古書店―ドイツ、マインツ
ハイドリッヒ昨今―オーストリア、ウィーン
美術史の古本屋の悲劇―イタリア、フィレンツェ
消えゆく音楽専門の古本屋―イタリア、ミラノ、ボローニャ
北欧書籍市場のキー・ステーション―スウェーデン、ストックホルム
命綱としての古書店―デンマーク、コペンハーゲン
モスクワとワルシャワの名もない古書店―ロシア、ポーランド
古本のスーパーマーケット、ストランド書店―アメリカ、ニューヨーク
演劇専門古書店めぐり―アメリカ、ニューヨーク
「エイト・マイルズ・オブ・ブックス」を誇る書店―アメリカ、ニューヨーク
学生街の古書店―アメリカ西海岸、シアトル、バークレー
南太平洋・オセアニア研究のクロスロード―アメリカ、ハワイ
ボルヘス的な世界・青空古本市―アルゼンチン、ブエノスアイレス
酒と実学の国の古本屋―オーストラリア、シドニー

本書で扱った「世界の古書店」一覧
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2007年12月17日

「愛書狂」鹿島茂 角川春樹事務所

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十九世紀ロマンチック挿絵本のコレクターである著者による、蔵書紹介&書誌学的解説の本です。

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口絵として紹介されている挿絵がなんとも美しいのには、目を惹かれずにいられないでしょう! 本書自体が装丁にかなり凝った造りになっており、マーブル紙を初めとして豊富な白黒図版と共に、目で見て楽しめる本になっています。

ジャンル的には私の対象外だし、美しいなあ〜と思う反面、私的嗜好からするとわざわざコレクションしたいと思うものではないものの、著者の古書に対する熱い情熱には、大変共感を覚えてなりません。

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実際、書誌学的な内容を初めとして、実体験に基づく収集家ならではの視点からの説明や体験談は読んでいてもとっても楽しい♪

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『書物愛』という嗜好を有する同好の士には、おそらく共感できる点は多々あるとあると思う。何を置いても、まず本であり、相場よりも安く可能な限り質のいい本を獲得するというのは、ある種の習性と言っても良いだろう。たとえ、同じ本を既に持っていてもそれは関係の無いことであり、何冊あっても良いのだ!

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かくいう私も黄金伝説は、初版で完全版一組、部分で重複3冊とか持っていて、おまけに版元変わった新装版一組にe-books、英語版ハードカバー一組を持っているが、そんなのどうでも良いことなのだ。
(今度はラテン語版とか欲しいなあ〜とか考えていることなど、関係ないのである)

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とにかくそういうのは、抜きにしても学ぶところの多い本である。個人的には綺麗な本がお好きな方にお薦めしたいが、タイトルだけはやや誇張があるようだ。著者が書物愛好家であることは納得するが、これぐらいで○○狂とは言えないだろう。この世界はもっと&もっと奥が深い世界だと思うし、少なくとも生活崩壊か人格崩壊するぐらいまで突っ走ってから言って欲しい!な〜んて、凡夫の私は思ってしまったりする。

それぐらい、個人的には愛書狂というかビブリオマニアは尊敬しているんですけど・・・。

以下、個人メモ。
「ノートル=ダム・ド・パリ」ユゴーの小説は中世の建築や習慣についての脱線が多い。
この絵の原画を描いたルイ=シャルル=オーギュスト・ステネーユはストラスブール生まれの画家で後に建築家ヴィオレ=ル=デュックの協力者として中世教会、とりわけサント=シャペルの修復に尽力した。
← よし、今まで興味なかったけど、今度探して読もうっと!

古書コレクターのほとんどは多かれ少なかれ運命論者である。ほしかった古書が手に入るも入らないも、すべては偶然が支配すると考えている。だが、そのいっぽうでコレクターは「意思」の人である。強い意志をもって古書を求めれば、かならずや、それは手に入るとも信じている。その一方で意思を実現するには、普通の人にとっては貴重な何かを犠牲にしなければならないという覚悟ももっている。金、財産、家族、恋愛、娯楽、美食等々、一般人にとってなによりも優先されるこれらのことをコレクターは諦め、そこで犠牲にされた時間、金銭、エネルギーをコレクションの形成に投入する。・・・・
気をつけましょう。決して他人事で笑い事ではありません! 幸い、そこまでの情熱がない軟弱者だから、良かったけどね、私は。

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【目次】
パリの悪魔―ロマン主義時代の代表的挿絵本
フランス人の自画像―十九世紀最高の風俗観察文集
ジャック・サン=ヴィクトール タブロー・ド・パリ―特殊な腐食銅版で描かれたパリ
パリとその近郊のピクチュアレスクな景観―風景画感覚のロンドン製パリ都市景観図
エミール・ド・ラ・ベドリエール 新しいパリ―オスマン改造後のパリ二十区
ルイ・モラン パリの日曜日―ルベールのエッチングに価値あり
ラ・フォンテーヌの寓話―古今東西比類のない、グランヴィルの動物画
動物達の私生活・公生活情景―グランヴィルの最高傑作
もうひとつの世界―シュールレアリスムの先駆
ジェローム・パチェロ、社会的地位を求めて―嫌悪を通り越し、悟りに達した挿絵
フルール・アニメ―亡き妻を冥府より甦らせようとした遺作
エトワール―グランヴィル、最晩年の作品
野菜の王国ー珍本中の珍本
パピヨン―黄金時代の飾る本
いずこなりと、お望みの国への旅―ジョアーノを忘れることなかれ
鉄道風刺手帳―微細なものの巨匠の珍品
百と一のロベール・マケール―数少ないドーミエの挿絵本
ミュゼ・ダンタン―影絵の肖像ギャラリー
ミュゼ・フィリポン、あるいはフィリポン・コミック百貨店―フィリポン本の集大成
現代の顔―写真家ナダールの似顔絵画家時代
ノートル=ダム・ド・パリ―挿絵「芸術」の結晶
れ・ミゼラブル―挿絵による大河小説
家なき子―子供達へのエッツェルの贈り物
さまよえるユダヤ人―天性挿絵画家ガヴァルニの傑作
あら皮―コレクター人生の象徴の書

愛書狂(amazonリンク)

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2007年12月04日

「キャクストン印刷の謎」ロッテ ヘリンガ 雄松堂出版

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原著者の本書執筆の目的は、「印刷本がわれわれに何を語るか、つまり、物質としての書物に現れるさまざまな証拠がどのように解釈できるかを、関心のある一般読者に示すこと・・・」だそうです。

実際、本書では具体的な例を挙げつつ、キャクストンに関する書誌学的な問題(英国で最初の印刷を行った年・場所等)がどのように変遷してきたのか、現在、どこまで分かっているのかが根拠を示しつつ、紹介されています。

しかし、いやあ〜実に細かい話です。最新の科学技術などが調査に利用されて初めて分かってきたことなど、興味深いのですが、私には相当退屈だったことも事実。読んでいて実に眠たいこと&眠たいこと。

翻訳者が高宮氏だし、出版社があの雄松堂、しっかりした内容であることは間違いないのでしょうが、一般読者としては結構、読破するの辛いかも?

分量はさほどでもないですが、あまりにも細かい学術的議論で関心がついていきません。個人的にはキャクストンに関するもっと一般的な知識や既に確定している彼の英文学への影響等、基本的な事実を知りたかったんですが・・・。その辺についての説明は、物足りませんでした。

というか、本書の読者としては、その辺を知っていて当然として話が進められているような気もします。私の基礎知識不足なのかもしれません。本書を読まれる方はその点は事前に考慮しておいた方がいいと思います。先日読んだグーテンベルク聖書の本とは、全く違いました。

日本では、かなり読者層のパイは小さい感じかもしれません。

最後に、書誌学者だけは目指さなくて正解だったと心の底から思いました。裏写りした汚れ、と見まごうばかりの部分にキャクストン固有の活字の裏移りを見つけるなど、あっ、細か過ぎ・・・! 私には無理です、やっぱり。この手の細かいこと苦手なもんで。
【目次】
用語解説
参考家系図

1 ウィリアム・キャクストン
2 初期印刷本の調査
3 オクスフォード伝説
4 18世紀のキャクストン学
5 ウィリアム・ブレイズ
6 1976年のキャクストン祝祭行事
7 1877年から1976年にかけての研究調査
8 英国図書館インキュナビュラ目録の現在の研究
9 キャクストンのタイプ3の導入
10 『哲人の箴言金言集』の年代決定
11 キャクストン本の調査の続き―彼の庇護者
12 印刷本を扱う商人としてのキャクストン

典拠作品と文献
訳者注・訳者解説・おわりに・索引
キャクストン印刷の謎―イングランドの印刷事始め(amazonリンク)

ブログ内関連記事
「さまよえるグーテンベルク聖書」富田修二 慶應義塾大学出版会
「グーテンベルクの謎」高宮利行 岩波書店
「グーテンベルクの時代」ジョン マン 原書房
印刷革命がはじまった:印刷博物館企画展
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2007年11月28日

「埼玉の神社 比企、大里、北葛飾」埼玉県神社庁神社調査団 埼玉県神社庁

本書は埼玉県神社庁によって、県内にある全ての神社を網羅した資料であり、今回の「比企、大里、北葛飾篇」以外に「北足立、児玉、南埼玉編」「入間、北埼玉、秩父編」の全部で3冊からなる大変大部だが、大変充実した内容を持つ文献資料である。

神社の名称、所在地、祭神に留まらず、氏子についてや寺社の所持している奉納物や伝承等々を歴史的な文献資料のみならず、取材時に、現地で直接採取した生の情報を盛り込んでいて、非常に充実しており、多種多様な使い方ができる貴重な文献だと思われる。

図書館に先日籠もっていて発見したのですが、これが実に面白い!!

うちのブログ内の記事でも「埼玉散策シリーズ」と称して、幾つかの寺社仏閣等を巡り歩いているが、本書を読んでみると、知らなかった事があまりにも多く、自分の無知さに驚き呆れるばかりだった。

例えば、大昔から知っている月輪神社などは、創建が西暦700年代に遡り、約1300年の歴史を持っていたりした。京都でさえ1200年祭とかを祝っていたのがこないだの話だから、当然京都への遷都以前の奈良時代の話になる。

また、岩殿観音なども今でこそ往時の見る影も無いが、中世においては関東有数の伽藍が林立する一大宗教地であり、当時の文献には60を超える伽藍が集まっていたという・・・。そんなこと誰も歴史の授業で教えてくれなかったぞ!(何気に教師不信になるなあ〜)

もっとも秀吉の全国統一の過程で松山城が焼かれた際に、岩殿観音近辺も全て劫火に焼き尽くされてしまい、その後、衰退したらしい。こういうこと知っていたら、歴史の授業ももっと面白かっただろうに・・・!

まあ、そんな感じで次々と知らなかったことが出てくるので、読んでいて全然飽きません。今後しばらくは暇を観て、拾い読みしていこうかと思います。間違っても読破できる量ではないですから。

せっかくなので興味深いところをメモ。
赤城神社 
所在地:東松山市野田455

賢悦金駄(けんえつきんだ)神(「野田の伝説と昔物語」昭和42年より)

 宇前原には、賢悦金駄神という変わった名前の石塔がある。この石塔は、風邪を治してくれる神として信仰されており、次の話が伝わっている。

 慶安の頃(1648-52年)、名主であった長谷部茂兵衛のもとに一人の六部が宿を求めてきた。茂兵衛は気の毒に思ってこの六部を家においてやり、六部も子供らに学問を教えたりして村人に慕われた。ところが3年ほど経つと六部に悪い病気の兆しが見え始めたため、村人は茂兵衛に申し入れ、六部に金を与えて村から出て行ってもらった。
 
しかし、何度追い出しても六部はいつのまにか村に戻ってきた。それを繰り返しているうち、ついに六部は思い出の多い長谷部家と共に昇天してしまおうと茂兵衛の家に火を放ったが、自分は火の中に飛び込むことができず、放火の下手人として捕らえられて火あぶりの刑に処せられた。

 この時、「自分は村の皆さんへ恩返しをしたい。ついては、自分は学問を身に付け賢かったことが無上の悦びであり、金は有り難いものだが、駄物であり、人の心は金で買えない。自分もまた賢悦金駄であり。よって賢悦金駄神と称して自分を祀ってくれたなら、村の人々が最も苦しんでいる病気を治すことを約束しよう」と言った。

 そこでその通りに石塔を立ててやった。ある時、風邪で苦しんでいる人が試しにお茶を上げて祈願したところ、不思議と全快した。以来、風邪や百日咳に霊験があるとして信仰されるようになった。また、かつてはこの石塔を削って飲めば、薬になるといわれ、随分石塔が削られてしまった。
あの、これって具体的に特定できそうだから、あまり書けませんが、文化人類学でしばしば出てくる『六部殺し』のアレっぽくないですか? 小松先生のご本に出てきた話を思い出しました。

 それに「六部が一緒に昇天しようと・・・」という文脈は明らかに違和感がありません? 素直に考えたら、六部が逆恨みで復讐しようとして火をつけた、という文脈の方がすっきりする感じがしてならないんですが・・・勿論、事実は不明です。

 また、殺される六部が村人に恩返しをしたいというのも私には解せないのですが・・・。むしろ、祟りを恐れて神に祀ったというよくあるパターンを踏襲している気がしてなりません。

 非常に民俗学 or 文化人類学的に面白い話のような気がします。面白いのは、遠野物語だけじゃないんですね。至る所に、この手の話は転がっているんですね。ふむふむ。
利仁神社(としひとじんじゃ、しょうぐんさま) 
所在地:東松山市野本612

 当社は将軍塚古墳の墳丘上に鎮座している。

 延喜十五(915)年に鎮守府将軍となった利仁将軍こと藤原利仁は下野に赴いて数千の群盗を平定したことや「今昔物語」の「芋粥」の話で広く知られている。比企郡内には、この利仁将軍にちなんだ伝説が多く、比企能員に代表される大谷(現東松山大谷)の比企氏や当地の野本氏はこの利仁将軍の子孫であるという。

 当社はこの藤原利仁の霊を祀る神社であり、内陣には藤原将軍像が安置されているほか、社宝と利仁愛用の弁当箱がある。その創建は、延喜元年(923)四月二十四日と伝えられ、元来は将軍塚古墳の北側に隣接する無量寿寺の鎮守で利仁将軍社と呼ばれていたが、神仏分離によって同寺から独立し、利仁神社と号するようになった。

 関東地方の豪族・武士の中には、平将門の乱を平定し、「俵藤太」の異名で知られる藤原秀郷の流れをくむ人々があるが、その祖先の藤原魚名から分かれた藤原利仁の流れをくむ人々もいることが見落とされがちである。それが鎌倉時代に名を馳せた大谷の比企氏や当地の野本氏などである。当地に藤原利仁に関する伝説が語り継がれその霊が祀られているのはこうした系譜とかかわりが深いと思われる。
芥川龍之介の小説で有名なあの「芋粥」に関連する人物が、まさかこの地にゆかりの有る人だったとは。全くの架空の話だと思っていたんですが・・・今の今まで。

 藤原利仁の名前ぐらいはさすがに聞いたことありますが、全然「芋粥」に結び付かなかったし、それが比企氏と繋がるなんて、まさに「えっー」って感じですよ。

 しかし、何も知らなかった自分を棚に上げて学校の先生のことを言うのもアレですけど、国語や歴史の教師、小中高を通じて誰もそんなことを教えてくれた人いなかったなあ〜。自分の身近な歴史も知らないで、英語しゃべって国際人とか言う人々の顔を拝んでみたくなります。私ももういい年ですが、つくづく教育らしい教育を受けてきていなかったんだなあ〜と思いました。

 当たり前ですが、やっぱり、自分で努力しないといけませんね。つくづく反省です。

 東洋・西洋を問わず、こういう話って私大好きみたい! 西欧の「黄金伝説」も面白かったけど、今後はこちらの方の資料を調べてみようかな? うっ、なんか楽しみ♪
  
関連ブログ
埼玉散策シリーズ〜弁天沼、岩殿観音1(4月29日)
「埼玉の伝説」早船ちよ、諸田森二 角川書店
「埼玉県の歴史散歩」埼玉県高等学校社会科教育研究会歴史部会 山川出版社
節分にちなんで鬼鎮神社のメモ
埼玉散策シリーズ〜箭弓稲荷神社(10月3日)
埼玉散策シリーズ〜輪禅寺・普光寺コース1 (小川町)
埼玉散策シリーズ〜高麗神社
武州寄居十二支守り本尊参り(埼玉)
埼玉散策シリーズ〜慶徳寺 in 滑川町 其の一
埼玉散策シリーズ〜嵐山近郊1
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2007年11月22日

「さまよえるグーテンベルク聖書」富田修二 慶應義塾大学出版会

samayoerugu.jpg

慶応大学に『グーテンベルク聖書』を売った洋書販売で有名な丸善で、実際にオークションに参加し、落札し、その後も調査をしていた社員だった方による本です。

当初、あまり本の内容については期待していなかったのですが、私の予想は大いに裏切られました。大変密度の濃い、充実した内容で書誌学的要素も豊富で勉強になるし、しかも大変面白い本です。

本書を読む前に私が漠然と抱いていた『グーテンベルク聖書』のイメージは、全然誤解していたことが分かり、まさに啓蒙された書でした。

グーテンベルク聖書1

世界中に現在49部が確認されていることや、グーテンベルクが販売したものは、その後に装飾師によってイニシャルや挿絵を入れることが前提になっていて現存しているものも全てが異なっていて、一つとして同じものがないことなど全然知りませんでした。と同時に何も知らないまま、「グーテンベルク聖書」を見ていたんだなあ〜と改めて間抜けな自分を恥じ入るばかりです。

確か来年に慶応大学が開校○○年記念とかで「グーテンベルク聖書」を全国で公開する噂を聞きましたので、是非その時にはしっかり見直してみたいと思います!! (いつ、やるんだろう?)

しかし、アメリカって金があるから、グーテンベルク聖書もたくさん持ってるんだねぇ〜正直意外というか驚きです。ほとんど信じていなくてポーズだけプロテスタントの国なのに・・・。

モーガン・ライブラリーなんて、なんと3部も持ってるとか、おいおい〜やられましたです、ハイ! 絶対に見に行かねば!! ちなみに丸善がグーテンベルク聖書の購入意思を尋ねられた最初の相手は、このモーガン・ライブラリーだったようです。へえ〜、さもありなん。

先日、友人から写本とかをたくさん持っているところとしてURLを紹介されたハンティントンだが、ここも本書にしっかり出てきて紹介されてます。やっぱ、こういうところが買うんでしょうね。

グーテンベルク聖書2

あと、グーテンベルク聖書って私の感覚からすると、すごい稀覯本で当初から大切にされてきたと勝手に思っていたのですが、全然そんなことなくって、販売した当時は写本より安いからってぐらいの扱いだったようです。

その為、この稀覯本には聖歌隊の歌手が落書きをしているものもあるんだって! うわあ〜そんな扱いですか・・・。また、グーテンベルクが手本にしていた写本自体も問題があるあまり良くないテキストだったようで、聖書の聖句なのにたくさんの間違いがあるんだそうです。

それ故、購入した持ち主が余白部分に訂正する語句を記入したり、時には印刷された文字を消してその上に手書きで修正された跡があるものもあったりと、いやあ〜実に愉快♪

私のイメージでは、完璧に完璧をきっする職人で一切の間違いのないテキストを誤字脱字などもなく、素晴らしく美しいレイアウトで作成したもの。それが『グーテンベルク聖書』だと思っていたんですが、それはあまりに現実離れした夢の世界の話だったようです。

ねっ、面白くってしかたないでしょう♪ そうそう、ちなみに丸善が落札した当時はブラック・マンデーのすぐ後でたいがいの資産家や大口の団体なども手を控えざるを得ない状況がかなり有利に働いて、想像以上に安く獲得できたんだって。最もそれでもその時には、世界で一番高い本ということでギネスに載ったそうです。


グーテンベルク聖書の装丁(表・裏)

落札後の話なども大変興味深くって、丸善が落札したグーテンベルク聖書の最初の一文字のイニュシャルが本来『F』なのに装飾師が明らかにミスったらしく『Q』になってるとか。こんなミスは初めて見たというぐらいの決定的な間違いで、非常にレアな事例らしいです。

いやあ〜、なんかワクワクしますね。本書を読んでから、実物を見たら、全然違って見えること請け合いです。ご興味のある方は、是非&是非読みましょう。本当に楽しめる本でした(笑顔)。

ちなみに、ここで紹介している写真は、本の中に入っていたグーテンベルク聖書のものです。
【目次】
はじめに 高宮利行

第一部 グーテンベルクの生涯と作品
 第一章 グーテンベルク生誕600年にちなんで
 第二章 グーテンベルクの暦

第二部 さまよえるグーテンベルク聖書
 第三章 ナチの手から逃れたグーテンベルク聖書
 第四章 タイタニック号遭難とグーテンベルク聖書
 第五章 グーテンベルク聖書の誤植
 第六章 落書きされたグーテンベルク聖書
 第七章 モスクワにあったグーテンベルク聖書
 第八章 鎖付きのグーテンベルク聖書
 第九章 写本としての売られたグーテンベルク聖書
 第十章 グーテンベルク聖書のオークション
 第十一 章装飾師による最大級の誤り

第三部 グーテンベルク聖書をめぐって
 第十二章 グーテンベルク聖書の復刻版
 第十三章 情報技術革命期のグーテンベルク聖書
 第十四章 活版印刷術の発明をめぐる新しい見解
 第十五章 過去1000年で最大の出来事
 第十六章 『學鐙』にみるグーテンベルク聖書

参考文献
グーテンベルク関連文献
さまよえるグーテンベルク聖書(amazonリンク)

関連サイト
慶應義塾図書館稀覯書画像 慶應本グーテンベルク聖書と初期印刷本
【上記サイトより、慶応本の来歴】
15世紀から18世紀
マインツの修道院に長く保存されていたと考えられる。

19世紀半ば
ゴスフォード伯爵(Archibald Acheson, 3rd Earl of Gosford)が所蔵していた。

1878年
ロンドンの書籍業者ジェームズ・トゥーヴィー(James Toovey)がこの聖書を含む伯爵の全蔵書を購入した。

1884年4月21日
書籍業者パティック・アンド・シンプソン(Puttick & Simpson)が競売でこの聖書を購入。ロット番号は339番。落札価格は500ポンドだった。

?年?月?日
アマスト・オブ・ハックニー卿(Lord Amherst of Hackney )が購入。購入価格は600ポンド。

1908年12月3日
サザビー(Sotheby's)で行われた競売で、収集家ダイソン・ペリンズ(Dyson Perrins)の代理として書籍商バーナード・クォリッチ(Quaritch)が購入。ロット番号は78番。落札価格は2,050ポンド。

1947年3月11日
サザビーの競売で、フィリップ・フレール(Philip Frere)の代理としてマグス書店(Maggs Brothers)が落札。ロット番号564番。落札価格は2万2,000ポンド。

1950年10月
エステラ・ドヒニー伯爵夫人(Countess Doheny)がマグス書店を介してフレールから7万93.75ドルで譲り受けた。

1987年10月22日
クリスティー(Christie's)の競売で、日本の丸善が落札。落札価格は490万ドル。手数料を含めると539万ドル(7億8,000万円に相当)で、印刷本の落札価格としては当時の世界最高記録を更新した。

1996年春 
慶應義塾大学が丸善より購入。
関連ブログ
「グーテンベルクの謎」高宮利行 岩波書店
「グーテンベルクの時代」ジョン マン 原書房
印刷革命がはじまった:印刷博物館企画展
「本の歴史」ブリュノ ブラセル 創元社
プランタン=モレトゥス博物館展カタログ
「美しい書物の話」アラン・G. トマス 晶文社
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2007年11月18日

「ぼくの血となり肉となった五〇〇冊 そして血にも肉にもならなかった一〇〇冊」立花隆 文藝春秋

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相変わらず、この人の考え方は私にとって生理的拒否反応が出てしまう部分(本を情報の為の道具として割り切って接している姿勢等々)があり、好きか嫌いかというと間違いなく嫌いなのですが、『本を読む』という一点において、この人は傑出した人物だと思うし、本書も有用な情報を持っていると確信します。

最初に言ってしまえば、ジャンルを問わず、情報を得る為に本を読む人ならば、絶対に目を通すべき本だと思います。但し、誤解してはいけないのですが、最初から最後まできちんと読む本ではありません。まして、立花氏の本を他にも読んだことがあるならば、ご存知の通り、かなりの重複がありますので斜めに目を通すべき部分が非常に多いです。

と、同時に同じような文章の中で微妙に違ったことを言っていて使える部分もあるのでそれを手早く見分けながら、読まないと時間がもったいないのも事実です。

本書で有用な部分ですが、特に参考になるジャンルは明白にノン・フィクションであり、ざっと列挙された「書名」と一行から数行の内容説明でしかありませんが、その書物の選択が実にイイ! 

膨大な本を読んでいるうえに、それぞれのジャンル毎で使える本と使えない本をきちんと分かっている(であろう)と感じられるセレクションこそが、本書のポイントでしょう。基本且つ有用である本か、ある特定の点で有用である本を見事に『選択』していると思います。

何故、そんなことが言えるかというと、自分が知っていて使える本だと思う「良書」がまさにこの本の中でも多数挙げられていて、著者の選択眼に同感できる点が多々あるのですよ〜。嫌なことに・・・。

是非、皆さんも自分の関心のある分野や詳しい分野の本で、立花氏のセセレクションを確認してみて下さい。それで納得がいくなら、おそらく自分は知らない分野について挙げられている本も使える本なんだろうと信頼ができますから。

本書を読む意義としては、上記のように自分の不案内なジャンルの基本となる本や使える本を知る目安に使えることが一点であり、更に、自分が知っているジャンルでもしかしたら取りこぼしている(見落としている)本を見つける契機になるかもしれないのも大切な点です。

この二点の為にも、是非目を通してみることをお薦めします。但し、人が選ぶ以上、絶対にその人のバイアスがかかっていることはお忘れなく! それを理解したうえで、いかに本書の中で使える部分だけを素早く選択するか、それが肝要です。

本書を読んだだけでは、別に意味があるとは思えません。本書を使って効率良く自分に有用な本を見つけ出し、生かしてこそ、本書の価値が生まれます。きっと!

本書だけ読んでも無意味でしょう。あくまでも使う為の本だと思います。個人的には、あまり好きではない考え方ですが、ノン・フィクション関係には非常に大切且つ有用な方法論ですので、本書を読むなら、必ず次の本へつなげること。

そもないと、そこそこ分厚い本書を読む時間だけ、人生の浪費です。逆に本をドンドン読んでいく予定があるならば、本書の価値は幾何級数的に増大するでしょう。

ここで話が変わる。本文中で思わず頷いた部分について。
早読みと早書きの間を結ぶ能力として、もうひとつ大切なのは、「早呑みこみ」です。資料をゆっくりと読んで、事情をすっかりつかんでから取材するのでは遅すぎます。だいたいわかったところで、いかにも事情を通じている風をよそおって、取材に行かなければならない。取材で聞く話の中に、よくわからないところは、あとで大慌てで調べる。次の人を取材する時には、大慌てで調べた生煮えの知識を、さも前から知っていたかのごとく装って相手にぶつけ、さらに取材を深めていく。こういう、「半可通能力」を身につけなければならないわけです。
・・・・
・・・・
半可通になることは、ジャーナリズムの世界でどうしても身に付けなければならない能力です。しかし、それで満足してはいけない。しかし、半可通でいれば仕事ができてしまうのがジャーナリズムの世界です。そういう状況に身も心もスポイルされて、半可通で大口を叩くことだけをもってよしとする鼻持ちならない人間がジャーナリズムの世界には多すぎます。
・・・・
これは、まさに私がいつもマス・メディアに感じていたことであり、やっぱりそうなのかと納得させられた。と、同時にどこの世界も同じなのだなあ〜と感じさせられた。

というのは、私もバイヤーをやっていた頃、まさにこの『半可通』をやっていたからだ。これができない人間はバイヤーとしては下の下だが、まさに半可通で終わっている人間が実に多い。そういう人は、勤続年数だけ多いが、バイヤーとしての知識や経験が上っ面だけで、出来る人や本物の人にはすぐばれてしまう。

逆に、真のバイヤーに育つ人は、『半可通』で得た知識をその後、徹底的に調査して更に理解を深め、複数の業者と関わりつつ、ビジネスを継続していく事で学んでいき、専門の職人と対等に素材や加工技術の話をできる水準にまで伸びていく。

他社のバイヤーからも情報や教えを請われると共に、職人や製造メーカーからも一目置かれる存在になるのだけれど、そんな人は私が知っている中では二人しかいなかった。後は、10年経っても何もできない、誰とも代替のつくレベルで終わってしまう。私の乏しい経験からも大いに共感できる話でした。

以下、本書の中で見て、私が今後読もうと思った本の一覧。本文より引用。
・大航海時代叢書シリーズ『インディアス史』ラス・カサス
スペインという国が、南米の原住民に対してどれほどめちゃくちゃな支配をしてきたかを書き綴ったもの。
・『インディアスの破壊についての簡潔な報告』岩波文庫
ラス・カサスっていうドミニコ会の坊さんがあまりにもひどいというので本国へ報告を出したもの。
・『イエズス会士日本通信』
日本にやってきたイエズス会士が本国の総長に送っていた報告書


・『世界神秘学事典』荒俣宏 平河出版社
全体的な見取り図を与えてくれるもの
・『ヘルメス叢書』白水社 
基本文献となるもの
・『ヘルメス文書』荒井献、柴田有 朝日出版社

・『口語旧約聖書略解』『新約聖書略解』日本基督教団出版部
比較的感知名注釈書

・『ハーディス』牧野信也 中公文庫、第三巻「聖戦」の項
ジハードで死ぬこととは、イスラムでは最大の宗教的功徳とみなされる。ジハードで死んだ者は殉教者となり、アラーの神により天国にあげられると決まっているのである。
・・・・
天国に行ったものは誰も現世に帰りたいとは思わないが、殉教者だけは別で、神から殉教者に与えられる恩寵のあまりの篤さに驚き、「現世に戻り、さらに十回死ぬくらいなんでもないのだ」

・『行動ファインアス』ダイヤモンド社
行動ファイナンスとは、数年前にアメリカで生まれた経済学と心理学の境界領域(融合領域)の学問で、資本市場で投資家がどう行動するかを研究する学問。
・・・・
効率的市場仮説にそぐわない投資化の非合理的行動がどこからうまれるのかが行動心理学によって分析されていく。

・『エリック・ホッファー自伝 構想された真実』作品社
自分自身がそのような不適応者の一人であり、その不適応者にまじって生き続ける中で、「人間社会における不適応者の特異な役割」という、彼の生涯を通じての思索テーマを発見する。「人間の独自性とは何か」ということを考えつめていくうちに、「人間という種においては、他の生物とは対照的に、弱者が生き残るだけでなく、時として強者に勝利する」ということだと思い当たる。つまり、「弱者が演じる特異な役割こそが、人類に独自性を与えている」のである。そして、アメリカを作った開拓者たちというのも、実は社会的不適応者であったが故に、家を捨て荒野に向かわざるを得なかった放浪者たち(弱者)だったのであり、それがアメリカ社会の独自の特質をもたらしているという考察にも導かれていく。

・『魔術的芸術』アンドレ・ブルトン 河出書房新社
原始時代に始まり、古代、中世、近世、現代、あらゆる時代を通じて魔術(呪術)をモチーフにして作られた絵画、彫刻、宗教的儀式用品、装飾品等、あらゆる美術作品を集大成した上に、ブルトンの魔術(呪術)論を展開した、きわめて興味深い本。

・『天才と分裂病の進化論』ディヴィッド・ホロビン 新潮社
精神分裂病の遺伝子こそ人類進化史上の最も大きな飛躍(サルからヒトへ)をもたらした遺伝子であり、その後の人類史においても、芸術、科学、哲学、宗教、政治などさまざまな局面において数々の飛躍を生んだ有名、無名の天才たちを生んだ遺伝子だ、という仮説。

・『敗戦真相記』永野譲 バジリコ株式会社
この本は日本の敗戦の最も優れた敗因分析である。
・・・
何といっても大きいのは、マネージメント(経営能力)の差だという。マネージメントにおける科学性のなさ=非能率、非効率が兵器における科学性の欠如よりはるかに大きな敗因になっているという。

・『脳が殺す』ジョナサン・H・ピンカス 光文社
殺人者は何故人を殺すのかを真面目に追求した本である。著者は神経内科医で、長年にわたって、特異な殺人者の精神鑑定をしてきた。二十五年にわたり、百五十人の殺人者を鑑定したというから、この分野では比類ない研究実績を持つといってよい。その結果たどりついたのは、一般的な単純殺人者とちがって、大量殺人、連続殺人、殺し方が冷酷無惨など、人の目をそばだたせるような特異的な殺人は、ほとんどが「幼児の被虐待体験」「精神疾患」「脳の神経学的損傷」の三つの要因を重複して持つ殺人者によって犯されているという結論である。

・『中国性愛文化』青土社
中国の性文化のあらゆる局面にわたり、紹介される資料の豊富さには圧倒的なものがある。中国の性の三大奇形現象といわれる、娼妓、宦官、纏足についてもこれまでになく詳しい。
たとえば、男が纏足の女性を愛撫して楽しむのに四十八種の法があったといい、そのすべてが解説されている。
・・・・
宦官になる為の局所背所術についても詳しい。

・『ヨーロッパ古層の異人たち』芳賀日出男 東京書籍
芳賀が何年もかけて取材してきたヨーロッパ各地の伝統的な祝祭にあらわれてくる、ヨーロッパ文化の最古層に横たわる、キリスト教以前のゲルマン、ケルトの伝統に遡る習俗の写真中心の報告である。
実は、まだあと100頁くらい残っているがとりあえず、忘れないうちにメモ。ここの部分は追加予定。

ぼくの血となり肉となった五〇〇冊 そして血にも肉にもならなかった一〇〇冊(amazonリンク)

【追記】
・『裏切りの同盟』ロバート・ベア NHK出版
アメリカとサウジアラビアとイスラム過激派について書かれた本。
著者はCIAの調査・工作官として、ニ十年以上にわたって主として中近東で働いてきた。おとり捜査のため、石油の密輸、武器の密輸までしたこともある人なので裏情報がふんだんに盛り込まれている。
・・・・
世界一の産油国、サウジアラビアには、ほとんど天文学的な石油マネーが日々流れ込んでくるが、それを自由にできるのは、ほんの一握りの王族を中心とする特権階級の人々で、国民全体の生活向上にはほとんど使われない。王族は外国旅行に行くと、毎日億単位の金を使って、女を買う、カジノに入り浸る、酒と美食におぼれる、贅沢品を買いまくるなど、あらゆる種類の腐敗行為に熱中する。ところが、国民の生活水準は下がる一方。一般国民レベルでは不満が暴発寸前になっている。一方でイスラム原理主義的な教育を行うマドラサ(イスラム宗教学校)が全国にでき、そこを卒業してイスラム過激派に身を投じる若者がふえた。彼らは王族の腐敗生活に強く怒っており、サウジで革命がいつ起きても不思議ではない情勢になっている。この情勢変化に気付いた特権階級は、過激派を買収しようとして、あるいは過激派から脅されてやむをえず、過激派にどんどん資金を流している。これが、イスラム過激派にサウジから膨大な資金が流れる理由だ。

・『アレクサンドロス大王物語』伝カリステネス 国文社
ヨーロッパで中世以来聖書に次いで広く読まれたという物語で虚実ない交ぜの面白いアレクサンダー伝説がたくさん載っている。

・『諜報員たちの戦後』斉藤充功 角川書店
陸軍中野学校の卒業生たちが戦後六十年目にしてようやく語りだした戦後の生き方である。陸軍中野学校はその前身の組織を含め7年間だけ存在し、二千百三十一名が卒業した。大半が戦争の時代を生き延びたわけだが、多くの者はいまだに「黙して語らず」の中野学校の遺訓を守り、問われても口を開こうとしない。
・・・・
終戦時、陸軍中野学校は群馬県富岡町にあり、本土決戦後、国内遊撃戦に転じる計画を立てていた。全国いたるところで地下に潜り、機会があればいつでも地下から湧き出てゲリラ戦を展開する計画だった。敗戦後は、占領軍の監視を続け、将来の国家再建にそなえるべく、一人一人、校長から秘密司令を受け、秘密通信法が伝授され、秘密の工作資金も渡されていたという。

・『生命科学』羊土社 東京大学教養学部理工系生命科学教科書編集委員会編
分子生物学、細胞生物学、発生生物学の全領域にわたって、最新の知見を実に要領よくまとめている。
他にもまだまだあるが、とりあえずこの辺を読んでいこうと思う。

関連ブログ
「ぼくはこんな本を読んできた」立花 隆 文藝春秋
「脳を鍛える―東大講義「人間の現在」」立花 隆 新潮社
「ぼくが読んだ面白い本・ダメな本 そしてぼくの大量読書術・驚異の速読術」立花 隆 文藝春秋

しかし、嫌いだという割には何冊も立花氏の本、読んでるな私も(苦笑)。
タグ: 書評 読書術
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2007年11月14日

「ブックハンターの冒険」牧真司 学陽書房

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SFマガジン等で著者の名前は見たことがあったように思う。実際、著者の活躍するメインフィールドはSF関係の書評などで、本書で語られるジャンルも圧倒的にSF色が強い。

私自身も高校生の頃に、SFマガジン(早川書房)と澁澤龍彦を中心に生活してたので著者が語る内容はおぼろげながらに分かるが、やっぱり真性のSFファンって『濃いなあ〜』って思わずにいられないノリがそこかしこに漂う文章です。

たぶん、こういうのがダメな人は一発で嫌いかもしれない? 元祖オタでしょう(決して悪い意味ではないので注意!)。その代わり、古書に関する愛情が滲み出ているのも事実で相反するようなコメントですが、古書好きには共感できる部分が非常に多いと思う。私、結構スキ。

そうそう、ちゃんと書いておかないと誤解を招くかな? あくまでも中核はSFだと思いますが、著者の関心の範囲は、幅広くミステリーや怪奇・幻想系なども守備範囲らしいです。ミステリやSFは、書名を聞いても知らないものがほとんどですが、幻想怪奇系になると途端に私の知っているものが増えていきます。

最初は、私の趣味と全然合わないし、収集方法も方針も私とは根本的に違うし、つまんないかなあ〜と思いながら読んでいったのですが、読み進むにつれ、段々と面白くなっていきます。

古書マニアとしての特性が出てくるにつれ、やっぱりこういう人っているんだなあ〜と思うと共に、自分ってなんてノーマルなんだろうって安心している自分に気付きます(良かった!)。

同じ本を買うことがあっても、ごく一部の本以外は初版や月報、帯等にはこだわらないし、ほとんどが自分が持っているのを忘れたせいで、必要以上にコレクターと化していない自分の良識さに感動しちゃうぐらい。精神安定剤として、読んでおいてもいいかも? 

体調絶不調なのに、デパートの古書市初日に行く病気さをほとんど持ち合わせていない自分を誉めてやりたくなります。マジに。時々、そういうことをしたくてたまらなくなりますけどね。用も無いのに、展示会や商談と称して外出して、古書市巡りなんて滅多にしませんよ、大人ですもの私(オイオイ)。

でも、本当に古書市の初日って、サラリーマンも来てるんだよね。営業や外回りでは絶対に無さそうな人が。半休で来てるのか知らないが、怪しい???

それは置いといて。
伊達にプロの書評家ではありませんね。やっぱり、上手い紹介がされている本がちらほらあります。幾つかは私もこれから読もうと心に決めました。『ガルガンチュワとパンタグリュエル』

また書誌的な情報もそこかしこに溢れています。もっとも私の興味の対象外なんで、直接的には役立たないけど、でも、読んでて面白いです。本好きなら、楽しめると思います。

但し、著者の古書の収集法(として紹介されているもの)は、なんていうか一般的過ぎて面白くない。恐らくみんなそれ以上の独自のノウハウがあるはずだし、著者も絶対に持っていると思う。出し惜しみしてるんじゃないかなあ〜。どんな情報もみんなが知った時点で、陳腐化するし、価値を失うからね。何よりも欲しい本が有限である以上、自分の手に入らない事態だけは避けたいでしょうしね。

こんなこと言う私自身も、自分なりの方法がありますが、どんなことしてもそんなことブログに書く気にはなりませんしね。釣りをしている人が釣れるポイントを他人に教えないと全く同じ心理でしょう。知人等ならいざ知らず、苦労して獲得したノウハウを無償で提供されることは有り得ません。

そこが実際は難しいところかもしれませんね。と同時にそういったノウハウと情熱とひたすら運頼みというのが、古書収集の醍醐味かもしれませんね。

本書を読んだせいか、ついつい私も古書店廻りをしてしまい、ちょっとツウ好みの本を何冊か購入してしまいました。ダメですね、すぐ影響を受けてしまうタイプのようです私って(笑)。
【目次】
 序章古本日記T―晴探雨読日々是楽園―

第1部 ボクの修行時代
 第1章古本屋がボクの教室だった
 第2章猟書は長い坂をのぼるようです
 第3章それでもあなた、コレクターになりますか?

第2部 揃える愉快
 第4章≪異色作家短編集≫は旧版にかぎる
 第5章≪不思議小説≫三段跳び
 第6章≪シュルレアリスム≫に夢中

第3部 ホコリ高き楽園
 第7章北京で出版された怪談集
 第8章戦前の科学エッセイ
 第9章この世の外の料理本
 第10章ヴェルヌとともに世界一周
 第11章ルイスのイマジネーションに脱帽

第4部 ブックハンティングの旅
 第12章サンフランシコ古書巡礼

第5部 紙魚の偏愛
 第13章急にイーリイが読みたくなって
 第14章≪新編・異色作家短編集≫を夢見ながら
 第15章忘れられた作家、モーリス・ルヴェル
 第16章ラブレーでファイト一発!
 第17章言葉を使わないストーリーテラー
 第18章グロテスクな想像力、ミハイル・ブルガーコフ

終章古本日記U―世紀末百貨店古書即売会七転八倒之図
ブックハンターの冒険―古本めぐり(amazonリンク)

関連ブログ
「世界古本探しの旅」朝日新聞社
「本棚が見たい!」川本 武 (著) ダイヤモンド社
「古本道場」角田 光代、岡崎 武志 ポプラ社
「古書街を歩く」紀田 順一郎  新潮社
「古本屋さんの謎」岡崎 武志 同朋舎
「古書店めぐりは夫婦で」ローレンス ゴールドストーン, ナンシー ゴールドストーン 早川書房
「古書法楽」出久根 達郎 中公文庫
「世界の図書館」徳永 康元 丸善
「ヨーロッパの歴史的図書館」ヴィンフリート レーシュブルク 国文社
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2007年06月16日

「復刊ドットコム奮戦記」左田野渉 築地書館

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「復刊ドットコム」とは、絶版や品切れなどで現在では入手できない本の希望者をネット上で募り、一定数を超えた時点で復刊交渉を行って可能な限り、復刊を実現させていくサイトです(当然、利益は復刊書籍の販売により獲得される)。

まさにネットが実現を可能にしたビジネスモデルであり、本好きの人なら、実際に活用するしないにかかわらず、おそらく一度以上は訪れたことのあるサイトであり、非常に期待を持って見守っているサイトではないかと思う。

本書は、その復刊ドットコムを立ち上げた創業者が、全く新しい事業を暗中模索の中で試行錯誤し、黒字を維持しつつ、現在まで継続し続けてきている軌跡を描いた本です。

実際に復刊が可能になるまでの交渉の大変さと共に、交渉した結果として復刊が実現しない困難な理由を具体的に挙げているのがとても興味深い。

往時の本で現代では差別用語にあたってしまい、そのまま出版できないが修正することもできないので復刊できない場合や、著作権が複雑な所有になっていて該当者全員による許可が獲得できない場合。復刊自体は可能であっても、安価な漫画本などで少数限定出版では単価が高くなってしまい、実際の購入が期待できずに断念する場合など、ビジネスである以上、利益を確保することがいかに難しいのかが如実に伺われる。

同時に本書を読むまで、正直このサイトが他社の復刊計画の参考とされるほど業界での評価が高いとは知りませんでした。あくまでもニッチであり、他の出版者は冷ややかな視線なのではと勝手に誤解していました。

また、熱烈な復刊希望者の存在故に実際に復刊した本の売上でも、他社を圧倒するだけの売上がそのサイト上で達成されているのも凄いなあ〜と思いました。いわゆるロイヤリティーの高い顧客・顧客予備軍を抱えていることが強みなのがよく分かります。

その辺はなかなか読み応えがあるし、本の流通・出版業界、あるいはネットビジネスとしても勉強になります。

その一方で2章以降かな。私的にはほとんど面白くないし、読むだけの価値を覚えなかった。実際に復刊された本などに関する話などに内容が移っていくのだけれど、私が復刊して欲しい本とは内容・ジャンルが甚だしくかけ離れているので、どうしても興味を持てなかった。

そういえば、復刊ドットコムを何度か見たことがあるのだが、たいていの場合は私の欲しい本で絶版のものが対象になっていたことがなかった。漫画や写真集、特殊なマニア向けのものが多かったので自分には利用価値が見出せず、私には関係のないサイトとしていつも認識していたことを思い出した。実際に、本書を読むことでその思いがしっかり裏付けられたのは、読んだ価値があったかもしれない。

ただ、小山田いくの作品とか、「少女アリス」とかはなるほどなあ〜と思っていたが、99%は興味の対象外ですね。勿論、私の関心は別にして、非常に価値のある素晴らしいビジネスだと思います。今後も更に発展していって欲しいと思いますが、これは一般論で個人的にはイマイチです。

個人の尺度で言えば、安く欲しい本が入手できればOKなわけであり、オークションでも古書マーケットからでもたいていの場合は、入手できるような気がします。情熱とその対象たる本との『縁(えにし)』があれば、出会えるものでしょう。駄目なら、それは縁がないか努力が足りないかのいずれかでしょう♪

特に文字ベースの情報としての本であるならば、国会図書館で複写してもいいし、いざとなれば、手書きで全文写せばいいだけのことですし(極論ですけど)。まあ、中世の写本ではありませんが(苦笑)、今はすごくいい時代だと個人的には思います。そのうちgoogleの全文検索とか利用して対価を払えば、いくらでも入手できるかもしれませんね。個人的にはいろいろと期待してますが・・・。

話がとりとめのない方向へ向かっていて恐縮ですが、個人的にはもっと使える復刊ビジネスがあると嬉しいなあ〜。別に復刊でなくても、とにかく必要な情報が本・雑誌・ネットの形態を問わず、入手できれば最高ですね!

amazonやgoogleにはそういう意味で期待していますが、まだまだ発展途上であることを強く感じます。それらの更に上をいく新しいサービスが生まれることを期待しちゃいますね。う〜ん、待ちの姿勢だな、私も。自分で作り出すくらいだったら、頼もしいのだけれど・・・。

余談が過ぎましたね。総括。時間があれば、前半を斜め読みすると面白い程度。購入してまで読む必要は覚えません。私は本屋で全部読み終わってしまいました。面白かったら、資料用に買おうかと思いましたが、そのお金でネットワーク関係の別な本を買いました(笑)。
【目次】
欲しい本を手に入る10の方法
プロローグ「埋もれてしまった名作」から「懐かしの思い出の作品」まで
1章 復刊ドットコムストーリー
1手に入らない本が多すぎる
  なぜ復刊ドットコムがはじまったのか?
2儲からない試行錯誤から読者が望む復刊へ
  月商十六万からのスタート
  読者投票がつくるサイトの誕生
  コミケ、そのエキサイティングな広場
  ダルタニャン物語と藤子不二雄Aランドという大きな壁
  出版社が復刊できない本
  新しいコミュニケーションの場
3ニッチなサイトが成功したわけ
  双方向サイトが成功の秘訣
  eコマース成功のコツ

2章 熱い復刊リクエストから見えてくる人気本の秘密
1人気の商品とは?
  おもしろ投票ジャンル
2復刊ブックガイド
  懐かしのコミックス・アニメ…子どもの頃に買えなかった本
  ゲーム系…TRPGからマザーまで
  音楽の本…エンタメの王道
  児童書アニメ読み物 …トラウマ系絵本とは何か?
  実用書や専門書…意外な人気で、色あせないネタ
  ビジュアルな書籍…一夜にして500人が投票した本とは?
  人気投票ランキング…復刊会員22万人が選んできた「これが、読みたい本だ!」
  まだまだあるぞ!「単行本未収録作品」ランキング
3子ども時代の夢を果たす「復刻ブーム」
  「掘り出し物・レア物コーナー」…高客単価と大人買い
    
3章 復刊にまつわるエピソード
1岡田あーみんはなぜ復刊できないのか?
  絶版本が抱える紛争の数々
  復刊を断念するケース……「残念」リスト一挙公開
2憧れの著者に会いに行く!
  マンガ家たちの素顔
  個性あふれる絵本作家たち
  良書には推薦者が集う
3時代の波に揺られて復刊された本

4章 本好きのためのパラダイスとは?
1熱意がビジネスを超える
  ファンだけが知っている情報…ファンサイトとの連携
  「信頼」を基盤とするビジネスモデル
2新しいコミュニケーションを創造する
  電子書籍→携帯電話へ
  復刊の最前線からみた出版権と著作権
3一〇〇万人の自給自足の読者生活をめざして
  読者による生活共同体へ
復刊ドットコム奮戦記-マニアの熱意がつくる新しいネットビジネス(amazonリンク)
posted by alice−room at 22:59| 埼玉 ????| Comment(0) | TrackBack(0) | 【書評 本】

2007年05月02日

「古書ワンダーランド1」横田順弥 平凡社

冊子「本の窓」に連載されていたものをまとめたもの。明治時代の古典SFの収集を中心に、古書漁り(失礼!)古書収集を何よりも生き甲斐にしていらっしゃる著者による、古書にまつわるエピソード集。

古書マニアとしての生態が窺われるエピソードなど、それなりに面白いとは思うのですが、著者が紹介される本の一冊として私の興味を引くものがないのが、悲しい。それでも、それなりに面白くは読めるんですが、やっぱり遠い世界の話。

研究熱心だなあ〜とは思うのですが、荒俣氏とかと比べるとかなり常識の範囲内の古書収集家というところでしょうか。『キテル』とか『あ〜あ、イッチャッテル』という水準ではないので、それほどの感慨はありませんでした。

部屋の本が崩れるなんて、そりゃ誰でも一緒だもんネ。

続編も出てるようですが、古書マニアであっても買ってまで読む本ではないでしょう。他にも読まなければならない本は、山積みですから。

ただ、著者が部屋の中を掃除して整理したら、全く同じレアな本が4冊出てきたのは、実に身に詰まされる話です。私の場合は、安い本でしたが、同じ本が3冊になってしまったことがあります。勿論、2冊なんて事は当たり前ですが。

そういえば、「黄金伝説」もかなり重複してしまった。人文書院のものと復刻した平凡社のものでしょう。英語でもハードカバー買っちゃったし・・・。よりによって人文書院の第2巻については、ブックオフで安く売られていたので悔しくてつい買ってしまったもんなあ〜鬱だあ〜。

ふう〜私事だけど、漫画とかつまらなかった本は少し売って整理しないと部屋がつぶれかねない・・・。とりあえず、3,4箱売っておこうっと。

古書ワンダーランド 1(amazonリンク)
タグ:古書 書評
posted by alice−room at 19:48| 埼玉 ??| Comment(0) | TrackBack(0) | 【書評 本】

「印刷に恋して」松田哲夫 晶文社

漠然と以前、印刷業者さんの工場へ視察に出掛けた思い出とグーテンベルク関係の印刷革命の本を読んだ記憶から手にとった本。

活版印刷から始まって、現在の電算写植や電子出版までを扱いながら、今、まさに失われつつある印刷技術について、筑摩書房の編集人たる著者が実際に体験を通して紹介している。イラストは、ちょっと前に本を読んだ内沢旬子氏。ご自身でも本の装丁などをされているそうだ。

そうですねぇ、私が工場を見に行ったのは、宛名書きをハガキに印字するにあたっての顧客情報の管理状況やセキュリティのチェックだったので、それほど印刷そのものの機械は注意してみてなかったんですが、改めて本書を読むと、大変興味深いです。

技術は進んでも、やっぱり職人さんの技がモノをいう世界だったんだなあって思います。ただ、昨今の場合は、DTPが加速度的に進む中、依然とは確実に異なってきていることがひしひしと感じられます。

職人を育てる時間もなかれば、なかなかその技術を直接的に生かせるような現場でもないようです。良くも悪くもコンピュータ化が進みましたからねぇ〜。

いろんな印刷手法があり、それぞれの長所と短所が分かるのって今後も何かの役に立ちそう。そういえば、文字校(校正)、色校(校正)と段階を踏んでようやく色見(見本)で始めて、どんな感じに仕上がるのか分かるんですが、そこで責任者に駄目出しされて印刷屋さんが洒落にならなくなっていたのを思い出しました。

この本を読むと、その辺りの事が改めて分かりました。でも・・・、今はいきなり色見相当のものが出てきてたもんね。丁度、私もまさに現在の印刷技術の発展を経験したいたんですね。ふむふむ。

面白いのは確かに面白い本です。でも、やっぱり実物を見てないのでイラストと解説だけでは、実際の作業が分かりにくいというのが率直な感想。私以上に、知らない人だったら、もっと作業を想像するの難しいかもしれません。

本書を楽しめる読者層ってかなり狭いかもしれませんね。私もかろうじて、楽しめるかなあ〜?ってレベルでした。
【目次】
活版はまだまだ元気だった。
あこがれの活版職人になる。
手動写植機でツメ打ちに挑戦する。
最古の写真製版術が生きていた。
オフセットを徹底的に勉強する。(製版編、印刷編)
装幀に使われる特殊印刷に肉薄する。
グラビア印刷の規模の大きさに驚く。
オフセット印刷は進化している。
組版文化はどのように継承されたのか。
印刷に恋して(amazonリンク)

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タグ:印刷 書評
posted by alice−room at 19:20| 埼玉 ??| Comment(0) | TrackBack(0) | 【書評 本】