2013年09月14日

「バチカン奇跡調査官 黒の学院」藤木 稟 角川書店

緻密な論理の積み重ねと、独特な重厚で陰湿な雰囲気の漂う作風が特徴な藤木さんの作品です。

以前からも知っていて読んだことがあった気でいましたが、実は読んでなかったことに気づき、読んでみました。(ちょくちょく、かつて読んだことを忘れてしまい、同じ本を何度か購入してしまう私ですが、たぶん今回は初読だろうと・・・)

舞台はアメリカの田舎にあるカソリック系の寄宿学校。
(個人的にはヨーロッパの方がそそるものがあるのですが、そこはちょっと残念。まあ、最終的な部分にも絡むので致し方なしかと)

聖痕やら、処女懐胎等、奇跡の数々が起こるその場所へ、バチカンより奇跡の真偽を調査する調査官が派遣される。

そこで次々と生じる奇跡と殺人事件。

【以下、ネタバレ有り。未読者注意!!】







最終的な解決後の話としては、実は結構、使い古されたネタだったりする。
バチカンとナチス(ヒットラー含む)との危うい関係は、戦争中からも指摘されており、戦後でも何度も実際に話題に上がり、それこそ無数の小説でも出てくるしね。

私が知っているだけでも小説、漫画も含めて既に本書で4回目ぐらいにもなる。

その辺は今更感があるにしても、小説として上手に料理されていて、素直に読んでいて面白いです。
衝撃といえば、映画の「スティグマータ」の方がはるかに大きかったですが、小説の小道具として出てくる、地下室や古書等がたまらなくゾクゾクします♪

しっかりP2も出てくるし、バチカン銀行も大活躍。

ドラッグについて言えば、満州国の建国当初の国家予算の大部分を阿片の組織的販売でまかなっていたのは、今では有名ですし・・・。日本の731部隊ではないが、満州国の首都大連のあれだけ広大な土地を占めていた軍付属の医大の件もありますし・・・・。

ドイツも同様に、相当なことをやっていたのは有名ですもんね。
ドイツの高度な科学力の一方で、ナチスのオカルト好きも周知の通り、聖槍の話も聖遺物がヒトラーに語りかけてきた云々という話は読んだことがありますよね。

バルジファルまで出てくるわ、もう、おもいっきりそそりまくりの魅力的な材料をふんだんに撒き散らしつつ、それが論理破綻しないできちんと収束して結論にまでもっていく著者の力量は、相変わらず、さすがですねぇ~。

これはこれで十分に面白かったのですが、出来れば、怪しい古書達がもっと&もっと活躍してくれるといいなあ~。そんなことを考えてたら、ロンドンの古書店から、カタログが送られてきたのだけれど・・・。

うっ、本欲しい!本買いたい!
問題は読む時間だね。

マネロンの経験もできないようなつまらない職場は辞めて、朝から晩まで古書を眺めつつ、一切の生産的な活動とは無縁に、単に自己満足の為だけの読書やメモ作成とかして日々、過ごしたいなあ~。

フランス語とラテン語の勉強がしたい!!
まずは溜まってる英語の本でも読もうっと。

ベルギー旅行は中止になったので、個人的な奇跡の回復を願いつつ、本を読んで過ごすことにしましょう・
悪魔の書に頼ってもいいかもしれない。

そういやあ~本書内に「悪魔の書」ってあったけれど、いわゆるうちのブログでも扱ってた Devil's bible とは別物みたいですね。ちょっと残念でした。

むしろグノーシス系の福音書みたいでしたね。

そういう意味では、本書と併読してた「一四一七年、その一冊がすべてを変えた」の方が、まさに世界を変革する、という点では大きい影響力があったかも? しかも事実だし・・・・。

さて、そちらももう少しだし、今晩、読破することにしましょう。

バチカン奇跡調査官 黒の学院 (角川ホラー文庫)(amazonリンク)

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2013年09月05日

「ビブリア古書堂の事件手帖」三上 延 アスキーメディアワークス

biburiashoten.jpg

最近は少なくなってきた日常系のとりとめもない話を軽やかにまとめた推理物(もどき?)

いわゆる『本格』物ではありませんが、主人公が読書好きの人見知りするタイプの美女ってのは、まあお約束ですが、そのお約束を逸脱しないのが昨今では絶滅危惧種なだけに売れたのかもしれないですね。

実際、読後感は悪くないです。

ただ・・・本についても専門的な知識?とか言われて出てくるのは、お粗末とは言わないものの、まあ、及第点には達していないのかなあ~と感じてしまう。

その辺が読んでいて、かなり違和感というかひっかかりを覚えてしまうのが残念です。
もうちょい、本についての造詣の深い、博識で知的な女性だと魅力がもっと&もっと増すのですが、単なる本好きの初級者レベルだったりするのが、なんとも残念だったりする。

部屋に篭って本、読んでるだけでいい時代じゃないでしょ。
今、中世ヨーロッパのブックハンターの本も併読してるんだけれど、そちらと比べると大人と子供。
命賭けてるプロと幼稚園児ぐらいの差を感じてしまう・・・・。

対象読者者層が本当の本好きで本を読む人じゃないのだから、しかたないのでしょうが、なんとも残念な感じはぬぐえません。

本に命を賭けろとは言いませんが、家の床が抜けることを心配し、地震のたびに家潰れてないかな?
本の山、崩れてないかな?って心配は、当たり前過ぎるほど、当たり前だと思うのだけれど・・・・。

本書にはビブリオマニアも出てこなければ、書痴も出てきません。
平和な日常系・お茶の間系の小説だからこそ、まあ、売れたのでしょう。

あえて読むのをお薦めするほどではありませんが、読んでてつまらないほどでもありません。

北鎌倉にいい古書店がある、な~んて発想は、古書店をよく廻る人が思いつくわけないしね。
古書店は、地元に密着してるが故にその土地の住民の文化度レベルを如実に反映し、歴史と共に城下町等一定程度の人口がないといけないとかハードル高かったりする。

旅行ついでにあちこちの古書店巡りをする人なら、わかってもらえると思うだけれど、鎌倉は文人多くても微妙に違う土地だと思うんだよねぇ~。

生意気言っちゃうと、私自身でも主人公に勝てそうな気がしてならない(笑)。

ビブリア古書堂の事件手帖―栞子さんと奇妙な客人たち (メディアワークス文庫)(amazonリンク)
ラベル:書評 小説
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2013年06月09日

「書物法廷」赤城 毅 講談社

短編集です。

まあ、いつもながらの雰囲気は崩れていません。
一貫して、きちんとした性格付けの上で各話のストーリーが作られています。

暇つぶしにはいいんだけれど・・・何にも残らない感がある。
さらっと読めて、ちょっとふむっとなるけれど、それ以上の深みに至らないのは、読み手の私が知識が浅いからかもしれません。

アメリカの無人戦闘機が911以降の軍縮の影響下、軍主導ではなくCIAの下で企画・実施され、それがこともあろうにイランの電子戦部隊にハッキングされ、イランの空港に着陸させられたとか、スパイ小説以上に楽しいの現実がBBCなどでしきりに報道されていますからねぇ~。

そんな昨今では、『事実は小説よりも奇也』が現実の世界ですから、小説の方も大変なんだと思います。
独特の読後感はあるものの、もうちょい、物足りなさが残る巻でした。

書物法廷 (講談社文庫)(amazonリンク)
ラベル: 小説 書評
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「書物幻戯」赤城 毅 講談社

【ネタバレ有り、未読者注意】








全体として、いつもながらうまくプロットが作られており、登場人物のキャラもしっかりと固まり、それをきっちりと守りながら、上手に登場し、活躍させている。

読んでて楽しいエンターテイメントになっていると思います。
いつも通り、読んでて面白かったです。

でも、なんか最近、パターン化と平行して内容が少し浅い感じもしてきた感があるのも事実。
アレキサンドリア図書館に所蔵された本ならば、粘土板だとおもうんだけどなあ~。
それが写本になってた理由も書かれてったっけ? 小説内に。

時間が無くて1時間もかけずに読了しちゃったので、その辺、気づかないまま
ストーリーを追うのに夢中でしたが、粘土板だと燃えないしなあ~。
パピルスではなかったと思ったけど・・・・?既に記憶が怪しい?

なんか読んでて違和感があったので・・・。

まあ、テンプル騎士団の裁判記録が出てきたり、ユダの福音書が出てきたりするのが
実際の世界でも起こっている昨今、この小説のようなネタは可能性的に有り得るから
ねぇ~。

もっとも、今時ならwikileaksで代替されちゃってるし、よっぽどあちらの方が国際
政治への影響力大でしょうけどね。
そういうこと言っちゃ、駄目か。

読み物として面白かったです。
もっと深い知識なんかも出てくると更に楽しかったかも?次回以降に少し期待します。

書物幻戯 (講談社ノベルス)(amazonリンク)
ラベル:小説 書評 古書
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2013年01月12日

「最強彼女黒髪めがね」終 倉敷 スクウェア・エニックス

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うん!なんていうか、気の迷い?手が滑った?
そんな感じで手にして読んでしまった本。

ここ数十年の中で、一番稚拙な文章を読みました。

内容がどうこういうレベル以前に、申し訳ないが本として商業出版しちゃいけないレベル。
そりゃ、文字さえかければ、何でもいいことになってしまいます。

出版業界のレベル低下以前の編集者が既にアルバイトさんからもう一度、鍛え直して下さいませと懇願してなきたくなるほどの文章。

小学生の読書感想文並みかと。
一時はやった携帯小説の方が、水準ははるかに高いです。

とっても強い無敵の彼女。
身体も大きくて身長が高くて、眼鏡をかけている。
それが地球を狙う外敵と戦う。

で、何故かなんの取り得も無い普通の『僕』(という名前)の少年といちゃらぶするのですが、命名からして論外でしょ。『めがね』と『僕』って、なんつ~か、悪魔ちゃんより酷い。

まあ、内容はもうどうこういう以前だから、書きませんけどね。

でも、希望を強く持った。
文字さえかければ、小説家になれるというのは、事実なんだねぇ~。うんうん。

実は今まで、単なる「たとえ」だとずっと思っていたが、事実は小説より奇なり、つ~か、小説はマックで聞いた女子高生の会話よりも中身が無いので誰でも意思と運があれば、小説家さんになれるんだ。

タレント本は、タレントになる過程が大変ですが、そんな必要無いんですね。
そういう意味で、大きな衝撃でもありました。

作家目指そうっと!(笑)
会社で業務報告のメール書くよりも楽だし。
社内公募の文面考えるのよりも楽だ。(いきなり、応募は却下されたけど・・・・)

読んでる途中で駅に着いたので、読みかけのまま、燃えるゴミに捨てました。
2ちゃんねるを読んでた方が有用でしたので。

最強彼女黒髪めがね (ガンガンノベルズ)(amazonリンク)
ラベル:小説 書評
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2012年06月17日

アクセル・ワールド 1~11巻 川原礫 アスキーメディアワーク

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思いっきりアニメから入ったクチです。

ロボットアニメはそれほど好きじゃないので・・・・(エヴァとかパトレイバーとか過去は振り返らない)、アニメもしばらく放置していたのですが、黒雪姫のアバター(黒揚羽蝶)に惹かれてつい見てしまい、アニメを見るだけに留まらず、原作ラノベを全巻一気読みしてしまいました。

(仕事しろ、私。)

さて、アニメと同時進行レベルのクロム・ディザスター討伐までの話ですが、その頃までは、原作を読むことでアニメ化で省かれていた背景的な部分がよく分かりました。
原作の効用ですね。

と同時に、アニメで心憎いまでにくすぐる演出は、アニメ特有であることも分かりました。
(黒雪姫のツンデレではなく、デレデレ状態。ニコのあざといお兄ちゃん・・・等)

毎回最後の引きに至っては、次回を必ず見させる為ではあっても、文句無く、心に残ります。

まあ、その辺は映像としてはまる要素ではありますが、現実世界の閉塞感から、ニアリーイコールのもう一つの世界を求める、その心境は普遍的な人類の願いですね。

特に、現実の日本をオワコンと見なしたくないのに、見なしてしまいそうな、『経済大国日本』ってなにそれ?美味しいの? 状態ではねぇ~。今朝の日経にも中国政府系ファンドがトヨタの大株主になってるとか報道されてるしなあ~。

日本のこれからの世代が、はした金の子供手当てや教科書無償化の引き換えに、雇用や本当の教育機会を失っているのは、まともに考えれば、先が無いだけだからなあ~。

もっとも既に失われた20年と、10年一昔どころから二昔になり、かつての世界を席巻したサイバー・パンクの日本的ローカライズされた近未来なのかとこの小説・アニメ世界を誤解していました。私。

原作もアニメの最初も、SFの「ヴィーナス・シティ」の更なる、日本化(現地化)だと思っていました。

所謂、電脳世界を現実世界との重なりで、歪みであり、ストレスの解放区と位置づけるのは、定番ですが、ゲームとしての世界観に固定化するのは、新たな現代的な閉鎖主義の現われかと思ってたんだ。

就職場所を地元にする、買い物も地元のスーパーやデパート、卒業旅行も国内とか、どんだけ地元好き?つ~か、与えられた情報で外の世界を知っちゃった気ならまだしも、そもそも関心がないとか・・・。

窒息して、死にそうなぐらい息がつまりそうだけどね。
高校も大学も元からの友達がいないところだったし、転職を繰り返して根無し草の私が言うのもアレですが、絶望はあっても、空には無限の広がりがある、そういう観念的な表現好きだけどねぇ~。

白い鳩が一羽、天高く飛んでいき、それに憧れ、そこにある真なる自由(の世界)を求める、っていうのは、キリスト教的な神の至高の世界を求める象徴に、オーバーラップしちゃうんだけど、日本人はしないのかね?

だらだらと書き連ねてしまってますが、当初、この小説世界は、和製サイバー・パンクの再来だと思って、興味を持ちました。

でも、読んでいて感じた実感は、「少年ジャンプ」なんです。
みんなで集まって、協力し、助け合い、向上し合う事で何事かを成し遂げようとする、実にベタな日本的価値観の焼き直しが、装いを新たに、近未来ネットゲームという舞台設定の中で描かれています。

最大の禁忌、といいつつ、次から次へと「リアル割れ」していくのは、おいおい・・・でしょ。
もう一つの世界だけでなく、現実の世界と絡ませてしまったら、話の広がりが別な意味で狭くなるのに・・・・。

あっ、誤解して欲しくないのは、それが駄目って訳ではなくて、従来通り、読み手を捉え、ストーリー的に魅力もあり、キャラも立っていて面白いし、好きな作品ではあるんだけど、決してクリエイティブではない。

本質は、昔ながらの日本的価値観「和を以って尊しと為し」だったりする。
まあ、談合を壊そうとするのも、それを維持しようとするのもパラダイム的な視点から見たら、あまり差異を感じないっていうのが、率直な感想だったりする。

閉塞感を破る小説が、新たに従来ルール(既成の規制)の延長線上にあるのが残念です。

個人的にはこの作品世界、最初、すっごく衝撃を受けて、あの欧米で流行ったサイバー・パンクが攻殻機動隊ではなく、こういったゲーム世界という形でどう表現されるのか、大いに期待しまくってたので反動が出たりする。だって、世界観のブレイク・スルーではないんだもん! 

ただ、過剰な期待を取り除いてみれば、ロリとツンデレ(もどき)、お姉さまキャラもいるし、美形男子に、駄目駄目君ともうその手の人達御用達といわんばかりの品揃えだからなあ~。

そりゃ、人気出ると思う。
幼馴染もいるし、やおいでもいけるし、ハカセ君までいるんだから・・・(笑)。

ケーブル直結が、そういう関係を示すとか、ケーブルの長さが親密度を表すとか、ごめん、マジ、どうでも良かったりする。大人になると、みんな汚れちゃうから・・・・。
まあ、読んでる分には良く分かるし、楽しかったのも事実。

そういやあ~、いじめられっ子の学校でのマイ・スペース(退避場所)というのが、人ごとではなくて、共感してしまったりする。私が学生だった頃は、屋上に出れないように施錠してあって使う人のいない屋上への階段スペースとか、図書室の裏の書籍整理用スペースとかによくいたような・・・?

ん?いじめられてたことはあまりないけど、人と一緒にいるのが嫌で嫌でしょうがなかったもんなあ~。
そりゃ、協調性ないと書かれるわ。そんな奴に学級委員をやらせる連中も狂気の沙汰だと思ったけど。

さて、普通のラノベとしての感想は・・・・。

非常にまっすぐ且つ、前向きな話でいいと思います。
なにをやっても駄目なの少年が、美しいお姉さん(先輩)に導かれ、一つ一つ目標をクリアし、成長し、何者もマネできない自己を確立する、ってな感じのお話です。

しかし、リア充もここに極まれりって、感じなのがねぇ~。
主人公の少年を取り巻く老若女が全て、主人公に好意を持つってのもどんなハーレム・ワールドやねん!って。

私は贅沢は言わない、黒雪姫だけで十分なのだけれど・・・。
付録付きの雑誌でも買おうかな?

アクセル・ワールド(amazonリンク)
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2012年06月09日

「探偵・花咲太郎は閃かない」入間人間 アスキー・メディアワークス

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なんというか、所謂、探偵小説らしくないのが流行の時代の探偵小説、といえば、思い当たる方々がいらっしゃるかと・・・・。昨今、よくあるパターンの既成の概念の枠から、ちょっとずれた形で新規性を出した、別の意味でよくあるタイプの小説です。

昔だったら、『変格』探偵小説とかいう感じでしょうか?

推理をしない探偵さん。
まあ、それはそれでよくあるわけですが、この主人公の探偵さんもその手の方で頭を使った推理をせずに、まあ、行動することで自然と解決していくのをあるがまま受け入れる派だったりします。

最初はちょっと目新しさを感じますが、慣れてくると、正直、その感覚も薄れます。
あとは、今風のキャラ付けかな?

僕はロリンコンでそれを公然としつつ、少女と一緒に暮らしている、何気にリア充な奴だったりします。
たいそうな密室殺人等の事件を解決するよりも、身近な犬・猫の捜索の方が自分的には好ましいと思って仕事をしてしまう、まあ脱力系のムリしない派の探偵さんです。

どこぞでちまちました、本当の事務仕事なんかしてるよりもなんぼかマシですね。
ハンコ押しの仕事なんてやだ。毎日毎日、紙の枚数数えるような仕事が本当にこの社会にあるなんて、初めて知りましたよ。この歳になって・・・!
(ベンチャーのドタバタはあっても、遣り甲斐のないベンチャーは辛いなあ~。私事ですが・・・。)

さて、小説、小説。
変格・小説。

ロリコン探偵が少女と一緒に(別行動の方が多い?)、歩き回ると全て解決♪

その謎解きのスパイスに、これまた今風の若者的価値観を皮相的に利かせていますが、単に社会的な規範よりも(本当は有象無象の一存在であるところの)個人の価値観を優先させているだけであることを認識できない、『無知』による犯罪でしかなかったりする。

まあ、謎解きがメインではないし、ロリコンの若者の爛れた日常の描写、それこそが本書の主題なのだと思われます。

そして、それは十分に成功しているかと思う。つまり、読んでて悪くないです。
お薦めしませんが、暇なら読んでも良いでしょう。
みーまーと比較しなければ、いいだけの話です。

しかし、思うのだけれど、著者の作品の登場人物は、みんな同じなんだよね。
普通に、普通で、どこにでもいそうだけど(確かにいるのだけれど)、まあ、いなくてもいいし、いてもいい。

本人の存在も含めて、どうでもいい。その一言に尽きるか。
醒めた、というか昔の言葉なら、白けた、というか、緩い、つ~か、ぬるい、つ~か・・・。

居心地はいいのだろうけど、刺激には乏しいのかもしんない。
あ~中南米行きたいっす!
帰国したら、速攻で会社辞めちゃいそうで今は我慢しなければですが、最近、脳がとろけそうな私には危機感さえも薄れているのか・・・駄目駄目だね。

まあ、のんびりでも食べていけるなら、こういう探偵の仕事もありだし、羨ましいねぇ~。
飽きっぽい私には、半年ももたなそうですが・・・・。

ロリコンで幸せに生きられるなら、そういうのもヨシかと。
本書を読んで思ったのは、それだけでした。

探偵・花咲太郎は閃かない (メディアワークス文庫)(amazonリンク)
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2012年05月03日

「六百六十円の事情」入間人間 アスキーメディアワークス

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みーまーの著者さん且つ、電波女の著者さんが書かれた作品です。

何気ない日常の裏に潜む狂気(・・・うん、我ながら陳腐な表現だ)を、鮮やかに文章にされる方ですが、本書は従来作以上に、本当に普通。

これ以上ないぐらい普通の日常。
しかも、サザエさん並みというかそれ以上に、夏休みの絵日記に今日も暑かった!、とか日報に特に無し、と書くぐらい変化のない内容で、正直びっくりしました!

大昔の文豪さんのエッセイ以上に、何も無いです。空っぽです。
そしてこの平成のせちがらいご時勢にこの内容の本が出せるのは、出版社さんの英断か、売れてるから本さえ出せば、少しは買うだろうという取らぬ安易なマーケティング戦略の故か知りませんが・・・凄いことです。

ただ・・・この内容で2回目は無いだろうと思う。
読んでて、読み通すだけのモノはあるけど、決して読了して面白かったとか満足したとかいう実感はないです。また、もう1度この手の作品を読みたいかと言えば、絶対に『NO!』です。

別な意味で野心的な企画かもしれませんが、ニートや普通の人々のどうでも良い日常は、やっぱりどうでもいいです。 ヌルイ日常は、日々のヌルイ環境で飽き飽きしてますので・・・。

まあ、せっかくのGWにラノベ読んだり、溜まったアニメ見てる場合じゃないか?
行動しないといけませんね。反省。

とにかく、普通の人々のヌルイ日常を描いています。
660円はカツ丼のお値段。これを作ったり、食べたり、どうとかこうとか絡むお話なのですが・・・。
2ちゃんのチラ裏以下の内容ではあるかと・・・・。

つ~か、未だに2ちゃん見てる私が終わってるけどね(自爆)。
さて、部屋探しと何か勉強でもするか・・・・。

六百六十円の事情 (メディアワークス文庫)(amazonリンク)

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2012年04月15日

「展翅少女人形館」瑞智士記 早川書房

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【ネタばれ有り。未読者注意!】


まず、最近はあまり見なくなった擬古調の文体や単語の使い方に興味を惹かれました。
いささか耽美系のノリではありますが、そこまではいかず、良い意味で抑えた文体で淡々と散文調に語られるのは結構好きです。

野阿梓氏の作品を当初思い浮かべました。
最初、新鮮で且つ若干の違和感を覚えた文体も、いつのまにか慣れ、読んでいくうちに全く違和感がなくなり、しっくりと作品中に没頭していました。

設定は SF or ファンタジーではありますが、人が人形を産む奇怪な世界を確固としたその世界観の中で不自然さなく表現し、しっかりと作品世界を構築していています。

実際、ほとんど抵抗感なく作品世界に没入できます。
閉塞した限定的空間・限定した濃密な人間関係が心理描写巧みに描かれ、同時にその世界とのつながりも描き出せれます。

観念的というようも、情緒的ながら、物語のプロットは、相当作り込まれています。
作中の『今』を描きながら、作品世界での『過去』からの時系列的なつながりも重層的に織り交ぜ、歴史をうま~く作品世界に生かしています。

虚構を描きながらも、そこに断片的に語られる歴史には、実際のものを生かすことで細部のリアリティ感を増し、作品世界全体の完成度も高いものになっています。

人形を描いた作品は、いろいろありますが、本作品も十分に評価されて良い作品かと思います。
どうしても人形というと「ローゼン・メイデン」を思い浮かべますが、確かにその意味でのゴシック・ロリータでもあるものの、より厳しい感じの作品です。

では、以下ネタばれ有りで。

「思考は現実化する」ではないけれど、脳が強烈にイメージした結果が、実際に肉体に影響を及ぼす話はよくありますが、相手の思念とその受け手との共犯作業により、自らの肉体に物理的損壊を与え、結果として肉体全体を変容させ、生身の人が人形になる・・・・そんな発想は、なかなかSFとはいえ、難しいでしょう。

否、発想は簡単ですが、それをあえて小説でやるってのは、また別な想いが無いと難しいと思います。つ~か私だったら、常識的発想から逃れられず、陳腐に陥る恐れから、書けないだろうなあ~と思ってしまいます。

それを書き切る力量を著者はお持ちかと。
ミステリーよろしくその後もどんどん人がいなくなっていくし、暴かれた人の過去、暴かれた場所の過去、阿暴かれた人形の過去と実に興味深いです。

最初から、最後までしっかりと水準を落とさずに書き切る力も素晴らしいと思います。
まあ、人形好きにはありがちだけど・・・いささか通常人の感性的にはグロいところが出てきますけどね。
絶対的無機物が、人の姿をしているのだし、それを愛するというのは、自己投影、自己否定諸々、屈性せずにはいられないものがあるでしょうしね。

と幼少の頃、ずっと熊のぬいぐるみと一緒に過ごしてた私がいうのもなんですが・・・(苦笑)。

人をはりつけて飾る、人形を展示する、美しいものを愛でる感性と表現は、別にしてある程度、私的には受け入れられるものの、作中で違和感を感じた点もあり。

圧倒的な美と存在にひれ伏す、人形の僕と化す召使いですが・・・・
安易な今風の言葉遣いで、いっきに醒めてしまった点もありました。
「めすぶた」とかいう表現は、漫画の見過ぎかと?

一つ間違うと、うわべだけ耽美主義にはまって、それ系の書物を読んだ人が書いた作品かと思ってしまいます。正直いくらなんでも、この単語が出た時点でいっきに作品の水準が低下したと思いました。

とうか著者のお里が知れる・・・と申しましょうか?非常に残念感でいっぱいでした(涙)。

時々、疑問や不満に思う点はあるものの、別な作品も是非読んでみたいと思いました。
今はまだ期待しております。

そうそう、作品について。
いつしか人が生身の人ではなく、人形を生むようになってしまった近未来。
そんな時代に奇蹟として、生身の肉体を持って生まれた子供は、人類の将来を託す貴重な存在として、俗界から隔離されたピレネー山脈のとある修道院に集められ、保護されたいた。

そこにいるのは、3人の少女とそれを取り巻く修道女達。

閉ざされた世界で均衡しつつも物語は進行し、いつしか外部から混入した存在によってその均衡は崩される。
世界とその場所に関わる歴史が暴かれ、更に世界はその延長線上へと向かっていく。

以上。

展翅少女人形館 (ハヤカワ文庫JA)(amazonリンク)

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イノセンス(2004年)押井守監督
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物言わぬ美しき者達へ~人形愛~
「The legend of the Golem」Ivana Pecháčková
「ニンギョウがニンギョウ」西尾維新 講談社
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2012年03月14日

「トカゲの王 1」入間人間 アスキー・メディアワークス

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「嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん」で大いにはまり、アニメの「電波女と青春男」も良かったのに・・・何故、これは駄目かなあ~?

期待していたのに、かなり駄作の範疇かと思われ、ショックを受けたりもする。

著者の真骨頂は、突飛な状況や新鮮なシチュエーションにあるのではなく、極めて日常的な普段着の生活の中で、人間心理のギリギリのネジを取っ払っちゃったような、それでいて極めて繊細で微妙なバランス感覚のうえで、奇跡的な均衡を保っているような・・・その脆い危うさの心理描写こそが非凡だと思ってたんですがねぇ~。

無理して、設定が日常から離れた段階で、こうも容易くその他大勢の作品以下にレベルが落ちちゃうのは不思議でなりません。

どっかで持ち直すかと、延々と期待しながら読んでましたが、最後まで心に響くモノが無かったです。
つ~か、著者の描く中で一番、個人的には嫌いな肉体的損壊の描写だけが目に付き、美しくないのですよ・・・これがまた。

同じ苦しみでも「責苦の庭」のような恍惚とした肉体のギリギリ感もなく、安っぽいゲームの緊迫感でしかなく、心に突き刺さらないのですなあ~。

あえて例えると、安物B級映画のスプラッターレベルかと。はななだ残念!

若いうちには誰でもが抱く、僕は周りとは違う、特別なんだ。っていう中2病のような戯言に終始し、目の色が変わるだけの痛い少年が、更に何か間違ったもっと痛い目に合う。

他の友人は、うっかりそれで死んでしまったりするし・・・。裸見られても気にしないいいとこのお嬢様もいるものの、人として論外だし・・・。

それだけで終わってしまう。
作中で触れられてる、『禁書』の亜流のパロでしかなないような・・・。

登場人物が、何もかも、誰も彼も、残念過ぎて堪りません!つ~か痛々しい限り。
特別な能力者を描かせたら、やっぱり西尾氏の方が何倍も上手かと。

もっと著者の得意な分野で活躍して欲しかったのですが、舞台を間違えてしまった感じ。つ~か、編集者のミス・リードっぽい感じですね。

これでは、今までの入間氏の評価が下がりかねないような・・・?
ファンとしては、大変残念な作品でした。

トカゲの王 1 (電撃文庫 い 9-22)(amazonリンク)

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電波女と青春男 第1~12話
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2012年03月04日

「書物輪舞」赤城毅 講談社

稀覯本を探し出す世界一の「書物狩人」が主役のシリーズの一作です。

各話完結タイプなので、どこからでも読んでいけるのが有り難いかもしれません。
主役と言っても基本、表に出ず、最後に種明かし、というか謎の説明役として登場し、必要な説明だけすると消えていく・・・そんな流れなので読み易いです。

何冊かこのシリーズ読んでますが、現実の国際政治に絡めて、その裏話的なものと稀覯本(書籍)がうまく相互に関連してなかなかに興味深い物語となっています。

「ゴルゴ13」と同系列と言えば良いでしょうか?
あちらは国際政治に絡んでの暗殺・殺人が主題ですが、こちらは広い意味での紙が主題で共に『情報』こそがキーとなっています。

まあ、現実のウィキリークスとか見ると、物語以上に現実世界の方が戯画的ではありますけど・・・。

では内容についても少々。

満州国絡みの話は、定番中の定番ですね。
革命の露と消えたロシア皇帝一族の話。

夢野久作の短編にもありましたね。あちらは今回の仮説とは別な方を採用し、それはそれで面白かったですのが、こちらもいい感じです。

あと、切り裂きジャック。
同時平行で読んでいる小説「時の地図」がまさに、そのまんま切り裂きジャック出ていたので私個人の中でオーバーラップして読んでいました。

他の作品もそうですが、必要以上に過剰ではなく、抑えた表現で淡々と語る文体(スタイル)は、結構、好きですね。

主役がでしゃばることなく、むしろ傍観者に近い立ち位置というのがなかなか良いかと・・・。

今回は、客室付きの温泉に浸かった後でゴロゴロしながら、読書を楽しみました(笑顔)。
そういうのにも合う一冊です♪

書物輪舞 (講談社ノベルス)(amazonリンク)

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ラベル:書評 稀覯本 小説
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2012年01月18日

「小説 楊貴妃墓の謎」三吉不二夫 葦書房

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以前、日本に楊貴妃の墓があるという伝承を知り、興味を持っていた為、タイトルに惹かれて読んでみました。

歴史上の謎を専門家以外の素人が既存の枠に捉われない発想で謎を解明する、非常によくあるパターンものです。

もっともその謎解きが説得力のあるものならば、それはそれで面白いのですが・・・・?

本書は、非常によくあるように正真正銘の素人が適当に都合の良い部分だけをパズルのように当てはめて解釈し、その論理的な根拠が一切示されていない、典型例で終わってしまっています。

残念ながら、語るべき言葉がありません。

いや勿論、ストーリー上、もっともらしく説明はあるのですが、この説明で歴史的事実として受け入れられるのなら、世の歴史学者さん達は、どんなにか楽なことでしょう。ダ・ヴィンチ・コードや聖杯伝説、あまたのとんでも研究者さんと同列のレベルです。
(歴史的事実として認識する為の、共通のルールや手法に従っていない訳ですから)

もっとも、題名に小説とはっきり銘うっているだけ良心的なのかもしれません。あくまでも、そうだったら楽しいな♪的な物語として書かれているわけでしょうから。

ただ、それを加味しても個人的には、証拠を別にしても説得力のある面白い仮説とも思えませんでした。

本書で中心をなしているのは、古代史の空想的解釈であり、タイトルとしての楊貴妃の墓・・・等は、キャッチーな思わせぶりな単語に過ぎず、ほとんど本書の中心には関係ありません。

最後にとってつけたような「楊貴妃の墓」の説明は、もうどうでもいい扱いで、そこに関心を持ったいた私的には、更に残念さが増す作品でした。だって、内容がないんだもん・・・読了しちゃったけど・・・さ。

少なくとも、もう少し「楊貴妃」自体についても説明しないと、物語としても成り立たないでしょう。小説としての面白さも感じられません。

読むだけ時間の無駄かと思います。以前、読んだ楊貴妃の本の方がはるかに面白くて勉強になりました。これは駄目。

粗筋。

探偵事務所に持ち込まれた依頼。
素人で歴史に関心を持っていた人物が亡くなり、「楊貴妃の謎を突き止めた」というメモが残っていた。身内の者達は、その人物が最後に関心を持っていたことを知りたいと思い、調査を依頼する。

調査の仮定で、古代史に秘められた謎が次々と解明されていく・・・・。

まあ、そんなことあったら、何の苦労もないのですけれどね。

シュリーマンやシャンポリオンとかと自らを同一視するってのは、悪くはないですが、それだけの努力や情熱を傾けているの?ってのが素朴な疑問だったりもする。

以上。

小説 楊貴妃墓の謎(amazonリンク)

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「楊貴妃」村山吉広 中央公論社
「楊貴妃後伝」渡辺龍策 秀英書房(1980年)
ラベル:書評 小説 歴史
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2011年09月13日

「神様のパズル」機本伸司 角川春樹事務所

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飛び級で大学に入学した超・天才少女が宇宙生成の謎を解き明かす・・・っていう、もうどこでもアリアリの設定は別にいいのですが、このラノベのウリが分かりません。

ワトソン役よろしく落ちこぼれっぽい理系の学生は、難しい説明の理解の助けになりません。

ていうか、既存の物理学を前提にしたうえでの話なので、知らない私には、全然理解できません。更に、例えが本質部分を捉えているようにも思えません。

そんなのよりも、前提条件をモデルにして普通に数式で説明してくれたほうが理解できるかと。

本当にロジカルであるならば、例えであっても論理的に繋がっていき、その方向性の正しさと帰結について、ある程度納得がいってしかるべきだと思うのですが、読んでいて、全然それを実感できません。

理系の学部生レベルの数学ならば、理解できるはずなんだけどなあ~。一応、私でも。

そもそも本書の主題が読了後も理解できないんだけど・・・・???

主人公の少女も可愛くないし、どこが頭いいのか分からないし、変な人間的心の交流、つ~か人間性の成長的な辟易するものが混ぜられてしまい、ますます本題から外れていく~。要らないでしょ、この手の本に。

その辺の情緒の取り扱い関係は、2流以下なのは確実だし、本書を読む意味を全く見出せません!
期待してたのに・・・・。

つ~か、もっときちんと仮定部分からしっかり説明して、完全に小説内でのアドホックなものでもかまわないので(前提に条件設定すりゃ、何でもその上で理論構築なんてできるじゃん)、ロジカルに納得のいくだけのモデルでも出しゃいいのに、すっごいストレスが溜ったりする。

どうせ虚構のモデルなのに、中途半端な現実の前提知識を説明のほとんどないままでそのうえに重ねられても・・・・予備知識ない読者には楽しめません。

論理的な整合性や美しさなら、哲学や神学の方がはるかに美しいのでは?って思ってしまう。
少なくとも本書には、論理的な面白さの片鱗も感じられません。

こんなのよりは、「中世思想原典集成」のシリーズでも読んでた方がはるかにロジカルで美しく、感動できますよ。保証します。

内容がないなら、ロリコンが喜ぶぐらい少女のキャラ立てて欲しいもんです。プンプン!

神様のパズル (ハルキ文庫)(amazonリンク)
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2011年09月08日

「水妖日にご用心」田中芳樹 祥伝社

個人的には、ずいぶん久しぶりに読んだなあ~と思う、お涼様(薬師寺涼子)のお話です。

いにしえの魔物が現代に現れるという舞台仕立てと、世界征服をたくらむ脚線美の美女、もとい、大金持ちで美美貌の才媛で警察キャリアのお涼様とその手下達のドタバタ騒ぎ。

否、官僚組織への徹底したコンプレックスの裏返し的痛烈な批判がウリ(?)の人気ラノベのシリーズです。

今回はディズニーランドを架空の施設名に置き換えて、ドタバタ騒ぎと相成ります。まあ、ここしばらくは人間関係の面白さで引っ張ってきてるので、それ以外の要素は希薄になりつつありますね。

実際、読んでるとあっという間に読了してしまうのですが、読後の満足感は物足りないかな?

いい意味で謎や薀蓄めいた話も楽しみだったのですが、その辺はほとんどスルーでドタバタ活劇がメインです。シリーズで読んでいる人向けですね。新たに読むなら、お薦めはしないでしょう。

勿論、面白かったので私的にはOKでした。水妖日にご用心―薬師寺涼子の怪奇事件簿 (ノン・ノベル)(amazonリンク)

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2011年09月03日

「坊っちゃん」夏目漱石

実は、今日の昼のフライトで道後温泉に行く予定だったんですけど・・・・。

その準備も兼ねて、青空文庫で再読してました。
子供の頃に読んだけど、全然覚えてなくて・・・。

ちなみに、ANAの12:00のフライトは、今回の大型台風12号の影響で欠航に
なりました。ちぇっ、四国って初めて行く予定だったのに。
普段の行いに問題があったのでしょうか???

さて、感想から。
う~ん、正直あまり面白いとは思わない。読み易いけど、何も心に響くものが無かった。

子供時代も単なる悪ガキでしかないし、つ~か、かなり周囲にとって迷惑なタイプ。
一人で何してもいいけど、私にだけは迷惑かけるなよ!って、言いたくなるタイプかな?

地方に教師として赴任し、まあ、狭い田舎で小さな事をゴチャゴチャ言われるのは、別に四国の一地方都市だからって訳ではないでしょう。日本なんて、どこに行ってもそんなものだしね。

一番最初の就職の赴任先もそうだったし、大学とかも小さい世界で変わらんからね。

本社採用と地元採用の間でいがみ合いしてたようだし。仕事を教えないのに、やれとかどうしょうも無かったと聞いたね、同期から。

大学院も小さな世界で、身内からの批判合戦&男女関係がグチャグチャしてうざいったら、ありゃしない。そんな暇あるなら、図書館籠もって、朝から晩まで論文読んでろって!

もっとも私が今、現在住んでるとこなんて、まさに都市以下の小さな小さな田舎だもの。
それよりも酷いかもしれない?

本書の主人公のように、ちまちま小さな世界で、根回ししてへつらって生きていくのは嫌だと誰もが思うし、馬鹿正直に自分の素直な気持ちのままで、人生を貫き通したいと誰でもが思う。

だから、周囲を否定して、なんなら自分の小さな正義感とやらを、ちっぽけな暴力でうっぷんを晴らした後、正当化できれば、更に言う事無し。っていうストーリーなんだけど、この小説。

まあ、時代的なものとか考慮すると、解釈なんていくらでも出来るけど、大衆のストレス解消で共感を呼んだ程度のものかと。

個人的にはこれ読んでも何も無いです。
この手のが周りにいたら、正直なのはいいけど、やるべきことあるでしょ。さっさと努力してやれるようになってね。とか言いたいですけどね。

粗筋。
腕白者が食っていく為に、学校出て教員資格を取った後、道後温泉のある愛媛県に教師として赴任する。
そこで、よそ者として田舎らしい対応をされたり、小市民的な派閥勢力争いに巻き込まれ、最後に喧嘩をして東京に戻ってくる。そんなお話。

まあ、道後温泉で「泳ぐな」と言われる湯壷で泳いで、お団子食べてみたいとは、確かに思うかもしれない。それ以上は、特に本書に価値を見出せないなあ~。

小説としては、つまらなかったです。

でも、道後温泉には行ってみたかった。11月ぐらいに再度行くかな?

坊っちゃん (新潮文庫)(amazonリンク)
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2011年02月13日

「バレンタイン上等」三浦勇雄 メディアファクトリー

まあ、今更この手のイベント物に興味のあるお年頃でもないのだけれど、たまたま手に取ったついでに読んでみた。

シリーズ中の二作目。一作目を読んでないまま読み始めたが、途中で経緯の説明もあり、一話完結式なので問題なし。

お金持ちだけど素性を隠して普通の学校に通う女の子と、完全に庶民の男の子の学園恋愛物。
そこに異世界人の介入とやらがあるのは、まあラノベの典型ですね。

悪くはないけど、あえて読むだけの面白さはないね。凡百の他の作品に埋もれてしまうことでしょう。

ストーリーは、学校内イベントとして、何故かお嬢様学校の女生徒達とバレンタイン企画で盛り上がる中、それがいつのまにか爆弾解体事件になっている、というまあ、なんつ~かそういう展開。

どうせ誰も読まないという前提でネタバレすると・・・。




異世界に報道されるドッキリ企画番組というしょーもないオチなのですが・・・。まあ、平和だねっと。

今時、こんなに重くないストーリーも珍しいか、逆に。最近、アニメとかも鬱展開が異様に多いからなあ~。お薦めはしないけど、健全な部類かもしんない。

バレンタイン上等。 (MF文庫J)(amazonリンク)
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2010年10月24日

「電波的な彼女」片山憲太郎 集英社

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う~ん、「み~ま~」の入間人間の作品タイトルと被ってしまい、お金払う時に気付いたものの、まあいいやって感じでそのまま購入して読んだものです。ひ、ひどい?

昨今、ありがちないかにもラノベ風のミステリもどきで、タイトル通り、頭のネジが飛んだ系の人のお話ではあるのですが・・・。最後まできっちりとお話の筋は通っており、読み通させるだけのモノはありますが、登場人物が嫌いです。つっか大嫌いです。

一見不良だけど、内面はそうでもなくて、むしろイイ奴っぽい主人公設定ですが、かなりクズじゃないのかな?

好きじゃないから、やってないと言いつつ、平気で薬をやったことがある前提で(しかもそれが普通となっている時点でクズ野郎でしょ)話を進めるし、ストーカー的に付きまとう女性をうざいから、不良連中使って乱暴させようとしたり(いくら途中で反省して助けてもね)、この主人公って大嫌いですね。

勿論、こんなお子様レベルでない、もっとひどい小説もたくさん読んでいるし、実際のニュース記事(特に海外のものとか)では、人としての枠を外れてしまったような内容の犯罪や事実もあるのは分かっていますが、この小説の中の中途半端なゆとり感が耐えられほど嫌だ。

親の暴力と粗雑な愛情表現を混同している、否、わざと誤解させようと狙い過ぎの文章表現に吐き気がします。つ~か、家庭崩壊しているのに、なんの苦労もなく一人暮らしできているっていう設定時点で、まさに今時っぽいのかもしれませんが、大概、そんな家貧乏だと思うよ。

なんだかなあ~、一度日本を出て、本当に死ぬような目に遭ったことがないと分かんないじゃない?

読んでいる間、ずっとイライラしてました。読むの止めようと思ったのに、読み通させるのは著者の狙いなら、それはそれで凄いと思います。嫌いだけどね。

で、ラスト。
電波系といいつつ、単なる現実逃避の厨房(同等思考水準)ということで終りって、どこが電波なんだろう? 純粋・電波系のまーちゃんの足元にも及ばないし、こちらの犯人は死刑にしておk(OK)?ってな感じ。全然心理的なサスペンスでもなんでもねぇ~って。

日常の中の日常。中学生日記レベル。

一瞬でもみーくん、まーちゃんを期待して裏切られたぜぃ!
まあ、あのレベルの小説が巷に溢れかえったら、日本を早く出た方がいいかと真剣に考えちゃうけどね。

本書は読んでも特に感慨残りません。不快感は少し残るけどね。明日になれば、もう忘れちゃうレベル。不快感だけで無害だから、まあ、今時の落ちる覚悟もない人には、いいんでしょうね。

良い国ですニッポンは。

そうそう、ちょっとだけ粗筋を。
貴方の従者です。何でも従いますと、急に現れた女子高生。元金髪の不良もどき。二人が繰り広げる、ちょっとおかしなファンタジーアドベンチャー?みたいなもんです。たぶん?

電波的な彼女 (電波的な彼女シリーズ) (集英社スーパーダッシュ文庫)(amazonリンク)
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2010年10月04日

「名人地獄」国枝史郎

青空文庫にあるものをiPhoneで読みました。

国枝史郎の小説は、どれもほとんどハズレがなく、面白いものが多いのですが、この作品もエンターテイメントとして非常に素晴らしい出来だと思います。

久しぶりに読み物で十分に楽しませてもらった感じがします(笑顔)。

本作品は、おどろおどろしい怪奇風味はなく、むしろ徹底してエンターテイメントに徹しているのですが、プロットが実にしっかりしていて骨太であり、同時に何事につけても『名人』(『職人』とかに通じる道を究めたその筋の専門家って感じでしょうか?)の持つ滲み出てくるような渋さ、かっこ良さが巧みな筆さばきで描かれていて、それがまた格別の味わいになっています。

どんなものであれ、いっぱしの専門家なら、かくあるべし、と思わずにはいられないような実に&実に魅力的な人物達が描かれています。

それだけではなく、この著者がしばしば好む異郷への憧れ、といったものが混沌、且つ豪華絢爛に描かれ、現実逃避しちゃいたい私には、大変そそられます。

体裁としては、江戸時代の時代劇のような小説ですが、どうしてどうして、今、書店の店頭に平積みされている新しい小説で、本作を上回るものがあるか? 私には甚だ疑問に思えてなりません。

つ~か、この作品よりも面白い小説を最近、見つけられないような気がしてなりません。

無料ですし、まずは食わず嫌いではなく、ちょっと読んでみることを強くお薦めします。やっぱり楽しめる小説ってのは、いいもんですね♪

そうそう、一応ちょっとだけ筋を。

江戸の凄腕与力として名をとどろかせた、かつての名与力が現在は楽隠居となりながら、ひょうなことから、謎の事件に巻き込まれます。信州でその追分絶賛された馬子や、何をやっても完璧に出来てしまい、人生に退屈した梨園の御曹司。剣技を究めた道場主に、賭場の喧嘩で身につけた超一流博徒。

一癖も二癖もある連中が、複雑に絡み合いつつ、時間を、場所を超えて関係して物語を作っていきます。

基本たる捕物のストーリーも面白いのですが、それを支える個々人のエピソードがまた、人を強烈に惹きつけます。

是非、一読あれ!

娘煙術師・名人地獄 (1970年) (日本伝奇大ロマン・シリーズ)(amazonリンク)
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2010年09月20日

「女流成年漫画家の妖しい生活」御童魁 プラザ

まあ、いわよる読むエロ本みたいなもんです。官能小説ってノリでもないです。

こんなのあるんだ~という設定の特異性に惹かれて、読んじゃいました(読むなよ~笑)。

まあ、内容はタイトルの通りです。大学に行く為という建前で、親元離れて都会に出てきたオタクの女の子がそこでかつてよりの念願だったやおい本の作家になっている。そしてそこへ同居することになった健全な弟が遭遇するハチャメチャの状況。

本書出たのが2000年とは言え、まあ、需要があったんでしょうね。続編も出ているようだし。

実際のところ、身内関係のはさすがに無いとしても、同人作家の常軌を失した生活ネタは、もはや知れ渡ってますし、昔の職場に同人書いてる女性いたからなあ~。周囲には当然隠してましたけど、デートの時にそれ聞いた時は、正直ちょっとショックでしたわ(笑)。

なんかも~脱力感が・・・・。

その後、いろいろあったりしたので免疫ついたのかの抵抗力できちゃって、普通にさらっと流せるようになってしまった自分が怖い。スレちゃったのねぇ~私も(苦笑)。

まあ、よくある話です。ネタに困って、ネタ探しの為にやっちゃうとか、それ系のオフ会とかでドロドロになるのは、散々見てきましたから・・・・(遠い目)。

基本、その路線の実際にも近いようなことがよくあるストーリーです。だから、デジャビュがあって一部の人には受けるのかな? まあ、パンピー向きではないですけど。何よりもAMAZONにレビューがあるのに驚いた。書く人いるんだね。奇特な人が私も含めて(笑)。

そうそう、ショタはないです。萌えもないなあ~。ツンデレもないし。何があるんだろ???コミケぐらい?

女流成年漫画家の妖しい生活(amazonリンク)
ラベル:小説 書評
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2010年09月08日

「身毒丸」折口 信夫 中央公論新社

青空文庫で見つけて読んだもの。

元々、蜷川さんの舞台で観たことがあり、非常に良かったので今でも強烈に印象に残っており、それをイメージして読むと・・・正直つまらない。

というか、途中まで気になるのだけれど、最後がよく分からないまま、ふと終わっているような感じがしてならない。端的に言うと、読まなきゃ良かった。それで終りです。

余談ですが、wikiで「身毒丸」読んでみると、初演は寺山修司なんだ。で、天井桟敷にJ.A.シーザーとは・・・。

う~ん、私、狭い範囲内の趣味で舞台観ているような気がします。先月もJ.A.シーザーの絡んだ舞台の案内ハガキ届いてたしなあ~。まあ、いっか、また舞台行こうっと。

死者の書・身毒丸 (中公文庫)(amazonリンク)
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2010年06月20日

「嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん9」入間人間 アスキーメディアワークス

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ん~、前巻からの流れが分かりません。前巻の内容を覚えていない私の記憶力の拙さをさっぴいても、不明。

時間的なものは、一応、ぼんやりと分かるのだけどれど・・・・。

ちなみに、この巻でもお話は続きで未完のまま、続巻へ引き継がれます。

まあ、その辺はいいんだけどね。別にどうでも・・・。

今回は、みーくんが主演です。みーくん、張り切ってます。

即ち、いつも以上にボロボロです。
つ~か、肉体的にはまあ、いつのもの方が酷いかもしれませんが、既に言葉というか文章までもが、ついにあちら(『電波』)の世界に行っちゃった感があります。有り過ぎです。

言語崩壊を開始しちゃって、従来に輪をかけて、コミュニーケーションとしての道具としての役割を放棄しちゃった・・・ような?!

ん!でも、それでもかろうじて、それらしいものが分かる(ような気がする)のが凄いよね。読者に、それを感じさせられる(錯覚?)と認識させているのが奇蹟に近くなっている。

編集さん、凄いなあ~。
これ認めて印刷GO出しているのは、蛮勇? 業務怠慢? 
校正できないだろうなあ~、つ~か、絶対にしたくないし、コレ。

これiPADで読んだら、文字化けだと思うよね。unicode使えよっとか出版社にクレーム出すかも?

登場人物が次々死ぬ小説は、銀英伝が有名ですが、死に大義名分とは言わないまでも、理由があるからなあ~。同じ小説でも、こちらは、なんつ~か犬死とでも申しましょうか? 

存在自体が軽いのですよ。

それでいて、一番軽薄そうな、そうじゃなきゃ存在自体が抹消されそうなみーくんが一番深刻っぽかったりするのは、なんだろうねぇ~。

まあ、私も10代の頃は、人生に生きるだけの価値は無いと確信していたし、人そのものにも無価値しか見出せず、自分も夭折すると絶対信じていたし。

せいぜいこのゲームが終わるまでにやれるだけの事して、さっさと終りにしようと思っていたが、まあ、今は、生きるだけの自分なりの理由が見つかったからね。それがある限りは、生きるだけですが・・・。

そんな理由は、まさに人それぞれで他人にとってはたいしたことなかったりするもんです。逆に、そんな理由も無しに、生きてるなら、さっさと死んでも良いかと心の底から思っていたりするのも事実。

ロジカルな思考は、方法論としては有用でも根源的な生きる価値には繋がらないからね。むしろ、誰でも考えられるレベルというのが合理的思考程度でしかなく、そんなものは、何も生み出さないでしょう。

情熱は、合理的な対象の枠自体を広げることで、モノを生み出す力を有するけど、そこには狂気、あるいは狂信的な執着という『感情』が必要だったりもする。

みーくんのまーちゃんを求める気持ちってば、まさに狂気の感情な訳で、恋日センセーのみーくん好きも似たようなものだったりする(?)のかね。

どうしても、このシリーズを読むと心の底に澱として沈められてきた『想い』が浮かび上がったりする。困ったものだ!

しっかし、毎回思うし、今回なども特に思うが、この本売れているのだろうか? 誰が買って読んでる? 疑問だ。

DVとか世間で騒がれていようと、そういう傍目からみたら、クズとしか思えないような関係に依存する事でしか、存在できない人達も確かに存在するのも事実。

それが社会の場合もあれば、会社などの社畜の場合などもある。

学校の場合なら、自分よりも無能で何もできない先輩に従わざるを得ない部活の上下関係や、教師・生徒の関係ってのもある。

でも、それにしがみつく事で存在できている人がいるのも事実だったりする。ふと、そんなことを思い浮かべた。

帰属意識の極端に薄い私は、部がつぶれても感慨無かったし、学校や会社を離れてもなんとも思わないできたが、まあ、今はちょっとしがらみあって死ねないか。

ふと思ったりするのだけど、著者が、この内容をいつも考えているのだったら、いつ自殺とかしても不思議でないような気がしてしまう・・・。あくまでも、作品と自己を同一化しない割り切れる人であることを願います。

そうそう、けいおんのような「ニートでいいやっ!」っていうのもあれば、この作品のようなニート(もどき)もあるんだなあ~。
(恋日先生は、ニートまっしぐらなようですが・・・・。)

しかし、唯ちゃんはまーちゃんになり得ないし。
さわちゃんは、なれるかもしんない? 自分を偽るのが天性だから、みーくん似かな?

あっ、忘れてたゆずゆずのHAPPY展開は、楽しめたのですが、あのオチは・・・・。まあ、禁じ手の無い作品ですからね。

個人的には、本書も当然禁書扱いでOK。
だと思うんですけどねぇ~。どろどろの情緒性満載の日本的作品ですが、大陸的には理解されないだろうなあ~。
(翻訳されて海外で売られていることには、当然目をつむる)

病んでる時に読むと、心が共振しそうで怖い。
基本、その場その場で自分の想定する役柄を演じている自称役者気取りとしては、仮面を外さないように気をつけねば!
(by ガラスの仮面)
バサ姐の仮面を外した猫ちゃんのようになれなしし。

さて、続編の完結はいつだろうねぇ~。

嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん〈9〉始まりの未来は終わり (電撃文庫)(amazonリンク)

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2010年05月31日

「フロイト城幻夢譚」奥田誠治、裕木陽 勁文社

まだラノベとかいう言葉がなかった頃(?)の作品。

一部でかなりのファンがついたものの、製作会社がつぶれ、次々に流れてそれでも一連の映像作品が作られていたので有名な、アレ。オレンジハウスとかなんとかだったかな?そこの「ドリームハンター麗夢」って奴のノベライズです。

(後書きを読む限りでは、映像化企画が流れて小説にしたらしく、今風のメディアミックスでおいしく稼ごうじゃなくて、とりあえず、少しでも現金化しようということらしい)

そういうのはおいといて。ご丁寧に何故かLDとかで作品持っている少数派ファンの生き残りの私。相当苦労して探した覚えが・・・・。

一番低予算、且つしょぼい一作目が何故か一番良かったのも、この手のものにはありがちな・・・。

私の昔の記憶では、ここと「仔猫ちゃんのいる店」が同等に位置付けられていたような・・・。

どっちも18禁で、探した時にはメーカー潰れてて苦労したなあ~(苦笑)。

まあ、そういう思い出でもなければ、本書は一切、読むだけの価値はないです。在庫があるところなら、100円以下で売っている本ですね。間違ってもアマで価値の分からないまま値付けされたぼったくり価格で買う価値はありません。

正直、あの映像の脚本家が書いてもこれかあ~と残念感が漂います。しょせんはB級なのネ。と言ってもB級大好きな人なんですけど・・・私。

さて、内容紹介。
大変、なつい!死神博士がヨーロッパではメフィストフェレスとして出てきます。意味もなく、円光や榊警部も。

モンスター&夢がテーマなんですが、すみません、あまりにもくさくって虫唾が走りそうになりました。時代感覚が・・・明るい農村の高度経済成長期? 

ベタでいいのですが、安易なベタは感心できません。素人が異なる分野に手を出して、多才とかいう内輪受けは勘弁! 痛くて&痛くて、後書きが苦し過ぎです。

時代は、過ぎ去るものであることを痛感させられました。

フランケンシュタインっていう手垢のついた素材を、再料理するだけの手腕が著者にあるわけもなく、ただ、なぞっているだけで、そこに夢を追加すりゃ、全て『麗夢』と言えば、そうなんですけど・・・。

なんか泣けてきます。往年のファンにはお薦めしません!

関係ないけど、こないだ某所から「仔猫ちゃんのいる店」GETしました。あるんだね、こんな旧作。

フィルムブックを持っている私って・・・? 青春の1頁って奴?(笑)

フロイト城幻夢譚―ドリームハンター麗夢 (ケイブンシャノベルス)(amazonリンク)

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「夢サーカス美少女地獄篇」奥田 誠治 徳間コミュニケーションズ
前書いたものを見つけたら、以前とほとんど同じ事書いてる! はあ~成長してないわ。
ラベル:書評 小説
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2010年04月11日

「ドグラ・マグラ」夢野久作 社会思想社

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実は今回読んだのは、iPhoneの豊平文庫で青空文庫にあったものを読みました。本としては、このインパクトのある表紙の現代教養文庫と沖積社の復刻版持っていて、それぞれでも読んでるし、三一書房かな? あそこのシリーズも部屋のどこかに転がっているはず・・・。

都合5、6回目ぐらい読了しているでしょうか?

最初に読んだ時の衝撃(3日間部屋に閉じ籠り、読みまくってました)はもう薄らいでいますが、何度読んでも心というか頭に、何がしかの謎を・・・、不思議な感覚を抱かせます。

しばしば言われるような、『奇書』という感じはない。逆に読めば読むほど、その論理的で巧妙なプロットに驚嘆させられる自分がいます。

ただ、誤解を恐れずに言えば、巷に氾濫するようなあざとい技巧的な類いのものではありません。

むしろ、芥川の「藪の中」のように、同一の現象・事実も個々に異なる『人』という媒体を介して把握・認識される際、その『人』に由来する独自の解釈があり、その個々に異なる解釈を通してしか、その現象を知り得ない以上、見方次第でどうにでも取れるのはごく自然なことです。

本書の素晴らしさは、その当たり前のことを最大限活用し、日常の生活で『事実』は揺るがない、などと誤解している人にその誤りを否が応でも納得させうる説得力を有するのが非凡なのだと思います。

日常の常識等が、あっというまに音を立てて崩れていく、その過程で普段、それを認識していない人には、自己の拠って立つ基盤の脆弱性の怖さに気づき、う~んとうなって倒れてしまう。・・・そ~んな感じのように思われます。

たぶん、ちゃんと本書を何度か読み返している人なら、同意してくれるような気がします。

途中でやめた、1回しか読んでない、等々。
たぶん、上記のことを気づいていないかもしれないです。

勿論、そんな感想なんかよりも、読んでいてこのゾクゾクする感覚は、久しく他の小説では味わえないからなあ~。この「エロ・グロ・ナンセンス」というなんともいえない俗っぽさやチョンガレ節等々。

個々の人々の真摯な生き方と相俟って、なんとも言えない対照性が際立つうえに、人間の屈折した心理をえぐるように、明快に分析し、秩序立てて説明していくその過程がまたたまりません!

電車内で読んでいて、読むのを途中で止めるのが惜しくて、会社を休もうと思ったことも多々ありました(笑顔)。

それに歴史怪奇趣味などもこれでもか&これでもか、とまぶされていて、劇中劇とかそ~んな簡単なレベルではありません。本書の中に、ありとあらゆる読み物が混沌として入り混じり、それがよくよく考えてみると、全部が全部、伏線であり、本編であり、個々に完結していたりする。

個々の内容が相互に作用して、益々、作品全体の深みを増していくその有り様は、確かに類をみないと思います。

でも、読者を選ぶのも確かでしょう。

それなりに頭の訓練(本質的な意味で考えて生きている人)をしている人でないと、辛いと思います。常識で判断せず、常に自分の中での価値尺度に基づいて行動を決めている人、いける人なら、OKかと♪

映画も観る人によって、だいぶ評価が異なるようですが、映画で衝撃を受けて、本書を読み、更にしばし茫然自失に陥りそうになった私としては、本も是非、読んで欲しいですね。

年齢は問いませんが、精神年齢は問われるかもしれない作品かと思います。小説としては間違いなく、日本で最高だと私は信じています。外国の作品で私が読んだ中のものと限定するなら、世界で一番の推理小説でしょう!!

うん、数年に一度は思い出したように読んでしまう作品です。何度読んでも素晴らしいと思える作品ですね♪

ドグラ・マグラ (現代教養文庫 884 夢野久作傑作選 4)(amazonリンク)

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ラベル:推理小説 書評
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2010年03月24日

「嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん8」入間人間 アスキーメディアワークス

miimaa8.jpg

うん、最初と最後、あと途中で本当に脇役としてしか、みーくんとまーちゃん出てきません。

今回の作品だけ読むと主人公どこのどいつ?と思ったりする。

まあ、スパイダーマンよろしくおっさんか、猫かぶりの女子大生か、自殺志願者の流されていく胸のなだらかな女性か、はてさて、ロリコンの探偵か・・・よー訳分からん? マジ?

でもね、表面的にはきわめて普通だったりする。一見すると、みんな一般ピーポーに混ざって演じちゃっていたりする。まるで誰かさんみたい・・・?

でもって、みーまー(と世間ではいうラシイ?)の世界では出てこない、ニアリー著者作品でリンクする登場人物だったりする。病院のお姉さんの関係者だったり・・・。

やらせかお約束か知らんけど、な~んか狭い世界。

もっとも、著者の作品って、最初から最後までコップの中で完結するお話だったりする。自家中毒死するタイプ。

あ~イヤダ&イヤダと言いつつ、近親憎悪しているような自分に気づかされてしまう。従来のこのシリーズ作品をイメージしていると、かなり辛いかもしれない。

なんか酷評とかされてそう・・・。

でも、私はこういうのもスキ・・つ~か、なんか惹かれてしまうものがあったりする。本当に下手すると、普通のありがちな小説になっちゃいそうなギリギリのところで、やっぱり非凡なのですよ、作者様!

かろうじて意味がつながる日本語の羅列なんだけど・・・いろんな意味でなんかかみ合っていない、英語やフランス語よりも意味通じないような気がしてならない。

そんなぞわっとするような、感覚。分かる?

真面目な話、日本語の新しい可能性を見たような気がします。申し訳ないけど、短歌とか詩の批評でよく聞くような新しい感性、日本語感覚の鋭さ、まさにこの作品だと思うんだけどなあ~。

どうやっても私には書けない文章だし、マネしようたって、マネできないスタイル(文体)を感じてしまい、読んでいて劣等感に苛まれます。

あの文章で意味が伝わる(勝手な読者の思い込み?)、紙一重の芸当は、私にはできない・・・・。

そうだなあ~以前、別な意味で衝撃を受けた「PINK」とかと同程度の破壊力あるなあ~。

少し、本の内容に戻すと、本書の巻だけでは全然納得できないまま、アレレって感じで、次に強引過ぎるヒキで終わってます。これ、危険過ぎる行為で普通、できんわ~。

それでいて、実に狭量な、且つ矮小な世界で独り善がりに生きているんだけど、どっかでそれが人間の本質に(普遍的な何か?で)繋がってしまうのが、なんとも困ったりする?

全然、これ読んでも伝わらないのを承知で書いてますが、少しだけ内容について書くと、みーくんとまーちゃんが旅行に出掛けるお話です。

で、そこでなにやら事件に巻き込まれる・・・のか、巻き込まれないのかは本巻では、不明。最後の最後で、明確に絡みそうだけど・・・。
まだ、直接的には絡んでいません。

さあ、次の巻でどうなるんでしょうね。

私的には、ただ&ただ、まーちゃんの幸せを願うのみです。もっとも、まーちゃんは幸せなんだろうね。時々、夜中に絶叫する事はあっても・・・。前後不覚に陥ることはあっても・・・。

現実は、既に現実でさえないのだから・・・。

誰にもお薦めできない本です。でも、一部ファンがいるであろう本です。

嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん〈8〉日常の価値は非凡 (電撃文庫)(amazonリンク)

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2010年03月06日

「大道寺信輔の半生」芥川龍之介

一番最初に読んだのは、小学生か中学生の頃だったと思う。新潮文庫だっただろうか?

昔の小説だったはずなのに、あの当時でもほとんど違和感無く読んでいたと思う。著者の自伝的作品とかとしばしば書かれているが、そういったことは、読者にとってはどうでもいいことなのかもしれない。

芥川らしい、淡々とした文体で少し距離を置いた視点から、自らの姿を眺め、それを記述している。

芋粥などもそうなのだが、この芥川の自ら(作中の主人公)を眺める視点とその距離感がやはり、余人に真似のできない素晴らしさなのだと改めて感じた。

江戸風情の残るような、しかし、ちっぽけな下町に生きる庶民の生活。別に何かあるわけではないにしろ、そこにはやはり、『人』が生きていくうえでのささやかな喜怒哀楽がある。

同時に、ささやかな『偽善』も。

自分の矮小さを認識しつつも、それから抜け出れず、自己嫌悪と同居しながらの小市民的偽善。嗚呼、なんとも救い難きささやかなる微悪よ!

私が学生時代もっとも嫌悪し、未だに精神的根底にひきずる劣等感の一つとして、この偽善の存在は今も存在し続ける。

今時のこととしてありがちな、認識さえもしていないフリをする、更に醜悪に自らを貶めるようなことはないものの、まあ、近しい部類ではあるんだけれども・・・・。

本作品は、前半から後半の終りの直前までが、壮大な前ふり。伏線であるかのようにも感じます。そして、最後の最後に凝縮したあの部分。

踊らさせられる人が卑しいのか、それとも躍らせる人が卑しいのか?

いわずもがなではありますが、あの閃光の如き切れ味は、いつになっても心の中に残ります。幼少時より、性悪説を採らざるを得なかった私の心境も全ては、これなのかもしれません。

でも、この手の作品は、感じない人には何を読んでも感じませんけどね。私は、河童なんかよりもはるかに心に残る作品です。

たまたま通勤中に、iPhoneで見つけて青空文庫のものを再読しました。やっぱり、記憶に残る作品でした。
ラベル:小説 書評
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2010年02月11日

「撲殺天使ドクロちゃん」7、8 おかゆ まさき メディアワークス 

う~ん、4~6まではブログに書き忘れてたか。今更なんでそちらは抜かして7巻から。

魔法さえ使えれば、なんでもアリ?! 
と口では言いつつも、小説やコミックでも出来なかったことを(一部、同人誌とかではアリでしたが、原子力魔法少女「チェルノ」ちゃんとかネ?)、商業誌でやっている(やってていいのか?)。

そういう新鮮な驚きはもはやありません。

読者側の慣れって怖い。

もっとも書き手もシリーズが進めば、当然しかるべき『基本』に則っていかねば、ネタつきるし、引っ張れないもんね。

つ~わけで、普通の学園物ラブコメ(ちょっぴり魔法もあり)に変わっていました。今回は、南の島へバカンスに行き、「十五少年少女漂流記」みたいなお約束です。

まあ、いつのまにか癒し路線のほんわか思春期ラブコメも悪くないです。まあ、愛しの幼馴染少女へのお土産もゲットできましたし・・・。

8巻では、学級紙新聞に、夏休みの宿題ですか。

私、早い時期に全部済ませてしまうか、9月になってから数日徹夜で力ずくで終わらす派でしたから、あまり、このノリは分かりませんが、夏祭りのシチュは良かったかもしれません。

フラグ立ったか知りませんけどね。

しかし、いつのまにやらずいぶんと無毒化されてしまったなあ~というのが感慨深いです。

撲殺天使ドクロちゃん(amazonリンク)


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「撲殺天使ドクロちゃん」1~2 おかゆ まさき メディアワークス 
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2010年02月01日

「悪魔祈祷書」夢野久作 社会思想社

相当昔に最初に読んだ時の衝撃が忘れられません。それから、何度も読み返しているし、今回、正確にはiphone上の青空文庫のものを読んだのですが、やっぱりこの社会思想社の本が好き!

装丁の表紙がなかなか味わい深いのですよ・・・・。本は段ボール箱に埋もれて見つからなかったけれど・・・。

そもそもシチュ的にも絶好ですしね。

なんというか、高校生の時からあちこちの古書店には入り浸っているものの、その度に本作品のような稀覯本との出会いが経験ができるのでは・・・などと心の片隅で思い描いてしまうのですよ・・・。

読む人をみんな狂わしてしまい、今までの常識がガラガラと音を立てて崩れてしまうような毒のある稀覯本。たまたま流れ流れて、東洋の片隅に辿り着き、それを偶然から手に入れる。
・・・・な~んて素敵なお話でしょう(笑顔)。今でこそ、こんなふうに思えてしまうほど屈折しちゃってますが、当然、若い時に本書を読んだ際には、背筋がゾクゾクとしたことを今でも思い出します。

今でも、微かに感じられるこの薄暗いゾクゾク感は、他の作品ではなかなか味わえない凄みですね。

うちのブログでも採り上げたことありますが、「CODEX GIGAS」(DEVIL'S BIBLE)なんてまさにコレみたいですよね。本書の場合は、普通サイズみたいですが。

あとね、私は無知で知らなかったのですが、知り合いに教えてもらったところ、シュレーカーというのは、実在する方のようでそういう本が本当にあるらしいです。えっー、って思いますよね!

今度調べてみようっと!

いろんな意味で毒の効いた話ですが、本好きなら絶対に面白い&欲しくなる本のお話です。舞台も古書店ですし、対象も稀覯本ですので是非、本好きな方にはお薦めです♪

勿論、夢野久作の作品の中でもドグラ・マグラに次ぐぐらいじゃないかな? 短編でも傑作な一つだと思います。

しかし、どっかにこういう本無いかなあ~?ホント?
 
悪魔祈祷書 (現代教養文庫―夢野久作傑作選)(amazonリンク)

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ラベル:小説 書評
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2010年01月23日

「その本、開くことなかれ」十月ユウ 富士見書房

シリーズ第4弾、本書でシリーズ完結です。

ちゃんと完結になっているし、謎も一通り説明されて解決している感じです。読んでる時は、結構サクサク読めるし、それなりに面白そうな感じを持続してはいたのですが・・・やっぱり読み終わってみると、物足りないですね。

実は、勝手にもっと裏読みした設定を考えていたのですが、全然違っていました。伏線ではなく、単なるもっともらしい設定で終わっている部分が多々あります。世界観の構築に足るものではないです。

本自体への薀蓄、アクション、謎解き、人間関係描写等、どれも『並』水準をギリギリクリアするか否かレベルです。

冷静に考える限りでは、お薦めしません。否定もしないけど。

ただ、良いところもあります。最近では珍しく、人間性を肯定的に捉えている作品です。端的に言うと、登場人物がみんな「いい人」なんですよ。

役割上、悪役であるはずの「敵」からして、私には十分過ぎるくらい善人にみえます。今のご時世貴重ですよ、これは。荒み切ったラノベばっかり読んでるからな、私。著者はきっと心優しい方なのでしょう。

読んでいて心温まる感じがしたのも事実。それは良いかも?

でも、「まーちゃん」のように心に深く印象付けられない。唯一無二の作品ではないし、一読したら心には残りません。そういう作品でした。

その本、開くことなかれ―戒書封殺記 (amazonリンク)(富士見ファンタジア文庫)

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2010年01月20日

「戒書封殺記 その本、禁忌の扉に通ず」十月ユウ 富士見書房

シリーズ第三弾。

う~ん、本当に今時には無いくらい古いタイプの「争っちゃいけません。人は分かり合えるはず?」とか、そういうノリのラノベです。

でも、それでシリーズが続いてるのだから、一定数の読者がいるわけで逆に凄いよね。なんだかんだ言って私も読み続けてるし。

あくまでも人間関係だけで、ストーリーをつむぐプロットみたいですね。『神は細部に宿る』ってかな?

シリーズ中の黒幕っていうか、物語の創作者さんの素性もこれまたオーソドックスな予定調和の中で、こじんまりまとまりつつあります。

これだけ毒の無いラノベも珍しい・・・。つ~か、毒有り過ぎのばっか、読んでる私の趣味嗜好がおかしいのかもしれないが・・・?

稀覯本みたいに、価値のある本を集めているのに、なんでこんなにも本それ自体への言及は少ないのだろう。今回の『F』とやらも、いくらでも話が膨らませられそうなのに、全く膨張しないのは、かえって特筆すべきかもしれないです。

不思議だ・・・。

眼鏡っ娘で、しかもドジっ子でなにやらせても駄目駄目なのに、芯がしっかりしている、そ~んなキャラ、普通立てられませんって!

読んでる読者が赤面するぐらい、つ~か、どんな昔の本読んでるのとか思うぐらいの時代錯誤感があるものの、それを読んじゃう、背徳感がいいのかしらん?

次回は、思わせぶりな館長の正体でも暴露されるのかな? ミエミエな予想通りにならなければいいのですが・・・・。

たまにこういう健全なラノベを読むと、どうにも違和感を抑え切れないのだけれど、それもまたヨシってところなんでしょうネ、きっと。

戒書封殺記 その本、禁忌の扉に通ず (富士見ファンタジア文庫)(amazonリンク)

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「戒書封殺記 その本、触れることなかれ」十月ユウ 富士見書房

本を巡るラノベのシリーズ第二巻。

それなりに面白いのだが、基本、学園を舞台にした眼鏡っ娘のお話というのは、私のうがった見方かもしれません。

でも、本自体に関する部分は、相変わらず関心を惹く部分はありません。その代わり、人と人が絡む部分は、割合しっかりと書かれていると思います。

今時、微妙な恋愛模様は、もはや古典的なレベルですが、それもかえっていいのかもしれません。

感想らしい感想ないだけれど、何故か読み進めてます。なんでだろう~?

ビブリオ・アクションと書かれてますが、アクションらしいところは特に無いように思います。

戒書封殺記 その本、触れることなかれ (富士見ファンタジア文庫)(amazonリンク)

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「その本、持ち出しを禁ず」十月ユウ 富士見書房
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2010年01月10日

「その本、持ち出しを禁ず」十月ユウ 富士見書房

sonohonn.jpg

「R.O.D」的なものをイメージしてましたが・・・?

あちらはあちらで、本を一応のテーマにしつつ、ドンドン本以外の路線へ発散してしまい、最初の面白さがどこか行ってしまったノリでしたがこちらは、まだ一巻目の為、当初の設定が十分に機能している感じです。

基本はオーソドックスな学園物。年頃の男女の微妙っぽい恋愛感情を織り交ぜつつ、話は進みます。

世に出回っては困るいわく付きの『書』を集めて監視下に置いておくこの世とは異なる特殊な図書館。リアル高校の図書委員が、実はこの特殊な図書館の司書する裏の顔を持つという、まあ、必殺仕事人(古いなあ~)みたいな設定です。

優等生のイケメンで、異性には興味がなく、考える事は本・本・本・・・という読子の男版が主人公なんだけどね。まあ、ヒロイン役の女生徒も二人出てきて、三角関係の痴話っぽい要素を入れたりしているけど、正直ラノベとしての評価は微妙。

読み飛ばすのには悪くないが、どうしても『本』という要素をメインにするにしては、あんまりたいした読書家でもないなあ~というのが私の感想。

本の持つ隠されたノウハウや力で魔物を呼び出し、そいつらに何かをさせようとするのはいいんですが、稀覯本や魔物自体への知識が浅薄な為に、RPGゲームの印象しか浮かばないのが悲しい(涙)。

もうちょっと、下調べしてから、書いてくれると話の幅が広がり、読むに値するだけの小説へ成り得たかもしれないのに残念です。

本を使って魔物を召喚し、戦闘させたり、魔法を使わせるという発想自体はゲーム世代の発想ですね。そりゃ「帝都物語」って、似たようなもんかもしれませんが、その背景にある著者の力量(読書量)の差が痛々しい感じでもったいないです。

でも、なんとかそこが解消されれば、面白くなるかもしれません。なお、本に関する薀蓄的なところは、幾つか根本的な間違いがあって、そこも興醒めでした。粗探しみたいになるので、列挙したりはしませんが、もう少し著者さんに勉強して欲しいかも・・・。

ノリ的には嫌いじゃないんですけど・・・・。

その本、持ち出しを禁ず―戒書封殺記 (富士見ファンタジア文庫)(amazonリンク)

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「R.O.D」倉田 英之 集英社
「R.O.D」4~11巻 倉田 英之 集英社
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2009年12月30日

「聖フランシスコ・ザビエルの首」柳広司 講談社

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当然、タイトルからして聖遺物関係を扱ったものかと思ったのですが・・・。本の装丁はちょっとセンスいいかと思ったんですが、中身が酷いです。

本の内容はというと・・・。
とあるオカルト雑誌のライターが主人公。隠れキリシタンの村で発見されたフランシスコ・ザビエルの首。あることないこと、でっち上げる「ムー」のような雑誌のライターさんが取材に行くと・・・。

何故か、サビエルの時代へタイム・スリップ。但し、ライターの意識だけで当時の関係者の身体の中へ入り込み、テイミング良く事件発生。すると、ザビエルの思し召しか、ライターは関係者の意識を乗っ取り、三文小説よろしく謎解きをします。

そして謎解きが終わると、意識は現代へカムバックと相成ります。

もうご都合主義を通して、安易なSFですらなく、読んでいて情けなくなります。

まあ、小説なんで面白ければ、状況設定等どんな突飛でも甘受するぐらいの度量はあるつもりですが、これはいけません。

だって、著者の意図は、なんの予備知識もない無知な読者を想定し、歴史的な背景を説明しつつ、ミステリー仕立ての謎解きをしようとするもので、無知な人向けの笑止な歴史解説と、現代人的価値観で薄っぺらな歴史や宗教を解釈して、独善的な解説をするので読んでいてむかつきます。

謎解きをする以前に、思いっきり、その探偵役の登場も無理があり、説明の仕方もくだけ過ぎて、周囲から浮きまくっています。いきなり別人格が出て、現代風の解釈で現代的視点から、周囲への説得力もないままに勝手にしゃべり、解決したと言っても、なんだかなあ~。

近来稀にみる、お粗末さです。

ミステリーにもなってないし、SF以前で、同人作家さんレベル。コミケでは売れないだろうなあ~。ファンジンとかでやり直した方が良いかも?

題材は面白そうなのに料理するだけの力量が無かった感じです。もったいないなあ~。小手先の奇をてらわず、文体やプロットで読ませる読み物が読みたいなあ~と思う私でした。

これ外れです。

ザビエルの首 (講談社ノベルス)(amazonリンク)
ラベル:小説 書評
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2009年11月28日

「イコノクラスト!」9、10巻 榊一郎 メディアファクトリー

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【当然、ネタばれ有り】




10巻でシリーズ完結との話でしたが、見事今回で綺麗にまとまりました。これはプロとして当然と言う以上に、素晴らしいと思います。

当初の敵は9巻でやっつけて、アレっ?一巻分、おまけ的な番外要素で引っ張るのかと思いましたが、しっかり、物語の鉄則通り、新たなイベントが発生し、それがきちんとそれ以前の巻の伏線を上手に生かす形になっていて、いやあ~本当にプロとしてきっちりした仕事をされていると思います。

勿論、形だけじゃなくて、その伏線が効果的に生きていて実にうまいのですよ~。唯一、生かしきれていなかったのは、従妹の少女。素材的にはいいものがあったのですが、本当に脇役のその他大勢の一人で終わっちまいましたね。

一番、活躍したのが本当のおまけのこっちの世界に戻った後というのもしょばかったです。最初にいい仲になった子も、後はただただ、名脇役で終わったし・・・。

まあ、いろいろともうちょっとこうだったら・・・という思いは残るものの、まずは楽しめる感じで終わって何よりです。この手の作品って、途中で駄目になってしまうのが多いだけに、きちんと結末で書き切ってくれるのは嬉しいです♪

傑作ではありませんが、異世界物ファンタジーとしては、十分に楽しめる作品ですね。複数の異性に手を出して、ドロドロにならずにあくまでも学園物的なエンディングを演出するあざとさは、著者の大人故の腹黒さですね。

たぶん、今の若いラノベの作家さんには、書けないでしょう。おそらくご自分の感性を周知で塗り潰しちゃいそうで・・・。一読者としては、こういうのもありかと笑顔で読みましたけど。

個人的には、勇者様の御落胤でも出てくると更に面白そうですけどね。番外編とか、後日談とかでもう2、3冊書いてもらえると嬉しいかも♪

イコノクラスト!(amazonリンク)

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2009年11月25日

「幻の法隆寺」邦光史郎 徳間書店

TVの火サス(火曜サスペンス)とかでやっていそうな歴史的な観光名所を舞台にした推理物。ここ半年以上、TVを見ない私には縁の無いドラマですね。

書かれた時代も古いが感性があまりにも古い。推理小説にしては、平凡の域を一瞬たりとも超えられず、歴史物としては、勝手に推測だけでなんらの根拠が示されず思いつきの域を出ない。

法隆寺というよりは、聖徳太子を巡る歴史の謎解きなのですが・・・、たいしたことないかと。

悲しいです。また、歴史に絡むはずの現代の登場人物の思考パターンや行動が、カビはえてるなあ~。

もっともラノベの中でもかなり先鋭的なモノばかり好んで読んでる私には、更にそのギャップが辛かったかも?

中高年の恋愛には興味無いです。気分は未だに10代+αで成熟する気のかけらもない私ですし・・・。でも、新しい刺激が欠けてるな、なんとかしないと!

来月、舞台観た後、3日間ぐらい休み取りたいな。近場のアジアに行ってもいいかも・・・。じゃなきゃ温泉とか。

幻の法隆寺 (徳間文庫)(amazonリンク)

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2009年11月23日

「僕の小規模な奇跡」入間人間 アスキーメディアワークス

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先日、入間氏の短編が読みたいばかりに手に入れた「電撃文庫magazine vol.7(2009年5月号)付録」「4月それは-XXXX-」に載っていたものが、しっかりこの本に載っていた。

なあ~んだ、だったら、あちらは要らなかったのに・・・。ということはなかったけど、あの短編のその後の物語が、本作では延々と語られていく。

珍しく人死は出ない。精神の屈折はあっても、病んでいるほどではない。だけど、人間の微妙な心理描写、うまいです。掛け値無しに的確で、ラノベを知らない小説好きが可哀想になるくらい、つ~か本作を知らないことを同情しちゃうくらい、僕は好き♪

大学の時はやらなかったけど、私も「君みたいなのは、嫌い」とはっきり明言する子に、延々と声掛け続けていた経験があったしなあ~。どうも過去を思い出す。

会社の飲み会でも、「私は○○さん大好き」発言をして、周りが大いに湧いていた中をお目当ての当人が、我関せず的な態度をしていた姿が記憶に浮かびます。

ただでさえ、あいつは変、とかあの女はやめとけ的な独特の世界観を醸し出す方でしたが、微妙に距離感が変わっていくのは、大変面白かったことなあ~。

で、私が彼女と初デートに行ったのも美術館でしたし・・・。写真嫌いと言ってたのを、なんとかデジカメで写したりしてね。社内でもまあ、あの二人が一緒に出掛けることだけは無いだろうと言われていたのに・・・そういうのは、ある種別なわくわく感があったものです♪

まあ、いろいろと大人の事情でなにやらあって、最後の時に貸していた多数の本を会社の机に置かれていたことを思い出します。「どうもありがとう」の付箋を残して・・・。

たいがいが本好きで、アート好きで、眼鏡っ娘だからなあ~。それ以外のいなかったような・・・。

とまあ、余計な個人的な回想を巡らせつつ、読まずにはいられませんでした。他人との関わりというか、やりとりの不器用さの描写の巧さがたまりません! やっぱり、うまいよ~。

まーちゃんやみーくんにも散見するが、著者の素晴らしさは、類い稀な人間関係の距離感の取り方とその過不足ない的確、且つ適切な描写力だと思います。

いささか奇矯な状況設定に「まーちゃん」作品は強烈な印象を植え付けられましたが、それが物語と成立し、さらにもっと深く印象を残したのは、まさにその人と人の距離感の描写あってこそでしょう。

本作品で、むしろ日常水準にまで設定を一般化することで、かえってそのことが引き立っているように感じました。

いろんな意味で切ないッスねぇ~。

ただ、側にいるだけで相手を見ているだけで、幸せを感じることってできるんですよね。但し、それは一過性のもので恒常的な状態ではないってのがポイント。まさに恋故の異常なまでの高揚感だったりしますが、それをこうやって表現するのは、難しいんです。

最近、読んだ中では一番の恋愛小説ですね。恐らく、周りからの位置付けは全然違うんでしょうが・・・。

少なくとも私の中では、入間人間氏は純愛小説家だと思っていたりします。昼メロなんか、めじゃないっす。ハーレクイーンロマンスなんて(読んだことないけど)、まだまだ純愛度が足りないっしょ。

最近、西尾維新氏が違う方向へ行ってしまった感があるので、こちらでその方面を補いつつ、バーチャルな純愛感情を堪能していたりします(笑顔)。

一応、ちょこっと粗筋を。

大学で一目ぼれをしちゃう頭の足り無そうな大学生が主人公。周囲に溶け込もうとせず、壁を作っている女子学生。いきなりお目当ての女性だというので彼女に告白して、「あんた~バカあ~?」的に拒否られます。

何を言われても、めげずに話しかける男。やがて、彼女から唐突な申し出があります。「好きじゃないけど、つきあってもいいわ」と。

そしてその代償として求められたものは・・・・。

私的には、こういうのは大好きなんですけどねぇ~。たいていどこの職場でも「○○さん好き~♪」とか、そういうことをのたまわっていた私は、浮いておりましたが・・・。

まあ、いろんな意味で軽い人と思われていましたので。仕事面とのギャップで、キャラ作り易かったというのもあるんだけどね。常々仕事は演じるものだと心得ておりましたし・・・。

「ガラスの仮面」の北島マヤのように、今の職場でも頑張って演じ切りたいものです(笑)。

と話はそれましたが、この作品好き。不思議に思うんですけど、これに勝てる作品は、コミックの「PINK」ぐらいっきゃないと思うんだけどなあ~。

最近の純文学と呼ばれるものは、私には不純にしか思えなかったりする。心理描写のかけらもないっしょ。本屋で立ち読みしても、すぐ棚に戻して買う気も読む気もおこらない。

「こころ」とかよりも、こっちの方が心にくるんだけどなあ~。

僕の小規模な奇跡(amazonリンク)

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2009年11月22日

「イコノクラスト!」6~8巻 榊一郎 メディアファクトリー

8巻の後書き読んでいて「エヴァのパクリ」とか評されていたと著者が書かれたのを見て、やっぱりね、と素直に頷いてしまった私です。

しかし、しかし、6巻以降を読んだ限りでは、私のそういった感想が誤っていたことを認めるのもやぶさかではありません。というか、私の間違いですね。

実にしっかりしたプロットと物語世界の構成力には、素直に読む価値があると思いました。いやあ~、良く練られています。

読んでいても面白いし、それぞれに複雑な立場を持つ集団(社会的な組織)が、個々の利益の為にそれぞれの思惑で絡み合いながら行動し、相互に影響を与える辺りも、読み応えがあります。

しかし、主人公成長しちゃったなあ~。いろんな意味でオトナになっちゃうし・・・(クスクス)。人間的に成長しちゃってまあ~。

神のこの異世界における呪詛の体現者(神罰の代行者)たるパニッシャーの繰り出す攻撃も、これもなかなかに味わい深く、その発想は独創性あり!・・・ではないかと。

心理描写については、たびたび触れていますが、うん、実に巧みに描かれています。過不足なく、ポイントを押さえた書き方は、本当にベテランだなあ~と思いますです、ハイ。

イクノクラストの使い方、つ~か、応用例も実に多彩なんだもん! 十徳ナイフ(←知らないかな?)も顔負けです。最初は、単なる巨大合体ロボットだったのに、使い方次第で、○○儀式に使えたり、敵さんの道具になったりと大忙し。

今更ネタバレを気にしてはいないが、今回は、あえて直接触れずにおきますね。ふふふ・・・。

そうそう、登場人物があらかた出尽くしたかなあ~と思いますが、英雄は色を好み、ですね。名実共に英雄になると、そりゃあ、しょうがないかと(笑)。

飽きさせることなく、まだまだ読者の興味を引っ張ります。残り2巻、さてどうやって収束させていくのか。見事な結末を期待したいところです。

物語としては、これは十分に楽しめる作品シリーズと思っています。

イコノクラスト!(amazonリンク)

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2009年11月09日

「嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん『i』」入間人間 アスキーメディアワークス

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もうね、はるか昔で忘れていたガッコでの生活のことを思い出してしまうのですよ・・・。

ホント、無意味に何の為に生きているのか分からず、教師は馬鹿で、実際、学校で学ぶ事など何にも無くて、元気に生きている同級生が愚かな生き物に見えてしまって、こいつら生きていても死んでも変わらないんだろうなあ~と醒めてみている自分がまた、無価値に見えて日々を送るのが永遠の牢獄に思えてならなかったりする。

卒業式の時、泣いている周囲を見て、こいつら頭おかしいんだろうなあ~と心底冷めている自分と、でもきっと幸せに死ぬまで何にも気づかずに幸せに生きていけるんだろうなあ~と少し羨ましく思える自分と、やっと牢獄から出れて、少しは自分で自分の生き方を決める『自由』が得られるのでは?な~んて、絶叫して、時計仕掛けのオレンジみたいに、周囲のモノや人を蹴りたいような気分の自分がいたことを思い出した。

う~ん、ヤバイ!

虚無主義とか卒業文集に書いて平然としていた過去の自分が歴史の中から顔だしそう。

まあ、真面目な話、体弱くてプール掃除なんて小学生の時、一度もやったことないもんね。いつも保健室にいたし。

今もそうだけど、冬場は体温が上がらず、学校行ってもだるくて保健室で毛布にくるまって天井を見て過ごしてたんもんなあ~。そりゃ、学校行くのってダルイ。

入院ってほとんどしたことないけど、病院通いは子供の頃からのお馴染みさんだしね。う~ん、軟弱なうえに、過保護だったし、それでいて生意気で強情で、無理してよく体調を崩したっけ?

大人の顔色や周囲の様子を読んで、周りにうまく(?)合わせて上っ面だけ仲間のフリするのは、その頃身に付けた処世術か。社会に出ても、派閥争いというか部署間の揉め事などの調整役が多かったのも、そのスキルが評価されてかしらんが、確かに誰よりもうまく仕事を回せたかもしれんが、そのストレスで益々屈折せずにはいられませんでしたねぇ~。

放浪の旅が習い性になったのも、その時期ですね。一人で本とノートを持って、目的地も定めず、ふらふらあちこちに行ってたのは学生時代から変わりませんが、外国でもふらっと行くようになったのは、確かの仕事のせいでしょう。うむ。

自分の独白で感想や書評でなくなってしまうので、本論に戻る。

でも、基本、そんな感じのみーくんになる前、監禁から解放され、病院でリハビリ?に勤しんでいた頃のみーくんから始まります。

いつも人死にが出るのは、デフォルト。私の周りは、幸い死んだ奴いなかったな。壊れた奴とか、リスカの人はいたけど・・・ね。

まあ、類友なのか、周囲に分布する確率はかなりのものだったかもしんない。まあ、病んでる人の方が、人間味があるってのも困惑ものではあるんですけどね。

それはいっか。

本書は、いつものみーくん・まーちゃんとは時間軸の異なる世界で、その前後やパラレル・ワールドのあったかもしれない世界が描かれます。

みーくんがこうして出来上がったのね、ふんふん、納得! 千里の道も一歩から、ローマは一日にして成らず、嘘つきにも不断の努力が欠かせないようです。勿論、嘘だけど・・・。

環境と遺伝の掛け算で人の性格は形成されるなどと、知ったようなことを言う人がおりますが、その意味ではみーくんは、まさにその通りで遺伝的にも&環境的にも、最高の状態で、最高の嘘つきにおなり遊ばしたことが分かります。新派刑法の方なんでしょう。

予防的措置として、社会に害を為す前に、病院へ突っ込んで置けばいいと愚かなる大衆が騒いじゃったりするわけです。群集暴徒化論?アレレ?ちゃうけどね。まあ、大差ないっス!

伏見、昔からの知り合いだっけ? ようやく分かったス。これ、別なみーくんの元彼女の口癖らしいけど・・・・。

まあ、みーくんは過去の遺産というかしがらみの中に囲まれて、前向きに過去を生きていく男の中の男であることを感じさせられます。

そういやあ~、僕もいじめられたことあったなあ~。でもって、あまり絡むので一度ぼっこぼこにして差し上げたら、二度と絡んでこなくなったっけ?

基本は、やる時は徹底的にやる事! 中途半端なことしては、かえって危ないですからね。抵抗できないように後ろから、頭を中心にモノでやると嘘のようにおとなしくなります。

まあ、成績いいし、周囲を軽蔑して冷めた目して眺めてたから浮いてたもんなあ~。気に入らない教師は、消極的非暴力無抵抗運動をガンジーよろしく実践していて、授業ボイコットしてたもんな。学級委員だった気もするが・・・よ~しらんです、ハイ!

そうそう、まーちゃんとの蜜月時代のお話かと思ったら、まーちゃん、怖過ぎ。正直、恋心が瞬間冷凍されたね。やっぱり本物のキ印に手を出しちゃあかんって。

戸川純のコレクターじゃないんですが、一方的な『純愛』は、狂気そのものですから。もっとも初めから狂っている人の愛だけに、既に『純粋』過ぎて、表現のしようもありませんが・・・。

愛ゆえに死ぬのもまたヨシか、自分以外ならね。三島の「花ざかりの森」の純粋さとニアリーイコール? 他人事なら、実に美しいってね。
本当にいたし、この予備軍。まあ、過去の話だ。

話はとぶとぶ。
次はSF。パラレル・ワールドの世界。

まーちゃんが普通だったらという、ある意味、これ以上無いってくらいクトゥルー神話のホラーかよってね? う~ん、かえって訳分からんか?

それっくらい身近にありえそうで、常人なら耐え難いほどの違和感を覚える世界ってカンジ? そう、眼鏡をかけていない時東あみの写真をみて、こいつ誰?って 速攻、削除したようなモンかな?

いやあ~他のご学友達との歓談にも、苦痛以上の寒気を覚えるシーンが続き、昨日は読了まで寝られず夜1時を過ぎてしまった。朝5時に起きてるんだけど、私。

どうでもいいんだけど、この本は古い記憶を呼び起こすんだよね。なんだかなあ~。心の底に沈めておいた、ワインのおりのような沈殿物が撹拌されて表面に浮かぶのには、少々参りました。

どうやら、まだ私の心も死んでいないらしい。

私はスキとかキライとかという次元でなく、知っちゃたら知らないままでおくわけにはいかないという状況ですが、幸せな人なら、読んでもしょうがないし、読んでも変わらないだろうし、読まない方がいいと思います。

人によっては、古傷を新しく化膿させるぐらいの力があるかもしれません。気をつけましょう。

しかし、著者が新宿歩いてるんだ。毎日、新宿で仕事してますけど、それを知っただけで怖いなあ~。会ったら、ミーハーにサインをねだりたいところですね(笑顔)。

いやいや、本書の感覚、感じられてもなかなか文章にするのは難しいです。素直に凄いなあ~と思いますね。でも、書けないもんですよ。昔の自分の日記を見ると、精神揺るぐモン! たぶん?

嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん『i』―記憶の形成は作為 (電撃文庫)(amazonリンク)


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2009年11月08日

「イコノクラスト!」4、5巻 榊一郎 メディアファクトリー

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【ネタばれ有り】





なんかさんざん消極的な感想を書いていたのに、だんだん面白くなってきていい感じになってきました。闘いを通して主人公が成長していくジャンプ路線になりましたが、あの~ラノベってH有りでOKでしたっけ? さらっとファンタジー路線が強姦シーンに変わってちょいびっくりしたのですが・・・・?

勿論、さすがにくどくどのその部分の描写はされていませんが・・・。

結局、和姦だというのでむしろ相思相愛でハッピーエンド的経過を辿っていますが、なんだかなあ~? ただ、へんにその部分で逡巡してくどくどまどろっこしいよりは、そういった思春期にありがちな紆余曲折を経ながらも、成長して大人になっていくお話しみたいです。

まあ、ラノベといっても、そういった性的な話なんか突き抜けて人ととしてかなり限界ギリギリのヤバイ作品が蔓延しているご時世ですし、わざわざ問題にするほどでもないのでしょうが、正直ちょっと驚きました。

このジャンル、昔のSFみたいで規格外のものを全て包含できるジャンルのフロンティアなんだなあ~って改めて思ったりする。もっとも、この作品自体は、非常にオーソドックスで定番中の定番路線です。

ただ、人間の心理描写や世界観については、丁寧に描き込まれていてしっかりと読者をその世界へ誘えるだけのものを持っています。

次巻以降は、ラブコメ路線を織り交ぜつつ、メリハリを別な意味で持たせるみたいですけどね。

とりあえずは、甘ったれた今の時代の少年が、試練を通して、着実に成長しつつある感じがしますね。つ~か、個人的にはヤロウはどうでもよくって、美少女で有能で欠点のないようヒロインが義務感ではなく、真心から人を愛するようになっていくのが、まあ、見どころかと。

周りの登場人物もしっかりキャラ付けされ、個々に役割をきっちり果たしてなかなかいい感じに絡んでいくあたりは、やっぱりうまいです。売れている作家さんだなあ~と心底思います。

でも、みんな美人にモテテいいな(笑顔)。

読み物として素直に面白くなってきました。結構、読むのが楽しみになってきています♪

全10巻完結予定で構成されてるそうですが、しっかりこれからもいろいろ起りそうで、なんとも楽しいです。

非常に安心して楽しめる読み物ですね。残り5巻、私も楽しみたいと思いました。

イコノクラスト!(amazonリンク)

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2009年11月05日

「電撃文庫magazine vol.7(2009年5月号)付録」「4月それは-XXXX-」角川グループパブリッシング

雑誌の付録に文庫本がついてくるとは・・・・。時代が変わったなあ~。う~ん。

でね、電撃じゃん、ラノベじゃん、正直それほど期待していなかったけど、思ったよりも正統派だったりする。アンソロジーではないんだけど、異なる作家さんが「4月」というお題で、様々な切り口で書いているのは、なかなか面白い。

最初は、まーちゃんの入間氏の作品だけがお目当てだったんですけどね(笑)。そちらはまあまあかな? しかし、こちらでも刃物振り回してる・・・・つくづく危ない人達が主役ですね。

まあ、今の日本の誇る電波系、アキバ系の第一人者でしょう!(誉め言葉になってる?)

予想とは違うものの、他の作品もなかなかに味わいある短編集になっています。昨今、つまらん小説が多い中では、こちらの方が読み応えがあるように思います。玉石混交はもちろんですが、読んで悪くないかな?

食わず嫌いせずに、いろいろと新しい本にチャレンジしたくなりました。ちょっとファンタジーっぽいのとかもあり、いい感じです(笑顔)。
【目次】
4月、それは―旅の始まり 時雨沢恵一著. 4月、それは―永遠のかなたの国 古橋秀之著. 4月、それは―わたしの嫌いな月 鈴木鈴著. 4月、それは―寿命。 入間人間著. 4月、それは―きっかけの季節 柴村仁著. 4月、それは―多感な季節 壁井ユカコ著. 4月、それは―桜舞い散る季節 佐藤ケイ著. 4月、それは―変化の季節 来楽零著. 4月、それは―地球侵略の季節 渡瀬草一郎著. 4月、それは―いつか来る春 紅玉いづき著. 4月、それは―嘘の季節 藤原祐著. 4月、それは―死にたくなる季節 中村恵里加著. 4月、それは―眠気漂う季節 水瀬葉月著.
電撃文庫MAGAZINE (マガジン) 2009年 05月号 [雑誌](amazonリンク)
ラベル:雑誌 小説 書評
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2009年11月03日

「嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん7」入間人間 アスキーメディアワークス

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もう7巻の書評ですから、当然【ネタばれ有り】です。ご注意下さい。前作が非常にえらいことになっていましたので、未読でこれからの内容をよまないように!!







みーくん、完全に沈黙。過去の"アレ"扱いで、まーちゃんの面倒今後誰見るの~?

今ならもれなく、みーくんに代わって(そもそもが代替物だし・・・)、まーちゃんの大切な存在になれるチャンスに、世界中の電波(or キ印)ファンがもうドキドキもんで待ちに待ってた次回作の登場です(拍手~)。

そんな痛い人はいないか? わたしゃ、心の底から、そう願ったりもしたけど・・・・。 

しかし、マジ8割以上の確率で殺されたかなあ~と思っていました。だからこその前作の衝撃だったりする。

で、実際、読み始めるとまーちゃんは過去の人で主人公の語り部がまさかの片割れ、つ~か相似形の存在であるところの湯女っつ~しね。

そっか、何の抵抗も抱かずに人を殺す価値観の物語りだし、人を人として認識していない唯物観もここに極まれりってネ。新しい、実は第二部かと思いつつ、読んでおりました。

しかし、いつまで経っても死亡状況の説明ないし、新しい語り部のお話が盛り上がってきて、いささかみーくん忘れておりました。まあ、私の知っている価値観とは違う新しい世界観なんで、きっと死亡状況の追憶とかは、違う形で出るのかなあ~と都合よく解釈していたりする。

目の前の物語が気になっちゃって・・・。

いや、うん、読了してみるとシリーズ全編を通して、やはり共通の世界観つ~か、人を人として認識しない価値観(ある意味、枠に捉われない自由な発想?)であり、斬新でありながらも、首尾一貫している価値観に忠実な物語ではあるんですが・・・

やっぱり、何度出遭っても衝撃を覚えますね。井上陽水の「壊れたカブトムシ」と通じるところがあるんですが、いやはや年寄りには毒です。
といいつつ、その毒に染まりそうになりつつ、読まずにいられない危ない人の私です。

この手のスキなんだよねぇ~。「蘇る金狼」とかとは、個人の欲望の方向性が違うので分かり難いですが、実は結構一緒だったりすると思っています。

目的が個人の幸せなのは一緒ですが、それが金で獲得できる時代と獲得できない時代の違いでしょうか?

みんな、何故、金に困らないのでしょう? 事業の一つや二つ始めれば、一千万単位の金なんかすぐ消えていきますけど? あっ、みんななんにもしないで生きてるからか? これは余談。

でも、お金で幸せが直接買えないのは真実。使い方次第では、ある程度までは買えることもあるけどね。

もっとも、その人の想定する『幸せ』自体が、所詮は不定形で外界の影響下で規定されるモノに過ぎず、自分の本当の望むものが見えていない、分かっていない人がいっぱいいますけどね。

う~ん、えらそうな私、万歳!!

本書の主人公は、本当にちっぽけな幸せを求めます。しかし、それは周りを不幸にすることと、自分を不幸にする事でしか成り立たないという点がウリ。

望む人への幸せの押し売りの余波で自分が不幸になることを込みでしか成り立たない虚構の『幸せ』。その為に、後ろ向きとも言える努力を続けます。継続は力なり、ってオイ、正しいけど、違うだろ? 嘘だけど。

でも、幸せなんてそんなものかもしれません。自分が幸せの為に、努力していると思う自己欺瞞のもたらす錯覚こそが、『幸せ』を顕在化させる構成要素なのかもしれません。

今回も(いろんな人の立場から見た)主観的にどーでもいい人達がたくさん死にます。意味も無く(殺すに値すると思われる)理由も無く殺されます。

でも、みーくんは生きています。女性に囲まれて望まぬ擬似ハーレムまで作ります。そして一番待ち望んだまーちゃんとのバカップルぶりも披露できます。いやあ~良かった&良かった。

自分の幸せの為に、他人に犠牲になってもらう、しかもきちんと認識したうえで、でもしかたないと思えて、消極的に(否、積極的回避義務放棄)周囲の不幸を生んでいくみーくん、見習いたいです。

他人の不幸に心を痛めてしまうが故に、結局、いらぬ温情で一番大切な幸せに貢献できないのなら、そりゃ、自己満足の傲慢かも知れないなあ~と思う私です。自己反省中。

まあ、まーちゃんの幸せの為なら、世界中の人が苦しんで不幸になってもかまわないですね。うん、納得!(だんだん、自分が駄目になっていく気がしますが・・・)

駄目な貴方、そういう人向きの本です。傷舐め合って、小さな幸せに生きていきましょうネ(苦笑)。でも、みーくん生きていて良かった!

じゃないと、まーちゃん死んじゃうから。もう心は死んでるかもしれないけど・・・・。

嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん〈7〉死後の影響は生前 (電撃文庫)(amazonリンク)

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2009年11月01日

「イコノクラスト!」2、3巻 榊一郎 メディアファクトリー

エヴァかと思っていたら、銀英伝だったとは・・・・コレ、いかに?

二巻に入り、延々と権謀術数の政治的な駆引きが書かれています。ターゲット読者層ついていってるのかな?と別なことが気になりながら、別な意味で実は読み応えのある展開になっていくかと期待しつつ読んでいましたが、ん? 銀英伝のレベルまではやっぱり無理でした。

そっちは、ある程度まででメインは、ターゲット読者層が心情的に共感できる、軟弱少年の精神的な脆さの方みたい。社会に出たら、鬱になって引きこもってしまいそう・・・。

しっかし、第三巻に入るとやっぱりエヴァの亜流としか思えないんですが・・・それでもそこそこ引っ張る筆力はベテランですね、本当に。

ただ、目新しさは全くなく、読んでいて衝撃を受けることも感動もない。それでいて、異世界としての架空のものを構成していく論理的な世界観、稠密性とかは、結構、素晴らしいと思います。

でもねぇ~、その世界観を今更の手垢のついた拒絶反応や暴走で、イベント起こしても正直乗れないッス! 美少女との嬉し恥ずかし、エロエロノリで薔薇色展開の方が、むしろ、商業的にも成功しそうなのになあ~。

ラノベというジャンルには、玉石混交で、まれに凄い新機軸のアイデアで斬新過ぎて、驚愕する場合もあるのですが、これは旧型の延長線上でのあまたあるうちの一つの域を超えない水準です。

今、読んでいる限りではね。

肝心の眼鏡っ娘もいなくなったら、読むところはハーレム部分だけなのですが・・・。とまあ、いちゃもんつけつつ、続巻を読む予定の私でした。

実に志の低い読者です。

イコノクラスト!(amazonリンク)

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「イコノクラスト!1 初陣」榊一郎 メディアファクトリー
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2009年10月28日

「イコノクラスト!1 初陣」榊一郎 メディアファクトリー

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適当に手に取ったので読み始めた一冊。異界のファンタジーものかと思ったら、どうやらロボットものらしい?

一言で言うと、
「まさかエヴァ? もしかしてエヴァ? 本当にエヴァ? なんだエヴァもどきか・・・」その程度だと思います。

名前はよく聞く作家さんで、はたして文章は澱むことなく読み易いのだが(それはGOOD)、さまざまな箇所で形容する単語の貧困さが悲しい・・・。

読者層に合わせているのかもしれないが、どんなに豪華だったり神秘的であることを描写しようとしても、連ねられる単語が奥行きのないものばかりで、いくら想像しても、たいした世界がイメージできない。

平凡な高校生が、突如異界に連れてこられて「ハイ勇者様!」一丁上がり。美少女達にかしずかれて、いい気になる設定も別に悪くはないのですが・・・。

イチイチ主人公にファンタジーやネトゲの世界と違い、現実にこんなことあるのか?とか、くどいほど、現実主義者っぽく否定させるのって、なんかいやらしくネ?

ファンタジーに憧れはあるんだけど、そんなの現実とは違うよとわざわざポーズをとって、一旦否定してから、結局、それを肯定するというのは、青臭くて素直さのない、それでスレルこともできない矮小な少年っぽくて虫唾が走ったりするのですが・・・・。

まあ、眼鏡っ娘のいとこで大目にみましょう。

神殺しの天罰を下される異世界。その枠組みは、面白そうなのに、なんでぶち壊しのロボットもんにするかなあ~。あと、流行っすかね?

とある魔術の・・・・ではないが、呪文とか唱えて魔法(系)の世界っていうのは。ネトゲの影響なんですかね? ワンパターンで辛いのですけど・・・。

操縦者の意識と操縦される側との意識のせめぎ合いって、どうみてもエヴァに見えてしまうんですが・・・。まさにアダムやリリスってことですし。神殺しのロンギヌスの槍は出んのか?とかのたまわっちまいそう。

さんざん批判しといて、でも続巻読む予定(オイオイ)。ちょいと気になるし、嫌な点を目つぶれば、面白そうな要素はまだ残っているので。

ただ、どうにもエヴァやゼロの使い魔がオーバーラップしちまうのは、仕様つ~ことでしゃーないッス。 

イコノクラスト!〈1〉初陣 (MF文庫J)(amazonリンク)
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2009年10月04日

「テクニカラー・タイムマシン」ハリイ・ハリスン 早川書房

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(ルパン三世の原作者)モンキー・パンチの挿絵が入っていて、おおっ、なんか珍しい♪ ただそれだけで購入を決めた本です。

だって、中身無さそうだし・・・。

実際、たいして面白くはない。あまりにもありふれたタイムマシンを道具立てに使った、ドタバタ喜劇。

倒産しかかった映画会社が起死回生の策として行ったのが、まだ実現可能か不明なままの科学者の発明品、タイムマシンを利用した過去へのロケ隊派遣&映画撮影。

銀行団から最後通牒を突きつけられるその直前に、一発逆転が可能な大ヒット見込みのある作品を作れるか?

現地人をエキストラに使用し、制作費の削減と撮影時間の超・超短縮を実現しつつ、リアルな迫力のある冒険物を作ろうとするまさに夢のアイデア!

しかし、その実現には、数々の苦難がつきもので・・・。そして、それには当然お約束のタイムパラドックス的なアレがつきもので・・・。

う~ん、ベタベタ過ぎっスね。設定から何から、まさにパターンの極みです。

でも、挿絵だけで持っていても許せるかもしれない。そういう本です。

テクニカラー・タイムマシン (ハヤカワ文庫 SF 193)(amazonリンク)
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2009年09月28日

「法廷士グラウベン」彩穂 ひかる 講談社

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これっ、ジャンル的にラノベなんだと思う。舞台が微妙にパラレルワールド的な中世西欧の自治都市だったりするので、ファンタジー的なウリをしているので、それほど期待していなかったりする。

まあ、「狼と香辛料」のように最近は、ラノベでも想定外の面白いのがあるのですが、レアな例ですから・・・。

しかし、しかし、本書はそのレアな方の一例になりました! うん、実に面白い。ファンタジー的なウリ方しちゃ駄目なのになあ~。むしろそれで失敗していると思う。

じゃなかったら、私が知っていて当然の作品だと思いますもん。

舞台は、現代の日本でも中世の日本でもOKだし。外国のどの時代でもOK。そういったものを無視しても、物語としての完成度の高い、しっかりした普遍性のある作品です。


本物の法廷劇ですね。逆に、どこぞのゴミのような推理小説や法廷劇に飽き飽きしていた方には、是非お薦めしたいほど♪

非常にオーソドックスではあるものの、しっかりと読ませ、謎解きに引き込み、変な小細工無く王道で結末に持っていくのは、なかなか著者の力量を感じます。しっかりと最後の最後でも、ひっくり返しますし、飽きさせません。

いやあ~こういうのが読みたかったんです。満足&満足。

安易な舞台設定に溺れることなく、むしろ、状況設定を淡々とうまく活用する事で人間の有する素晴らしい可能性や普遍的な価値観といったものを表現できていると思います。

現実の中で妥協しつつも、その限界の中で絶望することなく、絶えずより良い一歩を目指して努力する。今の日本が一番忘れていることかもしれませんね。

う~ん、我ながら年寄りのような意見だこと(苦笑)。

でもね、暗黒の中世などという馬鹿げたことを未だに信じている無知蒙昧の輩もいますが、中世のあの知的活動の成果を知って欲しいですね。

物語の背景にある深い人間性への讃歌は私、共感できます。

単純に美貌の主人公の活躍としてみるのは、薄っぺらでもったいないです。むしろ、主人公は外見的に駄目駄目君でも、良さそうですが、まあ、客がついてこないかな?

ラノベとしては、ちょっと読者レベルがつらいかもしれませんが、通常の法廷劇としては実に良質の作品ですので、好きな方、是非読んでみてね(笑顔)。損はさせません!

数々の紛争を解決する裁判制度の素晴らしさで、評判を高め、自治権をも有する自治都市の法廷士(=弁護士ってところかな?)が主役。

突然、飛び込み客の依頼で都市一番の権力者市長の息子の殺人事件に巻き込まれます。誰もが市長に逆らえない圧倒的不利の状況下、そのままなら100%死刑の評決を覆す事が出来るのか?

どうやら続編も何冊かあるようなので、今後も主人公の活躍が楽しみです。勿論、本書は一冊で完結してますので、ご安心を。

いや、面白いシリーズ見つけた。続きも読まねば!!

法廷士グラウベン (講談社X文庫―ホワイトハート)(amazonリンク)
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2009年09月14日

「神の子(イエス・キリスト)の密室」小森 健太朗 講談社

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正直なところ、もうちょっと面白いかと期待していたんですけどねぇ~。

イエス・キリストが十字架にかけられても死んでいなかった。復活は、仕組まれた陰謀だった・・・というストーリーの小説は、欧米では吐いて捨てるほどあるわけで私も何冊も読んだことあるのですが・・・。

それを密室になぞらえて、解明するミステリー仕立ての小説ということですが、お粗末な結果で終わっています。

ネタバレも何も、この手の話は知っている人は誰でも知っている話を書いて、気にせず、ずばずば書きますので、これから読む方は以下、見ないほうが宜しいかと思います。



でもって・・・。
後書きとかに書かれてますが、「イエスのミステリー」は面白いけど、あれ、まともな本ではないです。さも、根拠のある学説のように著者も語ってますが、冷静になって読めば、あれこそ小説以外の何物でもないです。

っていうか、本書を読むなら、あちらの数倍どころか数百倍、面白いです。自分に都合のいいところだけをつぎはぎしているものの、一見すると大変論理的な展開で、うっかりしていると騙されてしまいますもん!

まともな研究者だったら、つ~か、本当に論理的思考ができれば、そんなこともないかと思いますけどね(笑)。

イエスが東方(インド)で修行していたとか、十字架刑から生き延びてインドへ渡ったというのは、まあ、義経がモンゴル行ってチンギス・ハーンになったとかいうレベルの話で、有名でまともな人は採り上げません。

その手の題材を扱った小説もありますが、本書はいろんな意味で弱いし、論理的な説得にも失敗しています。何よりも面白くないんだもん。

ナグ・ハマディとかトマス福音書、とかもったいぶった割に理解が非常に薄っぺらで、中身がないし、エッセネ派とかに勝手にするな!ってね。まあ、かなり近そうで元エッセネ派では?という説は、よく見ますが、なんの根拠も示さずに、あれはないでしょう。つ~か、笑止!

英語の本も挙げられてましたが、残念ながら私読んだことないですが、おそらく他の本からしても、同様の適当な資料っぽいです。

そんなのだったら、まんま、コーランの記述でも引用した方が良かったかもしれません。

本書以外に「クムラン」とかもっと面白いキリストを題材にした小説がありますので、このレベルで満足しないでそちらをお薦めしたいです。

やはり日本人にキリスト教を扱った小説で、知的好奇心を刺激するだけのものを求めるのは無理なのでしょうか? 少しぐらいあってもいいのにねぇ~。ちぇっ。

げっ!
今、自分のブログ内を検索していて、本書を以前に読んでいたことを発見! 前回も散々否定していたのに全部読み終わっても気付かない、この愚かしさ。

自分で自分が嫌になるなあ~(号泣)。まあ、いいや、書いちゃったから一応、消さずにおきます。一番の愚か者は私自身でした(ガックリ)。

神の子(イエス・キリスト)の密室 (講談社文庫)(amazonリンク)

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ラベル:小説 書評
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2009年08月23日

「残り香」松崎詩織 幻冬舎

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うん、どう言っても通常の官能小説の域を出ないと思う。

シスコンに、学校の先生との禁断の恋愛に、近親相姦に、ロリコンの一通り全ての要素が盛り沢山に詰め込まれている。

作家さんが女性のせいか、非常に抑えた口調に、淡々と進むテンポの為、狂おしいまでの衝動が感じられないのですが・・・。

老年期のお年寄りが、過去の若かりし頃を述懐しつつ、思い出として語るようなノリを良しとするかどうかで評価が変わると思います。

今時の時代的感覚から言うと、食傷気味の背徳感には、時代錯誤を覚えてしまうのですよ。うぶな男の子を手玉にとって、いろいろ教えてあげる的な話は、あ~た、おばあちゃんの語る日本昔話の域に堕してます。

ごめん、私、中学生じゃないのでこんなんで興奮しないし、ときめかない。

また、既存のテーマでも切り口の新鮮さや、捉え方の感覚の鋭さなどが素晴らしい作品なら、それはそれで評価しますが、本書は、どこからどこまでも昔の感覚で、古典の教科書かよ~というのは言い過ぎですが、実際、そんなレベルの感想です。

古い、あまりにも感覚が古い。源氏物語の方が、むしろラディカルでディレッタントっすね。

なんか男の人も単なるニートで、女性は白馬の王子様を待っている的なのは、いささか勘弁して下さい。

この手の読むなら、「植物性恋愛」とか「PINK」、「恋は肉色」の方がマシですね。桜井亜美系の話の方が、面白いネ。

残り香 (幻冬舎アウトロー文庫)(amazonリンク)
ラベル:性愛 書評 小説
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2009年08月22日

「嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん6」入間人間 アスキーメディアワークス

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ひっさしぶりに、まーちゃんが出てきます。やった~(拍手!)。

駄目駄目人間を素で実践し、もうこの人も要らないジャン・・・とか、読者が思ってしまうような恋日先生のニートで怠惰な日常なども。そういやあ~私の周りにもいるんだよなあ~。

時々、私自身がそれに限りなく近くなることもあるし・・・。でも、私がたまにしてたように、国会図書館に籠もるとかの方が似非(えせ)インテリゲンチャぽくね?(苦笑)

まあ、いいんだけどね。

長瀬も出てくるし、こーた君も出てくるし、おっ、この作品、もう締めに入ってる?既に死ぬ間際の走馬灯状態とか?ってか?

いつのまにかコロバインなんとかになってしまう本編と、それに同期せずに全然違うような話がパラレルで進行していきます。どっかで交わるんかい?と思いつつ、少なくとも今回は並行のまま地球を7回転半ぐらい回ってしまって意味ないような・・・。

今回は、まーちゃんへの慣れもあるのですが、大変普通なのです。普通にちょっとばかし頭が軽い感じで素直、だけど自己中。そ~んな可愛ければそれでOK的な女の子の型ではまっちゃいそう。

もうちょい、壊れてるけど純真なまーちゃん像を期待してたのでその点は少々物足りない。かえって、まーちゃんやみーくんを取り巻く周囲のその他大勢のモブの人達が、壊れてるので目立たないんですよ~残念!

ただ、ただ・・・・
最後の最後で驚愕の嵐。だって、えっ、このまま死んじゃうのって困る・・・。つ~か、唐突過ぎて読者が若干一名ついていけてません、先生。

だって、死んだらストーリー終わっちゃうじゃん。いや、これで終りって、形では結末になるのかもしれんけど、久々にエヴァ的な、一瞬記憶が飛びそうな気がしたぞ。あん時は、ネットで放浪しますと書いたきり、旅に出ていたが・・・なんだかなあ~若かりし頃の私(ハズイ)。

マジに読んでいてかなり焦るんですけど・・・。冗談はよしといてくれぇ~。

だが、まだ続刊が出ている事を思い出し、やっと一息つく。いやあ~リアルタイムで読んでいたら、かなりダメージを受けてしまうところでしたよ~。仕事さぼりたくなっちまうぜい。

さて、7巻を読んでみないと分からないが、どうなったんだろう?弾丸の軌道が捻じ曲げられて、稲沢とか撃たれてしまえば、わたくし的HAPPY END ですが難しいかな? 「ファティマの第三の秘密」のようにPOPEの命を救うために、聖母が弾丸曲げたって言われてるぐらいだから、ありっしょ!

と、脳内ストーリー(妄想とも言う)を積極果敢に展開するものの、どうやっても救われないし、救われたら、それはそれで不自然だったりするような・・・。

リアルまーちゃんモドキが欲しいなあ~。暑い夏は、一緒に部屋でごろごろしていたい。つ~今日この頃の感想なのでした。

嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん〈6〉嘘の価値は真実 (電撃文庫)(amazonリンク)

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2009年08月19日

「嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん4、5」入間人間 アスキーメディアワークス

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今回は、ついにやっちまいましたぜ! かろうじて踏み止まっていた(?)ものをつつっと一歩、踏み出しちゃった感があります。

本書を読んで、類似犯が出たら、きっと出版社は販売を自粛という形で規制かけられるんだろうなあ~。個人的には絶版の恐れ有りと見た!

本シリーズ初の前編・後編もの長編になるのですが、まーちゃん成分が足りなくって、みーくんでなくとも苦しくて、恋しくて、愛しくて、どうしょうもなくなってしまいます。嘘だけど。(いや、嘘じゃないです!!)

これほどまでにまーちゃん for you とか only you とかなると思わなくなるくらい、I'm dying for まーちゃん!ってなくらいになりますね。うん、間違いないです。

まーちゃんが出てこないのに、読んでいてひたすらまーちゃんばかりが気にかかるのですが、みーくんは、実は努力家であったりすることが本書を読むと分かります。みーくん、えらい! 頭をなでなでしてあげたくなるくらい。嘘だけど。

なんつ~か、グロくないし、エロくもないけど。容赦ないかな?いつもより。

まーちゃん成分の希薄さをゆずゆず成分で代用しちゃってるけど、これまーちゃんのいぬまに心の洗濯(選択?)とかって奴?

選ぶまもなく、みーくんはリアルまーちゃんしかないのだけれどね。

読んでない人には、全然分からない文章であることを自覚しつつ、ネタばれは書かないでいる私を誉めて欲しいかな♪ 

唐突に、お話などを書いちゃうと、まーちゃんがみーくんのお顔を忘れてしまって・・・ふとあちらの世界に二泊三日の予定で行かれてしまいます。みーくんは、置いてけぼりが嫌でまーちゃんをかりそめの現世へ引き戻すべく秘密のアイテムを入手しに冒険へと旅立ちます。

桃太郎よろしく手下を従えていくことポイント! 様々なダンジョンを巡る間に、脱出不可能な迷宮のラビリンスへと紛れこんでしまうのです。でもって、みーくんが逆に現世に帰ってこれなくなってしまうという学生さん故にプレイ可能な長期休暇を全て消化しても足らないくらいのゲームへ参加したのでした。

うん、たぶん、だいたいは合ってるよね。既読者の方々。

密室殺人事件な訳ですが、エラリークイーンなどとは違うのは、犯人探しの過程で明らかにされる容疑者の心理でしょうか? しばしば止むに止まれぬ事情を抱えて、人間の心の闇とかを描いたりするものなのですが、みんな淡々として清々しくって・・・。

妙に平坦で、シンプルで自己中なのは、今時普通過ぎるくらいなのですが、やっぱ著者の描き方はなかなか秀逸です。僕、好きだなあ~。

唯一の欠点は読者であることを誇れないところと、もし自分が著者だったとしても絶対に周囲には内緒にしておくだろうなあ~ということ。

へんに作品を理解されたフリをされても、違和感あるし、何よりも気まずいっしょ。マジに。

でも、登場人物の心の動きが共感とはいかないものの、分かりそうな感じがするのが・・・正直、自分的に微妙だったりする。軸が違うだけでみんな良い子だからねぇ~。まさに今時の人達だったりする。先日読んだ「あぶない脳」的に言うと、必要な時期に必要な社会経験が無くて、大切な言語のシンボル化が獲得できない人達なんでしょうね。

うんうん。

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【以下、本書より抜粋】
「みーくんが生まれてなかったら、まーちゃんは涙で枕を作っちゃうところだったのです」

「・・・・まーちゃんは多彩だねぇ」作れるか、と内心に備え付けのキーボードで打ち込みながら。

少し想像してしまう。

みーくんがいなかったら。

まーちゃんは、別の幸せを手放さないで済んだかも知れない。

「まーちゃんの誕生日も盛大に祝わないとね」

そして今、マユはここで僕に騙されていないわけだ。

・・・・う~ん、微妙だ。

「おお、まーちゃんに内緒のぷれぜんとなんてあったりするのですね」

「いつも一緒にいるから、秘密にするのは不可能かな」

「にゅふふ、そだね」と僕の後頭部に手を伸ばし、一層に抱き合う形へ持っていく。

ごしごしと、僕の首筋に無理に顔を突っ込んで、頬ずりしながら、

「生みーくんいる!生まーちゃんいる!幸せだらけで、嘘みたい!」

なんて、全肯定を公(おおやけ)とするマユ。生なのは、片方だけなんだよねぇ~。

欲が一面を除いて欠落しきった故に、磨き抜かれた不純を内包する精神の終着点。

「まーちゃんねー、一人だと自分のこと全然好きじゃないの。でもみーくんがまーちゃんって呼ぶとね、なんかいろいろ気にならなくなること山の如しなの」

どっちだよ。

「だからみーくんは、まーちゃんのものじゃないと駄目なんだよー」

「・・・・そーね」もの凄く強引な自己への結び付け方だな。まーちゃんは蝶結びも人任せだからなぁ(嘘である)。
こういう文章が飛び交う訳ですが・・・バカカップルのそれと同一にして、それでいてもうちょい深い。自己のアイデンディティーが結局、自己をそれと認めてくれる他者の認識を必要とする訳で、その他者も自分が他者と認めたもので無ければ路傍の石がいくら誉めても、自分を自分としては納得できない、つ~あれだと思ったりします。

まあ、そんな感じっすね。結局、人はそれでしか、自分が自分でいられないんですから。

まーちゃんの為に必要だから、みーくんに早くダンジョンを抜け出して欲しいなあ~と痛切に思った。僕なら、ゆずゆずでも十分に自分であることを確認できるのだけれど・・・。

絶版にならないうちに、読んでおきましょう。もう、駄目な人はね。

駄目じゃない人は、読んじゃ駄目ね。壊れちゃうと困るから・・・勿論、嘘だけど。

最後に、前回の書評に貼ったまんまの結末ジャン! 戸川純の世界か。読まずして予想しちゃった私って・・・。

嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん〈4〉絆の支柱は欲望 (電撃文庫)(amazonリンク)
嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん〈5〉欲望の主柱は絆 (電撃文庫)(amazonリンク)

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2009年08月15日

「絶望の書・ですぺら」辻潤 講談社

エッセイとか小説とかの断片を束ねたもの。ロンブローゾの「天才論」の翻訳で著者を知っていたので読んでみたのですが・・・。

いらんなあ~この手の本は。何を思ってのキリスト教徒だったり、放浪の日々か知らんけど、本書に書かれていることに共感も覚えないし、何らかの意味も見つけられない。

ただ、ただ時間の無駄ではないかと・・・・。

同じ無駄なら、他人の読むより、自分で適当にダラダラ書いてる方がいいな。自分の日記とかの方がよほど面白い。

自分以外の人と、飲みながら話す方がよほど楽しい♪ 旅先で知り合った人との会話や、初めて見る景色、ふと気付く些細な事。著者の経験を追記しなくてもいくらでも自分で体験できるものの方に価値を思えます。

何を思っての絶望なのでしょうか? 正直うざい。希望があるなら、努力すればいいし。絶望しかないなら、生きていてもしかたないと思うのですが・・・。

どんな環境でも、「努力」というとおこがましいが、とにかく行動すりゃいいジャンで終りです。もっとも私も暇になると、考え過ぎてしまい、どうにも現状のまま生きていることに耐えられなくなって・・・ふと現実逃避しちゃうから、人の事言えないなあ~。現実逃避だもんな。

ただ、絶望したことはないけどね。電車に飛び込みそうになったことはあったけど・・・。

まだまだ、やりたいことのある私には、本書を読む無駄な時間はありません。お薦めしません。

絶望の書・ですぺら (講談社文芸文庫)(amazonリンク)

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「辻潤全集 (第5巻)」辻潤 五月書房
ラベル:書評
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2009年08月10日

「戦う司書と恋する爆弾」山形石雄 集英社

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人が亡くなると、その記憶が本になる。土中に埋もれて化石化した本を探し出し、それらを集めて管理する図書館と、そこで働く司書達。

そ~んな架空の世界を舞台に物語は進むのですが、うん、文章はしっかり書かれているし、起承転結も問題ないけど、読んでいて全然面白くないのです。

だって、登場人物に萌えないんですもの・・・。

カッコいいのもいないし、性格のきつそうで争いごとの好きな女性は、興味の対象外だもん。それ以上に、物語そのものが淡々と進み過ぎ。

歪んだひねりはいらないですが、読者にシンプルな驚きを与えるぐらいの力量は見せてもらわないと・・・。文体(スタイル)で読ませる作品でもないし、構想力が非凡というわけでもない。

個人的には、大変つまらない作品でした。

やっぱり、みーくんとまーちゃんの本を読もうっと!!
いいんだい、僕は壊れちゃっても・・・心に毒が広がる自虐的な喜びに溺れる私です。

戦う司書と恋する爆弾 (集英社スーパーダッシュ文庫)(amazonリンク)
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2009年08月02日

「やみなべの陰謀」田中哲弥 早川書房

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読み終わり、解説部分を読んで初めて、電撃文庫で出たものを改めて早川出版より出したものと分かった。

でも・・・SFの早川で出すべきだったのだろうかと素朴な疑問を覚える。

私には駄作(ダサく)にしか思えない。これを傑作という価値観に、私はついていけないものを感じてならない。

SF的な本質部分に迫るようなアイデアって、本書にあった?

SF的な舞台設定を使った小説でしかないと思うし、実験的といっても、解説で言われているような筒井康隆氏のあのラディカルで、刺激的な作品と同一視するほどの価値が見出せないんですが・・・・!

確かに随所に、ちょい新しげなアイデアあるんですが、面白いとも思わないし、感心も、感動もしない。

牧野氏の作品などの方がはるかにSF的に面白いアイデアとお笑いが詰まっていると思うのですが・・・???

SFとしても、お笑いとしてもどちらにも中途半端で、あっというまに埋没すべき作品だと思います。

読み通しても私には意味が分かりませんし、分からないことで余韻があるのでもなく、ただ不快感がいや増すばかり。

なお、解説者の解説も更に悪い印象を覚える。作家が多作か佳作かなんて、どうでもいいでしょう。素晴らしい作品は、たった一作で全てを変え得るが駄作が大量にあってもゴミが増えるだけだしね。

時間の浪費をしない為にも、SFファンには本書をお薦めしません!

やみなべの陰謀 (ハヤカワ文庫JA)(amazonリンク)
ラベル:SF 小説 書評
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2009年07月29日

「灼眼のシャナ」高橋 弥七郎 メディアワークス

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ちょっと前にアニメ化されていたのは知っていましたが、あまり関心がありませんでした。たまたま目に付いて、読んでみました。

ラノベらしいラノベと言えばいいのでしょうか? 若者にありがちな日常から脱却してみたい、なんの努力もせずに、たまたま降ってきた契機によって、ありきたりの世界が変わる。

そ~んな、ありがちなベタな設定まんまの世界です。

いやあ~、まーちゃん&みーくんの一見平和な壊れた世界の幸福感とは、隔世の感さえある、ラノベです。

一切の刺激はないものの、ほのぼのとした心の交流があり、駄目っぽいのび太君が少し成長するかのような、酷薄な期待感を抱かせるハートフルな異世界物語です。青春しているねぇ~、うむ。

読んでて悪くないし、嫌な読後感も無い。でも、何も残らない。強いてあげればそれが欠点かもしれませんが、その前に読んでた小説が、刺激強すぎたのでいい緩衝材になったかもしれません。

読んでも悪くないけど、特に読まなくても私的には差異がないかも。そういう小説でした。(とても同じ電撃文庫とは思えない!)

灼眼のシャナ (電撃文庫)(amazonリンク)
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2009年07月26日

「嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん3」入間人間 メディアワークス

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今回は、ぞくぞくする精神的崩壊感というよりも、一つ間違うと安っぽいスプラッターになってしまい、特定の嗜好の読者層に受けてしまいそうだが、その意味では安心していいです。しっかり精神的にヤバイです。

まーちゃんは、まーちゃんらしさ全開(全壊?)で、もう究極レベルで抱きしめて手放したくないくらい、危うい(あぶないではない!)のでたまりません。みーくんのように、どうでもいい自分らしさ、アイデンティティーなんて即刻放棄して、まーちゃんの求める『形』であるところのみーくんで終わってしまってもいいと思っちゃいます。

そんくらい魅力的なまーちゃんが描かれています。いいね、妥協や虚飾が無くて、素敵な理想の世界の住人であることがうかがわれます。もっとも現実には有り得ないから理想なのであって、その世界に生きるには、現実の世界で実質死なねば、ならないのですが・・・・。

みーくんの家庭環境が、今回はいろいろを明らかになります。まあ、CNNとか見てると出てきそうな、ご家族ですね。日本でなら、尊属殺人での違憲判決の事例を見れば、ありえるお話であって、絵空事の物語ではないなあ~と思います。

まあ、いろんな環境で、いろんな人がいて、いろんな事があるんだけど、それでも人は生きていくんですよ。死ねば楽という人は死んじゃえばいいのであって、死ねない、死なない人は、現実世界との齟齬を感じつつもそこで共生していくわけです。

まーちゃんは、能面の表情で世界と話をつけ、みーくんは自らの発言を嘘とすることで、やりくりをつけていたりする。

まあ、私なんかは、学校でも職場でも、優等生や真面目(そうな)社員と外形を整えることで、周囲から独自の距離を保ってきましたが・・・会社の飲み会、大きなもの一次会しか出ないし・・・。

個人としての人には興味あるけど、同僚や上司、部下としての人には、勤務時間以外は、一緒にいたくないもんなあ~。そんな訳で企業城下町にはいられないかったのだけれど・・・。

チョコね、大イベントですね。掛け値なしに善意から出た残虐行為(賞味期限切れ、毒物菓子)は背筋が凍りますね。

そうじゃなくてもみーくん、不死身なんでしょうか? あれだけ、殴られて蹴られ、刺され、落とされ、生きているのは僥倖としか言えません。でも、みーくんは、まーちゃん残して死ぬのは難しいんでしょうね。希望とか、優しさとかそういった次元ではない、宗教の教祖様的カリスマありますから、まーちゃんって!

まあ、しょうがないですよ。自分(&まーちゃん)の幸せ、というか存在の為に、周りが犠牲になるのは止むを得ないもの。進んで周囲に関わりを持つ気は無くて、進んで周りを犠牲にする気はなくても、それが必要なら躊躇わずに行動を移すところは、基本ですね。ハイ!

ダラダラと行動せずに、悩むほど人に時間はないのですから。直観とパターン認識でOK。間違ってたら、気付いた時点で最良の行動をとりゃいいんです。

殺される蓋然性があるレベル以上にあるならば、躊躇わず、こっちからやるか逃げるかしかありません。やる自信がないならば、ひたすら逃げるのが王道でしょう。

そういやあ~昔私もいじめられかけたことあったけど、相手のスキをみて道具使って徹底的にボコボコにしたら、二度と寄って来なくなったっけ?

やる時は、手加減せず、徹底的に相手の反抗心や復讐心を抱けないほどやるのが基本です。お仕事の取引先や部下にも、これは有効ですね。

勿論、大人としてはフォローもしますが、どこの世界もなめられたらおしまいなのは、一緒です。

まーちゃんをなめるような態度を取れる人はいないでしょうけどね。もっともまーちゃんをなめるみーくんはいますけど・・・。

今日は偏頭痛に憂鬱さ一欠けらを加えた素敵な休日の開幕で、本書を読んでいたら、自分の精神の危うさをふと思い出したりしてしまいましたよ~(苦笑)。

選択は大切。人生は選ばれなくとも、選ぶ苦行はつきものです。みーくんも選ぶべくして選んだりしてますしね。どうせ死ぬなら、まーちゃんにちょっかい出したがる稲沢死んどきゃいいのに・・・。

続刊で死んでそうだけど・・・。まあ、後の楽しみですね。

読む人によって、いろいろと思うところはあるでしょうが、大切な人(家族や恋人、友人等)を改めて大切にして、小さな世界で生きていきたいと思った。

しゃーないです。かりせめの役柄を明日もせねば。まあ、それで均衡が保てるのなら、たいしたことない義務ですね。学生の時に、学校へ行く事がどれほど精神的苦痛と引き換えであったかを思えば、会社で黙々と仕事してる方が楽かもしんない。

少なくとも、学生の時よりは、自由時間あるもんなあ~。夢はないけど、今は生きてるの楽です♪ 僕には僕のまーちゃんがいるしね。

確かに、深夜絶叫しないまでも、それなりに精神的揺さぶりをかけられたりもしますが、まあ、耐えられる範囲ならいいんでしょう。

この本を読んでいて、ふと戸川純の歌を口ずさんでいたりする「好き好き大好き」とか「オーロラB」とか。「肉屋のように」は、そのまんまか(苦笑)。この手の曲ばかり聞いて思春期過ごした私に明日は無いってか・・・?

嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん 3 死の礎は生 (電撃文庫 い 9-3)(amazonリンク)







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2009年07月22日

「嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん2」入間人間 メディアワークス

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もうね、前巻読んでから、続きが気になってしかたがないのです。各巻毎にきちんと完結していて、次巻へと引っ張るような姑息なことではなく、どうしてもみーくんとまーちゃんが気になるのですよ・・・。

二冊目に入ると、読者側にも慣れというかある種の心構えができてしまうようです。驚愕ではなく、そのまま現実の世界と区切りがつかないまま作中の世界(価値観)へ、普通に入っていけてしまうのです。

でもね、大人は・・・というか社会が何が正しくて何が間違っているのか? どいつもこいつも嘘ばっかり言って、その薄っぺらさがすすけて見えてしまっている、価値観の揺らぐ現実世界においては、人は砂を噛むようにしか生きている実感を感じられないのも事実。

学校とか、友達とか、親とかそういった周囲の関係やら、種々の規範が揺らぎ、崩壊し、変質しつつある今だからこそ、人は本書のような価値観を距離を置きつつも、(肯定はしないまでも)許容してしまうのかもしれない。

一時話題になった県内統一テストをする県に住んでいて、200満点のテストで197点を取った時、さも自分たちの教育方法が良かったと自慢していた中学教師達、マジ死ねとか思ったもの。私は学校の授業は一切聞かずに(つ~か無視して)塾通って、自分で参考書で勉強しただけだし、お前らには、何一つ教わってないと、よっぽど面前で罵倒しようかと思ったけど、勇気が無くてできなかった。

荒れた学校で、問題起こした連中を学級委員の私の班に押し付けようとして、修学旅行なんか行くのやめますと言ったら、手のひら返して、彼らに自由に選択させようと言った担任教師、人間として最低だと思ってます。未だにね。

うん、表面的に優等生ながら、人類なんてみんな悪い奴ばっかジャン(元来、性悪説の信奉者)、皆殺しにした方が世界の為ジャンとマジ、思っていましたから。

そうだね、みーくんだけじゃないですね、自分を偽って生きているのは。別にペルソナとかなんとか言わなくっても、自然にその場、その場に応じて幾つかの『自分』を使い分けているのは当然でしょう。

決して、無理して繕うってほどではなくて、自分の中にある面を時に誇張し、時に矮小化して演じる、そ~んな感覚です。特に違和感無い範囲でやるのがコツ。無理した演技は、崩壊するし、自分が演じ切れないものは、駄目な舞台になってしまいます。

目立つ必要は無いのですよ、周りが求める姿というのが、たいてい存在し、それに適合するもので自分の演じれるものを演じると、面白いように周囲の人は、それをそれとして受け入れます。

稀に、本質的なものまで見抜く人もいますが、それはその人にだけ、時折、ちらりと本性を見せれば、分かってくれます。たいていの場合は、人は自らの見たいものしか見ませんから(乾いた笑い)。

まーちゃんは、演じる意思なくして、特徴のあるキャラを演じていますが、みーくんの基本、消極的ながらも、必要があれば、あえてキャラを演じ切るのもアリですね。なんか、勝手に痛いほど同感しちゃいます。

昔だったら、「エヴァ」でその後、西尾維新を経るまでは、特殊な『物語世界』という道具立てが必要だったんだけど、本書においては、一切の非日常さがないまま、普通の日常でそれらが繰り広げられる怖さがある。

勿論、「事件」をどのレベルの日常に位置付けるかにもよるかだけれど、ごく普通の延長線上にあるのですよ。この事件って。

そして、その状況下でも、まーちゃんは自分的認識世界しか認めず、関わらず、逆にみーくんでさえあれば、それは誰でもいいという形式主義に陥ってさえいる。

まさに自分中心主義の世界観・幸福感なのです。そして、自分が自分であることのアイデンディティーさえも放棄して、単純に自分の側にいて欲しい人を惹き付ける手段として、自らの存在をも手段と化す、救いようのないほどの利己主義者のみーくんがいたりする訳です。

そんな危うい世界でも、自分(達)が幸せに感じられるなら、それでいいじゃん!というまさに正しい幸福追求者だし、同時に最低な利己主義者に他ならないのです。

合理的経済人、な~んて仮定は、効用の尺度を「個々人固有の幸せ」と置き換えれば、まーちゃんやみーくんになるのですよ(ハハハ)。

だからこそ、自分の幸せに無関係なら、例えブランド物のバックを購入するお金で、たくさんの難民の人の命が救われても、無価値なマークが入っているだけのバックを買う人がいる訳で、同様に、誘拐されたきた子供たちが極悪な労働環境で酷使されて作られる製品を、安くていいと100円ショップなどで買う訳です。

私も寄付なんかしませんし、100円ショップでよく買い物してます。でもね、私と同じレベルの人がエコとか世界平和とか言うと、虫唾が走りますね。

国連の決議には従わなければ・・・などとほざく方々は前アナン事務総長の馬鹿息子がイラクの石油管理会社からくすねた数兆円相当の資金とか、どう思っているのか小一時間問い詰めたいですね(時間の無駄だからしませんが)。

とまあ、世をすねてひぬくれてる私ですが、どんな国でも、どんなとこにいても困っている人を救ってくれる本当に良い人がごく少数でも確実にいること知っているのでね。なんとか絶望の淵に留まって落ちずにいる感じです。

本書の中にも、理解し難い形での優しさの形が、ちらりと出たりするのですが、それがまた心に来るものがあるのですよ~。

決してお薦めはしませんが、自殺するくらいなら、こういう本もいいかも? 自分自身の為に、自分の幸せの為に生きればいいじゃん、と思えたりする本です。まっ、その前に死ぬほど悩めって!!

さて、少しだけ本書のストーリーを。

前作続きで、ケガをして入院したみーくん。お見舞い、つ~か、側にいたいというだけで側にいるまーちゃん。
そんなまーちゃんが、何気なく死体を見つけます。まあ、なんでもないどこにでもある死体だし、まーちゃん的には何でもないありふれたことなんだけど・・・。

みーくんは、心配性でまーちゃんの幸せという反射的利益の自分の幸せの為に、勝手に探偵さんをやってしまうといういつものパターンになります。

そこに出てくるのは、何故か言葉の使い方がいろいろな意味でおかしい方達。でも、なんとなく憎めないし、いそうなのです。以前の職場には、これに近しい方いたしなあ~。

そんでもって、いろいろあって、みーくんとまーちゃんは、幸せなバカップルなままなのでした。チャンチャン(終り)。

ついでに、過去のお話と言うか、黒歴史が・・・・。

まあ、最近アニメの「化物語」にはまっているせいか、あやうく八九寺と脳内変換しちゃうキャラとかも出てるが・・・まあ、それには触れずにおく。

う~ん、アニメ化したら、迷わずDVD買います、私。


嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん 善意の指針は悪意 2(電撃文庫 い 9-2)(amazonリンク)

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2009年07月15日

「嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん」入間 人間 メディアワークス

usotuki.jpg

偽善者が死ぬほど嫌いなみっちー(一部ではみっちぇるとも言う)です。

感情を無くした病んだ人を描いた作品は、多々あれど、これは久しぶりに心の奥底のものが揺さぶられるような感じに襲われ、そのまましばらく鬱で精神活動が停止しそうになった作品です。

これが公共の図書館で、ラノベの作品が並ぶ中、同じ棚に「走れメロス」「こころ」とかと一緒に置かれている、その事実に衝撃を受けてます。

私は、こういう作品に非常に弱くて、ついつい読んでしまうし、自らの過去や周りの病んだ人達を思い出すたび、ある種の感情がフラッシュバックしてしまうのですが、それでも欺瞞つ~か、自己満足であっても未来のある若い人に読んで欲しくない作品ですね。

エロ小説とか、言葉は悪いがレイプ小説のような方がなんぼかマシでしょう。本書は人としての根本的な部分で絶望以外の何物も感じられなくなりそうで怖いです。

検閲が如き、言論の自由には断固として反発しちゃう私ですが、この本だけは発禁した方が日本の・・・世界の為ではないかと思ってしまいます。

マジ、やばいっスよ~これ。

文章は、もう平凡過ぎるぐらい淡々としていて、うまいとか下手とかそういう次元以前の個人日記レベル。思考がポンポン飛んで、脈絡が欠如しちゃうのも含めて、いや、それだからこそ、生々しいんですよ。

身近に、リアルに感じられちゃうし、自分とは違う世界の人なんだけど、ひょいと作中の世界にいけそうなその距離感の無さが本当に怖いです。

最初から精神が壊れていたり、歪んでいたりするわけではなく、生きている、その事実故に、環境にただただ対応した結果だけでしかない、そんな人の限界を感じる。

やってることが滅茶苦茶なのに、それがある種の制約を外された純粋さになってしまっていることがもうどうしょうもなく辛い。悲しいのに・・・同情できない。

なんかなあ~、世界中の人間はエゴにまみれて汚らしく、みんな死んじゃえばいいと本気で思っていた幼少の頃の私には、なんとも言えない感慨があります。

エコとかほざいている奴が車乗っていたり、エアコン使っていると、首絞めたくなる衝動は、さすがに抑制できるほど、薄汚れて世間に対応できるまでに成長(堕落)した私ですが、まだ、本書の中の感覚分かるなあ~。

学生時代に、馬鹿のように多数決をとれば、それが民主主義だと思い込み、多数派にいることで安心感を覚えている奴を、完膚なきまでに論破するのに情熱を燃やした歪んだ私には、この本、毒だね。

駄目、こういうのなんか好きなんだわ。でもって、類友で病んだ奴が集まっちゃうんだよね。そして、お互いに共感できるから、甘やかして、傷なめあって、更に低い次元に落ちていく。

駄目な奴は、そうやって駄目さ加減を増していくのをどれほど多く見てきたことか・・・。ふう~。

本書の話ではないが、微妙な内容のメールのやり取りで、お互いにやばい気配が漂ったメールの後、延々と夜中起きていて、翌日の朝になってもメール待っていたり・・・。

気になって、寝れないんですよ。そういう人は・・・延々とみーくんを待っているまーちゃんと同じ精神構造で、同じ行動だったりします。24時間、あるいは、数日間、そんな状態が続くのですよ。リアルに。

当然、周りの人間を巻き込み、破滅させていくのも定番の通り。ははは・・・それで破滅しかかった私がいるもんね。

それで会社を辞めたり、学校を辞めたり・・・、まあ、どっちゃでもいいんだけど・・・ね。

まさか社会で働くなんて、絶対に自分にはできないと思っていたのにこうして働いている、今になっても生きている、10代の頃には、ありえない話でしたもん。

人間は凄いです。どうしても&どうして、生きていたりします。いつ死んでも、いいような気で生きていたのにね。

本書は死んだほうがいい(であろう)人達が、何故か生きていて、彼ら自身の『生』を生きている、そういうお話です。既に人であることを辞めていたりするんだけど、そこに垣間見える、切ない人としての性(さが)も苦しいです。

無償の思い、無償の愛、無償の善意。

明白なる嘘は、優しさの代用品になるのですよ。粗悪品の模造品ではあるものの、置き換えてもぱっと見、どちらも表面的な事態を流している機能は似ているので、それで済んでしまうのです。

でもね、切なさがまとわりつくのも事実であり、優しさは苦しいのですよ~。苦しくない優しさは、自己満足の自己顕示行為でしかないのだし・・・。

やばい、支離滅裂で脳内をグルグルしそうなのでここらで止めておこう。私は、この続編を確実に読みます。

でも、幸せに今まで生きてきた方は、読むべきではないし、読んでも面白いと感じられる人もいないでしょう。そもそも、読者(読書)は共感でしか価値を見出せないものですし・・・。

最後に本書は悪書です。

余計なお世話ながら、本書を読んでいる人がいたら、距離を置いておくのが無難です。それが貴方の幸せに繋がります。きっと! 

ヤンデレとか戯言のいーちゃんは、アニメにできるけど、本書をアニメにしたら、即、犯罪ですね。正常と異常の境界線を踏み越えてしまった感があるのですよ~。

監禁事件にあった被害者が、加害者へと転化し、負の連鎖をつなげていく設定だけでも、最悪ですが、登場人物達の心情が更にまずかったりします。

でも、幸せにはいろんな形があるので、また切ないのですよ・・・(涙)。
ーーーーーーーーーーーーーーー
ちなみに・・・本書のやばさの本質は、狂気を知らない人には想像できないようです。パターン化した狂気とは、一線を画す微妙な雰囲気のリアルさは・・・きっとそういう人達と付き合ったことないんでしょうね。幸せな方達が、本書を多数読んでいる事を知り、別な意味で安心しました(笑顔)。

嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん―幸せの背景は不幸 (電撃文庫)(amazonリンク)

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「責苦の庭」オクターヴ・ミルボー 国書刊行会
「きみとぼくの壊れた世界」西尾維新 講談社
「セーラー服で一晩中」1~4巻 白倉由美 角川書店/a>
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2009年06月20日

「斜陽 他1篇」太宰治 岩波書店

何をいまさらという気がしないでもないのですが、ふと読んでないことを思い出し、かつてのフジテレビの深夜番組「文學ト云フ事」でやっていたことを思い出した。

緒川たまき、好きだったなあ~♪

さて、「斜陽族」とか言葉がかつて流行ったそうだが、私は「社用族」ぐらいしか知らないなあ~。それぐらい文学が人々の心を捉えていた時代の小説である。

さすがにうまいです。冒頭の貴族のママは、俗世から一歩抜きん出ていて、存在そのものが貴族なんだなあ~。作中の家族からの視点に共感しないではいられません。

むしろ、それと対照的に子供達の俗っぷりがいろんな意味で鼻につく、というのが第一の感想ですね。勿論、ある種の憐憫というか、失われし時代の哀愁とでもいうものがあるのですが、貴族くささではなく、単純にその優柔不断さ、他力本願さ、自己愛といったものがまさに鼻持ちならないのです。

つ~か、弟、周囲に迷惑をかけずにひとりでひっそりと即、死んで!っと思わずにいられません。まあ、死ぬんだけど、さんざん好きなことして周囲を不幸にしたうえで、僕は誰よりも苦悩してたんだ、などという愚者の愚痴に耳を傾ける気も、度量も私にはありません。

というか、相当むかつきます。なんだかんだ言って、自らの巣に戻り、一人で誰からも省みられず孤独な死を迎えるだけの気持ちもないまま、安っぽいプライド持たれてもねぇ~。

本当にタチが悪いです。別にいいんです。当人が死のうと生きようと、私はその人の意思を尊重しますが、そういう奴に限って、周りの人間まで不幸に陥れようとするからなあ~。

自傷癖があろうと腕にリストカットの傷が残っていようが、そりゃ貴方(貴女)の勝手ですが、こちらに甘えてくるな!ってネ。まあ、私もその手の人に関わってしまった記憶がありますが、中途半端な同情は、お互いにとってマイナスで負の連鎖というか、不幸の伝播でしかないのを身をもって知りましたので、速攻切ります。つ~か、切らねば駄目です。

何故、民衆に混じろうとするのか、それ自体が既に理解不能ですけどね。人はみんな違うという、個人主義の本質が分かれば、そんな馬鹿な心情には至らないはずですが・・・。

大衆に迎合する事と、時代に合わせた生き方をはき違えている感じがしてなりません。

本当の意味での宮沢賢治の行動なども、私には、あくまでも自己正当化の為に利己的に行われた『偽善』としか思えませんが、太宰の場合は、偽善としての取繕いが無いのだけは救われますかね?

もっとも、かえって露悪的な悪趣味の感じがしないではないですが・・・。

なんでもいいから、ちょっときっかけがあっただけの男の子供が欲しいと行動し、妊娠した様子なのを喜ぶこの女性は何? 

金目当てのキャバ嬢の方がはるかに考え方が純真で偽りがなく、素敵なんですけど・・・。生き甲斐がないから、無理に虚構の「恋愛」を作り出し、それにああだこうだと理屈をつけて、ああ~もう、うっとおしい。

M.C.・・・・だって!
この手の耐えらんないんだけど。

革命とか主義主張なんて、どうでもいいんです。どんな政治体制だって、組織だって、要は上に立てば、権力が手に入る。そこが肝要であって、あとは何も変わりません。日本なんかよりもよっぽど競争が激しく熾烈な中国は、資本主義じゃないんだ・・・。

石油や鉄鉱石を外貨で買い漁る某国には、資本主義なんて考えはネ(笑止)。

今だったら、ニートやらなにやら人生をドロップアウトした人の共感を得るのでしょうか? 太宰は。金持ちのボンボン以外の何者でもないのだけれど。最後の最後まで、親の金じゃなかったっけ?

一人で誰の迷惑もかけずに死んで欲しいものです。つ~か、早くこういう人達は社会からいなくなって!

一生懸命頑張って、努力している人もたくさんいるし、そういう人の足を引っ張って不幸を広めようとする人を社会は許容すべきなのでしょうか? 新派の刑法で、予防的に捕まえて強制収容所でもつっこんでおきたくなります。そんなこと言ってる私がいれられなくもないですが・・・危ない&危ない。

とまあ、大変イライラさせられる小説ですが、逆に言えば、それだけ心に何かしらインパクトを与える力を持った作品と言えるでしょう。好き嫌いは別にして。

悩んでいる人なんて、いくらでもいます。死ぬ事を考える人だって、たくさんいるでしょう。ただね、そこから、どうするかがその人の価値だし、人生そのものなんだけどね。

何も持たずに、どっかの山奥でも放浪すると、『生』を実感できますよ。絶食を2、3日するだけでも感覚が鋭敏になります。会社に通勤してるだけで、生きていると思えるなんて、嘘くさいです。

いつ刺されるか、いつ藪から銃で撃たれるかと思うと、何故かかえっていきいきとして生を実感できちゃう人間って不思議です。中南米でも放浪してきて下さい。たぶん、甘っちょろい奴は、死ぬけど。そういうのは死んだ方がいいので。

久々に負の感情をふつふつとたぎらせてくれた小説でした。思わず、ゆとり教育用のテキストに最適?とか思っちゃったかも(笑)。


斜陽 他1篇 (岩波文庫)(amazonリンク)
ラベル:小説 書評
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2009年06月07日

「鬼を斬る」藤木稟 祥伝社

藤木氏の作品は、独特のクセというか世界観があって、基本的に好きな作家さんですが、モノによっては読まなくていい程度のものが混じったりして読む前は期待半分、不安半分という感じでした。

で・す・が・・・。

今回は藤木氏らしい、持ち味が出ている作品でした! 読んでいて面白かったです。こういうのスキ♪

設定は、お得意の明治時代。廃仏毀釈の嵐の吹き荒れる中、急速な中央集権を進める為に、政府は無理して変革を求めます。

フランス革命で、貴重なゴシック建築を初めとした建物、ステンドグラス、聖遺物、手彩色写本等々が無残にも破壊されたのと同様ですね。時代の変革期、人は『従来を価値観を体現するものを破壊する』という行為でしか、新しさを表現できないんですね。愚かな・・・。

まあ、それはいいんですが、当時の日本も神仏習合の伝統を否定する為に、至るところで分離政策が強行されました。そんな時代を背景にして、政府の命令でとある神社を復興し、それに関係する橋を建設しようとします。しかし、それは迷信と一蹴される【鬼】を呼び起こすことに・・・!

朱雀の血縁者が出てきますが、今回は、活躍の方向が微妙に違います。でも&でも、あのニヒリズム溢れる態度は、好きなんですよ~。かつての私みたい。もっとも私はそんなに博識ではありませんけどね。

相変わらずの日本らしさ(土着のドロドロの怨念やら何やらが混在したもの)を描かせると素晴らしい味わいがあります。これぞ日本!ってな感じですので、その手のもの好きな方お薦めします。

電子立国日本とかとは、真逆の日本像ですが、これもまた日本って奴です(満面の笑み)。

短編の少~しだけ長いものってぐらいですぐ読めちゃいます。

鬼を斬る (祥伝社文庫)(amazonリンク)

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「ハーメルンに哭く笛」藤木 稟 徳間書店
「黄泉津比良坂、血祭りの館」藤木 稟 徳間書店
「黄泉津比良坂、暗夜行路」藤木稟 徳間書店
「夢魔の棲まう処」藤木 稟 徳間書店
「陀吉尼の紡ぐ糸」藤木 稟 徳間書店
「大年神が彷徨う島 」藤木 稟 徳間書店
「上海幻夜 七色の万華鏡篇」藤木 稟 徳間書店
「陰陽師鬼一法眼〈壱之巻〉」藤木 稟 光文社
「鬼の風土記」服部 邦夫 青弓社
「鬼」高橋 克彦 角川春樹事務所
節分にちなんで鬼鎮神社のメモ
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2009年05月23日

「QED 竹取伝説」高田崇史 講談社

実はQEDシリーズは、初めて読みました。

どの本がシリーズ最初かよく確かめなかったのですが、シリーズ途中からにもかかわらず、違和感なく読むことができました。まあ、登場人物には違和感なかったのですが・・・。

作品中の種々の解説は、「はあ~?」と小首をかしげてしまうものがあまりにも多く、よくあるタイプの薀蓄ものとしては、いささか度が過ぎているような気がしてならない。

つ~か、この小説に私は論理性を感じられませんでしたが・・・。

専門外の方が、自称研究家と言われる方々が思いつきと偏見で述べる歴史的・民俗学的解釈(もどき)を適当につまみぐいしつつ、自らの都合の良いように取捨選択後、そこにかなりの牽強付会と独りよがり成分を混ぜ合わせて書いたような小説です。

本来(?)の推理小説としての物語は忘れ去られて、著者が述べたいとある主張をする為の舞台作りとしてしか、この小説は存在していないようにも感じられた。

端的にストーリーがつまらない。説明が???だらけ?

たたら製鉄や出雲大社などは私も知っていましたが、その部分だけ見てもそこかしこに論理の飛躍が見られ、それがストーリーの面白さにつながっていない。ダ・ヴィンチ・コードのようなストーリーの為にあえて、解釈を歪ませるような意味がなく、何の為の戯言なのか分からない。

奇をてらっただけで、終わってしまっている感じがしてなりません。

つ~わけで本書については、小説としての読む価値を感じられません。以上、証明終り(QED)。

な~んてね。証明にはなっていませんが・・・笑。私的にはお薦めしません。
QED 竹取伝説 (講談社ノベルス)(amazonリンク)

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2009年05月05日

「吸血鬼のおしごとSP」鈴木鈴、片瀬優 メディアワークス

kiuketusp.jpg

全7巻で完結した「吸血鬼のおしごと」の番外編です。外伝かな?
ラノベの原作者の他に、半分ぐらいコミックが入っています。

この手の物は、メインがあってそれに多層的に重なっていくカンジで描かれるのでメインを読んでないといけませんが、個人的にはメインよりも番外編の方が好きかな? 邪道な感想かもしれませんが、こちらの方がいろいろな意味で納得いくかも・・・。

でも、メインあってのモノなのですが・・・。

短編が集められているのですが、上弦のストーリーは結構いいなあ~。魎月との出会いから、その関係が始まっていくまでは、実に正統派でいいかも?

料理の話は、まあ、思いっきりベタでエロではない同人誌の隅っこで描かれるレベル。嫌いではないが、ひねりが無さ過ぎでプロの作品じゃあないような・・・。

メイン同様、読む必要というか、あえて読むまでの面白さはないけど、TV観るよりはいいでしょう。

吸血鬼のおしごとSP―The Days Gone By (電撃文庫)(amazonリンク)

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「吸血鬼のおしごと」1~3巻 鈴木鈴 メディアワークス
「吸血鬼のおしごと」4~6巻 鈴木鈴 メディアワークス
「吸血鬼のおしごと」7巻 鈴木鈴  メディアワークス
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2009年05月02日

「吸血鬼のおしごと」7巻 鈴木鈴  メディアワークス

昨日に引き続き、結局、最後まで読んでしまった! 今回の7巻が完結となります。

【ネタバレ有り。これから読む気のある方は、以下読まないように】






率直言うと、いかにも今風っていうか現代風の結末でした。本来不滅のはずの吸血鬼が、「死ぬ覚悟」とか「大切な人の心を知って・・・」とかいうのは茶番でしょう。

読んでる時は、とにかく気になって夢中になって読んでいましたが、読んでる最中に、10代以外の読者にゃアマアマの夢物語的なノリに、いささか失笑を禁じ得なかったことを記しておきたい。

だって、死んだはずの存在の幽霊がさらに二重に死んじゃうし、敵だった吸血鬼(かつての恋人)と仲直りして後にやっぱり壊しちゃう(殺しまではしないけど発狂させちまう)、あまつさえ自分までも消えてしまったら・・・・そして誰もいなくなった、ってオチっすか?

一番ムカツク平和主義者(事故で吸血鬼になった半分人間の少女)が、最後に普通の生活に戻って終わるってどうよ? 個人的には納得いかないし、ムカツキ度が最高潮に達したんですけど!!

私的には、非常に不本意なストーリー展開で満足しないにもかかわらず、読み物とはしては、きちんと最後に結末がつき、収束しているので立派に完成しています。

最初の私の期待を抜きにして、単なるラノベとしては、十分に面白いと言える範囲なのも事実ですが、逆にいうと凡百なラノベの一つでしかありませんでした。新しい個性があるかと最初期待したんですけどねぇ~。

西尾氏の初期の作品や、「撲殺天使ドクロちゃん」みたいな・・・。とっても残念でした。SPも読んじゃうんだけどね。購入済みですし。

吸血鬼のおしごと〈7〉The Style of Mortals (電撃文庫)(amazonリンク)

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「吸血鬼のおしごと」1~3巻 鈴木鈴 メディアワークス
「吸血鬼のおしごと」4~6巻 鈴木鈴 メディアワークス
posted by alice-room at 20:57| Comment(0) | TrackBack(0) | 【書評 小説B】 | 更新情報をチェックする

「吸血鬼のおしごと」4~6巻 鈴木鈴 メディアワークス

kiuketu4.jpg

著者のあとがきによると、3巻までが登場人物の紹介で、4巻以降がいよいよ本筋・・・とかかれていますが、あっけにとられるぐらい4巻以降、内容もムードも激変します。

ほのぼのユル系のキャラ&展開だったものが、急にエロエロ、バイオレンス&サド系プラス現代風と変化して、ギャップがかなりありました。

それに伴い、ちょっと珍しいくらいのユル系として特色を出すのかなと思っていたのが、当たり前の今風『伝奇物』っぽいノリになって、普通の読み物になってしまいましたが、それでも読者を引っ張る力はありました。

ほとんど3冊一気に読み切りましたので。

次が気になってネ。今まで一巻毎にまとまっていたのが、4巻と5巻は続きになっていて途中で辞められませんでした。その後も、かなり引っ張るのでつい6巻まで読んでしまい、明日は残りの7巻を読み終えることでしょう。

しっかりはめられています。

基本、面白いというよりは、レレナ(半吸血鬼少女)の中途半端な善人ぶりがいたく気に食わなくて、イライラして読んでしまったのでした。

さっさともっとひどい目に遭って、吸血鬼として覚醒し、暴虐の限りを尽くすか、何にもしないまま杭でも打たれて灰となって消滅するかを見届けたいという気持ちなのですよ~(イライラ)。

よりによって、私が一番嫌いな『無知』であることを恥じず、小さな我欲(自らの感情的好悪)で周囲に迷惑をかけるエセ偽善者ぶりが、もう堪らなくムカツクわけです。

昨今多いんだよなあ~、努力したうえでできないことと努力しないでできないことを勘違いしている大たわけ野郎とか。マジ、ググれカスとか厨房とか言っちゃいますよ。

知らない事を聞けばいいって、私が社会人になって一番最初に間違いと教えられたしね。心の底から、二十歳の女性の先輩に感謝です。

ケース・バイ・ケースで聞く事も大切だし、必要なことを聞けるのも技術だけど、何も知らべないで聞く奴は、心の底から「死んで!」と言いたくなることもある。ネットで見ず知らずの人に、平気で聞ける神経は凄いというよりも、まともに教えてもらえると思っている時点で終わったと感じる私は、古いのだろうか?

前の会社で、裁判を起こすにあたり、弁護士さんと一緒に訴状の文言のチェックなどもやったこともあるが、性善説では世の中生きていけませんよ~。

勿論、だからといって良い人がたくさんいることを否定するほど愚かではないが、日本の常識は、通じない方が普通です。教科書に書かれいてるルールに従うよりも、教科書の内容自体(ルール)を変更してしまうのが世界の考え方ですからね。バサロ泳法しかり、スキージャンプの板の制限しかり。

迷走し、政争の具に過ぎない国連を、世界唯一の平和機関と妄想する教育はもう終りにすべきだよなあ~とか、ふと思いつつ、本書を読んでいました。

こういう私はひねくれ過ぎですが・・・・。

一旦、元の書評に戻すと、長編で分厚くて読み応えはあります。ただ、吸血鬼なのに、格好良くありませんし、貴族でもありません。本シリーズを通して、駄目駄目ぶりを発揮するだけで人間の知恵に翻弄される姿は、正統派吸血鬼に飽きてしまった現代人の好きなパロディの範疇に位置します。

小賢しい人間がどうやっても叶わない至高の存在こそが、本来の吸血鬼のイメージであり、それ故の物語性なのですが、それを求めても得るところはありません。

結局、よくあるラノベの一つでおさまりそうです。

それなりに読んでいて満足感(+怒り)もありますが、基本はごく普通の伝奇物レベルのバイオレンスです。

物語の途中で激変するのには、びっくりしますが、普通になってしまったが故に、読者を逃がさないですね。それ以上のものではないです。

あえて読むほどの価値はないが、暇つぶしなら可ではないかと思います。

吸血鬼のおしごと(amazonリンク)

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「吸血鬼のおしごと」1~3巻 鈴木鈴 メディアワークス
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2009年04月26日

「吸血鬼のおしごと」1~3巻 鈴木鈴 メディアワークス

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夜のガテン系バイトでお金を稼ぎ、輸血用血液を買って生活する吸血鬼に、いたずら好きの幽霊、箱入り娘のお嬢様シスター。そして醒めた使い魔のネコ。

それらが同居するボロ屋敷でのゆる系ラノベってことでほとんど全てです。

もっとも1巻はゆる系の要素が濃かったものの、3巻以降はかなりシリアス調っていうか、重く暗くなっていくのは、はてさてどんなもんかな?

どうしても明るいほのぼの生活だけでは、物語として盛り上がらないのか、ところどころ、事件(イベント)として暗い部分が入るのですが、基本は救いのある方向で処理されるので、全体としては明るさがあります。

ひねりや工夫はないものの、実に素直な文章で私、嫌いじゃないです。

2巻になると、大司教やら家族やらが出てきますし、サザエさんかと思っちゃうほど健全ですが、思春期の読者レベルに合わせてか、登場人物の思考パターンが、小さなことを大袈裟に気にして、脳内妄想でループし、いじいじうじうじしちゃうのが、少々歯痒い限りですが、まあ、この年頃故の発想ですね。

かつての西尾氏のような毒はないですし、UG系のやばさもありません。吸血鬼につきものの高貴な貴族性とか、オカルト的なダークさもありませんが、たまには、こういうのもいいかなあ~と思います。

ただ、吸血鬼がここまで庶民レベルに落ちてくるのは、時代なんだなあ~と思います。大衆は、英雄を好まず、求めず、アラを探して地に落とすことに拍手喝采をする時代。小さな世界こそが、身近な世界なのでしょう。今の時代故のラノベかもしれません。

でも、それなりに面白いと思います。

吸血鬼のおしごと(amazonリンク)

ブログ内関連記事
「吸血鬼伝説」ジャン・アリニー 創元社
「ヒストリアン」Ⅰ&Ⅱエリザベス・コストヴァ 日本放送出版協会
「真紅の呪縛」トム ホランド 早川書房
「傷物語」西尾 維新 講談社
ヴァン・ヘルシング(2004年)スティーヴン・ソマーズ監督
VLAD ブラド(2004年)マイケル・セラーズ監督
「ドラキュリア2 鮮血の狩人」パトリック・ルシエ監督
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2009年04月10日

「忌まわしい匣」牧野 修 集英社

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表向きは、短編ホラー集。

だけど・・・そこは牧野氏、やっぱり単なるホラーではない。つ~か、確かにエゲつなく&グロく&救いようがない、のだけれど、そういった表面的な感情とは別次元で、これは極めつけの『SF』というか実験小説なのだと思う。

自称電波系の薄っぺらな方々に是非、読んでもらいたいものだ!本書内で描かれる毒電波(←本当に、文中に出てくるのだ)の異様さ、それでいて失われる事のない現実感。

違和感を通り越して、まさにトリップ感があると言えるだろう。

最近、仕事でも私事でもノーマルな枠内に収まることが多く、薄っぺらな現実感という『枠』内でのうのうと惰眠を貪る自分を感じていたのでしばし衝撃を受けた。

なんか全て捨てて、どっか旅に出たくなってきた。うっ、ヤバイ!
新しい事を積極的にやっていないと、本当に駄目になるなあ~。

たかが一小説ですが、ちっぽけな日常生活に疑念を抱かせ、忘れていたあのハイな感覚を呼び起こすだけの起爆力のある価値ある本です。

でも・・・間違っても人に勧めはしないけどね。拒否反応の方が強いと思うし。安易な気持ちでは手を出す事は危ないです。脳が共振するとヤバイ本です。

しかし、日本の誇るドラッグ文学の先生は、サブカル系を飛び越して、あちらの世界でも大先生みたいですね。いやあ~よくモノを知っています。似非(エセ)○○とかとは違いますねぇ~。

分かっていて、あえてやるあざとさもなかなか狡賢いです、ホント。普通に生きていることが、ふと辛くなってしまう。いやはや困ったもんです♪

読んでいて筒井康隆氏の実験小説を思い浮かべましたが、あの不条理感覚(?)とはまた違っていてこちらは毒があるんですよ、更に加えてね。

「我ハ一塊ノ肉塊ナリ」に至っては、戸川純のYAPOOSを口ずさみながら、読んでしまった私ってナニ? ソフト・バレエとかコーザ・ノストラとかマイナーのしか聴かないし、古いのしか知らないなあ~私。
【目次】
忌わしい匣
おもひで女
瞼の母
B1公爵夫人
グノーシス心中
シカバネ日記
甘い血
ワルツ
罪と罰の機械
蜜月の法
翁戦記
工場
電波大戦
我ハ一塊ノ肉塊ナリ
忌まわしい匣(amazonリンク)

ブログ内関連記事
「傀儡后」牧野修 早川書房
「月光とアムネジア」牧野修 早川書房
「MOUSE(マウス) 」牧野修 早川書房
「SFバカ本 だるま篇」廣済堂出版
「楽園の知恵」牧野 修 早川書房
「王の眠る丘」牧野修 早川書房
「呪禁官」牧野修 祥伝社
ラベル:ホラー 小説 SF 書評
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2009年03月25日

「R.O.D」4~11巻 倉田 英之 集英社

う~ん、先週しばらくブログの記事を書かなかったのには、本シリーズも影響しています。

今日も花粉のせいか偏頭痛で、体調が良くないのですが、先週は仕事以外は何もする気になれず、本書のシリーズを延々と読んでいました。

借金のカタに苦労して開発した印刷機械を差し押さえられたグーテンベルクが絶望のあまり思い余って、闇の世界からの印刷を引き受けて完成させたという、魔道書やら秘密の呪文やらをまとめあげた闇の世界の聖典「グーテンベルク・ペーパー」。

それを巡る争奪戦を描いたストーリーなのですが、もう引っ張る&引っ張る。4巻から11巻に至っても解決しないし、何故かそのうちの2巻分は完全に外伝とかシリーズ以外で扱うべきものを混ぜちゃうって、あざとくない?

気長に待って、それらを読まされちゃう読者(私?)も哀れですが、出版社さん酷過ぎ!

内容は、設定の割に正直たいしたことはないのですが、本好きの気持ちを実にうま~く表現していたり、何気にくすぐるような、書物への愛があふれていて、つい読んでしまうんでしょうね。

1冊1時間かからないから、他の本を読む気力が無い時だとつい、手を伸ばしてしまいます。そういやあ~謎だらけのジェントルメンの正体やら、読子が怠け者の駄目人間になる前の青春していた頃の話などが徐々に出てくるのがうまい撒き餌になって、読まされてしまいます。

漫画よりも軽いです。読み易さは非凡なものがあるかも?

内容重視の方には、お薦めできませんが、あくまでも軽く読みたい時には悪くない読み物からもしれません。でも、終んのかなあ~これ? 逆に言うと、いつ終わってもいいぐらいな引っ張り方にも思えたりするのですが・・・はてさて???

外伝の老け過ぎて無理のある読子の女子高生生活も笑えますね。ただ、環境はかなりGOODかもしれません。どこぞのお城に閉じ籠って読書と執筆だけの生活とかしてみたいなあ~。

中世の修道院とか、実はパラダイスなのかもしれません。ふとそんなことを思う今日この頃でした。

R.O.D(amazonリンク)

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2009年03月24日

「誰か故郷を想はざる」寺山修司 角川書店

名前としては大変有名な著者ではあるが、著者の映画などを観てもどこが良いのか分からなかった。それでも・・・と思い、初めて著者の本を読んだのだが、本書もやっぱりどこが良いのか分からなかった。

というか、個人的にはかなり最低な内容だと思っており、相当な怒りと嫌悪感をおぼえてならない。

とにかく貧乏臭い。土着性を通り越して、みすぼらしいほどの粘着性を感じてならない。貧しくても良い。日本的なドロドロも結構。ただね、それをこういった形で文章としてあざとく曝け出す売文家的な根性が嫌い!

無意味に外からのものを引用する、権威を否定しつつ、それでいて自分だけでは確固とした自立的存在として成り立たず、常に借り物の装いを引っ張り出す(ようにみえる)その性根が堪らなくイヤ!

何故、最初から最後まで自己完結しないだろう。当時の世相の経験者を、大衆を自らの思いと姑息なまでに重ねあわさせ、共感という事後的従犯のような共犯関係を読者に強いる、その姿勢に拒否感を感じてならなかった。

でもなあ~、90年代だったかな?たまたま友人の車で東北道をひたすら北の終点まで走り、恐山に行くぞ~と思いつつ、ちょうどその前日で冬季閉鎖の為、結局行けなかったあの時。

ぶらりと寄った青森市で、全くの偶然に観た市街劇の衝撃は忘れられない。後ほど「天上桟敷」による最後の公演だったことを知るものの、寺山修司の写真をつけた不思議な人々による都市ジャックは、未だに強烈なインパクトとして残っている。

また藤原竜也が主演し、蜷川氏による「身毒丸」も良かったんだよねぇ~。大いに好きだったりする。他にも寺山修司の系統を色濃くひくアングラ系の舞台とかよく観に行ってた手前、個人的には複雑なものが大いにあるのだが・・・。

やっぱり、大元は駄目みたい。

基本、私もサブカル系の人ではあるものの、どうにも肯定できないんだよなあ~。著者本人ではなく、その影響下で生成された虚像の寺山修司の方がおそらく私のイメージにぴったり来るに違いないような気がしてなりません。

本書を読んでいても、どこをどうとっても私には誌的な言葉として感じられ箇所がありません。悲しさを通り越した、不快という感覚に訴えかける憤りしかないなあ~。

巻末の解説に至っては、火に油を注いで不快感がいや増すばかり。蝉なんて、むしろ貴重なタンパク質として食べりゃいいじゃん。それがなに?ってカンジです。

勝手に幻想を抱いて、深読みしてろよ、エセ信者めってな想いしか抱けず、かえって落胆の度を増すばかりでした。もっとパッションを感じられるかと思ったんですけどねぇ~。なんか勝手に期待していた私はバカだったんだと思います。
【目次】
第1章 誰か故郷を想はざる
汽笛
嘔吐
羊水
誰でせう
排泄

へっぺ
聖女

空襲玉音放送

第2章 東京エレジー
友人
賭博
政治
反読書
戦後
旅路
大学闘争
誰か故郷を想はざる (角川文庫)(amazonリンク)

ラベル:書評 小説
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2009年03月23日

「惜春」花村萬月 講談

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主人公は、知能的にはバカではないが、人としてちょっとバカではないかと疑いたくなるような素直な青年。本書の中での属性としては、童貞・青年・純朴な善人。

舞台は滋賀県にあるという雄琴(ソープランド街)のソープランド。

主人公は、友人に騙されて新宿のボッタクリバーで働いているところで、更にヤクザに騙されて関西にまで連れていかれて、労働力として酷使される。

勿論、人としてはいい人なのだけど、どこかある一線で怠けていて、いいように翻弄される人生を送っている。他人事ながら、こういうのは大嫌いだったりする。

自分の意思で努力できるはずだし、環境を変えられるはずなのに、グダグダ言い訳しつつ、結局、最低限のことしかせず、現状の環境に甘んじる奴。口惜しいというか、悲し過ぎて嫌い。

善人であるだけで、救われるなんて、怠け者の共同幻想みたいなもんでしょう。世界を見てみれば、どんなにいい人であっても、ゴミのように殺され、捨てられ、人権なんて踏みにじられてるし・・・。

まあ、久々にいささか思うところがあり、感情的になってしまうのには、実は前振りがある。本書の前に寺山修司の本を読んで(まだ書評書いてないのだが)、あまりの貧乏臭さ・偏狭さを恥ずかしげもなく、曝け出す内容(更にそれで売文しているあざとさ)に怒りまくって、不快感に襲われていた余韻がまだ残っているせいでもある。

むしろ、寺山氏の本と比べると、本書の悲しさは、いとおしい感じさえしてしまう。金で体を売る女性を、汚れているとかいないとか、千年使い回されてきたフレーズあり、童貞青年のためらいと葛藤など、確かに青春小説なんて今時聞かない巻末の紹介文を見た日には読む気も失せますが、でも嫌いではない。

全体として70年代の表現であり、まさに舞台もその頃からそれよりちょい昔(?)ぐらいの設定みたいだけど、人が生きている不条理さというか、悲哀感が漂っている。

時々、え~と思うほどのリアル感のある描写(実際、どうなのかは不明ですが)には、それだけでも切り取られた社会の一場面を見ているようで、なんか興味深いです。

現代版「墨東奇譚」といったら、誉め過ぎだろう。目線が全く違うし、金持ちのディレッタントと貧乏人では、比較するまでもない。でも、本書の異様なまでの現実感は、ちょっと気になると思う。

後書きに、実際に著者がバイトとして働いた経験がある人から話を聞いたことが述べられている。それがどこまでが真実かは知る由もないが、本書を他の類書と違うものにしている一因ではあると思った。

面白いというのは違うが、読後にふと何か感じたことがあった点は付け加えておきたいと思う。悲しさと何かの混合物のような何かが・・・。

惜春 (講談社文庫)(amazonリンク)

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「恋は肉色」菜摘 ひかる 光文社
「娼婦たちの暦」津村 節子 集英社
「東京の下層社会」紀田順一郎 筑摩書房
ラベル:風俗 書評 小説
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2009年02月14日

「いぬかみっ!」有沢まみず メディアワークス

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深夜にアニメでやっていたなあ~。何度かTVで観たことはあるのですが、軽いノリのラブコメっぽい奴でした。

でもって、ラノベで見つけたので読んでみました。
まあ、たまにはこういうのもいいかも?

いにしえより、犬神と契約してきた一族。その直系で女好きな今風の若者と、犬神の中でも問題児とされるものの組み合わせ。道具立ては変わっても「うる星やつら」(古い)と同じノリです。

まあ、定番中の定番ってやつですね。

実際、文章もそつなく、淡い恋心を加味しつつ、読む漫画そのものです。心の素直な10代が読むんでしょうね。こんなにも毒がない作品は久しぶりに読みました。

個人的には、毒だらけの丸尾末広の「犬神博士」とかの方が好きですが・・・(←問題発言!)

嫌いじゃないです。ただ、まあ、30~40分の暇つぶし用。他の本を読んでいて疲れた時にこういうのは悪くないです。

いぬかみっ! (電撃文庫)(amazonリンク)
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2009年01月27日

「書物迷宮」赤城 毅 講談社

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いやあ~銀髪が唯一の特徴というプロの稀覯本ハンターを主役とした小説のシリーズ二作目です。単なる貴重な本ではなく、その書物の有する価値が国家の存亡にも関わるような特殊な本を対象にして、各種諜報機関などを相手に活躍します。前作も結構面白かったのですが、本作の方が私は好きかもしれません。

相当マニアックなビブリオマニアに捧げるような内容になっています。勿論、きちんと説明がされていて、予備知識無しでも十分に理解できるようになってはいますが、読者をかなり選んでしまうかもしれません。

説明を読んでようやく分かる水準では、本書の面白さはイマイチ伝わらない可能性があります。

かくいう私も前提となる部分で恥ずかしながら知らなかったことがたくさんあったのですが、それでもスペインにおけるフランコ将軍の右派独裁政権や、バチカンとの共同プロジェクトであるキケロ・プロジェクトぐらいは知ってました。

本書の巻末にある参考文献も読んだ事あるもの、そこそこありましたしね。

いわゆる『本』好きのレベルを超えて、書痴に近い水準にまでいくと自覚症状のある方、かなりお薦めです。本好きであれば、あるほど、本作品の面白さは倍増するかも?

本作品は、読み切りの短編集でそれぞれの作品は独立しているのですが、よく調べられていて、著者がきちんとした資料調査のうえで書かれているのが感じられ、それがますます関心を惹きます。

そうそう、本自体をテーマにしながら、それを取り巻く環境としての歴史や国際政治などへの常識がないと楽しめないかもしれません。象牙の塔向きの話ではありませんが、あちこちに学究的な雰囲気が散りばめられているのもまた魅力の一つです。

著者は、以前留学して図書館や公文書館に通い詰めていたクチらしいですよ~。一作目では気付きませんでしたが、本作ではその傾向が色濃く出ています。

まあ、役に立たない教養のある方にお薦めします(笑顔)。一作目よりはこちらが私の好みです♪

書物迷宮 (講談社ノベルス)(amazonリンク)

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「大満洲国建設録」駒井徳三 中央公論社
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2009年01月07日

「ダーティペアの大復活」高千穂 遙 早川書房

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ダーティペアは、リアルタイムでSFマガジンに掲載されていた頃から読んでいたので、正直何よりも懐かしいというのが一番の感想でした。

ちなみに・・・読み終わってから気付きましたが、前作はまだ読んでなかったみたい。後は全部読んでるはずだけどね。

作品自体は、時代を経ても変わらない感じがしますが、私の感性がもう当時とは違うんでしょうね。つまらなくはないが、素直に面白いとは言えませんでした。

ユリとケイの会話の掛け合いも、西尾さんの作品とか読んでると、アマアマで物足りないんですよ・・・。全体を通してのストーリーはしっかりしているのですが、全てをぶっ壊す爽快感も足りません。後半のおふざけも、ベタなアナクロニズムを通り越して、いささか失笑気味になってしまった観さえあります。

私的には、あまりいただけませんでした。本来はもっと好きなんですけど、今のご時世では、如何せん中途半端でしょう。

まあ、著者のサイン本ですし、思春期にダーティペア関係のファンの会に入っていた私としては思い出深いので結論としてはOKですが、他の方にお薦めするSF小説ではないです。時代が違うと思いました。

一応、基本設定を。
ワープ航法が発明され、宇宙中に広がった人類の勢力圏。惑星、国家を超えて、人類の存続自体さえ脅かしかねない危険が生じるようになり、超国家的・汎宇宙的な機関としてそれらの危険に対処する専門家集団が生まれた。

それがWWWA(世界福祉事業協会)。その機関に属し、ありとあらゆるトラブルを解決に導くコンサルタント(略称、トラコン)が本作品の主人公たるダーティペア。

妙齢の女性二人組(ユリ&ケイ)なのだが、本来のコードネーム・ラブリーエンジェルとは裏腹に、その活動の成果は、常に甚大なる被害(破壊)を生じさせ、惑星そのものの消失や大陸の崩壊など当たり前。世間からの呼び名は、"ダーティペア"というわけだったりする。

今回もいろいろ壊すんだけど・・・ちょっと刺激が足りないなあ~。

まあ、以前は映画も観に行ったくらい好きだったんだけど、残念です。

ダーティペアの大復活(ハヤカワ文庫JA)(amazonリンク)
ラベル:書評 小説 SF
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2008年11月06日

「曾根崎比丘尼 - 新・雨月物語」富樫 倫太郎 中央公論新社

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仮にも雨月物語を念頭に置いて、おこがましくも「新・雨月物語」と銘打ってはいるものの、およそその水準には達していません。一応は、江戸時代のそれらしい怪談ではあるものの・・・。

読み易さとグロさ以外、全く印象に残らず、話としての面白さは微塵も感じられない。特に、秋成のあの味わい深い感慨を残す、秀逸な怪談とは比べ物にならないほど、レベルが低い。少し期待していただけにはなはだ残念です。

怪談はセンスが何よりも大切なだけに、センスがない文章で読み易いのに読んでいるのが辛くなった。

心の闇やそこにうごめく魔物はお約束だが、履行できない不渡り手形をつかまされたような感じで、それが何にも生きておらず、肩透かし感がぬぐえない。続巻に期待するほど、私も暇ではないので本書関係は二度と手にとらないでしょう。

内容のない怪談もどき好きならいざ知らず、本物の怪談を好むコアなマニアには死んでもお薦め致しません。コレ、要らないです。

曾根崎比丘尼 - 新・雨月物語(amazonリンク)

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「百物語怪談会」泉 鏡花 (著)、東 雅夫 (編纂) 筑摩書房
「怪談部屋」山田 風太郎 出版芸術社
「真夜中の檻」平井呈一 東京創元社
「怪奇クラブ」アーサー・マッケン 東京創元社
「本朝聊斎志異」小林 恭二 集英社
「ぼっけえ、きょうてえ」岩井志麻子 角川書店
「怪奇・伝奇時代小説選集〈7〉幽明鏡草紙」志村 有弘 春陽堂書店
「怪奇礼讃」E・F・ベンスン他  東京創元社
「妖怪博士ジョン・サイレンス」アルジャノン ブラックウッド 角川書店
「稲生物怪録」荒俣 宏 角川書店

ラベル:小説 書評 怪談
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2008年10月13日

「創竜伝13」田中 芳樹 講談社

ようやく現代、そして日本に戻ってきたドラゴン・ブラザーズです。

しかし、あの宿敵と組むとは・・・? 益々、事態は混迷の度を深め、どうやって終りにするのだろうかとふと、疑問に思うのだけれど、これって完結してるのかなあ?

まあ、幕府を開いたら、もう何でもアリですね。いつも通りの楽しさとスピーディーな展開は不変です。ただ、段々おちゃらけの度が過ぎてきているのも事実。ちゃらいラノベの喜劇のようにならず、大円団を期待しますね。

いつも通りのシニカルな笑いは、健在ですのでとりあえず読んで楽しめばOKかと! 最後まで間違いなく読者を引っ張る力量は、変わりませんね。

創竜伝13〈噴火列島〉 (講談社文庫 た 56-30)

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ラベル:小説 書評
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2008年09月27日

「おねがい☆ティーチャー みずほと桂のMilky Diary」雑破業 メディアワークス

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おねてい(おねがい☆ティーチャー)、ノベライズされていたんですね。知らなかったなあ~。

軽い気持ちで手に取ったのですが、おねていファンなら、絶対に読んでおいて方が良いかと・・・! 
(※但し、かなり大人の世界になっておりますので、13話(TV未放映)を受容できる方ね。あれが好みじゃない方には、ますます不向きですのでご注意を。)

当然ですが、TV全話を視聴済みであることが必須要件となります。そして、その後どうなったのか? 

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あの後の幸せな二人の姿から、そこに至るまでの数々の経緯(トラブル、体験等)を振り返って、あの時はこんな気持ちだったなあ~的な回想ベースで語られます。

ある種かなり、はちみつ(←そう、あの番外編的なノリの奴です)のモードを加速させてるようでもありますが、基本は『幸福なカップル』ですので、微笑ましいです♪

ラノベにしては、かなりエロいですが、元々がほのぼの&天然系の作品ですので読んでいても嬉しい&楽しいです。おねてい好きなら、お薦めします!!

おねがい・ティーチャー―みずほと桂のMilky Diary (電撃文庫)(amazonリンク)

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おねがい☆ティーチャー
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2008年09月17日

「創竜伝12 竜王風雲録」田中芳樹 講談社

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もう何年前ぐらいだろうか・・・11巻を読んだのは? たまたま12巻を図書館で見つけたので読んでみました。

どうやら、時空を越えて中国の宋代のお話になっているようです。たまたま人身の姿で、長兄が人界に落ちたところから、始まります。本編の中にあるのに、番外編みたいですね。

でも変わらないですねぇ~。竜堂四兄弟。歴史上の有名人を『創竜伝』流に生き生きと描写しつつ、主役の四兄弟も「らしさ」を失わずに伸び伸びしているようです。

私が久しぶりに読んで懐かしいというのもあるのでしょうが、ノリはもういつもの(いい意味での)内輪向けのような心安さです。安心して楽しめるのは間違い有りません。

ただ、特徴的な毒のある辛辣な批評は、いつになく毒がないようにも思えました。時代がより辛辣さを地で行く中国では、さすがに毒気が抜けたようです。

でも、個人的には悪くなかったかな? シリーズで読んでいる読者なら、きっと読むでしょうし、読んで悪い気はしないでしょう。

創竜伝〈12〉竜王風雲録 (講談社文庫)(amazonリンク)

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「薬師寺涼子の怪奇事件簿 夜光曲」田中芳樹 祥伝社
「薬師寺涼子の怪奇事件簿 魔天楼」田中 芳樹、垣野内 成美 講談社
「霧の訪問者 薬師寺涼子の怪奇事件簿」田中芳樹 講談社
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「役小角」谷恒生 徳間書店

うん、いわゆる「役小角」として知られている伝承にそこそこ忠実に則りながら、それをうまく小説の題材に生かして、まとまりのある小説に仕上がっています。

物書きとしては、達者な筆と言えるでしょう。読み易く、それでいてきちんとまとまった読み物になっています。読んでいる時もそれなりに面白く感じたのですが・・・。

読み終わると何にも残りません。

一時間なり、二時間なり、暇つぶしに読むのなら、悪くないのですが、わざわざ読む価値があるかと言えば、無いですね。

決して駄目な作品ではないと思うのですが、もっといろんなことを知りたい&読みたい私としてはお薦めしません。

どうしても新鮮な感覚をもてないし、平均点以上の部分を見出せませんでした。巷によくある伝奇ノベル小説以上のものではありません。


役小角―冥府魔道 (トクマ・ノベルズ)(amazonリンク)
ラベル:小説 書評
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2008年09月16日

「悪魔のダンス」サダム フセイン 徳間書店

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あの一方的でおよそ公正さのかけらも無いアメリカの侵略戦争の裁判で処刑されたサダム・フセインにより書かれた小説です。

舞台は1500年前のイラク近辺に住む部族。強欲な人物が、よそ者として他の部族に接近し、様々な陰謀を用いてまんまとその部族のリーダーになります。彼はバックにローマ帝国の司令官を携え、配下に従えた部族民を搾取して、ひたすら金銀財宝の蓄積を図ります。

やがて、以前の部族リーダーの娘が誇り高く立ち上がり、反旗を翻してその強欲な人物から、部族としての誇りを取り戻すまでを描いた作品です。

物語自体は、実にオーソドックスな勧善懲悪モノで、アラブ的正義を伝統的価値観に基づき、シンプルに表現しています。決して傑作とは言えませんが、本作品には明確な主張と意図があり、ローマ帝国とはアメリカ帝国主義の暗喩(どっちかというと明愉っぽいけど)に他なりません。

誰もが首肯できる伝統的な『正義』を声高らかに、誇り高く主張しています。まあ、ブッシュさんには書けないでしょうね。

日本のマスコミやアメリカのメディアなど、歪められた情報からでは、想像もできない気高い精神性が感じられます。

また、本書の「はじめに」と「おわりに」では、小説とは全然別な現実のフセインをとりまくアメリカの陰謀や情報操作の一端が紹介されています。

例えば、フセインが捕まった時の映像は全てヤラセであり、盛大な銃撃戦の逮捕後、薬物注射で意識の無いフセインをわざわざ数日後、あの穴に入れて、もっともらしく映像を撮ったとか。

フセインの裁判にあたって、常にリアルタイムと称して20分後(都合の悪い部分を編集する為)の映像が公開されたとか。そもそも裁判は、種々の観点から国際法上も違法であると誰もが主張した代物で、かつての極東裁判を髣髴させる内容だったそうです。

最初はアメリカを非難していた元国連事務総長のアナン氏が息子が散々石油絡みの利権で横領の限りを尽くしていた点をアメリカに突かれ、うやむやになったこととかもしっかり本書では触れている(←以前、何かのメディアでこの特集を見たこともあります)。

他にも無数のアメリカによる情報操作の事例が紹介されたりします。ここに書かれたもの全てが事実かは私も裏をとってないのですが、少なくとも何割かは、確かに私も海外のニュース記事で知っていたことなので、おそらく殆どが事実だと思います。

いかに日本が、そして自分がメディアに踊らされているのかを痛感させられます。アメリカもそうですが、日本のメディアなんて今も昔も大本営発表しかしないもんなあ~。イラクに関する日本のTV見るなら、間違いなく本書を読んだ方が何百倍も有意義です。

とにかくフセインは悪い人物だから処刑されても当然と思っている無知な人は、一読をお薦めします。フセインが決して善良だとは思いませんが、ブッシュ大統領よりはなんぼかマシだろうと思うのは人として当然だと思います。少なくとも、今現在も不法にイラク駐留し、フセインの時よりもはるかに多くの無実の人々を死にいたらしめている現状は、肯定できないでしょう!

あっ、でも最低限、アラブの歴史とか伝統的価値観については、分かっていないとこの小説を理解できません。単なる小説として読んでは、全然面白くないかも? ご注意を。

(余談)
世界初のフセイン作品の翻訳らしいのだが、翻訳者はジャーナリストの方。でも、どういう関係の人物か不明。それによっては、本書自体もバイアスがかかっている可能性があります・・・?

悪魔のダンス(amazonリンク)

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「ウサーマ・ビン・ラーディンその思想と半生」石野肇 成甲書房
「インタビュー オサマ・ビンラディン」ダイヤモンド社
「情報と国家」江畑 謙介 講談社
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2008年09月12日

「パルタイ」倉橋由美子 新潮社

表題他、短編集。倉橋氏の小説は、何冊か読んだことがあり、結構、悪くない印象を持っていたが、この本は駄目。私の嫌いなタイプの作品ばかりで、どうしても私の感性では受け付けません。単純に小説として読んでも、面白いと思えませんでした。


本書の作品中、2作品「パルタイ」と「非人」を読んだ時点で耐え切れずに読書をやめました。従って、全作品を読破していません。


上記2作品から思ったのですが、どうやら共産系の学生運動を独自の視点で描いた作品みたいですが、なんだかなあ~???

どうにも言葉が上滑りしているだけのように感じられ、その視点や意図が分かりません? 学生時代から、徹底してその手のものを否定して生きてきた私の価値観もあるのでしょうが、辻井喬氏の同様な学生運動を描いたものや、野阿梓氏の革命的テロリストなどの小説は、面白いし、大好きだったりします。

単に面白くない、共感できないというのが原因でしょう。きっと。

いっそのこと「家畜人ヤプー」とかまでいってしまうとまた、感じ方も変わるのでしょうが、本作が著者の出世作というのは・・・はなはだ疑問に感じました。

これで注目されたのって、なんで???

う~ん、結構好きで何冊も作品を読んでいる作家さんですが、個人的にはイマイチ後味の悪い感想でした。残念。

パルタイ (新潮文庫)(amazonリンク)
ラベル:書評 小説
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2008年08月09日

「吉野葛・盲目物語」谷崎 潤一郎 新潮社

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久しぶりに物語らしい物語を堪能した。私のイメージする『日本』というものに近しい感じを覚えた。

吉野葛は、南朝が歴史上では終わった後も実は続いていたという由緒ある(?)地を舞台にしている。古代が現在に連綿と引き継がれるその土地でのありそうな・・・お話が訥々と語られていく。

私の関心を引いたのは、五鬼継。
正確には大峰山脈の釈迦岳の東南にある前鬼山中腹にある集落に、五鬼熊・五鬼童・五鬼上・五鬼継・五鬼助などの家が、修験道のために宿坊を営み、案内役を勤めていたことを指す。
 
 彼等は、七世紀末に活躍した修験道の開祖・役行者が打ち負かし、服従させたと言い伝えられる前鬼・後鬼のうち、前鬼の子孫とされる。

 なお、山上ヶ岳(大峰山)山麓の天川村洞川には、後鬼の子孫と伝えられる人々があり、結婚は彼らの中だけで行われていたという。
思わず、八瀬の鬼を思い出してしまう。奈良の地は、相も変わらず鬼が棲まう土地かと久しぶりに思いを深くした。

来月行きたいけど・・・ツレの希望で別な場所になりそうだな・・・。

まあ、それはいい。夏休みにローカル電車を乗り継いで、観光客も寄り付かないような辺鄙な土地を放浪する際、こういった文庫本を持っていきたい。電車の乗り継ぎに2時間も次が来ないときに、読むにはうってつけだろう。途中下車の旅には、このうえもない友になりそうだ。

一方、盲目物語は、お市の方をヒロインにその側に仕えた者(盲目の座頭)からの視点で描かれている。太閤殿下(秀吉)との確執、因縁は有名だが、知っていても読んでいて面白い。

当事者から微妙な距離に位置する者からの視点で、人の心の機微を見事に描いている。文体もなかなか味があり、素敵で魅力的な物語です。人には、生き甲斐が必要ですね。

これはお薦めしてよい小説でしょう♪

吉野葛・盲目物語 (新潮文庫)(amazonリンク)
ラベル:小説 書評 歴史
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2008年08月06日

「聖女の島」皆川 博子 講談社

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読み始めた時は、かなりイライラした。主人公の口調が単純に大嫌いだったからだ。駄作の予感がして、どのタイミングで読むのを辞めようか・・・ずっと頭の片隅に考えながら読んでいました。

プロット自体はありがちなもので嫌な予想が最終的に当たってしまったものの、本書はプロットで読ませるものではなく、あくまでもスタイル、狂気を軽く漂わせるスタイルで引っ張るタイプの作品です。

読んでみれば分かりますが、確かに力強く読者を引き込む力があります。だからこそ、最後まで読んでしまったのですが、読了後、あまりにも何も余韻が残らなかった、哀れな私が残されました。

読んでる途中は、確かにひっぱるスタイルも読了後には、その感触がのっぺらぼうに感じられます。いろんな意味で何にも無い感じです。

基本的には人間心理の葛藤や推移、あるいは『狂気』と評すべきものを描こうとしているようなのですが・・・冷静になって読後感はと言われると、それほどの狂気には思えないのです。別に事件らしい事件があったとも思えませんし、少し変わった日常に毛が生えた程度かと・・・。

同じ狂気を描くなら、より日常の中での親密且つ濃密な狂気や、全く世界観を一変するような『狂気』をこそ、私は熱愛し、渇望します。

ミルボーの「責苦の庭」や西尾維新の「きみとぼくの壊れた世界」とかの方が、私には甘美で幻想的で心惹かれてなりません。まあ、「ドグラマグラ」のような絶対的至高の狂気とは、比べるべくもない、おままごとですね。

でも、こういうので小説になるんですねぇ~。需要があるんだ。へえ~としか言いようがありません。何でもいいから心を揺り動かすような物語を読んでみたいなあ~。ただ、それだけを思いました。

本書はお薦めしません。勿論、ホラーとかサイコとかでもないと思います。

一応、ストーリーも。
閉鎖された島で、幼くして数々の犯罪を起こし、矯正が必要とされる少女達が暮らす宗教施設が舞台。表面的には唯々諾々と指示に従う子供達、突発的に生じる問題、それらに翻弄される大人たち。

何かがありそう、起りそうと暗い期待がみなぎるものの、何にもありゃしませんぜ! 木戸銭返せ!ってなカンジでしょうか? 

以上。

聖女の島 (講談社ノベルス)(amazonリンク)

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「責苦の庭」オクターヴ・ミルボー 国書刊行会
「きみとぼくの壊れた世界」西尾維新 講談社
ドグラ・マグラ(1988年)松本俊夫監督
ラベル:小説 書評
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2008年08月03日

「百物語怪談会」泉 鏡花 (著)、東 雅夫 (編纂) 筑摩書房

たくさんの怪談体験談を集めたもの。古き良き時代の歴史的味わいがじわじわ~っとくる。

ただ、一編一編がかなり短い。短編故の良さも怪談にはあるのだけれど、私的にはちょっと物足りない。怖い、というよりも不思議系のお話のようにも感じた。

読み手である私の感受性が鈍くなっているのかもしれない・・・どうにもイマイチ心が揺り動かされない。怪談の世界に入り込む前に、現実世界に戻されてしまう感じだった。まあ、通勤電車内で読んでる私が悪いのかもしれないが、それでも引き込む作品は、作中に引き込むからなあ~。

悪くはないのだが、どうしても他の本の方に心惹かれて本書は半分までいかずに読書中断。代わりに先ほど書評を書いたアルキメデスの方に移ってしまいました。

私的にはプライオリティが下がってしまった作品でした。あとは趣味の問題かと。心に余裕が無いのかな?最近の私。
【目次】
二面の箏 鈴木鼓村 述
雪の透く袖 鈴木鼓村 述
狸問答 鈴木鼓村 述
白い蝶 岡田三郎助 述
赤剝の顔 岡田八千代 述
椽の下の信女 岡田八千代 述
頭上の響 北村四海 述
鬼無菊 北村四海 述
闥の響 北村四海 述
千ケ寺詣 北村四海 述
女の膝 小山内薫 述
因果 小山内薫 述
今戸狐 小山内薫 述
一寸怪 泉鏡花 述
藤守座の怪 田島金次郎 述
船中の幻覚 田島金次郎 述
糸繰沼 長谷川時雨 述
人魂火 長谷川時雨 述
深夜の電鈴 神林周道 述
一つ螢 鏑木清方 述
幽霊の写生 鏑木清方 述
お山へ行く 鏑木清方夫人 述
巳之頭 市川團子 述
沖の姿 市川團子 述
北から北 市川團子 述
声がした 高崎春月 述
曇る鏡 高崎春月 述
天凹老爺 高崎春月 述
感応 岩村透 述
大叫喚 岩村透 述
死体室 岩村透 述
九畳敷 鰭崎英朋 述
車上の幽魂 鰭崎英朋 述
嗄れ声 鰭崎英朋 述
暗夜の白髪 沼田一雅 述
雲つく人 沼田一雅夫人 述
執着 沼田一雅夫人 述
テレパシー 水野葉舟 述
月夜峠 水野葉舟 述
薄どろどろ 尾上梅幸 述
怪物屋敷 柳川春葉 述
一つ枕 柳川春葉 述
青銅鬼 柳川春葉 述
子供の霊 岡崎雪聲 述
死神 岡崎雪聲 述
海異記 岩永花仙 述
疫鬼 岩永花仙 述
己が命の早使 柳田國男 述
夜釣の怪 池田輝方 述
ああしんど 池田蕉園 述
□本居士 本田親二 述
流灌頂 磯萍水 述
弓町の家 すみや主人 述
火の玉と割符 宮崎一雨 述
怨念 関天園 述
浅黄鹿の子 柴田つる 述
不生女の乳 富士松加賀太夫 述
怪談の話し方 きよし 述
大きな怪物 平井金三 述
私を悩ました妖怪 坂東薪左衛門 述
枯尾花 関根黙庵 述
取り交ぜて 水野葉舟 述
怪談六つ 安部村羊 述
死んだ女房に生写し 土井ぎん 述
見た話、聞た話 石橋臥波 述
白い光と上野の鐘 沼田一雅 述
不吉の音と学士会院の鐘 岩村透 述
菜の花物語 児玉花外 述
鰻 泉鏡花 述
不思議譚 黄雲生 述
百物語怪談会 (ちくま文庫 ふ 36-5 文豪怪談傑作選 特別編)(amazonリンク)

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「怪談部屋」山田 風太郎 出版芸術社
「稲生物怪録」荒俣 宏 角川書店
「真夜中の檻」平井呈一 東京創元社
「怪奇クラブ」アーサー・マッケン 東京創元社
「妖怪博士ジョン・サイレンス」アルジャノン ブラックウッド 角川書店
「陀吉尼の紡ぐ糸」藤木 稟 徳間書店
「本朝聊斎志異」小林 恭二 集英社
「ぼっけえ、きょうてえ」岩井志麻子 角川書店
「怪奇・伝奇時代小説選集〈7〉幽明鏡草紙」志村 有弘 春陽堂書店
「芸術新潮1994年9月」特集血まみれ芳年、参上
「怪奇礼讃」E・F・ベンスン他  東京創元社
ラベル:怪談 書評
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2008年07月07日

「マネーロンダリング」橘 玲 幻冬舎

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金融や資産運用に興味がある方で知らなかったら、まずモグリであろうと思われる名著「 お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方」の著者が描いた経済小説が本書です。

実は著者の本、昔何冊も買って読みまくっていたことがあります。思いっきり以前からのファンでもあるわけだったりします。

まあ、浪人中、映画の「ウォール街」を見て感動し、マイケル・ミルケンに憧れていた私としましては、本書のようなグレーゾーンの金融ビジネスには、血湧き肉踊るのも止む無しと言えるでしょう♪

学部生時代は、経営学部にいたのに法律を勉強し、ゼミは金融論だったし、院生時代はファイナンスや情報の非対称性を好んで勉強してたくせいに何故か、就職先はメーカーや流通で、金融には遠ざかっていたのですが、今現在やっと金融にいる私としては、なかなかに感慨深いものがあります。(人生、いろいろありますよ!)

普段仕事で見るフォルダの中に、アルカイダのチェックやらがあったり、e-learningの内容にマネーロンダリングの項目とか入っているのも結構身近な感じがしますねぇ~。

本当はもっとドロドロの怪しい分野の仕事の方が好きなんだけど、まあ今は実に綺麗な分野のお仕事をしている感じです(笑)。

個人的事情はさておき、やっぱり橘氏は実態としての経済事情をよくご存知で頭が下がりますね。金融知識だけでも十分に勉強になるのですが、小説としても実にうまく出来ていて面白いし、ストーリーに引き込まれていきます。今日は通勤の行き帰り&ランチの時間で一気に読了しちゃいました。

会社休んで、この本をずっと読もうかと思うぐらい面白かったです!!

よくぞここまで!っていうぐらいの生々しい金融を巡る情報がたまらなく魅力的で、主人公のいささか斜に構えたような、世間一般と距離を置いたような生き方にも、強い共感を覚えます。

私は日本のことぐらいしか分かりませんが、定款も自分で作成して、法人の設立もやったし、その法人名義でデイトレもやってたのでどうにもひとごとのような気がしません。実際に投資顧問業でもやろうかと考えて調べたことがあるので、本書で記述されてた関東財務局への登録とか、おおっ、そういやあ、そんなこともあったなあ~と懐かしく思ってしまいました。

本当に儲かれば、宗教法人とか非課税の法人を買っちゃうとかしたかったんだけど・・・。全然儲からなくて、経費で落とす以前だったもんなあ~。ちぇっ。

どうも独り言が多くなって恐縮ですが、本書は香港のオフショア市場を舞台に違法な形で獲得された資金50億円を巡る金融取引を描いています。とにかく、そこで語られる内容は単なる金融に止まらず、金融行政を始め、世界的な経済の仕組みを嫌ってほどリアルにお勉強させてくれるので、楽しくって仕方ありません。しばしば主人公が痛烈に、且つシニカルに指摘する発言の毒がそそります。

もう手放しでご推薦の一冊です。でも・・・最低限の経済常識がないとついていけないのでご注意を! ゆとり世代では、理解できないような気がします。ビジネスマンとして、きちんと経済事象の仕組みを理解している方ならOKかと。

もし、読んでも分からない方、死ぬほど勉強しましょう♪ 説明を聞いても理解できないのは、貴方の不勉強が原因です。それではビジネスできません(たぶん・・・)。

とにかく、いやあ~これだけの経済小説があるとは、日本たいしたもんですね。ニホンキタ~!ってネ(笑顔)。

マネーロンダリング (幻冬舎文庫)(amazonリンク)

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法王の銀行家 2002年の映画
「まぐれ」ナシーム・ニコラス・タレブ ダイヤモンド社
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2008年07月06日

「R.O.D」3巻 倉田 英之 集英社

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えっと、シリーズの3作目です。

内容は”Give me book!”
~以上です。

だって、もうそれで全てなんですけど・・・。マジ、事実だし・・・。

一冊の中に、小ネタのストーリーが複数入っていて、いろんなストーリーを楽しめるところは、1巻目から変わっていません。今回も、幾つかのストーリーが絡みあっていて、でも、複雑にならない範囲で結び付いていて読み易さにも変わりありません。

また、本を愛する情熱が主題の点も不変です。

今回の中で特に印象に残ったのは、読子(主人公)が本の全く無い無人島に飛行機から墜落してしまったところ。ベタな設定はさておき、本が無いと確かに死んじゃう人がいるかもしれませんねぇ~。

体も健康で、生きていくのに最低限必要な水や食料があるのに、本が無いというだけで生きる屍になる、読子の姿は、ひとごとではなかったりする。実に、考えさせられます(苦笑)。

我が身をつらつらと省みるに、確かに常に本持ち歩いているし、旅行中でも仕事中でも本読んでるし(仕事の本だよ!)。本じゃなければ、少なくとも文字読んでるし・・・。

仕事だとメールとかコード、読んでるか。周囲の人の心も読んでたりして・・・(おっ、うまい!自分!)

本が無い時は、ノートに何かしら文章を書いていたりする。う~ん、意識したことなかったけど、活字中毒なのかもしれないなあ~私も。

昼食時も当然、片手で食べながら、本を読んでますもんね。電車内では、本か雑誌かメールだし。人と話をするのも好きですが(相手にもよる)、全然本を読まない生活は、辛いなあ~きっと。

まあ、いろいろと考えさせられたりもしますが、読んでいて面白いのは間違いありません。早く読めてしまうのが少し残念ですが、こういう楽しさもまた良いかと思います♪ 私はスキ!

R.O.D〈第3巻〉 (集英社スーパーダッシュ文庫)(amazonリンク)

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「R.O.D」2巻 倉田英之 集英社
「R.O.D」倉田 英之 集英社
「R.O.D-READ OR DIE-」第1~3巻 SME・ビジュアルワークス
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2008年06月29日

「呪禁官」牧野修 祥伝社

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ハヤカワのSFマガジンで慣れ親しんだ牧野氏の小説ということで読みました。科学以上に、オカルトがある種の『技術』として認知され、そのオカルト技術を応用したうえで成立している社会が舞台。そこで日陰者とされた科学者集団やオカルトを悪用した犯罪組織などが出てきます。

主人公(たち)は、そういった社会でオカルト犯罪を捜査する呪禁官の育成組織に所属する学生達。彼らのありがちな学生生活とありえない事件との間での活躍を描きます。

まあ、設定はそれ系SFっぽいのかもしれませんが、いわゆる伝奇物のジャンルになるのでしょうか? 読んでいて、菊池秀行氏がどうしても頭に浮かびました。エメラレルド・タブレットやゴーレムなど、ネタ的には結構すきなのですし、エンターテイメントとして悪くないのですが、今まで読んでいた牧野氏の作品とは明確に異なります。

いささかありきたりの伝奇小説になってしまっているのが、もったいない。牧野氏と言われなければ、いいのですが、そうだとすると期待水準が高くなってしまうのでこれでは満足いきません。

まあ、単なる小説として読みましょう。それならOKだと思います。

呪禁官 (ノン・ノベル)(amazonリンク)

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「MOUSE(マウス) 」牧野修 早川書房
「月光とアムネジア」牧野修 早川書房
「王の眠る丘」牧野修 早川書房
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2008年06月21日

「R.O.D」2巻 倉田英之 集英社

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書痴、あるいはビブリオマニア、本オタク・・・全ての呼称にあてはまるような女性が主人公で本にまつわる事件を解決していくエンターテイメント系(ほとんどそうだろうけど・・・)ラノベ。

普段は、とろくていささか鈍い20代女性(非常勤教師、現在求職中)が本に関することになると、異様なまでの行動力を発揮したりします。実は大英図書館の特殊エージェントの身分を持ち、特殊な能力を駆使したりもするのですが・・・。

本書の一番のウリは、まず男性しか浮かばない本の世界に若い女性を主人公とした新しい領域を開拓した点でしょう。ファッションを初め、女性が関心を持ちそうなあらゆる分野を無視して、本至上主義を生き甲斐とする女性主人公。そのアイデアだけでもユニークですが、それがジェームスボンドばりの活躍をするんですから・・・・!

でもね、読んでいて読者が一番楽しいのは、主人公が本質的に本好きの仲間的な要素をたくさん持っているところ。古書市で我先にと駆け込んで狙った本を獲得する情熱(それに付随する行動)が共感をよぶんですよねぇ~。

エレベーターにすぐに乗り込まず、閉まる直前に乗って、扉が開いた時にすぐ出れるようにする、な~んてのは気持ちが痛いほど分かりますねぇ~。私は、最近古書市すら行ってないんで駄目ですけど。

とにかく本が好きな人だったら、主人公に強烈な親近感を覚えざるを得ません。一緒に、買った本の品評会や感想大会でもやりたくなるますって!絶対!
(もっとも本の為に、友情さえ犠牲にするところなんて、リアル過ぎ(笑))

今回の舞台は、世界一たくさんの本を集めた日本の書店が舞台。高層ビルの地上40階、地下6階が全て本という書店は、それだけでもワクワクするお話ですよねぇ~。

本好きな方、読んで決して後悔はしないと思う小説です。夢の中でまで本読む主人公は、なかなかにレアですし。

【余談】
挿絵を描かれているのって羽音たらく氏なんですね。おねがいティーチャーの。どうりで馴染みのある感じがしてたのですが、納得しました!

R.O.D〈第2巻〉 (集英社スーパーダッシュ文庫)(amazonリンク)

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「R.O.D」倉田 英之 集英社
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2008年06月15日

「図書館戦争」有川 浩 メディアワークス

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当初、思いっきりジュブナイルものの軽い読み物だと思っていました。出版社さんもメディアワークスさんでしょ、確かアニメにもなってたはずだから、舞台が図書館なだけでいささかチャライものを想像していたのですが・・・。

すません、私の完全な誤解&偏見でしたね。実に、よく練り上げられた読むべき価値のある作品です。

内容は、ある一人の新人図書館員(図書館を守る戦闘要員)の女性を通して描かれる近未来(というより、並行してあるかもしれないパラレル・ワールドっぽいかな?)の図書館が舞台。そこでは悪書(恣意的に決め付けられたもの)を検閲で取り締まる側と検閲を逃れて情報を公開しようとする図書館側の対立勢力が文字通り、力づくで各々の主張を行う世界を描いています。図書館は、自らの存在意義(資料の収集、資料提供)を維持する為に独自の武装勢力を有するに至り、そこで繰り広げられる抗争が描かれます。

「表現の自由」を巡る規制は、未だにロシアや中国を見ても厳然たる事実としてあり、その重大性は時代を超えて、地域を越えて普遍なものだと思われるが、正直、図書館が検閲勢力と対抗する為に武力を有するというのは、設定からしてもいささかナンセンスって私思ってました。本書を読み始めた当初は。

でもね、そのいささか奇妙とも言える設定が、言論の自由に対する劣悪な公権力からの介入、且つ、実にしばしば生じうる操作された大衆世論の圧力などを丹念に描写されていくにつれ、実に生き生きとして興味深いものになっていきます。極端な舞台設定が、かえって現実の問題を顕在化させるいい例ですね。

登場人物の極めて日常的な言動が、いかにもどんな職場にもいる上司や同僚の世界での話であり、近未来的なSFの舞台設定を虚構を虚構としないリアリティに変化させています。読んでいて単純に楽しいエンターテイメント小説でもあるのですが、むしろ本書の魅力はその背景に描かれているのは、設定は違うものの実際に存在する現実だと思います。

例えば、図書館の館長が病気の為、代わりに送り込まれた館長代理というのが、上からの顔色を伺う行政派で図書館独自の立場を尊重する原則派とは合わないなど、どこの組織にも付随する不毛でありながら、無視できない構図など、さらりと描いているのも面白い。

私も図書館によく行くが、そこでみた司書さん向けの業界誌的なものにも載っていたが、図書館員は必ずしも司書の資格を要せず、あくまでも行政組織の一部署として管理職が数年おきに変わるので、プロパーの方とは問題意識も視点も異なっていて、大変らしい。そんなことを知っていて、本書を読むと更に興味深い記述が散見する。

また、それと気付かない人が多いかもしれないが、法律をきちんと学んだ人なら分かると思う。行政サービスとしての法律解釈なども実に適切だ。しばしば一般人は、柔軟な法解釈で行政サービスを受けたいと考えるが、これは大間違いだろう。例えば、生活保護問題などでもっと柔軟に適応対象を広げるべきだなどと良識者ぶった思慮の足りない発言をする人も多いが、予算的制約もさることながら、法は杓子定規で運用することではじめて権力の抑制としての意義があり、法治主義の価値があるのだが、法が柔軟且つ適宜の解釈なんてことを全面的に認めていたら、そここそ言論の自由なんて、名目だけでいっこうに実効性のないものとなるでしょう。即、潰されるって!

良い意味で悪い意味でも、一定の硬直性を有してこその法の縛りであり、行政側が恣意的な運用や消極的抵抗(怠慢)などを排除する為にも必要なのだが・・・『法律』の限界と有用性を知らぬ発言が蔓延するのも今に限ったことではなく、普遍的な現象なのがつくづく悲しい。

まあ、そういった観点も分かったうえでそれを踏まえて本書は書かれていると感じた。平易な表現でさらりとしか書かれてないが、実に読み方によってはいろいろなことを想起できる文章である。

本書は見かけのチャラさとは裏腹に実に、骨太の世界観(現実認識)を根底に持っており、登場人物はそれぞれ普通なんだけど、普通故の魅力をたぶんに持っています。そして、その普通の割りに、一本筋の通った熱い思いを胸のうちに秘めた人達が多く、読んでいてもジ~んときちゃうところがあったりします。

単純に言うと、感動することができる本です!
読んで楽しいラノベであると共に、考えさせられるところも大の小説です。こういうものこそ、良書でしょう。

読むなら、是非、こういう読み応えのある小説をお薦めします。最も、良書であろうと悪書であろうと、読み比べてこそ意味があるものであり、情報を制限すること自体が、とにかく悪だと思うけどなあ~。
つ~か、イージス艦の情報漏らした組織の人間を、普通に生かしておく国家もなんだかねぇ~。公安とか何してんだか???

どこでもそうだが、建前と本音は別物なのは、仕方ないし、それはそれで意味があるんですけどね。必要ならば、果断たる手段をとるのも止むなしだと思いますけど・・・。原則論を支持しながら、あまり綺麗事を言う人も大嫌いな矛盾の塊のような私???


まあ、とにかくアニメも観たい~。原作の良さが題無しになっていないことを強く期待しちゃうね♪ 本書を読んでいて、カフカの作品をイメージしちゃいました。さて、どうしてなのやら?

図書館戦争(amazonリンク)

図書館戦争(アニメ)公式サイト
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2008年06月10日

「妖魔戦記」菊地秀行 光文社

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菊池氏の作品は、面白いものもたくさんあるのだが、多作故か一定の確率でつまらない駄作とも言えるような作品がしばしばある。本書は、駄作の部類に入ってしまう作品でした。残念!

吸血鬼ハンターDやトレジャー・ハンターなど、読んでいて実に面白い作品書く方なんだけど・・・。今回は「妖獣都市」の続編かなあ~って思って読んだんですけど、そちらの続きではないみたい。

別にエロくもないし、オカルトっぽくもない。日常に潜む(かもしれない)異界を描かせたら、右に出る者なしの著者もこのストーリーでは発想の貧困さを感じさせてしまい、悲しくなる。

ひなびた温泉旅館に現われた異国の神父、散々期待させてそれで終りなの?って失望しました。小説としてつまらないので本作はお薦めしません。

妖魔戦記(amazonリンク)
ラベル:小説 書評
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2008年05月11日

「ホーンテッド・ファミリー」草上 仁 朝日ソノラマ

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基本、女子高生一人称による会話で進む、SFホラー(超・明るい!)。

いきなり怪しげな格安宇宙船を購入したら、それは案の定、幽霊船だった・・・そして、そこで生じる怪しげな出来事の数々。宇宙に設定を写しながら、お約束を踏襲しつつもノリは、いつもの草上氏らしいノリ。

確かにホラーっぽいんだけど、すみません、コメディとしか思えません。でも、それはそれで意図的なもので十分楽しめてしまうのが、著者の力量ですね。

しばしばあるSFバカ話系。勿論、最初から最後まできっちり楽しめますので問題無し。冒頭から次々湧き出す疑問も、ラストにかけてのいかにもSF的説得力(勿論、表面的なものですよ~!)を有する謎解きで、面白く解決してしまうのがイイ♪

私は、こういうのも嫌いじゃない。先ほどラノベの「めがねノこころ」とパラレルで読んでいたので、余計こちらが面白く感じた。どうせ読むなら、こっちを読みましょう。ラストの説明は、物理学で有名なお話ですが、全然予備知識無いと少し辛いかな? そういう人は、自分の不勉強さを痛感しましょう(笑)。

もっとも私も聞いたことのある程度でしかなく、本質的には何にも分かっておりません(自分自身が一番、不勉強さを痛感しちゃいますけどね)。でも、それをこういう利用してSFにしちゃう辺りが、なんかスキです(笑顔)。

実に楽しいSFホラー(?)です。暇な時には、読んでもいいかも。

ホーンテッド・ファミリー (ソノラマノベルス)
ラベル:SF 小説 書評
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「めがねノこころ3」ゆうき りん メディアワークス

全3巻で完結する眼鏡っ娘主役のラノベ作品の最終巻。

2巻目までは結構面白かったので、期待しつつ、どうしても結末が読みたくて手間かけて入手して読んだのですが・・・。

大いに失望した! 
きっちりと最終巻で結末はついたし、予想通りのハッピーエンドと言って良いのでしょうか、一見すると問題がないようですが、作者のストーリーテラーとしての限界を感じる。

正直、この巻は全然面白くなく、つまらない。全3巻にかけた貴重な読書時間を浪費した感じがする。申し訳ないが、この程度の設定で尻すぼまり的になってしまうなら、初めから大風呂敷広げないほうがいいと思うんですが・・・。

設定等の構成力が無いなら、むしろ登場人物達の掛け合い的な言葉の応酬で刹那的な楽しさを提供して欲しかった。毒にも薬にもならない、悪い意味でのラノベでしかなかった。勿論、アクション的な部分は、あまりのお粗末さに一気にそれらの頁を飛ばしたのは言うまでも、翻訳物の方がはるかに上手いです。

ラノベって、本当に当たりを探すのが難しいですね。たま~に素晴らしい作品があるのでそれを見つけたくて、ついつい読んでしまうのですが、読み易さと手軽さだけで読後に即刻捨ててしまいたくなる衝動がおせえられない自分を感じて、嫌になります。

不思議なことに、童話や昔話の方がこういう気持ちになることがほとんどないのは何でだろう? とにかく、これはいけません。3巻まで引っ張られた私もバカですが、反面教師としてご注意下さい。

めがねノこころ〈3〉 (電撃文庫)(amazonリンク)

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「めがねノこころ 2」ゆうき りん メディアワークス
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2008年05月07日

「R.O.D」倉田 英之 集英社

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アニメを先行して見ていたものの、原作のライトノベルはお初になります。

いきなり初巻から、重々しい『業(ごう)』を背負った境遇が明かされます。そっか、そっかそれで野暮ったい眼鏡なんですね。まるで私みたい・・ん!?

主人公は、ひたすら本好きの書痴である若い眼鏡っ娘。衣食住には必要最低限度しかお金をかけないのに、衝動的に街の書店の本を丸ごと店買いするなど、相当常軌を逸した行動をとったりする。

普段は朝から晩まで本を読み漁り、神田神保町に住み、徘徊しているが、実は大英図書館の特殊能力を有するエージェントという設定です。

何よりも主人公である女性の、並外れたビブリオマニアぶりが魅力です。お友達になれそうな気もするのですが、読んでる本の趣味は正直イマイチ。本は読むものとしながら、同じ本を5冊も買うなど、ちょっとねぇ~。せいぜい2冊にしとけって。

しかも、あまりにも普通の本過ぎて、そんなんいくら買ってもしゃーないやん!ってか思ってしまう私って、ひねくれもの? 世界にはもっと&もっと凄い書痴が溢れてますからねぇ~。

冷静になったりすると、それほどのものでもないんだけど、ライトノベルでこういうのは珍しいと思います。スキマのジャンルながら、そつなく読ませる文章で本好きなら、十分に楽しめると思います。アニメも面白かったけど、小説もそこそこ面白かったです。

ただ、お薦め~というほどではない。図書館にあるとか、ブックオフで100円だったら、読んで悪くないというところ。

もっとも私はまとめて3巻まで購入済みなので、ぼちぼち読んでいく予定。

ちなみにタイトルは 「read or die」。「to be or not to be」というシェークスピアのあれを念頭においているのかな?

R.O.D―READ OR DIE YOMIKO READMAN“THE PAPER”(amazonリンク)

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「R.O.D-READ OR DIE-」第1~3巻 SME・ビジュアルワークス
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2008年05月01日

「めがねノこころ 2」ゆうき りん メディアワークス

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私的には、完全に眼鏡っ娘モノとは別物扱いですね。やはりロリ、ツンデレ系の王道を歩んでいます。

実は出版社の内容説明では、学園ラブコメディと書かれていたのですが、前回はそれはちょっと・・・と思ってました。でも、この巻からはまさにそれっぽくなってきました。

当初は、ほとんど表情がなかった主役の眼鏡っ娘もカラオケでノリノリになってしまっては・・・ねぇ~。主人公の男子高校生を挟んで、女性(いたいけな少女)二人で取り合いとは、ラブコメ以外の何物でもないッス。ホント羨ましい限り。

ストーリーは、いろんな意味で明るいハッピーエンドを予想させる方向に向かっていきます。まあ、現代のラノベらしく適当に人も死んでますけど。

何よりも周囲の人よりも常に自分が第一というselfishの極め付けを、前面から肯定する辺りが、今の10代ぐらいに共感され、支持されるのかもしれません。自己前面肯定の割に、自己を主張する為の努力はなにもせず、あまつさえ年下の少女に大の男が護衛されてラブラブ、な~んて安易な世界観、さすがはゆとり世代向けってカンジです。

すみません、ちょっとだけ毒吐きたくなりますが、ユルい感じで適度に暗くていいのかもしれません。嫌いじゃないです、っていうか、大いに面白かったりするんですが・・・。

予定調和の安心感が、実に居心地いいです。いろんな意味でみんなから守られて大切にされて、女性の裸も見放題!ってね。こういうこと書くと誤解されるかな?

まあ、でも今回は文字通り、裸の女性も出てきますのでご期待下さい(でも、全くエロくないんだな、これが残念なことに)。

でもでも、物語として次がきっと読みたくなります。私も続きを買う予定。だって、読みたいもん。ラノベ好きなら、悪くないと思うのですが、いい年をした大人が電車内で読むのはちょっと辛いです。挿絵がロリロリし過ぎているし、何枚か入っているのでそれを他の人に見られるのは・・・ちょっとネ。

百歩譲って、車内なんてしょせん他人だし、気にしないで実は読んでいたのですが、会社の空き時間に読むのは止めた方がいいです。挿絵にさしかかるたびにさすがに隠さないではいられません。でも、読みたいし。落ち着きません(笑)。

まあ、TPOを考えて読みましょう。特に内容はないですが、読んでると最後まで読み終えたくなります。

「めがねノこころ3」ゆうき りん メディアワークス 最終巻で評価がガラっと変わりました。


めがねノこころ (2) (電撃文庫)(amazonリンク)

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「めがねノこころ3」ゆうき りん メディアワークス
「めがねノこころ」ゆうき りん メディアワークス
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2008年04月30日

「撲殺天使ドクロちゃん」1~2 おかゆ まさき メディアワークス 

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私はアニメから入ったので、原作の段階で完全にアニメそのものであったことに大変驚きました。いやあ~、小説でこれだけ笑わせてくれるのは、西尾さんの「化物語」以来です。あちらには、さすがにかないませんが・・・。

もっとも、笑いとは違う観点で発想が非凡です。

可愛くてちょっとHっぽい天使が、現代の若者っぽく何も考えずに適当に感性(感情?)で行動し、すぐに周囲の者に虐殺の限りを尽くす。

しかし、魔法を唱えるとみんな元に戻るって、凄くないですか・・・!
RPGのリセットやら、復元の呪文じゃないって。

魔法で何でもできるというのは、アニメの世界のお約束ですが、そのお約束で毎回虐殺しても元通りって、おい、いいのか、それで。

いくらアニメでも、それを『アリ』にしたら、いけないという暗黙のルールがあるものですが、あっさりとそれを無視したうえに成り立っているこの物語って新しい『世界』を感じますね。無秩序と混沌そのものかもしれませんが・・・、でも、面白いからヨシとしちゃいます。

アニメでネタを知っているので、今回ラノベで2冊読んでも普通に面白いなって感じでしたが、アニメ見ないでこれ読んだら、驚愕したことでしょう。絶対にパワーがありますって!

何気ない端々の小ネタというか、種々の設定がそれありかい?ってのが頻発します。書けそうで書けないですよ、私だったら。実は自分が常識人だったことに気付いてしまいます。まだまだだなあ~私。

このラノベ面白いです。アニメ見てからだと、面白さ半減以下になりますので出来ればこれ読んでから見た方がいいかも?

アニメ見ちゃうと、わざわざ原作読まなくても・・・っていうのも正直ありますけどね。読んでても面白いのは、間違いないです。

主人公は成績優秀な中学生(中2)と彼のところに引き出しの中からいきなり現れて同居し始める未来の天使。何かにつけて、勉強をさせまいとし、私生活を混沌に陥れるのですが、それには並々ならぬ理由があったりするのでした。

もっともこのストーリーの中で私が一番好きなのは、主人公の幼馴染で同級生という安易極まりない設定の少女・静希(しずき)ちゃんだったりする。図書委員で性格良くて優しくてとほぼ満点でしょう。唯一の欠点が図書委員の優等生キャラのくせに眼鏡をかけていないことぐらいですが、そこは脳内補完してOKです(オイオイ)。

日本終わったな・・・って、ニコ動じゃないんですけど・・・。

まあ、この手のノリが分からない人は置いといて、最近ラノベが面白いです。作り物の虚構世界を楽しんでいる感じが素敵♪ 現実逃避したいのでGW中はもっと読みたいかもしんない。

ほんと主人公の少年に、是非ともあの薬を発明してもらいたいものです!! 私的には、ドラえもんよっか、はるかにドクロちゃんの方がいいな。ザクロちゃんの方がよりいいですけど・・・(節操無し)。

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「めがねノこころ」ゆうき りん メディアワークス

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眼鏡っ娘萌えのラノベだろうということで、つい買って読んでしまったのですが・・・う~ん、思ったよりもしっかりしたストーリーで、ずいぶんとマトモです。

電撃文庫のイメージからすると、違和感を少し覚えるほど、ちゃんと話がしっかりしてます(すみません、私の偏見があり過ぎかもしれません)。ちょっとつ~か、かなり深刻な舞台設定だし。

眼鏡がストーリー上の重要なアイテムになっているものの、個人的にはなんか違う・・・。ちっとも眼鏡っ娘にワクワクしないんですが・・・どうしてでしょう?

むしろ単純なツンデレ・ロリ小説だと思うんですけど・・・ネ。眼鏡っ娘好きの私にしては、全くその点では興味を惹きませんでした。ツンデレとしては、そこそこ好きですけどね。眼鏡ダメジャン!

その意味では残念なお話でした。もっとも単純なラノベとしては、十分に面白いです。たまにはこういうのもGOOD! 続きも買ってあるし、勿論、楽しんで読む予定。

でもでも・・・やっぱり、りっちゃん(エヴァの赤木博士)好きなんだけどなあ~。最近、切れ者の眼鏡さんに出会う機会が無くて寂しい。読子さん(R.O.D)系とも話が合いそうなんだけどなあ~。

今の会社は、マトモな人が多くて怪しい人が少ないので残念です。せめと小説の世界にぐらい、ギリギリな登場人物に出会いたいものです。面白い本、ないかなあ。

粗筋も触れておきます。
突如、高校生の少年の前に12、13歳の眼鏡少女が現れます。少女は、特殊な生物兵器であり、見かけと異なり、ありとあらゆる特殊任務に対応できる能力があり、少年の身辺警護を開始します。

少年の父親は自衛隊の特殊な任務についていて、その関係で彼の命がとある組織に狙われているらしいのです。そして、少年を襲うゴスロリ少女との闘いの中で・・・。う~ん、ラノベですなあ~。改めて考えると少女ばっかりじゃん(笑)。

お年頃の男の子がメイン読者層だろうしね。ふむふむ。まあ、そんな学園小説なのですが・・・はてさて。

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posted by alice-room at 20:52| Comment(0) | TrackBack(0) | 【書評 小説B】 | 更新情報をチェックする