2007年12月29日

「真夜中の檻」平井呈一 東京創元社

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あの怪人荒俣氏のお師匠さんで、永井荷風の弟子。ラフカディオハーンの「怪談」や「ドラキュラ」の翻訳者にして、日本の幻想文学で知らなきゃ、もぐりと呼ばれるあの平井呈一氏に関する本です。

冒頭の2作品は氏の手による創作。他のものは、翻訳した訳書や全集などに付けられたあとがき等様々なものから集めたもの。文庫なのに、実に充実した内容です。少なくとも幻想文学ファンを自認する方なら、是非一読をお薦めします!!

序から、荒俣さんが熱っぽく平井氏の在りし日の姿を語ってくれます。そして、いきなりの小説がこれまたイイ! 私の大好きなタイプの小説です。「迷い家」や「高野聖」を連想させるいかにもありそうな小説なのですが、でもやっぱり上手いと思う。私はこういうのが読みたいんですよ~ウンウン。

二番目の小説は、あの時代にしばしばあった系の小説で新味はないが、悪くないというところかな?

その後にずっと続いていく、あとがき集みたいなものが実に面白いし、勉強になります。私も大好きなブラックウッドとかマッケン、レファニュ、ビアスなど定番作家の当時の状況が分かって実に興味深い。改めて、今後自分がどういった作家のものを読み進めていこうか大変参考になります。

手元で眠っている本を探して再読、あるいは初読してみたいと思いました。今、積読本もだいぶ溜まってますし・・・(胸が痛みます)。

個々の内容は、それぞれの翻訳本を読んだ時に見た覚えがあるものがちらほら散見しますが、本書はまとめて読むだけの価値があります。師走ですが、これは最後の当たり本だと思いました(笑顔)。
【目次】
序 平亭先生の思いで 荒俣宏

真夜中の檻
エイプリル・フール
海外怪談散歩
 「魔人ドラキュラ」あとがき
 怪奇小説と私
 お化けの三人男
 ブラックウッドのことなど
 J・S・レ・ファニュ
 ウォルター・デ・ラ・メア
 ビアスとラヴクラフト
 アーサー・マッケン
 デニス・ホイートリ
 M・R・ジェイムズ、その他の怪談作家
 海外怪談ダンプ
 はじめに―「こわい話・気味のわるい話」第一輯
西欧の幽霊
 西欧の幽霊
 西洋ひゅーどろ三夜噺
私の履歴書

解説 紀田順一郎
Lovely Waters―平井呈一とその時代 東雅夫
平井呈一著訳書一覧
解題
真夜中の檻(amazonリンク)

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【追記】
実はこの書評を書いた時、解説部分はまだ未読でした。今日(1月5日)読んでみると、東雅夫氏による解説には、実に驚くべきことが書かれていました!

平井呈一氏が永井荷風の弟子筋に当たるのは知っていましたが、偽書事件で関係がこじれ、それをネタにした荷風の作品によって平井氏が業界から冷や飯を食う形で不遇の時代を過ごされていたとは全く知りませんでした。

ものを知らない私には、まさに衝撃の事実でした。知っている方には大変有名な話なんだそうです。また平井氏のプライベートもそれなりのものがあったようです。あまり詮索するのは下種の勘繰りという奴で品がないのでこれ以上触れませんが、本書の素晴らしさは解説にもありました。是非&是非、解説もお忘れなくお読み下さい。いやあ~改めて読むに値する本だと思いました。

合わせて解説からの購読メモ:
・紀田順一郎「永井荷風 その反抗と復讐」リブロポート
・永井荷風「来訪者」
・平井呈一「怪奇幻想の文学」全4巻 新人物往来社

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posted by alice-room at 07:49
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