「消えた錬金術師」スコット・マリアーニ 河出書房新社

消えたカタリ派の財宝。 レンヌ・ル・シャトー。 錬金術師。 といった、いかにもその手のが好きそうな人向きのキーワードにホイホイ釣られて久しぶりにこの手の小説を読んでみたのですが・・・ぶっちゃけ駄作です。 だって、全然カタリ派のこと分かってないし、説明もしていないし、カタリ派が錬金術ってのがもう分かりません! まして肉体を有する現世こそ地獄とするカタリ派が不老不死を求めるはずもない…

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「肩をすくめるアトラス」アイン ランド  ビジネス社

昨年から読み始めて年末年始を全部使って読了しました。 1200頁超でボリュームがあり、邦訳のあまりの分厚さに正直読み始めるのにためらいがありましたが、ネットのニュース記事でアメリカのリベラル派の思想的背景として著者のアイン・ランドの名が挙げられるのを知り、またあのグリーン・スパンが若い頃、そのサロン的なものに出席していたとか、大統領選挙で名の知れたティ・パーティとかでも絡んでくると…

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「古書店主」マーク・プライヤー 早川書房

パリのセーヌ川沿いに立ち並ぶブッキニスト。 パリの光景としてはお馴染みのものだが、そのブッキニストがいきなり拉致られるところから、物語がスタートする。 軽い気持ちで購入した古書が高価な稀稿本だった・・・・というのは、まあ、世界中のどこでも古書マニアが夢に見る都市伝説ですが、そういったベタなところを物語は進んでいきます。 登場人物は必然性がないのに何故か元FBIで大使館の外交…

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「ラファエロ真贋事件」イアン ペアズ 新潮社

1ヶ月くらい前に読了したもの。 ラファエロの未発見の新作が見つかった!、先日もそんなような記事を見たけれど、あれもオークションにかかってたっけ? まさにそんな可能性としてはありそうな話を主題にした小説です。 犯人を見つけるというではありませんが、謎を解いていくいうスタイルの非常にオーソドックスな感じの小説です。 美大の学生がイタリアの古い教会で忍び込んで軽犯罪で捕まるのですが、そ…

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「詩聖の王子」キャスリン・マゴーワン ソフトバンククリエイティブ

以前読んだ「待ち望まれし者」の続きのようです。3部作の最終巻。真ん中は読んでなくて、最初良く知らずに1巻毎に完結してるかと思ったのですが、どうやら違っていたようです。 ただ・・・・前作を読まなくていきなり最終巻でもなんとか意味は分かるかと。 「ダ・ヴィンチ・コード」だけ読んでたら、十分ストーリー的についていけます。 ストーリーは、マグダラのマリアをイエスの伴侶にとし、真にイ…

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「死都ブリュージュ」G. ローデンバック 岩波書店

ベルギー旅行の準備中に、中世以降忘れさられていたブリュージュを一躍有名にした19世紀の小説があったと知ったので読んでみました。本自体は絶版みたい。 歴史の流れの中で、一時の栄光を遠く離れ、堆積する時間の滓と共に、灰色にくすんでひっそりと生きている都市、ブリュージュ。 その都市のノスタルジックなイメージに、最愛の人を失った悲しみを抱えた男の辿り着いた先というのが相互に干渉しあい…

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「P2」(上・下) ルイス・ミゲル ローシャ 新潮社

元ネタは、超・有名な話で私も良く知っているので、あのP2を扱った 小説ということで、ちょっとだけ期待していたのだけれど・・・・。 普通のニュース記事の方が正直、はるかに面白いです。 今回の新しいポープもバチカン銀行をなんとかしなければいけないとい う事実に直面しているようで、今月もバチカン銀行の浄化に関していく つもニュース記事が出ていたりします。 日本ではほとんど扱わな…

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「修道女フィデルマの叡智」ピーター・トレメイン 東京創元社

中世アイルランドを舞台にして、女性の法廷弁護士が主人公となって、数々の事件を解決する推理物です。 長編も翻訳があるのですが、本作は短編集になっています。まずは短編で作品の良し悪しを判断してから、長編物を読もうか否かと思い、本書を試金石にしてみました。 舞台が当時、キリスト教世界において一番学問の進んでいたアイルランドであり、しかも女性の修道女が名探偵役だったので、どんな内容だ…

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「誤植聖書殺人事件」ロバート リチャードソン 扶桑社

『誤植』聖書って単語から、姦淫聖書や悪魔の聖書等を想像して読み始めてみたのですが・・・。 ラティマ・マーシー、という誤植の聖書は出てくるものの、全然それに関する薀蓄やら、広がりのある話は一切無く、単なる小説の舞台の道具立てとして、チョロっと出る程度で何ら特別な意義を与えられていません。 イギリスの地方都市を舞台にした、ごくありふれた殺人事件で謎解きらしい謎解きもなく、人物の心理描写等…

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「時の地図」上・下 フェリクス J.パルマ 早川書房

全3部構成になっています。 上巻の半分以上まで読んでいる時は、全くSFなんて出てきません。ましてタイムトラベルの片鱗さえもありません。 19世紀を舞台にした、上品な推理小説を読んでいるとしか思われず、それはそれで面白くて、なんの本を読んでいるのかさえ忘れて、物語に没頭していました。 やがて、とってつけたように場面が転換し、最初、H・G・ウェルズとか出てくると何、これ、部…

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「アデル ファラオと復活の秘薬」バンジャマン・ルグラン 早川書房

映画化されてるようです。 原作は、フランス独特なコミックのような媒体で人気の作品。それを映画化したもののノベライズって、ところでしょうか? 表紙はその映画からみたい。観てないけど。 ジャーナリストの才気活発な女性が、型破りなやり方でバリバリと活躍する物語。時代的なものもあり、正直、ちょっと片意地張って頑張ってます調なところがありますが、主人公は好感が持てます。 元々の…

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「ウロボロスの古写本」上・下 レイモンド・クーリー 早川書房

【※ネタバレ有り。未読者注意!】 同じ著者の書いた「テンプル騎士団の古文書」は、確かあまり面白くなかったのでこちらもずっと放置していたのですが、最近、この手の小説を読んでなかったので久しぶりに読んでみました。 上巻、及び下巻のかなりの部分までは、正直えげつない描写ばかりで嫌いです。 いくらマッド・サイエンティストでも、まんま人体解剖では・・・…

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「不死の怪物」ジェシー・ダグラス ケルーシュ 文藝春秋

最初は、クトゥルー神話系のホラーかと思い、あまり期待していませんでした。 翻訳も最初、読み易いものの、時代を考えるともうちょい古い文体(スタイル)でも良いかと思われ、いささか抵抗感がありました。 書かれた時代がそうですが、本書で出てくる事物も英国のスピリチュアル系華やかなりし頃だし、降霊会とか、第5感やダウンジングとか擬似科学が大手を振るっていた頃のものですもの。 …

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『バラの名前』後日譚 ロリアーノ マッキアヴェッリ 而立書房

後日譚とは言うものの・・・所謂、原作のその後とは全く(?)無関係な小説です。 「薔薇の名前」の登場人物を使った二次創作物みたいなもんかと。まだ、同人誌の方が面白いぐらい。 「薔薇の名前」のあの重々しくも凝りに凝った、練りに練った西洋中世にまつわる面白さが全くありません! 某シナリオライターが、映画の中で原作の語りつくせなかった部分を勝手な飛躍的想像力で、独自解釈し、ウィリアムに現代…

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「幽霊書店」クリストファー・モーリー

iPhoneで青空文庫の中に見つけたもの。半分はiPhoneで、残り半分はおととい届いたばかりのkindleに媒体を移して読みました。 原題は「THE HAUNTED BOOKSHOP」。 タイトルの幽霊だけど、別に幽霊が出てくる訳ではなく、たくさんの読むべき本を目の前に、あれも読まなきゃ、これも読まなきゃという強迫概念にとり憑かれた状態の古書店主を指したものらしい。 いかにも…

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「古書の来歴」ジェラルディン ブルックス ランダムハウス講談社

本書については、このブログのコメントで大阪のマリアさんから、教えて頂き、OZさんにはっぱをかけられ(?)、私自身も興味が湧いたので気にしていました。 先日、図書館で見つけたので早速、借り出し、読んでみました。 紛争の地、サラエボで行方不明になっていた500年以上前の稀覯本。それが実際に見つかった史実を契機にして、ピューリッツァー賞受賞(個人的にはどうでもいいのですが、枕言葉な…

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「テンプル騎士団の古文書」上・下 レイモンド・クーリー 早川書房

タイトルが関心を惹くうえに、この著者の他の作品のタイトルも是非、一度は読んでみたいと思っていましたが、結論としてはこの程度か・・・ってところです。 絶対に誰もが比べるダ・ヴィンチ・コード、著者はマネじゃないと主張してようがそれはどうでもいいのですが、比較になりません。 映画の脚本家がノベライズしただけあって、確かに目を引きますし、インパクトはあるけど、中身が何にもないのが悲し…

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「スカイシティの秘密」ジェイ エイモリー 東京創元社

実に正統的なファンタジー物語です。 遠い昔に羽根のある人々と羽根のない人々が世界を分かち、互いの交流が絶えたまま、時の経過した世界。 羽根のある人々は、地上から伸びた柱の上に巨大なかりそめの都市を作り、そこで新しい生活を形づくっていきます。一方、忘れ去られたはずの地上でいつくばるように生きていく人々。 ファンタジーといいながら、本書を読んでいて私はトマス・モアの「ユート…

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「エルサレムから来た悪魔」上・下 アリアナ・フランクリン 東京創元社

舞台は12世紀のイングランド。カンタベリー・ウォターを生み出すトマス・ベケット大司教殺害後の聖俗間の微妙な緊張状態のさなか。子供達を犠牲者とした、連続猟奇殺人事件が起こります。 ヨーロッパにおける現代にまで続くユダヤ人迫害の歴史の一環として、事件の犯人にユダヤ人社会が疑われ、暴徒による虐殺や焼き討ちが起こります。 そこで登場する探偵役は、かなり異色な女性医師。専門が今で言うな…

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「探偵レオナルド・ダ・ヴィンチ」ダイアン A S スタカート ランダムハウス講談社

実にオーソドックスなタイプの推理小説です。文字通り殺人事件が起り、犯人を突き止める探偵役をレオナルド・ダ・ヴィンチが果たすのですが、視点はワトソン役である弟子のディノによる語りとなっています。 そう、あのディノなのがポイント! えっ、知らない? う~ん、そういう方はこの時点で本書を読むのをお薦めしません。ダ・ヴィンチが特に可愛がっていた弟子でいろいろと不穏な噂が漂ったことで…

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「闇の左手」アーシュラ・K・ル・グィン 早川書房

基本的にファンタジー系好きなんですけどね。ヒューゴー賞とネビュラー賞を受賞している作品ということで読んでみたんですが・・・。 う~ん、どうにも作中の世界に入り込めない・・・。感じるところはあるものの、この世界観を面白い、惹かれる・・・という感じになりません。 読んでいて、段々辛くなってきてしまいました。 読みたい本がたくさんあるし、なんか読んでいるのが時間の無駄に思えてきたので…

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「メディチ家の暗号」マイケル・ホワイト 早川書房

途中までは結構面白かったんだけどね。最後でぐずぐずの台無しになってしまった作品です。 まあ、小説にありがちなうざったい個人的な家庭環境とか、離婚後の子供の話とか余計な要素はまあ、しゃーないんだけど、一番ウリになる部分である、歴史の中で失われてしまったはずの古代の叡智(ヘロドトスの直筆、古代ローマの風刺詩人マルティリアスの随筆集、ホメロス註解集、プラトンの講話初期写本、アリストレスの…

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「古城の迷路」ドロシー ギルマン 集英社

表紙の絵があまり好きではないタイプでしたが、魔術師が出てきたり、迷路を彷徨ったりするファンタジーっぽいノリでしたので読んでみました。 途中までパウロ・コエーリョ的な感覚で人生に前向きに立ち向かっていく方向性を示し、常に勇気をもって事に当たる姿勢に好感を持っていました。久々に、コエーリョに次ぐ傑作かと期待したのですが・・・。 いつのまにか、無意味な戦闘があったり、思わせぶりでありながら…

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「聖なる遺骨」マイクル バーンズ 早川書房

まだこの手の本あったんだなあ~というのが第一の感想です。出版された年から言えば、ダ・ヴィンチ・コードブームに乗って出された本ですね(ニヤリ)。 テーマ自体も今ではいささか食傷気味で、手垢がついた感さえあるイエスの遺骨を巡る争いです。 復活してあるはずのないイエスの遺骨が実在したら、キリスト教は崩壊し、磔刑での死もなかったというコーランの教えに誤りがあることでイスラム教もダメージを受け…

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