2017年08月27日

「蔵書一代」紀田 順一郎 松籟社

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あの読書人の著者がまさか生前に蔵書を手放されるとは思いもよりませんでした。
ご自身が経験された蔵書維持、管理、引継ぎ、売却に至るまでの苦悩の経過を描かれています。

そして、その経験を踏まえて蔵書に関する様々な話を書かれています。

但し、個人が集めた蔵書であっても残す価値があるものは、文化として公的な支援を要する・・・というのはやはり申し訳ないが理想論に過ぎるかと。バブル時代の夢を引きずり過ぎでしょう。

ただでさえ、大学でも文科系の予算が切り詰められ、人員や経費が削減されているおりもおり、所詮は何もかも自己責任でやるしかないと思います。

実際、著者も最終的にはそうされているのに、他力本願的理想論(希望論)は、かなり違和感を覚えました。

いつの時代もどんな王侯貴族でさえも集めた財(貴重品、蔵書、資産等)は散逸するのが時の習いですから。

逆に、本が売れた幸せな時代を生きられて羨ましいなあ~と思いました。
好きな企画を立てて、それが通って、それでお金が稼げるなんて、幸せな時代ですよね。
まあ、人を羨んでも仕方ありませんが(苦笑)。

そういった思いは別として、蔵書を持つ人には他人事ではない、切実な悩みが本書を読むと共感します。
勿論、そんなに冊数の多い蔵書を持っているわけではありませんけどね。

今も本棚の文庫本の整理してるだけで腰痛くなってきたし、買うのはやっぱり控えねば。

自宅購入して引っ越してきた際にも本は厳選して不要な分は20~30箱以上、売り飛ばしてだいぶスリムになったのですが、また増殖してきた・・・・ふう~、困ったもんだ。

図書館を利用して極力抑えてもいい本だったら、結局買ってしまうからなあ~。
まあ、本書を他山の石として、本は自分で管理できる範囲にしようと強く思った次第です。

著者の意見に同意はしかねるものの、実に興味深い本でした。
蔵書家だったら、一読しておいてよいかもです。
【目次】
序章 “永訣の朝”
第1章 文化的変容と個人蔵書の受難
第2章 日本人の蔵書志向
第3章 蔵書を守った人々
第4章 蔵書維持の困難性
蔵書一代―なぜ蔵書は増え、そして散逸するのか(amazonリンク)
ラベル:蔵書 書評
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2017年07月30日

「漫画・うんちく埼玉」比古地 朔弥 KADOKAWA/メディアファクトリー

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こんなにも埼玉の事、知らなかったのかと驚かされた本です。
いわゆる雑学ネタ本ですが、地元民として知っていることは『あるある』ですが、意外にも知らないことの方がはるかに多く、しかも興味深いです。

手元に置いておいて悪くない一冊だと思います。

但し、埼玉の人限定かもしれませんが・・・・。

【目次】
有名チェーン店
B級グルメ・郷土食
埼玉が誇る「日本一」
鉄道
スポーツ
ゆるキャラ・ご当地ヒーロー
川越―風情あふれる“小江戸”
神社・仏閣
大宮VS浦和
名物・名産
行田―「埼玉」発祥の地
秩父夜祭
埼玉が生んだ偉人たち
埼玉史
道路・交通
漫画・うんちく埼玉 (メディアファクトリー新書) (amazonリンク)
ラベル:書評 新書 埼玉
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「ホッピー文化論」ホッピー文化研究会 ハーベスト社

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なんちゃって文化論かと思っていたら、大真面目に文化論を語ろうとしていて、失笑した。

しかも、その文化論の根拠として当時の週刊誌からの抜粋が多々散見されるのですが、週刊誌ってその場、その場で適当に記者やライターがでっち上げで書き連ねたものでしょ。

それをあたかも当時の時代の正確な描写のように、一次資料扱いしてそれを更に適当に解釈して、文化論もどきの事を言っちゃったもん勝ちのノリで書いているのって、いかがなものでしょう?

心ある人が読むと読むに堪えないかと思いますが・・・?

というか、何故にホッピーなのか?
一応、ホッピーを介して文化論を論じるにあたり、その理由を書かれているのですが、全然納得いきません。
今時の居酒屋ブームに乗っかった感じで単にキャッチーなアイテムとして、選択し、事後的に理由をこじつけた感が半端無いです。

その辺が大残念です。
無意味な意味付けをした、文化論もどきではなく、単なるホッピーを巡る一考察ぐらいのノリで好き勝手にああだこうだと書きましたとすれば、もっと内容も膨らみ、共感を覚えて面白くなったかもしれないので、エセ文化論でつまらない内容になっています。

冗談で付けたタイトルかと思ったら、最後まで真面目にやろうとしているようで大変興醒めな作品でした。
【目次】
はじめに(碧海寿広)
I ホッピー大衆化の歴史的背景―戦後日本における飲酒文化の変容―(碧海寿広)
II ホッピーが醸し出すノスタルジア ―「昭和」から感じるなつかしさ─(藤野陽平)
III ホッピーをめぐる豊かな「物語」 ─ヘルシズム社会における酒の語られ方─(濱 雄亮)
IV 東京下町の男たちの〈酒〉から若者や女性も楽しめる〈酒〉へ ―メディアが創出するホッピー・イメージの変遷―(高橋典史)
V 浅草で正しくホッピーを飲む方法 ―下町と居酒屋の再想像―(岡本亮輔)
VI 孤高の「酒」ホッピー―あるいはホッピーの文化人類学─ (小林宏至)
おわりに(藤野陽平)
ホッピー文化論 単行本(amazonリンク)
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「データサイエンティスト」橋本 大也 SBクリエイティブ

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随分昔に通販会社でデータベース・マーケティングをやった後、今の職場でも顧客行動の分析やりつつ、一応、移動後の部署もデータ分析が絡む職場ではあるものの、昨今、話題のバズワード(?)ぽいのを少し知識だけ入れておこうと手に取った本。

去年、ムック形式で同じようにデータサイエンティストの特集したのも読みましたが・・・大阪ガスの例とかね。あまり内容無かったので、少しは内容膨らんできたかなあ~と思ったのですが・・・。

まあ、時間経っても変わり映えしません!
データ分析というスキルを持った現場を知っている人で、且つ他部署や外部の会社と協業していける人物が理想的、な~んて当たり前過ぎることをもっともらしく書いているだけの本です。

幾つかの例示をして説明してますけれど、通販のRFM分析なんて何十年前の話かよって、感じです。
その辺は実際に私が通販会社でマーケティング部の部長をやっていた時でさえ、基本はその通りですがその数倍工夫を凝らした分析をしてましたし、実際に売上増・利益増を達成してましたよ~。

逆に言うと、本書に挙げられている例はすべてが教科書通りの大昔の典型例の寄せ集めで、著者独自の発想やノウハウなんてものは一切付加されていません。

端的にどっかに書かれた内容のコピペ集、まとめサイトレベルです。
読む価値無しの本かと。新書の入門書にしても、あまりにも手を抜いているなあ~という感じです。
【目次】
はじめに
第一章 データサイエンティストとは何か
第二章 データサイエンティストならこう考える
第三章 分析のツボを理解する
第四章 データで語るトレーニング
第五章 時代を変えるビジネスの担い手になる
おわりに
データサイエンティスト データ分析で会社を動かす知的仕事人 (SB新書)(amazonリンク)
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「小劇場の風景」風間 研 中央公論社

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もう10年以上前になるでしょうか。
劇団四季や山海塾とかと並行して、こういった小劇場の舞台をあちこち観ていたことがあります。

海外に行って、あちこち観たりもしましたが、個人的にはアングラ系の作品とかも好きだったりします。

蜷川さんとかも好きだったんだけどねぇ~。
お隣の街に住んでいたとは知りませんでしたが、最近亡くなられて寂しい限りです。

本書に出てくる人だと野田MAPや鴻上さんの作品は何本か観ています。
つかこうへいはちょっと違和感があり、避けていたかも?

唐さんのテントはねぇ~。
何度か花園神社でやってたの観に行こうと思いつつ、未だに一度も行ってません。

本書はそういった作品と時代背景を踏まえつつ、小劇場で演じられてきた舞台について観劇者の視点を多分に含みつつ、解説していきます。

実際に観た観客の一人として、その説明には思わず、確かに・・・と首肯する点が多く、またそういう観点があったのかと今更ながらに演じられた舞台の意味に気付かされる点も多数ありました。

読んでいて非常に興味深く、面白かったです。

ただ、今時のサークル的な仲間内仲良しグループノリや自己完結・自己満足型の昨今の小劇場作品は、どんなもんでしょうかね? あまり面白そうに思えません。実際、最近は全然観に行って無かったりする。

所詮、観客に向けた演劇と言っても演者の自己満足である点は確かに今も昔も変わらないんですが、それを観た観客として、満足できるか否かですよね。

私的には何らかの非日常的な刺激を受けに、舞台を観に行くのですが、日常の延長である作品は、正直観ていてダルイです。かったるい。

更にお金を払って、貴重な自由時間を割いてとなると、その辺、我慢できなくなってしまう・・・。

実際、会社の仕事を中断して舞台を観て、また会社に戻って残った仕事をしたりしていた頃、つまらない作品だった時は、上演中に我慢できずに途中で抜け出したこともあったりしたし・・・。

まあ、その辺は置いといて、改めて小劇場演劇の変遷というか、推移を俯瞰するには良い本だと思いました。
実際に当時(今)、観ていた人には興味深く読めるかと思います。
【目次】
第1章 「60年安保」のあと、「若者文化」は炸裂する
第2章 つかこうへいが、演劇を大衆化する
第3章 「カッコウいい」野田秀樹の登場
第4章 鴻上尚史は、若者の感性を刺激する
第5章 「何となくクリスタル」な80年代の演劇

小劇場の風景―つか・野田・鴻上の劇世界 (中公新書) (amazonリンク)

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ラベル:書評 演劇 新書
posted by alice-room at 20:44| Comment(0) | TrackBack(0) | 【書評 未分類B】 | 更新情報をチェックする