2017年05月13日

「一生楽しめるオーディオの事典」上田 高志 

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30年ぐらい前の大きなスピーカーを昔のコンポにつないだら、ちゃんと音が出たので、引っ越しの時に捨ててしまったオーディオの代わりに、CDチューナーコンポを新たに購入。

中学生時代以来の音への関心が蘇り、いい音で音楽が聴きたいと勉強を始めて読んだ本。

基本的なオーディオの仕組みから、どうやっていい音を聴ける環境を作っていくのか?
分かり易い記述で大変勉強になりました。つ~か、昔、確かにこういうのを本で読んで試したなあ~と懐かしさたっぷりに読みました。

お金をかけずとも簡単なことをあれこれ試すことで、音を良くしていく方法などがあり、その辺も実際に試しながら、なかなか楽しく為になりました。

読んで悪くないかと思います。
さて、スピーカーの台を自作するか、何かホームセンターで代用品を購入しようか、今悩んでいるところです。

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「業物語」西尾 維新 講談社

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物語シリーズの一作。
今回は吸血幼女と暴力妹と眼鏡っ娘委員長ちゃんのエピソード。

改めて思ったのは、言わずもがなですが西尾氏はストーリーテラーとして上手いですねぇ~。
キスショットに関しての物語は、なかなかに興味深く読みました。想定がいつも常識の斜め上をいっていて、私には出来そうで出来ない発想です。ソフバン使ってれば、ドーナツもらえたのに・・・とか関係ないこと思いながら読んでました。

素直に面白かったです。

委員長ちゃんは、まあ、学校を離れた後の後日談で内容はたいしことないですが、少し知りたかったのでその点では可もなく不可もなくですね。

ただ・・・もうそろそろ、このシリーズはいいのでは?というのも正直な感想だったりしますが・・・これだけの量をこれだけのペースで書き続けられるというのうは、やっぱり凄いですねぇ~。

なんかの本で西尾氏の執筆スピードについて書かれたのを読みましたが、やはり、人気売れっ子作家さんは凄いです。ハイ。

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「絶滅食堂で逢いましょう」なぎら 健壱 徳間書店

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今ではあまり無くなってしまった、それこそ、絶滅しかかったような昔懐かしの食堂を紹介する本。

雑誌に連載されていたものを編集したよくあるタイプの食べ歩き本の一種。

何店かは知ってるし、行ったことのある店が出ていたが、ただ古くてそこそこ名が知られているだけで特に他のお店と比べて良いと思われるような点が無かったと思うようなお店が紹介されています。

実際、書かれている文章の内容も正直、そそられない。
私の感性には合わないなあ~。下町とかそういうのは嫌いじゃないし、どちからというと好きかもしれないけれど、無理にただ長く続いている店をヨシとして紹介しているってのがどうもねぇ~。

基本、惰性で書かれている(流している)文章です。
勿論、この手のものは逆にそういうのを求めているってのもあるんでしょうが、自分に合わないと苦痛です。
私には合わない本でした。

載っているお店にも行きたいとは思わないなあ~。

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「苦役列車」西村 賢太 新潮社

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最近の又吉氏の芥川賞受賞で脚光を浴びる(?)芥川賞ですが、私、受賞作家の作品をほとんど読んだことがなかったりする。ここのところ、TVで又吉氏の番組を見ることが何度かあってたまたまに頭にひっかかっていたところ、本書が目に入りました。

今時、『私小説』がどうたら・・・とかカバーの説明に書いてあり、時代錯誤の印象を受けながら、蟹工船とかがちょっと前に話題になったこともあり、改めて「格差社会」とか別な本でもあったなあ~という関連で本書を読んでみました。

で、書評の前に感想から入りますね。

まさしく時代錯誤かと。そもそも芥川賞ってこういうレベルの作品が対象になるんですね。

芥川龍之介の作品って洗練されているのに、芥川賞はいくら純文学対象といっても芥川の系譜とはおよそかけ離れた、本書はなんというか言葉も内容も汚い作品でした。

しかも表現も含めて内容もどうみても、そんなにリアル感がないんですが・・・。

なんというか、下層社会(?)を扱った作品は私も何冊か読んだことがありますが、そちらの方がより、リアルに生々しい社会の縮図というか、そこにある一個人の感情なんかが感じられますが、何故、本作品がこれで芥川賞なのか分かりません?

日雇いや期間工の話とかいくらでも文章であるんですが・・・別にルポとか体験談と私小説を分ける必要を感じませんし、文章として書かれている作品があれば、どれも同列にその内容で評価すべきだし、だとすれば、本書が他の似たような作品とは違うのってどこの点なんでしょう?

個人的にはとっても不思議でした。

例えば「だから山谷はやめられねえ」塚田 努 幻冬舎とか、うちのブログ内に多数あったりする他のものよりも本作品が良い点を見つけられませんでした。

あとまあなんというか、本書は端的に言って、作品としてのレベルは低いのでど素人の一読者としてはお薦めしません。これで本になって、賞も取れるんだあ~というのがとっても素朴な感想でした。

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2017年05月09日

「デモンズ3/ザ・チャーチ」ミケーレ・ソアヴィ監督

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昔見た映画でホラーとしてよりも大聖堂やカトリック教会に対する深い知識に感銘を受けて、ゾクゾクし、大変驚いたことをふと思い出してしまい、是非とも見たくなってしまった作品でした。

でも・・・どこ探しても作品が見れない・・・。

とりあえず、もう一度見たかっただけなのでレンタルでも十分なのですが・・・Amazonprimeにも無いし、近くのツタヤでも無かったので仕方なく、ブルーレイを購入して深夜に観てみました!映画のソフトを購入するのって、ずいぶん久しぶり!

わざわざ深夜まで待って、一人で真夜中に観てみました。
歳取ったからかなあ~、正直、全然怖くなかったりする。ずいぶんと画像がクリアで逆に昔のDVDかビデオで観た時の粗い映像の方が作品の古さと相俟ってゾクゾクしたのかも?

作品に出てくる車や電話が今の感覚すると有り得ないぐらいレトロ。
映像の効果も、音響効果もだけれど、70年代以前のものだよねぇ~。今からすると過剰過ぎて、むしろ褪めてしまうのだけれど、作品の骨格は実にしっかりしていて通常のホラーとは別格ですね。

所謂、スプラッターや不条理感覚の意味のない怖さではなく、ある意味、古典的・正統的な原因と結果の繋がりが分かり、納得のいく理路整然とした怖さですね。ただ、そのロジックを理解するには前提としてキリスト教やゴシック建築の知識、チュートン騎士団の歴史等は最低限、ある程度分かっていないと駄目かもしれません。

巷の本作品への評価は、惨憺たるものが多いのですが、所謂「デモンズ」シリーズとして何の予備知識も無しにホラーとして観たら、つまんないんでしょうね、きっと。

私の場合、他の作品も観たことありますが、逆に本作品ほど面白いとは思えませんでした。怖いとは思いましたが、なんか完全に本作品とは別物ですね。実際、本来は別物でデモンズシリーズではなかった作品を日本でだけ、勝手に営業戦略としてシリーズ物に入れているらしいですが・・・。

原題は『教会』ですもんね。そもそも。

以前観た時は私気付いてなかったんじゃないかと思うのですが・・・、思いっきり作品中にフルカネリを出してますね。著名な錬金術師で「大聖堂の秘密」という本を書いた人。

昔、フランスのシャルトル大聖堂に行った時に地下のカタコンベを見学し、そこにはカエサルの「ガリア戦記」にも記載のある「聖なる泉」の跡があり、ケルトの聖地に後から進出したカトリック教会が大聖堂を建ててたものでした。

まさに本作品の大聖堂と同じような歴史的経緯が実際にあったりするのを見てきているので、なんというか本作品が踏まえている現実感を強く感じます。ヨーロッパのカトリック教会の建物は実際、本当にそういうの多いですからね。土着の信仰を踏みにじり、その上からカトリックの衣を着せた訳ですから。

また、本作品の舞台となる大聖堂は当然、ゴシック建築であり、このゴシック建築はまさに建築技術もさることながら、その技術を支える理念(哲学)こそが非凡であり、現物を感じないと体感出来ないませんが、人の精神にまで影響を与える存在感は半端無いです。

新宿の高層ビルのようなただ大きくて高いだけのモノではなく、一個の確固たる意志を持った巨大な存在たる大聖堂は、常に人に語り掛ける存在です。

但し、その語り掛けは理解できる人の能力に応じた語り掛けであり、無知な大衆から選ばれし人まで受け取る側に応じてその語り掛けの内容は変化するものなのです。

だからこそ、分かる人は分かる「大聖堂の秘密」であり、本作品ではその秘密を中心にして物語が進んでいきます。監督が一番、伝えたかったのもその辺だったのではないかと思います。だって、悪魔が歴史的な描かれ方を思いっきり踏襲しているし、ボスの絵の奴とかまんまでしょ。ホラーという枠を超えた古典的な歴史物ぐらいの観点で観た方が本作品を適切に評価出来るのでは?とか思っちゃいますね。

私の場合、今回は二回目(or三回目?)というのもあって、あまり怖くない反面、改めて上記のようなゴシック建築やキリスト教的歴史の点が何よりも面白かったです。

そういえば、私の好きな装飾写本とかも謎を記した羊皮紙の古文書として出てましたね。ベルギーのブリュージュ行った時にも教会の地下のカタコンベで装飾写本を見ましたが、あんな感じですね。「神秘の子羊」とか描かれていましたが・・・・懐かしい・・・。

そういやあ~、全然記憶になかったのですが司書さん、かなりのイケメンですね。
で、色男で女に手が早いっと。

そして、堂守の娘がいかにも・・・な感じの美少女ってのがまたイイ♪
ちょい不良っぽいあの年頃の危うさがいかにも?ってね。

高かったけれど、マイナーでそのうち無くなりそうだし、買って正解でした。
ああ~今年もヨーロッパ行きたい。テロが多くて去年はベルギー断念したけれど、行きたいなあ~。

そうそう、ネットでこの映画のソフトを探している途中で偶然に見つけた映画のロケ地情報。
映画の大聖堂の外観はブダペストにあるマーチャーシュ聖堂だそうです。

こちらのCafe latteさんのブログで知りました。

ブダペストも良さそうですし、今度行ってみたいと思います。

そうそう初回で本作品を観た時の感想はこちら。
デモンズ3(1988) ダリオ・アルジェント製作
全然、今回と違う(笑)。何も気づいていなかったか、私!

デモンズ3/ザ・チャーチ <デジタル・リマスター版> [Blu-ray](amazonリンク)

ブログ内関連記事
「大聖堂の秘密」フルカネリ 国書刊行会
「大伽藍」ユイスマン 桃源社
「ゴシックの図像学」(上)エミール マール 国書刊行会
「ゴシックの図像学」(下)エミール マール 国書刊行会
シャルトル大聖堂」馬杉 宗夫 八坂書房
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2017年05月08日

「しずるさんと偏屈な死者たち」上遠野 浩平 富士見書房

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よくある美少女探偵物。
短編作品のまとまった形だったので本の半分まで読んでみたが、どうにも退屈でやり切れなくて読了せずに終了。

謎の病気で奇妙な病院に入院する美少女。
頭の回転は切れるものの、この世の中に対して冷めた感情しかもたないように見える少女とその少女のお見舞いに訪れるワトソン役の普通人少女。

その二人の組み合わせによる、不可解な事件の謎解き。
安楽椅子探偵の亜流ですね。

ただ、肝心の謎解きがお粗末だし、キャラにも魅力が感じられず、読んでいて辛い。
私はすぐに挫折しました。

続編もあるようですがそちらの方が不思議?
私的にお薦め出来ない小説です。

しずるさんと偏屈な死者たち (富士見ミステリー文庫) (amazonリンク)
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「(あるいは)SFのある風景」文野 はじめ ディスカヴァー・トゥエンティワン

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舞台設定は一応SFと言えばSFなんだけれど、SFである意味があまり無いですね。
以下、ネタバレ要素含みますので未読の方はご注意下さい。




コンピュータによる管理、情報統制という、それこそ手垢まみれの古典的近未来設定の下でそれに対する抵抗・・・といったものに少年少女の恋愛感情を絡めて、はい、あっという間に出来上がった作品。

あまりにも内容が乏しくて、何故、これが本になったのか?

編集関係者に小一時間問い詰めたいところですが、出版社が会社の〇〇記念に新しいジャンルへ進出したくて生み出した企画物に質の高い応募者も集まらず、公募作品を評価する能力もないままにとりあえず、やっつけでシリーズ出してみました、的な感じがしてしまうのは私のうがった見方感想でしょうか?

タレント本でもないのに今の時代でよくこれが出版出来たなあ~と不思議さでいっぱいです。
読むに値しない作品かと思います。

(あるいは)SFのある風景 (ノベライドル) (amazonリンク)
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2017年05月01日

「下流志向」内田 樹 講談社

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久しぶりに衝撃を受けた1冊でした!

根本的なところで自分は時代を分かっていなかったのか?

本書の説明を読んでいるうちに、うう~む、なるほど・・・とそんな馬鹿な考え方ってあるの?って思いながらも不可解な現象の説明に妥当性がありそうで今後の日本の将来像に暗澹たる気持ちにさせられました。

NHKスペシャルの「縮小ニッポン」の絶望感を上回るくらいの将来性の無さですね。この衝撃は!

もしこの解釈が正しければ、これからの日本はパラダイムシフトなんてもんではない、別次元の理解の仕方が必要な社会となり、将来像も全く違ったものになっていくことでしょう。

本書では大きく「学びからの逃走」と「労働からの逃走」が掲げられていますが、本書の中ではそれらの解説の途中で非常にショッキングが事実とそれに対する解釈が語られています。

例えば、『わからないことがあっても気にならない』。

文章を読んでいて知らない単語があってもそれをスキップして、そのスキップした事実を全く気にしないままでいられて、通常、何か気になる、ひっかかる、といった感覚の欠如が挙げられています。

女子学生が一番読んでいるファッション誌で統計をとり、誌面の分からない文字を調べていくと物凄い虫食い状態の文章になり、それをそのままで受け入れて平然としている事実があるそうです。

これはその人の現実世界の認識が虫食いの穴あき状態でなされていて、その穴を埋めていくといったことをしないでいられる、分からないという本来ストレスフルな環境にストレスを感じずにいられる、ということだそうです。

これって・・・もう普通じゃないレベルですよね!

そもそもの人間の言語能力からしても、英語とか外国の文章読んでてもそうですし、日本語でも自分の知らない分野の本とか読んでてもそうですが、知らない単語や知らない言い回しとかは、大量の文章を読んで何度か目にしていくうちに自然と前後関係からも否が応でも意味を掴んでいくものですが、そういった当たり前の行為すら行われなくなっている、ということですもんね。

いつの頃からか、TVとかを見ても物事を知らないことを前提に、かえって知らないから自分には関係無い、知らないから自分はそれに縛られない、的な愚かな発言をする人が増えていて、この人達は無知を恥ずかしいことだと思わないんだ。しかもそれを堂々と自慢気に話していて、その行為自体が自分が愚かであると公言している事実を認識していないんだと思っていましたが、それも含めて全て認識からスキップしているんですね。

驚愕の事実と著者の解釈が正しいのなら、驚愕の認識です。

あと・・・「不快」という貨幣。

著者が便宜的に定義している概念ですが・・・その貨幣経済(等価交換)の帰結として、『学力の低下は「努力の成果」』という有り得べからざる事実がその通りなら、日本はもう救いようがない感じがしてなりません。

そして、それは現在の日本人が子供の頃から経済合理性を学んだ成果が上記に繋がるというのが著者の説明なのですが、非常に興味深く、且つ絶望的な無力感に襲われそうになりますが、その一方で個人的には大いなる違和感を感じずにはいられません。

子供達が自分なりの価値尺度(経済合理性)で、学習や労働を評価し、合理的な対応をした結果というのですが、それはあくまでも短期的な一回限りの特殊な状況下での取引を想定した範囲でのみ有効な経済合理性でしかなく本来、経済学等で想定している経済合理性を持った人の行動とした場合、教育や労働は長期的なスパンの中で最大効用をあげるべき行動をすると規定され、子供であっても学習の放棄や割に合わない労働からの忌避の説明としては間違っていると思われます。

長期継続的な取引における経済合理性を首肯するなら、情報の非対称性や時間選好率、あるいは囚人のジレンマとかの観点を加味しないと、著者の説明は成り立たなくなると思いますが、著者はその辺、自分の都合の良い解釈としてしまっている点に問題がありそうです。

あとね、大学のシラバスについても学ぶまで分からないのだから、不要みたいな感じの話になっていますが、それもどうなんでしょうね? 大学生であれば、それこそ自己決定権を持っていていい思慮分別のある年齢だと思いますし、シラバスを参考にして、自分が関心(目的)を持って学ぶべき科目を選択するのは妥当な行為だと思います。

師を信じろって、言われても面識もないし、話したこともない人を信じるだけの合理的理由がありません。
オカルトで自分の将来に直結するかもしれない、勉強する科目を判断するにあたり、シラバスは貴重な判断材料だと思うんですけどね。

大学生と中学生、小学生を同列に扱うこと自体に無理を感じます。
勿論、著者が言いたいことは現在の若い人に共通な背景にポイントを置いているのは分かるのですが、それこそ、どこまでを保護者や周囲の教育関係者、世間の人が面倒をみるのか、パターナリズムの問題かと思います。

昔、大学生の頃に「校則と自己決定権」とかで卒論を書いたのを思い出しちゃいました(笑)。

著者はパイプラインからこぼれ落ちる人達に対しても、積極的に関与して、おせっかいも含めて社会全体で面倒をみていくべきと主張されていますが、そこも私的には大いに疑問を感じます。

著者の憲法論まで出して教育とかを語られるのですが、それであれば、当然、そこで法律的に規定された範囲を超えた部分での論拠はどうなるのでしょうか? 当然、法的担保は無いはずです。

本書には、目を見張るばかりの非常に衝撃的な事実と思わず納得してしまいそうな解釈が書かれていて大変勉強になるし、現実認識に際して鋭い視点を示されていて大変示唆にも富む内容なのですが、その一方で法律論、経済論としては都合の良い部分だけをつまみ食い的に解釈している部分も散見されます。

その辺が本書を読む際に注意しないといけないかもしれません。
決して本書で書かれている内容は鵜呑みにはできません。解釈もところどころ、妥当性を欠いているのも事実だと思います。しかし、それらを踏まえても物凄い衝撃を受ける内容だと思いますし、私は大変参考になりました。

これからの日本を理解するうえで、実に興味深く示唆に富む内容だと思います。
私的にはお薦めですね。但し、本書を適切に生かすには読み手側にもそれなりのものが必要になってくるとは思いますが・・・じゃないと本書に流されます。そこんとこ、注意!

先ほど、少し書いたこぼれ落ちた人に手を差し伸べる対応策についても、その方が費用が安く済むといいますが、それはその範囲に絞った限りでは確かに経済合理性があるのでしょうが、国民感情として受け入れることが出来るとは思えません。

まして進んで自己決定の結果としてその現状があるのであれば、その人達よりも更に優先して国家が福祉政策として対応すべき対象者がいるかと思います。

なんか目についたところだけ、対応しようとして、その局所的範囲で経済合理性を出しても大いなる違和感を覚えずにはいられません。何故、他の対象ではなくその対象が優先されるのか、優先することにより、大局的にどんな長所があり、それが国家としてより好ましいものになるのか、その辺の説明は本書ではされていません。

その辺はアロケーションの問題になりますが、著者はいささか恣意的に経済合理性を出されているようでここも私的には納得がいきませんでした。

ただ、将来も含めた現在の状況に対して、何らかのアクションをしていこうという提言は有りだと思います。そういったものも含めて、久しぶりに考えさせられる本でした。
【目次】
第1章 学びからの逃走
(新しいタイプの日本人の出現、勉強を嫌悪する日本の子ども、学力低下は自覚されない、「矛盾」と書けない大学生、わからないことがあっても気にならない、世界そのものが穴だらけ、オレ様化する子どもたち、想定外の問い、家庭内労働の消滅、教育サービスの買い手、教育の逆説、不快という貨幣、生徒たちの意思表示、不快貨幣の起源、クレーマーの増加、学びと時間、母語の取得、変化に抗う子どもたち、「自分探し」イデオロギー、未来を売り払う子どもたち)

第2章 リスク社会の弱者たち
(パイプラインの亀裂、階層ごとにリスクの濃淡がある、リスクヘッジとは何のことか?、三方一両損という調停術、リスクヘッジを忘れた日本人、代替プランを用意しない、自己決定・自己責任論、貧しさの知恵、構造的弱者が生まれつつある、自己決定する弱者たち、勉強しなくても自信たっぷり、学力低下は「努力の成果」)

第3章 労働からの逃走
(自己決定の詐術、不条理に気づかない、日本型ニート、青い鳥症候群、転職を繰り返す思考パターン、「賃金が安い」と感じる理由、労働はオーバーアチーブ、交換と贈与、IT長者を支持する理由、実学志向、時間と学び、「学び方」を学ぶ、工場としての学校)

第4章 質疑応答
(アメリカン・モデルの終焉、子どもの成長を待てない親、育児と音楽、高速化する社会活動、師弟関係の条件、教育者に必要な条件、無限の尊敬、クレーマー化する親、文化資本と階層化、家族と親密圏、新しい親密圏、ニートの未来、ニート対策は家庭で、余計なコミュニケーションが人を育てる、付和雷同体質、相手の話を聴かない人々、時間性の回復策、身体性の教育)

下流志向〈学ばない子どもたち 働かない若者たち〉 (講談社文庫)(amazonリンク)

ブログ内関連記事
「学歴分断社会」吉川 徹 筑摩書房
「新平等社会」山田 昌弘 文藝春秋
「無業社会」工藤啓、西田亮介 朝日新聞出版
「貧困女子のリアル」沢木 文 小学館
「高学歴ワーキングプア」水月昭道 光文社
「3年で辞めた若者はどこへ行ったのか」城繁幸 筑摩書房
「仕事漂流」稲泉 連 文藝春秋
「ホームレス博士」水月昭道 光文社
「自己啓発病」社会 宮崎 学 祥伝社
「キャリアポルノは人生の無駄だ」谷本真由美 朝日新聞出版
「無縁社会」NHK「無縁社会プロジェクト」取材班  文藝春秋
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「懐かしの街さんぽ 埼玉」幹書房

昔の建物や食べ歩きのスポットを紹介したよくある街歩きの本。

ただ紹介されている建物は、るるぶ等で紹介されるものよりは一歩深く突っ込んだものとなっていて、そこがウリでしょうか? 差別化ポイントとなっています。

個人的には歩いたことのある街については、ほとんど知っていることばかりでしたが、それを採り上げたこの手の本が無いなあ~と思っていたところでしたので、悪くないと思います。

また歩いたことのない街については、訪れてみたいと私が関心をもつようなモノが紹介されていたので嬉しかったです。

懐かしの街さんぽ 埼玉 単行本 (amazonリンク)
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2017年04月27日

「吉田類の散歩酒」吉田 類 主婦と生活社

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最近、よくある吉田さんの名にあやかって、居酒屋や飲み歩きの本を出している系の本です。
編集として名前がクレジットされているので内容チェック等はされているのでしょうが、基本、別なスタッフがまとめて書いた文章や情報を吉田さん風にアレンジしてムック本みたくしたものです。



【目次】
1章 変わっていく街、変わらぬ街「吉祥寺」散歩酒
2章 江戸下町情緒の残る街「深川」散歩酒
3章 都会を背にした大自然「高尾山」散歩酒
4章 街の歴史を紐解く

吉田類の散歩酒 単行本(amazonリンク)
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