2017年07月02日

「シャルロットの憂鬱」近藤 史恵 光文社

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元警察犬だった犬を引き取って飼い始めたある夫婦の下で起こった日常のちょっと変わった出来事とその謎解き。

ワンちゃんについては、アルアルですねぇ~。
我が家にもドイツ犬種のミニチャア・シュナウザーがいるので、小型犬ではあるのは作中のジャーマン・シェパードとは異なりますが、非常に親近感を持って読みました。

頭の良いワンちゃんは、まさに本書で描かれるような行動をとるのですが・・・。
思わず、そうそう・・・と、うなずかされますし、ですよねぇ~と納得してしまいます。

ただね、う~ん、なんというかワンちゃんを見た人視点で書かれており、個人的にはむしろワンちゃん視点で描いた文章が読みたかったりする。吾輩は猫である、の犬版でね。

ワンちゃんの描写は興味深いものの、ストーリー自体は正直あまり面白くないかなあ~。
謎解きなんて、無粋な部分は要らないので個人的にはワンちゃんの事だけ書いてくれても良かったのになあ~と思いました。

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2017年06月23日

「パウロ・コエーリョ 巡礼者の告白」フアン・アリアス 新評論

kokuhaku.jpg世界でも有数の著名な小説家であり、私も何冊もこの著者の本を読んでいますが、本書には正直なところ、ちょっと衝撃を受けました。

確かに作中で述べられるモノの考え方というか精神への高い志向性というか、特徴のある文体は本書を読んだ後に考えれば、なるほど・・・納得のいくものではありますが、正直、精神病院に何度も入っていたとか、監獄にも3回投獄されてたとか、ありとあらゆるドラッグとかコカイン、LSD等の薬物試したり、黒魔術などの秘密結社にも入っていたりとかって・・・。

えっ、本当に、そういうのやったからこそのあの精神性への志向なの?
って、ショックでした・・・よ~。

イエズス会系の学校で教育を受け、反動でヒッピーに行って、マルクス主義とかって・・・。ねぇ~。
その後、何故か知り合いになった歌手に作詞を提供して金持ちになって、ビル5棟所有してたとか・・・。

何度も結婚、離婚を経験していてヒモみたいな感じで奥さんに金出してもらって演劇学校通うって、どんな人生なんでしょう???

そして取材当時、コパカバーナ・ビーチ近くのとこに住んでるって、ねぇ~。
私もそこ行ったことあるけれど、確かにあんなとこに住んでたら、幸せだと思う。いいとこですし・・・。
金があったら、日本に住居構える必要ないしね。

とにかく作品から直接的に受けるイメージとはおよそかけ離れた著者の経歴ではありますが、なかなかに興味深いです。逆にそういうのを知ると、作品についてもなるほどネっと理解が深まるような感じがします(気のせいかもしれませんけどね(笑))。

作品を好きな読書であれば、あえて本書を読んでみるのもアリかと思います。
偏見無く、ありのままを受け入れられるならば、本書もアリかと。

作品に対する思い入れとか、個人的な理想的なものを崩されたくない人は読みない方が宜しいでしょう。
そういった本です。
【目次】
第1章 前兆
第2章 精神病院、監獄と拷問
第3章 私生活
第4章 政治と倫理
第5章 女性性
第6章 魔術
第7章 麻薬
第8章 改心
第9章 作家
第10章 読者たち
第11章 パウラ、アナ、マリア
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2017年06月21日

「昭和酒場を歩く」藤木 TDC 自由国民社

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昨今ブームの『昭和』の古典酒場、懐かし横丁等を採り上げた懐古趣味的おじさん語り。

狙いは悪くないし、取り上げられている場所も何ヵ所かは私自身も知っているし、訪れてもいるので書かれている文章も分かるのだけれど・・・年寄りが飲み屋でくどくどと昔を懐かしんで繰り言を言っているレベルの内容で正直お粗末過ぎる。

雑誌に連載していたものをまとめて再利用しているらしいのですが、ちょっとねぇ~。
別にグルメ本ではないので料理や酒を詳しく説明しろとは言いませんが、ただ、古い(ぼろい?)飲み屋で時代についていく努力も無しに昔と同じメニューを出していれば、それでヨシとするのはいかがなものでしょうか?

古くても最近のお店に負けないくらい、酒や肴に工夫を凝らし、昔と変わらぬ美味しいものを手間暇かけて提供している、とかなら素敵なんですが、本書ではただただ古ければいい、昔と変わらず、残っていて懐かしい、そればっかりで客についても年寄視点のうっとおしい昔語りばかりで若い人に突然知ったような語り掛け口調は、正直苛立たしい。

街や地域の成り立ちなんて、本書の読者は求めてないわけでもっと著者独自の視点できちんと語って欲しかったです。ただ、懐かしいとか、時代は遠くになりにけり・・・的な老人の繰り言ではなくて・・・。

せっかく素敵な酒場でもっと素敵なお店があり、素敵な話題があるはずなのに全然生かされていないのが大変&大変残念な本でした。読む価値は無い本でした。
【目次】
宿「思い出横丁」の咋日今日明日
「池袋の夜」を訪ねて―美久仁小路、人世横丁
中央沿線“酒場街”青春哀歌―吉祥寺、西荻窪、荻窪、阿佐ケ谷、高円寺、中野
小岩の酒場に永井荷風の足跡を訪ねて
大井町の夕暮れ―東小路、旧大井新地
近未来から戦前へ 品川駅港南口、旧海岸通り
横浜野毛酒場街の“戦後”を呑み歩く
深川「辰巳新道」下町酒場街にも変化あり
名店居並ぶ大塚酒場街その歴史を“呑む”
錦糸町裏通りで呑む―ダービー通り、花壇街
東京スカイツリー下の酒場街―押上、業平、曵舟界隈
移ろいの街―有楽町ガード下界隈
新橋ガード下酒場街を発掘する
新宿ゴールデン街―その“魔性”の味は?
華やかなりし昭和の残香―“グランドキャバレー”を求めて

昭和酒場を歩く―東京盛り場今昔探訪(amazonリンク)
ラベル:書評 酒場
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2017年06月18日

「宇宙の戦士」ロバート・A ハインライン 早川書房

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古典SFの一つとして著名な作品ながら、読んでいなかったのですが、初トライ。

確かに舞台はSFなのですが・・・あえてSFの設定を必要とする作品ではありませんでした。
普通の小説として読んでも素敵な内容の作品でした。
もっともSFだからこそ、かえって現実による余計な設定等を考慮せず、純粋な作品の舞台を作って、その分、本質的な内容部分の充実に著者の精力が注ぎ込まれたのかもしれませんが・・・。

うん、非常に中身のある作品ですね。

自分たちの世界を、自分たちの政治を決める最終的な市民権行使の資格を兵士に限定する、という「市民皆兵」というかその手の基本的ルールというのが何よりも根本にあり、その兵士は自発的な意思による志願者というのが、古代ローマの軍隊を思い出させました。

確か、30年間だったっけ?
ローマ市民権を持たないものでも軍務に服せば、市民権を与えられたというのがありましたねぇ~。
あと、古代ギリシアのアテナやスパルタなんかも全市民に兵役があり、直接民主制がとられていたのも、その辺が本書の想定する市民社会かな?なんて思いながら読んでました。

オーソン・ウェルズの動物農場よりは、こっちの方が面白いし、教訓というか為になることが多いなあ~。

だけど、決して説教臭い訳ではなく、なんていうかまさに古き良き時代の徒弟関係ではないものの、仲間や長幼の別、上が下を育ていく、今の世界でもどんなところでも見かけなくなったとても大切な価値観を思い出させてくれる作品でした。

ストーリーはとある一人の若者が将来の進路として、兵士を志望します。
志願兵ですね。

恵まれた環境に育ち、輝かしい将来を約束されていたものをすべて捨てて、命の危険を冒して、兵士を志望してしまう・・・その代価は退役するまで持った場合に与えられる、政治において行使できる市民権。
しかし、若者はその将来の代価を望んで兵士を志望する訳ではないのです。

いささか成り行き的に決まった兵士という選択は、その若者を特殊な環境において教育することになります。
その兵士となる過程で、彼は大切なことを身につけていったりします。

新兵がやがて数々の修羅場を経て、老練な熟練兵になっていくのですが、その過程がまたなかなかに読ませる内容となっています。

以前に英語版で読んだ TOYOTA's WAY も個人的には頭に思い浮かべました。
結構、熱い思いがこもった作品となっています。
何よりも面白いですねぇ~。

こういう作品とは思いませんでしたが、未読であれば、一読の価値はあるかと。

宇宙の戦士〔新訳版〕(ハヤカワ文庫SF) (amazonリンク)
ラベル:SF 小説
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2017年06月12日

「書を捨てよ町へ出よう」 寺山修司 (監督)

先日買った本に触発されて、今更ながらに寺山修司の映画を観てみた。

う~ん、どっかの映画専門学校の学生の作った実験映画みたい。
つまり、商業映画の大衆に支持される、受け入れられる・・・という点を一切無視して自分たちの自己満足、オナニー的な作品かと?

まあ、時代だよねぇ~。
有り余る情熱をどこにぶつけたらいいのか分からないまま、日常で迷走する若者を描いた1960年代、70年代の高度経済成長期にだからこそ、制作を許された映画。
そんな感じの映画です。

そうそう、誰かと思ったら美輪明宏が出てた。
あの人、三島さんだけでなく、天井桟敷にも関係あったんですね。この映画で初めて知りました。
それだけでも収穫かな?

内容は見るほどの価値ありません。
批判したくて、最後まで見通しましたが、いつもなら途中で再生を止めて放棄するレベルの作品です。

ブレアウィッチプロジェクトではないので、左右にカメラを振るだけの演出やカラーフィルターをかけただけの演出は、見ていて頭がクラクラします。

あと・・・今だったらセリフ、映倫通らないじゃないですかね?
差別用語垂れ流しみたいですが・・・・。

まあ、悩みはあっても今から見れば幸せな時代でした。
ああやって、悩んでますよ~と独り善がりに主張することが許されていた訳ですしね。
今なら、主張は許されませんね。もっとも、主張という概念自体が今はありませんし・・・。

ただただ、他人から賞賛されたい、認証されたい、そうすることで自己の存在意義を他人に与えてもらいたい・・・そ~んなのばかりですもん。SNS見てれば、お分かりのように。

あと田園に死すもあるんだけれど、見るかどうするか悩むなあ~。
時間の無駄になりそう・・・。

そんなのよりも「宇宙の戦士」でも読み終えたいような気が・・・?
そちらも今更ながら過ぎる古典SFですが・・・(笑)。

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ラベル:映画 寺山修司
posted by alice-room at 00:36| Comment(0) | TrackBack(0) | 【映画・DVD】 | 更新情報をチェックする