2017年06月18日

「宇宙の戦士」ロバート・A ハインライン 早川書房

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古典SFの一つとして著名な作品ながら、読んでいなかったのですが、初トライ。

確かに舞台はSFなのですが・・・あえてSFの設定を必要とする作品ではありませんでした。
普通の小説として読んでも素敵な内容の作品でした。
もっともSFだからこそ、かえって現実による余計な設定等を考慮せず、純粋な作品の舞台を作って、その分、本質的な内容部分の充実に著者の精力が注ぎ込まれたのかもしれませんが・・・。

うん、非常に中身のある作品ですね。

自分たちの世界を、自分たちの政治を決める最終的な市民権行使の資格を兵士に限定する、という「市民皆兵」というかその手の基本的ルールというのが何よりも根本にあり、その兵士は自発的な意思による志願者というのが、古代ローマの軍隊を思い出させました。

確か、30年間だったっけ?
ローマ市民権を持たないものでも軍務に服せば、市民権を与えられたというのがありましたねぇ~。
あと、古代ギリシアのアテナやスパルタなんかも全市民に兵役があり、直接民主制がとられていたのも、その辺が本書の想定する市民社会かな?なんて思いながら読んでました。

オーソン・ウェルズの動物農場よりは、こっちの方が面白いし、教訓というか為になることが多いなあ~。

だけど、決して説教臭い訳ではなく、なんていうかまさに古き良き時代の徒弟関係ではないものの、仲間や長幼の別、上が下を育ていく、今の世界でもどんなところでも見かけなくなったとても大切な価値観を思い出させてくれる作品でした。

ストーリーはとある一人の若者が将来の進路として、兵士を志望します。
志願兵ですね。

恵まれた環境に育ち、輝かしい将来を約束されていたものをすべて捨てて、命の危険を冒して、兵士を志望してしまう・・・その代価は退役するまで持った場合に与えられる、政治において行使できる市民権。
しかし、若者はその将来の代価を望んで兵士を志望する訳ではないのです。

いささか成り行き的に決まった兵士という選択は、その若者を特殊な環境において教育することになります。
その兵士となる過程で、彼は大切なことを身につけていったりします。

新兵がやがて数々の修羅場を経て、老練な熟練兵になっていくのですが、その過程がまたなかなかに読ませる内容となっています。

以前に英語版で読んだ TOYOTA's WAY も個人的には頭に思い浮かべました。
結構、熱い思いがこもった作品となっています。
何よりも面白いですねぇ~。

こういう作品とは思いませんでしたが、未読であれば、一読の価値はあるかと。

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ラベル:SF 小説
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2017年06月12日

「書を捨てよ町へ出よう」 寺山修司 (監督)

先日買った本に触発されて、今更ながらに寺山修司の映画を観てみた。

う~ん、どっかの映画専門学校の学生の作った実験映画みたい。
つまり、商業映画の大衆に支持される、受け入れられる・・・という点を一切無視して自分たちの自己満足、オナニー的な作品かと?

まあ、時代だよねぇ~。
有り余る情熱をどこにぶつけたらいいのか分からないまま、日常で迷走する若者を描いた1960年代、70年代の高度経済成長期にだからこそ、制作を許された映画。
そんな感じの映画です。

そうそう、誰かと思ったら美輪明宏が出てた。
あの人、三島さんだけでなく、天井桟敷にも関係あったんですね。この映画で初めて知りました。
それだけでも収穫かな?

内容は見るほどの価値ありません。
批判したくて、最後まで見通しましたが、いつもなら途中で再生を止めて放棄するレベルの作品です。

ブレアウィッチプロジェクトではないので、左右にカメラを振るだけの演出やカラーフィルターをかけただけの演出は、見ていて頭がクラクラします。

あと・・・今だったらセリフ、映倫通らないじゃないですかね?
差別用語垂れ流しみたいですが・・・・。

まあ、悩みはあっても今から見れば幸せな時代でした。
ああやって、悩んでますよ~と独り善がりに主張することが許されていた訳ですしね。
今なら、主張は許されませんね。もっとも、主張という概念自体が今はありませんし・・・。

ただただ、他人から賞賛されたい、認証されたい、そうすることで自己の存在意義を他人に与えてもらいたい・・・そ~んなのばかりですもん。SNS見てれば、お分かりのように。

あと田園に死すもあるんだけれど、見るかどうするか悩むなあ~。
時間の無駄になりそう・・・。

そんなのよりも「宇宙の戦士」でも読み終えたいような気が・・・?
そちらも今更ながら過ぎる古典SFですが・・・(笑)。

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ラベル:映画 寺山修司
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2017年05月26日

第82回 彩の国 所沢古本まつり 5/24

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今回は平日にもかかわらず、初めて初日に行ってきました。
やっぱり早い時間に行くと違いますねぇ~。
何度か目にしていても、いつでも買えるだろうと値段次第と購入を先延ばしにしていたタイプの本が安くて綺麗な状態でたくさんあったので、新書や文庫は思いっきり買い漁ってしまった・・・。

既読の本も結構あるんだけれど、借りて読んだので機会があれば購入して手元に置いておきかったりする。
トマスの福音書とかね。

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寺山修司って、実は私あまり読んでいなかったりする。
ただ、なんというかその周辺関連については、結構縁があって、その系統の小劇団(月蝕歌劇団)とか以前見ていたり、青森の都市ジャックにもたまたま居合わせたこともあったり・・・「身毒丸」もなんかもね・・・あれは蜷川さん演出で文化村で観たっけ。

そういやあ~J・A・シーザーも天井桟敷関連だったっけ?
「少女革命ウテナ」の曲もそうでしたね。確か。

さて、今回、一番高ったのはこの本なんだけど、売れ残ったやつだと思う。自由価格本として売られてたみたいだし・・・。スリップも残ってたし・・・。

気に入ったのは、非常に独特の色彩感覚、言語感覚溢れる、当時ならではのポスターとかの写真。
唐とか、三島とかそういうあの時代的なものを感じさせる写真がたくさんあって、「THE 昭和」って感じでしょうか? 時代的な資料になりそうな本です。こういうノリ好きだったりする・・・私。

今は無きパルコ出版っていうのもイイ。感性企業、な~んてうたっていた西武グループも身売り話が飛び交う昨今ですしね・・・。昭和は遥かなり。

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ここも今は無き大陸書房の一冊。
オカルト系の胡散臭い本をよく出していたっけ?

そこが出していたアマゾン探検話。しかも黄金でエルドラードですよ~。
昔いったブラジルも今はもう良い思い出です。また行きたい・・・。
うちのワンちゃんが寿命で亡くなったら、すべてを捨てて行ってみたい!!

存命中に行くなら、サンチャゴ・デ・コンポステーラで巡礼二人旅だけどね。

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そうそう、あの「プロテスタンティズムと資本主義の精神」。
マックス・ウェーバーで有名な大塚先生が書かれた、日常の専門を離れた視点で語った文書。
これって珍しそう・・・・。
大学で講義受けれなかったのがつくづく残念でした。

いささか黴臭くて埃っぽい本でしたが、次に目にする機会はいつになるのか分からないのでとりあえず買ってみました。

それ以外の本について。
パノフスキーはね、読んでも良く分からないんだけれど・・・時々、他の本で言及されていて知らないで済ます訳にもいかなそうでね。まあ、非常に安かったのでとりあえず手元に置いておく。

談山神社。
奈良にある神社。大化の改新で蘇我馬子を暗殺した場所でここも訪れたことがあり、懐かしい。
歴史読本の特集本みたいだったのでこれも読んでおきたいですね。

ガラガラに詰めて帰ってきましたが、重たくて腰痛くなった・・・orz。


そうそう・・・ブログを書くにあたり、少し寺山修司について検索してみたら、没後20年ってことであちこちでイベントやってるみたい。知らなかった!

あと・・・私が経験したような都市劇をまたやるみたい。三沢市で。
おお~すっげぇ~行きたい!!
無理して行くかな???

幻想市街劇「田園に死す」三沢編

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ラベル:古書 古書市
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2017年05月21日

「皇帝ネロの密使」上下 ジェームズ・ベッカー 竹書房

キリスト教(カトリック)のレーゾンデーテルにかかわる重要機密を巡る謎解き物ですね。

装丁(カバー)が流行りのシグマシリーズと同じ感じだし、謎解きもそれっぽいので期待して読んでみたのですが、やっぱり別物ですね。最新の科学的知見を元ネタにして謎解きに絡め、知的好奇心を煽るあのシリーズとは異なり、こちらはそういった側面無しに淡々と謎解きをするのですが、登場人物も正直魅力に欠けるし、単なる警官には荷が重いかと。

一応、銃撃戦とか銃が使えるという為に必要でも、他にも何も無いし、組織的暴力集団に対してはあまりに無力過ぎでがっかり以外の何者でもない。それなのに・・・そんな一個人が組織に対抗しちゃうのって、なんだかね?

謎解きもつまらないし、バチカンを出してもあまり意味ありげに思えません。
最後の展開も、あれれっ?って感じで残念感が半端ないです。

暇つぶしにしてもお薦めしません。

皇帝ネロの密使 上 (竹書房文庫)(amazonリンク)
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2017年05月18日

「古本道入門」岡崎 武志 中央公論新社

確か著者の本を以前読んであまり面白くなくて、もう読まない、とか書評に書いたことがあったような気がするけれど、古書関係の本を読みたくて他のが適当に見当たらなくて選びました。

う~ん、読んでみると・・・やっぱりほとんど知っていることばかりですし、掘り下げ方も正直それほど深くなくて、もっとあるでしょう・・・とか読みながら一人ツッコミを入れたくなってしまう。

紹介される本もなんだかね。
個人的に興味無いし、やっぱり薄っぺらに感じてしまうのですが・・・。

但し、ブックオフの直営店とフランチャイズ店との値付けの違うなどは知らなかったのでそこは勉強になりました。あと・・・自分の行っているお店が何店か紹介されていたので意外でした。

勿論、神保町のお店は別としてですが・・・。

最近は、高田馬場や神保町で古書店巡りしてもそれほど目新しいもの見つからないんですよね。
たまにあってもあそこは高いので、ネットで検索してどうしても安いところで買ってしまったりする。

特に洋書だったら、海外のAmazonの古書を買った方がshipping込みでもそちらの方が安いからねぇ~。
最近は円高じゃなくなってきたので微妙になってきてはいるものの・・・。

ブックオフせどりも本書が書かれた当時は流行っていたみたいですが、参入の容易さから素人参加が増え過ぎて価格競争が激化した結果、労力に比して利益が出せなくなり、にわかせどり師がだいぶ淘汰されたんじゃないでしょうか、今は。

一時はヤフオクやAmazonのマーケットプレイスで投げ売りしてましたもんね。
まあ、私も要らない本の処分として一時やってたことありましたが、今は面倒でする気もないですし・・・。


【目次】
第1章 いま、古本屋がおもしろい
第2章 本じゃなくても古本だ―重文級からハルキまで
第3章 オカザキ流、古書の森のさまよい方
第4章 世界一の古書街「神保町」ガイド
第5章 全国8大おすすめ古本町
第6章 ブックオフの使い道
第7章 即売展のたのしみ
第8章 古本を売る、店主になる

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ラベル:書評 古書
posted by alice-room at 05:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 【書評 本】 | 更新情報をチェックする