2018年12月10日

「紀元千年のヨーロッパ」 L.グロデッキ 新潮社

著者があのグロデッキで翻訳者が柳 宗玄だったので読んでみました。

もうちょい、ゴシック建築とかロマネスク建築、聖遺物や装飾写本とか出てくるかなあ~と思ったんですが、フランスのものが意外と少なく、シャルトル大聖堂とかほとんど出てこないうえに、ドイツの中世建築とか・・・ね。

なんか私の求めているものとは、かなりずれているのを感じました。
説明文も多いのですが、中世美術や宗教関係の記述もちょっとなあ~。
ヤンツェンやフォションが引用されてたりするが、ちょっと違うんですよね。

ざっと全頁をめくって興味が持てそうなところだけでも拾い読みしようと思ったのですが、全くそれに値する箇所もありませんでした。
本書のポイントがいまいち私には理解できませんでした。

紀元千年のヨーロッパ (人類の美術) (amazonリンク)

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「図説世界建築史(8)ゴシック建築」ルイ・グロデッキ 本の友社
「ロマネスクのステンドグラス」ルイ グロデッキ、黒江 光彦 岩波書店
ラベル:書評 中世
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2018年12月09日

「中世の知識と権力」マルティン・キンツィンガー 法政大学出版局

う~ん、このシリーズは時々、面白いものがあるので読んでみたのですが、ハズレですね。

現代的視点から、中世を見てどうのこうの言うってのは、まあ、分かるんですけどね。
人は常に自分の立ち位置からしか、それ以外のものを見ることは出来ないってのは確かに歴史というものが内在せざるを得ないものであることは別として、個人的にはそんなこと不要で、さらに言うなら無駄な著者の独り言でしかないかと。

それ以外にもなんというか、説明のポイントが私の知りたいことには全くかすることさえなく、こんなの読まない方が良かったというのが感想です。実際に飛ばし読みしつつ、目を通したのですが、それさえも途中で止めるほど私には得るものの無い本でした。

【目次】
1 中世の知識と中世における知識―近代への道
2 修道院の僧房と権力中枢―中世からの道


中世の知識と権力 (叢書・ウニベルシタス)(amazonリンク)

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「中世の大学」ジャック・ヴェルジェ みすず書房
ラベル:書評 中世
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「今夜、珈琲を淹れて漫画を読む」いしかわじゅん 小学館クリエイティブ

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漫画は好きなんですが、最近はほとんど読んでいませんね。
以前は週刊の漫画を週に3、4冊読んでいたので、新しい漫画に対しての情報も自然と集まり、あとは作者から作品を広げていく、というやり方で読んでいましたが、満喫も何年も行ってないし、漫画どころか雑誌も買わなくなりましたね。

もっとも雑誌も週刊漫画雑誌もドンドン休刊するばかりでどこで目にすればいいのかさえ、分かりませんが。

最近の人って、どこで作品の情報を得るんでしょうか???

本書の作者の漫画は昔、昔、読んだことありましたが、つまんなかったという記憶しかなくて、まだ生き残っているなんて夢にも思いませんでした。あずまさんはさすがに失踪日記やら、アル中の廃人となりつつもまだ業界に片足残されているようで何よりですが、とにかく、懐かしい名前と共に本書の紹介されている漫画って、どんなだろう?という好奇心で読んでみました。

紹介されている内容は作品と共に著者に関する情報も多くて、その辺、関心をそそるものが時々あるのですが、紹介されている作品自体は絵柄も含めて読んでみたいと思った本は、何冊もありませんでした。

ただ改めて、漫画を描いて生き残っていくのは大変なんだなあ~と思いました。
もっとも、どの世界もそうなんですけどね。
普通のサラリーマンでさえ、私なんかには大変ですよ。
生活費、稼いで生きていくのはねぇ~。

【目次】
第1章
ハチクロの次は将棋だ!羽海野チカ青年誌進出!『3月のライオン』
流れる少女の歌声!開いた豊かな音の箱!『オトノハコ』
輝くよつばの世界!奇跡のように美しい世界を見ろ!『よつばと!』
とにかく濃いぞ!ふたりのまんが道!『バクマン。』
鎌倉の四姉妹それぞれの人生『海街diary』
聖人は、手の届くところにいる『聖☆おにいさん』
彼女の見た夢は『ちはやふる』
オタク心をくすぐるケロロ『ケロロ軍曹』
最後に手にしたもの『この世界の片隅に』
やってきた妻『乙嫁語り』
不思議の街、赤羽『東京都北区赤羽』
美しい時代『高校球児ザワさん』

第2章
手の中にあるもの『さよならもいわずに』
誠実なシャーロッキアン『シャーロッキアン!』
新しい漫画家『西村ツチカ作品集なかよし団の冒険』
熱いホノオはちょっとうるさい『アオイホノオ』
建築は人生だ!『数寄です!』
祭りの収穫『機動戦士ガンダムサンダーボルト』
生命とはなんだったのか『外天楼』
心の記録が恐ろしい『人間仮免中』
漫画家漫画に、やはりハズレなし『かくかくしかじか』

第3章
若い3人の運命やいかに『彼女とカメラと彼女の季節』
人生はなかなか辛い『放浪の家政婦さん』
究極のエデンの園『僕の先輩』
新しいテーマを探して『フイチン再見』
漫画の売り方を教わる『重版出来!』
現実の隣にある不思議な物語『九井諒子作品集竜のかわいい七つの子』
不思議な技法『祈りと署名』
井上雄彦プロレスを描く『リアル』
ふたりの不安な物語『バベルの図書館』
ファミリー漫画を笑え『おんなの窓』
監督を描く『GIANTKILLING』
愛を求める男と愛が怖い女『娚の一生』

第4章
語るべきもの『森山中教習所』
怪しのものたちの棲む世界『雨柳堂夢咄』
少年たちに与えられた場所『Sunny』
溢れる熱量を見ろ『ブラック・ジャック創作秘話』
少年は成長する『銀の匙』
落語というよりも、愛『昭和元禄落語心中』
成長する人『オンナミチ』
新しい聲の形『聲の形』
世界の片隅で愛を囁く『ZUCCA×ZUCA』
望月ミネタロウが静かに語る『ちいさこべえ』
彼の彷徨う魂『漫喫漫玉日記四コマ便』
久しぶりのくだらない路線『磯部磯兵衛物語』
地下に張り巡らされた妄想『RAPIDCOMMUTERUNDERGROUND』
誠実な筆の描く恐ろしい物語『かびんのつま』
思い切りはしゃいだ1億年後『ギガントマキア』

今夜、珈琲を淹れて漫画を読む:「漫画の時間」2時間目 (小学館クリエイティブ単行本) (amazonリンク)
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「せどり男爵数奇譚」梶山 季之 筑摩書房

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一時期、ブックオフで100円で購入した本をamazonマーケットプレイスで売り抜ける、ニート御用達の「セドリ」が流行ったことがありましたが、その頃でしょうか、非常に有名な本書の名前を何度も目にした覚えがあります。

もう今時では、競合多数の安値競争で淘汰されて上記のような安易なセドリは消え失せ、ブックオフ自体も調子に乗って、売価上げたり、家電に手を広げたりしましたが、ドンドン店潰れていってますよね。
時代の流れとは、やはり早いですねぇ~。

まあ、逆にそろそろ時代に対しての抵抗感も薄れ、誰も興味がなくなってきた故に本書を読んでみようかと思った次第でもあります。

そうそう、著者は雑誌のトップ屋さんだったんですね。
後書きにいろいろ書かれてましたが、立花氏もそうでしたが、古書業界との繋がりは深いようで、普通に神田の有名古書店の名前がそれこそ、ポンポンと出てきます。

まあ、最初はありがちな話ですが、徐々に盛り上がっていきます。
本書に出てくる姦淫聖書とかは、もうベタなベタなネタですしね。

ただ、最後の話はグロくてあまり好きではありませんでしたが、江戸川乱歩や夢野久作のようなエロ・グロ・ナンセンスとは異なり、私の嫌いな類の表現が多かったです。人の皮膚をランプシェードにしたとか、その手の話はまあいくらでも知っておりますが、本書の作品はどうも好きになれません。

個人的には本書は手元において置かなくて良い本かと思っています。
お薦めもしません。

せどり男爵数奇譚 (ちくま文庫)(amazonリンク)
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2018年12月01日

「滝山コミューン一九七四」原 武史 講談社

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えっと本書の存在を知ったのは立花氏の本だったかな? それとも5ちゃんねるのスレだったかな?
車で新小金井街道を走っていると滝山団地というところを何度か通り、記憶の片隅にあった地名が別な視点から光が当たり、えっ、なんか有名なの?って感じで本書のタイトルが気になっていたのですが、たまたま、図書館で本書を見かけて読んでみることにしました。

日教組はまあ、左翼系の集まりなのは知っていましたが安保闘争とかの余韻が残っている時代の話ですかねぇ~。
まさに共産系の匂いが漂う、ある種異様な教育現場の生々しい雰囲気が感じられるお話です。
しっかし、本書に書かれていることが事実ならば、よくもまあ、そんなことやっていたし、やらせていたよなあ~と驚き、呆れるばかりです。
呆れるというか、寒気がしますけど・・・。

でも・・・時代背景やその地域の特殊事情を考えるとあり得る話ではあります。

著者が受けた四谷大塚の試験、おそらく・・・私も小6の時だったかな?
公文の先生にお誘い頂いて、わざわざ都内まで出て受けた覚えがあります。
試験の結果に衝撃を受けて、それが遠因か中学から塾通いをし始め、東大目指すことになったのですが・・・(もっとも合格してませんが)、私も都内から引っ越してきて、土地の閉鎖性というか、もうなんというか都内と地方の思考方法ギャップに嫌ってほど苦しんだしなあ~。

立場上、生徒会の役員に立候補する羽目になったり、クラスの代表委員とかなっても辞めるとか言ったり、修学旅行も行くのを取りやめようとしたり・・・いろいろあったなあ~。

とにかく中学(学校、教師、生徒、行事その他)が大嫌いで周りの人が誰もいない(いかないorいけない)、学区制の範囲内で一番の難関校に入って、ようやく抜け出したことを思い出しました。

大学よりも高校の時の方がはるかに自由だった気さえしますね。

ネットで少し調べて本書がドキュメンタリーか何かで賞をもらっていることにも驚きましたが、まあ、今ではあり得ないだろうなあ~。
ネットやSNSでこんなのあったら、すぐに情報が知られて潰されるだろうから。

まあ、昔はあまりに過激な奴は、公務員で早々クビに出来ないから、地方とか都内だと島の方に飛ばすとかよくしてたらしいし、その辺のことは知っている人は知っている話ですけどね。

もっとも私も学校に対する抑圧されたストレスからか、卒論のテーマを「校則と自己決定権について」としたことを思い出しました。
教師は無能で根拠もなく、恣意的に権力を振るっていると小学生の時から思ってたし、非暴力不服従運動ではないが、消極的に教師からの指示をサボタージュするとかよくやってたもんなあ~。クラスの代表委員がそういうことしてた訳だし、学級崩壊してたしなあ~。

授業中にいなくなった生徒を探す為に、校外の裏山を探すとかってので授業を丸々1コマ潰すって、キチガイかと思ってましたよ。
担任教師のことを!

まあ、通知表だっけ?
「協調性がありませんとか、みんなともう少し打ち解けるように」散々なこと、書かれてたしなあ~。

そういえば、小学生の通知表には
「個性的なお子さんです」とか書かれてた。
そういう表現で、異端扱いされていたのを思い出しましたよ。成績が学年トップなので余計扱いつらかったんでしょうね。教師連中には。

著者も本書の中で周囲からどういった扱いを受けたのか、克明に描かれていますが、その一方で凄いというか、どんなにトラウマ的に精神に刻まれてるのか不思議でならなかったのが、小学生の時のこと、そんなに普通覚えてます?

私は大いに不満があった覚えはありますが、具体的な事は正直、ほとんど思い出せません。
著者が当時の関係者に聞いてまわって、みんながほとんど覚えておらず、そんなことあったかも?程度の証言しかないことについて、どうして覚えていないのか逆に不思議に思っている、その事自体に物凄い違和感を覚えました!

逆に著者は年齢(本書を執筆する時)まで、小学生時代のことを克明に記憶していたなんて、どう考えても異常なことかと。
当時の記憶に固執する執着性の気質的素養があるのか、よっぽどの精神的ストレスによる身体に染み付いた記憶なのか・・・?

子供への教育、時代的なことも含めて大変気になりますね。
そういった教育を受けた人達がどうなったのか? また、今の教育でどうなっていくのか?
心配で心配でたまりませんね。

その点では自分には子供がいないことが幸いですね。
本当に心からそう思います。

そうは言っても教育の場だけでなくとも、社会がどうなっていくのか?
いろいろと衝撃を受けた本でした。

もっとも今、その滝山団地行ってみると、どこぞのニュータウンみたいに忘れ去られた過去の地域みたいになっています。
イトーヨーカドーのプライスだっけ、あれも撤退したし、他にスーパーとかあるんでしょうか?

車があれば、まあ、イオンやら何やらあることはありますが、車無しでは結構、今も不便な感じがしますけれどね。
本書の内容は、はるか昔の話ではあります。
【目次】
1 序
2 改革
3 「水道方式」と「学級集団づくり」
4 二つの自己
5 代表児童委員会
6 「P」と「T」の連合
7 6年になる
8 自由学園・多磨全生園・氷川神社
9 林間学校前夜
10 林間学校
11 追求
12 コミューンの崩壊


滝山コミューン一九七四(amazonリンク)
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