2020年06月13日

「名物「本屋さん」をゆく」井上 理津子 宝島社

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最近はネットでばかり読んでいて久しぶりに本となったものを読みました。
というか・・・久しぶりにブックオフ行って、本を買ったかな?

図書館も古書店ももう半年以上、行ってなかったので・・・。
そもそも家には未読本が山積みですが、なかなか紙の本を読む気になれなくてねぇ~。

さて、よくある系の古書店(更にありがちなブックカフェ含む)紹介の本。

それなりに特徴のあるお店に行かれているのではと思うものの、あまりに似たような類書のあるジャンルだし、紹介されている内容もあまりにも一般向けに幅広に間口を広くしたせいでかえって、紹介内容としては薄っぺらなものになってしまっています。

最近はめっきり古書店に行かなくなった私でさえ知っている古書店が何軒か紹介されているのですが、読んでいて申し訳ないが全然魅力を感じません。少なくともこの本の文章を読んでわざわざ初めて行かないだろうなあ~というのが感想だったりする。

私の感覚的にはもっと&もっと魅力的な本屋さんなのですが、一番大切な古書店で扱っている具体的な本のタイトルの羅列がものの見事に失敗しているような? あそこの本屋で着目すべきはその本ではなく、あの本!といった感じを強く感じてしまう。

そこから類推すると、他のお店ももっと取り上げるべき点があるんでしょうが、なんか違うポイントを紹介してるんだろうなあ~って感じがしてならない。

単純に私の感性と違うのかもしれませんが、古民家カフェで少しばかり店主こだわり(本人的には)の本や雑貨があって、そこで軽い飲食や飲みが出来ていい空間を楽しめる、とか正直どうでもいいかなあ~。

古書が好きで古書店巡りをする根っからの本好きというよりは、このコロナの前に少しばかり流行った系のノリのにわか(?)の方達向けに軽い情報っぽいのを提供しようとするコンセプトが個人的には駄目でした。

よせばいいのに、そこに更にサブカルっぽい部分まで入れて、いかにも宝島社的な方向へ持っていくのが更に失敗の傷を深めた一冊かと。

本書を読んで古書店巡りを改めてしたいという気持ちにならなかったのでお勧めしません。


名物「本屋さん」をゆく (宝島SUGOI文庫)(amazonリンク)
ラベル:書評 古書店 古書
posted by alice-room at 21:59| Comment(0) | 【書評 本】 | 更新情報をチェックする

2019年11月09日

「自分のなかに歴史をよむ 」阿部 謹也 筑摩書房

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もうだいぶ前に、著者のあの有名な「ハーメルンの笛吹き男」を読んで大変感銘を受けたものですが、その著作に至るまでの著者の在り様、考え方、生き方、学問に対する姿勢等が本書からは伺え、本当に興味深い本でした。

あと・・・大塚久雄氏の名前が出てきたのには、そうなんだ!と別な意味で感慨深いものがありました。
他にも私でも存じ上げているような方の名前なども出てきて、そちらもいろいろと思うことがありました。

本書の中で改めてヨーロッパ中世の概念である“二つの宇宙”については、当然知ってはいましたが、私の理解は非常に浅かったんだなあ~と改めて感じさせられました。それに対する認識を本書を通じて再度認識し直しました。

個人的には大きな収穫ですね。

装飾写本の人体図と天球図が重なったような図案を頭に思い浮かべました。

また、中世の音楽についての見識も目を開かさせる気がしました。

実際、うちの外から聞こえてくるのは寺の鐘より、教会の鐘だったりする・・・。
しかも、カソリックのそれなりに知られた教会の鐘なのですが、本書の説明を読んで聞くとまた違った意味に感じられてきますね。

著者の作品を何冊か読んだ後で本書を読むと、更に他の著作の内容への理解が深まるように思います。

『中世』という世界を捉えるのに、本書の視点は大変有意義なものがあると思いました。
改めて阿部氏の著作読んでみたくなりました(笑顔)。


【目次】
第1章 私にとってのヨーロッパ
第2章 はじめてふれた西欧文化
第3章 未来への旅と過去への旅
第4章 うれしさと絶望感の中で
第5章 笛吹き男との出会い
第6章 二つの宇宙
第7章 ヨーロッパ社会の転換点
第8章 人はなぜ人を差別するのか
第9章 二つの昔話の世界
第10章 交響曲の源にある音の世界
自分のなかに歴史をよむ (ちくま文庫)(amazonリンク)

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「中世の星の下で」阿部 謹也 筑摩書房
「刑吏の社会史」阿部 謹也 中央公論新社
ラベル:書評
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2019年09月14日

「オーバーロード」1~13巻 丸山 くがね  KADOKAWA

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アニメにはまって、原作にいったパターンです。

最近見たアニメの中では一番面白いかと。amazon primeで1期~3期までを通しで3回見て、映画も観て、いつまで経っても4期が来なくて待ち切れなくて、原作ラノベを定価で全巻一括購入して、一気に読み切りました!

ラノベもアニメとはまた違ったところがあって面白い♪

細かい設定なども盛り沢山ですし、アニメでは一瞬でセバスに殺された六腕の方々も、実はそれぞれがそれなりに凄い人達だったんだなあ~と感慨しきりです。つ~か、より一層の俺つえ~系の奴になってしまいますが、それもまた良し。

大満足のエンターテイメントになっていました。

著者がいい年のおっさんらしいので、やたらビジネス書に出てくるような小ネタが所々にあるのはご愛敬ですね。

勿論、ありがちなラノベのチート的な強さに、それでいて勧善懲悪にならず、適度に無残に切り捨てるところとか、我が家ではより現実を映していて楽しい♪と家庭内でも盛り上がっておりました。

小説は更に、その辺がくっきりと出ていてそういったものが好きな人にはお薦めですね。

とにかく、ラノベの続編かアニメの4期を待望、つ~か、熱望しております。
とても楽しい作品です。

ついでに言うと、コミックの方もそれはそれでいいです。

ぷれぷれぷれあです、とか~あ~いった帯番組みたいなやつもOK!

とにかくもっと観たいし、読みたいなあ~。

オーバーロード1~13(amazonリンク)
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2019年03月13日

「本好きの下剋上 第二部「神殿の巫女見習いⅠ~Ⅳ」 第三部「領主の養女Ⅰ~Ⅴ」」香月美夜 TOブックス

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第一部では、正直どうかなあ~? 読むのを止めようか迷っていましたが、読み続けて良かったです!!

第一部の最後辺りから徐々に盛り上がり、第二部辺りから、はっきりと面白くなってきました。
第二部に至って、遅まきながらようやく本書はファンタジーなんだということを理解致しました。
逆に言うと、異世界ではあっても純然たるファンタジーとは明確に距離を置いたラノベ風異世界(転生物とか)を想像していたのですが、本書も確かにありがちな転生物ではあるものの、世界観は古典的なファンタジーですね。

そこにあくまでも現代的な価値観を持った人物がその価値観を生かして、活躍するヒーロー(ヒロイン)モノだった訳です。
まあ、ガリバー旅行記みたいなもんですかね?(笑)


でもって、読み進めていくと第三部に至っては俄然、面白いだけでなく、続きが読みたい作品となりました。
ちなみに第三部はクエスト物になります。

主役の(ローゼ+)マインは、確かに階級社会を着実に登っていき、それにつれて取り巻く周囲の人達も変化していきます。
と同時に、その時は自分より上位の人々が時間の経過を経て自分より下位となり、自分より凄い!強い!お金持ち!・・・等々といった人達に対して自分が上に立つと入れ替わるかのように、更に自分の上位者が出てきます。

例えば、当初は父の同僚の兵士、次に新進気鋭の商人、ギルド町、貴族、青色巫女、神殿長、領主etc.

そして次々と生じてくる陰謀や罠の数々。

今後も最後まで楽しく読んでいけそうです。
個人的には本書のイラストには少し違和感を覚え、苦手な感じがしますが、それ以外は大変楽しみな作品です。


本好きの下剋上 第二部「神殿の巫女見習いⅠ~Ⅳ」(amazonリンク)
本好きの下剋上 第三部「領主の養女Ⅰ~Ⅴ」(amazonリンク)
posted by alice-room at 22:14| Comment(0) | 【書評 小説C】 | 更新情報をチェックする

「鹿の幻影」紀田 順一郎 東京創元社

古書関連で知らぬ者などいない著名な著者による古書を取り扱った推理小説です。
著者の他の同様な作品ではそこそこ面白かったので改めて読んでみたのですが、残念ながら、本書はハズレです。

既に当時の時代背景とははるかに遠く隔たり、過去の時代の話として読んでもストーリー自体が実につまらない。
一旦、犯人が判明した後にまたいろいろと後日談ではないですが、いろんな話が出てくるのですが、その辺を踏まえても古書マニアであってもこれはつまらないんではないでしょうか。

時代の流れの中で一瞬だけ読まれても、その瞬間を超えて楽しめるだけのエンターテイメント性を持たない水準の作品です。

今では時間の無駄となった作品かと。

少し期待していたので大変残念でした。
紀田氏の作品は、時々、大変面白く興味深いものもある反面、著作数が多いこともあり、読むに値しないような作品・著作も結構あるように感じます。本書は時間の無駄な方かと。

あっ、タイトルも(説明があるものの)あまり意味がないかと・・・・。

鹿の幻影(amazonリンク)
posted by alice-room at 21:29| Comment(0) | 【書評 小説C】 | 更新情報をチェックする