シャルトル大聖堂4~フランス(20100624)の続き。
さて、たった一日なのにさすがに長々と書いてきたような・・・・


写真を撮ったり、ステンドグラスや彫刻の細部を見るのに忙しく、食事を取るのももどかしいぐらいですが、さすがに少し疲れてきたので駅前の方のお店のある方へ移動。
5年前にもよく見かけたが、フランスも移民の人が多いのでしょう。安くてボリュームのあるケバブをパンに挟んでサンドウィッチにしたものを頼む。それをコカ・コーラで流し込む。
チリやマスタード、マヨネーズなどソースも豊富に選べ、何よりも野菜が一緒に入っているのは、良かった。思ったよりも美味しかったしね。


さて、大聖堂へ戻る。この辺の写真は、iPhoneのカメラで撮ったもの。
静寂と暗いので有名なシャルトルらしからぬ明るさなのが分かります。正面、工事の足組みも見える。

聖遺物、明るくて神聖が損なわれそう・・・。

では、最後に今回なんとしても行きたかったクリプトのお話し。
写真はクリプト・ツアーのチケット。ガイド付きのツアーじゃないと行けなかったりする。大聖堂の横にあるその名も「クリプト」というお土産物屋さんでチケットを購入し、その店の前に時間で集合。
今回は1時半からのなんだけど、こないんだこれが・・・。
他の人も、明らかに遅いなあ~という顔つきでキョロキョロするものの、誰も出てこない。店の人も気にしてたみたいだけど、結局、15分も遅刻してきてた。イタリアじゃないんだけどなあ~。
ようやく期待のクリプトへ出発!!
カエサルの「ガリア戦記」にも記述され、「黒い聖母」でも有名なシャルトル大聖堂は古代から聖域。まさにそのパワースポットの中心地へ向かう。
鍵をかけられた扉を開けられ、下へ向かう階段を一歩下がるとメチャクチャ寒い。さっきまで待たされていた外は30度以上でジリジリと肌を焼く陽射しだが、たった一歩、否、クリプトの入口に来ただけで、冷気が下から身を包まれるような感じだ。
冷房の所へ入る感覚というよりは、製氷室へ入るかのような冷たさで、半袖の上着では全身が震えてくる。慌てて上着を羽織る人達もいた。
照明をつけるまで、そこは完全な闇。説明はフランス語のみなのが悲しい。英語なら、なんとか少しは分かるんだけどなあ~。
後ほど行ったサン・ドニのクリプトとは、根本的に感じが全く異なる。本当にむき出しの地下室そのものだ。黒の聖母も元々のものは、野蛮なフランス革命で焼かれてしまったことは述べたが、それでもここに未だに鎮座する聖母は、独特の存在感を持っている。
このクリプト内で、黒の聖母を崇敬している様は、やっぱり尋常ではない異教的な臭いが漂うと推測されるのは、やぶさかでない。それ故に『聖なる井戸』は埋められ、柱の聖母が作られたのだろうが・・・・。
地下礼拝堂で見たのは、過去に壁に塗り込まれて隠されていた初期キリスト教美術らしき壁画であり、現在も調査中みたい。黒い模様となってしまっているが、それは壁画としてかろうじて認識できる。そんな感じでした。
以前、ローマのアッピア街道沿いのカタコンベで初期キリスト教の痕跡を見た時と似た感じを受けました。あそこは魚が印として刻まれ、初期ギリシア語で文字が刻まれていたんだっけ?
なんか似ているんだよねぇ~。
そして、いよいよクリプトの大本命。
一度は埋められてしまったものの、近年、再発見されて話題になった『聖なる井戸』を見ることができました。
シャルトル大聖堂の一番の聖地、且つ、中心地。ケルト以来、連綿として存在し続ける聖地。
そこは、実に深い、とっても深い井戸でした。
井戸を覗くと、奥の奥の方にかろうじて水らしきものが見えました。しっかり、光学10倍ズームで撮ったんだけどなあ~。メモリ消しちゃったから・・・(鬱)。謎は謎のまま、触れてはいけないのかもしれません!
井戸からの冷気?
ゾクゾクするようなモノは、まさにパワースポットにふさわしい感じでした。荒俣さんとかいたら、龍脈とかレイ・ラインとか言ってるところでしょうね。
まさに聖地だし、聖域である事を心の底から実感できました。それだけでも満足です♪
ただ、いろいろと事前に調べて予備知識があったので、個人的には大変感動しましたが、知らない人が行ったら、何にもない薄暗い穴蔵ですので、つまらないかもしれません。しかし、知っている人なら、是非、訪れたい世界有数の神秘スポットです。
いささか胡散臭い本などでも必ず触れられる場所ですし、錬金術で有名なフルカネリのあの本の大聖堂は、まさにここのことですもんね。
今度は、やはり最低でも一週間以上、シャルトルの街に宿をとって、日がな一日、ステンドグラスと彫刻を眺めていたいな♪
クリプトから出るとまぶしさで目を覆うばかり。別世界です。
以前と同様に、シャルトル大聖堂の周囲をぐるっと周ってみます。後ろにある美術館(?)前がちょうど良い休憩場所であり、木陰のベンチに座り、フライング・パットレスを眺める。何とも感慨深い。
良い天気だ。シャルトルの裏の敷地の壁は、絶壁のようになっているが、何故レスキュー隊の車両が止まっていて紐を垂らし、それを下降する訓練をしていた。う~む。
ぐるっと周り、北かな?3つの門を眺める。正面に負けず劣らず、大変意義深い彫刻で埋め尽くされ、魅力的な図像の宝庫だ。全て全く余すところ無く、写真に撮ったんだけれども・・・。残念! また行かねば!
何度でも行かないとね。シャルトルにおわす聖母様もそれを望まれていることでしょう。
クリプトの後、ツレと一緒にステンドグラス「エッサイの樹」を探すが見つからない。先に塔に登ってみる。人が少ないから良かったけど、これで多かったら参っちゃうところでしょうね。何度行っても足がすくむ。
塔から戻ってきて、塔のチケット売っている人に聞いても分からなかったしなあ~。ガイドブックを見ても、最初気づきませんでした。(気づいたのはホテルに戻ってから。ネットで調べて気づき、その後、持ってたガイドブックでも気づく)
結論から言うと、正面が工事中でちょうど、「エッセイの樹」のところが隠されていたのでした。どうりで聖堂内の主だったステンドグラスを再度眺め直して意匠を確認しても見つからなくて当然ですね。う~ん、これも大変残念でした!
その代償として、後日サン・ドニで「エッサイの樹」見るんだけどね。そういうこともあります。
今回は、暗くて高い(=遠い)位置にあるステンドグラスの絵を綺麗に撮る為だけに、デジカメを新規購入し、大容量メモリ(8GB+4GB)と予備バッテリー、ミニ三脚まで準備。
万全の準備で向かいましたが、その成果はありました。光学10倍ズームは、やっぱり協力ですね。一方、ズームがすごいのでそれに比例してブレも大きく、やっぱり暗い大聖堂の中の撮影は大変でした。
でもね、4~5枚に1枚ぐらいは、ブレないのが撮れたので結果オーライです。それを見越しての大容量メモリだし。
それとカメラ自体の性能UPも痛感しました。凄いよー本当に!! 驚くほど頭がイイ。実に良く計算してベストの設定に調整していることを感じました。電池を膨大に消費してますけどね。
今回は後でじっくり拡大して細部を見て勉強しようと思っていたので、1枚毎の撮影サイズも大きくしてあるので、じっくりと見えそう。楽しみです♪ 1枚で10MB以上だもん。
まあ、シャルトル駅でのトラブルで電車に乗り遅れた結果、最高の状態でステンドグラスを撮れたことは、望外の喜びでした。あの深みのある『シャルトル・ブルー』。見れて本当に幸せでした。最高~! これが本当に見たかった!!
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シャルトルで満足した後、パリ(モンパルナス駅)へ戻る途中で悲劇が。
実にたくさんの写真を撮ったのでもう軽く1000枚を越えている。メモリは8GB入ってるし、予備の4GBもあるものの、ステンドグラスでブレて失敗したものも多かったので不要なもの消去しようとしたのでした。これが失敗の元。
観光2日目だし、念願のシャルトルでたくさん写真が撮れたので大満足した油断からでしょうか? いつものように1枚消去しようとしたところ、なかなか消えない。アレレ? 嫌な予感がしてすぐキャンセル。その数秒間で約800枚が消えてしまったのでした。ガックリ。
コペンハーゲンでの乗り継ぎや、パリの空港。初日は全滅。この人のシャルトルも午後3時前まで綺麗に消えておりました。
車内であやうく倒れそうになりましたが、聖母様の御加護でしょうか(だてに聖遺物拝んでません)、一番綺麗なステンドグラス部分は、電車に乗り遅れて再撮したこともあり、なんとか確保できました。ホッ。
でも、本当は、青の聖母が午前と午後でどれほど変わったか、比較したかったんですけどね。もう一度、シャルトルへいらっしゃいという聖母様のメッセージと前向きに捉えましょう。ポジティブ・シンキング?ん!?
でも、クリプトの映像とタンパンの彫刻の写真がほとんど無いのは、かえすがえすも残念&残念&残念! そして無念。何年か後に、また行こうっと誓う私でした。
シャルトル大聖堂6~フランス(20100624)へ続く。
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